JP2008245727A - ミシンの布押さえ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】布送り装置のダンピングを防止する
【解決手段】布押さえ装置1は、基端部がベッド部上に立設されXY駆動手段によりベッド部上をXY方向自在に移動する布送り台10と、一端が布送り台10に昇降可能に取り付けられた布押さえ腕20と、布押さえ腕20の他端に連結され上方から布地Mを押さえる布押さえ30と、布押さえ30を上方待機位置P1と布保持位置P2とに昇降させるシリンダ装置50と、一端が布送り台10の下部に連結されるとともに他端が布押さえ30の下方に延設され、布保持位置P2に下降した布押さえ30とで挟持することにより布を保持する下板40とを備えている。さらに、布押さえ腕20には、布押さえ30のX軸方向に沿う移動に対して、追従して移動を行う振動減衰ダンパー61有するダンパー装置60が設けられている。
【選択図】図4

Description

本発明は、ミシンの布押さえ装置に関し、特に、保持した布をXY駆動手段により前後左右に移動するミシンの布押さえ装置に関する。
従来、被縫製物たる布を保持する保持枠をXY方向に移動して刺繍などの模様縫いを行うミシンの布押さえ装置にあっては、XY駆動手段によりミシンベッド上においてXY方向自在に移動可能な布送り台と、この布送り台に一端が昇降可能に取り付けられた布押さえ腕と、この布押さえ腕の他端に一端が固定され上方から布を押さえる布押さえ(保持枠)と、一端が布送り台に固定されるとともに他端が布押さえの下方に延設され、布押さえとの協働で布を保持しながら布送り台と一体的に移動する下板とが設けられている(例えば、特許文献1参照)。そして、エアシリンダ等の昇降駆動装置により、非縫製時には布押さえが上方待機位置にて待機した状態を維持し、縫製時には布押さえが布保持位置まで下降して布を押さえつけ、予め設定された模様データに従い縫い針の上下動に同期して間欠的に布を移動することで所望の縫い目模様が形成される。
ところで、近年、布押さえの大型化や縫製速度の高速化に伴い、一針ごとに間欠的に移動と停止とを繰り返す布送り動作の際に、停止時の反力によって布送り台、布押さえ腕、布押さえ及び下板に、送り方向とは逆向きの振動(いわゆるダンピング)が生じ、縫製位置が定まらずに縫い品質が低下するという問題が生じている。このダンピングは、停止の際、緩やかに減速することで抑えることができる。そして、このダンピングを防止する技術としては、駆動源たるパルスモータの出力軸自体に磁石や錘を取り付けて、慣性力と磁力の大きさに応じた応答速度でモータの出力軸に遅れて起動、停止することで反力を打ち消すダンパー装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−76669号公報 特開2004−255161号公報
しかしながら、上記特許文献2に開示されるダンパー装置をミシンの布送り装置に使用した場合、送り台を駆動するための駆動源たるパルスモータの出力軸自体にダンパー装置が設けられるため、パルスモータ自体のダンピングは防止することができても、タイミングベルトやプーリを介在することでパルスモータから離れた位置で布を保持する布押さえや下板、或いは、布送り台や布押さえ腕で発生するダンピングまで十分に防止することができないという問題があった。このため、制振装置として必ずしも十分な効果が得られているとは言えず、縫い位置がばらついて縫い品質が低下するという問題があった。また、上記ダンパー装置において、パルスモータを緩やかに減速して停止させることでダンピングを防止することも考えられるが、その場合は一針あたりの送り動作に要する時間(特に、停止に要する時間)を長く確保する必要があるため、ミシンの高速駆動が困難になるという問題があった。
本発明は、布送り装置のダンピングを防止することをその目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、基端部がミシンベッド上に立設されXY駆動手段により前記ミシンベッド上をXY方向自在に移動する布送り台と、一端が前記布送り台に昇降可能に取り付けられた布押さえ腕と、前記布押さえ腕の他端に連結され上方から被縫製物を押さえる布押さえと、前記布押さえを上方待機位置と布保持位置とに昇降させる昇降駆動手段と、を備え、前記布押さえ腕又は布押さえに、前記布押さえの少なくとも何れかの移動方向に沿った移動に対して、追従して移動を行う移動体を有するダンパー装置を設けたことを特徴とするミシンの布