JP2008241413A - 表面温度測定システム、加熱炉、表面温度測定方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱帯13の上方からスラブ21の表面を望む位置に放射温度計100を設置し、更に加熱帯13の天井面13aに熱電対200を点在させる。熱電対200の設置位置に基づいて定まる温度測定対象領域210と、温度測定対象領域210を分割したゾーンA〜Lとを定義する。熱電対200の温度を用いて、迷光雑音輝度をゾーン毎に求め、求めたゾーン毎の迷光雑音輝度を加算したものをゾーン全体の迷光雑音輝度とする。一方、ゾーン以外の天井面13aの領域については、適当に算出した温度を用いて、迷光雑音輝度を一括して求める。そして、放射温度計100で得た発光輝度から、求めた迷光雑音輝度を引いて、スラブ21自体から発光される自発光輝度を求める。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、所定の間隔を有して鋼材表面と正対する位置に固定された第1の放射温度計の他に、加熱炉内に設けられ、炉内全方向に受光方向を走査できる第2の放射温度計を用いる技術が開示されている。かかる技術では、加熱炉内において第2の放射温度計を走査させて加熱炉内に存在する迷光雑音の輝度を測定し、第1の放射温度計で測定した発光輝度から、第2の放射温度計で測定した迷光雑音の輝度を除去して、鋼材表面の温度を測定するようにしている。
すなわち、特許文献1に記載の技術では、1000[℃]〜1400[℃]の高温の加熱炉内に、放射温度計と、その放射温度計を走査するための駆動機構を備えた測定装置を挿入しなければならない。このため、測定装置を冷却するための冷却機構を、限られたスペースに設けなければならない。よって、特許文献1に記載の技術を実現することは困難である。
また、本発明の加熱炉は、前記表面温度測定システムを有することを特徴とする。
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の表面温度測定システムの適用対象の一例である多帯式ウォーキングビーム式連続加熱炉の概略構成の一例を示す図である。
図1において、多帯式ウォーキングビーム式連続加熱炉10は、非燃焼帯11と、予熱帯12と、加熱帯13と、均熱帯14とを、被測定物体の一例であるスラブ21が順番に通過するようにして、スラブ21を加熱するためのものである。尚、以下の説明では、多帯式ウォーキングビーム式連続加熱炉10を、加熱炉10と略称する。また、図1では、15個のスラブ21が、加熱炉10内にある場合を例に挙げて示している。
尚、本実施形態では、軸流バーナー15、ルーフバーナー16、及びサイドバーナー17からバーナー火炎を発生させるための燃料として、例えばLNGを用い、支燃剤として空気又は酸素富化空気を用いている。尚、各バーナー15〜17に送られる支燃剤は、400[℃]〜600[℃]程度に予熱されている。
以上のように本実施形態では、例えば、放射温度計100を用いて、発光輝度測定手段が実現される。
図2に示すように、本実施形態では、12個の熱電対200a〜200lを、加熱帯13の天井面13aに取り付けている。具体的に本実施形態では、12個の熱電対200a〜200iを、概ね、1[m]間隔で点在させている。
図3に示すように、本実施形態では、スラブ21表面上の点であって、放射温度計100の入光面100aの中心100bと正対する位置にある点21aから、放射温度計100の方向に広がる天頂角θが45[°](広がり角が90[°])の仮想の円錐41があると見なした場合に、その仮想の円錐41の内部に入るように、12個の熱電対200a〜200lが、加熱帯13の天井面13aに取り付けられるようにしている。
本願発明者らは、加熱炉10による加熱によって表面が酸化したスラブ21の放射率εsは、温度によらず概ね0.85で一定となるという知見を得た。したがって、加熱帯13の天井面13aから発せられる「波長が3.9[μm]の光」の二方向性反射率ρ´´(θ)の天井面13a全体における積分値は、温度によらず概ね0.15(1−0.85)になる。ここで、二方向性反射率ρ´´(θ)とは、例えば、加熱帯13の天井面13aの点(例えば、熱電対200hの中心位置である点13c)から、スラブ21の被測定領域に入射した光のうち、放射温度計100の入光面100aの方向(法線方向)に反射する光がどの位あるのかを示すものである。尚、スラブ21の被測定領域とは、温度測定中心点21aを中心とする領域であって、放射温度計100の入光面100aと正対する領域である。
