JP2008243532A - 透明導電性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性と導電性に優れ、導電性能の面内均一性にも優れ、かつ良好な塗膜強度を有する透明導電性フィルムの提供。
【解決手段】透明な基材フィルムの少なくとも一方の面に、ポリアニオンとπ共役系導電性高分子の導電性高分子化合物を含有する透明導電性層を有する透明導電性フィルムにおいて、該透明導電性層と透明導電性フィルムとの間に、比誘電率20以上、1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び常温溶融塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する透明樹脂層を有することを特徴とする透明導電性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性と透明性に優れるとともに、導電性能の面内均一性にも優れ、良好な塗膜強度を有する透明導電性フィルムに関する。
透明導電性フィルムは、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどの透明電極、ならびに電磁波シールド材などに用いられている。
広く応用されている透明導電膜フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の透明フィルムの表面の少なくとも一方に、インジウム−スズの複合酸化物(ITO)を真空蒸着法やスパッタリング法等のドライプロセスにて製膜する方法であるが、成膜に高温が必要であるとか、成膜コストが高いという問題点がある。
塗布成膜法によるITO膜も、成膜に高温が必要であり、その導電性はITOの分散度に左右され、ヘイズ値も低くない。またフィルム基材上でのITO膜などの無機酸化物膜はフィルム基材の撓みによりクラックが入りやすく、そのため導電性の低下が起こりやすい問題があった。
一方、ウェットプロセスによる低温かつ低コストで成膜可能な導電性高分子層を透明フィルムに製膜した透明導電フィルムが提案されている。
導電性高分子により形成される透明導電性層は、膜自体に柔軟性があるため、クラックなどの問題が生じにくいが、ITO膜並の導電性を得ることは困難であった。
例えば、水分散性が良好なポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリアニオンとの複合体の製造方法が示されていて、そのコーティング用組成物を基材上に付与してなる薄膜は、帯電防止機能については十分であるが、透明性および導電性については不十分である。(例えば、特許文献1を参照)
また、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリアニオンとの複合体の水分散体に、ジヒドロキシ基、ポリヒドロキシ基、アミド基、およびラクタム基からなる群より選択される基を有する化合物を添加すり得られたコーティング用組成物を基材上に付与してなる薄膜で導電性の向上が提案されているが、透明導電膜での実用化にはほど遠いものであった。(例えば、特許文献2を参照)
ところで導電性高分子の分散液に極性溶媒を添加することで導電性を大きく改良できることが知られている。
PEDOT−PSSからなる分散液をグリコール系溶媒に置換した液を用いることで導電率は2桁上昇するとしている。(例えば、特許文献3を参照)
Synth.Met.,153,5(2005)で奥崎等は、PEDOT−PSSに少量のエチレングリコールを添加することで抵抗値が2〜3桁低下したことを報告している。
エチレングリコールやジメチルホルムアミドの様な極性溶媒をPEDOT−PSSのごとくの導電性高分子材料を含む分散液に添加した塗布液を基材上に塗設してなる透明導電膜では、前記の如く導電性能は向上するが、塗膜強度の低下となる欠点を有するばかりでなく、比較的高沸点の極性溶媒を導電膜中に配合したまま塗布乾燥させるために、不均一な乾燥プロセスに成りやすいためか、導電性能の面内均一性に劣るという問題点も出てきた。導電性能の均一性が劣るとアナログ方式タッチパネルへの使用でタッチパネルへの入力位置の誤検出が発生しやすくなるなどの問題につながる。
特許公報2636968号 特開平8−48858号公報 特表2005−529474号公報
本発明の目的は、透明性と導電性に優れ、導電性能の面内均一性にも優れ、かつ良好な塗膜強度を有する透明導電性フィルムを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.透明な基材フィルムの少なくとも一方の面に、ポリアニオンとπ共役系導電性高分子の導電性高分子化合物を含有する透明導電性層を有する透明導電性フィルムにおいて、該透明導電性層と透明導電性フィルムとの間に、比誘電率20以上1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び常温溶融塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する透明樹脂層を有することを特徴とする透明導電性フィルム。
2.透明導電性層の厚みが30nm〜1μmであることを特徴とする前記1に記載の透明導電性フィルム。
3.比誘電率20以上で1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び常温溶融塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する透明樹脂層の厚みが50nm〜10μmであることを特徴とする前記1又は2に記載の透明導電性フィルム。
