JP5395331B2 - エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5395331B2
JP5395331B2 JP2007096303A JP2007096303A JP5395331B2 JP 5395331 B2 JP5395331 B2 JP 5395331B2 JP 2007096303 A JP2007096303 A JP 2007096303A JP 2007096303 A JP2007096303 A JP 2007096303A JP 5395331 B2 JP5395331 B2 JP 5395331B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
compound
resin
group
phenol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007096303A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008255155A (ja
Inventor
真也 中村
光雄 片寄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd, Showa Denko Materials Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2007096303A priority Critical patent/JP5395331B2/ja
Publication of JP2008255155A publication Critical patent/JP2008255155A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5395331B2 publication Critical patent/JP5395331B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)
  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)

Description

本発明は、成形材料、積層板用又は接着剤の材料として好適なエポキシ樹脂組成物、及びこのエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備えた電子部品装置に関する。
従来から、成形材料、積層板用及び接着剤用材料等の分野において、エポキシ樹脂が広範囲で使用されている。生産性向上の観点から速硬化性が要求されるため、エポキシ樹脂組成物には硬化反応を促進する化合物、すなわち硬化促進剤が一般に用いられている。また、トランジスタ、IC等の電子部品の素子に関する封止技術の分野でも、エポキシ樹脂をベースとした組成物が広く用いられている。その理由としては、エポキシ樹脂が成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性においてバランスがとれているためである。特に、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールノボラック硬化剤との組み合わせは、上記諸特性において優れたバランスを有するため、IC封止用成形材料のベース樹脂として主流になっている。
近年、電子部品の素子の封止技術では、電子部品のプリント配線板への高密度実装化が進んでおり、これに伴い従来のピン挿入型パッケージよりも表面実装型パッケージが主流となりつつある。しかしながら、ピン挿入型パッケージと比較して表面実装型パッケージでは、はんだ付け時のパッケージクラックに対する耐性、いわゆる耐リフロークラック性が低下する傾向にある。すなわち、IC、LSI等の表面実装型パッケージでは、実装密度を高くするために素子のパッケージに対する占有体積がしだいに大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなっている。さらに、表面実装型パッケージは、そのはんだ付け工程において、ピン挿入型パッケージよりも、より過酷な条件下にさらされることになる。
より具体的には、ピン挿入型パッケージでは、ピンを配線板に挿入した後に配線板裏面からはんだ付けを行うため、パッケージが高温に直接さらされることがないのに対し、表面実装型パッケージでは配線板表面に仮止めを行った後に、はんだバスやリフロー装置等で処理を行うため、パッケージは高温のはんだ付け温度に直接さらされることになる。その結果、パッケージが吸湿した場合、はんだ付け時に吸湿水分が急激に膨張してパッケージクラックに至ることがあり、パッケージ成形における大きな問題になっている。
このような状況下、表面実装型パッケージにおける耐リフロークラック性を改良するために、無機充填剤の含有量を高めたエポキシ樹脂組成物が報告されている。しかし、無機充填剤の含有量の増加に伴って、樹脂組成物の流動性が低下し、成形時に充填不良、ボイド発生等の成形上の障害、またはICチップのボンディングワイヤの断線による導通不良の発生といった、パッケージの性能低下を招くことが多い。そのため無機充填剤の含有量の増加には限界があり、その結果として耐リフロークラック性の著しい改善を達成することは困難であった。特に、そのようなエポキシ樹脂組成物に速硬化性の観点からトリフェニルホスフィン等のリン系硬化促進剤や1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等の窒素含有硬化促進剤を添加した場合には、樹脂組成物の流動性が著しく低下する傾向がある。そのため、パッケージの耐リフロークラック性の改善に加えて、樹脂組成物の流動性の改善が望まれているのが現状である。
無機充填剤を高比率で含有するエポキシ樹脂組成物の流動性を改善するために、例えば、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物を硬化促進剤として用いる方法が提案されている(特開平9−157497号公報を参照。)。別法として、フェノール樹脂、有機第三級ホスフィン及びキノン化合物を反応して得られる変性樹脂を硬化促進剤として用いる方法が提案されている(特開2000−86745号公報を参照。)。
特開平9−157497号公報 特開2000−86745号公報
しかしながら、更なる流動性の向上が望まれている。したがって、本発明は、優れた流動性を発現させることが可能な硬化促進剤、それを含むエポキシ樹脂組成物、及びこのエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備えた電子部品装置を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、硬化促進性化合物−ゲル複合体を硬化促進剤として使用することによって、保存安定性に優れるエポキシ樹脂組成物が得られ、所期の目的を達成可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の(1)〜(7)に関する。
(1)(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)硬化促進剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物において、(C)硬化促進剤が、(D)(a)ホスフィン化合物と、(b)キノン化合物と、(c)分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%以上である分子内に平均2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物とを反応させてなる変性樹脂であり、前記フェノール化合物がビスフェノールFであり、前記(D)変性樹脂において未反応の(a)ホスフィン化合物及びホスフィン化合物の酸化生成物であるホスフィンオキシドの量が反応に使用した(a)ホスフィン化合物に対して20mol%以下である、エポキシ樹脂組成物。
(2)(a)ホスフィン化合物が、下記一般式(I−1)で示されるホスフィン化合物であり、(b)キノン化合物が、下記一般式(I−2)で示されるキノン化合物である上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 0005395331
(ここで、式(I−1)中のR〜Rは、炭素数1〜18の炭化水素基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。また、式(I−2)中のR〜Rは、水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。RとRが結合して環状構造となっていてもよい。)
(3)(c)フェノール化合物の150℃におけるICI粘度が10mPa・s以下である上記(1)又は(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(4)さらに(E)無機充填剤を含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(5)(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、アラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、からなる群より選ばれる1以上のエポキシ樹脂を含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(6)(B)硬化剤が、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、からなる群より選ばれる1以上の樹脂を含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止された素子を備える電子部品装置。
本発明により、優れた流動性を発現させることが可能な硬化促進剤、それを含むエポキシ樹脂組成物、及びこのエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備えた電子部品装置を提供することが可能になった。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)硬化促進剤を成分とし、(C)硬化促進剤が(D)(a)ホスフィン化合物、(b)キノン化合物及び(c)分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%以上である分子内に平均2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物を反応させてなる変性樹脂、を含有することを特徴する。本発明によるエポキシ樹脂組成物は、上記成分(A)、(B)及び(C)に、さらに及び(E)無機充填剤を含有するものであってもよい。また、必要に応じて、カップリング剤、イオン交換体、離型剤、応力緩和剤、難燃剤、着色剤といった各種添加剤を追加したものであってもよい。以下、本発明によるエポキシ樹脂組成物を構成する主な成分について説明する。
(A)エポキシ樹脂
(A)エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いることができる。そのようなエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール、スチルベン系フェノール類等のジグリシジルエーテル(ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂)、
ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル;
フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸類のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
アニリン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したもの等のグリシジル型またはメチルグリシジル型のエポキシ樹脂;
分子内のオレフィン結合をエポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;
パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;
ハイドロキノン型エポキシ樹脂;
トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;
オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂;
フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物;
硫黄原子含有エポキシ樹脂
等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ樹脂の中でも、耐リフロークラック性及び流動性の点でビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物が好ましく、それらのいずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。但し、それらの性能を発揮するためには、エポキシ樹脂全量に対して、それらを合計で30重量%以上使用することが好ましく、50重量%以上使用することがより好ましい。以下、好ましいエポキシ樹脂の具体例を示す。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂の中でもRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYX−4000H(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)、全てのRが水素原子である4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル、全てのRが水素原子の場合及びRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子である場合の混合品であるYL−6121H(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331
(式(II)中、Rは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数4〜18のアリール基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
スチルベン型エポキシ樹脂としては、スチルベン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂の中でも、Rのうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子でありR10の全てが水素原子の場合と3,3´,5,5´位のうちの3つがメチル基、1つがtert−ブチル基でそれ以外が水素原子でありR10の全てが水素原子の場合の混合品であるESLV−210(住友化学工業株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331
(式(III)中、R及びR10は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、ジフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R11の全てが水素原子でありR12のうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´,5,5´位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYSLV−80XY(新日鐵化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331

