JP2008239842A - 異型押出し成形用材料及び異型押出し成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高粘度特性、低温耐衝撃性に優れたポリアミド樹脂組成物からなる異型押出し成形用材料、及びそれを成形してなる異型押出し成形体を提供する。
【解決手段】数平均分子量が25000以上の脂肪族ポリアミド樹脂(A)、芳香族ポリアミド樹脂(B)、及び温度230℃、荷重2160gで測定したMFRが0.1〜3.0g/10分である耐衝撃材(C)を含む樹脂組成物であって、キャピログラフを用いて、温度250℃、せん断速度12.16sec-1 の条件下で測定した溶融粘度が28000Pa・s以上であり、−40℃におけるノッチ付アイゾット衝撃強度(厚み1/4インチ)が700J/m以上であるポリアミド樹脂組成物からなる異型押出し成形用材料、及びそれを異型押出し成形してなる異型押出し成形体である。
【選択図】なし
【解決手段】数平均分子量が25000以上の脂肪族ポリアミド樹脂(A)、芳香族ポリアミド樹脂(B)、及び温度230℃、荷重2160gで測定したMFRが0.1〜3.0g/10分である耐衝撃材(C)を含む樹脂組成物であって、キャピログラフを用いて、温度250℃、せん断速度12.16sec-1 の条件下で測定した溶融粘度が28000Pa・s以上であり、−40℃におけるノッチ付アイゾット衝撃強度(厚み1/4インチ)が700J/m以上であるポリアミド樹脂組成物からなる異型押出し成形用材料、及びそれを異型押出し成形してなる異型押出し成形体である。
【選択図】なし
Description
本発明は、異型押出し成形用材料に関し、詳しくは、高粘度特性、低温耐衝撃性に優れたポリアミド樹脂組成物からなる異型押出し成形用材料、及びその異型押出し成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品性を有することから、エンジニアリングプラスチックスとして、電子・電気用途、OA機器用途、自動車用途等の成形体材料として有用されている。そのなかで、異型押出し成形体用材料としての利用も検討されている。
異形押出成形法は、形状が複雑な成形体、小さな形状で高度な寸法精度を要求される成形体、中空成形体等の製造に適用されている。この異形押出し成形法に使用される樹脂には、ダイの複雑な形状に追随し、十分な寸法精度を得ることができる特性を要求される。
異形押出成形法は、形状が複雑な成形体、小さな形状で高度な寸法精度を要求される成形体、中空成形体等の製造に適用されている。この異形押出し成形法に使用される樹脂には、ダイの複雑な形状に追随し、十分な寸法精度を得ることができる特性を要求される。
異形押出し成形法は、一般に、押出し、異形金型成形、サイジング、冷却等の工程を経て行われるが、(1)樹脂の溶融粘度が低いことによる押出し機ダイとサイジング間の樹脂垂れの発生、樹脂詰まりの発生、(2)サイジング工程における成形品の表面荒れ、寸法精度の悪化等の問題がある。この問題の解決法として、押出し機ダイとサイジング間距離を極力短くすることによる樹脂垂れの回避、多板サイジング方式、真空サイジング方式の工夫等があるが、これらの方式は、強制的に形状を整える方法である。
そこで、ポリエステル樹脂を用いて溶融状態における粘着性を改良する提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、従来上市されている非強化系ポリアミド樹脂の高粘度グレードにおいては、複雑な異型断面を有する押出し品を生産できるグレードは存在しないのが現状であった。
そこで、ポリエステル樹脂を用いて溶融状態における粘着性を改良する提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、従来上市されている非強化系ポリアミド樹脂の高粘度グレードにおいては、複雑な異型断面を有する押出し品を生産できるグレードは存在しないのが現状であった。
本発明は、上記問題を解決し、高粘度特性、低温耐衝撃性に優れたポリアミド樹脂組成物からなる異型押出し成形用材料、及びそれを成形してなる異型押出し成形体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供するものである。
(1) 数平均分子量が25000以上の脂肪族ポリアミド樹脂(A)、芳香族ポリアミド樹脂(B)、及びASTM D1238に基づき、温度230℃、荷重2160gで測定したMFRが0.1〜3.0g/10分である耐衝撃材(C)を含む樹脂組成物であって、毛管式流れ特性試験機(以下、キャピログラフという)を用いて、ASTM D1238に基づき、温度250℃、せん断速度12.16sec-1 の条件下で測定した溶融粘度が28000Pa・s以上であり、ASTM D256に基づく−40℃におけるノッチ付アイゾット衝撃強度(厚み1/4インチ)が700J/m以上であるポリアミド樹脂組成物からなることを特徴とする異型押出し成形用材料。
(2)前記(1)の異型押出し成形用材料を異型押出し成形してなることを特徴とする異型押出し成形体。
(1) 数平均分子量が25000以上の脂肪族ポリアミド樹脂(A)、芳香族ポリアミド樹脂(B)、及びASTM D1238に基づき、温度230℃、荷重2160gで測定したMFRが0.1〜3.0g/10分である耐衝撃材(C)を含む樹脂組成物であって、毛管式流れ特性試験機(以下、キャピログラフという)を用いて、ASTM D1238に基づき、温度250℃、せん断速度12.16sec-1 の条件下で測定した溶融粘度が28000Pa・s以上であり、ASTM D256に基づく−40℃におけるノッチ付アイゾット衝撃強度(厚み1/4インチ)が700J/m以上であるポリアミド樹脂組成物からなることを特徴とする異型押出し成形用材料。