押さえ装置である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ダンパー装置は、前記XY駆動手段による布押さえの少なくとも何れかの移動方向に沿うガイド部材と、このガイド部材に沿って摺動可能な固形物の前記移動体と、を備えることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記移動体を基準位置に復帰するばねを備えることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、被縫製物を保持する布押さえ腕又は布押さえに直接、ダンパー装置を設けたことにより、布送りの停止時における被縫製物の停止位置のばらつきを効率的に解消することができるため、縫い品質の向上が図られる。ここで、ダンパー装置の移動体は、布押さえの移動に追従して遅れて移動する。そして、この遅れて移動する移動体により、停止時の反力による布押さえの振動すなわちダンピングが逆向きの力で速やかに打ち消される。従って、布送りの際に短時間で適正な移動量を得ることができるため、布送り量すなわち縫いピッチのばらつきが解消され、縫い品質の向上を図ることができる。また、縫い品質を低下することなくミシンを高速で駆動することも可能となる。
請求項2記載の発明によれば、ダンパー装置を、ガイド部材とこのガイド部材に沿って摺動する固形物の移動体とを備える構成としたことにより、請求項1記載の発明と同様の効果を簡易な構成で実現することができる。また、互いが摺動するガイド部材と移動体との摩擦力を適宜調節することで、布押さえに対する移動体の遅れ時間すなわち応答速度を所望に調節することができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様の効果を得ることができる他、特に、布押さえの移動に追従する移動体には、ばねにより常に基準位置に向かう付勢力が作用する。これにより、移動体を基準位置に保持するように配置することができるため、次の送り動作の際に布押さえがガイド部材の取り付け方向に沿う何れの方向に移動する場合であっても、上記制振効果を発揮し得る状態に維持することができる。
以下、図1〜図4を参照して、本発明に係るミシンの布押さえ装置を実施するための最良の形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。また、本実施形態においては、各図中に示したXYZ軸を基準にして各部の方向を定めるものとする。ミシンを水平面に設置した状態において、Z軸方向は鉛直方向となる上下方向を示し、Y軸方向は図示しないアーム部の長手方向と一致する左右方向を示し、X軸方向は水平且つY軸方向に直交する前後方向を示す。
(全体構成)
本実施形態たるミシンの布押さえ装置1は、例えば、所定の縫製データに基づき被縫製物たる布地MをXY方向に移動して刺繍縫い等を行う電子サイクルミシンに搭載される。
このミシンの布押さえ装置1(以下、単に布押さえ装置1とする)は、図示しないミシンフレームのベッド部(ミシンベッド)上に配置されている。ミシンフレームは、当該ミシンフレームの下部をなすベッド部と、該ベッド部の一端から上方に立設された縦胴部と、ミシンフレームの上部をなし縦胴部の上部からベッド部の長手方向(Y軸方向)に沿って延設されたアーム部(ミシンアーム)とから構成されており、その外形が正面視にて略コ字状に成形されている。なお、ミシンフレーム内には、回動自在で前後方向に延びる図示しない上軸及び下軸等の動力伝達機構が設けられている。また、本実施形態では、アーム部の先端であるミシン面部側においてミシンのオペレータによる縫製作業が行われる。
かかる布押さえ装置1は、図1〜図3に示すように、基端部がベッド部上に立設されXY駆動手段によりベッド部上をXY方向自在に移動する布送り台10と、一端がこの布送り台10に昇降可能に取り付けられた布押さえ腕20と、この布押さえ腕20の他端に連結され上方から被縫製物たる布地Mを押さえる布押さえ30と、この布押さえ30を上方待機位置P1と布保持位置P2とに昇降させる昇降駆動手段たるシリンダ装置50と、一端が布送り台10の下部に連結されるとともに他端が布押さえ30の下方に延設され、布保持位置P2に下降した布押さえ30とで挟持することにより布地Mを保持する下板40とを備えている。そして、布押さえ腕20には、布押さえ30の移動方向(本実施形態では、X軸方向)に沿った移動に対して、追従して移動を行う移動体としての振動減衰ダンパー61有するダンパー装置60が設けられている。以下、各部を詳しく説明する。