更に、本願発明者らは、図4に示すグラフ51を表す関数を積分した結果(図4に示したグラフ51の面積)が0.15となるように、グラフ51の縦軸の値を相対値から実際の値に変更する計算をコンピュータに行わせた。その結果、本願発明者らは、波長が3.9[μm]の光の入射角(天頂角)θと、二方向性反射率ρ´´(θ)の実際の値との関係を示す二方向性反射率ρ´´(θ)の関数を得た。
そして、本願発明者らは、コンピュータを用いて、次の(1)式の演算を行った。
以上のことから、本願発明者らは、加熱炉10の天井面13a全体から発せられる光の全てではなく、仮想の円錐41の内部の領域から発せられる光に基づいて、加熱炉10の天井面13aから発せられる外乱光に基づく迷光雑音輝度を求めたとしても、その迷光雑音輝度の誤差は、以下の(2)式に示すように、1[%]未満となるという知見を得た。
0.3×0.15×0.2×100=0.9[%] ・・・(2)
以上のように本実施形態では、例えば、12個の熱電対200a〜200lを用いて複数の温度測定手段が実現される。
ゾーン迷光雑音輝度計算部317は、各ゾーンA〜Lにおける迷光雑音輝度を計算するためのものであり、外乱光輝度計算部315と、迷光雑音パラメータ計算部316と、ゾーン単位迷光雑音輝度計算部313とを有している。
外乱光輝度計算部315は、外乱光輝度を計算するためのものであり、熱電対温度取得部302、熱電対位置記憶部303、及び第1の発光輝度算出部308を備えている。
熱電対温度取得部302は、12個の熱電対200a〜200lで測定された温度の信号を入力してRAMに記憶させるためのものである。このとき熱電対温度取得部302は、どの熱電対200a〜200lが測定した温度であるのかを識別できるようにして、その温度をRAMに記憶させる。
C1、C2:物理定数(C1=3.7419×10-16[wm2]、C2=1.4388×10-2[mK])
Tij:各ゾーンA〜Lの代表点の温度[K]
放射率記憶部304は、ユーザによるユーザインターフェース(キーボードやマウス)等の操作に基づいて、加熱炉10による加熱によって表面が酸化されたスラブ21の放射率εsのデータを外部から取得して記憶するためのものである。尚、以下の説明では、必要に応じて、加熱炉10による加熱によって表面が酸化されたスラブ21の放射率εsを、必要に応じて、スラブ21の放射率εs又は単に放射率εsと略称する。
具体的にパラメータ算出部306は、各ゾーンA〜Lの代表点の位置と、温度測定中心点21aの位置と、各ゾーンA〜Lの面積Aijとを、立体角のデータとしてユーザインターフェースから入力する。すると、パラメータ算出部306は、ゾーンA〜Lの代表点(例えば図2の点13c)と温度測定中心点21aとを結ぶ直線の長さlijを、各ゾーンA〜Lについて算出する。また、パラメータ算出部306は、ゾーンA〜Lの代表点と温度測定中心点21aとを結ぶ直線と、温度測定中心点21aと放射温度計100の入光面100aの中心100bとを結ぶ直線とがなす角度θijを、各ゾーンA〜Lについて算出する(図2を参照)。そして、各ゾーンA〜Lについて、以下の(4)式を用いて、ゾーン内迷光雑音パラメータを各ゾーンA〜Lについて計算する。尚、前記において、添字ijは、ゾーンA〜Lを識別するための変数である。
Aij:各ゾーンA〜Lの面積[m2]
ρ´´(θij):二方向性反射率
尚、本実施形態では、(4)式において、(cosθij・Aij/lij 2)が、温度測定中心点21aから各ゾーンA〜Lの代表点を見る立体角である。
Aij:各ゾーンA〜Lの面積[m2]
ρ´´(θij):二方向性反射率
パラメータ記憶部307は、例えば、ハードディスクやROMを用いて構成することができる。
第2の発光輝度算出部309は、12個の熱電対200a〜200lのうち、外側にある熱電対200a、200d、200e、200h〜200lの温度を、熱電対温度取得部302から入力する。そして、第2の発光輝度算出部309は、入力した温度の平均値を、ゾーンA〜L以外の「天井面13aの領域」の温度Toとして計算する。そして、第2の発光輝度算出部309は、ゾーンA〜L以外の「天井面13aの領域」から発光された光に基づく外乱光輝度Io(To)を、以下の(8)式を用いて計算する。
C1、C2:物理定数(C1=3.7419×10-16[wm2]、C2=1.4388×10-2[mK])
