JP2008242449A - ポリマー並列光導波路とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリマー並列光導波路を、複数のコアと、コアの外周に設けられたクラッドを有し、コアの屈折率が、コア断面の幾何重心からコア外周に向かって連続的に低下するようにする。
【選択図】図1
Description
光導波路は、コアとクラッドの屈折率の違いを利用してコアに光を閉じこめ、光を所定の位置に導く光部品である。光導波路の材料は、石英系とポリマー系に大別される。石英系の材料が用いられた光導波路は、減衰率及び信頼性の点で、ポリマー系の材料が用いられた光導波路より優れている。しかしながら、ポリマー系の材料が用いられた光導波路は、石英系の材料が用いられた光導波路より安価であり、可撓性を有している。
多色押出成形により作製され、コアの屈折率が中心から外周に向かって段階的に変化するマルチステップインデックス(MI)型ポリマー光導波路も検討された(例えば、特許文献1参照)。更に、コアの屈折率が中心から外周に向かって連続的に変化するグレーデッドインデックス(GI)型ポリマー光導波路が検討された(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。これらのポリマー光導波路のコアは1つであった。
寺川裕佳里、外1名、「O plus E」、2005年2月、Vol. 27、No. 2、p.179-184
本発明は、複数のコアと、コアの外周に設けられたクラッドを有し、コアの屈折率が、コア断面の幾何重心からコア外周に向かって連続的に低下するポリマー並列光導波路である。
本発明の好ましい実施態様では、上記ポリマー並列光導波路のコア断面が直径150μm以下の円形状であり、ピッチが200μm以下である。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記ポリマー並列光導波路のコア断面が一辺が150μm以下の四角形状であり、ピッチが200μm以下である。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記ポリマー並列光導波路のクラッドの屈折率が、コア最外周部の屈折率より高い。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記ポリマー並列光導波路の波長850nm光の伝送損失が0.03dB/cm以下である。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記ポリマー並列光導波路の波長850nm光のパルス信号広がりが15ps/m以下である。
本発明の別の好ましい実施態様では、長さ30cm〜1mの上記ポリマー並列光導波路の波長850nm光のクロストークが−25dB以下である。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記ポリマー並列光導波路のコアがポリメチルメタクリレート又は全重水素化ポリメチルメタクリレートで形成され、クラッドがポリメチルメタクリレートで形成されている。
本発明のポリマー並列光導波路の製造方法は、長さ数100mの本発明のポリマー並列光導波路を提供する。
本発明のポリマー並列光導波路のコアの配置は特定の配置に限定されない。当該コアは規則的に配置されていても不規則に配置されていてもよい。
図1は、本発明のポリマー並列光導波路の実施態様の断面を示す模式図である。本実施態様のポリマー並列光導波路は、図1(a)に示されるように、横1列に並んだ複数の円形コアaと、コアの外周に設けられたクラッドbからなる。更に、本発明のポリマー並列光導波路の円形コアaは、図1(b)に示されるように、縦及び横に複数列で並んでいてもよい。
図2は、本発明のポリマー並列光導波路の別の実施態様の断面を示す模式図である。本実施態様のポリマー並列光導波路は、図2(a)に示されるように、横1列に並んだ複数の四角形コアa’と、コアの外周に設けられたクラッドb’からなる。更に、本発明のポリマー並列光導波路の四角形コアa’は、図2(b)に示されるように、縦及び横に複数列で並んでいてもよい。