布送り台10は、図1〜図3に示すように、その基端部がベッド部上に立設されるとともに、先端部がアーム部とベッド部との間に配置されており、該先端部がアーム部の先端で上下動を行う図示しない縫い針及び中押さえの近傍まで延出された形状となっている。
この布送り台10は、ベッド部内に設けられたXY駆動手段としての図示しないX軸パルスモータ及びY軸パルスモータによって駆動され、ベッド部上においてXY方向自在に移動可能となっている。X軸パルスモータ及びY軸パルスモータは、それぞれ図示しないギヤ機構、駆動軸、タイミングベルト、ガイドレール等を介して布送り台10にXY方向の移動力を付与する。なお、各パルスモータの駆動量及び駆動のタイミングは、本実施形態では図示しない制御部により、針上下動の駆動源たるミシンモータ(図示省略)とは独立に駆動制御されるようになっている。
布押さえ腕20は、図1及び図2に示すように、その基端部が布送り台10の先端に上下方向(Z軸方向)に沿って昇降自在かつ着脱自在に連結されている。この布押さえ腕20の先端は、二股に分かれてそれぞれミシン面部側まで平行に延出されており、平面視にて略コ字状をなすアーム部材となっている。そして、布押さえ腕20は、後述するシリンダ装置50の駆動に応じて二本の先端部が水平状態を維持したまま上下に駆動される(図3参照)。かかる布押さえ腕20は、ベッド部の上面と対向する下面側が開放された略コ字状のフレーム構造をなしており、その内部空間が複数のリブ21によって複数のスペース(小部屋)に仕切られている。なお、図2では、説明の便宜のため、布押さえ腕20の基端部の前面を切り欠いて表示している。また、この布押さえ腕20や後述する布押さえ30は、縫製対象である布地Mの大きさに応じて種々のサイズのものと交換可能となっている。
布押さえ30は、例えば、図1に示すように、上下方向に貫通した開口部を有する長方形状の枠体であり、四辺の内側は大きく開口されている。この布押さえ30は、Y軸方向と平行をなす二辺の一端と他端との中間においてそれぞれ上記布押さえ腕20の先端部に連結されている。また、布押さえ30は、後述するシリンダ装置50の駆動に応じて布押さえ腕20が上下動を行うと、該布押さえ腕20と一体的に上昇又は下降移動を行う。そして、下降時には後述する下板40上に載置された布地Mを上方から押さえつける布保持位置P2に配置され、該下板40との協働により挟持した布地Mを保持したままベッド部の上面に沿ってXY方向に移動する。
つまり、布押さえ30は、布地Mを保持するとともに、X軸パルスモータ及びY軸パルスモータの駆動に伴い、保持した布地Mを当該布押さえ30ごと前後左右方向(XY方向)に移動する。そして、この布押さえ30の移動と、図示しない縫い針及び釜の動作とが連動することで、上記開口部の内側で保持された布地Mに対して針落ちがなされ、所定の縫製データに基づく縫い目模様が形成される。ここで、所定の縫製データとは、例えば、種々の模様を形成するために予め一針ごとに設定された全針落ち点のXY座標データや送りピッチ等に関するデータ等をいい、これらの縫製データは本実施形態では図示しない制御部の記憶装置や外部記憶装置に記憶されている。
下板40は、図1〜図3に示すように、その基端(後端)部が布送り台10の基端部の前面側下部に連結されており、先端部はベッド部の上面に沿って該ベッド部の前方側まで延設されている。この下板40の先端部は、布押さえ30の先端とほぼ同形の四角い枠状に形成されており、布押さえ30に対して下方から対向するように配置されている。そして、この先端部に載置された布地Mを上述した布押さえ30と共に挟持することで布地Mが保持され、当該先端部の枠の内側において縫い針による針落ちが行われる。
シリンダ装置50は、布送り台10の両側にそれぞれ配置され、流体として空気を用いる一対のエアシリンダにより構成されている。かかるエアシリンダは、布送り台10に取り付けられたシリンダと、図示しない踏み込みペダルの踏み込みに応じて進退するピストンロッドと、シリンダ内への空気の送気量を調節するための電磁弁とを備えた従来周知の構成が採られている。そして、シリンダ装置50は、布押さえ30を、下降して上方から布地Mを押さえつける布保持位置P2と上方に退避し上位置に配置された上方待機位置P1とに昇降させるようになっている。
(ダンパー装置)
ここで、本実施形態におけるダンパー装置60について詳しく説明する。
