JP2008238182A - レーザ溶接部材およびレーザ溶接方法 - Google Patents

レーザ溶接部材およびレーザ溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スパッタ発生の防止や溶接面積の拡大ができるレーザ溶接部材およびレーザ溶接方法を提供する。
【解決手段】電解ニッケル膜8が被覆された銅の下側金属板1の上面に、無電解ニッケル−リンめっき膜9が被覆された銅の上側金属板3を重ね合わせ、所定圧力を負荷した状態で図示しないレーザ光を無電解ニッケル−リンめっき膜9が被覆された上側金属板3の上面より照射する。銅より融点の低い無電解ニッケル−リンめっき膜9にレーザ光を照射することで、スパッタの発生防止と溶接面積の拡大を図ることができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、重ね合わされた二枚の金属板をレーザ溶接により接合するレーザ溶接部材およびレーザ溶接方法に関する。
図9は従来のレーザ溶接部材の構成図であり、同図(a)は要部断面図、同図(b)は同図(a)のA−A線で切断した溶接部の平面図、同図(c)は同図(a)のC部拡大図である。
図9(a)において、下側金属板1の上面に上側金属板3を重ね、所定荷重を負荷した状態で図示しないレーザ光を上側金属板3の上面より所定時間照射することにより、下側金属板1と上側金属板3とが溶接部5によって接合される。
ここで、下側金属板1及び上側金属板3の材質としては、銅または銅合金が用いられる。図9(a)には、下側金属板1の全表面に金属層2を設けた例を示した。金属膜2の材質としては、下側金属板1の酸化防止のために電解ニッケルめっき膜が用いられている。また、上側金属板3の全表面には、やはり上側金属板3の酸化防止及びレーザ吸収率の向上目的で電解ニッケルめっき膜が用いられている。
図示しないレーザ光が上側金属板3表面を被覆した金属膜4(電解ニッケルめっき膜)に吸収され、熱エネルギーに変換されることにより、金属膜4および母材の上側金属板3(銅または銅合金)が溶融し、レーザ照射を継続することによって時間とともに溶融部5が深さ方向に進行していき、図9(a)に示したような溶接部5が得られる。
レーザパワーが低くレーザ照射時間が短い場合、溶接部5の深さが下側金属板1まで到達できず、未接合状態となる。レーザパワーが高くレーザ照射時間が長い場合には、溶接部5が下側金属板1を貫通し、穴あき状態となるため接合強度の不足を招いてしまう。
このため、レーザ溶接時におけるレーザパワーとレーザ照射時間は適切な範囲で管理する必要がある。レーザ溶接のスポット点数は、必要とする強度や電気抵抗から算出し、決めることができるが、工数の面から、なるべく1点あたりの溶接面積は大きくしてスポット点数を削減することが工程上望ましい。
しかしながら、溶接点数削減のために、1点あたりの溶接面積S1(図9(b)参照)を大きくしようとした場合、レーザパワーを高く、レーザ照射時間を長くする必要があり、図9(a)に示したように、入熱過多の状態となって溶接部5の一部がスパッタ6(溶融金属が飛散したもの)が生じてしまう。本構成を電子機器類の接合方法として用いた場合、飛散したスパッタ6により、回路の焼損や絶縁不良を引き起こしてしまうという課題がある。
尚、図9(c)に示すように、溶接部5の外側では金属膜2、4を前記のように電解ニッケルめっき膜で形成した場合は溶接部5の銅より融点が高いために隙間20(未溶接部)ができる。
また、レーザ溶接における入熱過多による穴あき防止方法としては、特許文献1において、重ね合わされた2枚の金属板の少なくともいずれか一方の接合面に低融点金属皮膜を形成する方法が開示されている。この方法によると、銅よりも融点が低いSn系のはんだや、スズめっき膜を被覆することで穴あきを防止することができると述べられている。
しかしながら、パワーモジュールなどの端子全体に、はんだやスズめっき膜を被覆した場合、端子と外部装置との配線の際にボルト締めが行われるため、柔らかいはんだやスズめっき膜ではボルト締め部分のはんだやスズめっき膜が剥がれてしまい、素地の銅または銅合金が露出し、酸化が進んでしまう。酸化が進むことにより、外観の悪化や接点不良を引き起こすことがある。