(2)前記(1)の異型押出し成形用材料を異型押出し成形してなることを特徴とする異型押出し成形体。
本発明によれば、高粘度特性、低温耐衝撃性に優れたポリアミド樹脂組成物からなる異型押出し成形用材料、及びそれを成形してなる異型押出し成形体を提供することができる。
本発明の異型押出し成形用材料は、数平均分子量が25000以上の脂肪族ポリアミド樹脂(A)、芳香族ポリアミド樹脂(B)、及びASTM D1238に基づき、温度230℃、荷重2160gで測定したMFRが0.1〜3.0g/10分である耐衝撃材(C)を含む樹脂組成物であって、キャピログラフを用いて、ASTM D1238に基づき、温度250℃、せん断速度12.16sec-1 の条件下で測定した溶融粘度が28000Pa・s以上であり、ASTM D256に基づく−40℃におけるノッチ付アイゾット衝撃強度(厚み1/4インチ)が700J/m以上であるポリアミド樹脂組成物からなることを特徴とする。
〔脂肪族ポリアミド樹脂(A)〕
本発明に用いられる脂肪族ポリアミド樹脂(A)とは、分子鎖中に芳香環を有していないポリアミドをいう。JIS K6810に基づく相対粘度(重合度)により換算される脂肪族ポリアミド樹脂(A)の換算数平均分子量は25000以上であり、好ましくは28000〜50000である。数平均分子量が25000未満であると、溶融粘度が低くなり、異型押出し成形性等が悪化するため好ましくない。
本発明に用いられる脂肪族ポリアミド樹脂(A)とは、分子鎖中に芳香環を有していないポリアミドをいう。JIS K6810に基づく相対粘度(重合度)により換算される脂肪族ポリアミド樹脂(A)の換算数平均分子量は25000以上であり、好ましくは28000〜50000である。数平均分子量が25000未満であると、溶融粘度が低くなり、異型押出し成形性等が悪化するため好ましくない。
脂肪族ポリアミド樹脂(A)としては、アミノカルボン酸、ラクタム又はジアミンとジカルボン酸を主たる原料とするポリアミドが好ましい。
アミノカルボン酸の具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられ、ラクタムの具体例としては、α−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ε−エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカラクタム等が挙げられる。
アミノカルボン酸の具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられ、ラクタムの具体例としては、α−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ε−エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカラクタム等が挙げられる。
ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等の脂肪族及び脂環族のジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族及び脂環族のジカルボン酸が挙げられる。
ジカルボン酸としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族及び脂環族のジカルボン酸が挙げられる。
これらモノマー成分から形成される脂肪族ポリアミド樹脂(A)の具体例としては、PA6、PA66、PA6/66、PA11、PA12等が挙げられる。これらの中では、PA6、PA6/66、PA12が好ましく、PA6とPA6/66(共重合樹脂)の混合物がより好ましい。特に、異型押出し成形性改善に観点から、ポリアミド6を好ましくは70〜95質量%、及びポリアミド6/66(共重合樹脂)を好ましくは5〜30質量%含むものが好適である。
脂肪族ポリアミド樹脂(A)は1種単独で用いてもよいが、異なるホモポリマー及び/又はコポリマーを2種以上混合して用いることもできる。
脂肪族ポリアミド樹脂(A)は1種単独で用いてもよいが、異なるホモポリマー及び/又はコポリマーを2種以上混合して用いることもできる。
〔芳香族ポリアミド樹脂(B)〕
本発明に用いられる芳香族ポリアミド樹脂(B)は、芳香族系モノマー成分を少なくとも1種含む芳香族ポリアミド樹脂であり、溶融粘度を高めるためと結晶化速度を抑制するために用いられる。
芳香族ポリアミド樹脂(B)としては、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、又は芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンを原料とし、これらの重縮合によって得られるポリアミド樹脂が挙げられる。
原料の脂肪族ジアミン及び脂肪族ジカルボン酸としては、前記の脂肪族ポリアミド樹脂(A)で説明した成分と同様のものが挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。
本発明に用いられる芳香族ポリアミド樹脂(B)は、芳香族系モノマー成分を少なくとも1種含む芳香族ポリアミド樹脂であり、溶融粘度を高めるためと結晶化速度を抑制するために用いられる。
芳香族ポリアミド樹脂(B)としては、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、又は芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンを原料とし、これらの重縮合によって得られるポリアミド樹脂が挙げられる。
原料の脂肪族ジアミン及び脂肪族ジカルボン酸としては、前記の脂肪族ポリアミド樹脂(A)で説明した成分と同様のものが挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。