To:ゾーンA〜L以外の「天井面13aの領域」の温度[K]
Ib(Tm):放射温度計100で求められた発光輝度[W・m-2・sr-1・μm-1]
Ib(Tij):各ゾーンA〜Lから発光される外乱光輝度[W・m-2・sr-1・μm-1]
Io(To):ゾーンA〜L以外の「天井面13aの領域」から発光された光に基づく外乱光輝度Io(To)[W・m-2・sr-1・μm-1]
θij:ゾーンA〜Lの代表点と温度測定中心点21aとを結ぶ直線と、温度測定中心点21aと放射温度計100の入光面100aの中心100bとを結ぶ直線とがなす角度[°]
Aij:各ゾーンA〜Lの面積[m2]
ρ´´(θij):二方向性反射率
Tij:各ゾーンA〜Lの代表点の温度[K]
To:ゾーンA〜L以外の「天井面13aの領域」の温度[K]
C1、C2:物理定数
εsIb(Ts):スラブ21自体より発せられる自発光輝度[W・m-2・sr-1・μm-1]
まず、ステップS1において、発光輝度取得部301は、放射温度計100で求められた発光輝度Ib(Tm)の信号を取得するまで待機する。そして、放射温度計100で求められた発光輝度Ib(Tm)の信号を取得すると、ステップS2に進む。ステップS2に進むと、発光輝度取得部301は、放射温度計100で求められた発光輝度Ib(Tm)をRAMに記憶させる。
次に、ステップS7において、ゾーン単位迷光雑音輝度計算部313は、変数ijで指定されるゾーンのゾーン内迷光雑音パラメータを、パラメータ記憶部307から読み出す。
次に、ステップS8において、ゾーン単位迷光雑音輝度計算部313は、変数ijで指定されるゾーンから発光される外乱光輝度Ib(Tij)を、ステップS5で第1の発光輝度算出部308により算出された外乱光輝度Ib(Tij)の中から取得する。そして、ゾーン単位迷光雑音輝度計算部313は、ステップS7で読み出したゾーン内迷光雑音パラメータと、第1の発光輝度算出部308から取得した外乱光輝度Ib(Tij)とを乗算して((6)式を参照)、計算対象のゾーンから発光される光に基づく迷光雑音輝度(ゾーン毎の迷光雑音輝度)を算出する。
次に、ステップS15において、第3の発光輝度算出部310は、ステップS11で算出された全ゾーン迷光雑音輝度((10)式の右辺第2項)と、ステップS13で算出されたゾーン外迷光雑音輝度((10)式の右辺第3項))と、ステップS14で読み出された「スラブ21の放射率εs」と、ステップS2で記憶された「放射温度計100で求められた発光輝度Ib(Tm)」とを、(10)式(又は(11)式)に代入して、スラブ21自体より発せられる自発光輝度εsIb(Ts)を算出する。
次に、ステップS17において、表面温度表示部312は、ステップS16で算出された「スラブ21の被測定領域の表面温度Ts」を、表示装置400に表示して、ユーザに報知する。
更に、本実施形態では、ゾーンA〜Lの中心(重心)に熱電対200a〜200lが設置されるようにしたが、必ずしもこのようにする必要はない。このようにした場合、熱電対200a〜200lの温度を外挿したり、熱電対200a〜200lの温度に基づいて補間を行って必要な位置の温度を求めたりする等して、ゾーンA〜Lの代表点(例えば中心位置又は重心位置)の温度を求めるようにしてもよい。
また、本実施形態では、熱電対200を1[m]間隔で規則的に設置するようにしたが、炉壁温度に分布が見られる位置に熱電対200を設置していれば、必ずしも熱電対200を規則的に設置する必要はない。例えば、温度分布の差が大きい領域については、熱電対200の設置間隔を短くし、温度分布の差が小さい領域については、熱電対200の設置間隔を長くすることができる。更に、熱電対200の数、ゾーンA〜Lの数は、「12」に限定されるものではない。
また、本実施形態では、放射温度計100で発光輝度を求めるようにしたが、必ずしもこのようにする必要はなく、情報処理装置500が、放射温度計100で求められた温度から、プランクの法則に基づいて、発光輝度を算出するようにしてもよい。このようにした場合には、発光輝度測定手段が情報処理装置500内に設けられることになる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、ゾーンA〜Lの数と、熱電対200の設置数とが同じである場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、ゾーンA〜Lを更に分割し、熱電対200の設置数よりも多い数のゾーンを定義するようにしている。