JP2008248161A - 熱分解処理方法及び熱分解処理システム - Google Patents

熱分解処理方法及び熱分解処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】汚泥を炭化処理するにあたり、化石燃料の使用量を大幅に削減し、少量の助燃料で汚泥を安定的に炭化することのできる熱分解処理方法及び熱分解処理システムを提供する。
【解決手段】被処理汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成させる熱分解処理システムで、熱分解炭化処理を行う熱分解炭化炉40を有し、この熱分解炭化炉40に対して、投入機32により被処理汚泥と共に廃プラスチックを投入することで化石燃料の根使用量を大幅に削減して熱分解炭化処理を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、被処理汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成する熱分解処理方法及び熱分解処理システムに関する。
近年、多量に排出されるプラスチックを始めとする廃棄物に対し所定の処理を施して資源として利用する各種の手法の提案がなされている。特に、CO排出量を低減する観点から、化石燃料の代替エネルギーとして、カーボンニュートラルであるバイオマスが注目されている。その一例として、バイオマス(木材、汚泥、家畜糞尿、生ゴミ等)や廃プラスチック等の有機物処理材料を熱分解処理して、熱分解ガスと熱分解残渣とを生成し、熱分解ガスは凝縮することにより熱分解油として回収し、残渣は所定の処理をすることにより炭化物として利用するシステムが考えられている。
この中でも、有機物処理材料として廃プラスチックを用いると、高効率で熱分解油を回収できるので、このような廃プラスチックを熱分解油化処理する装置に関しては多くの提案がなされ、実用化している(例えば、特許文献1、2、3参照)。
一方、下水処理場や食品工場などから大量に発生する汚泥はバイオマスの一つであるが、大半が埋め立て処理あるいは焼却処理されており、エネルギーの有効利用がされていないのが実情である。そこで、CO排出量を抑制するために、すなわち、化石燃料の使用を抑制するために、安定した収集量が見込める下水汚泥などを、炭化処理により固体燃料化して、石炭火力発電用の燃料にするシステムが考えられている。
汚泥を焼却処理する場合は、汚泥の発熱量を全て焼却熱に使えるので助燃料の使用量は少ないが、汚泥を炭化処理する場合は、炭化物に熱量を残すために炭化処理する為の助燃料の使用量が多くなる。この為、助燃料として化石燃料の使用を抑制することを目的に木質系バイオマスを使用することが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
上記公報で記載されている技術では、炭化炉での炭化処理で汚泥から発生する熱分解ガスに木質系バイオマスから発生する熱分解ガスが加わることで、熱分解ガスを燃料として燃焼機関を運転し、汚泥を炭化処理するのに必要なエネルギーを得ることができる。
特許3340412号公報 特許3397764号公報 特許3435399号公報 特許3861093号公報
しかしながら、木質系バイオマスの中には発熱量の低い間伐材や剪定材、枝、葉なども多く含まれており発熱量が安定しないため、炭化炉の一定温度制御が行い難い。このため、炭化炉での熱分解処理運転等を安定させる必要から助燃料として多量の木質系バイオマスを使用しなくてはならなくなる。このように、廃木材、間伐材や剪定材、枝、葉などの木質系バイオマスを、破砕しただけの形状や、サイズが一定でない状態で炭化炉に投入すると、炭化炉への安定投入が行い難いと共に、投入材料中に空気が混入しやすくなる。熱分解装置内に材料とともに空気も同伴すると、熱分解装置内は高温雰囲気であるため、内部で投入材料が燃焼し、火災や爆発を引き起こすようなトラブルを招きかねない。
また、炭化炉内に汚泥だけでなく廃木材、間伐材や剪定材、枝、葉などの木質系バイオマスも大量に投入されることは、投入材料中の含水率が変動してしまうことになる。さらに、木質系バイオマスを大量に投入することは、燃焼炉の温度制御が難しいばかりでなく、炭化炉内面に材料固着、コーキング等を発生させる。その結果、炭化炉の熱通過率(熱貫流率)が低下するばかりでなく、短時間で処理不能となってしまうおそれがある。
