JP2008248107A - 硬化促進性化合物−ゲル複合体、硬化促進性化合物−ゲル複合体の製造方法、硬化促進剤、硬化性樹脂組成物及び電子部品装置 - Google Patents

硬化促進性化合物−ゲル複合体、硬化促進性化合物−ゲル複合体の製造方法、硬化促進剤、硬化性樹脂組成物及び電子部品装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた保存安定性を発現させることが可能な硬化促進性化合物−ゲル複合体、それを含む硬化性樹脂組成物、及びこの硬化性樹脂組成物により封止された素子を備えた電子部品装置を提供する。
【解決手段】(a)硬化促進性化合物と、(b)フェノール性水酸基を有する化合物と、(c)下記一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物とを反応させて得られる硬化促進性化合物−ゲル複合体。
Figure 2008248107

(式(I−1)中、nは0又は1であり、Rは、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、1以上のRと結合して環状構造を形成してもよく、Rは、フェノール性水酸基と反応可能な官能基を示し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基、炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基、及び炭素数2〜18の置換又は非置換のカルボニルオキシ基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化促進性化合物−ゲル複合体、該硬化促進性化合物−ゲル複合体を含有する硬化促進剤、該硬化促進剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、封止材、積層板用等の各種電子電気部品用途、成形材料、塗料材料又は接着剤用材料として好適な硬化性樹脂組成物、及び該硬化性樹脂組成物を用いて封止された素子を備えた電子部品装置に関する。
従来から、成形材料、積層板用及び接着剤用材料等の分野において、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂が広範囲で使用されている。これらの硬化性樹脂には、生産性向上の観点から速硬化性が要求されるため、硬化性樹脂組成物には硬化反応を促進する化合物、すなわち硬化促進剤が一般に用いられている。また、トランジスタ、IC等の電子部品の素子に関する封止技術の分野では、硬化性樹脂の中でも、特にエポキシ樹脂をベースとした組成物が広く用いられている。その理由としては、エポキシ樹脂が成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性においてバランスがとれているためである。特に、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールノボラック硬化剤との組み合わせは、上記諸特性において優れたバランスを有するため、IC封止用成形材料のベース樹脂として主流になっている。そして、そのようなエポキシ樹脂組成物においても、一般に、3級アミン、4級アンモニウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、イミダゾール等の窒素含有化合物、及びホスフィン類、ホスホニウム塩等のリン化合物といった硬化促進剤が使用されている。
しかしながら、これらの硬化促進剤を用いた場合、硬化性樹脂組成物の保存安定性が低く、樹脂組成物の保管、輸送等を低温で行う必要があり、コスト増加の原因となっている。このような問題から保存安定性の良好となる硬化促進剤の開発が望まれている。
保存安定性を向上させるため、テトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート(特開昭49−118798号公報、特開平9−328535号公報、特開平11−5829号公報を参照。)等の化学的方法やマイクロカプセル(特開平8−337633号公報、特開平9−77959号公報を参照。)等の物理的方法による潜在化が提案されているが、いずれも保存安定性と速硬化性の両立を満足するものではなかった。特に、マイクロカプセルは、樹脂組成物の製造時にカプセルが壊れた場合、全く潜在性を示さず、製造時に壊れない程、強固にした場合は、硬化反応時に徐々に壊れるため速硬化性に問題があった。このような状況から、実用上重要な速硬化性を優先させた硬化促進剤を用い、樹脂組成物の保管、輸送等を低温で行っているのが現状である。
一方、近年、電子部品の素子の封止技術では、電子部品のプリント配線板への高密度実装化が進んでおり、これに伴い従来のピン挿入型パッケージよりも表面実装型パッケージが主流となりつつある。しかしながら、ピン挿入型パッケージと比較して表面実装型パッケージでは、はんだ付け時のパッケージクラックに対する耐性、いわゆる耐リフロークラック性が低下する傾向にある。すなわち、IC、LSI等の表面実装型パッケージでは、実装密度を高くするために素子のパッケージに対する占有体積がしだいに大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなっている。さらに、表面実装型パッケージは、そのはんだ付け工程において、ピン挿入型パッケージよりも、より過酷な条件下にさらされることになる。
より具体的には、ピン挿入型パッケージでは、ピンを配線板に挿入した後に配線板裏面からはんだ付けを行うため、パッケージが高温に直接さらされることがないのに対し、表面実装型パッケージでは配線板表面に仮止めを行った後に、はんだバスやリフロー装置等で処理を行うため、パッケージは高温のはんだ付け温度に直接さらされることになる。その結果、パッケージが吸湿した場合、はんだ付け時に吸湿水分が急激に膨張してパッケージクラックに至ることがあり、パッケージ成形における大きな問題になっている。
このような状況下、表面実装型パッケージにおける耐リフロークラック性を改良するために、無機充填剤の含有量を高めたエポキシ樹脂組成物が報告されている。しかし、無機充填剤の含有量の増加に伴って、樹脂組成物の流動性が低下し、成形時に充填不良、ボイド発生等の成形上の障害、またはICチップのボンディングワイヤの断線による導通不良の発生といった、パッケージの性能低下を招くことが多い。そのため無機充填剤の含有量の増加には限界があり、その結果として耐リフロークラック性の著しい改善を達成することは困難であった。特に、そのようなエポキシ樹脂組成物に速硬化性の観点からトリフェニルホスフィン等のリン系硬化促進剤や1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等の窒素含有硬化促進剤を添加した場合には、樹脂組成物の流動性が著しく低下する傾向がある。そのため、パッケージの耐リフロークラック性の改善に加えて、樹脂組成物の流動性の改善が望まれているのが現状である。
無機充填剤を高比率で含有するエポキシ樹脂組成物の流動性を改善するために、例えば、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物を硬化促進剤として用いる方法が提案されている(特開平9−157497号公報を参照。)。別法として、ホスホニオフェノラートを硬化促進剤として用いる方法が提案されている(特開2004−156035号公報、特開2004−156036号公報、特開2004−176039号公報を参照。)。
特開昭49−118798号公報 特開平9−328535号公報 特開平11−5829号公報 特開平8−337633号公報 特開平9−77959号公報 特開平9−157497号公報 特開2004−156035号公報 特開2004−156036号公報 特開2004−176039号公報
しかしながら、これらの硬化促進剤を用いた場合も硬化性樹脂組成物の保存安定性を解決することができず、保存安定性の良好となる硬化促進剤の開発が望まれている。したがって、本発明は、優れた保存安定性を発現させることが可能な硬化促進性化合物−ゲル複合体、硬化促進剤、それを含む硬化性樹脂組成物、及びこの硬化性樹脂組成物により封止された素子を備えた電子部品装置を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、硬化促進性化合物−ゲル複合体を硬化促進剤として使用することによって、保存安定性に優れる硬化性樹脂組成物が得られ、所期の目的を達成可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の(1)〜(15)に関する。
(1)(a)硬化促進性化合物と、(b)フェノール性水酸基を有する化合物と、(c)下記一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物とを反応させて得られる硬化促進性化合物−ゲル複合体。
Figure 2008248107
(式(I−1)中、nは0又は1であり、Rは、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、1以上のRと結合して環状構造を形成してもよく、Rは、フェノール性水酸基と反応可能な官能基を示し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基、炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基、及び炭素数2〜18の置換又は非置換のカルボニルオキシ基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
(2)上記(b)フェノール性水酸基を有する化合物が分子内にフェノール性水酸基を2以上有する化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含むことを特徴とする上記(1)に記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体。
(3)上記(a)硬化促進性化合物がホスフィン化合物、ホスホニウム塩化合物、環状アミジン化合物、環状アミジニウム塩化合物、アミン化合物、アンモニウム塩化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含むことを特徴とする上記(1)又は上記(2)に記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体。
(4)(a)硬化促進性化合物と、(b)フェノール性水酸基を有する化合物と、(c)化合物と、水とを反応させて得られる、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体。
(5)上記(a)硬化促進性化合物が下記一般式(I−2)で示される化合物及びその分子間塩から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体。
Figure 2008248107
(式(I−2)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、Rは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、及び炭素数1〜18の置換又は非置換の有機基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、Yは、1以上の放出可能なプロトンを有する炭素数0〜18の有機基から1つのプロトンが脱離した有機基であり、1以上のRと互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
(6)一般式(I−2)におけるYが、水酸基又はフェノール性水酸基を有する1価の有機基からプロトンが脱離した基である上記(5)に記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体を1種類以上含有する硬化促進剤。
(8)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体を製造する方法であって、一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物と硬化促進性化合物を反応させる硬化促進性化合物−ゲル複合体の製造方法。
(9)(A)上記(7)に記載の硬化促進剤と、(B)硬化性樹脂とを含有する硬化性樹脂組成物。
(10)(B)硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含有する上記(9)に記載の硬化性樹脂組成物。
(11)さらに(C)硬化剤を含有する上記(9)又は上記(10)に記載の硬化性樹脂組成物。
(12)さらに(D)無機充填剤を含有する上記(9)〜(11)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(13)(B)硬化性樹脂に含まれるエポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、アラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、からなる群より選ばれる1以上のエポキシ樹脂を含有する上記(10)〜(12)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(14)(C)硬化剤が、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、からなる群より選ばれる1以上の樹脂を含有する上記(11)〜(13)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(15)上記(9)〜(14)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を用いて封止された素子を備える電子部品装置。
本発明により、優れた保存安定性を発現させることが可能な硬化促進性化合物−ゲル複合体、硬化促進剤、それを含む硬化性樹脂組成物、及びこの硬化性樹脂組成物により封止された素子を備えた電子部品装置を提供することが可能になった。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔硬化促進剤〕
本発明による硬化促進剤は、硬化性樹脂の硬化を促進するのに有効に使用することが可能であり、(a)硬化促進性化合物、(b)フェノール性水酸基を有する化合物、(c)下記一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を反応させて得られる硬化促進性化合物−ゲル複合体を含むことを特徴とする。