したがって、本実施形態と第1の実施形態とは、ゾーンの定義の方法と、各ゾーンの代表点の温度Tijの決定方法とが主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一の部分については、例えば、図1〜図8付した符号と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態でも、第1の実施形態と同様にして、12個の熱電対200a〜200lを、加熱帯13の天井面13aに取り付けている。更に、熱電対200の温度測定対象領域210も、第1の実施形態と同様にして定義する。
具体的に説明すると、例えば、計算対象のゾーンの中心を通る対角線上にある2つの熱電対200の温度と、それら2つの熱電対200の設置位置とにより定まる関数(直線)を求め、求めた関数から、各ゾーンの代表点(中心点)に対応する温度を求め、求めた温度を各ゾーンの代表点の温度Tijとする。
ゾーン単位迷光雑音輝度計算部313は、第1の発光輝度算出部308で算出された「各ゾーンA1〜L4の外乱光輝度Ib(Tij)」と、「各ゾーンA1〜L4のゾーン内迷光雑音パラメータ」とを乗算して、ゾーン毎の迷光雑音輝度を計算する。そして、加算部314は、ゾーン単位迷光雑音輝度計算部313が、ゾーン毎の迷光雑音輝度を、全てのゾーンA1〜L4について計算すると、それら全てのゾーンA1〜L4における「ゾーン毎の迷光雑音輝度」を加算して、全てのゾーンA1〜L4における迷光雑音輝度(全ゾーン迷光雑音輝度)を計算する。
また、本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採ることができる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、12個の熱電対200a〜200lの設置位置に基づいて定まる温度測定対象領域210内にゾーンA〜Lを定義した場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、温度測定対象領域210内だけでなく、温度測定対象領域210外にもゾーンを定義するようにしている。したがって、本実施形態と第1の実施形態とは、ゾーンの定義の方法と、各ゾーンの代表点の温度Tijの決定方法とが主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一の部分については、例えば、図1〜図8に付した符号と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態でも、第1の実施形態と同様にして、12個の熱電対200a〜200lを、加熱帯13の天井面13aに取り付けている。更に、熱電対200の温度測定対象領域210も、第1の実施形態と同様にして定義する。
加算部314は、ゾーン単位迷光雑音輝度計算部313が、ゾーン毎の迷光雑音輝度を、全てのゾーンA〜Xについて計算すると、それら全てのゾーンA〜Xにおける「ゾーン毎の迷光雑音輝度」を加算して、全てのゾーンA〜Xにおける迷光雑音輝度(全ゾーン迷光雑音輝度)を計算する。
更に、本実施形態では、熱電対200の設置数よりも多い数のゾーンA〜Xを定義したが、熱電対200の設置数とゾーンの数を同じにしてもよい。このようにする場合には、温度測定対象領域210の境界線を跨ぐゾーンが定義されることになる。
更に、第2の実施形態のようにして、温度測定対象領域210内に、熱電対200の設置数よりも多い数のゾーンA1〜A4を定義した上で、本実施形態のように、温度測定対象領域210外にゾーンを定義するようにしてもよい。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。前述した第1〜第3の実施形態では、放射温度計100と、複数の熱電対200との組みを、加熱帯13に1組み設け、1つの被測定領域における表面温度Tsを求める場合について説明した。これに対し、本実施形態では、放射温度計と、12個の熱電対との組みを、加熱帯13に3組み設け、情報処理装置において、3つの被測定領域における表面温度Tsを求めるようにしている。このように前述した第1〜第3の実施形態と、本実施形態とは、放射温度計と、12個の熱電対との組み数と、情報処理装置500の機能の一部とが主として異なる。従って、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一の部分については、例えば、図1〜図11に付した符号と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、情報処理装置501は、取得した発光輝度と温度とを用いて、前述した第1〜第3の実施形態と同様にして、スラブ21の略同一の被測定領域における表面温度Ts[K]を3回算出する。そして、情報処理装置501は、算出した被測定領域の表面温度Tsを用いて、加熱帯13にあるスラブ21の温度履歴を算出し、算出した温度履歴を表示装置401に表示させる。
