JP2008244013A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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久 岡田
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広文 福永
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Abstract

【課題】本発明の課題は、高い発光効率を示し、かつ耐久性に優れた有機電界発光素子を提供することにある。
【解決手段】一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層と陽極との間に、ホール輸送材料を含有するホール輸送層を有し、該ホール輸送層がさらにホスフィンオキサイド化合物を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明はフルカラ−ディスプレイ、バックライト、照明光源等の面光源やプリンタ−等の光源アレイ等に有効に利用できる有機電界発光素子(以下、有機EL素子と呼ぶ場合がある。)に関する。
有機EL素子は、発光層もしくは発光層を含む複数の有機層と、有機層を挟んだ対向電極とから構成されている。有機EL素子は、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機層において再結合し、生成した励起子からの発光、及び前記励起子からエネルギー移動して生成した他の分子の励起子からの発光の少なくとも一方を利用した発光を得るための素子である。
これまで有機EL素子は、機能を分離した積層構造を用いることにより、輝度及び素子効率が大きく改善され発展してきた。例えば、ホール輸送層と発光兼電子輸送層を積層した二層積層型素子やホール輸送層、発光層および電子輸送層とを積層した三層積層型素子や、ホール輸送層、発光層、正孔阻止層および電子輸送層とを積層した四層積層型素子がよく用いられる。
しかしながら、有機EL素子の実用化には、発光効率を高めることおよび駆動耐久性を高めることなど未だ多くの課題が残されている。特に発光効率を高めることは、電力消費が低減でき、さらに駆動耐久性の点でも有利となるので、これまで多くの改良手段が開示されている。しかしながら、一般に発光効率の高い発光材料は駆動中に輝度劣化を起こす欠点を有し、また、駆動耐久性に優れた材料は輝度が低い欠点を有し、発光効率を高めることと駆動耐久性を高めることを両立させることは容易ではなく、さらに改良が探索されている。
その中で、陽極より正孔注入およびホール輸送を促進するためのホール輸送材料、および陰極より電子注入および電子輸送を促進するための電子輸送材料の探索が進められている。例えば、ホスフィンオキサイド化合物が電子輸送材料として電子輸送性に優れた電子輸送材料として知られている((例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、ホスフィンオキサイド化合物を含めて陰極からの電子注入障壁が小さく、電子移動度の高い電子輸送材料は、駆動耐久性が低いことが問題であった。
ホール注入層およびホール輸送層のための材料としては、銅フタロシアニン、アリールアミン化合物、チオフェン化合物などが知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、これらの化合物では、駆動電圧の低電圧化と駆動耐久性、保存安定性を両立できないといった問題があった。また、駆動電圧を低減させる技術としてホール注入層にキノジメタン誘導体などの電子受容性ドーパントを添加する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これらの化合物では、やはり低電圧化と保存安定性の両立が不十分であるといった問題があった。
一方、発光効率が高い発光材料の探索も進められている。例えば、ホスフィンオキサイド化合物が、電子注入性および輸送性に優れているため、発光層に使用することで発光効率向上や低電圧化が見込まれることが開示されている(例えば、特許文献4、非特許文献1参照。)。しかしながら、ホスフィンオキサイド化合物を発光層のホスト材料として用いた場合、連続駆動中にホスフィンオキサイド化合物が劣化しホスト材料としての機能を失うため、駆動耐久性が著しく悪化する問題があった。
しかしながら、有機EL素子として総合的に優れた性能を発揮するには、発光層や電子輸送層に限らず、その他の機能層全体に渉って性能向上が求められている。
特開2006−73581号公報 特開平9−222741号公報 特開2001−319788号公報 特開2002−63989号公報 "New Charge Transporting Host Material for Short Wavelength Organic Electrophosphorescence:2,7−Bis(diphenylphosphine oxide)−9,9−dimethyl−fluorene",Chem.Mater.,18,page2389−2396(2006).