Figure 2008248107
式(I−1)中、nは0又は1であり、Rは、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、1以上のRと結合して環状構造を形成してもよく、Rは、フェノール性水酸基と反応可能な官能基を示し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基、炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基、及び炭素数2〜18の置換又は非置換のカルボニルオキシ基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。
上記一般式(I−1)における「n」は、0又は1であれば特に制限されるものではないが、硬化性樹脂組成物の保存安定性の観点からはn=0であることが好ましい。
ここで、上記一般式(I−1)のRとして記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基」は、炭素数1〜18を有し、置換されても又は非置換であってもよい脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含むことを意味する。
より具体的には、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、ビニル基等の脂肪族炭化水素基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシ基等のエポキシ基を含有する基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等で置換したものが挙げられる。
また、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基には、置換又は非置換の脂環式炭化水素基も含まれる。置換又は非置換の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、及びシクロヘキセニル基等、並びにそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシ基等のエポキシ基を含有する基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等で置換したものが挙げられる。
上記置換又は非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基等のアリール基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基等が挙げられ、それらはさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシ基等のエポキシ基を含有する基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等で置換したものであってもよい。
なお、上記一般式(I−1)のRとしては、特に限定されるものではないが、置換されていてもよいアルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1価の置換基であることが好ましい。中でも、原料の入手しやすさの観点から、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基等の非置換或いはアルキル基及び/又はアルコキシ基及び/又は水酸基置換のアリール基ならびに、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、エポキシシクロヘキシルエチル基、グリシドキシプロピル基、クロロプロピル基、メタクリルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基、N−フェニルアミノプロピル基、N−アミノプロピルアミノプロピル基、ウレイドプロピル基、イソシアネートプロピル基等の置換又は非置換の鎖状又は環状のアルキル基から選ばれる置換基がより好ましい。
一般式(I−1)のRとして記載した「ハロゲン原子」には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれる。
また、一般式(I−1)のRとして記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基」には、例えば「炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素オキシ基」、及び「炭素数1〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素オキシ基」等が含まれる。より具体的な例示は以下の通りである。
上記「炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素オキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、アリルオキシ基、ビニルオキシ基等のRとして先に説明した脂肪族炭化水素基に酸素原子が結合した構造のオキシ基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記「炭素数1〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素オキシ基」としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、フェノキシフェノキシ基等のRとして先に説明した芳香族炭化水素基に酸素原子が結合した構造のオキシ基等、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記一般式(I−1)のRとして記載した「炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基」には、例えば、非置換のアミノ基、炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素アミノ基、芳香族炭化水素アミノ基、ジ脂肪族炭化水素アミノ基、ジ芳香族炭化水素アミノ基、脂肪族炭化水素芳香族炭化水素アミノ基、及び炭素数0〜18の置換又は非置換のシリルアミノ基が含まれる。より具体的な例示は以下の通りである。
「炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素アミノ基」としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、アリルアミノ基、ビニルアミノ基、シクロペンテニルアミノ基、シクロヘキセニルアミノ基等のRとして先に説明した脂肪族炭化水素基により置換されたアミノ基、及びこれらの脂肪族炭化水素基部分にアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子等が置換したものが挙げられる。
「炭素数1〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素アミノ基」としては、例えば、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、トリルアミノ基、ジメチルフェニルアミノ基、エチルフェニルアミノ基、ブチルフェニルアミノ基、tert−ブチルフェニルアミノ基、メトキシフェニルアミノ基、エトキシフェニルアミノ基、ブトキシフェニルアミノ基、tert−ブトキシフェニルアミノ基等のRとして先に説明した芳香族炭化水素基により置換されたアミノ基、及びこれらの芳香族炭化水素基部分にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が置換したものが挙げられる。
「炭素数1〜18の置換又は非置換のジ脂肪族炭化水素アミノ基」としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘプチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルイソプロピルアミノ基、メチル−n−ブチルアミノ基、メチル−sec−ブチルアミノ基、メチル−tert−ブチルアミノ基、メチルシクロヘキシルアミノ基、ジアリルアミノ基、ジビニルアミノ基、ジシクロペンテニルアミノ基、ジシクロヘキセニルアミノ基、アリルメチルアミノ基等のRとして先に説明した2つの脂肪族炭化水素基により置換されたアミノ基、及びこれらにアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子等が置換したものが挙げられる。
「炭素数1〜18の置換又は非置換のジ芳香族炭化水素アミノ基」としては、例えば、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ジトリルアミノ基、ビス(ジメチルフェニル)アミノ基、ビス(エチルフェニル)アミノ基、ビス(ブチルフェニル)アミノ基、ビス(tert−ブチルフェニル)アミノ基、ビス(メトキシフェニル)アミノ基、ビス(エトキシフェニル)アミノ基、ビス(ブトキシフェニル)アミノ基、ビス(tert−ブトキシフェニル)アミノ基等のRとして先に説明した2つの芳香族炭化水素基により置換されたアミノ基、及びこれらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が置換したものが挙げられる。
「炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素芳香族炭化水素アミノ基」としては、例えば、メチルフェニルアミノ基、メチルナフチルアミノ基、ブチルフェニルアミノ基等の、Rとして先に説明した脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基により置換されたアミノ基が挙げられる。
「炭素数0〜18の置換又は非置換のシリルアミノ基」としては、例えば、非置換のシリルアミノ基、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、メチル(トリメチルシリル)アミノ基、メチル(トリフェニルシリル)アミノ基、フェニル(トリメチルシリル)アミノ基、フェニル(トリフェニルシリル)アミノ基等のシリル基及び/又はアミノ基にRとして先に説明した脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基により置換されたシリルアミノ基等、及びこれらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が置換したものが挙げられる。
また、一般式(I−1)のRとして記載した「炭素数2〜18の置換又は非置換のカルボニルオキシ基」には、例えば「炭素数2〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素カルボニルオキシ基」、及び「炭素数2〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素カルボニルオキシ基」等が含まれる。より具体的な例示は以下の通りである。
上記「炭素数2〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素カルボニルオキシ基」としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、シクロプロピルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、アリルカルボニルオキシ基、ビニルカルボニルオキシ基等のRとして先に説明した脂肪族炭化水素カルボニルオキシ基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記「炭素数2〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素カルボニルオキシ基」としては、例えば、フェニルカルボニルオキシ基、メチルフェニルカルボニルオキシ基、エチルフェニルカルボニルオキシ基、メトキシフェニルカルボニルオキシ基、ブトキシフェニルカルボニルオキシ基、フェノキシフェニルカルボニルオキシ基等のRとして先に説明した芳香族炭化水素カルボニルオキシ基等、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
また、一般式(I−1)のRとして記載した「2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよい」とは、2以上のRが互いに結合し、全体としてそれぞれ2価以上の有機基となる場合を意味する。例えば、Si原子と結合して環状構造を形成し得るエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等のアルキレン基、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル基等のアルケニル基、メチレンフェニレン基等のアラルキレン基のジオキシ基が挙げられ、それらはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン等で置換されていてもよい。
上記一般式(I−1)のRは、特に限定されるものではないが、入手が容易であることから、塩素原子、水酸基、炭素数1〜8を有する置換又は非置換の1価のオキシ基が好ましい。中でも、反応性の観点からは、塩素原子、水酸基又はオキシ基がより好ましく、本発明による硬化性樹脂をエポキシ樹脂硬化剤として使用して得られる硬化物の長期信頼性に及ぼす影響を考慮すると、Rの少なくとも1つが水酸基又は炭素数1〜8のオキシ基であることがさらに好ましい。