(1)へき開無しに素子検査が可能なので、作製が容易であり、作製コストが安価である。
(2)閾値電流が小さく(標準で数mA〜数mA)、省消費電力化が図れる。
(3)発振波長のスペクトル幅が非常に小さい(1nm程度)。
(4)スポット径が円形(スポット径:15μm)であり、広がり角が小さいため、ファイバーや導波路とのカップリングに優れる。
(5)面発光型なので集積性に優れ(現段階の最密ピッチは250μmである)、二次元の集積も可能である。
(6)発振波長は800 〜1000nmが主流であり、主に850nmが使われている。
(7)販売されているVCSELは変調速度10Gbps、研究段階のVCSELは変調速度20Gbpsでの高速変調が可能である。
(1)市販されているPIN-PDの850nm帯での対応可能変調速度は10Gbps程度である。
(2)研究開発レベルのPIN-PDの850nm帯での対応可能変調速度は20Gbps以上である。
(3)10Gbps対応のPIN-PD(InGaAs/InP)の受光面(active area)は直径70μm以下である。
(4)10Gbps対応のPIN-PD(InGaAs/InP)の応答感度は850nmの波長に対して0.5A/W程度である。
本発明のポリマー並列光導波路のコア、中間部及びクラッドの材料、これらの屈折率は、国際公開第2004/025340号パンフレットに記載されているプラスチック光ファイバーのコア、中間層及びクラッドの材料、これらの屈折率と同様である。
本発明のポリマー並列光導波路の波長850nm光のパルス信号広がりは15ps/m以下であり、当該パルス信号広がりの好ましい範囲は10ps/m以下であり、当該パルス信号広がりの更に好ましい範囲は6ps/mである。
長さ30cm〜1mの本発明のポリマー並列光導波路の波長850nm光のクロストークは−25dB以下であり、当該クロストークの好ましい範囲は−30dB以下であり、当該クロストークの更に好ましい範囲は−40dB以下である。
以下の工程(a)〜(e)が行われる。
(a)モノマー混合溶液が、中空の円筒体に注入され、円筒体が回転中に重合反応が行われ、中空管が作製される。
(b)工程(a)で作製された中空管が押圧され、断面が長方形に近い楕円の中空管(楕円中空管)が作製される。
(c)モノマー混合溶液が、断面の幾何重心から断面の外周までの長さが工程(a)で使用された円筒体の内径より小さい中空筒体に注入され、筒体が回転中に重合反応が行われ、中空管が作製される。
(d)モノマー混合溶液が、工程(c)で作製された中空管に注入され、重合反応が行われ、ロッドが作製される。
(e)工程(d)で作製された複数のロッドが、工程(b)で作製された楕円中空管に挿入され、次いで、モノマー混合溶液が、楕円中空管とロッドの空隙に注入され、重合反応が行われ、プリフォームが作製される。
モノマーに加え、重合開始剤、連鎖移動剤及びドーパントから選択される少なくとも1種が、工程(a)、(c)、(d)及び(e)で使用されるモノマー混合溶液に含まれ得る。
連鎖移動剤は、特定の化合物に制限されない。連鎖移動剤の具体例は、ベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物;n−ブチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン等のメルカプト系化合物;メタノール等のアルコール類である。
中空筒体の回転数は10,000rpm以下であり、好ましい回転数は100rpm以上5,000rpm以下である。
上記工程(a)〜(c)に加え、工程(f)が行われる。
(f)工程(c)で作製された複数の中空管が、工程(b)で作製された楕円中空管に挿入され、次いで、モノマー混合溶液が、楕円中空管と工程(c)で作製された複数の中空管の空隙、工程(c)で作製された複数の中空管の中空部に注入され、重合反応が行われ、プリフォームが作製される。