本発明の目的は、低電圧駆動で高い発光効率を示し、かつ耐久性(駆動耐久性、保存安定性)に優れた有機電界発光素子を提供することにある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、下記の手段により達成されるものである。
<1> 一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層と陽極との間に、ホール輸送材料を含有するホール輸送層を有し、該ホール輸送層がさらにホスフィンオキサイド化合物を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
<2> 前記ホール輸送層が前記陽極に接する層であることを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子。
<3> 前記ホスフィンオキサイドを前記ホール輸送層の総固形分量に対して0.01質量%以上30質量%以下含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の有機電界発光素子。
<4> 前記ホスフィンオキサイドを前記ホール輸送層の総固形分量に対して0.01質量%以上10質量%以下含有することを特徴とする<3>に記載の有機電界発光素子。
<5> 前記ホスフィンオキサイド化合物が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の有機電界発光素子:
Figure 2008244013
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、又はヘテロ環基を表す。)。
<6> 前記一般式(I)で表されるホスフィンオキサイド化合物が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする<5>に記載の有機電界発光素子:
Figure 2008244013
(式中、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立にアリール基またはヘテロ環基を表す。)。
<7> 前記ホスフィンオキサイド化合物が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の有機電界発光素子:
Figure 2008244013
(式中、R31〜R34は、それぞれ独立にアリール基またはヘテロ環基を表す。Lは二価の連結基を表す。)。
本発明によれば、低電圧駆動で高い発光効率を示し、かつ耐久性(駆動耐久性、保存安定性)に優れた有機電界発光素子が提供される。
以下、本発明の有機電界発光素子(以下、適宜「有機EL素子」と称する場合がある。)について詳細に説明する。
本発明の発光素子は基板上に陰極と陽極を有し、両電極の間に有機発光層(以下、単に「発光層」と称する場合がある。)を含む有機化合物層を有する。発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
本発明における有機化合物層は、単層または積層のいずれであってもよい。積層の場合の態様としては、陽極側から、ホール輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。更に、ホール輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。陽極とホール輸送層との間に、ホール注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間には、電子注入層を有してもよい。尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
1.ホスフィンオキサイド化合物の説明
次に本発明の有機電界発光素子に用いるホスフィンオキサイド化合物について、詳細に説明する。
本発明に用いられるホスフィンオキサイド化合物は、好ましくは下記一般式(I)で表される化合物である。
Figure 2008244013
式中、R、RおよびRは、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、又はヘテロ環基を表す。
好ましくは、下記一般式(II)で表されるホスフィンオキサイド化合物である。
Figure 2008244013
式中、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立にアリール基またはヘテロ環基を表す。
本発明における好ましいもう一群のホスフィンオキサイド化合物は、下記一般式(III)で表される化合物である。
Figure 2008244013
式中、R31〜R34は、それぞれ独立にアリール基またはヘテロ環基を表す。Lは二価の連結基を表す。
一般式(I)について説明する。
、RおよびRは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、およびアントリルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、およびジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、および2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、および2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、
ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、およびキノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、
アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、
スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、およびフェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、およびフェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、
ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、
又は、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、具体的にはイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、およびアゼピニル基などが挙げられる。)である。
、RおよびRで表される基は、互いに同一でも異なっていてもよい。R、RおよびRとして好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくはアリール基、ヘテロ環基であり、特に好ましくは、アリール基、ヘテロ環基である。
、RおよびRで表される基は、さらに置換基を有していてもよく、置換基としてはアルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、および3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントリルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、およびジトリルアミノなどが挙げられる。)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、および2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、およびピバロイルなどが挙げられる。)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、およびフェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、および2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、
ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、具体的にはイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、およびアゼピニル基などが挙げられる。)、
シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル、ジメチルホスホリルなどが挙げられる。)が適用できる。
、RおよびRで表される基が有する置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、シアノ基、ヘテロ環基、シリル基、シリルオキシ基、またはホスホリル基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、スルホニル基、フルオロ基、シアノ基、ヘテロ環基、シリル基、シリルオキシ基、またはホスホリル基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、アミノ基、フルオロ基、シアノ基、ヘテロ環基、シリル基、またはホスホリル基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、シアノ基、ヘテロ環基、またはホスホリル基である。
一般式(I)で表される化合物は、より好ましくは一般式(II)で表される化合物である。
Figure 2008244013
式中、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立にアリール基またはヘテロ環基を表す。
次に一般式(II)について説明する。
式中、Ar、ArおよびArは、置換または無置換のアリール基、ヘテロ環基を表す。Ar、ArおよびArで表されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、フルオレニル基、クリセニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基、およびテトラフェニレニル基などが挙げられる。これらのアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、一般式(I)におけるR、RおよびRで表される基が有する置換基として挙げたものが適用でき、また好ましい範囲も同様である。
Ar、ArおよびArで表されるヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、キノリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、イソキノリル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル基、プテリジニル基、イミダゾピリジル基、ピロリル基、インドリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、プリニル基、フリル基、チエニル基、イソキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、インドリジニル基、ベンゾキノリニル基、キノリジニル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、およびナフチリジニル基などが挙げられる。これらのヘテロアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、一般式(I)におけるR、RおよびRで表される基が有する置換基として挙げたものが適用でき、また好ましい範囲も同様である。
Ar、ArおよびArで表される基として好ましくは、置換または無置換のフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、ピリジル基、ピラジニル基、キノリル基、キノキサリニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、またはベンゾキノリニル基であり、より好ましくは、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ピリジル基、ピラジニル基、キノリル基、フェナントロリニル基、またはベンゾキノリニル基である。
本発明におけるホスフィンオキサイド化合物のより好ましい一群は、一般式(III)で表される化合物である。
Figure 2008244013
式中、R31〜R34は、それぞれ独立にアリール基またはヘテロ環基を表す。Lは二価の連結基を表す。
次に、一般式(III)について説明する。
一般式(III)中、R31〜R34で表されるアリール基、ヘテロ環基は、前記一般式(I)におけるR〜Rについて説明したアリール基、ヘテロ環基と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Lは二価の連結基を表す。二価の連結基としては特に限定されないが、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、またはハロゲン原子からなる連結基が好ましく、より好ましくは炭素原子、窒素原子、またはケイ素原子からなる連結基である。
Lで表される二価の連結基として好ましくは、p−フェニレン、m−フェニレン、o−フェニレン、ビフェニルジイル、ナフタレンジイル、フルオレンジイル、ジベンゾフランジイル、ピリジンジイル、又はピラジンジイルであり、より好ましくはビフェニルジイル、フルオレンジイル、ピリジンジイル、又はピラジンジイルである。
以下に本発明に用いられるホスフィンオキサイド化合物の具体例を挙げるが、本発明の化合物がこれらに限定されるものではない。
Figure 2008244013
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以下に本発明に用いられるホスフィンオキサイド化合物の具体例としては、上記の他、例えば特開2002−63989に記載の化合物段落番号〔化5〕〜〔化7〕に例示する化合物がある。
<使用方法>
本発明に於いてホスフィンオキサイド化合物を含有する層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム法、スパッタリング法、分子積層法、湿式塗布方式(スプレーコート法、ディップコート法、含浸法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、フローコート法、バーコート法、マイクログラビアコート法、エアードクターコート、ブレードコート法、スクイズコート法、トランスファーロールコート法、キスコート法、キャストコート法、エクストルージョンコート法、ワイヤーバーコート法、スクリーンコート法等)、インクジェット法、印刷法、または転写法などの方法が用いられる。
2.有機電界発光素子
以下、本発明の有機電界発光素子の構成について詳細に説明する。
本発明の有機電界発光素子、一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有し、前記発光層と陽極との間に、ホール輸送材料を含有するホール輸送層を有し、該ホール輸送層がさらにホスフィンオキサイド化合物を含有することを特徴とする。
好ましくは、前記ホール輸送層が前記陽極に接する層である。