上記一般式(I−1)の具体的な化合物の例示としては、以下に限られるものではないが、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラキス(エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラプロポキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラアセトキシシラン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン等のn=0のシラン化合物、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリフルオロシラン、フェニルアセトキシシラン、フェニルビス(ジメチルアミノ)クロロシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルアセトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルアセトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のn=1のシラン化合物が挙げられる。これら具体例は、いずれも工業製品又は試薬として入手可能である。上記一般式(I−1)で示される化合物は、工業製品又は試薬として購入可能な化合物を用いても、公知の方法で合成した化合物を用いても構わない。これらシラン化合物の中でも、硬化物の長期安定性、電子部品の長期信頼性等の観点から、Rがオキシ基であるシラン化合物が好ましい。
上記一般式(I−1)で示されるシラン化合物の部分縮合物としては、上記一般式(I−1)で示される1種の化合物が自己縮合した化合物、又は2種以上の化合物が互いに反応し縮合して生成した化合物が含まれる。特に限定されるものではないが、縮合反応は、必要であれば水を用い、また必要に応じて、酸、アルカリ等の縮合反応を促進する公知の物質を加えて行うことができる。通常の縮合反応では、下記の反応式(A)のように、1分子の水を消費して、1つの縮合反応が起こり、2分子のRHが副生成物として生じる。
Figure 2008248107
(式(A)中、Rは一般式(I−1)と共通。)
縮合の度合いは、反応条件により調節することが可能であり、一般に、強アルカリ、強酸等の反応を促進する物質の濃度が濃い、反応温度が高い等の強い条件では、縮合度が大きくなる傾向があり、弱アルカリ、弱酸等の反応を促進する物質の濃度が薄い、反応温度が低い等の弱い条件では、縮合度が小さくなる傾向がある。縮合してできる化合物の分子数は、特に限定されるものではないが、平均で1.5分子以上であることが好ましく、2〜50分子であることがより好ましく、2〜20分子であることがさらに好ましい。本発明で使用可能なシラン化合物は、上述のようにそれらが部分的に縮合した化合物を含めばよく、その一部は縮合せずに上記一般式(I−1)で示される化合物のままであってよい。
本発明において使用される上記一般式(I−1)で示されるシラン化合物の部分縮合物は、上記一般式(I−1)で示されるシラン化合物を縮合させて用いても、市販品として入手可能なものを用いても、これらを組み合わせても構わない。市販品として入手可能な上記一般式(I−1)で示される化合物の部分縮合物の具体例としては、式(I−1)のRがメトキシ基であり、n=0、平均縮合分子数が3〜5のMシリケート51(多摩化学工業株式会社製商品名)、Rがメトキシ基であり、n=0、平均縮合分子数が8〜12のMシリケート56(多摩化学工業株式会社製商品名)、Rがエトキシ基であり、n=0、平均縮合分子数が約5のシリケート40(多摩化学工業株式会社製商品名)、Rがエトキシ基であり、n=0、平均縮合分子数が6〜8のシリケート45(多摩化学工業株式会社製商品名)、Rがメチル基、Rがメトキシ基であり、n=1、縮合分子数が2の1,3−ジメチルテトラメトキシジシロキサン(アズマックス株式会社販売試薬)、Rがn−オクチル基、Rがエトキシ基であり、n=1、縮合分子数が2の1,3−ジ−n−オクチルテトラエトキシジシロキサン(アズマックス株式会社販売試薬)等が挙げられる。
上記一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物としては、硬化促進性化合物−ゲル複合体の生成しやすさからは、上記一般式(I−1)で示される化合物の部分縮合物であることが好ましい。
(フェノール化合物)
本発明において使用可能なフェノール性水酸基を有する化合物としては、分子内に1以上のフェノール性水酸基を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クミルフェノール、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類、α−ナフトール、β−ナフトール、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン等のナフトール類等の1分子中に1個のフェノール性水酸基を有する化合物(すなわち、1価フェノール化合物);
レゾルシン、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の1分子内に2つのフェノール性水酸基を有する化合物(すなわち、2価フェノール化合物);
フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;
パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;
メラミン変性フェノール樹脂;
テルペン変性フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;
多環芳香環変性フェノール樹脂;
ビフェニル型フェノール樹脂;
トリフェニルメタン型フェノール樹脂;および
上記樹脂の2種以上を共重合して得たフェノール樹脂
等の分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物が挙げられる。上記フェノール化合物の1種を単独で使用しても、それら化合物の2種以上を組み合わせて使用してもよい。
中でも、硬化促進性化合物−ゲル複合体の生成しやすさからは、分子内に2以上のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、その中でもレゾルシン、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂がより好ましい。これらレゾルシン、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、フェノール化合物全量に対して、これらを合計で30重量%以上使用することが好ましく、50重量%以上使用することがより好ましい。尚、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂の詳細については後述する。
本発明の(a)硬化促進性化合物、(b)フェノール性水酸基を有する化合物、(c)一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を反応させて得られる硬化促進性化合物−ゲル複合体の製造時には必要に応じて水を添加しても良い。水を添加することにより、一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物が加水分解、脱水縮合してネットワークを形成するため、より強固なゲルを形成する。保存安定性の観点からは水を添加することが好ましく、速硬化性の観点からは水を添加しないことが好ましい。水を添加する場合、保存安定性及び速硬化性の両立の観点から、アルコキシシリル基に対して0.05〜0.5mol%の水を添加することが好ましく、0.1〜0.4mol%添加することがより好ましく、0.2〜0.3mol%添加することがさらに好ましい。
上記、本発明の硬化促進性化合物−ゲル複合体に用いる硬化促進性化合物としては、限定されるものではないが、例えば、次のものが挙げられる。
<環状アミジン化合物>
1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン、
2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物、その誘導体、
<環状アミジニウム塩化合物>
上記環状アミジン化合物のフェノールノボラック塩等の塩及び
これらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、
DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2−エチル−4−メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N−メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム塩化合物、
<アミン化合物>
ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類及びこれらの誘導体、
<アンモニウム塩化合物>
酢酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、リン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ−n−ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物、
<ホスフィン化合物>
トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、これらホスフィン類と有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物、
<ホスホニウム塩化合物>
上記ホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、
上記ホスフィン化合物と4−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、2−ブロモフェノール、4−クロロフェノール、3−クロロフェノール、2−クロロフェノール、4−ヨウ化フェノール、3−ヨウ化フェノール、2−ヨウ化フェノール、4−ブロモ−2−メチルフェノール、4−ブロモ−3−メチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール、4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−クロロ−1−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、6−ブロモ−2−ナフトール、4−ブロモ−4´−ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物、
テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、テトラフェニルホスホニウムとフェノール化合物との塩等のホスホニウム塩化合物、
等が挙げられる。
中でも、信頼性の観点から、3級ホスフィン及び/又はホスホニウム塩化合物を用いることが好ましく、下記一般式(I−2)で示されるホスホニウム化合物又はその分子間塩を用いることがより好ましい。
Figure 2008248107
(式(I−2)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、Rは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、及び炭素数1〜18の置換又は非置換の有機基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、Yは、1以上の放出可能なプロトンを有する炭素数0〜18の有機基から1つのプロトンが脱離した有機基であり、1以上のRと互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
なお、上記一般式(I−2)のRとして記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基」は、炭素数1〜18を有し、置換されても又は非置換であってもよい脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含むことを意味する。
より具体的には、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、ビニル基等の脂肪族炭化水素基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、及びハロゲン原子等で置換したものなどが挙げられる。
また、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基には、置換又は非置換の脂環式炭化水素基も含まれる。置換又は非置換の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、及びシクロヘキセニル基等、並びにそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、及びハロゲン原子等で置換したものなどが挙げられる。
上記置換又は非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基等のアリール基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基等が挙げられ、それらはさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものであってもよい。
一般式(I−2)のRとして記載した用語「2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよい」とは、2又は3つのRが結合し、全体としてそれぞれ2又は3価の炭化水素基となる場合を意味する。例えば、Si原子と結合して環状構造を形成し得るエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等のアルキレン基、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル基等のアルケニル基、メチレンフェニレン基等のアラルキレン基、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン等のアリーレン基が挙げられ、それらはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