(式(IV)中、R11及びR12は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
硫黄原子含有型エポキシ樹脂としては、硫黄原子を含有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R13のうち酸素原子が置換している位置を4及び4´位とした時の3,3´位がtert−ブチル基で6,6´位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYSLV−120TE(新日鐵化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331

(式(V)中、R13は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
ノボラック型エポキシ樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂をエポキシ化したエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではないが、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック等のノボラック型フェノール樹脂をグリリシジルエーテル化等の手法を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂が好ましく、例えば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R14の全てが水素原子でありR15がメチル基でi=1であるESCN−190、ESCN−195(住友化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331
(式(VI)中、R14及びR15は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料としてエポキシ化したエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0であるHP−7200(大日本インキ化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331
(式(VII)中、R16は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂としては、サリチルアルデヒド骨格を持つ化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば特に制限はないが、サリチルアルデヒド骨格を持つ化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とのノボラック型フェノール樹脂等のサリチルアルデヒド型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂等のサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、k=0である1032H60(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)、EPPN−502H(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331
(式(VIII)中、R17及びR18は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂としては、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではないが、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を用いたノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化したものが好ましく、下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R21がメチル基でi=1であり、j=0、k=0であるNC−7300(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331

(式(IX)中、R19〜R21は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示し、pは平均値で0〜1の正数を示し、l、mはそれぞれ平均値で0〜11の正数であり(l+m)は1〜11の正数を示す。)
上記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル型フェノールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物としては、フェノール、クレゾール等のフェノール類及び/又はナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルやこれらの誘導体から合成されるフェノール樹脂を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール類及び/又はナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルやこれらの誘導体から合成されるフェノール樹脂をグリシジルエーテル化したものが好ましく、下記一般式(X)及び(XI)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、R38が水素原子であるNC−3000(日本化薬株式会社製商品名)、i=0、R38が水素原子であるエポキシ樹脂と一般式(II)の全てのRが水素原子であるエポキシ樹脂を重量比80:20で混合したCER−3000(日本化薬株式会社製商品名)等が、下記一般式(XI)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、j=0、k=0であるESN−175(新日鐵化学株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331
(式(X)及び(XI)において、R37〜R41は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。)
上記一般式(II)〜(XI)中のR〜R21及びR37〜R41について、「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」とは、例えば、式(II)中の8〜88個のRの全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。他のR〜R21及びR37〜R41についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。また、R〜R21及びR37〜R41はそれぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、RとR10の全てについて同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(II)〜(XI)中のnは、0〜10の範囲であり、10を超えた場合は(A)成分の溶融粘度が高くなるため、エポキシ樹脂組成物の溶融成形時の粘度も高くなり、未充填不良やボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形を引き起こしやすくなる。1分子中の平均nは0〜4の範囲に設定されることが好ましい。
以上、本発明によるエポキシ樹脂組成物に使用可能な好ましいエポキシ樹脂の具体例を上記一般式(II)〜(XI)に沿って説明したが、より具体的な好ましいエポキシ樹脂として、耐リフロークラック性の観点からは、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニルが挙げられ、成形性及び耐熱性の観点からは、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−ビフェニルが挙げられる。
(B)硬化剤
使用可能な(B)硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させることができる化合物であれば、特に限定されるものではない。例えば、フェノール樹脂等のフェノール化合物、ジアミン、ポリアミン等のアミン化合物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の無水有機酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸等のカルボン酸化合物等が挙げられ、これら化合物の1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。中でも、(C)硬化促進剤の効果が十分に発揮されるという観点からは、フェノール樹脂が好ましい。
(B)硬化剤として使用可能なフェノール樹脂としては特に制限はない。例えば、硬化剤として一般に使用される1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂であってよく、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;
パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;
メラミン変性フェノール樹脂;
テルペン変性フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;
多環芳香環変性フェノール樹脂;
ビフェニル型フェノール樹脂;
トリフェニルメタン型フェノール樹脂;
これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂
などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール樹脂の中でも、耐リフロークラック性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。これらアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、それらの性能を発揮するためには、フェノール樹脂全量に対して、それらを合計で30重量%以上使用することが好ましく、50重量%以上使用することがより好ましい。
アラルキル型フェノール樹脂としては、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルやこれらの誘導体から合成されるフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XII)〜(XIV)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
Figure 0005395331
(式(XII)〜(XIV)において、R22〜R28は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、jは0〜2の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
上記一般式(XII)で示されるフェノール樹脂の中でも、i=0、R23が全て水素原子であるMEH−7851(明和化成株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIII)で示されるフェノール樹脂の中でも、i=0、k=0であるXL−225、XLC(三井化学株式会社製商品名)、MEH−7800(明和化成株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIV)で示されるフェノール樹脂の中でも、j=0、R27のk=0、R28のk=0であるSN−170(新日鐵化学株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XV)で示されるフェノール樹脂が好ましい。下記一般式(XV)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0であるDPP(新日本石油化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331
(式(XV)中、R29は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
サリチルアルデヒド型フェノール樹脂としては、サリチルアルデヒド骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVI)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVI)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0、k=0であるMEH−7500(明和化成株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331