4.透明樹脂層が、の比誘電率20以上で1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び常温溶融塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を、透明樹脂100質量部に対して1〜40質量部含有することを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の透明導電性フィルム。
5.透明樹脂層を形成する樹脂がポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、スチレン系樹脂及びハロゲン原子含有ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の透明導電性フィルム。
即ち、本発明者等は上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、基材フィルムと導電性高分子から成る導電性組成物を含有する透明導電性層との間に比誘電率20以上で1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び常温溶融塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する透明樹脂層を有することで、本発明の記載の効果、すなわち、透明性と導電性に優れ、導電性性能の面内均一性にも優れ、透明導電層の耐久性にも優れた透明導電性フィルムを得ることを初めて見いだした。
本発明により、透明性と導電性に優れ、導電性能の面内均一性にも優れ、かつ良好な塗膜強度を有する透明導電性フィルムを提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。
本発明のπ共役系導電性高分子について説明する。
本発明のπ共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。
例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
本発明のπ共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性を得ることができるが、導電性及び溶媒溶解性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入するのが好ましい。
このようなπ共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
これらの中でも、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)から選ばれる1種又は2種からなる(共)重合体が抵抗値、反応性の点から好適に用いられる。
さらには、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、導電性がより高い上に、耐熱性が向上する点から、より好ましい。
また、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)のようなアルキル置換化合物は溶媒溶解性を向上させるためより好ましい。
アルキル基の中では導電性に悪影響を与えることがないため、メチル基が好ましい。
さらに、ポリスチレンスルホン酸をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSSと略す)は、比較的熱安定性が高く、重合度が低いことから塗膜成形後の透明性が有利となる点で好ましい。
前記のπ共役系導電性高分子と本発明の導電性化合物を形成するポリアニオンとしては、高分子状カルボン酸塩、高分子状スルホン酸が挙げられる。
本発明のポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性及び耐熱性を向上させる。
高分子状カルボン酸としては、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などがあげられる。高分子状スルホン酸としては、リスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などがあげられる。これらの高分子状カルボン酸およびスルホン酸類は、ビニルカルボン酸およびビニルスルホン酸類と他の重合可能な低分子化合物、例えばアクリレート類およびスチレンなどとの共重合体であってもよい。
本発明のポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンの中でもポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、及びその全てもしくは一部が金属塩であるものが好ましく用いられる。かかるポリアニオンの数平均分子量は、1,000〜2,000,000の範囲が適当であり、2,000〜500,000の範囲が好ましい。
本発明の導電性高分子化合物を形成する上記π共役系導電性高分子とポリアニオンとの割合は、ポリアニオン100質量部に対してπ共役系導電性高分子が1〜1000質量部であることが好ましい。
π共役系導電性高分子が1〜1000質量部であると、導電性が向上し、溶媒溶解性も充分である。
他のドーパントとしては、π共役系導電性高分子を酸化還元できれば、ドナー性のものであっても、アクセプタ性のものであっても良い。
ドナー性ドーパントとしては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等の4級アミン化合物等が挙げられアクセプタ性ドーパントとしては、例えば、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、有機シアノ化合物、有機金属化合物、フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレン等を使用できる。