芳香族ポリアミド樹脂(B)の具体例としては、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ポリアミド6T/6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ポリアミド6I/6)、ポリドデカミド/ポリヘキサメチレンテレフタラミドコポリマー(ポリアミド12/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド)コポリマー(ポリアミド6T/M5T)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、及びこれらの混合物ないし共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、2種以上の芳香族モノマー由来の構成成分を有する芳香族共重合ポリアミド樹脂が有用であり、特に、動的粘弾性の測定によって得られた絶乾時の損失弾性率のピーク温度によって求められたガラス転移温度が100℃以上の非晶性ポリアミドが好ましい。ここで、「非晶性」とは、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量が1cal/g以下であることをいう。
前記芳香族共重合ポリアミド樹脂としては、テレフタル酸成分単位40〜95モル%及びイソフタル酸成分単位5〜60モル%からなる酸成分単位と、脂肪族ジアミンとからなるものが好ましい。好適な組み合わせとしては、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の等モル塩とヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の等モル塩が挙げられる。
また、脂肪族ジアミンとイソフタル酸及びテレフタル酸からなるポリアミド形成性成分99〜60質量%及び脂肪族ポリアミド成分1〜40質量%であるものが好ましい。
芳香族ポリアミド樹脂(B)の相対粘度(重合度)には特に制限はないが、JIS K6810に基づいて、98%硫酸中濃度1%、温度25℃で測定した相対粘度が、1.5〜4.0であることが好ましく、1.8〜3.0であることがより好ましい。
前記芳香族共重合ポリアミド樹脂としては、テレフタル酸成分単位40〜95モル%及びイソフタル酸成分単位5〜60モル%からなる酸成分単位と、脂肪族ジアミンとからなるものが好ましい。好適な組み合わせとしては、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の等モル塩とヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の等モル塩が挙げられる。
また、脂肪族ジアミンとイソフタル酸及びテレフタル酸からなるポリアミド形成性成分99〜60質量%及び脂肪族ポリアミド成分1〜40質量%であるものが好ましい。
芳香族ポリアミド樹脂(B)の相対粘度(重合度)には特に制限はないが、JIS K6810に基づいて、98%硫酸中濃度1%、温度25℃で測定した相対粘度が、1.5〜4.0であることが好ましく、1.8〜3.0であることがより好ましい。
〔耐衝撃材(C)〕
本発明に用いられる耐衝撃材(C)は、ASTM D1238に基づき、温度230℃、荷重2160gで測定したMFRが0.1〜3.0g/10分であり、好ましくは0.2〜2.0g/10分である。MFRが0.1g/10分より小さい場合、樹脂組成物の溶融粘度が高くなりすぎて、異型押出し成形性が悪化するため好ましくない。また、MFRが3.0g/10分を超えると、異型押出し成形性が悪化するため好ましくない。
本発明に用いられる耐衝撃材(C)としては、ゴム状重合体が挙げられる。耐衝撃材(C)は、ASTM D−790に基づいて測定した曲げ弾性率が500MPa以下であることが好ましい。曲げ弾性率がこの値を超えると、衝撃改良効果が不十分となる場合がある。
耐衝撃材(C)の具体例としては、(C-1)(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体、(C-2)(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体等を挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。好適な耐衝撃材(C)は、エチレン・α−オレフィン系共重合体である。
本発明に用いられる耐衝撃材(C)は、ASTM D1238に基づき、温度230℃、荷重2160gで測定したMFRが0.1〜3.0g/10分であり、好ましくは0.2〜2.0g/10分である。MFRが0.1g/10分より小さい場合、樹脂組成物の溶融粘度が高くなりすぎて、異型押出し成形性が悪化するため好ましくない。また、MFRが3.0g/10分を超えると、異型押出し成形性が悪化するため好ましくない。
本発明に用いられる耐衝撃材(C)としては、ゴム状重合体が挙げられる。耐衝撃材(C)は、ASTM D−790に基づいて測定した曲げ弾性率が500MPa以下であることが好ましい。曲げ弾性率がこの値を超えると、衝撃改良効果が不十分となる場合がある。
耐衝撃材(C)の具体例としては、(C-1)(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体、(C-2)(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体等を挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。好適な耐衝撃材(C)は、エチレン・α−オレフィン系共重合体である。