なお、上記一般式(I−2)のRとしては、特に限定されるものではないが、置換されていてもよいアルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1価の置換基であることが好ましい。中でも、原料の入手しやすさの観点から、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、m−ヒドロキシフェニル基、o−ヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、4−(4−ヒドロキシフェニル)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−(2−ヒドロキシナフチル)基、1−(4−ヒドロキシナフチル)基、等の非置換或いはアルキル基及び/又はアルコキシ基及び/又は水酸基置換のアリール基ならびに、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等の鎖状又は環状のアルキル基から選ばれる置換基がより好ましい。フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、m−ヒドロキシフェニル基、o−ヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、4−(4−ヒドロキシフェニル)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−(2−ヒドロキシナフチル)基、1−(4−ヒドロキシナフチル)基、等の非置換或いはアルキル基及び/又はアルコキシ基及び/又は水酸基置換のアリール基であることがさらに好ましい。
上記一般式(I−2)のRとして記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換の有機基」は、炭素数1〜18を有し、かつ置換されても又は非置換であってもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及び脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素オキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、及びカルボニルオキシ基が結合したものを含むことを意味する。
より具体的には、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基としては、Rとして先に説明した通りである。
上記脂肪族炭化水素オキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、アリルオキシ基、ビニルオキシ基等の上述の脂肪族炭化水素基に酸素原子が結合した構造のオキシ基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。上記芳香族炭化水素オキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、フェノキシフェノキシ基等の上述の芳香族炭化水素基に酸素原子が結合した構造のオキシ基等、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記カルボニル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、ブチリル基、シクロヘキシルカルボニル基、アリルカルボニル等の脂肪族炭化水素カルボニル基、フェニルカルボニル基、メチルフェニルカルボニル基等の芳香族炭化水素カルボニル基等、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記オキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の脂肪族炭化水素オキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、メチルフェノキシカルボニル基等の芳香族炭化水素オキシカルボニル基等、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が置換したものが挙げられる。
上記カルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、アリルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等の脂肪族炭化水素カルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、メチルフェニルカルボニルオキシ基等の芳香族炭化水素カルボニルオキシ基等、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。
上記一般式(I−2)のRとして記載した用語「2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよい」とは、2〜4つのRが結合し、全体としてそれぞれ2〜4価の有機基となる場合を意味する。例えば、環状構造を形成し得るエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等のアルキレン基、エチレニル、プロピレニル、ブチレニル基等のアルケニル基、メチレンフェニレン基等のアラルキレン基、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン等のアリーレン基、これらアルキレン基、アルケニル基、アラルキレン基、アリーレン基のオキシ基又はジオキシ基が挙げられ、それらはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
上記一般式(I−2)のRとしては、特に限定されるものではないが、水素原子、水酸基、置換されていてもよい、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。中でも原料の入手しやすさの観点からは、水素原子、水酸基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、p−メトキシフェニル基、等の非置換或いはアルキル基及び/又はアルコキシ基及び/又は水酸基置換のアリール基ならびに、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等の鎖状又は環状のアルキル基から選ばれる置換基がさらに好ましい。2以上のRが互いに結合して環状構造を形成する場合は、特に限定されないが、Rが結合しているベンゼン環と併せて、1−(−2−ヒドロキシナフチル)基、1−(−4−ヒドロキシナフチル)基等の多環芳香族基を形成する有機基が好ましい。
上記一般式(I−2)におけるYは、1以上の放出可能なプロトン(H)を有する炭素数0〜18の有機基から1つのプロトンが脱離した有機基であり、1以上のRと互いに結合して環状構造を形成してもよい。例えば、Yは水酸基、メルカプト基、ハイドロセレノ基等の16族原子に水素原子が結合した1価の有機基からプロトンが脱離した基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシフェニル基カルボキシナフチル基等のカルボキシル基を有する炭素数1〜18の1価の有機基からカルボン酸のプロトンが脱離した基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシフェニルメチル基、ヒドロキシナフチル基、ヒドロキシフリル基、ヒドロキシチエニル基、ヒドロキシピリジル基等のフェノール性水酸基を有する炭素数1〜18の1価の有機基からフェノール性プロトンが脱離した基等が挙げられる。
また、上記一般式(I−2)中のYが1以上のRと結合して環状構造を形成する場合、例えば、Yは、それが結合しているベンゼン環と併せて、2−(−6−ヒドロキシナフチル)基等のヒドロキシ多環芳香族基の水酸基からプロトンが脱離した基を形成する2価の有機基が挙げられる。
先に例示したYの中でも、特に限定されるものではないが、水酸基からプロトンが脱離してなる酸素アニオン、又はヒドロキシフェニル基、ヒドロキシフェニルメチル基、ヒドロキシナフチル基、ヒドロキシフリル基、ヒドロキシチエニル基、ヒドロキシピリジル基等のフェノール性水酸基からプロトンが脱離してなる酸素アニオンを有する1価の有機基であることが好ましい。
また、上記一般式(I−2)中のYが1以上のRと結合して環状構造を形成する場合、例えば、Yは、それが結合しているベンゼン環と併せて、2−(−6−ヒドロキシナフチル)基等のヒドロキシ多環芳香族基の水酸基からプロトンが脱離した基が好ましい。
また、上記一般式(I−2)で示されるホスホニウム化合物の分子間塩としては、限定されるものではないが、式(I−2)で示されるホスホニウム化合物とフェノール、ナフトール、分子内に2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物として先に例示した化合物等のフェノール性水酸基を有する化合物、トリフェニルシラノール、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール等のシラノール基を有する化合物、シュウ酸、酢酸、安息香酸等の有機酸、塩酸、臭化水素、硫酸、硝酸等の無機酸等との分子間塩化合物が挙げられる。
また、上記一般式(I−2)で示されるホスホニウム化合物の具体例としては、以下に限定されるものではないが、3級ホスフィンと、1,4−ベンゾキノン、メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4ベンゾキノン、2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、メトキシ−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、メチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチル−1,4−ベンゾキノン、t−ブチル−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン等の付加反応物が挙げられる。
3級ホスフィンとして、トリス−(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス−(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、ビス−(p−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、ビス−(o−メトキシフェニル)ホスフィン、ジ−p−トリルフェニルホスフィン、ジ−o−トリルフェニルホスフィン、ジ−m−トリルフェニルホスフィン、ジフェニル−(p−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル−(o−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル−p−トリルホスフィン、ジフェニル−o−トリルホスフィン、ジフェニル−m−トリルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のトリアリールホスフィン、
トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、
シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、オクチルジフェニルホスフィン等のアルキルジアリールホスフィン、
ジブチルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジオクチルフェニルホスフィン等のジアルキルアリールホスフィンなどが挙げられる。
また、これら3級ホスフィンと4−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、2−ブロモフェノール、4−クロロフェノール、3−クロロフェノール、2−クロロフェノール、4−ヨウ化フェノール、3−ヨウ化フェノール、2−ヨウ化フェノール、4−ブロモ−2−メチルフェノール、4−ブロモ−3−メチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール、4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−クロロ−1−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、6−ブロモ−2−ナフトール、4−ブロモ−4´−ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる分子内分極を有する化合物などが挙げられる。
これらの中でも原料の入手し易さ及び上記一般式(I−2)で示されるホスホニウム化合物の安定性からは、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、トリ−p−トリルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、トリス−(p−メトキシフェニル)ホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、ジフェニル−p−トリルホスフィと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、トリブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、トリシクロヘキシルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、シクロヘキシルジフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、ジシクロヘキシルフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物、特開2004−156035号公報の合成例1〜9で製造した式(XXIX)〜(XXXVII)に相当する下記構造式(1)〜(7)に記載の構造で示される化合物が好ましい。
Figure 2008248107
本発明の硬化促進性化合物−ゲル複合体中の硬化促進性化合物含有率は、本発明の効果が得られる範囲であれば、特に限定されるものではないが、1〜60重量%が好ましく、3〜50重量%がより好ましく、5〜40重量%がさらに好ましい。硬化促進性化合物含有率が1重量%未満であると、速硬化性が低下する傾向があり、60重量%より大きいと本発明の効果である保存安定性が低下する傾向がある。
本発明の硬化促進性化合物−ゲル複合体の製造方法は、(a)硬化促進性化合物、(b)フェノール性水酸基を有する化合物、(c)一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を反応させることを特徴とする。
(a)硬化促進性化合物、(b)フェノール性水酸基を有する化合物、(c)一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物の反応は、硬化促進性化合物−ゲル複合が生成する方法であれば、その反応手段などの制限は特にない。本発明による製造方法では、必要に応じて、溶媒を用いてもよい。