本発明の導電性化合物を製造する方法としては、例えば、まず、ポリアニオンを合成し、そのポリアニオンと溶媒の存在下でπ共役系導電性高分子の前駆体モノマーを化学酸化重合して、π共役系導電性高分子の溶液を得た後、その溶液に、窒素含有化合物を添加する方法が挙げられる。
ポリアニオンの合成方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有さないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有さないポリマーをスルホン化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
得られたポリマーがポリアニオン塩である場合には、ポリアニオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
本発明の透明導電性層は導電性高分子化合物を溶媒中に溶解、または分散させた導電性高分子溶液を、後述する透明樹脂層より上に塗布することで形成されるものであり、透明導電層の膜厚は30nm以上、1μm以下が好ましく、50〜500nmの範囲が本発明の効果をより奏する点で好ましい。
導電性高分子溶液の溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ヘキサン、トルエン等の炭化水素類、酢酸等のカルボン酸、等が挙げられ、これらの溶媒は、単独でも、2種以上の混合物のいずれでも良い。
導電性高分子溶液には、導電性を向上される狙いから、透明導電層の耐久性に悪影響をおこさない範囲で、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド等の極性有機溶媒を少量添加してもかまわない。
透明樹脂としては、水性溶媒または有機溶媒に溶解または分散可能である限り、特に制限されず、種々の透明樹脂、例えば、ラジカル重合系透明樹脂、縮重合系透明樹脂、及び重付加系透明樹脂の他、セルロース系樹脂[アルキルセルロース(メチルセルロースなど)、ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル類など]、多糖類又はその誘導体(デンプン、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサンなど)などのいずれも使用できる。
透明樹脂としては、ビニルアルコール系樹脂などを用いてもよいが、通常、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ハロゲン原子含有ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂などが使用できる。透明樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
透明樹脂は水性溶媒に溶解、または分散可能な透明樹脂が好ましい。
透明樹脂が水性溶媒に溶解又は分散するものとしては、溶解や分散に寄与する基(親水性基、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、燐酸基、スルホン酸基、硫酸基などの酸基;アミノ基又は置換アミノ基、アンモニウム塩基などの塩基性基;ポリオキシエチレンユニットなどのポリオキシC2〜C4アルキレン基など)を有している。
透明樹脂は、これらの官能基を一種又は複数種有していてもよい。
透明樹脂は、上記官能基のうち、酸基(特に、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基、及びこれらの塩(金属塩、アミン塩、アンモニウム塩など)基など)を有する場合が多い。
(ポリオレフィン系樹脂)
ポリオレフィン樹脂は、オレフィン類の単独重合体または共重合体、オレフィン類と他の重合性不飽和単量体(たとえばビニル単量体)との共重合体、それらの変性物などであり、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。なお、このようなポリオレフィン系樹脂は、2種以上のものが併用されてもよい。
(ポリエステル系樹脂)
ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応により生成する樹脂であり、アルキド樹脂、線状飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などである。
第1の重合体としてポリエステル樹脂を用いると、たとえば、空気乾燥性および可撓性に優れた複合樹脂が得られる。
ポリアミド樹脂は、多塩基酸と多価アミンとの重縮合やカプロラクタムの開環重合により生成する酸アミド結合を主鎖中に有する樹脂であり、重合脂肪酸ダイマーとポリアミンの重縮合物、カプロラクタムと66アミノ酸との共重合物などが挙げられる。第1の重合体としてポリアミド樹脂を用いると、たとえば、プラスチックに対する密着性および可撓性に優れた複合樹脂が得られる。
(ポリウレタン系樹脂)
ポリウレタン樹脂は、分子中にウレタン結合を含む樹脂であり、ポリイソシアネートとポリオールと、場合によっては鎖伸長剤との重付加反応によって得られる。
ポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する芳香族、脂肪族および脂環族系のイソシアネート類であり、たとえば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどである。
ポリオールは、分子中に2個以上の水酸基を有するアルコールであり、たとえば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオールなどである。