(式(XVI)中、R30及びR31は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
ベンズアルデヒド型とアラルキル型との共重合型フェノール樹脂としては、ベンズアルデヒド骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVII)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVII)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0、k=0、q=0であるHE−510(エア・ウォーター・ケミカル株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331
(式(XVII)中、R32〜R34は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、qは0〜5の整数、l、mはそれぞれ平均値で0〜11の正数であり(l+m)は1〜11の正数を示す。)
ノボラック型フェノール樹脂としては、フェノール類及び/又はナフトール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVIII)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVIII)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0、R35が全て水素原子であるタマノル758、759(荒川化学工業株式会社製商品名)、HP−850N(日立化成工業株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 0005395331
(式(XVII)中、R35及びR36は水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0〜3の整数、kは0〜4の整数、nは平均値であり、0〜10の正数を示す。)
上記一般式(XII)〜(XVIII)におけるR22〜R36について記載した「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」は、例えば、式(XII)中のi個のR22の全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。他のR23〜R36についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。また、R22〜R36は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、R22およびR23の全てについて同一でも異なっていてもよく、R30およびR31の全てについて同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XII)〜(XVIII)におけるnは、0〜10の範囲であり、10を超えた場合は(B)硬化剤成分の溶融粘度が高くなるため、エポキシ樹脂組成物の溶融成形時の粘度も高くなり、未充填不良やボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形を引き起こしやすくなる。1分子中の平均nは0〜4の範囲に設定されることが好ましい。
本発明によるエポキシ樹脂組成物において(B)硬化剤としてフェノール樹脂を使用する場合、上記成分(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との配合比率は、全エポキシ樹脂のエポキシ当量に対する全フェノール樹脂の水酸基当量の比率(フェノール樹脂中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)で0.5〜2.0の範囲に設定することが好ましく、上記比率が0.7〜1.5であることがより好ましく、0.8〜1.3であることがさらに好ましい。上記比率が0.5未満ではエポキシ樹脂の硬化が不充分となり、硬化物の耐熱性、耐湿性及び電気特性が劣る傾向がある。一方、上記比率が2.0を超えるとフェノール樹脂成分が過剰となり、硬化効率が低下するだけでなく、硬化樹脂中に多量のフェノール性水酸基が残るため、パッケージの電気特性及び耐湿性が低下する傾向がある。
(C)硬化促進剤
本発明によるエポキシ樹脂組成物では、(C)硬化促進剤として、(D)(a)ホスフィン化合物、(b)キノン化合物及び(c)分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%以上である分子内に平均2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物を反応させた変性樹脂、を含有することを特徴とする。
(a)ホスフィン化合物としては、本発明の効果が発揮されれば特に制限されることはないが、中でも下記一般式(I−1)で示されるホスフィン化合物であることが好ましい。また、(b)キノン化合物としては、本発明の効果が発揮されれば特に制限されることはないが、中でも下記一般式(I−2)で示されるキノン化合物であることが好ましい。
Figure 0005395331
(ここで、式(I−1)中のR〜Rは、炭素数1〜18の炭化水素基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。また、式(I−2)中のR〜Rは、水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。RとRが結合して環状構造となっていてもよい。)
ここで、上記一般式(I−1)及び(I−2)中のR〜Rとして記載した「炭素数1〜18の置換又は非置換の炭化水素基」は、炭素数1〜18を有し、置換されても又は非置換であってもよい脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含むことを意味する。
より具体的には、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、ビニル基等の脂肪族炭化水素基、及びそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシ基等のエポキシ基を含有する基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等で置換したものが挙げられる。
また、上記置換又は非置換の脂肪族炭化水素基には、置換又は非置換の脂環式炭化水素基も含まれる。置換又は非置換の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、及びシクロヘキセニル基等、並びにそれらをアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシ基等のエポキシ基を含有する基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等で置換したものが挙げられる。
上記置換又は非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基等のアリール基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基等が挙げられ、それらはさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシ基等のエポキシ基を含有する基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等で置換したものであってもよい。
なお、上記一般式(I−1)のR〜Rとしては、特に限定されるものではないが、置換されていてもよいアルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1価の置換基であることが好ましい。中でも、原料の入手しやすさの観点から、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基等の非置換或いはアルキル基及び/又はアルコキシ基及び/又は水酸基置換のアリール基ならびに、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、エポキシシクロヘキシルエチル基、グリシドキシプロピル基、クロロプロピル基、メタクリルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基、N−フェニルアミノプロピル基、N−アミノプロピルアミノプロピル基、ウレイドプロピル基、イソシアネートプロピル基等の置換又は非置換の鎖状又は環状のアルキル基から選ばれる置換基がより好ましい。
なお、上記一般式(I−2)中のR〜Rとしては、特に限定されるものではないが、水素原子、置換されていてもよいアルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる1価の置換基であることが好ましい。中でも、原料の入手しやすさの観点から、水素原子、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基等の非置換或いはアルキル基及び/又はアルコキシ基及び/又は水酸基置換のアリール基ならびに、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、エポキシシクロヘキシルエチル基、グリシドキシプロピル基、クロロプロピル基、メタクリルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基、N−フェニルアミノプロピル基、N−アミノプロピルアミノプロピル基、ウレイドプロピル基、イソシアネートプロピル基等の置換又は非置換の鎖状又は環状のアルキル基から選ばれる置換基がより好ましい。
上記一般式(I−1)の具体的な化合物の例示としては、以下に限られるものではないが、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−sec−ブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、オクチルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジオクチルフェニルホスフィン、シクロヘキシルジ−p−トリルホスフィン、ブチルジ−p−トリルホスフィン、オクチルジ−p−トリルホスフィン、ジシクロヘキシル−p−トリルホスフィン、ジブチル−p−トリルホスフィン、ジオクチル−p−トリルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニル−p−トリルホスフィン、ジフェニル−p−メトキシフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−p−メトキシフェニルホスフィン等が挙げられる。上記一般式(I−1)で示される化合物は、工業製品又は試薬として購入可能な化合物を用いても、公知の方法で合成した化合物を用いても構わない。中でも、耐リフロー性及び長期信頼性の観点からは、トリフェニルホスフィン、ジフェニル−p−トリルホスフィン、ジフェニル−p−メトキシフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−p−メトキシフェニルホスフィン等のR〜Rの全てが芳香族炭化水素基である一般式(I−1)で示される化合物が好ましく、硬化性の観点からはトリシクロヘキシルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−sec−ブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、オクチルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジオクチルフェニルホスフィン、シクロヘキシルジ−p−トリルホスフィン、ブチルジ−p−トリルホスフィン、オクチルジ−p−トリルホスフィン、ジシクロヘキシル−p−トリルホスフィン、ジブチル−p−トリルホスフィン、ジオクチル−p−トリルホスフィン等のR〜Rのうち少なくとも1つが芳香族炭化水素基である一般式(I−1)で示される化合物が好ましい。