尚、放射温度計101〜103の数と、熱電対200との組数は、3つに限定されない。また、前述した第1〜第3の実施形態で説明した種々の変形例を採ることができる。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。前述した第4の実施形態では、加熱帯13において、放射温度計と、12個の熱電対との組みを、スラブ21の幅方向(搬送方向)に3組み設け、情報処理装置において、3つの被測定領域における表面温度Tsを求める場合について説明した。これに対し本実施形態では、放射温度計と、12個の熱電対との組みを、スラブ21の長手方向に3組み設けるようにする。このように前述した第4の実施形態と、本実施形態とは、放射温度計と、12個の熱電対との組みの設置位置と、情報処理装置501の機能の一部とが主として異なる。従って、本実施形態の説明において、前述した第1〜第4の実施形態と同一の部分については、例えば、図1〜図12に付した符号と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。前述した第1〜第3の実施形態では、放射温度計100と、複数の熱電対200との組みを、加熱帯13に1組み設け、1つの被測定領域における表面温度Tsを求める場合について説明した。これに対し、本実施形態では、放射温度計と、12個の熱電対との組みを、加熱帯13と予熱帯12とに夫々1組みずつ設け、情報処理装置において、2つの被測定領域における表面温度Tsを求めるようにする。このように前述した第1〜第5の実施形態と、本実施形態とは、放射温度計と、12個の熱電対との組み数及び設置箇所と、情報処理装置500〜502の機能の一部とが主として異なる。従って、本実施形態の説明において、前述した第1〜第3の実施形態と同一の部分については、例えば、図1〜図13に付した符号と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
放射温度計107は、第1の実施形態で説明した放射温度計100と同じ構成を有している。放射温度計107は、予熱帯12の上方から、予熱帯12の天井面12aの一部に形成された孔12bを通して、予熱帯12内を搬送されるスラブ21の表面を望む位置に設置されている。
一方、予熱帯12の天井面12aには、放射温度計107の入光面107aの中心107bと正対する位置にある点21a7から、放射温度計100の方向に広がる天頂角θが45[°]の仮想の円錐があると見なした場合に、その仮想の円錐の内部に入るように、12個の熱電対200a〜200lが取り付けられるようにしている。
更に、第4〜第6の実施形態のうち、少なくとも何れか2つの実施形態を組み合わせて、表面温度測定システムを構成することもできる。
また、第4の実施形態では、放射温度計101〜103と、熱電対200との組みを、スラブ21の幅方向に複数設け、第5の実施形態では、放射温度計計104〜106と、熱電対200との組みを、スラブ21の長手方向に複数設けた場合を例に挙げて説明したが、放射温度計と、12個の熱電対との組みを、スラブ21の任意の方向に複数設けることもできる。
尚、前述した第1〜第6の実施形態では、サイドバーナー17を、スラブ21よりも下側に設けた場合を例に挙げて説明したが、サイドバーナー17を、スラブ21よりも上側に設けてもよい。
また、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
11 非燃焼帯
12 予熱帯
12a 天井面
12b 天井面に形成された孔
13 加熱帯
13a 天井面
13b 天井面に形成された孔
13c 天井面の任意の点
14 均熱帯
15 軸流バーナー
16 ルーフバーナー
17 サイドバーナー
21 スラブ
21a 温度測定中心点
41 仮想の円錐
91 実際の放射率が0.87であったときの、スラブの表面温度の算出値と真値との誤差を示すグラフ