鎖伸長剤は、たとえば、N−メチルジエタノールアミン、エチレングリコール、エチレンジアミン、水など、イソシアネート基と反応しうる基および/または活性水素を2個以上有する低分子量化合物である。
第1の重合体としてポリウレタン樹脂を用いると、たとえば、低温での伸びが良好になるという性能、耐摩耗性、密着性が複合樹脂に付与されるので、たとえば、建築外装材の上塗り塗料に利用できる分散液が得られる。
(ポリアミド系樹脂)
ポリアミド系樹脂としては、ポリアミン成分とポリカルボン酸との重縮合、アミノカルボン酸の重縮合、ラクタムの開環重合、またはこれらの単量体成分の重縮合などにより得られるホモポリアミド又はコポリアミドが挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、通常、これらの単量体成分の少なくとも一部として、親水性基を有する単量体成分を用いた重縮合により得られるホモ又はコポリアミドである。
親水性基を有する単量体成分には、スルホン酸基を有するポリカルボン酸又は多価アミン類、トリカルボン酸以上のポリカルボン酸又はその無水物、トリアミン以上の多価アミン類などが挙げられる。
(ポリイミド系樹脂)
ポリイミド系樹脂としては、ポリアミン成分とテトラカルボン酸との重縮合により得られるホモポリイミド又はコポリイミドが挙げられる。ポリイミド系樹脂は、通常、これらの単量体成分の少なくとも一部として、親水性基を有する単量体成分を用いた重縮合により得られるホモ又はコポリイミドである。ポリイミド樹脂は熱可塑性であってもよく熱硬化性であってもよい。
親水性基を有する単量体成分には、前記ポリアミド系樹脂と同様に、スルホン酸基を有するポリカルボン酸又は多価アミン類、トリカルボン酸以上のポリカルボン酸又はその無水物、トリアミン以上の多価アミン類などが挙げられる。
親水性基を有する単量体成分の割合は、ポリイミド系樹脂を構成する単量体成分全体に対して、例えば、5〜100モル%、好ましくは10〜80モル%、さらに好ましくは20〜60モル%程度であってもよい。
((メタ)アクリル系樹脂)
前記ビニル系樹脂(v)のうち、(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体を主たる構成モノマー(例えば、50モル%以上)として含んでいればよく、(メタ)アクリル系単量体及び共重合性単量体のうち、少なくとも一方が酸基を有していればよい。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、前記酸基を有する(メタ)アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸、スルホアルキル(メタ)アクリレート、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドなど]の単独又は共重合体、前記酸基を有していてもよい(メタ)アクリル系単量体と酸基を有する他の重合性単量体[他の重合性カルボン酸、重合性多価カルボン酸又は無水物、ビニル芳香族スルホン酸など]及び/又は前記共重合性単量体[例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、芳香族ビニル単量体など]との共重合体、前記酸基を有する他の重合体単量体と(メタ)アクリル系共重合性単量体[例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルなど]との共重合体などが挙げられる。
これらの(メタ)アクリル系樹脂のうち、少なくとも(メタ)アクリル酸を含む重合体、例えば、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル重合体(アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体など)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(アクリル酸−メタクリル酸メチル−スチレン共重合体など)などが好ましい。
(ビニルエステル系樹脂)
ビニルエステル系樹脂としては、前記酸基を有する重合性単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸など)と、前記ビニルエステル系単量体と、必要により他の共重合性単量体(α−オレフィン類など)との共重合体などが挙げられる。
(スチレン系樹脂)
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体を主たる構成モノマー(例えば、40モル%以上)として含んでいればよく、スチレン系単量体(芳香族ビニル系単量体)及び共重合性単量体のうち、少なくとも一方が酸基を有していればよい。スチレン系樹脂としては、例えば、前記酸基を有するスチレン系単量体(スチレンスルホン酸などのビニル芳香族スルホン酸など)の単独又は共重合体、前記酸基を有していてもよいスチレン系単量体と、酸基を有する他の重合性単量体[(メタ)アクリル酸などの重合性カルボン酸、重合性多価カルボン酸又は無水物、ビニルスルホン酸など]及び/又は前記共重合性単量体[例えば、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリルなど]との共重合体、前記酸基を有する他の重合体単量体と前記芳香族ビニル系単量体との共重合体などが挙げられる。
スチレン系樹脂において、スチレン系単量体(又は芳香族ビニル系単量体)の割合は、樹脂を構成するモノマー全体に対して、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上であってもよい。
前記スチレン系樹脂のうち、例えば、ポリスチレンスルホン酸、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体など)などが挙げられる。