このような問題を解決する手段として、木質系バイオマス投入材料を破砕、粉砕し、あるいは造粒化し、嵩密度を上げた状態で、含水率を確認しつつ汚泥に混ぜて投入することが考えられる。しかし、木質系バイオマス系材料の破砕、造粒を行う破砕機、造粒機の動力が大きくなり、消費電力が増え、作業の手間暇が掛かり、ランニングコストが掛かるばかりでなく、処理設備の設置面積が大きくなってしまう。
本発明の目的は、汚泥を炭化処理するにあたり、化石燃料の使用量を大幅に削減し、少量の助燃料で汚泥を安定的に炭化することのできる熱分解処理方法及び熱分解処理システムを提供することにある。
本発明による熱分解処理方法は、被処理汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成する熱分解処理方法であって、前記被処理汚泥に廃プラスチックを加えて前記熱分解炭化処理を行うことを特徴とする。
また、本発明方法では、処理汚泥に廃プラスチックを加えて前記熱分解炭化処理を行い、この熱分解炭化処理で生成された熱分解ガスを燃焼させて、その高温燃焼ガスを前記熱分解炭化処理の熱源として用いることも特徴としている。
また、本発明方法では、被処理汚泥は、メタン発酵工程で生成される消化汚泥を含み、このメタン発酵工程で生成された消化ガスを燃焼させて、その高温燃焼ガスを前記熱分解炭化処理の熱源として用いるとよい。
さらに、本発明方法では、廃プラスチックは破砕又は造粒処理されているとよい。
本発明による熱分解処理システムは、熱分解炭化処理を行う熱分解炭化炉と、この熱分解炭化炉に対して、前記被処理汚泥を廃プラスチックと共に投入する投入機とを備えたことを特徴とする。
また、本発明による熱分解処理システムは、熱分解炭化炉において被処理汚泥と廃プラスチックとを熱分解炭化処理することにより生成された熱分解ガスを燃焼させ、その高温燃焼ガスを前記熱分解炭化炉に対する熱源として供給する燃焼炉を備えた構成でもよい。
また、本発明システムでは、被処理汚泥は、下水汚泥を脱水して乾燥機により乾燥させた乾燥汚泥を含み、前記乾燥機は、熱分解炭化炉を加熱後の排ガスを熱源として発生させた水蒸気を乾燥用の熱源として用いるとよい。
また、本発明システムでは、被処理汚泥は、メタン発酵槽におけるメタン発酵工程で生成される消化汚泥を含み、燃焼炉は、前記メタン発酵槽から供給される、前記メタン発酵工程で生成された消化ガスを燃焼させるようにしてもよい。
熱分解炭化炉は、内筒内部に多数のセラミックボールを保持するロータリーキルン方式であることを特徴とする請求項5乃至請求項8記載の熱分解処理システム。
また、本発明システムでは、熱分解炭化炉の投入機は、乾燥炉で乾燥させた汚泥と、破砕又は造粒処理された廃プラスチックの両方が投入できる構造である。
さらに、本発明システムでは、熱分解炭化炉は、その炉内温度を検出する温度検出器を有し、投入機は、前記温度検出器により検出された炉内温度に従って廃プラスチック投入量を制御する。
本発明によれば、被処理汚泥と共に廃プラスチックを熱分解処理することにより、充分な量の熱分解ガスが得られるので、化石燃料の使用量を大幅に削減でき、少量の助燃料により安定した汚泥の熱分解炭化処理が可能となる。
以下、本発明による熱分解処理方法及び熱分解処理システムの一実施の形態の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、熱分解処理システムの実施の形態を説明するシステム構成図である。
図1において、40は外熱式ロータリーキルン型の熱分解炭化炉であり、円筒状をなす炉体(内筒)を有し、その外面に設けられた加熱炉(外筒)により間接加熱される。そして、図示左方に設けられた投入機32から投入される被処理物を低酸素状況下で加熱して熱分解させ、熱分解ガス50及び炭化物100を生成し、それぞれ図示右方から排出する。
上記熱分解炭化炉40に投入される被処理物は、被処理汚泥と廃プラスチックとする。この実施の形態では、被処理汚泥は下水汚泥1を脱水機10で脱水し乾燥機20で乾燥した脱水汚泥とする。なお下水汚泥1とは、生活排水や食品工場の排水、家畜の糞尿などを含み、例えば、これらを好気性処理などにより沈澱処理させ濃縮したものとする。