92 実際の放射率が0.83であったときの、スラブの表面温度の算出値と真値との誤差を示すグラフ
100〜107 放射温度計
100a〜107a 放射温度計の入光面
100b〜107b 放射温度計の入光面の中心
200 熱電対
301 発光輝度取得部
302 熱電対温度取得部
303 熱電対位置記憶部
304 放射率記憶部
305 二方向性反射率導出部
306 パラメータ算出部
307 パラメータ記憶部
308 第1の発光輝度算出部
309 第2の発光輝度算出部
310 第3の発光輝度算出部
311 表面温度算出部
312 表面温度表示部
400〜403 表示装置
500〜503 情報処理装置
θ 仮想の円錐の天頂角
Claims (27)
- 被測定物体の表面に入射する外乱光を発生する領域の温度を測定する複数の温度測定手段と、
前記被測定物体から発光される光の発光輝度を測定する発光輝度測定手段と、
前記被測定物体の表面で前記発光輝度測定手段へ反射した迷光雑音輝度を、前記複数の温度測定手段により測定された温度を用いて計算する迷光雑音計算手段と、
前記発光輝度測定手段により測定される発光輝度のうち、前記被測定物体自体から発生している自発光輝度を、前記迷光雑音計算手段により計算された迷光雑音輝度と、前記発光輝度測定手段により測定された発光輝度とを用いて計算する自発光輝度計算手段と、
前記自発光輝度計算手段により計算された自発光輝度を用いて、前記被測定物体の表面温度を計算する表面温度計算手段とを有する、被測定物体の表面温度を測定する表面温度測定システムであって、
前記迷光雑音計算手段は、前記複数の温度測定手段による温度測定対象領域を含む領域を複数に分割したゾーン毎に、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を計算するゾーン迷光雑音計算手段を有し、
前記ゾーン迷光雑音計算手段により計算されたゾーン毎の迷光雑音輝度を加算した値を用いて、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を計算することを特徴とする表面温度測定システム。 - 前記特定波長の光における前記被測定物体の二方向性反射率を、予め記憶する二方向性反射率記憶手段と、
前記発光輝度測定手段の測定点から前記ゾーンの代表点を見る立体角を、前記ゾーン毎に予め記憶する立体角記憶手段とを有し、
前記ゾーン迷光雑音計算手段は、前記ゾーンの代表点の温度と、前記二方向性反射率と、計算対象のゾーンにおける前記立体角とを用いて、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を、前記ゾーン毎に計算することを特徴とする請求項1に記載の表面温度測定システム。 - 前記ゾーン迷光雑音計算手段は、前記複数の温度測定手段による温度測定対象領域を複数に分割したゾーン毎に、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を計算することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面温度測定システム。
- 前記ゾーン迷光雑音計算手段は、前記複数の温度測定手段による温度測定対象領域よりも広い領域を複数に分割したゾーン毎に、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を計算することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面温度測定システム。
- 前記ゾーンの数は、前記複数の温度測定手段の数と同数であることを特徴とする請求項3又は4に記載の表面温度測定システム。
- 前記ゾーンの数は、前記複数の温度測定手段の数よりも多いことを特徴とする請求項3又は4に記載の表面温度測定システム。
- 前記発光輝度測定手段は、その光の検出面が、前記被測定物体の被測定領域と正対する位置に設けられることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の表面温度測定システム。
- 前記被測定物体の被測定領域内の点から、前記発光輝度測定手段の方向に広がる天頂角が45[°]の円錐があると見なした場合のその円錐の内部の領域内に、前記複数の温度測定手段の温度測定対象領域が存在するように、前記複数の温度測定手段を点在させるようにしたことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の表面温度測定システム。