上記一般式(I−2)の具体的な化合物の例示としては、以下に限られるものではないが、1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4ベンゾキノン、2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、メトキシ−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、メチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチル−1,4−ベンゾキノン、t−ブチル−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等が挙げられる。中でも、ホスフィン化合物との反応の速さ及び生成物の安定性の観点からは、1,4−ベンゾキノンが好ましく、吸湿時の硬化性の観点からは、2,3−ジメトキシ−1,4ベンゾキノン、2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、メトキシ−1,4−ベンゾキノン等のアルコキシ基置換1,4−ベンゾキノン、及び2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、メチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチル−1,4−ベンゾキノン、t−ブチル−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のアルキル又は/及びアリール基置換1,4−ベンゾキノンが好ましい。
また、上記一般式(I−2)で示されるキノン化合物は、RとRが結合し環状構造となっていてもよい。本発明において用いられる、RとRが結合して環状構造をとる多環式のキノン化合物としては、特に制限はないが、例えば、置換したテトラメチレン基、テトラメチン基等が結合した下記一般式(I−3)〜(I−5)で示される多環式キノン化合物等が挙げられる。
Figure 0005395331
(c)分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%以上である分子内に平均2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物としては、以下に限られるものではないが、
レゾルシン、カテコール、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の1分子内に2つのフェノール性水酸基を有する化合物;
フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂をフェノール化合物過剰で合成して2核体を多く含有するように製造した樹脂、又はこれらノボラック型フェノール樹脂を蒸留して2核体を多く含有するように製造した樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をフェノール化合物過剰で合成して2核体を多く含有するように製造した樹脂、又はこれらアラルキル型フェノール樹脂を蒸留して2核体を多く含有するように製造した樹脂;
パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂をフェノール化合物過剰で合成して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂、又はこれらのフェノール樹脂を蒸留して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂;
メラミン変性フェノール樹脂をフェノール化合物過剰で合成して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂、又はこれらのフェノール樹脂を蒸留して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂;
テルペン変性フェノール樹脂をフェノール化合物過剰で合成して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂、又はこれらのフェノール樹脂を蒸留して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂をフェノール化合物過剰で合成して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂、又はこれらのフェノール樹脂を蒸留して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂;
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂をフェノール化合物過剰で合成して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂、又はこれらのフェノール樹脂を蒸留して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂;
多環芳香環変性フェノール樹脂をフェノール化合物過剰で合成して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂、又はこれらのフェノール樹脂を蒸留して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂;
ビフェニル型フェノール樹脂をフェノール化合物過剰で合成して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂、又はこれらのフェノール樹脂を蒸留して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂;
トリフェニルメタン型フェノール樹脂をフェノール化合物過剰で合成して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂、又はこれらのフェノール樹脂を蒸留して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂;
上記樹脂の2種以上を共重合して得たフェノール樹脂をフェノール化合物過剰で合成して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂、又はこれらのフェノール樹脂を蒸留して2核体を50重量%以上含有するように製造した樹脂;
等が挙げられる。上記フェノール化合物の1種を単独で使用しても、それら化合物の2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらフェノール化合物の中でも、本発明の流動性の効果が発揮されやすい観点からはレゾルシン、カテコール、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、2核体を50重量%以上含有するアラルキル型フェノール樹脂、2核体を50重量%以上含有するジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、2核体を50重量%以上含有するサリチルアルデヒド型フェノール樹脂、2核体を50重量%以上含有するベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂、2核体を50重量%以上含有するノボラック型フェノール樹脂、が好ましく、中でもビスフェノールFがより好ましい。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、それらの性能を発揮するためには、フェノール化合物全量に対して、それらを合計で30重量%以上使用することが好ましく、50重量%以上使用することがより好ましく、80重量%以上使用することがさらに好ましい。アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂の説明は上述の通りである。
また、分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%以上となる範囲で、分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%未満のフェノール化合物を混合して使用しても良い。
そのようなフェノール化合物としては、
フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂で分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%未満のフェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%未満のフェノール樹脂;
パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%未満のフェノール樹脂;
メラミン変性フェノール樹脂分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%未満のフェノール樹脂;
テルペン変性フェノール樹脂分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%未満のフェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%未満のフェノール樹脂;
多環芳香環変性フェノール樹脂分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%未満のフェノール樹脂;
ビフェニル型フェノール樹脂;分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%未満のフェノール樹脂
トリフェニルメタン型フェノール樹脂分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%未満のフェノール樹脂;
上記樹脂の2種以上を共重合して得たフェノール樹脂分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%未満のフェノール樹脂;
等が挙げられる。上記フェノール化合物の1種を単独で使用しても、それら化合物の2種以上を組み合わせて混合してもよい。
(c)分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%以上である分子内に平均2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率は50重量%以上であれば、特に限定されるものではないが、本発明の効果が得やすいという観点から、60重量%以上が好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
(c)分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%以上である分子内に平均2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物、の溶融粘度は特に限定されないが、本発明の効果が得やすいという観点から、150℃において、10mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以下であることがさらに好ましい。ここで、溶融粘度とはICIコーンプレート粘度計で測定した粘度(ICI粘度)を示す。