以下の工程(1)〜(3)が行われる。
(1)モノマー混合溶液が、棒が挿入された型内に注入され、重合反応が行われる。
(2)工程(1)で得られた成形体が脱型され、棒が当該成形体から抜き取られる。その結果、長さ方向に形成された複数の中空筒部を有するプラスチック平板が成形される。
(3)モノマー混合溶液が、工程(2)で得られた成形体の中空筒部に注入され、重合反応が行われ、当該プラスチック平板の中空円筒部にコアが形成されたプリフォームが作製される。
上記棒の材質は、特定の物質に限定されない。上記棒の材質の具体例はステンレスである。上記棒の断面形状は円状、四角形状、三角形状等の任意の形状に適宜設定される。
Sim.法、PRiT法又は並列注入型重合法により作製されるプリフォームは、加熱炉の一方に入れられ、加熱炉の他方から引き抜かれて延伸され、ポリマー並列光導波路が作製される。加熱炉からの引き抜き速度が大きくされるほど、ポリマー並列光導波路のコア断面に内接する円の径及びピッチが小さくされる。
ポリマー並列光導波路の各種物性の測定方法は以下のとおりである。
ポリマー並列光導波路の断面が透過型二光束干渉顕微鏡(溝尻光学工業(株)製TDシリーズ)により撮影され、ポリマー並列光導波路の屈折率分布が顕微鏡写真から算出された。
5mのポリマー光導波路の両端面が、粒度15μmの研磨紙( 3M社製CG32)、粒度9μmの研磨紙(3M社製CR36)、粒度1μmの研磨紙(3M社製OR22)により順次研磨された。次に、図8に示される測定装置でポリマー光導波路の伝送損失が測定された。測定に用いられた光源15は、発振波長850nmのレーザー発振器(浜松ホトニクス(株)製M8903:PLP10-850C)である。コア径50μmで長さ2mの石英系GI-MMF(Corning社製 043268FT)が、光源からの出射光をポリマー並列光導波路のコアに結合(励振)する入射プローブ16として使用された。コア径100μmで長さ1mの石英系GI-MMF(Fis社製 S57U7UM1FIS)が、ポリマー並列光導波路のコアからの出射光をパワーメータ18のセンサ部へ結合する受光プローブ17として使用された。入射プローブ16とレーザー発振器15のレーザーヘッド、受光プローブ17と受光部18であるパワーメータ(横河電機(株)製AQ-2140)のセンサ部(横河電機(株)製AQ-2741)は、いずれも図示されないFCコネクタにより接続された。一方、入射プローブ16、受光プローブ17とポリマー並列光導波路の間は,図示されないxyz軸マイクロポジショナ(駿河精機(株)製E2001A)により、最も出射光強度が大きくなるように位置決めされた。次に、5mのポリマー光導波路が1m切断され、4mのポリマー光導波路の伝送損失が測定され、同様の操作が、ポリマー並列光導波路の長さが1mになるまで繰り返された。全てのコアの伝送損失の平均値が求められた。
9mのポリマー光導波路の両端面が、粒度15μmの研磨紙( 3M社製CG32)、粒度9μmの研磨紙(3M社製CR36)、粒度1μmの研磨紙(3M社製OR22)により順次研磨された。次に、図8に示される測定装置でポリマー光導波路の伝送損失が測定された。測定に用いられた光源15は、白色光源(横河電機(株)製 AQ 4303B)である。コア径50μmで長さ1mの石英系GI-MMF(Corning社製 043268FT)が、光源からの出射光をポリマー並列光導波路のコアに結合(励振)する入射プローブ16として使用された。コア径100μmで長さ1mの石英系GI-MMF(Fis社製 S57U7UM1FIS)が、ポリマー並列光導波路のコアからの出射光を受光部18である光スペクトラムアナライザー(安藤電気(株)製 AQ 6315B)のセンサ部へ結合する受光プローブ1
7として使用された。入射プローブ16と白色光源15、受光プローブ17と受光部18である光スペクトラムアナライザー(安藤電気(株)製 AQ 6315B)