- 前記自発光輝度計算手段は、前記特定波長の光における前記被測定物体の放射率として一定値を、予め記憶する放射率記憶手段を有し、
前記発光輝度測定手段により測定される発光輝度のうち、前記被測定物体自体から発生している自発光輝度を、前記迷光雑音計算手段により計算されたゾーン毎の迷光雑音輝度と、前記発光輝度測定手段により測定された発光輝度と、前記放射率記憶手段により記憶された放射率とを用いて計算することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の表面温度測定システム。 - 前記発光輝度測定手段は、その光の検出面が、前記加熱炉の上方から、加熱炉の天井に開けられた孔を通して、前記加熱炉内にある被測定物体を望む位置に設けられ、
前記複数の温度測定手段は、前記加熱炉の天井の炉壁に設けられ、
前記被測定物体は、ガス焚き加熱炉内で加熱されている鋼材であり、
前記発光輝度測定手段により測定する特定波長は、略3.9[μm]であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の表面温度測定システム。 - 請求項1〜10の何れか1項に記載の表面温度測定システムを複数セット有することを特徴とする表面温度測定システム。
- 請求項11に記載の表面温度測定システムであって、請求項1〜10の何れか1項に記載の表面温度測定システムにおける発光輝度測定手段と複数の温度測定手段とを、前記加熱炉の長手方向及び幅方向の何れか又は両方に並べ、所定のタイミングに、被測定物体の表面温度の測定を実行する機能を有することを特徴とする表面温度測定システム。
- 請求項1〜12の何れか1項に記載の表面温度測定システムを有することを特徴とする加熱炉。
- 被測定物体の表面に入射する外乱光を発生する領域の温度を、複数の温度測定手段を用いて測定する温度測定ステップと、
前記被測定物体の表面で発光輝度測定手段へ反射した迷光雑音輝度を、前記温度測定ステップにより測定された温度を用いて計算する迷光雑音計算ステップと、
前記被測定物体から発光される光の発光輝度を、前記発光輝度測定手段により測定する発光輝度測定ステップと、
前記発光輝度測定ステップにより測定される発光輝度のうち、前記被測定物体自体から発生している自発光輝度を、前記迷光雑音計算ステップにより計算された迷光雑音輝度と、前記発光輝度測定ステップにより測定された発光輝度とを用いて計算する自発光輝度計算ステップと、
前記自発光輝度計算ステップにより計算された自発光輝度を用いて、前記被測定物体の表面温度を計算する表面温度計算ステップとを有する、被測定物体の表面温度を測定する表面温度測定方法であって、
前記迷光雑音計算ステップは、前記複数の温度測定手段による温度測定対象領域を含む領域を複数に分割したゾーン毎に、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を計算するゾーン迷光雑音計算ステップを有し、
前記ゾーン迷光雑音計算ステップにより計算されたゾーン毎の迷光雑音輝度を加算した値を用いて、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を計算することを特徴とする表面温度測定方法。 - 前記特定波長の光における前記被測定物体の二方向性反射率を、予め記憶する二方向性反射率記憶ステップと、
前記発光輝度測定手段の測定点から前記ゾーンの代表点を見る立体角を、前記ゾーン毎に予め記憶する立体角記憶ステップとを有し、
前記ゾーン迷光雑音計算ステップは、前記ゾーンの代表点の温度と、前記二方向性反射率と、計算対象のゾーンにおける前記立体角とを用いて、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を、前記ゾーン毎に計算することを特徴とする請求項14に記載の表面温度測定方法。 - 前記ゾーン迷光雑音計算ステップは、前記複数の温度測定手段による温度測定対象領域を複数に分割したゾーン毎に、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を計算することを特徴とする請求項14又は15に記載の表面温度測定方法。
- 前記ゾーン迷光雑音計算ステップは、前記複数の温度測定手段による温度測定対象領域よりも広い領域を複数に分割したゾーン毎に、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を計算することを特徴とする請求項14又は15に記載の表面温度測定方法。