ダンパー装置60は、XY駆動手段による布押さえ30の移動方向(本実施形態では、X軸方向)に沿うガイド部材たるダンパー軸62と、このダンパー軸62に沿って摺動可能な固形物の移動体たる振動減衰ダンパー61と、この振動減衰ダンパー61を基準位置S(後述する)に復帰するダンパー受けばね64(ばね)とを備えている。
ダンパー軸62は、布押さえ腕20の二本のアーム部材のうち、X軸方向に沿う基端部の内側でX軸方向に沿って設けられている。本実施形態では、ミシン面部側から見て該基端部の中央部を除く左右(図4における左右方向と一致する)両側の基端部内にそれぞれダンパー軸62が配されている。各ダンパー軸62,62は、リブ21をX軸方向に貫通しており、その両端がスラストカラー63によって位置決めされている。
振動減衰ダンパー61は、図1及び図4に示すように、X軸方向に沿う円筒状の固形物からなる錘であって、ダンパー軸62に摺動可能に外挿されている。本実施形態では、布押さえ腕20のフレーム内部を仕切るリブ21とリブ21との間のスペースにそれぞれ一つずつ、合計四つの振動減衰ダンパー62が装備されている。但し、本発明における移動体すなわち振動減衰ダンパー61の数を四つに限定するものではなく、例えば、リブ21で仕切られたスペースの数や布押さえ腕20の重量バランスに応じて必要なスペースに必要な数(例えば、各スペースに1以上であってもよいし、ゼロとして振動減衰ダンパー61を設けないスペースがあってもよい)だけ設ければよい。各振動減衰ダンパー61とリブ21との間には、当該各振動減衰ダンパー61をX軸方向に沿って移動可能とする隙間が確保されている。
かかる振動減衰ダンパー61は、布送り時に布押さえ腕20がX軸方向に移動したとき、自らの慣性力によりダンパー軸62に沿ってX軸方向に相対的に移動するとともに、互いの摺接面における摩擦力や後述するダンパー受けばね64の付勢力により、布押さえ30に追従して(遅れて)移動又は停止するようになっている。その際の摩擦力は、振動減衰ダンパー61とダンパー軸62との嵌め合い強さ、つまり、当該振動減衰ダンパー61の内径寸法とダンパー軸62の外径寸法とを所望に設定することで調節される。
ダンパー受けばね64は、各振動減衰ダンパー62の軸方向端部とリブ21との間に配設されてダンパー軸62に外挿されている。各ダンパー受けばね64は圧縮ばねであり、各々の一端がリブ21に圧接されるとともに、他端が振動減衰ダンパー61のスラスト端面に圧接している。そして、これら各ダンパー受けばね64は、XY駆動手段によるX軸方向への送り動作が行われない状態、すなわち、布送り台10、布押さえ腕20、布押さえ30及び下板40がX軸方向に移動しない状態において、上記各振動減衰ダンパー61をそれぞれ各スペースの中間位置(中央)である基準位置Sに配置するように付勢している。なお、このダンパー受けばね64は、例えば、引っ張りばねであってもよい。
そして、ダンパー装置60は、上記振動減衰ダンパー61とダンパー軸62との摩擦力や振動減衰ダンパー61の重さ、或いは、ダンパー受けばね64のばね定数を適宜調節することにより、布押さえ30に対する振動減衰ダンパー61の遅れ時間すなわち応答速度を所望に調節することができるようになっている。
(布押さえ装置の動作説明)
次に、図4を参照しながら、上記構成を備える布押さえ装置1の動作説明を行う。
図4(a)は、布押さえが停止した状態(或いは、X軸方向への移動がなくY軸方向にのみ移動している状態)のダンパー装置60の状態を示している。この図4(a)に示すように、X軸方向への移動を行わない状態において、各振動減衰ダンパー61はそれぞれが所定の基準位置Sに配置されている。
次に、図示しないX軸パルスモータの駆動により、布送り台10、布押さえ腕20、布押さえ30及び下板40が一体となって図4(b)に示す矢印A方向(図4における左方向)に移動すると、振動減衰ダンパー61は、自らの慣性力により基準位置Sに留まろうとするため、ダンパー軸62に対しては相対的に矢印B方向(図4(b)における右方向)に移動する。そして、ダンパー軸62との摩擦やダンパー受けばね64の付勢力により、布押さえ30に遅れて矢印A方向に移動することとなる。
次に、布送り台10、布押さえ腕20、布押さえ30及び下板40が次の縫製位置で停止すると、その際の反力によって、布押さえ腕20や布押さえ30には図4(c)に示すように、送り方向とは逆向きである矢印B方向(図4(c)における右方向)に戻ろうとする力が作用する。ここで、本実施形態の布押さえ装置1では、各振動減衰ダンパー61が布押さえ腕20や布押さえ30に遅れて停止するため、未だ各振動減衰ダンパー61が矢印A方向に移動中である。このため、布押さえ腕20及び布押さえ30には、矢印B方向に向かう反力を打ち消して相殺する力が作用することとなる。従って、送り動作停止時の反力により布送り台10、布押さえ腕20、布押さえ30及び下板40が布送り方向とは逆向きに向かうダンピングが防止され、振動が収束することとなる。