のセンサ部は、いずれも図示されないFCコネクタにより接続された。一方、入射プローブ16、受光プローブ17とポリマー並列光導波路の間は,図示されないxyz軸マイクロポジショナ(駿河精機(株)製E2001A)により、最も出射光強度が大きくなるように位置決めされた。次に、9mのポリマー光導波路が2m切断され、7mのポリマー光導波路の伝送損失が測定され、同様の操作が、ポリマー並列光導波路の長さが1mになるまで繰り返された。全てのコアの伝送損失の平均値が求められた。
パルスジェネレーター(浜松ホトニクス(株)製 PLP-C8898)が図8に示される測定装置のレーザー発振器15(発振波長850nm)に接続され、光オシロスコープ(浜松ホトニクス(株)製 OPTICAL OSCILLOSCOPE C8188)が受光プローブ17に接続された。パルスジェネレーターにより短パルス信号が形成され、レーザー発振器15がパルス駆動され、上記されるように両端面が研磨された5mのポリマー光導波路を通過したOutputパルス波形が測定された。更に、入射プローブ16と受光プローブ17がFCコネクタアダプタを介して直接接続され、Inputパルス波形がポリマー並列光導波路を介在させない系で測定された。図9に示されるごとく、Inputパルス波形とOutputパルス波形は違っている。ポリマー並列光導波路のパルス信号広がりが、Inputパルス幅に対する5m伝送後のr.m.s.幅広がりから計算された。
コア径50μmの石英系GI-MMF(Corning社製 043268FT)が、図8に示される測定系の入射プローブとして使用され、コア径100μmで長さ1mの石英系GI-MMF(Fis社製 S57U7UM1FIS)が図7に示される測定系の受光プローブとして使用された。発振波長850nmのレーザー光が入射されたコア(メインコア)から、メインコアに最近接し、レーザー光が入射されていないコア(サブコア)への遷移光強度が測定された。長さ30cm、40cm、60cm、80cm及び100cmのポリマー並列光導波路毎にクロストークが測定された。
洗剤と超純水にて洗浄した内径30mm(外径32mm)、長さ600mmのガラス管が130℃で24h乾燥された。次に、表1に示される組成のMMAモノマー混合物がフィルタ(ADVANTEC東洋社製 PTFEメンブランフィルタ DISMIC-25、ポアサイズ0.2μm)で濾過され、乾燥されたガラス管の中に注入された。
PBO;日油(株)製パーブチルO(純度98%、 比重0.897のt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)、重合開始剤
n−BM;和光純薬工業(株)製n−ブチルメルカプタン(特級)、連鎖移動剤
MMAモノマー混合物が注入されたガラス管は70℃の湯浴に入れられ、モノマーの予備重合が行われた。ゾル状態のMMAモノマー混合溶液が入ったガラス管が湯浴より取り出され、図3に示されるように、その両側に近い部分がベアリング1内に固定され、さらに片端はゴムチューブ2によるスペーサーを介してモーター(ORIENTAL MOTOR社製 VEXTA FBLM440A-A)3に接続された。このモーターとガラス管一式が70℃に設定された恒温槽内に水平に保たれるように設置され、モーターの回転数が約2000rpm〜3000rpmに設定されて、ガラス管4が3h回転された。ガラス管4内のMMAが重合され、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中空管が形成された。
内径30mm、長さ600mmのガラス管に代えて、内径8mm、長さ600mmのガラス管が使用され、表1に示される組成のMMAモノマー混合物に代えて、表2に示される組成のチューブ用MMAモノマー混合物が使用される以外は、上記PMMA中空管の作製と同じ要領でロッド用PMMA中空管が作製された。ロッド用PMMA中空管は90℃の減圧乾燥機内に置かれ、3時間ほど静置されて加熱された。
n−LM;和光純薬工業(株)製n−ラウリルメルカプタン、連鎖移動剤