好ましくは、前記ホスフィンオキサイド化合物を前記ホール輸送層の総固形分量に対して0.01質量%以上30質量%以下、より好ましくは、0.01質量%以上10質量%以下含有する。前記ホスフィンオキサイド化合物の含有量は、駆動電圧低下と駆動耐久性、保存安定性との両立の観点で好ましい。
本発明における有機層の積層の態様としては、陽極側から、ホール輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。更に、ホール輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。陽極とホール輸送層との間に、ホール注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層の間に、電子注入層を有してもよい。尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
次に、本発明の発光材料を構成する要素について、詳細に説明する。
<基板>
本発明で使用する基板としては、有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、およびポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、有機発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
<陽極>
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。陽極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
本発明の有機電界発光素子において、陽極の形成位置としては特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができる。が、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、陽極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
なお、陽極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
陽極の厚みとしては、陽極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、10Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。陽極が透明である場合は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透明陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
なお、透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
<陰極>
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、LI、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、およびイッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの公報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
本発明において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と前記有機化合物層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1nm〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
<有機化合物層>
本発明における有機化合物層について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、発光層を含む少なくとも一層の有機化合物層を有しており、有機発光層以外の他の有機化合物層としては、前述したごとく、ホール輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層(ホールブロック層、電子ブロック層)、ホール注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子において、有機化合物層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式等いずれによっても好適に形成することができる。
1)有機発光層
有機発光層は、電界印加時に、陽極、ホール注入層、又はホール輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明における発光層は、ホスト材料と発光材料を含有するのが好ましい。
発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良く、ドーパントは1種であっても2種以上であっても良いが、本発明において好ましくは燐光発光材料である。また、発光材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
本発明における発光層は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良く、ドーパントは1種であっても2種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいても良い。
また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
本発明に使用できる蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、ピラン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
また、本発明に使用できる燐光発光材料は、例えば、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。
遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金である。
ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、芳香族配位子(例えば、シクロペンタジエニルアニオン、ベンゼンアニオン、ナフチルアニオンなど)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、イソキノリン、キノリノール、ビピリジル、またはフェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子、ピコリナトなど)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
燐光発光材料は、発光層中に、0.1質量%〜40質量%含有されることが好ましく、0.5質量%〜30質量%含有されることがより好ましい。
また、本発明における発光層に含有されるホスト材料としては、例えば、ピロール骨格を有するもの、インドール骨格を有するもの、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するもの及びアリールシラン骨格を有するものや、後述のホール注入層、ホール輸送層、電子注入層、電子輸送層の項で例示されている材料が挙げられる。
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
2)ホール輸送層
ホール輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