本発明において使用できる溶媒としては、硬化促進性化合物−ゲル複合体の生成に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限されるものではなく、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、水といった溶媒が挙げられ、それらを単独で使用しても又は2種類以上を混合して使用してもよい。このような溶媒を用いる場合、上記一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる化合物の反応の観点から、硬化促進性化合物の少なくとも一部を溶解させるのが好ましく、得られた硬化促進性化合物−ゲル複合体を硬化促進剤として用いたときの保存安定性及び硬化性の両立の観点からは、全部を溶解させるのが好ましい。本発明の硬化促進剤をトランスファープレス等で成形する硬化性樹脂組成物に用いる場合、溶媒はボイドレス性の観点から反応後に、ろ別、蒸留、乾燥等によって除去されるのが好ましい。
本発明の(a)硬化促進性化合物、(b)フェノール性水酸基を有する化合物、(c)一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を反応させて得られる硬化促進性化合物−ゲル複合体であれば、特に限定されるものではない。硬化促進性化合物とゾル−ゲル反応により生じたゲルは、物理的に複合していても化学的に複合していてもその両方でも構わないが、硬化促進剤として用いたときの保存安定性及び硬化性の両立の観点からは、均一に複合していることが好ましい。均一に複合するために、硬化促進性化合物の全てが溶解又は融解している状態で上記一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物と均一に混合されて、反応するのが好ましい。
本発明の(a)硬化促進性化合物、(b)フェノール性水酸基を有する化合物、(c)一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を反応させて得られる硬化促進性化合物−ゲル複合体を製造する際の添加順序については、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されるものではない。硬化促進性化合物とゲルが均一に複合されやすく、本発明の効果が得やすいという観点からは、硬化促進性化合物及びフェノール性水酸基を有する化合物を予め混合又は溶解しておき、そこに一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を添加するのが好ましい。溶媒を使用する際は、硬化促進性化合物及びフェノール性水酸基を有する化合物の混合物又は硬化促進性化合物及びフェノール性水酸基を有する化合物の混合物と一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物の両方に予め混合して使用するとゲルが均一に複合されやすく、好ましい。水を使用する際には、(a)硬化促進性化合物、(b)フェノール性水酸基を有する化合物、(c)一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を混合した後に添加するとゲルが均一に複合されやすいため好ましい。
また、本発明の硬化促進性化合物−ゲル複合体及びその製造方法において反応温度は、反応が進行し、硬化促進性化合物が安定に保持される温度であれば、限定されるものではない。
また、本発明の硬化促進性化合物−ゲル複合体及びその製造方法において、上記一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物の反応率は、特に限定されるものではないが、反応開始時の上記一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物における全R基数を基準として、未反応のR基数が30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。反応開始時の全R基数を基準として、30%を超える数のR基が未反応となると、硬化物のボイドの発生や長期信頼性の低下を招く傾向がある。
本発明の硬化促進性化合物−ゲル複合体及びその製造方法では、上記一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物の縮合反応の副生成物としてRHが生成することになる。そのため、本発明による製造方法は、必要に応じて加熱して、反応生成物からRHを除去する工程を設けることが好ましい。より具体的な例示としては、以下の通りである:
がハロゲン原子である一般式(I−1)で示される化合物又はその部分縮合物を用いた場合は、必要に応じて加熱及び/又は減圧留去、洗浄、ろ過等によって、副生成物のハロゲン化水素を除去する;
が水酸基である一般式(I−1)で示される化合物又はその部分縮合物を用いた場合は、必要に応じて加熱及び/又は減圧留去、洗浄、ろ過等によって、副生成物の水を除去する;
がオキシ基である一般式(I−1)で示される化合物又はその部分縮合物を用いた場合は、必要に応じて加熱及び/又は減圧留去、洗浄、ろ過等によって、副生成物のアルコール又はアリールオールを除去する;
がアミノ基である一般式(I−1)で示される化合物又はその部分縮合物を用いた場合は、必要に応じて加熱及び/又は減圧留去、洗浄、ろ過等によって、副生成物のアンモニア又はアミンを除去する;
がカルボニルオキシ基である一般式(I−1)で示される化合物又はその部分縮合物用いた場合は、必要に応じて加熱及び/又は減圧留去、洗浄、ろ過等によって、副生成物のカルボン酸を除去する。
〔硬化性樹脂組成物〕
本発明による硬化性樹脂組成物は、(A)硬化促進剤と、(B)硬化性樹脂とを含有するものであって、(A)硬化促進剤が、先に説明した本発明による硬化促進性化合物−ゲル複合体を1種以上含むことを特徴する。本発明による硬化性樹脂組成物は、上記成分(A)及び(B)に、さらに(C)硬化剤及び(D)無機充填剤を含有するものであってもよい。また、必要に応じて、カップリング剤、イオン交換体、離型剤、応力緩和剤、難燃剤、着色剤といった各種添加剤を追加したものであってもよい。以下、本発明による硬化性樹脂組成物を構成する主な成分について説明する。
(A)硬化促進剤
本発明による硬化性樹脂組成物では、硬化促進剤として、1種以上の本発明による硬化促進性化合物−ゲル複合体を使用するが、それらに加えて周知の硬化促進剤を1種以上併用してもよい。組成物における(A)硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成できれば特に制限はない。しかし、樹脂組成物の吸湿時の硬化性及び流動性における改善の観点からは、(B)硬化性樹脂の合計100重量部に対し、(A)硬化促進剤を正味の硬化促進剤量合計で好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部配合することが望ましい。配合量が0.1重量部未満では短時間で硬化させることが困難であり、20重量部を超えると硬化速度が速すぎて良好な成形品が得られない場合がある。ここで、正味の硬化促進剤量とは本発明の硬化促進性化合物−ゲル複合体のゲル分を除いた量、すなわち硬化促進化合物量である。
本発明による硬化促進性化合物−ゲル複合体と併用可能な周知の硬化促進剤としては、例えば、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物、
その誘導体、
それらのフェノールノボラック塩及び
これらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、
DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2−エチル−4−メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N−メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物、
ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類及びこれらの誘導体、
酢酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、リン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ−n−ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物、
トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、
これらホスフィン類と有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物、
これらホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、
これらホスフィン化合物と4−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、2−ブロモフェノール、4−クロロフェノール、3−クロロフェノール、2−クロロフェノール、4−ヨウ化フェノール、3−ヨウ化フェノール、2−ヨウ化フェノール、4−ブロモ−2−メチルフェノール、4−ブロモ−3−メチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール、4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−クロロ−1−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、6−ブロモ−2−ナフトール、4−ブロモ−4´−ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、テトラフェニルホスホニウムとフェノール化合物との塩等のホスホニウム塩化合物、等が挙げられる。中でも、信頼性の観点から、3級ホスフィン及び/又はホスホニウム塩化合物を用いることが好ましく、一般式(I−2)で示されるホスホニウム化合物又はその分子間塩を用いることがより好ましい。
上述の周知の硬化促進剤を併用して(A)硬化促進剤を構成する場合、(A)硬化促進剤全量に対する本発明による1種以上の硬化促進性化合物−ゲル複合体の含有量は、合計で好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上とすることが望ましい。この含有量が30重量%未満となると、保存安定性が低下し、本発明によって達成可能な効果が低下する傾向がある。
(B)硬化性樹脂
本発明において使用可能な(B)硬化性樹脂としては、本発明による(A)硬化促進剤によって硬化が促進される樹脂であれば、特に制限はない。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ケイ素系樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂等が挙げられ、これら樹脂のうち1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。中でも、本発明による(A)硬化促進剤による硬化促進効果が十分に発揮されるという観点からは、(B)硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
(B)硬化性樹脂の成分としてエポキシ樹脂を使用する場合、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いることができる。そのようなエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール、スチルベン系フェノール類等のジグリシジルエーテル(ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂)、
ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル;
フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸類のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
アニリン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したもの等のグリシジル型またはメチルグリシジル型のエポキシ樹脂;
分子内のオレフィン結合をエポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;
パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;
ハイドロキノン型エポキシ樹脂;
トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;
オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂;
フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物;
硫黄原子含有エポキシ樹脂
等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ樹脂の中でも、耐リフロークラック性及び流動性の点でビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物が好ましく、それらのいずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。但し、それらの性能を発揮するためには、エポキシ樹脂全量に対して、それらを合計で30重量%以上使用することが好ましく、50重量%以上使用することがより好ましい。以下、好ましいエポキシ樹脂の具体例を示す。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂の中でもRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYX−4000H(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)、全てのRが水素原子である4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル、全てのRが水素原子の場合及びRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子である場合の混合品であるYL−6121H(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(II)中、Rは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数4〜18のアリール基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