脱水機10と乾燥機20とは、移送ライン(以下、単にラインと呼ぶ)11で接続されている。このライン11はポンプによって汚泥を圧送できる配管などが好ましい。乾燥機20から排出された脱水汚泥は、脱水汚泥貯留ホッパー30までライン21を経由して搬送される。このライン21は乾燥した汚泥を搬送できるコンベア、或いはエアー搬送機などが好ましい。
廃プラスチック5は、破砕、粉砕或いは造粒処理されたものがよく、ライン22を経由して廃プラスチック材料貯留ホッパー31に搬送される。このライン22は破砕、粉砕或いは造粒処理された廃プラスチック材料を搬送できるコンベア、或いはエアー搬送機などが好ましい。
脱水汚泥貯留ホッパー30に貯留された脱水汚泥と、廃プラスチック材料貯留ホッパー31に貯留された廃プラスチック材料は、熱分解炭化炉40への投入機30に対して、その上部に別々に設置された投入口から投入され、熱分解炭化炉40内に酸素を遮断した状態で投入される。投入機32の構造としては、例えば、平行に配置された2軸のスクリューによるフィーダを用い、スクリュー回転によりスクリュー本体への材料固着を防止しつつ投入する方式が好ましい。ただし、設計の工夫により1軸のスクリューフィーダとすることや、プッシャー方式とすることでもよい。
熱分解炭化炉40は、前述のように外熱式ロータリーキルン型であり、炉体(内筒)内に投入機32から酸素の混入しない状態で被処理物が連続投入され、反対側から生成炭化物100及び熱分解ガス50が排出される。すなわち、熱分解炭化炉40の炉体の出口側(図示右側)には排出ダクト41が設置されており、ここから生成炭化物100が排出される。排出された炭化物100は炭化物冷却器42を経て炭化物貯留ホッパー43に貯留される。このように冷却され、炭化物貯留ホッパー43内に溜まった炭化物は、ホッパー内のレベル或いは重量等を計測、監視し、その状態量により定期的に搬出され、次の利用先での利用方法に合わせた形で出荷、運搬される。
60は燃焼炉であり、熱分解炭化炉40の炉体の出口部分とライン(配管)51で接続されており、熱分解炭化炉40内で生成された熱分解ガスを前記排出ダクト41及びライン51を通して燃焼バーナに吸引し、燃焼させる。
燃焼炉60では、ダイオキシンが発生しないように約850℃、滞留時間2秒以上で熱分解ガスを完全燃焼させ無害化する。この後、発生する熱風はライン61を経由して熱分解炭化炉40の外側ジャケット部(加熱炉部分)へ送風される。熱分解炭化炉40の炉体内では、投入された被処理物が、外側ジャケット部を流れる熱風により間接加熱される。なお、燃焼炉60内の燃焼温度は850℃或いはそれ以上であるが、熱分解炭化炉40の炉体(内筒)内の温度は熱分解炭化に最適な温度(300〜600℃)に制御すべく、熱風ライン61の途中に冷却用の希釈空気を入れる構成とする。
80は排熱回収ボイラーであり、燃焼炉60で発生し、熱分解炭化炉40の外側ジャケット部(加熱炉部分)を経た熱風をライン62により導入し、これを加熱源として高温の水蒸気を発生する。すなわち、熱分解炭化炉40の外側ジャケット部と排熱回収ボイラー80とはライン62で接続されている。排熱回収ボイラー80では、熱分解炭化炉40加熱後の熱風を利用して蒸気(スチーム)を発生させ、この蒸気(スチーム)を熱源として乾燥機20を加熱する。
乾燥機20は、その熱源として排熱回収ボイラー80で発生した蒸気(スチーム)を用いているので、乾燥機20内の温度が異常高温になることはなく、異常高温により処理材料である脱水汚泥からの熱分解ガスの発生を防止している。なお、スチームによらず、熱風温度を下げて熱風を直接接触させる方式でもよく、脱水汚泥を燃焼させずに乾燥できるものであればなんでもよい。
排熱回収ボイラー80から出た熱風排ガスは、熱風吸引ブロア70で吸引され、洗浄装置72にて排ガス中のダスト分を除去した後、排気塔73から排気される。また、熱風吸引ブロア70で吸引した熱風排ガスを加熱源とする空気予熱器71を設置して空気を加熱し、この加熱空気を洗浄装置71で洗浄した排ガスと混合させて、排気塔73から排気されるガスの白煙化を防止している。なお、熱風吸引ブロア70を出た熱風排ガス中にダスト分が殆ど含まれない場合には、洗浄装置72や白煙防止用装置等を設置せずそのまま排気してもよい。