〔(C-1)成分〕
(C-1)(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンと炭素数3以上のα−オレフィンとを共重合した重合体である。
ここで、炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、 4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン等の非共役ジエンのポリエンを共重合してもよい。これらは1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(C-1)(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンと炭素数3以上のα−オレフィンとを共重合した重合体である。
ここで、炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、 4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン等の非共役ジエンのポリエンを共重合してもよい。これらは1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
〔(C-2)成分〕
(C-2)(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンとα,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル単量体とを共重合した重合体である。
ここで、α,β−不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられ、α,β−不飽和カルボン酸エステル単量体としては、これら不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(C-2)(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンとα,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル単量体とを共重合した重合体である。
ここで、α,β−不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられ、α,β−不飽和カルボン酸エステル単量体としては、これら不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、(C-1)(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体、(C-2)(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体としては、カルボン酸及び/又はその誘導体で変性された変性共重合体が好ましく使用される。このような変性共重合体を使用することにより、脂肪族ポリアミド樹脂(A)に対して親和性を有する官能基をその分子中に含有させることができる。かかる官能基としては、カルボキシ基、酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸金属塩、カルボン酸イミド基、カルボン酸アミド基、エポキシ基等が挙げられる。
前記変性共重合体におけるカルボン酸及び/又はその誘導体の付加量は、前記共重合体の重量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5.0質量%の範囲である。カルボン酸及び/又はその誘導体の付加量が0.1質量%未満であるとポリアミド樹脂との相溶性が十分に改善されず、低温耐衝撃性の向上効果も少ない。一方、該付加量が10質量%を超えても、低温耐衝撃性の向上効果は頭打ちとなり、生産性も低下する。
前記変性共重合体におけるカルボン酸及び/又はその誘導体の付加量は、前記共重合体の重量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5.0質量%の範囲である。カルボン酸及び/又はその誘導体の付加量が0.1質量%未満であるとポリアミド樹脂との相溶性が十分に改善されず、低温耐衝撃性の向上効果も少ない。一方、該付加量が10質量%を超えても、低温耐衝撃性の向上効果は頭打ちとなり、生産性も低下する。
前記カルボン酸及び/又はその誘導体としては、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸及びこれらカルボン酸の金属塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では無水マレイン酸が好ましい。
〔ポリアミド樹脂組成物の配合割合〕
本発明に用いられるポリアミド樹脂組成物は、脂肪族ポリアミド樹脂(A)89〜50質量%、芳香族ポリアミド樹脂(B)1〜20質量%、及び耐衝撃材(C)10〜30質量%を含むことが好ましい。さらに好適な配合割合は、樹脂組成物全体に対し、脂肪族ポリアミド樹脂(A)が60〜80質量%、芳香族ポリアミド樹脂(B)が5〜15質量%、及び耐衝撃材(C)が15〜25質量%である。
芳香族ポリアミド樹脂(B)の配合割合が1質量%未満になると、十分な結晶化抑制効果が得られなくなるため好ましくなく、20質量%を超えると樹脂組成物の結晶性の低下が著しくなり、異形押出し成形性が悪くなるため好ましくない。
また、耐衝撃材(C)の配合量が10質量%未満では、溶融粘度及び低温耐衝撃性の向上効果が不十分であり、30質量%を超えると、ポリアミドが本来有している強度や耐熱性等の特性を低下させるので好ましくない。