DPS;和光純薬工業(株)製硫化ジフェニル、ドーパント
PMMA−d8はPMMA中の全ての水素が重水素に置換された構造をとっている。PMMA−d8の分子振動吸収の倍音は、PMMAの分子振動吸収の倍音に比べて長波長側にあるため、VCSELの発振波長850nmにおけるPMMA−d8の伝送損失は、PMMAの伝送損失に比べて非常に小さい。更に、PMMA−d8の波長589nmのナトリウムD線における屈折率は1.488であるのに対し、PMMAの上記D線における屈折率は約1.492である。これらの特性を利用することで、PMMA−d8ロッドから作製されるポリマー並列光導波路の伝送損失及びクロストークは小さくなり得ると予測された。そこで、PMMA−d8を母材とするロッドが作製された。
楕円中空管の片端がガスバーナーで加熱及び融着させられ閉管された。片端が閉管された楕円中空管が超純水で洗浄された。続いて4本のPMMAロッド又はPMMA−d8ロッドが洗剤と超純水で洗浄され、楕円中空管の中に並列に挿入され(図5(a))、開放部がメンブランフィルタで閉じられた。4本のロッドが挿入された楕円中空管は真空乾燥機の中に入れられ、90℃で24h減圧乾燥された。ここで、楕円中空管に挿入されるロッドは、4本すべてがPMMAロッド又は4本すべてがPMMA−d8ロッドであり、PMMAロッドとPMMA−d8ロッドが混在することはない。一方、表6に示される組成の空隙用MMAモノマー混合溶液又は空隙用MMA−d8モノマー混合溶液がフィルタ付きシリンジに注入され、当該シリンジは乾燥機に入れられ90℃で1h放置された。その後、空隙用MMAモノマー混合溶液又は空隙用MMA−d8モノマー混合溶液が、シリンジからフィルタを経て4本のロッドと楕円中空管の間に形成された空隙に注入された(図5(b))。なお、空隙用MMAモノマー混合溶液がPMMAロッドと楕円中空管の間に形成された空隙に注入され、空隙用MMA−d8モノマー混合溶液がPMMA−d8ロッドと楕円中空管の間に形成された空隙に注入された。次いで、メンブランフィルタが楕円中空管に被せられ、楕円中空管がオートクレーブ内で110℃、0.7MPaで36h静置された。上記のようにしてプリフォームが作製された。
なお、図5では、ロッドの断面形状は円であるが、ロッド作製用ガラス管の中空部分の断面形状が四角形状、三角形状であれば、ロッドの断面形状はそれぞれ四角形状、三角形状となる。
4本のロッド用PMMA中空管が楕円中空管に並列に挿入された(図6(a))。次いで、ロッド用PMMA中空管及び楕円中空管が超純水で洗浄され、メンブランフィルタで被覆され、減圧乾燥機中で90℃で24h乾燥された。一方、表7に示される組成のコア用MMAモノマー混合溶液、表8に示される組成の空隙用MMAモノマー混合溶液がフィルタ付きシリンジに注入され、当該シリンジは乾燥機に入れられ80℃で1h放置された。
なお、図6では、ロッドの断面形状は円であるが、ロッド作製用ガラス管の中空部分の断面形状が四角形状、三角形状であれば、ロッドの断面形状はそれぞれ四角形状、三角形状となる。
図7は、プリフォームの延伸を模式的に示す図である。プリフォーム9が加熱炉10(三菱レイヨンエンジニアリング(株)製)上部から垂直に降下速度V1で降下させられた。上部ヒータ11が加熱炉10の上部に、下部ヒータ12が加熱炉10の下部に設けられている。上部ヒータ11は250℃、下部ヒータ11は130℃に設定された。加熱炉10で軟化されたプリフォームは、加熱炉10の下方に設けられているドライブロール13により引き抜き速度V2で引き抜かれ、延伸された。その結果、軟化状態のポリマー並列光導波路が加熱炉10の下部から引き出され、ドライブロール13に達する前に固化された。レーザースキャン14が、加熱炉10とドライブロール13の間に設けられ、ポリマー並列光導波路のサイズ(幅及び厚み)が測定された。プリフォームの延伸倍率は下記式(1)で定義された。
延伸倍率=V2/V1 (1)