スチルベン型エポキシ樹脂としては、スチルベン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂の中でも、Rのうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子でありR10の全てが水素原子の場合と3,3´,5,5´位のうちの3つがメチル基、1つがtert−ブチル基でそれ以外が水素原子でありR10の全てが水素原子の場合の混合品であるESLV−210(住友化学工業株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(III)中、R及びR10は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、ジフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R11の全てが水素原子でありR12のうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYSLV−80XY(新日鐵化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(IV)中、R11及びR12は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
硫黄原子含有型エポキシ樹脂としては、硫黄原子を含有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R13のうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´位がtert−ブチル基で6,6´位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYSLV−120TE(新日鐵化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(V)中、R13は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
ノボラック型エポキシ樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂をエポキシ化したエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではないが、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック等のノボラック型フェノール樹脂をグリリシジルエーテル化等の手法を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂が好ましく、例えば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R14の全てが水素原子でありR15がメチル基でi=1であるESCN−190、ESCN−195(住友化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(VI)中、R14及びR15は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料としてエポキシ化したエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0であるHP−7200(大日本インキ化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(VII)中、R16は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂としては、サリチルアルデヒド骨格を持つ化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば特に制限はないが、サリチルアルデヒド骨格を持つ化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とのノボラック型フェノール樹脂等のサリチルアルデヒド型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂等のサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、k=0である1032H60(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)、EPPN−502H(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(VIII)中、R17及びR18は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂としては、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではないが、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を用いたノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化したものが好ましく、下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R21がメチル基でi=1であり、j=0、k=0であるNC−7300(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(IX)中、R19〜R21は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示し、pは平均値で0〜1の正数を示し、l、mはそれぞれ平均値で0〜11の正数であり(l+m)は1〜11の正数を示す。)
上記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル型フェノールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物としては、フェノール、クレゾール等のフェノール類及び/又はナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルやこれらの誘導体から合成されるフェノール樹脂を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール類及び/又はナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルやこれらの誘導体から合成されるフェノール樹脂をグリシジルエーテル化したものが好ましく、下記一般式(X)及び(XI)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、R38が水素原子であるNC−3000(日本化薬株式会社製商品名)、i=0、R38が水素原子であるエポキシ樹脂と一般式(II)の全てのRが水素原子であるエポキシ樹脂を重量比80:20で混合したCER−3000(日本化薬株式会社製商品名)等が、下記一般式(XI)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、j=0、k=0であるESN−175(新日鐵化学株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(X)及び(XI)において、R37〜R41は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。)
上記一般式(II)〜(XI)中のR〜R21及びR37〜R41について、「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」とは、例えば、式(II)中の8〜88個のRの全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。他のR〜R21及びR37〜R41についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。また、R〜R21及びR37〜R41はそれぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、RとR10の全てについて同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(II)〜(XI)中のnは、0〜10の範囲であり、10を超えた場合は(B)成分の溶融粘度が高くなるため、硬化性樹脂組成物の溶融成形時の粘度も高くなり、未充填不良やボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形を引き起こしやすくなる。1分子中の平均nは0〜4の範囲に設定されることが好ましい。
以上、本発明による硬化性樹脂組成物に使用可能な好ましいエポキシ樹脂の具体例を上記一般式(II)〜(XI)に沿って説明したが、より具体的な好ましいエポキシ樹脂として、耐リフロークラック性の観点からは、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニルが挙げられ、成形性及び耐熱性の観点からは、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−ビフェニルが挙げられる。
(C)硬化剤
本発明による硬化性樹脂組成物には、必要に応じて(C)硬化剤を用いることができる。(B)硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、使用可能な硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させることができる化合物であれば、特に限定されるものではない。例えば、フェノール樹脂等のフェノール化合物、ジアミン、ポリアミン等のアミン化合物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の無水有機酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸等のカルボン酸化合物等が挙げられ、これら化合物の1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。中でも、(A)硬化促進剤の効果が十分に発揮されるという観点からは、フェノール樹脂が好ましい。
(C)硬化剤として使用可能なフェノール樹脂としては特に制限はない。例えば、硬化剤として一般に使用される1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂であってよく、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;
パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;
メラミン変性フェノール樹脂;
テルペン変性フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;
多環芳香環変性フェノール樹脂;
ビフェニル型フェノール樹脂;
トリフェニルメタン型フェノール樹脂;
これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂
などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール樹脂の中でも、耐リフロークラック性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。これらアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、それらの性能を発揮するためには、フェノール樹脂全量に対して、それらを合計で30重量%以上使用することが好ましく、50重量%以上使用することがより好ましい。
アラルキル型フェノール樹脂としては、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルやこれらの誘導体から合成されるフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XII)〜(XIV)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
Figure 2008248107

(式(XII)〜(XIV)において、R22〜R28は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、jは0〜2の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
上記一般式(XII)で示されるフェノール樹脂の中でも、i=0、R23が全て水素原子であるMEH−7851(明和化成株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIII)で示されるフェノール樹脂の中でも、i=0、k=0であるXL−225、XLC(三井化学株式会社製商品名)、MEH−7800(明和化成株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIV)で示されるフェノール樹脂の中でも、j=0、R27のk=0、R28のk=0であるSN−170(新日鐵化学株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XV)で示されるフェノール樹脂が好ましい。下記一般式(XV)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0であるDPP(新日本石油化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(XV)中、R29は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