前記乾燥機20には、乾燥排ガスを導出するライン21が連結され、集塵装置22を経て燃焼炉60に通じており、乾燥排ガスは燃焼用空気として利用される。このように、燃焼炉60には、熱分解炭化炉42で生成した熱分解ガス50に加えて、乾燥機20からの乾燥排ガスがライン21により、集塵装置22を経由して乾燥排ガスが燃焼用空気として導入される。そして、前述のように約850℃の温度で燃焼を行う。この燃焼により発生した燃焼排ガスは、ライン61を介して熱分解炭化炉40の外部ジャケット部に導入され、熱分解炭化処理の熱源として使用される。これにより、熱分解炭化処理に必要なエネルギーを十分に得ることができるので、化石燃料の使用量を大幅に削減することができる。ただし、初期起動時の運転においては、助燃料として若干量の化石燃料(灯油、LPGガス等)が燃焼炉60に供給される。
なお、図1では、熱分解炭化炉40として外熱式ロータリーキルン型のものを例示したが、本発明はこれに限定されず、内燃式でも、流動床型またはスクリュー式でも良い。
また、熱分解炭化炉60の外部ジャケット部から排出された燃焼排ガスは、ライン62により排熱回収ボイラー80に導入しているが、排熱回収ボイラー80の負荷が低い場合は、燃焼排ガスの残部を排気塔73から系外に排出させたり、他の加熱源がある場合には、それらに排ガスを供給することも可能である。
以上の構成による実際の熱分解炭化物生成運転状態について説明する。
まず、脱水機10に下水汚泥1を導入し、下水汚泥1の水分が約80%ぐらいになるまで脱水する。なお、本発明で対象となる汚泥は、炭化処理により固体燃料化できる有機性の汚泥であれば何でもよく、前述したように生活排水に基く下水汚泥だけでなく、例えば、食品汚泥、製紙汚泥、ビルピット汚泥、活性汚泥、及び後述する消化汚泥、などにも適用できる。脱水した汚泥は、ライン11を介して乾燥機20に供給される。
乾燥機20では、汚泥をその水分が約50%位になるまで乾燥させる。乾燥させた汚泥は、ライン21を介して脱水汚泥貯留ホッパー30から定量的に投入機32に落され、投入機32を経て熱分解炭化炉40に導入される。一方、廃プラスチック材料5はほぼ乾燥した状態で供給され、熱分解炭化炉40内の測定温度等が常時一定になるように、廃プラスチック材料貯留ホッパー31から投入機32への投入量を設定する。
熱分解炭化炉40では、汚泥及び廃プラスチックを低酸素状態で約300〜600℃に加熱して熱分解炭化処理を行い、熱分解ガス50と固体燃料である炭化物100とを生成する。生成する炭化物の利用用途等により要求される炭化物の性状も変わるため、その状況に合わせて加熱温度を調整する。熱分解ガスは、ライン51を介して燃焼炉60に導入する。炭化物100は、炭化物貯留ホッパー43に貯留される。
ここで、廃プラスチック5の含水率は0%、汚泥に比べて発熱量が3倍近く高いので、汚泥とともに廃プラスチックを混合した状態で熱分解処理することにより、熱分解炭化炉40での熱分解炭化処理に必要なエネルギーを低下させることができる。下水汚泥の乾燥重量に対して、20%以下の割合で熱分解炭化炉40に必要な熱量が確保できる。また、廃プラスチック5は汚泥に比べて熱分解ガスの発生量が多いので、廃プラスチック5の添加割合を調整することで熱分解ガス発生量を調整し、適正な熱分解ガス量を燃焼炉60に供給し燃焼させることができる。そして、その燃焼排ガスを熱分解炭化炉40の熱源として使用することで、熱分解炭化炉40での熱分解炭化処理する必要なエネルギーを十分に得ることができる。
以下、汚泥に廃プラスチックを混合して熱分解炭化処理を行った場合の省エネルギー効果についてみる。
汚泥の性状にもよるが、先ず、汚泥の性状が、灰分が少なく比較的揮発分が多い場合についてみる。なお、揮発分とは汚泥に含まれる有機成分(C,H,O,N,S等)のうち、熱分解によりガス状になる成分である。また、灰分とは熱分解によっても炭化されずに単なる灰となる成分で主に無機成分のことである。
上述の灰分が少なく比較的揮発分が多い汚泥の場合、含水率約80%の脱水汚泥1000kg/hを含水率50%に乾燥させ、熱分解処理により炭化させる場合、廃プラスチックを混合させない場合は、20kg/hのA重油が燃料として必要であった。汚泥から生成される熱分解ガスが少ないため、加熱及び乾燥用の熱源として20kg/hのA重油を燃焼炉60で燃焼させ、その結果64kg/hの炭が生成された。
これに対し、含水率約80%の脱水汚泥1000kg/hを含水率50%に乾燥させ、熱分解処理により炭化させる際、24kg/hの廃プラスチックを混合させることにより、A重油を燃焼させることなく、65kg/hの炭が生成された。すなわち、汚泥と混合された廃プラスチックが熱分解処理により多量の熱分解ガスを生成するために、この熱分解ガスを燃焼炉60で燃焼させることによって、A重油を燃焼させることなく汚泥の熱分解炭化処理が行える。この結果、省エネ量は、A重油:20kg/h(原油換算:24L/h)減、CO削減量は、A重油:64kg-CO/h減となる。