ロッドの材質がPMMAであるプリフォームがPRiT法により作製された。次いで、プリフォームが、降下速度V1=1.01mm/min、引き抜き速度V2=1.55m/minで延伸され、断面が表9に示される形状のポリマー並列光導波路No.1が作製された。そして、ポリマー並列光導波路No.1の屈折率分布、伝送損失及びクロストークが、下記されるように測定された。
ロッドの材質がPMMAであるプリフォームがSim.法により作製された。次いで、プリフォームが、降下速度V1=0.80mm/min、引き抜き速度V2=2.10m/minで延伸され、断面が表9に示される形状のポリマー並列光導波路No.2が作製された。そして、ポリマー並列光導波路No.2の屈折率分布、伝送損失及びクロストークが、上記されるように測定された。ポリマー並列光導波路No.2のコアの屈折率は、コア断面の中心から径方向に連続的に低下し、当該コアは放物線状に近い屈折率分布を有していると確認された。ポリマー並列光導波路No.2の4つのコアの波長850nm光の伝送損失はほとんど同じであり、4つのコアの波長850nm光の伝送損失の平均値が表10に示されている。ポリマー並列光導波路No.2のパルス信号の広がりも表10に示されている。ポリマー並列光導波路No.2のメインコアへの入射光強度とサブコアへの遷移光強度は線形関係であった。メインコアからサブコアへの遷移光強度がクロストークとして表11に示されている。
ロッドの材質がPMMAであるプリフォームがSim.法により作製された。次いで、プリフォームが、降下速度V1=0.20mm/min、引き抜き速度V2=2.03m/minで延伸され、断面が表9に示される形状のポリマー並列光導波路No.3が作製された。そして、ポリマー並列光導波路No.3の屈折率分布、伝送損失及びクロストークが、上記されるように測定された。ポリマー並列光導波路No.3のコアの屈折率は、コア断面の中心から径方向に連続的に低下し、当該コアは放物線状に近い屈折率分布を有していると確認された。ポリマー並列光導波路No.3の4つのコアの波長850nm光の伝送損失はほとんど同じであり、4つのコアの波長850nm光の伝送損失の平均値が表10に示されている。ポリマー並列光導波路No.3のパルス信号の広がりも表10に示されている。ポリマー並列光導波路No.3のメインコアへの入射光強度とサブコアへの遷移光強度は線形関係であった。メインコアからサブコアへの遷移光強度がクロストークとして表11に示されている。
ロッドの材質がPMMA−d8であるプリフォームがPRiT法により作製された。次いで、プリフォームが、降下速度V1=1.01mm/min、引き抜き速度V2=1.65m/minで延伸され、断面が表9に示される形状のポリマー並列光導波路No.4が作製された。そして、ポリマー並列光導波路No.4の屈折率分布、伝送損失及びクロストークが、上記されるように測定された。ポリマー並列光導波路No.4は、図1(b)に示されるW型の屈折率分布を有していると確認された。ポリマー並列光導波路No.4の4つのコアの波長850nm光の伝送損失はほとんど同じであり、4つのコアの波長850nm光の伝送損失の平均値が表10に示されている。ポリマー並列光導波路No.4のパルス信号の広がりも表10に示されている。ポリマー並列光導波路No.4のメインコアへの入射光強度とサブコアへの遷移光強度は線形関係であった。メインコアからサブコアへの遷移光強度がクロストークとして表11に示されている。ポリマー並列光導波路No.4の4つのコアの波長1070nm光の伝送損失もほとんど同じであり、4つのコアの波長1070nm光の伝送損失の平均値は0.007dB/cmであった。