- 前記ゾーンの数は、前記複数の温度測定手段の数と同数であることを特徴とする請求項16又は17に記載の表面温度測定方法。
- 前記ゾーンの数は、前記複数の温度測定手段の数よりも多いことを特徴とする請求項16又は17に記載の表面温度測定方法。
- 前記発光輝度測定手段は、その光の検出面が、前記被測定物体の被測定領域と正対する位置に設けられることを特徴とする請求項14〜19の何れか1項に記載の表面温度測定方法。
- 前記被測定物体の被測定領域内の点から、前記発光輝度測定ステップの方向に広がる天頂角が45[°]の円錐があると見なした場合のその円錐の内部の領域内に、前記複数の温度測定手段の温度測定対象領域が存在するように、前記複数の温度測定手段を点在させるようにしたことを特徴とする請求項14〜20の何れか1項に記載の表面温度測定方法。
- 前記自発光輝度計算ステップは、前記特定波長の光における前記被測定物体の放射率として一定値を、予め記憶する放射率記憶ステップを有し、
前記発光輝度測定ステップにより測定される発光輝度のうち、前記被測定物体自体から発生している自発光輝度を、前記迷光雑音計算ステップにより計算されたゾーン毎の迷光雑音輝度と、前記発光輝度測定ステップにより測定された発光輝度と、前記放射率記憶ステップにより記憶された放射率とを用いて計算することを特徴とする請求項14〜21の何れか1項に記載の表面温度測定方法。 - 前記発光輝度測定手段は、その光の検出面が、前記加熱炉の上方から、加熱炉の天井に開けられた孔を通して、前記加熱炉内にある被測定物体を望む位置に設けられ、
前記複数の温度測定手段は、前記加熱炉の天井の炉壁に設けられ、
前記被測定物体は、ガス焚き加熱炉内で加熱されている鋼材であり、
前記発光輝度測定手段により測定する特定波長は、略3.9[μm]であることを特徴とする請求項14〜22の何れか1項に記載の表面温度測定方法。 - 前記発光輝度測定ステップは、700[℃]以上に加熱されている被測定物体から入射する光を検出することを特徴とする請求項14〜23の何れか1項に記載の表面温度測定方法。
- 請求項1〜12の何れか1項に記載の表面温度測定システムにおける発光輝度測定手段と複数の温度測定手段とを、前記加熱炉の被測定物体の搬送方向に複数セット並べて設置し、被測定物体の略同一箇所を所定のタイミングで測温することにより、被測定物体の温度履歴を測定することを特徴とする表面温度測定方法。
- 請求項1〜12の何れか1項に記載された表面温度測定システムにおける発光輝度測定手段と複数の温度測定手段とを、任意の方向に複数セットを並べて設置し、被測定物体の異なる領域を同時に測温することにより、被測定物体の任意の方向における温度分布を測定することを特徴とする表面温度測定方法。
- 被測定物体から発光される光の発光輝度を測定する発光輝度測定手段と、
前記被測定物体の表面に入射する外乱光を発生する領域の温度を測定する複数の温度測定手段と、における測定値を用いて、前記被測定物体の表面温度を測定することをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記被測定物体の表面で前記発光輝度測定手段へ反射した迷光雑音輝度を、前記温度測定手段により測定された温度を用いて計算する迷光雑音計算ステップと、
前記発光輝度測定手段により測定される発光輝度のうち、前記被測定物体自体から発生している自発光輝度を、前記迷光雑音計算ステップにより計算された迷光雑音輝度と、前記発光輝度測定手段により測定された発光輝度とを用いて計算する自発光輝度計算ステップと、
前記自発光輝度計算ステップにより計算された自発光輝度を用いて、前記被測定物体の表面温度を計算する表面温度計算ステップとをコンピュータに実行させ、
前記迷光雑音計算ステップは、前記複数の温度測定手段による温度測定対象領域を含む領域を複数に分割したゾーン毎に、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を計算するゾーン迷光雑音計算ステップを有し、
前記ゾーン迷光雑音計算ステップにより計算されたゾーン毎の迷光雑音輝度を加算した値を用いて、前記被測定物体の表面で反射した迷光雑音輝度を計算することを特徴とするコンピュータプログラム。
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