また、揮発分が比較的少ない汚泥の場合、含水率約80%の脱水汚泥1000kg/hを含水率50%に乾燥させ、熱分解処理により炭化させる場合、廃プラスチックを混合させない場合は、38kg/hのA重油が燃料として必要であり、100kg/hの炭が生成された。
これに対し、廃プラスチックを混合させる場合は、含水率約80%の脱水汚泥1000kg/hを含水率50%に乾燥させ、熱分解処理により炭化させる際、45kg/hの廃プラスチックを混合させる。このことにより、A重油を燃焼させることなく、102kg/hの炭が生成された。この場合、省エネ量は、A重油:38kg/h(原油換算:45L/h)減、CO削減量は、A重油:121kg-CO/h減となる。
また、炭化物100は、前述してきたように、カーボンニュートラルなバイオマス資源である下水汚泥1を炭化処理したものであって、固体燃料として使用することができる。したがって、この炭化物100を石炭火力発電所(図示省略)での発電燃料として使用することで、化石燃料の使用量を本質的に低減することができ、CO排出量の削減を一層図ることができる。
これらのことから、廃プラスチックを混合させることにより、従来の汚泥のみを熱分秋炭化処理する場合に比べ大幅な省エネ量及びCO削減量削減量が得られる。また、従来の汚泥に木質成分を混合する場合に比べても、木質成分は、汚泥とほぼ同量を混合する必要があることから装置が大形化していた。これに対し、廃プラスチックを混合させることにより、汚泥量の僅かに数%を混合させるだけでよいため、装置が大幅に小型化でき、安定した発熱量により効率的な熱分解炭化処理を行うことができる。
次に、図2で示す実施の形態を説明する。なお、図1と同様な構成には同一符号を付し説明は省略する。
図2の実施の形態は、下水汚泥2を嫌気性消化処理するメタン発酵槽90を設けた点が、図1の実施の形態と異なる。すなわち、下水汚泥1を脱水する脱水機10と、脱水した下水汚泥に廃熱回収ボイラ80で発生したスチームを接触させて乾燥する乾燥機20と、乾燥させた脱水汚泥21と廃プラスチック材料5の両方を投入できる投入機32と、乾燥させた下水汚泥を炭化処理する外熱式ロータリーキルン型の熱分解炭化炉40と、熱分解炭化炉40で生成した熱分解ガスを燃料させる燃焼炉60とを有する構成は図1と変わりないが、下水汚泥2を嫌気性消化するメタン発酵槽90と、発生したメタンガスを燃焼炉60に送るライン95が設けられたことが図1とは異なる。
メタン発酵槽90は、メタン菌などの微生物を用いて嫌気的条件下で有機性物質を分解して、メタンを含む消化ガスを生成できるもので、特にその構成には拘らす、どのような構成でもよい。
メタン発酵槽90と燃焼炉60とは、上述のようにライン95で接続されており、メタンガスを燃料として燃焼炉60に供給する。また、メタン発酵槽90の下部沈殿部は、ライン96で固液分離機93と接続する。この。このライン96は、図示しないポンプによりメタン発酵槽90内で消化した消化汚泥を圧送できる配管などが好ましい。また、固液分離機93は、消化汚泥中の水分を分離除去することができる。分離された水分は、図示しない好気性処理槽などで処理された後、河川などに放流される。さらに、分離された固体成分は、消化汚泥として排出され、他の目的に利用したり、或いは図3で示すように、ライン97により脱水機10に送り、他の下水汚泥1と共に、熱分解炭化炉40で炭化処理されるように構成してもよい。
ここで、メタン発酵槽90に導入されて嫌気性消化処理される下水汚泥2も、脱水機10に導入される下水汚泥1と同様に、有機性汚泥であればよく、生活排水に基づく下水汚泥に限定されるものではない。メタン発酵槽90では嫌気性消化によって、下水汚泥2中のC(炭素)成分、H(水素)成分からメタンが生成され、メタンを含む消化ガスが発生する。なお、メタン発酵槽90内の温度やpH等は、メタン菌が生息できる環境に設定する。メタン発酵槽90内で生成した消化ガスは、ライン95を介して燃焼炉60に導入され燃焼する。また、メタン発酵槽90内で発生した消化汚泥は、固液分離機93で水分が分離除去され。