ロッドの材質がPMMA−d8であるプリフォームがPRiT法により作製された。次いで、プリフォームが、降下速度V1=0.80mm/min、引き抜き速度V2=2.10m/minで延伸され、断面が表9に示される形状のポリマー並列光導波路No.5が作製された。そして、ポリマー並列光導波路No.5の屈折率分布、伝送損失及びクロストークが、上記されるように測定された。ポリマー並列光導波路No.5は、図1(b)に示されるW型の屈折率分布を有していると確認された。ポリマー並列光導波路No.5の4つのコアの波長850nm光の伝送損失はほとんど同じであり、4つのコアの波長850nm光の伝送損失の平均値が表10に示されている。ポリマー並列光導波路No.5のパルス信号の広がりも表10に示されている。ポリマー並列光導波路No.5のメインコアへの入射光強度とサブコアへの遷移光強度は線形関係であった。メインコアからサブコアへの遷移光強度がクロストークとして表11に示されている。
クラッド部の成形
表1に示されるMMAモノマー混合物に代えて、表12に示されるMMAモノマー混合物が、フィルタ(ADVANTEC東洋社製 PTFEメンブランフィルタ DISMIC-25、ポアサイズ0.2μm)で濾過され、次に、超純水にて洗浄された口径30mm(外径40mm)、高さ140mmのガラス容器(SCHOTT DURAN社製、容量250ml)に注入された。
一方、図10(a)に示される型20が準備された。型20はポリテトラフルオロエチレン(DuPont社製Teflon)製であり、図10(b)に示される寸法を有している。ポリメタクリル酸メチルとの剥離性を高めるために四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)フィルム(グンゼ(株)製EIT−Fタイプ型番:2.5F)が巻かれ、当該FEPフィルムの上に四フッ化エチレン−バーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)フィルム(グンゼ(株)製EIT−Fタイプ型番:2.5P)が巻かれたステンレス製円柱棒22(外径2.75mm、長さ300mm)8本が、型20がシラン処理されたガラス板21で挟まれて形成された空間に挿入された。
シラン処理されたガラス板21は、以下のようにして得られた。最初に、90℃に加熱されたガラス板が、1質量%のジメチルジクロロシラン(和光純薬工業(株)製特級)が溶解されたトルエン(和光純薬工業(株)製特級)溶液に30分間浸漬され、次いで乾燥された。
なお、本実施例では円柱棒が型20に挿入されたが、断面形状が四角形の棒が型20に挿入される場合、断面形状が四角形の中空部を有するクラッド部が成形される。
表3に示されるMMAモノマー混合物に代えて、表13に示されるMMAモノマー混合物がスナップバイアルに密封され、次いでMMAモノマー混合物を含むスナップバイアルが90℃で20〜30分間加熱され、上記クラッド部と同程度の温度にされた。その後、上記加熱されたMMAモノマー混合物がフィルタ(ADVANTEC東洋社製 PTFEメンブランフィルタDISMIC-25、ポアサイズ0.2μm)で濾過され、上記クラッド部の中空部にシリンジにて注入された。
上記加熱炉10の上部ヒータ11の温度が240℃、下部ヒータ12の温度が130℃に設定され、上記プリフォームが、降下速度V1=0.30mm/min、引き抜き速度V2=1.20m/minで延伸され、断面が図12に示される形状のポリマー並列光導波路No.6が作製された。ポリマー並列光導波路No.6のコアの屈折率は、コア断面の中心から径方向に連続的に低下し、当該コアは放物線状に近い屈折率分布を有していると確認された。ポリマー並列光導波路No.6の8つのコアの波長850nm光の伝送損失はほとんど同じであり、8つのコアの波長850nm光の伝送損失の平均値は0.028dB/cmだった。長さ1mのポリマー並列光導波路No.6のクロストークは、図13に示されるとおりであった。