(ハロゲン原子含有ビニル系樹脂)
ハロゲン原子含有ビニル系樹脂としては、例えば、前記酸基を有する重合性単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸など)と、ハロゲン原子を有する共重合性単量体[例えば、前記ハロゲン化スチレン、塩素原子を有する単量体類、フッ素原子を有するビニル系単量体類などの前記ハロゲン含有単量体類など]と、必要により他の共重合性単量体(前記ビニルエステル系単量体、(メタ)アクリロニトリルなど)との共重合体が挙げられる。
これらの樹脂のうち、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及び(メタ)アクリル系樹脂から選択された少なくとも一種が好ましい。
本発明の透明樹脂層は、該透明樹脂を溶かした溶解液、或いは分散した分散液を基材上に塗設することで設けることができる。
本発明の透明樹脂層の厚さは、10nm〜100μmの厚さの範囲で構わないが、好ましくは50nm〜10μmであり、より好ましくは100nm〜2μmである。
透明樹脂層の厚さが厚くても本発明の効果は十分得られるが、材料コスト上昇や生産性を下げることになる。
本発明の透明樹脂層に添加する比誘電率20以上で1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒極性有機溶媒としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の透明樹脂層に添加する常温溶融塩としては、特に限定されないが、例えば、(株)シーエムシー出版「イオン性液体」(2003年2月1日発行)第23〜33頁に記載された公知の常温溶融塩を用いることができる。
常温溶融塩とはカチオン部とアニオン部とから構成されるものであり、これらは、重合性官能基を有するもしくは有さないカチオン、重合性官能基を有するもしくは有さないアニオンの組合せにより構成され、さらに詳しくは、重合性官能基を有さないカチオンと重合性官能基を有さないアニオンとの組合せである溶融塩、重合性官能基を有さないカチオンと重合性官能基を有するアニオンとの組合せである溶融塩型の単官能の塩モノマー、重合性官能基を有するカチオンと重合性官能基を有さないアニオンとの組合せである溶融塩型の単官能の塩モノマー、重合性官能基を有するカチオンと重合性官能基を有するアニオンの組合せである溶融塩型の多官能の塩モノマーなどが挙げられる。
これらの溶融塩の中で、水と非相溶である常温溶融塩や水と相溶する常温溶融塩に該当するものは、イオンの種類や大きさなどが影響し、イオンの組合せによって決まる。
前記重合性官能基を有しないカチオン部としては、例えば、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルプロピルアンモニウムイオン、トリメチルブチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、トリエチルプロピルアンモニウムイオン、トリエチルブチルアンモニウムイオン、トリメチルベンジルアンモニウムイオンおよびトリエチルベンジルアンモニウムイオン等のテトラアルキルアンモニウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオンおよび1−メチル−3−エチルイミダゾリウムイオン等のジアルキルイミダゾリウムイオン、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン及び1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムイオン等のトリアルキルイミダゾリウムイオン、N−メチルピリジニウムイオン、N−エチルピリジニウムイオン及びN−プロピルピリジニウムイオン等のピリジニウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンなどが挙げられ、常温溶融塩の合成においては、これらのハロゲン化物(例えば、クロリドやブロミド)を用いることができる。
前記重合性官能基を有するカチオン部としては、例えば、2−メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムイオン、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムイオン、2−アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムイオン、3−メタクリル酸アミドプロピルトリメチルアンモニウムイオン、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルイオン、N,N−ジメチル−N−ジ−2−プロペニル−2−プロペン−1−アミニウムイオン、ジアリルメチルフェニルアンモニウムイオン、N−メチル−N,N−ジ−2−プロペニル−1−ドデカナミニウムイオン、ジアリルビス(シクロヘキシルメチル)アンモニウムイオン、ジアリルジメチル(2−メチルアリル)アンモニウムイオン、N−メチル−N,N−ジ−2−プロペニルベンゼンメタミニウムイオン、N−メチル−N,N−ジ−2−プロペニル−1−ドデカナミニウムイオン、アリルジメチル(1−メチル−2−ブテニル)アンモニウムイオン、ジアセトニルジアリルアンモニウムイオン、N−メチル−N,N−ジ−2−プロペニル−2−プロペン−1−アミニウムイオン、2−メタクリル酸エチルジメチルヘキシルアンモニウムイオン、2−メタクリル酸エチルジメチルヘプチルアンモニウムイオン、2−メタクリル酸エチルジメチルオクチルアンモニウムイオン、2−メタクリル酸エチルジメチルノニルアンモニウムイオン、2−メタクリル酸エチルジメチルデシルアンモニウムイオン、2−メタクリル酸エチルジメチルドデシルアンモニウムイオン、2−メタクリル酸エチルジメチルエイコシルアンモニウムイオン、2−アクリル酸エチルジメチルヘキシルアンモニウムイオン、2−アクリル酸エチルジメチルヘプチルアンモニウムイオン、2−アクリル酸エチルジメチルオクチルアンモニウムイオン、2−アクリル酸エチルジメチルノニルアンモニウムイオン、2−アクリル酸エチルジメチルデシルアンモニウムイオン、2−アクリル酸エチルジメチルドデシルアンモニウムイオン、2−アクリル酸エチルジメチルエイコシルアンモニウムイオン、3−メタクリルアミドプロピルジメチルヘキシルアンモニウムイオン、3−メタクリルアミドプロピルジメチルヘプチルアンモニウムイオン、3−メタクリルアミドプロピルジメチルオクチルアンモニウムイオン、3−メタクリルアミドプロピルジメチルノニルアンモニウムイオン、3−メタクリルアミドプロピルジメチルデシルアンモニウムイオン、3−メタクリルアミドプロピルジメチルドデシルアンモニウムイオン、3−メタクリルアミドプロピルジメチルエイコシルアンモニウムイオン、3−アクリルアミドプロピルジメチルヘキシルアンモニウムイオン、3−アクリルアミドプロピルジメチルヘプチルアンモニウムイオン、3−アクリルアミドプロピルジメチルオクチルアンモニウムイオン、3−アクリルアミドプロピルジメチルノニルアンモニウムイオン、3−アクリルアミドプロピルジメチルデシルアンモニウムイオン、3−アクリルアミドプロピルジメチルドデシルアンモニウムイオン、3−アクリルアミドプロピルジメチルエイコシルアンモニウムイオン、メチルスチリルジメチルヘキシルアンモニウムイオン、メチルスチリルジメチルヘプチルアンモニウムイオン、メチルスチリルジメチルオクチルアンモニウムイオン、メチルスチリルジメチルノニルアンモニウムイオン、メチルスチリルジメチルデシルアンモニウムイオン、メチルスチリルジメチルドデシルアンモニウムイオン、メチルスチリルジメチルエイコシルアンモニウムイオンなどが挙げられ、常温溶融塩の合成において、これらのハロゲン化物(例えば、クロリド)を用いることができる。
前記重合性官能基を有しないアニオン部としては、例えば、Cl-、Br-、I-、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、CF3SO3 -、N(CF3SO22 -、N(C25SO22 -、C(CF3SO23 -、C(C25SO23 -などが挙げられ、常温溶融塩の合成において、これらの無機金属塩(例えば、リチウム塩)を用いることができる。
前記重合性官能基を有するアニオン部としては、ラジカル重合性官能基を有するカルボン酸イオンやスルホン酸イオンなどが好ましく、例えば、2−ビニルベンゼンスルホン酸、3−ビニルベンゼンスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、2−メチル−1−ペンテン−1−スルホン酸、1−オクテン−1−スルホン酸、4−ビニルベンゼンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フタル酸−2−(メタクリロイルオキシ)エチル、フタル酸−3−(メタクリロイルオキシ)エチル、フタル酸−4−(メタクリロイルオキシ)エチル、フタル酸−2−(アクリロイルオキシ)エチル、フタル酸−3−(アクリロイルオキシ)エチル、フタル酸−4−(アクリロイルオキシ)エチル、2−ビニル安息香酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などから構成されるアニオンが挙げられ、常温溶融塩の合成において、これらのリチウム塩や銀塩などの無機金属塩を用いることができる。
本発明の常温溶融塩の合成方法としては、イオン交換法などの一般的な方法が適用できる。
例えば、前記重合性官能基を有しないカチオンのハロゲン化物(例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミドなど)や前記重合性官能基を有するカチオンのハロゲン化物(例えば、メチルスチリルジメチルドデシルアンモニウムクロリドなど)と、前記重合性官能基を有しないアニオンの無機金属塩(例えば、LiN(SO2CF32、LiPF6など)、あるいは、前記重合性官能基を有するアニオンの無機金属塩(例えば、4−ビニルベンゼンメタンスルホン酸や2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸の金属塩など)を水などの溶媒に溶解させ、イオン交換を行い、可溶分と不溶分に分けた後に、溶媒を除去する方法が適用可能である。
本発明において、前記水に対して相溶性を有する常温溶融塩であることが好ましい。
本発明の比誘電率20以上で1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び又は常温溶融塩は透明樹脂層を構成する透明樹脂含有液に添加して塗布するが、本発明の効果を出すには透明樹脂層を構成する透明樹脂100質量部に対して、本発明の比誘電率20以上で1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び又は常温溶融塩を1質量部〜40質量部含有するように塗設することが好ましく、より好ましくは3〜30質量部である。
透明樹脂層に含有する比誘電率20以上で1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び又は常温溶融塩の塗設量は1g/m2以上1g/m2以下となるように添加することが好ましいが、透明樹脂層の樹脂成分と比誘電率20以上で1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び又は常温溶融塩の構成比において、比誘電率20以上で1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び又は常温溶融塩が樹脂成分の20質量%を超えると、透明樹脂層の耐久性を損なうため、極性有機溶媒及び又は常温溶融塩の構成比は樹脂成分の40%以下となるように透明樹脂層を調整することが好ましい。