(C)成分の変性樹脂の製造方法としては、特に限定されるわけではないが、(c)フェノール化合物の融点又は軟化点以上の温度において、フェノール化合物に(a)ホスフィン化合物を加えた後、(b)キノン化合物を加えて反応させる方法が好ましい。(c)フェノール化合物に(b)キノン化合物を加えた後に(a)ホスフィン化合物を加える方法や、(c)フェノール化合物に(a)ホスフィン化合物と(b)キノン化合物とを同時に加える方法により製造した場合、樹脂組成物の流動性が向上せず好ましくない。より好ましい製造方法として、(c)フェノール化合物を加熱溶融させる第一のステップと、溶融状態の(c)フェノール化合物に(a)ホスフィン化合物を溶解させる第二のステップと、(c)フェノール化合物と(a)ホスフィン化合物との溶融混合物に(b)キノン化合物を添加して反応させる第三のステップからなる方法が挙げられ、第二のステップと第三のステップを窒素気流下又は窒素雰囲気下で行う方法がさらに好ましい。また、反応温度は、(c)フェノール化合物の融点又は軟化点以上の温度であれば特に制限はないが、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは100〜200℃である。反応時間は(b)キノン化合物を添加後10分〜3時間が好ましく、10分〜1時間がより好ましい。3時間を超えると変性樹脂の活性が低下し硬化性の低下を招く場合がある。
(a)ホスフィン化合物と(b)キノン化合物の使用量は特に制限はないが、十分な効果を発揮するためには、(b)キノン化合物を(a)ホスフィン化合物に対して等モル以上使用することが好ましい。より好ましくは(b)キノン化合物/(a)ホスフィン化合物のモル比が1〜5、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1.2〜1.7である。(b)キノン化合物が(a)ホスフィン化合物に対して等モル未満の場合には、未反応の(a)ホスフィン化合物が残存する可能性が高くなる。(c)フェノール化合物に対する(a)ホスフィン化合物と(b)キノン化合物の使用量は特に制限はないが、(c)フェノール化合物、(a)ホスフィン化合物及び(b)キノン化合物の総量に対して、(a)ホスフィン化合物と(b)キノン化合物の合計量が60重量%以下であることが好ましく、1〜50重量%の範囲がより好ましく、さらに好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%である。60重量%を超えると反応時の粘度が著しく高くなり均一な変性樹脂が得られない傾向にある。
(D)成分の変性樹脂は、未反応の(a)ホスフィン化合物及びホスフィン化合物の酸化生成物であるホスフィンオキシドが、反応生成物、ホスフィン化合物及びホスフィンオキシドの総和に対して(すなわち反応に使用した(a)ホスフィン化合物に対して)、それぞれ20mol%以下であることがより好ましく、それぞれ10mol%以下であることがさらに好ましい。未反応の(a)ホスフィン化合物の量が20mol%を超えると、ボイドが増加する傾向があり、ホスフィンオキシドが増加すると硬化性が低下する傾向がある。反応生成物、ホスフィン化合物及びホスフィンオキシドは、例えば31P NMRで定量することができる。
本発明によるエポキシ樹脂組成物では、(C)硬化促進剤として、1種以上の(D)成分を使用するが、それらに加えて周知の硬化促進剤を1種以上併用してもよい。組成物における(C)硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成できれば特に制限はない。しかし、樹脂組成物の硬化性及び流動性の観点からは、(A)エポキシ樹脂の合計100重量部に対し、(C)硬化促進剤を正味の硬化促進剤量合計で好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部配合することが望ましい。配合量が0.1重量部未満では短時間で硬化させることが困難であり、20重量部を超えると硬化速度が速すぎて良好な成形品が得られない場合がある。ここで、本発明の(D)成分においての正味の硬化促進剤量は、反応に使用した(a)ホスフィン化合物の量とする。
本発明による(D)成分と併用可能な周知の硬化促進剤としては、例えば、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物、
その誘導体、
それらのフェノールノボラック塩及び
これらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、
DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2−エチル−4−メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N−メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物、
ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類及びこれらの誘導体、
酢酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、リン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ−n−ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物、
トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、
これらホスフィン類と有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物、
これらホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、
これらホスフィン化合物と4−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、2−ブロモフェノール、4−クロロフェノール、3−クロロフェノール、2−クロロフェノール、4−ヨウ化フェノール、3−ヨウ化フェノール、2−ヨウ化フェノール、4−ブロモ−2−メチルフェノール、4−ブロモ−3−メチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール、4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−クロロ−1−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、6−ブロモ−2−ナフトール、4−ブロモ−4´−ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、テトラフェニルホスホニウムとフェノール化合物との塩等のホスホニウム塩化合物、等が挙げられる。中でも、信頼性の観点から、3級ホスフィン及び/又はホスホニウム塩化合物を用いることが好ましく、一般式(I−2)で示されるホスホニウム化合物又はその分子間塩を用いることがより好ましい。
上述の周知の硬化促進剤を併用して(C)硬化促進剤を構成する場合、(C)硬化促進剤全量に対する本発明による1種以上の(D)成分の反応に使用した(a)ホスフィン化合物の含有量は、合計で好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上とすることが望ましい。この含有量が30重量%未満となると、本発明によって達成可能な効果が低下する傾向がある。
(E)無機充填剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、(E)無機充填剤を必要に応じてさらに配合することができる。特に、エポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、(E)無機充填剤を配合することが好ましい。本発明において用いられる(E)無機充填剤としては、一般に封止用成形材料に用いられるものであってよく、特に限定されるものではない。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の微粉未、又はこれらを球形化したビーズなどが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。中でも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。これらの無機充填剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)無機充填剤の配合量は、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、エポキシ樹脂組成物に対して55〜90体積%の範囲であることが好ましい。これら無機充填剤は硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の改良を目的に配合するものであり、配合量が55体積%未満ではこれらの特性の改良が不十分となる傾向があり、90体積%を超えるとエポキシ樹脂組成物の粘度が上昇して流動性が低下し成形が困難になる傾向がある。
また、(E)無機充填剤の平均粒径は1〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。1μm未満ではエポキシ樹脂組成物の粘度が上昇しやすく、50μmを超えると樹脂成分と無機充墳剤とが分離しやすくなり、硬化物が不均一になったり硬化物特性がばらついたり、狭い隙間への充填性が低下したりする傾向がある。
流動性の観点からは、(E)無機充填剤の粒子形状は角形より球形が好ましく、(E)無機充填剤の粒度分布は広範囲に分布したものが好ましい。例えば、無機充填剤を75体積%以上配合する場合、その70重量%以上を球状粒子とし、0.1〜80μmという広範囲に分布したものが好ましい。このような無機充填剤は最密充填構造をとりやすいため配合量を増加させても材料の粘度上昇が少なく、流動性に優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
(各種添加剤)
本発明によるエポキシ樹脂組成物では、必要に応じて上述の成分(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(E)無機充填剤に加えて、以下に例示するカップリング剤、イオン交換体、離型剤、応力緩和剤、難燃剤、着色剤といった各種添加剤を追加してもよい。しかし、本発明によるエポキシ樹脂組成物には、以下の添加剤に限定することなく、必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を追加してもよい。
(カップリング剤)
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、樹脂成分と無機充填剤との接着性を高めるために、必要に応じて、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を添加することができる。
カップリング剤の配合量は、(D)無機充填剤に対して0.05〜5重量%であることが好ましく、0.1〜2.5重量%がより好ましい。0.05重量%未満ではフレームとの接着性が低下する傾向があり、5重量%を超えるとパッケージの成形性が低下する傾向がある。
上記カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかでも、二級アミノ基を有するカップリング剤が流動性及びワイヤ流れの観点から好ましい。
(イオン交換体)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、陰イオン交換体を必要に応じて配合することができる。特にエポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、陰イオン交換体を配合することが好ましい。本発明において用いられる陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、例えば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、下記一般式(XIX)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
Figure 0005395331