燃焼炉60には、上述した熱分解炭化炉42で生成された熱分解ガス50と、乾燥機20から排気され集塵装置22を経由した乾燥排ガスも導入されているが、この実施の形態では、メタン発酵槽90で生成された消化ガス(メタンガス)がライン95により導入されている。そして、この燃焼炉60において約850℃の温度で燃焼される。この燃焼により発生した燃焼排ガスは、図1の実施形態と同様にライン61を介して熱分解炭化炉40を加熱し、熱分解炭化処理の熱源としなる。これにより、熱分解炭化処理に必要なエネルギーを十分に得ることができるので、化石燃料の使用量を大幅に削減することができる。
なお、熱分解炭化炉60加熱後の燃焼排ガスが排熱回収ボイラー80に導入され、所定の処理後に排気塔73から系外に排出されることも図1の実施の形態と同じである。さらに、固体燃料である炭化物100を石炭火力発電所での発電燃料として使用することで、化石燃料の使用量を本質的に低減できることも図1の実施の形態と同じである。
図3で示す実施の形態では、前述のように、メタン発酵槽90でのメタン発酵工程で生成する消化汚泥を、熱分解炭化工程で熱分解炭化処理する構成としたものである。すなわち、メタン発酵槽90内で生成した消化ガスは、ライン95で燃焼炉60に導入されるが、メタン発酵槽90内で発生した消化汚泥3は、固液分離機93で水分が分離除去された後、ライン96により脱水機10に導入され、下水汚泥1と同様に炭化処理によって燃料化される。
このように、メタン発酵槽90内で発生した消化汚泥3も下水汚泥1と同様に熱分解炭化処理によって燃料化することができる。そして、この炭化処理により得られた固体燃料である炭化物100は、前述したように、カーボンニュートラルなバイオマス資源である下水汚泥1及び消化汚泥3を炭化処理したものである。また、この炭化処理も、従来の化石燃料に代えてバイオマス資源由来の燃料(汚泥及び廃プラスチックの熱分解ガス)が使用されている。よって、この炭化物100を石炭火力発電所での発電燃料として使用することで、化石燃料の使用量を本質的に低減することができ、CO排出量の削減を図ることができる。
ここで、熱分解炭化工程において汚泥に混ぜて熱分解炭化炉40に投入される廃プラスチック5は、前述のように破砕又は造粒処理された材料とすることが望ましい。廃プラスチック5を破砕又は造粒処理する方法としては、まず、各種形状の廃プラスチックを破砕機にかけ、ある一定範囲の形状に破砕する。このように破砕しただけでも、廃プラスチック5は、ある範囲の形状に収まるので、このまま汚泥と混合して熱分解炭化炉40内に投入してもよい。しかし、さらに造粒処理を施したほうがより好ましい。すなわち、破砕された廃プラスチックを造流装置に投入して造粒処理加工することが一般的である。なお、廃プラスチックを原形のまままとめて装置に投入し、破砕・造粒を一気に実施する方式もある。
このように廃プラスチック5を造粒することにより嵩比重が上がり、投入機32に安定して投入できるようになり、汚泥に混ぜて投入することも容易になる。尚、破砕・造粒サイズは投入機の設計上、最適なサイズを選定する。
このように廃プラスチックを破砕又は造粒処理することにより、廃プラスチックを追加投入しても投入材料がブリッジするようなトラブルがなくなり、安定的に投入することができ、安定した熱分解炭化炉40の運転を行うことができる。すなわち、熱分解炭化炉40では、下水汚泥と廃プラスチックを混合した状態で熱分解炭化処理して、熱分解ガス50と固体燃料である炭化物100とを生成するが、廃プラスチック5を造粒することで、廃プラスチック5を熱分解炭化炉40に定量的に供給できるようになり、廃プラスチック5の添加割合の調整も容易になる。
次に、図4で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、熱分解炭化炉40の炉体(内筒)内温度を検出する温度検出器102を設け、この温度検出器102により検出された炉内温度に従って、投入機32による廃プラスチック5の投入量を制御するように構成している。すなわち、熱分解炭化炉40の投入機32に投入する廃プラスチック5の投入量を、熱分解炭化炉40内部の検出温度により制御するものである。熱分解炭化炉40内部へは、温度検出装置102として、外部の空気が混入しないシール性を確保した状態で検出温度を測定する熱電対等が差し込んでおく。この熱電対等の取り付けに際しては、熱電対等に付着物が付着堆積し、温度測定誤差が生じないように工夫する。