本発明に用いられるポリアミド樹脂組成物は、脂肪族ポリアミド樹脂(A)89〜50質量%、芳香族ポリアミド樹脂(B)1〜20質量%、及び耐衝撃材(C)10〜30質量%を含むことが好ましい。さらに好適な配合割合は、樹脂組成物全体に対し、脂肪族ポリアミド樹脂(A)が60〜80質量%、芳香族ポリアミド樹脂(B)が5〜15質量%、及び耐衝撃材(C)が15〜25質量%である。
芳香族ポリアミド樹脂(B)の配合割合が1質量%未満になると、十分な結晶化抑制効果が得られなくなるため好ましくなく、20質量%を超えると樹脂組成物の結晶性の低下が著しくなり、異形押出し成形性が悪くなるため好ましくない。
また、耐衝撃材(C)の配合量が10質量%未満では、溶融粘度及び低温耐衝撃性の向上効果が不十分であり、30質量%を超えると、ポリアミドが本来有している強度や耐熱性等の特性を低下させるので好ましくない。
〔任意添加成分〕
本発明のポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、層状珪酸塩の他、染料、顔料、繊維状補強物、粒子状補強物、可塑剤、耐熱材、結晶核剤、結晶化促進剤、滑剤、着色剤等を適宜含有させることができ、更に離型剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の機能性付与剤を適宜含有させることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、層状珪酸塩の他、染料、顔料、繊維状補強物、粒子状補強物、可塑剤、耐熱材、結晶核剤、結晶化促進剤、滑剤、着色剤等を適宜含有させることができ、更に離型剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の機能性付与剤を適宜含有させることができる。
〔層状珪酸塩〕
層状珪酸塩は結晶化速度の調整と優れた燃料透過防止性を付与することに資する成分である。
層状珪酸塩は、一辺の長さが0.002〜1μmで厚さが6〜20Åの平板状をなすものが好ましく、また、樹脂組成物中に分散した際、各平板状粒子が平均20Å以上の層間距離を保ち、均一に分散しうるものが好ましい。ここで、「層間距離」とは、平板状をなす層状珪酸塩粒子の重心間の距離をいい、「均一に分散する」とは、平板状粒子の一枚一枚又は層数が平均的に5層以下の多層物が平行及び/又はランダムな状態で存在し、層状珪酸塩粒子の50質量%以上、好ましくは70質量%以上が局所的な塊を形成することなく分散する状態をいうものとする。
層状珪酸塩としては、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの層から構成される層状フィロ珪酸鉱物を例示することができる。具体的には、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト等が挙げられ、これらは天然物、合成物のいずれであってもよい。
層状珪酸塩の割合は、異形押出し成形性、低温耐衝撃強性の観点から、ポリアミド樹脂組成物全体に対して0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
層状珪酸塩の添加方法に特に制限はない。層状珪酸塩を分散させた脂肪族ポリアミド樹脂(A)を製造する場合は、ポリアミドの重合時に層状珪酸塩を存在させてもよく、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と層状珪酸塩を溶融混練して得てもよい。
層状珪酸塩は結晶化速度の調整と優れた燃料透過防止性を付与することに資する成分である。
層状珪酸塩は、一辺の長さが0.002〜1μmで厚さが6〜20Åの平板状をなすものが好ましく、また、樹脂組成物中に分散した際、各平板状粒子が平均20Å以上の層間距離を保ち、均一に分散しうるものが好ましい。ここで、「層間距離」とは、平板状をなす層状珪酸塩粒子の重心間の距離をいい、「均一に分散する」とは、平板状粒子の一枚一枚又は層数が平均的に5層以下の多層物が平行及び/又はランダムな状態で存在し、層状珪酸塩粒子の50質量%以上、好ましくは70質量%以上が局所的な塊を形成することなく分散する状態をいうものとする。
層状珪酸塩としては、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの層から構成される層状フィロ珪酸鉱物を例示することができる。具体的には、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト等が挙げられ、これらは天然物、合成物のいずれであってもよい。
層状珪酸塩の割合は、異形押出し成形性、低温耐衝撃強性の観点から、ポリアミド樹脂組成物全体に対して0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
層状珪酸塩の添加方法に特に制限はない。層状珪酸塩を分散させた脂肪族ポリアミド樹脂(A)を製造する場合は、ポリアミドの重合時に層状珪酸塩を存在させてもよく、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と層状珪酸塩を溶融混練して得てもよい。
離型剤としては、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル等が挙げられ、帯電防止剤としては、高級脂肪酸のモノグリセリド等が挙げられる。難燃剤としては、臭素含有難燃剤、トリアジン系等の窒素含有難燃剤、リン酸エステル化合物、ホスフィン酸塩、ジホスフィン酸塩、ホスフィン類等のリン含有難燃剤、メラミン付加物等の窒素−リン含有難燃剤等の有機系難燃剤、及び無機系難燃剤等が挙げられ、難燃助剤としては、酸化アンチモン、シリコーン粉末等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系やリン系の酸化防止剤等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾオキサジン系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤等が挙げられ、光安定剤としては、ラジカル捕捉剤のヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系やリン系の酸化防止剤等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾオキサジン系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤等が挙げられ、光安定剤としては、ラジカル捕捉剤のヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等が挙げられる。
〔ポリアミド樹脂組成物の特性〕
本発明に用いられるポリアミド樹脂組成物は、前記の脂肪族ポリアミド樹脂(A)、芳香族ポリアミド樹脂(B)、及び耐衝撃材(C)を含む樹脂組成物であって、キャピログラフを用いて、ASTM D1238に基づき、温度250℃、せん断速度12.16sec-1 の条件下で測定した溶融粘度が28000Pa・s以上であり、ASTM D256に基づく−40℃におけるノッチ付アイゾット衝撃強度(厚み1/4インチ)が700J/m以上である特性を有する。
このポリアミド樹脂組成物は、キャピログラフを用いて、ASTM D1238に基づき、温度250℃、せん断速度12.16sec-1 の条件下で測定した溶融粘度が28000Pa・s以上であるという高粘度特性を有するため、異形押出し成形性に優れ、成形ダイとサイジングダイ間のダレ、安定成形性、製品寸法精度、表面平滑性が大幅に改善される。
また、このポリアミド樹脂組成物は、ASTM D256に基づく−40℃におけるノッチ付アイゾット衝撃強度(厚み1/4インチ)が700J/m以上である特性を有するため、優れた機械的特性を有するエンジニアリングプラスチックスとして極めて有用である。
本発明に用いられるポリアミド樹脂組成物は、前記の脂肪族ポリアミド樹脂(A)、芳香族ポリアミド樹脂(B)、及び耐衝撃材(C)を含む樹脂組成物であって、キャピログラフを用いて、ASTM D1238に基づき、温度250℃、せん断速度12.16sec-1 の条件下で測定した溶融粘度が28000Pa・s以上であり、ASTM D256に基づく−40℃におけるノッチ付アイゾット衝撃強度(厚み1/4インチ)が700J/m以上である特性を有する。
このポリアミド樹脂組成物は、キャピログラフを用いて、ASTM D1238に基づき、温度250℃、せん断速度12.16sec-1 の条件下で測定した溶融粘度が28000Pa・s以上であるという高粘度特性を有するため、異形押出し成形性に優れ、成形ダイとサイジングダイ間のダレ、安定成形性、製品寸法精度、表面平滑性が大幅に改善される。
また、このポリアミド樹脂組成物は、ASTM D256に基づく−40℃におけるノッチ付アイゾット衝撃強度(厚み1/4インチ)が700J/m以上である特性を有するため、優れた機械的特性を有するエンジニアリングプラスチックスとして極めて有用である。
本発明の異型押出し成形用材料の製造方法に特に制限はない。例えば、脂肪族ポリアミド樹脂(A)、芳香族ポリアミド樹脂(B)、耐衝撃材(C)、及び所望により用いられる各種添加成分を、ヘンシェルミキサー、タンブラー及びリボンブレンダー等の混合機を用いて予めドライブレンドし、2軸押出機等の公知の溶融混練機を用いて混練することにより得ることができる。より具体的には、例えば、2軸混練押出し機を使用して、全ての原材料を配合後、溶融混練する方法、一部の原材料を配合後、溶融混練し、更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、又は一部の原材料を配合後、溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法等、いずれの方法を用いてもよい。
本発明の異型押出し成形用材料は、各成分、特に耐衝撃材(C)として用いるゴム状重合体の劣化や分解が抑制されているため、ポリアミド樹脂組成物の粘度が向上しており、異型押出し成形性、低温耐衝撃性を大幅に改善されている。
本発明の異型押出し成形用材料は、各成分、特に耐衝撃材(C)として用いるゴム状重合体の劣化や分解が抑制されているため、ポリアミド樹脂組成物の粘度が向上しており、異型押出し成形性、低温耐衝撃性を大幅に改善されている。
〔成形体〕
前記のようにして調製されたポリアミド樹脂組成物は、図1に示す通常の押出成形機を用いて押出し、異形金型成形、サイジング、冷却、カッティング、必要に応じて二次加工の各工程を順次行い、異型押出し成形体とすることができる。
また、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂と共押出した後、多層構造体とすることも可能である。その場合ポリアミド樹脂組成物層とポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂層の間に接着層を設けることもできる。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物は、他の材料との複合成形体とすることも可能である。かかる他の材料としては、本発明のポリアミド樹脂組成物以外の各種可塑性重合体又はその組成物、熱硬化性樹脂、紙、布帛、金属、木材、セラミックス等を挙げることができる。