(式(XIX)中、0<X≦0.5、mは正の数)
これらの陰イオン交換体の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に制限はないが、(B)エポキシ樹脂に対して0.1〜30重量%の範囲が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。
(離型剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、成形時に金型との良好な離型性を持たせるため離型剤を配合してもよい。本発明において用いられる離型剤としては特に制限はなく従来公知のものを用いることができる。例えば、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックス等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、酸化型又は非酸化型のポリオレフィン系ワックスが好ましく、その配合量としては(B)エポキシ樹脂に対して0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。ポリオレフィン系ワックスの配合量が0.01重量%未満では離型性が不十分な傾向があり、10重量%を超えると接着性が阻害される可能性がある。ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば市販品ではヘキスト社製のH4、PE、PEDシリーズ等の数平均分子量が500〜10000程度の低分子量ポリエチレンなどが挙げられる。また、ポリオレフィン系ワックスに他の離型剤を併用する場合、その配合量は(B)エポキシ樹脂に対して0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜3重量%がより好ましい。
(応力緩和剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、シリコーンオイル、シリコーンゴム粉末等の応力緩和剤などを必要に応じて配合することができる。応力緩和剤を配合することにより、パッケージの反り変形量、パッケージクラックを低減させることができる。使用できる応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の可とう剤(応力緩和剤)であれば特に限定されるものではない。一般に使用されている可とう剤としては、例えば、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル−シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体等のコア−シェル構造を有するゴム粒子等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、シリコーン系可とう剤が好ましく、シリコーン系可とう剤としては、エポキシ基を有するもの、アミノ基を有するもの、これらをポリエーテル変性したもの等が挙げられる。
(難燃剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、難燃性を付与するために必要に応じて難燃剤を配合することができる。本発明において用いられる難燃剤としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む公知の有機若しくは無機の化合物、金属水酸化物などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。難燃剤の配合量は、難燃効果が達成されれば特に制限はないが、エポキシ樹脂などの(B)エポキシ樹脂に対して1〜30重量%が好ましく、2〜15重量%がより好ましい。
(着色剤)
また、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、ピッチ、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を配合しても良い。
先に説明した本発明のエポキシ樹脂組成物は、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に撹拌、混合し、予め70〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練、冷却し、粉砕するなどの方法で得ることができる。樹脂組成物は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると取り扱いが容易である。
〔電子部品装置〕
本発明による電子部品装置は、上述のエポキシ樹脂組成物によって封止した素子を備えることを特徴とする。電子部品装置としては、例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載したものが挙げられ、それら素子部を本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したものが挙げられる。より具体的には、例えば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いてトランスファ成形などによって封止した、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール、裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明のエポキシ樹脂組成物で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板にも本発明のエポキシ樹脂組成物は有効に使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的ではあるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
以下、本発明について実施例によってより具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す実施例によって制限されるものではない。
〔硬化促進剤の合成〕
(合成例1)
1LのセパラブルフラスコにビスフェノールF(本州化学株式会社製ビスフェノールF、2核体含有率約90%)828gを投入して、120℃に加熱した。次いで、窒素ガス気流下トリフェニルホスフィン106g(0.40mol)を投入し溶解した後、1,4−ベンゾキノン66g(0.61mol)を約15分かけて徐々に投入した。その後、125℃で約30分間加熱攪拌して、変性樹脂1を得た。31P NMRを測定した結果、変性樹脂1中に含まれるリン原子うち、トリフェニルホスフィンのリン原子は0%、トリフェニルホスフィンオキシドのリン原子は2%であった。
(合成例2)
1LのセパラブルフラスコにビスフェノールF(三井化学株式会社製BPF−M、2核体含有率約90%)714gを投入して、120℃に加熱した。次いで、窒素ガス気流下トリフェニルホスフィン177g(0.67mol)を投入し溶解した後、1,4−ベンゾキノン109g(1.01mol)を約20分かけて徐々に投入した。その後、125℃で約30分間加熱攪拌して、変性樹脂2を得た。31P NMRを測定した結果、変性樹脂2中に含まれるリン原子うち、トリフェニルホスフィンのリン原子は0%、トリフェニルホスフィンオキシドのリン原子は3%であった。
(合成例3)
1LのセパラブルフラスコにビスフェノールF(本州化学株式会社製ビスフェノールF、2核体含有率約90%)599gを投入して、120℃に加熱した。次いで、窒素ガス気流下トリフェニルホスフィン248g(0.95mol)を投入し溶解した後、1,4−ベンゾキノン153g(1.42mol)を約30分かけて徐々に投入した。その後、125℃で約30分間加熱攪拌して、変性樹脂3を得た。31P NMRを測定した結果、変性樹脂3中に含まれるリン原子うち、トリフェニルホスフィンのリン原子は0%、トリフェニルホスフィンオキシドのリン原子は2%であった。
(合成例4)
1LのセパラブルフラスコにビスフェノールF(本州化学株式会社製ビスフェノールF、2核体含有率約90%)601gを投入して、120℃に加熱した。次いで、窒素ガス気流下ジフェニル−p−トリルホスフィン252g(0.91mol)を投入し溶解した後、1,4−ベンゾキノン148g(1.37mol)を約30分かけて徐々に投入した。その後、125℃で約30分間加熱攪拌して、変性樹脂4を得た。31P NMRを測定した結果、変性樹脂4中に含まれるリン原子うち、トリフェニルホスフィンのリン原子は0%、トリフェニルホスフィンオキシドのリン原子は3%であった。
(合成例5)
1LのセパラブルフラスコにビスフェノールF(本州化学株式会社製ビスフェノールF、2核体含有率約90%)604gを投入して、120℃に加熱した。次いで、窒素ガス気流下トリ−p−トリルホスフィン258g(0.85mol)を投入し溶解した後、1,4−ベンゾキノン138g(1.28mol)を約30分かけて徐々に投入した。その後、125℃で約30分間加熱攪拌して、変性樹脂5を得た。31P NMRを測定した結果、変性樹脂5中に含まれるリン原子うち、トリフェニルホスフィンのリン原子は0%、トリフェニルホスフィンオキシドのリン原子は1%であった。
(合成例6)
1LのセパラブルフラスコにビスフェノールF(本州化学株式会社製ビスフェノールF、2核体含有率約90%)710gを投入して、110℃に加熱した。次いで、窒素ガス気流下トリフェニルホスフィン171g(0.65mol)を投入し溶解した後、1,4−ベンゾキノン119g(0.97mol)を約20分かけて徐々に投入した。その後、110℃で約10分間加熱攪拌して、変性樹脂6を得た。31P NMRを測定した結果、変性樹脂6中に含まれるリン原子うち、トリフェニルホスフィンのリン原子は1%、トリフェニルホスフィンオキシドのリン原子は4%であった。
(合成例7)
1LのセパラブルフラスコにビスフェノールF(本州化学株式会社製ビスフェノールF、2核体含有率約90%)580g及び水酸基当量176、軟化点70℃のフェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製ミレックスXL−225)248gを投入して、120℃に加熱した。次いで、窒素ガス気流下トリフェニルホスフィン177g(0.67mol)を投入し溶解した後、1,4−ベンゾキノン109g(1.01mol)を約30分かけて徐々に投入した。その後、125℃で約30分間加熱攪拌して、変性樹脂7を得た。31P NMRを測定した結果、変性樹脂7中に含まれるリン原子うち、トリフェニルホスフィンのリン原子は0%、トリフェニルホスフィンオキシドのリン原子は3%であった。
(比較合成例1)
1Lのセパラブルフラスコに水酸基当量176、軟化点70℃のフェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製ミレックスXL−225)828gを投入して、120℃に加熱した。次いで、窒素ガス気流下トリフェニルホスフィン106g(0.40mol)を投入し溶解した後、1,4−ベンゾキノン66g(0.61mol)を約15分かけて徐々に投入した。その後、125℃で約30分間加熱攪拌して、変性樹脂Aを得た。31P NMRを測定した結果、変性樹脂A中に含まれるリン原子うち、トリフェニルホスフィンのリン原子は0%、トリフェニルホスフィンオキシドのリン原子は2%であった。
〔エポキシ樹脂組成物の調製及びその特性評価〕
エポキシ樹脂として、エポキシ当量196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂1:ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名YX−4000H)、エポキシ当量192、融点79℃のジフェニルメタン骨格型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2:新日鐡化学株式会社製商品名YSLV−80XY)、エポキシ当量195、軟化点62℃のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂3:住友化学株式会社製商品名ESCN−190−2)難燃効果のあるエポキシ樹脂として、エポキシ当量393、軟化点80℃、臭素含有量48重量%の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(臭素化エポキシ樹脂)を用意した。
硬化剤として、水酸基当量176、軟化点70℃のフェノールアラルキル樹脂(硬化剤1:三井化学株式会社製商品名ミレックスXL−225)、水酸基当量199、軟化点89℃のビフェニル骨格型フェノール樹脂(硬化剤2:明和化成株式会社製商品名MEH−7851)、水酸基当量106、軟化点80℃のフェノールノボラック樹脂(硬化剤3:日立化成工業株式会社製商品名HP−850N)を用意した。
本発明による硬化促進剤として、上記合成例1で得られた化合物(変性樹脂1)、上記合成例2で得られた化合物(変性樹脂2)、上記合成例3で得られた化合物(変性樹脂3)、上記合成例4で得られた化合物(変性樹脂4)、上記合成例5で得られた化合物(変性樹脂5)、上記合成例6で得られた化合物(変性樹脂6)、上記合成例7で得られた化合物(変性樹脂7)を用意した。また、比較の硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(硬化促進剤A)、上記比較合成例1で得られた化合物(変性樹脂A)を用意した。
無機充填剤として、平均粒径17.5μm、比表面積3.8m/gの球状溶融ゲルを用意した。その他、各種添加剤として、カップリング剤であるエポキシシラン(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、着色剤であるカーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名MA−100)、離型剤であるカルナバワックス(株式会社セラリカNODA製)、難燃剤である三酸化アンチモンを用意した。
上述の成分をそれぞれ表1に示す重量部で配合し、混練温度80℃、混練時間15分の条件でロール混練を行うことによって、それぞれ実施例1〜9、比較例1〜4のエポキシ樹脂組成物を得た。
Figure 0005395331
次に、実施例1〜9、及び比較例1〜4によって得られたエポキシ樹脂組成物を、以下に示す各種試験によって評価した。評価結果を表2に示す。なお、エポキシ樹脂組成物の成形は、トランスファ成形機を用い、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件下で行った。また、後硬化は175℃で6時間行った。
(1)スパイラルフロー(流動性の指標)
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、上記条件でエポキシ樹脂組成物を成形して流動距離(cm)を測定した。
(2)熱時硬度
エポキシ樹脂組成物を上記条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
Figure 0005395331
表2から分かるように、本発明による硬化促進剤を含有する実施例1〜9は、いずれにおいても流動性に優れる結果となった。これに対して、本発明による硬化促進剤とは異なる種類の硬化促進剤を含む比較例1〜4では、流動性に劣っている。
本発明による硬化促進剤を用いたエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤以外同じである比較例と比較して、流動性に優れる。このようなエポキシ樹脂組成物を用いてIC、LSI等の電子部品の素子を封止することによって、作業性が良好で、信頼性に優れる電子部品装置を提供することが可能となり、その工業的価値は高い。