なお、制御するための検出温度については熱分解炭化炉内部の温度以外でも、熱分解炭化炉内部の別な箇所の熱分解ガス温度、メタル温度等で代用するようにしてもよい。
このように、廃プラスチック投入量を熱分解炭化炉40内部の検出温度により制御することにより、熱分解炭化炉40内部の状態に合わせた常時安定した内部温度をキープして安定した熱分解運転を行うことができる。
次に、本発明で用いるロータリーキルン方式の熱分解炭化炉40構造を図5、図6、図7により説明する。なお、図5、本発明に係るロータリーキルン方式熱分解炭化炉は断斜視図、図6はその縦断面図、図7は熱分解残渣(炭化物)排出部材の正面図で、スリットと掻き落とし部材との関係図である。
これらの図において、熱分解炭化炉40は、良熱伝導材料により円筒状に形成され、その軸心を中心に回転駆動される内筒(炉体)40A、及びこの内筒の外周を、加熱空間を介して覆い、この加熱空間内に加熱ガスが供給される外筒(加熱炉部分)40Bを有する。材料投入機32は、内筒40Aの図示左端側に連結されこの内筒40A内に処理材料である汚泥と廃プラスチックを、外気と遮断した状態で投入する。
内筒40A内には多数のセラミックボール104が設けられている。このセラミックボール104は、投入された汚泥および廃プラスチックと混合接触し、外筒40bから内筒40Aの内周面に伝わった熱を汚泥及び廃プラスチックに伝達して、それらの熱分解を促進すると共に、コーキングの発生を防止する。また、内筒40A内には環状の仕切り部材105が複数設けられており、軸方向に沿って複数の区画を形成している。これら仕切り部材105は、セラミックボール104が軸方向に流出しないように機能する。
さらに、この内筒40Aの図示右端面は、図6で示すように、生成物排出部材106により覆われている。この生成物排出部材106には、図7で示すように、セラミックボール104の外径より小さい幅寸法のスリット107が複数形成され、これらスリット107を通して内筒40A内で生成された熱分解ガス及び熱分解残渣(炭化物)を排出させる。
なお、図7中、110はガイド板、111は鎖状の目詰まり防止用掻き落し機構である。
と、この生成物排出部材を含む前記内筒の他端部を包囲して外気と遮断する排出部躯体と、この排出部躯体に設けられ、前記熱分解ガスを外部に排出させる熱分解ガス排出部を兼ねる熱分解残渣(炭化物)を外部に排出させる残渣排出装置を備えている。
熱分解炭化炉40には、材料が投入機32側から投入される。投入機32を経て熱分解炭化炉40の内筒40A内に投入された処理材料は、外側の加熱ジャケット40Bを流れる熱風により加熱され、熱分解処理される。熱分解炭化炉40は、回転する内筒40A内にセラミックボール104を保持する特殊なロータリーキルン方式構造となっている。投入された材料は、内筒40Aが回転されつつ低酸素状態で外部から加熱されるため、材料が徐々に熱分解される。熱分解された材料は排出側に徐々に流れ、残渣(炭化物)は内筒40A内のセラミックボール104の粉砕効果で細かい粉末状となり、放射線状に多数設置した細長い出口スリット107から安定排出される。一方、熱分解ガスも、この細長い出口スリット107から排出される。この出口スリット107には掻き落とし機構111が設置されており、運転中常時スリット107の付着物は掻き落とされるようになっている。
このような構成のプラントの場合では、外側の加熱ジャケット40Bの熱風温度を600℃に制御することにより、内筒内の温度を420〜450℃とする運転を行うことができ、残渣(炭化物)は内筒内のセラミックボールの粉砕効果で細かい粉末状となり安定排出される。
残渣(炭化物)が細かい粉末状となり安定排出されることで、下流の冷却搬送コンベア、貯留ホッパー等の付着・閉塞等の問題もなく安定運転が行えている。更に、残渣(炭化物)が粉末状であることから、バルブ等に付着することもなく安定した開閉操作を行うことができ、外部から空気が混入することなく火災・爆発の心配にない安全な装置とすることができる。
本発明による熱分解システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。 本発明の、メタン発酵槽で発生したメタンガスをも燃料とした実施の形態を示すシステム構成図である。 本発明の、メタン発酵槽で発生した消化汚泥をも熱分解炭化処理する実施の形態を示すシステム構成図である。 本発明の、熱分解炭化炉内温度により投入プラスチック量を制御する実施の形態を示すシステム構成図である。 本発明に用いる熱分解炭化炉の構造例を示す破断斜視図である。 同熱分解炭化炉の構造例を示す縦断面図である。 同熱分解炭化炉の構造例を示す右側面図である。