前記のようにして調製されたポリアミド樹脂組成物は、図1に示す通常の押出成形機を用いて押出し、異形金型成形、サイジング、冷却、カッティング、必要に応じて二次加工の各工程を順次行い、異型押出し成形体とすることができる。
また、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂と共押出した後、多層構造体とすることも可能である。その場合ポリアミド樹脂組成物層とポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂層の間に接着層を設けることもできる。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物は、他の材料との複合成形体とすることも可能である。かかる他の材料としては、本発明のポリアミド樹脂組成物以外の各種可塑性重合体又はその組成物、熱硬化性樹脂、紙、布帛、金属、木材、セラミックス等を挙げることができる。
次に、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例により得られた樹脂組成物の物性、及びダイとサイジングダイ間の垂れ下がりと安定性成形性、製品寸法精度、表面平滑性は、以下に示す方法により評価した。
(1)溶融粘度:ASTM D1238に基づくキャピログラフを用いて、温度250℃ L/D=10で測定した。
(2)ノッチ付アイゾット衝撃強度:ASTM D256に基づき、温度−40℃、試験片厚み1/4インチの条件で測定した。
(3)MFR:ASTM D1238に基づき、温度275℃、荷重10kgfの条件で測定した。
なお、実施例及び比較例により得られた樹脂組成物の物性、及びダイとサイジングダイ間の垂れ下がりと安定性成形性、製品寸法精度、表面平滑性は、以下に示す方法により評価した。
(1)溶融粘度:ASTM D1238に基づくキャピログラフを用いて、温度250℃ L/D=10で測定した。
(2)ノッチ付アイゾット衝撃強度:ASTM D256に基づき、温度−40℃、試験片厚み1/4インチの条件で測定した。
(3)MFR:ASTM D1238に基づき、温度275℃、荷重10kgfの条件で測定した。
(4)ダイとサイジングダイ間の垂れ下がりと安定性成形性
ダイと冷却サイジング間の距離を50〜150mmに設定し、ダイより押出された溶融プロファイルを引き取り以下の判定を行った。
○:ダイとサイジングダイ間距離を150mmとした場合においても、溶融プロファイルがダイより出た形状を保持して、サイジングダイ内への樹脂の付着も無くスムーズなものであり、成形品のエッジ形状精度が高いものが確保された。
△:ダイとサイジング間で垂れ下がりが発生し、ダイとサイジングダイ間距離を50mmすることでプロファイルを得たが、プロファイルの引取りが不安定となり、成形品のエッジ形状精度が十分に確保されなかった。
×:ダイとサイジング間で垂れ下がりが発生し、ダイとサイジングダイ間距離を50mmにして、尚且つシリンダー温度・ダイ温度を下げることでプロファイルを得ることで成形品を得た。サイジングダイ内へのプロファイルの引取りも不安定となり、成形品のエッジ形状精度が十分に確保されなかった。
(5)製品寸法精度
図1に示す成形品を製造するダイリップを取り付けたダイをもって異型押出し成形を行い、その寸法精度を評価した。
○:製品の寸法が設計時の寸法に対して±0.3mm以内である。
△:製品の寸法が設計時の寸法に対して±0.3〜0.5mmでずれる。
×:製品の寸法が設計時の寸法に対して0.5mm以上ずれる。
(6)表面平滑性
○:凹凸面の最大高さが100μm未満。
△:凹凸面の最大高さが100μm以上200μm未満。
×:凹凸面の最大高さが200μm以上。
ダイと冷却サイジング間の距離を50〜150mmに設定し、ダイより押出された溶融プロファイルを引き取り以下の判定を行った。
○:ダイとサイジングダイ間距離を150mmとした場合においても、溶融プロファイルがダイより出た形状を保持して、サイジングダイ内への樹脂の付着も無くスムーズなものであり、成形品のエッジ形状精度が高いものが確保された。
△:ダイとサイジング間で垂れ下がりが発生し、ダイとサイジングダイ間距離を50mmすることでプロファイルを得たが、プロファイルの引取りが不安定となり、成形品のエッジ形状精度が十分に確保されなかった。
×:ダイとサイジング間で垂れ下がりが発生し、ダイとサイジングダイ間距離を50mmにして、尚且つシリンダー温度・ダイ温度を下げることでプロファイルを得ることで成形品を得た。サイジングダイ内へのプロファイルの引取りも不安定となり、成形品のエッジ形状精度が十分に確保されなかった。
(5)製品寸法精度
図1に示す成形品を製造するダイリップを取り付けたダイをもって異型押出し成形を行い、その寸法精度を評価した。
○:製品の寸法が設計時の寸法に対して±0.3mm以内である。
△:製品の寸法が設計時の寸法に対して±0.3〜0.5mmでずれる。
×:製品の寸法が設計時の寸法に対して0.5mm以上ずれる。
(6)表面平滑性
○:凹凸面の最大高さが100μm未満。
△:凹凸面の最大高さが100μm以上200μm未満。
×:凹凸面の最大高さが200μm以上。
実施例1〜4及び比較例1〜3
表1に示す種類と量の各成分〔脂肪族ポリアミド樹脂(A)、芳香族ポリアミド樹脂(B)、耐衝撃材(C)〕をドライブレンドした後、TEX44二軸混練機で溶融混練し、水浴中で冷却し、ポリアミド樹脂組成物ペレットを作製した。
この樹脂組成物ペレットを乾燥した後、図1に示すようなプラスチック工学研究所製、Φ50mm短軸押出し機に供給し、図2に示す異型押出し成形体用のダイリップを有するダイより、下記条件で異型押出し成形を行い、各特性を評価した。得られた結果を表1に示す。
押出し機シリンダー温度:260℃(材料入口)−260℃−260℃−230℃(出口)
冷却水槽温度 :20℃