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態たるミシンの布押さえ装置1によれば、送り動作を停止する際における布送り台10、布押さえ腕20、布押さえ30及び下板40の振動すなわちダンピングを逆向きの力で速やかに打ち消すことができる。従って、布送りの際に短時間で適正な移動量を得ることができるため、布送り量すなわち縫いピッチのばらつきが解消され、縫い品質の向上を図ることができる。また、縫い品質を低下することなくミシンを高速で駆動することも可能となる。また、ダンパー装置60を布押さえ腕20に設けたことにより、下板40との協働で挟持することで布を保持する布押さえ30に対して効率的に制振作用を及ぼすことができる。
(その他)
なお、本実施形態では、スペースの都合上、ダンパー装置60を布押さえ腕20に設けたが、例えば、このダンパー装置60を布押さえ30に設ける構成としてもよい。
また、本実施形態では、X軸方向のダンピングを収束するようにダンパー装置60をX軸方向に沿って配置しているが、同様の構成をY軸方向に沿って設けてもよい。
また、振動減衰ダンパー61とダンパー軸62との接触状態は、該振動減衰ダンパー61の内周面とダンパー軸62の周面との面接触としてもよく、また、振動減衰ダンパー61の内周の一部とダンパー軸62の周面とが円形に接する線接触としてもよく、或いは、ボールベアリング等を介して点接触としてもよい。
また、本実施形態では、移動体として固形の錘である振動減衰ダンパー61を採用したが、例えば、移動体として粉体又は液体を採用することも可能である。具体的には、例えば、布押さえ腕20の下面を閉じる構造として形成される内部空間に、該内部空間内を移動可能な隙間を確保した状態で粉体として適量の砂を封入する構成としてもよい。また、その内部空間に、例えば、液体として水やオイルを封入することとしてもよい。この場合、所望の粘性抵抗を有する液体を採用することで、布押さえの移動に対する遅れ時間(応答速度)や、ダンピング収束までの時間を調節することができる。また、例えば、布押さえ30の移動方向に沿ってオイルダンパを設ける構成としてもよい。また、布押さえ腕20の内部(空間)に液体を封入し、本実施形態で示した振動減衰ダンパー61が当該液体内を移動するようにしてもよい。
本実施形態たるミシンの布押さえ装置の要部構成を示す分解斜視図である。 本実施形態たるミシンの布押さえ装置を示す斜視図である。 本実施形態たるミシンの布押さえ装置を示す側面図である。 本実施形態におけるダンパー装置の動作を示す動作説明図である。図において(a)は送り開始前、(b)は送り開始時、(c)は送り停止時を示す。
符号の説明
1 布押さえ装置(ミシンの布押さえ装置)
10 布送り台
11 スライダ
20 布押さえ腕
21 リブ
30 布押さえ(保持枠)
40 下板
50 シリンダ装置(昇降駆動手段)
60 ダンパー装置
61 振動減衰ダンパー(移動体,錘)
62 ダンパー軸(ガイド部材)
63 スラストカラー
64 ダンパー受けばね(ばね)
M 布地(被縫製物)

Claims (3)

  1. 基端部がミシンベッド上に立設されXY駆動手段により前記ミシンベッド上をXY方向自在に移動する布送り台と、
    一端が前記布送り台に昇降可能に取り付けられた布押さえ腕と、
    前記布押さえ腕の他端に連結され上方から被縫製物を押さえる布押さえと、
    前記布押さえを上方待機位置と布保持位置とに昇降させる昇降駆動手段と、を備え、
    前記布押さえ腕又は布押さえに、前記布押さえの少なくとも何れかの移動方向に沿った移動に対して、追従して移動を行う移動体を有するダンパー装置を設けたことを特徴とするミシンの布押さえ装置。
  2. 前記ダンパー装置は、前記XY駆動手段による布押さえの少なくとも何れかの移動方向に沿うガイド部材と、このガイド部材に沿って摺動可能な固形物の前記移動体と、を備えることを特徴とする請求項1記載のミシンの布押さえ装置。
  3. 前記移動体を基準位置に復帰するばねを備えることを特徴とする請求項2記載のミシンの布押さえ装置。
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