本発明におけるホール輸送層は、ホール輸送材料とホスフィンオキサイド化合物を含有することを特徴とする。好ましくは、本発明におけるホール輸送層は陽極に接する層である。
好ましくは、前記ホスフィンオキサイド化合物を前記ホール輸送層の総固形分量に対して0.01質量%以上30質量%以下、より好ましくは、0.01質量%以上10質量%以下含有する。前記ホスフィンオキサイド化合物の含有量が0.01質量%を下まわると駆動電圧の点で好ましくなく、30質量%以下を超えると駆動電圧、駆動耐久性、保存耐久性の点で好ましくない。
(ホール輸送材料)
本発明におけるホール輸送層に用いることのできるホール輸送材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、カルバゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、フェニルアゾールやフェニルアジンを配位子に有するIr錯体に代表される各種金属錯体等が好ましい。
本発明の有機EL素子のホール輸送層には、前記ホスフィンオキサイド化合物とともに他の電子受容性ドーパントを含有させても良い。電子受容性ドーパントとしては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用できる。
具体的には、無機化合物は塩化第二鉄や塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモンなどのハロゲン化金属、五酸化バナジウム、および三酸化モリブデンなどの金属酸化物などが挙げられる。
有機化合物の場合は、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基などを有する化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなどを好適に用いることができる。
この他にも、特開平6−212153、特開平11−111463、特開平11−251067、特開2000−196140、特開2000−286054、特開2000−315580、特開2001−102175、特開2001−160493、特開2002−252085、特開2002−56985、特開2003−157981、特開2003−217862、特開2003−229278、特開2004−342614、特開2005−72012、特開2005−166637、特開2005−209643等に記載の化合物を好適に用いることが出来る。
これらの電子受容性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、ホール輸送層材料に対して0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
ホール注入層、ホール輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
ホール輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜2300nmであるのがより好ましく、10nm〜200nmであるのが更に好ましい。また、ホール注入層の厚さとしては、0.1nm〜500nmであるのが好ましく、0.5nm〜300nmであるのがより好ましく、1nm〜200nmであるのが更に好ましい。
ホール注入層、ホール輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
3)電子輸送層
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
本発明の有機EL素子の電子注入層および/または電子輸送層は、低電圧化、駆動耐久性向上の観点から電子供与性ドーパントを含有することができる。
電子注入層、あるいは電子輸送層に導入される電子供与性ドーパントとしては、電子供与性で有機化合物を還元する性質を有していればよく、Liなどのアルカリ金属、Mgなどのアルカリ土類金属、希土類金属を含む遷移金属や還元性有機化合物などが好適に用いられる。
金属としては、特に仕事関数が4.2eV以下の金属が好適に使用でき、具体的には、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Cs、La、Sm、Gd、およびYbなどが挙げられる。
また、還元性有機化合物としては、例えば、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物等が挙げられる。この他にも、特開平6−212153、特開2000−196140、同2003−68468、同2003−229278、同2004−342614号公報等に記載の材料を用いることができる。
これらの電子供与性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
電子供与性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、電子輸送層材料に対して0.1質量%〜99質量%であることが好ましく、1.0質量%〜80質量%であることが更に好ましく、2.0質量%〜70質量%であることが特に好ましい。該使用量が、電子輸送層材料に対して0.1質量%未満のときには、本発明の効果が不十分であるため好ましくなく、99質量%を超えると電子輸送能力が損なわれるため好ましくない。
4)ホールブロック層
ホールブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、ホールブロック層を設けることができる。
ホールブロック層を構成する化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
ホールブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
ホールブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
5)電子ブロック層
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機化合物層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する化合物の例としては、例えば前述のホール輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
ホールブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
<保護層>
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物、SiN、SiN等の金属窒化物、MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
<封止>
さらに、本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、および酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、およびシリコーンオイル類が挙げられる。
<駆動>
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
本発明の発光素子は、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板・ITO層・有機層の屈折率を制御する、基板・ITO層・有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
本発明の発光素子は、陽極側から発光を取り出す、いわゆる、トップエミッション方式であっても良い。
(本発明の用途)
本発明の有機電界発光素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