異型押出し機ダイから押出される樹脂の実測温度:265℃
水冷真空サイジング使用
真空サイジング圧力 :−700mmHg
引き取り速度 :2.0m/min
表1に示す種類と量の各成分〔脂肪族ポリアミド樹脂(A)、芳香族ポリアミド樹脂(B)、耐衝撃材(C)〕をドライブレンドした後、TEX44二軸混練機で溶融混練し、水浴中で冷却し、ポリアミド樹脂組成物ペレットを作製した。
この樹脂組成物ペレットを乾燥した後、図1に示すようなプラスチック工学研究所製、Φ50mm短軸押出し機に供給し、図2に示す異型押出し成形体用のダイリップを有するダイより、下記条件で異型押出し成形を行い、各特性を評価した。得られた結果を表1に示す。
押出し機シリンダー温度:260℃(材料入口)−260℃−260℃−230℃(出口)
冷却水槽温度 :20℃
異型押出し機ダイから押出される樹脂の実測温度:265℃
水冷真空サイジング使用
真空サイジング圧力 :−700mmHg
引き取り速度 :2.0m/min
なお、表1に示す成分の詳細は、下記のとおりである。
・PA6:ポリアミド6樹脂(宇部興産株式会社製、1030U2;分子量30000)
・PA6/66NCH:層状珪酸塩含有ポリアミド6/66樹脂(宇部興産株式会社製、5034C2;分子量34000、層状珪酸塩2質量%含有)
・PA6T6I:非晶性芳香族ポリアミド樹脂(EMS株式会社製、グリボリーG21)
・m−EPR1:マレイン酸変性エチレンプロピレンラバー(三井化学株式会社製、タフマーMH7020、MFR1.5g/10分)
・m−EPR2:マレイン酸変性エチレンプロピレンラバー(三井化学株式会社製、タフマーMC1307、MFR4.0g/10分)
・PA6:ポリアミド6樹脂(宇部興産株式会社製、1030U2;分子量30000)
・PA6/66NCH:層状珪酸塩含有ポリアミド6/66樹脂(宇部興産株式会社製、5034C2;分子量34000、層状珪酸塩2質量%含有)
・PA6T6I:非晶性芳香族ポリアミド樹脂(EMS株式会社製、グリボリーG21)
・m−EPR1:マレイン酸変性エチレンプロピレンラバー(三井化学株式会社製、タフマーMH7020、MFR1.5g/10分)
・m−EPR2:マレイン酸変性エチレンプロピレンラバー(三井化学株式会社製、タフマーMC1307、MFR4.0g/10分)
表1から、本発明のポリアミド樹脂組成物は、異形押出し成形性に優れた高粘度特性を有し、低温耐衝撃特性も優れていることが分かる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、異型押出し成形性、低温耐衝撃性に優れていることから、自動車部品、電気・電子部品、家電製品、建築材料、サニタリー用品、スポーツ用品、雑貨、繊維、フィルム等の幅広い分野で有効に使用することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、特に異型押出し成形において、連続生産性、異形押出し成形体の寸法精度・表面平滑性を大幅に改善することができ、低温耐衝撃性等の機械的特性を十分に発現させることができるため、異形押出し成形用の樹脂として極めて有用である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、特に異型押出し成形において、連続生産性、異形押出し成形体の寸法精度・表面平滑性を大幅に改善することができ、低温耐衝撃性等の機械的特性を十分に発現させることができるため、異形押出し成形用の樹脂として極めて有用である。
1:押出し機
2:材料ホッパー
3:ダイ
4:真空サイジング
5:冷却水槽
6:異型押出し成形体
7:巻き取り機
2:材料ホッパー
3:ダイ
4:真空サイジング
5:冷却水槽
6:異型押出し成形体
7:巻き取り機
Claims (7)
- 数平均分子量が25000以上の脂肪族ポリアミド樹脂(A)、芳香族ポリアミド樹脂(B)、及びASTM D1238に基づき、温度230℃、荷重2160gで測定したMFRが0.1〜3.0g/10分である耐衝撃材(C)を含む樹脂組成物であって、毛管式流れ特性試験機を用いて、ASTM D1238に基づき、温度250℃、せん断速度12.16sec-1 の条件下で測定した溶融粘度が28000Pa・s以上であり、ASTM D256に基づく−40℃におけるノッチ付アイゾット衝撃強度(厚み1/4インチ)が700J/m以上であるポリアミド樹脂組成物からなることを特徴とする異型押出し成形用材料。
- 脂肪族ポリアミド樹脂(A)89〜50質量%、芳香族ポリアミド樹脂(B)1〜20質量%、及び耐衝撃材(C)10〜30質量%を含む請求項1に記載の異型押出し成形用材料。
- 芳香族ポリアミド樹脂(B)が、2種以上の芳香族モノマー由来の構成成分を有する芳香族共重合ポリアミド樹脂である請求項1又は2に記載の異型押出し成形用材料。
- 耐衝撃材(C)が、ゴム状重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の異型押出し成形用材料。
- 耐衝撃材(C)が、酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の異型押出し成形用材料。
- 脂肪族ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6を70〜95質量%、及びポリアミド6/66を5〜30質量%含むものである請求項1〜5のいずれかに記載の異型押出し成形用材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の異型押出し成形用材料を異型押出し成形してなることを特徴とする異型押出し成形体。
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