サリチルアルデヒド型フェノール樹脂としては、サリチルアルデヒド骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVI)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVI)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0、k=0であるMEH−7500(明和化成株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(XVI)中、R30及びR31は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
ベンズアルデヒド型とアラルキル型との共重合型フェノール樹脂としては、ベンズアルデヒド骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVII)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVII)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0、k=0、q=0であるHE−510(エア・ウォーター・ケミカル株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(XVII)中、R32〜R34は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、qは0〜5の整数、l、mはそれぞれ平均値で0〜11の正数であり(l+m)は1〜11の正数を示す。)
ノボラック型フェノール樹脂としては、フェノール類及び/又はナフトール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVIII)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVIII)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0、R35が全て水素原子であるタマノル758、759(荒川化学工業株式会社製商品名)、HP−850N(日立化成工業株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2008248107

(式(XVII)中、R35及びR36は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
上記一般式(XII)〜(XVIII)におけるR22〜R36について記載した「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」は、例えば、式(XII)中のi個のR22の全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。他のR23〜R36についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。また、R22〜R36は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、R22およびR23の全てについて同一でも異なっていてもよく、R30およびR31の全てについて同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XII)〜(XVIII)におけるnは、0〜10の範囲であり、10を超えた場合は(B)硬化性樹脂成分の溶融粘度が高くなるため、硬化性樹脂組成物の溶融成形時の粘度も高くなり、未充填不良やボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形を引き起こしやすくなる。1分子中の平均nは0〜4の範囲に設定されることが好ましい。
本発明による硬化性樹脂組成物において(B)硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用し、そのエポキシ樹脂の(C)硬化剤としてフェノール樹脂を使用する場合、上記成分(B)と(C)との配合比率は、全エポキシ樹脂のエポキシ当量に対する全フェノール樹脂の水酸基当量の比率(フェノール樹脂中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)で0.5〜2.0の範囲に設定することが好ましく、上記比率が0.7〜1.5であることがより好ましく、0.8〜1.3であることがさらに好ましい。上記比率が0.5未満ではエポキシ樹脂の硬化が不充分となり、硬化物の耐熱性、耐湿性及び電気特性が劣る傾向がある。一方、上記比率が2.0を超えるとフェノール樹脂成分が過剰となり、硬化効率が低下するだけでなく、硬化樹脂中に多量のフェノール性水酸基が残るため、パッケージの電気特性及び耐湿性が低下する傾向がある。
(D)無機充填剤
本発明の硬化性樹脂組成物には、(D)無機充填剤を必要に応じてさらに配合することができる。特に、硬化性樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、(D)無機充填剤を配合することが好ましい。本発明において用いられる(D)無機充填剤としては、一般に封止用成形材料に用いられるものであってよく、特に限定されるものではない。
例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の微粉未、又はこれらを球形化したビーズなどが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。
中でも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。これらの無機充填剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)無機充填剤の配合量は、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、硬化性樹脂組成物に対して55〜90体積%の範囲であることが好ましい。これら無機充填剤は硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の改良を目的に配合するものであり、配合量が55体積%未満ではこれらの特性の改良が不十分となる傾向があり、90体積%を超えると硬化性樹脂組成物の粘度が上昇して流動性が低下し成形が困難になる傾向がある。
また、(D)無機充填剤の平均粒径は1〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。1μm未満では硬化性樹脂組成物の粘度が上昇しやすく、50μmを超えると樹脂成分と無機充墳剤とが分離しやすくなり、硬化物が不均一になったり硬化物特性がばらついたり、狭い隙間への充填性が低下したりする傾向がある。
流動性の観点からは、(D)無機充填剤の粒子形状は角形より球形が好ましく、(D)無機充填剤の粒度分布は広範囲に分布したものが好ましい。例えば、無機充填剤を75体積%以上配合する場合、その70重量%以上を球状粒子とし、0.1〜80μmという広範囲に分布したものが好ましい。このような無機充填剤は最密充填構造をとりやすいため配合量を増加させても材料の粘度上昇が少なく、流動性に優れた硬化性樹脂組成物を得ることができる。
(各種添加剤)
本発明による硬化性樹脂組成物では、必要に応じて上述の成分(A)硬化促進剤、(B)硬化性樹脂、(C)硬化剤、(D)無機充填剤に加えて、以下に例示するカップリング剤、イオン交換体、離型剤、応力緩和剤、難燃剤、着色剤といった各種添加剤を追加してもよい。しかし、本発明による硬化性樹脂組成物には、以下の添加剤に限定することなく、必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を追加してもよい。
(カップリング剤)
本発明の封止用硬化性樹脂組成物には、樹脂成分と無機充填剤との接着性を高めるために、必要に応じて、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を添加することができる。
カップリング剤の配合量は、(D)無機充填剤に対して0.05〜5重量%であることが好ましく、0.1〜2.5重量%がより好ましい。0.05重量%未満ではフレームとの接着性が低下する傾向があり、5重量%を超えるとパッケージの成形性が低下する傾向がある。
上記カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかでも、二級アミノ基を有するカップリング剤が流動性及びワイヤ流れの観点から好ましい。
(イオン交換体)
本発明の硬化性樹脂組成物には、陰イオン交換体を必要に応じて配合することができる。特に硬化性樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、陰イオン交換体を配合することが好ましい。本発明において用いられる陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、例えば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、下記一般式(XIX)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
Figure 2008248107

(式(XIX)中、0<X≦0.5、mは正の数)
これらの陰イオン交換体の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に制限はないが、(B)硬化性樹脂に対して0.1〜30重量%の範囲が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。
(離型剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、成形時に金型との良好な離型性を持たせるため離型剤を配合してもよい。本発明において用いられる離型剤としては特に制限はなく従来公知のものを用いることができる。例えば、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックス等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、酸化型又は非酸化型のポリオレフィン系ワックスが好ましく、その配合量としては(B)硬化性樹脂に対して0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。ポリオレフィン系ワックスの配合量が0.01重量%未満では離型性が不十分な傾向があり、10重量%を超えると接着性が阻害される可能性がある。ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば市販品ではヘキスト社製のH4、PE、PEDシリーズ等の数平均分子量が500〜10000程度の低分子量ポリエチレンなどが挙げられる。また、ポリオレフィン系ワックスに他の離型剤を併用する場合、その配合量は(B)硬化性樹脂に対して0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜3重量%がより好ましい。
(応力緩和剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、シリコーンオイル、シリコーンゴム粉末等の応力緩和剤などを必要に応じて配合することができる。応力緩和剤を配合することにより、パッケージの反り変形量、パッケージクラックを低減させることができる。使用できる応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の可とう剤(応力緩和剤)であれば特に限定されるものではない。一般に使用されている可とう剤としては、例えば、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル−シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体等のコア−シェル構造を有するゴム粒子等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、シリコーン系可とう剤が好ましく、シリコーン系可とう剤としては、エポキシ基を有するもの、アミノ基を有するもの、これらをポリエーテル変性したもの等が挙げられる。
(難燃剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、難燃性を付与するために必要に応じて難燃剤を配合することができる。本発明において用いられる難燃剤としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む公知の有機若しくは無機の化合物、金属水酸化物などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。難燃剤の配合量は、難燃効果が達成されれば特に制限はないが、エポキシ樹脂などの(B)硬化性樹脂に対して1〜30重量%が好ましく、2〜15重量%がより好ましい。
(着色剤)
また、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、ピッチ、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を配合しても良い。
先に説明した本発明の硬化性樹脂組成物は、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に撹拌、混合し、予め70〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練、冷却し、粉砕するなどの方法で得ることができる。樹脂組成物は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると取り扱いが容易である。
〔電子部品装置〕