実施例6で使用された8本のステンレス製円柱棒22に代えて4本の真鍮製四角棒(5mm×5mm×300mm)が使用され、下部ヒータ12の温度が120℃に設定される以外は、実施例7と同じ操作が行われ、断面が四角形状の4つのコアを有するポリマー並列光導波路No.7が作製された。ポリマー並列光導波路No.7のコアの屈折率は、コア断面の中心からコア外周方向に円形状に連続的に低下し、当該コアは放物線状に近い屈折率分布を有していると確認された。ポリマー並列光導波路No.7のコア断面の一辺の長さは約110μm、当該コアのピッチは160μmであった。ポリマー並列光導波路No.7は、図2(b)に示されるW型の屈折率分布を有していると確認された。ポリマー並列光導波路No.5の4つのコアの波長850nm光の伝送損失はほとんど同じであり、4つのコアの波長850nm光の伝送損失の平均値は0.027dB/cmであった。ポリマー並列光導波路No.7の波長850nm光のパルス信号の広がりは3.0ps/mであった。長さ1mのポリマー並列光導波路No.7の波長850nm光のクロストークは−36.2dBであった。
Claims (11)
- 複数のコアと、コアの外周に設けられたクラッドを有し、
コアの屈折率が、コア断面の幾何重心からコア外周に向かって連続的に低下するポリマー並列光導波路。 - コア断面が直径150μm以下の円形状であり、ピッチが200μm以下である、請求項1に記載されたポリマー並列光導波路。
- コア断面が一辺が150μm以下の四角形状であり、ピッチが200μm以下である請求項1に記載されたポリマー並列光導波路。
- クラッドの屈折率が、コア最外周部の屈折率より高い、請求項1〜3のいずれかに記載されたポリマー並列光導波路。
- 波長850nmの光の伝送損失が0.03dB/cm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載されたポリマー並列光導波路。
- 波長850nmの光のパルス信号広がりが15ps/m以下である、請求項1〜5のいずれかに記載されたポリマー並列光導波路。
- 長さ30cm〜1mのポリマー並列光導波路の、波長850nmの光のクロストークが−25dB以下である、請求項1〜6のいずれかに記載されたポリマー並列光導波路。
- コアがポリメチルメタクリレート又は全重水素化ポリメチルメタクリレートで形成され、クラッドがポリメチルメタクリレートで形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載されたポリマー並列光導波路。
- ポリマー中空管aが押圧され、断面が非円形の中空管bが作製される工程(A)、
モノマー混合溶液が、工程(A)で使用されたポリマー中空管aの内径より小さい内径を有するポリマー中空管cに注入され、重合反応が行われ、ロッドが作製される工程(B)、
工程(B)で作製された複数のロッドが、工程(A)で作製された断面が非円形の中空管bに挿入され、次いで、モノマー混合溶液が、断面が非円形の中空管bとロッドの空隙に注入され、重合反応が行われ、プリフォームが作製される工程(C)、
プリフォームが延伸される工程(D)が行われる、請求項1に記載されたポリマー並列光導波路の製造方法。 - ポリマー中空管a’が押圧され、断面が非円形の中空管b’が作製される工程(A’)、
工程(A’)で使用されたポリマー中空管a’の内径より小さい内径を有する複数のポリマー中空管c’が、工程(A’)で作製された断面が非円形の中空管b’に挿入される工程(B’)、
モノマー混合溶液が、断面が非円形の中空管b’と複数のポリマー中空管c’の間に形成された空隙と、複数のポリマー中空管c’の中空部に注入され、重合反応が行われ、プリフォームが作製される工程(C’)、
プリフォームが延伸される工程(D’)が行われる、請求項1に記載されたポリマー並列光導波路の製造方法。 - モノマー混合溶液が、棒が挿入された型内に注入され、重合反応が行われる工程(1)、
モノマー混合溶液の重合反応で得られた成形体が脱型され、棒が当該成形体から抜き取られる工程(2)、
モノマー混合溶液が、当該成形体からの棒の抜き取りにより形成された中空部に注入され、重合反応が行われ、プリフォームが作製される工程(3)、
プリフォームが延伸される工程(4)が行われる、請求項1に記載されたポリマー並列光導波路の製造方法。
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