本発明の透明導電性層、透明樹脂層には、界面活性剤が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤(例えば、ドデカンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩や、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩など、フルオロラウリン酸ナトリウムなどのフルオロ脂肪酸塩、パーフルオロラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのパーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩など)、カチオン性界面活性剤(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのテトラアルキルアンモニウム塩など)、ノニオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンパーフルオロラウリルエーテルなど)、両性界面活性剤(例えば、ジメチルラウリルカルボキシベタインなどのアルキルベタインなど)などが挙げられる。
これらの界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の透明導電性層、透明樹脂層には、必要により架橋剤などで架橋されていてもよい。
本発明の透明導電性層、透明樹脂層には、種々の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、水溶性高分子、充填剤、架橋剤、カップリング剤、着色剤、難燃剤、滑剤、ワックス、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤などが含まれていてもよい。
本発明の少なくとも片面に透明樹脂層と透明導電性層する基材フィルムとしては、用途に応じて任意のものを用いることができ、例えばポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、並びにこれらの混合物および共重合体、さらにはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂などからなるフィルムをあげることができる。
これらの中でも、二軸配向したポリエステルフィルムが、寸法安定性、機械的性質、耐熱性、電気的性質などに優れた性質を有することより好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムが、高ヤング率である等の機械的特性に優れ、耐熱寸法安定性がよい等の熱的特性にも優れているため好ましい。
なお、ポリエステルフィルムの厚みは500μm以下が好ましく、これを超える場合には剛性が強くなりすぎ、得られた帯電防止フィルムをディスプレイなどに貼付ける際に取扱い性が低下しやすい。
本発明の透明樹脂層を形成する樹脂溶液と透明導電性層を形成する導電性高分子液を基材フィルムに塗布する方法としては、例えばリップダイレクト法、コンマコーター法、スリットリバース法、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、バーコーター法など、従来公知の方法を採用することができる。
なお、必要に応じて、密着性・塗工性を向上させるための予備処理として、フィルム表面にコロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理を施しても構わない。
本発明の透明樹脂層を形成する樹脂溶液と透明導電性層を形成する導電性高分子液を基材フィルム上に塗布形成する手順において、樹脂液を最初に塗布して透明樹脂層を形成させた後に導電性高分子液を塗布して透明導電性層を形成してもよいし、樹脂液と導電性高分子液との同時に塗布する重層方法によって形成せれるいずれの方法をとっても良い。
基材フィルムと透明樹脂層の間に透明なアンカー層を設けても構わないし、透明樹脂層と透明導電性層の間に、中間層を設けても構わない。
本発明の導電フィルムは透明樹脂層と導電性高分子層を形成後に、透明樹脂層や基材フィルムなどに大きな影響が出ない範囲の温度において、熱処理をすることが好ましい。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(試料101〜125)
100μmのPETフィルムの片面にコロナ放電処理を施した後、コロナ放電処理した面側にワイヤーバーを用いて塗布液を塗布した。
試料101〜111では、表1〜表6に示した構成の導電性高分子溶液を塗布したのち、150℃、1分で乾燥させ透明導電性層を設けた透明導電性フィルムを得た。
試料112〜125では、表1〜表6に示した構成の透明樹脂液を塗布し、120℃、1分の乾燥で形成させた透明樹脂層上に、表1〜表6に示した構成の導電性高分子溶液を塗布、150℃、1分で乾燥させて、透明樹脂層と透明導線性層を設けた透明導電性フィルムを得た。
Figure 2008243532
Figure 2008243532
Figure 2008243532
Figure 2008243532
Figure 2008243532
Figure 2008243532
*1:東洋紡績株式会社製 ポリエステル樹脂エマルジョン、固形分濃度:約30%
*2:大日本インキ株式会社製 アクリル樹脂エマルジョン、固形分濃度:約50%