本発明による電子部品装置は、上述の硬化性樹脂組成物によって封止した素子を備えることを特徴とする。電子部品装置としては、例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載したものが挙げられ、それら素子部を本発明の硬化性樹脂組成物で封止したものが挙げられる。より具体的には、例えば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明の硬化性樹脂組成物を用いてトランスファ成形などによって封止した、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明の硬化性樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の硬化性樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール、裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明の硬化性樹脂組成物で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板にも本発明の硬化性樹脂組成物は有効に使用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いて、電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的ではあるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
以下、本発明について実施例によってより具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す実施例によって制限されるものではない。
〔硬化促進剤の調製〕
(調製例1)
1Lのセパラブルフラスコ中でトリフェニルホスフィン42.5g(0.162mol)、フェノールアラルキル樹脂(明和化成株式会社製商品名MEH−7800SS)276.6gを300gのアセトンに溶かした。これに、室温(25℃)で攪拌しながら1,4−ベンゾキノン19.3g(0.178mol)を投入した。約20分後にRがオキシ基である一般式(I−1)で示される化合物の部分縮合物であるMシリケート51(多摩化学工業株式会社商品名)を148.6g投入し、約15分後に蒸留水14.2gを投入した。約5分後にゼリー状のゲルへと変化した。これを、フラスコから金属製の容器に出して、80℃に加熱したホットプレートで4時間加熱した。その後、80℃で24時間真空乾燥することにより、硬化促進剤−ゲル複合体を得た。配合比から、硬化促進剤含有量は、約15%である。エポキシ樹脂組成物に配合する際には、予め乳鉢で粉砕したものを用いた。
(調製例2)
1Lのセパラブルフラスコ中でトリフェニルホスフィン70.8g(0.270mol)、フェノールアラルキル樹脂(明和化成株式会社製商品名MEH−7800SS)243.0gを300gのアセトンに溶かした。これに、室温(25℃)で攪拌しながら1,4−ベンゾキノン32.1g(0.297mol)を投入した。約20分後にRがオキシ基である一般式(I−1)で示される化合物の部分縮合物であるMシリケート51(多摩化学工業株式会社商品名)を130.5g投入し、約15分後に蒸留水12.5gを投入した。約5分後にゼリー状のゲルへと変化した。これを、フラスコから金属製の容器に出して、80℃に加熱したホットプレートで4時間加熱した。その後、80℃で24時間真空乾燥することにより、硬化促進剤−ゲル複合体を得た。配合比から、硬化促進剤含有量は、約25重量%である。エポキシ樹脂組成物に配合する際には、予め乳鉢で粉砕したものを用いた。
(比較調製例1)
1Lのセパラブルフラスコ中でトリフェニルホスフィン42.5g(0.162mol)を300gのアセトンに溶かした。これに、室温(25℃)で攪拌しながら1,4−ベンゾキノン17.5g(0.162mol)を投入した。すぐに、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物が固体として析出した。約20分後にRがオキシ基である一般式(I−1)で示される化合物の部分縮合物であるMシリケート51(多摩化学工業株式会社商品名)を470g投入し、約15分後に蒸留水90.0gを投入した。攪拌を続けるとゼリー状のゲルへと変化した。これを、フラスコから金属製の容器に出して、80℃に加熱したホットプレートで4時間加熱した。その後、80℃で24時間真空乾燥することにより、硬化促進剤−ゲル混合物を得たが、均一な複合体は得られなかった。配合比から、硬化促進剤含有量は、約25重量%である。
調製例1〜2で得た化合物のIR(KBr法)のスペクトルをそれぞれ図1〜2に示した。各分析の結果、調製例1〜2で得られた化合物はそれぞれ、本発明の硬化促進剤として用いられる硬化促進性化合物−ゲル複合体であると考えられる。
〔硬化性樹脂組成物の調製及びその特性評価〕
エポキシ樹脂として、エポキシ当量196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂1:ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名YX−4000H)、エポキシ当量192、融点79℃のジフェニルメタン骨格型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2:新日鐡化学株式会社製商品名YSLV−80XY)、難燃効果のあるエポキシ樹脂として、エポキシ当量393、軟化点80℃、臭素含有量48重量%の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(臭素化エポキシ樹脂)を用意した。
硬化剤として、水酸基当量176、軟化点70℃のフェノールアラルキル樹脂(硬化剤1:三井化学株式会社製商品名ミレックスXL−225)、水酸基当量199、軟化点89℃のビフェニル骨格型フェノール樹脂(硬化剤2:明和化成株式会社製商品名MEH−7851)を用意した。
本発明による硬化促進剤として、上記調製例1で得られた化合物(硬化促進剤1)、上記調製例2で得られた化合物(硬化促進剤2)を用意した。また、比較の硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物(硬化促進剤A)、トリフェニルホスフィン(硬化促進剤B)を用意した。
無機充填剤として、平均粒径17.5μm、比表面積3.8m/gの球状溶融ゲルを用意した。その他、各種添加剤として、カップリング剤であるエポキシシラン(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、着色剤であるカーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名MA−100)、離型剤であるカルナバワックス(株式会社セラリカNODA製)、難燃剤である三酸化アンチモンを用意した。
上述の成分をそれぞれ表1に示す重量部で配合し、混練温度80℃、混練時間15分の条件でロール混練を行うことによって、それぞれ実施例1〜4、比較例1〜4の硬化性樹脂組成物を得た。
Figure 2008248107
次に、実施例1〜4、及び比較例1〜4によって得られた硬化性樹脂組成物を、以下に示す各種試験によって評価した。評価結果を表2に示す。なお、硬化性樹脂組成物の成形は、トランスファ成形機を用い、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件下で行った。また、後硬化は175℃で6時間行った。
(1)スパイラルフロー(流動性の指標)
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、上記条件で硬化性樹脂組成物を成形して流動距離(cm)を測定した。
(2)スパイラルフロー残存率(保存安定性の指標)
25℃の恒温槽に72及び144時間放置した硬化性樹脂組成物を上記(1)の条件で成形して流動距離を測定し、初期の流動距離からの比率で残存率を求めた。
(3)熱時硬度
硬化性樹脂組成物を上記条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
Figure 2008248107
表2から分かるように、本発明による硬化促進剤を含有する実施例1〜4は、いずれにおいても保存安定性に優れる結果となった。これに対して、本発明による硬化促進剤とは異なる種類の硬化促進剤を含む比較例1〜4では、保存安定性に劣っている。
本発明による硬化促進剤は、硬化性樹脂組成物に優れた保存安定性を発現させることが可能であるため、該硬化促進剤を用いた硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤以外全て同じである比較例と比較して、流動性についての保存安定性に優れる。また、本発明の方法はいずれの硬化促進性化合物においても有効である。このような硬化性樹脂組成物を用いてIC、LSI等の電子部品の素子を封止することによって、保存安定性が良好で、信頼性に優れる電子部品装置を提供することが可能となり、その工業的価値は高い。
本発明による硬化促進性化合物−ゲル複合体として調製例1で調製された化合物のIRスペクトルである。 本発明による硬化促進性化合物−ゲル複合体として調製例2で調製された化合物のIRスペクトルである。

Claims (15)

  1. (a)硬化促進性化合物と、(b)フェノール性水酸基を有する化合物と、(c)下記一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物とを反応させて得られる硬化促進性化合物−ゲル複合体。
    Figure 2008248107
    (式(I−1)中、nは0又は1であり、Rは、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、1以上のRと結合して環状構造を形成してもよく、Rは、フェノール性水酸基と反応可能な官能基を示し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜18の置換又は非置換のオキシ基、炭素数0〜18の置換又は非置換のアミノ基、及び炭素数2〜18の置換又は非置換のカルボニルオキシ基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なってもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
  2. 上記(b)フェノール性水酸基を有する化合物が、分子内にフェノール性水酸基を2以上有する化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体。
  3. 上記(a)硬化促進性化合物が、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩化合物、環状アミジン化合物、環状アミジニウム塩化合物、アミン化合物、アンモニウム塩化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体。
  4. (a)硬化促進性化合物と、(b)フェノール性水酸基を有する化合物と、(c)化合物と、水とを反応させて得られる、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体。
  5. 上記(a)硬化促進性化合物が、下記一般式(I−2)で示される化合物及びその分子間塩から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体。
    Figure 2008248107

    (式(I−2)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子及び炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、Rは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、及び炭素数1〜18の置換又は非置換の有機基からなる群より選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよく、2以上のRが互いに結合して環状構造を形成してもよく、Yは、1以上の放出可能なプロトンを有する炭素数0〜18の有機基から1つのプロトンが脱離した有機基であり、1以上のRと互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
  6. 前記一般式(I−2)におけるYが、水酸基又はフェノール性水酸基を有する1価の有機基からプロトンが脱離した基である請求項5に記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体を1種類以上含有する硬化促進剤。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化促進性化合物−ゲル複合体を製造する方法であって、前記一般式(I−1)で示される化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物と硬化促進性化合物を反応させる硬化促進性化合物−ゲル複合体の製造方法。
  9. (A)請求項7に記載の硬化促進剤と、(B)硬化性樹脂とを含有する硬化性樹脂組成物。
  10. (B)硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含有する請求項9に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. さらに(C)硬化剤を含有する請求項9又は請求項10に記載の硬化性樹脂組成物。
  12. さらに(D)無機充填剤を含有する請求項9〜11のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  13. (B)硬化性樹脂に含まれるエポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、アラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、からなる群より選ばれる1以上のエポキシ樹脂を含有する請求項10〜12のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  14. (C)硬化剤が、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、からなる群より選ばれる1以上の樹脂を含有する請求項11〜13のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  15. 請求項9〜14のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を用いて封止された素子を備える電子部品装置。
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