Claims (7)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)硬化促進剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物において、(C)硬化促進剤が、(D)(a)ホスフィン化合物と、(b)キノン化合物と、(c)分子内に2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物の含有率が50重量%以上である分子内に平均2以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物とを反応させてなる変性樹脂であり、前記フェノール化合物がビスフェノールFであり、前記(D)変性樹脂において未反応の(a)ホスフィン化合物及びホスフィン化合物の酸化生成物であるホスフィンオキシドの量が反応に使用した(a)ホスフィン化合物に対して20mol%以下である、エポキシ樹脂組成物。
  2. (a)ホスフィン化合物が、下記一般式(I−1)で示されるホスフィン化合物であり、(b)キノン化合物が、下記一般式(I−2)で示されるキノン化合物である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0005395331
    (ここで、式(I−1)中のR〜Rは、炭素数1〜18の炭化水素基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。また、式(I−2)中のR〜Rは、水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。RとRが結合して環状構造となっていてもよい。)
  3. (c)フェノール化合物の150℃におけるICI粘度が10mPa・s以下である請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. さらに(E)無機充填剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. (A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、アラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、からなる群より選ばれる1以上のエポキシ樹脂を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. (B)硬化剤が、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、からなる群より選ばれる1以上の樹脂を含有する請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止された素子を備える電子部品装置。
JP2007096303A 2007-04-02 2007-04-02 エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置 Active JP5395331B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007096303A JP5395331B2 (ja) 2007-04-02 2007-04-02 エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007096303A JP5395331B2 (ja) 2007-04-02 2007-04-02 エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008255155A JP2008255155A (ja) 2008-10-23
JP5395331B2 true JP5395331B2 (ja) 2014-01-22