*3:日本合成化学工業株式会社製
*4:竹本油脂株式会社製 ポリオキシエチレンアルキルエーテル
*5:スタルク株式会社製 ポリ(3,4−エチレンジチオオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなるポリマーの水分散体、固形分濃度:1.2〜1.4%
*6:透明樹脂分散液中の透明樹脂の添加量を示す
なお、実施例中における各評価は下記の方法にしたがって、全光線透過率、表面抵抗、表面抵抗の面内均一性、塗膜強度を求めた。
[全光線透過率]
JIS−K−7150にしたがい、スガ試験機(株)製のヘイズメーターHCM−2Bにて測定した。
[表面抵抗率]
JIS−K−7194に準拠して、三菱化学社製ロレスターGP(MCP−T610型)を用いて、測定した。測定は対角35.56cm(14インチ)の長方形(17.43cm×30.99cm)サイズの中で任意の50点をサンプリングして行い、その平均値を表面抵抗値として求めた。
[表面抵抗の面内均一性]
上記の表面抵抗率の測定で求めた50点の表面抵抗率について、その平均値からの差を平均表面抵抗値で除した値を変動誤差とした。
変動誤差(%)=各点の表面抵抗値の平均値からの差/平均表面抵抗値×100
<表面抵抗値の面内均一性>
◎:変動誤差≦2%
○:2%<変動誤差≦3%
△:3%<変動誤差≦5%
×:5%<変動誤差
[塗膜強度]
透明導電性フィルムの最上層の透明導電性膜を親指にて同一場所を3回こすり、塗膜の状態を目視で観察し、下記基準で評価した。
◎:塗膜上にこすり剥がれた跡が全く見られない。
○:塗膜上にこすり剥がれた跡がわずかに見られるが、性能上問題ない。
△:塗膜上にこすり剥がれた跡が少し見られる。
×:塗膜上にこすり剥がれた跡がはっきり見られる。
得られた結果を表7に示す。
Figure 2008243532
表7から分かるように、本発明の試料は優れた透明性と導電性を有するとともに、導電性能の面内均一性に優れ、更に良好な塗膜強度を有する。
実施例2
実施例1の試料101〜125に用いた導電性高分子溶液バイトロンP(スタルク株式会社製)を、オメルコンD1033W(独オメルコン社製)に変更した以外を全て試料101〜125と同様にして、試料201〜225を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
Figure 2008243532
Figure 2008243532
Figure 2008243532
Figure 2008243532
Figure 2008243532
Figure 2008243532
*1:東洋紡績株式会社製 ポリエステル樹脂エマルジョン、固形分濃度:約30%
*2:大日本インキ9株式会社製 アクリル樹脂エマルジョン、固形分濃度:約50%
*3:日本合成化学工業株式会社製
*4:竹本油脂株式会社製 ポリオキシエチレンアルキルエーテル
*5:オメルコン社製 ポリアニリンとポリスチレンスルホン酸からなるポリマーの水分散体、固形分濃度:1.9%
*6:透明樹脂分散液中の透明樹脂の添加量を示す
得られた結果を表14に示す。
Figure 2008243532
表14から明らかなように、本発明の試料は優れた透明性と導電性を有するとともに、導電性能の面内均一性に優れ、更に良好な塗膜強度を有する。

Claims (5)

  1. 透明な基材フィルムの少なくとも一方の面に、ポリアニオンとπ共役系導電性高分子の導電性高分子化合物を含有する透明導電性層を有する透明導電性フィルムにおいて、該透明導電性層と透明導電性フィルムとの間に、比誘電率20以上、1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び常温溶融塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する透明樹脂層を有することを特徴とする透明導電性フィルム。
  2. 透明導電性層の厚みが30nm〜1μmであることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
  3. 比誘電率20以上で1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び常温溶融塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する透明樹脂層の厚みが50nm〜10μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム。
  4. 透明樹脂層が、の比誘電率20以上で1気圧での沸点が100℃より高い極性有機溶媒及び常温溶融塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を、透明樹脂100質量部に対して1〜40質量部含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の透明導電性フィルム。
  5. 透明樹脂層を形成する樹脂がポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、スチレン系樹脂及びハロゲン原子含有ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の透明導電性フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011222353A (ja) * 2010-04-12 2011-11-04 Teijin Dupont Films Japan Ltd 透明導電性薄膜並びにこれを有する透明導電性フィルム

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