本発明について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(有機EL素子の作製)
<比較の有機EL素子1の作製>
1)陽極の形成
25mm×25mm×0.7mmのガラス基板上に酸化インジウム錫(以後、ITOと略記)を100nmの厚さで蒸着し製膜したもの(東京三容真空(株)製)を透明支持基板とした。この透明支持基板をエッチング、洗浄した。
2)ホール輸送層1(ホール注入層)
このITOガラス基板上に、4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(以後、2−TNATAと略記)を蒸着した。蒸着厚みは120nmであった。
3)ホール輸送層2
上記ホール注入層の上にN,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(以後、α−NPDと略記)を10nmに蒸着した。
4)発光層
上記ホール輸送層2の上にホスト材料として1,3−Bis(carbazol−9−yl)benzene(以後、mCPと略記)、発光材料としてIridium(III)bis[(4,6−di−fluorophenyl)−pyridinato−N,C2’]picolinate(以後、FIrpicと略記)をmCPに対して6質量%となるように共蒸着した。蒸着厚みは30nmであった。
5)電子輸送層
上記発光層の上に、Aluminum(III)bis(2−methyl−8−quinolato)−4−phenylphynolate(以後、BAlqと略記)を膜厚40nmに蒸着した。
6)電子注入層
さらにLiFを膜厚約0.5nm蒸着した。
7)陰極電極の形成
この上にパターニングしたマスク(発光面積が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、アルミニウムを膜厚約100nmに蒸着して素子を作製した。なお、作製した素子は乾燥グローブボックス内で封止した。
上記の蒸着は、10−3Pa〜10−4Paの真空中で、基板温度は室温の条件下で行った。
<比較の有機EL素子2の作製>
比較の有機EL素子1の作製において、ホール注入層として下記の層を用いる以外は比較の有機EL素子1の作製と全く同様にして比較の有機EL素子2を作製した。
ホール注入層:2−TNATA及び2−TNATAに対して0.3質量%となるように2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(以後、F4−TCNQと略記)を膜厚が120nmになるように共蒸着した。
<本発明の有機EL素子1の作製>
比較の有機EL素子1の作製において、ホール注入層として下記の層を用いる以外は比較の有機EL素子1の作製と全く同様にして比較の有機EL素子2を作製した。
ホール注入層:2−TNATA及び2−TNATAに対して0.3質量%となるようにホスフィンオキサイド化合物A−1を共蒸着した。蒸着膜厚は表1に示した。
<本発明の有機EL素子2〜15の作製>
本発明の有機EL素子1の作製において、ホール注入層のホスフィンオキサイド化合物A−1を表1に示す他のホスフィンオキサイド化合物に変更し、表1に示す混合比率及び蒸着厚みに変更した以外は本発明の有機EL素子1の作製と全く同様にして比較の有機EL素子2〜15を作製した。
実施例に用いた材料の化学構造を下記に示す。
Figure 2008244013
(有機EL素子の性能評価)
1)外部量子効率
東陽テクニカ(株)製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し、発光させた。その輝度をトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。発光スペクトルと発光波長は、浜松ホトニクス(株)製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。これらの数値をもとに、輝度が400cd/mの外部量子効率を輝度換算法により算出した。
2)駆動電圧
東陽テクニカ(株)製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し、発光させた。輝度が400cd/mとなったときの電圧を駆動電圧として測定した。
3)駆動耐久性
輝度半減時間:各素子を輝度400cd/mになるように直流電圧を印加し、連続駆動して輝度が200cd/mになるまでの時間を測定した。比較の素子1の値を1として、比較の素子1に対しての相対値で表した。この輝度半減時間をもってして駆動耐久性の指標とした。
4)電圧上昇
各素子を輝度400cd/mになるように直流電圧を印加し、定電流で100時間連続駆動した時の電圧を測定した。初期電圧に対しての電圧上昇量を算出した。
5)素子の保存安定性の評価
各素子を50℃で100時間の強制経時後に、上記条件で外部量子効率および駆動電圧を測定した。外部量子効率の変化および駆動電圧の上昇量を算出した。
外部量子効率の変化(%)=強制経時後の外部量子効率/素子製造直後の外部量子効率×100
駆動電圧上昇(V)=強制経時後の駆動電圧−素子製造直後の駆動電圧
得られた結果を下の表1にまとめた。
Figure 2008244013
上記結果から明らかなように、比較の素子1に対して、比較の素子2は、駆動電圧が低下したものの、駆動耐久性、保存安定性の大幅な向上は見られなかった。これに対し、本発明の素子は、外部量子効率が増加し、駆動電圧が低下し、高い駆動耐久性、保存安定性を同時に満たし、優れた効果を発揮することが明らかである。

Claims (7)

  1. 一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層と陽極との間に、ホール輸送材料を含有するホール輸送層を有し、該ホール輸送層がさらにホスフィンオキサイド化合物を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記ホール輸送層が前記陽極に接する層であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記ホスフィンオキサイドを前記ホール輸送層の総固形分量に対して0.01質量%以上30質量%以下含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記ホスフィンオキサイドを前記ホール輸送層の総固形分量に対して0.01質量%以上10質量%以下含有することを特徴とする請求項3に記載の有機電界発光素子。
  5. 前記ホスフィンオキサイド化合物が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子:
    Figure 2008244013

    (式中、R、RおよびRは、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、又はヘテロ環基を表す。)。
  6. 前記一般式(I)で表されるホスフィンオキサイド化合物が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の有機電界発光素子:
    Figure 2008244013

    (式中、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立にアリール基またはヘテロ環基を表す。)。
  7. 前記ホスフィンオキサイド化合物が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子:
    Figure 2008244013

    (式中、R31〜R34は、それぞれ独立にアリール基またはヘテロ環基を表す。Lは二価の連結基を表す。)。
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