Family

ID=39979065

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007096303A Active JP5395331B2 (ja) 2007-04-02 2007-04-02 エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5395331B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000049259A (ja) * 1998-05-29 2000-02-18 Hitachi Chem Co Ltd 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置
JP2002105170A (ja) * 2000-09-29 2002-04-10 Hitachi Chem Co Ltd 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置
JP4752333B2 (ja) * 2002-10-18 2011-08-17 日立化成工業株式会社 硬化性樹脂組成物及び電子部品装置
JP4561227B2 (ja) * 2004-08-10 2010-10-13 住友ベークライト株式会社 半導体封止用樹脂組成物及び半導体装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008255155A (ja) 2008-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7585904B2 (en) Curing accelerator, curable resin composition and electronic parts device
JP6172235B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP5750777B2 (ja) カリックスアレーン誘導体、カリックスアレーン誘導体の製造方法、エポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP6176339B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP4892984B2 (ja) 硬化性樹脂組成物及び電子部品装置
JP2010024265A (ja) エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた電子部品装置
JP2004156035A (ja) 硬化性樹脂の硬化促進剤、硬化性樹脂組成物及び電子部品装置
WO2018181813A1 (ja) エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP5008199B2 (ja) エポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP2018104603A (ja) 硬化性樹脂組成物及び電子部品装置
JP2006233189A (ja) 硬化促進剤、硬化性樹脂組成物及び電子部品装置
JP2006249222A (ja) エポキシ樹脂硬化剤とその製造方法、エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP2005256011A (ja) 硬化性樹脂組成物及び電子部品装置
JP2007031698A (ja) エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP5395331B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP6291729B2 (ja) エポキシ樹脂用硬化促進剤、エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP6111710B2 (ja) 硬化性樹脂組成物及び電子部品装置
JP2010024266A (ja) エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた電子部品装置
JP4752333B2 (ja) 硬化性樹脂組成物及び電子部品装置
JP5326184B2 (ja) 新規化合物及びその製造方法
JP2009256436A (ja) エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP2023023485A (ja) エポキシ樹脂組成物、硬化物、及び電子部品装置
JP2022107373A (ja) 熱硬化性樹脂組成物の製造方法、熱硬化性樹脂組成物、及び電子部品装置
JP4752332B2 (ja) 硬化性樹脂組成物及び電子部品装置
WO2022186361A1 (ja) 硬化性樹脂組成物及び電子部品装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100401

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110318

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120217

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120621

R155 Notification before disposition of declining of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R155

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131018

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5395331

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350