符号の説明
1、2 下水汚泥
3 消化汚泥
5 廃プラスチック
10 脱水機
20 乾燥機
32 投入機
40 熱分解炭化炉
60 燃焼炉
80 廃熱回収ボイラ
90 メタン発酵槽
102 温度検出器

Claims (11)

  1. 被処理汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成する熱分解処理方法であって、
    前記被処理汚泥に廃プラスチックを加えて前記熱分解炭化処理を行う
    ことを特徴とする熱分解処理方法。
  2. 被処理汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成する熱分解処理方法であって、
    前記被処理汚泥に廃プラスチックを加えて前記熱分解炭化処理を行い、
    この熱分解炭化処理で生成された熱分解ガスを燃焼させて、その高温燃焼ガスを前記熱分解炭化処理の熱源として用いる
    ことを特徴とする熱分解処理方法。
  3. 被処理汚泥は、メタン発酵工程で生成される消化汚泥を含み、このメタン発酵工程で生成された消化ガスを燃焼させて、その高温燃焼ガスを前記熱分解炭化処理の熱源として用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱分解処理方法。
  4. 廃プラスチックは破砕又は造粒処理されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱分解処理方法。
  5. 被処理汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成する熱分解処理システムであって、
    前記熱分解炭化処理を行う熱分解炭化炉と、
    この熱分解炭化炉に対して、前記被処理汚泥を廃プラスチックと共に投入する投入機と
    を備えたことを特徴とする熱分解処理システム。
  6. 被処理汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成する熱分解処理システムであって、
    前記熱分解炭化処理を行う熱分解炭化炉と、
    この熱分解炭化炉に対して、前記有機系廃棄物を廃プラスチックと共に投入する投入機と、
    前記熱分解炭化炉において被処理汚泥と廃プラスチックとを熱分解炭化処理することにより生成された熱分解ガスを燃焼させ、その高温燃焼ガスを前記熱分解炭化炉に対する熱源として供給する燃焼炉と
    を備えたことを特徴とする熱分解処理システム。
  7. 被処理汚泥は、下水汚泥を脱水して乾燥機により乾燥させた乾燥汚泥を含み、前記乾燥機は、熱分解炭化炉を加熱後の排ガスを熱源として発生させた水蒸気を乾燥用の熱源として用いたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の熱分解処理システム。
  8. 被処理汚泥は、メタン発酵槽におけるメタン発酵工程で生成される消化汚泥を含み、燃焼炉は、前記メタン発酵槽から供給される、前記メタン発酵工程で生成された消化ガスを燃焼させることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の熱分解処理システム。
  9. 熱分解炭化炉は、内筒内部に多数のセラミックボールを保持するロータリーキルン方式であることを特徴とする請求項5乃至請求項8記載の熱分解処理システム。
  10. 熱分解炭化炉の投入機は、乾燥炉で乾燥させた汚泥と、破砕又は造粒処理された廃プラスチックの両方が投入できる構造であることを特徴とする請求項5乃至請求項9のいずれかに記載の熱分解処理システム。
  11. 熱分解炭化炉は、その炉内温度を検出する温度検出器を有し、投入機は、前記温度検出器により検出された炉内温度に従って廃プラスチック投入量を制御することを特徴とする請求項5乃至請求項10のいずれかに記載の熱分解処理システム。
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