これを回避するために、ボルト締め部分だけに硬いニッケルめっき膜を被覆し、レーザ溶接部分を含むその他の部分には開示特許に示されているSn系はんだやスズめっき膜を被覆する方法もあるが、製造コストが高くなるため適用が困難である。
特開2001−87877号公報
前記したように、レーザ溶接部材の母材の表面を電解ニッケルめっき膜8で被覆し、十分な溶接強度を得るためにレーザパワーを大きくすると、入熱過多の状態となってスパッタ6が生じ、また母材に穴が開いてしまう。また、溶接強度を増大する観点から溶接面積の拡大が必要となるが、前記の電解ニッケルめっき膜8の場合では電解ニッケルめっき膜8同士の接合部がなく銅同士の接合部7のみとなるため銅同士の溶接面積以上に溶接面積を大きくすることはできない。
また、前記の母材の穴あきを防止するために、特許文献1で示すように母材である銅よりも融点が低いSn系のはんだや、スズめっき膜を被覆すると、パワーモジュールの端子などに適用した場合に前記したように製造コストの増大を招くなどの不都合が生じる。また穴あきが防止できたとしてもスパッタを防止することは困難である。
この発明の目的は、前記の課題を解決して、スパッタ発生の防止や溶接面積の拡大ができるレーザ溶接部材およびレーザ溶接方法を提供することにある。
前記の目的を達成するために、二枚の金属板を重ね合わせてなるレーザ溶接部材において、上側金属板の少なくともレーザ照射面に上側金属板の融点よりも低い融点を有する金属膜を被覆した構成とする。
また、二枚の金属板を重ね合わせてなるレーザ溶接部材において、二枚の金属板が対向する少なくとも一方の面に前記二枚の金属板の融点よりも低い融点を有する金属膜を被覆した構成とする。
また、前記上側金属板のレーザ照射面と対向する裏面に前記金属膜を被覆するよい。
また、前記二枚の金属板の材質が銅もしくは銅合金であるとよい。
また、前記金属膜が無電解ニッケル−リンめっき膜、アルミニウム膜もしくは亜鉛膜のいずれかであるとよい。
また、前記金属膜の厚さが1μm〜20μmであるとよい。
また、前記金属膜が蒸着膜であるとよい
また、前記のレーザ溶接部材を用いてレーザ溶接する方法において、前記レーザ溶接部材である二枚の金属板を重ね合わせ、加圧治具で上側金属板と下側金属板を押さえて密着させ、波長が0.19μm〜10.6μmであるレーザ光を上側金属板に照射してレーザ溶接する方法とする。
この発明によれば、母材(銅または銅合金)のレーザ照射面に、母材より低融点材料(無電解ニッケルーリンめっき膜など)を被覆したレーザ溶接部材とすることで、スパッタの発生が無いレーザ溶接が可能となる。
また、母材の接合面に低融点材料(無電解ニッケルーリンめっき膜)を被覆した(挟む)レーザ溶接部材とすることで、スポットレーザ溶接1点あたりの溶接面積を大きくできて溶接強度の増大を図ることができるレーザ溶接が可能となる。
実施の形態を以下の実施例で説明する。
図1は、この発明の第1実施例のレーザ溶接部材の構成図であり、同図(a)は要部断面図、同図(b)は同図(a)のA−A線で切断した溶接部の平面図、同図(c)は同図(a)のB部拡大図である。A−A線は無電解ニッケル−リンめっき膜9と電解ニッケルめっき膜8の接触界面に位置する。
図1(a)において、電解ニッケル膜8が被覆された下側金属板1の上面に、無電解ニッケル−リンめっき膜9が被覆された上側金属板3を重ね合わせ、所定圧力を負荷した状態で図示しないレーザ光を無電解ニッケル−リンめっき膜9が被覆された上側金属板3の上面より照射する。
このときの下側金属板1及び上側金属板3は銅または銅合金である。下側金属板1の厚さは1mm、上側金属板3の厚さは0.3mm〜1.0mmである。無電解ニッケル−リンめっき膜9及び電解ニッケルめっき膜8の厚さは1μm〜20μmの範囲とするのが良く、好ましくは3μm〜7μmとするのが良い。
レーザエネルギーがレーザ照射面の無電解ニッケル−リンめっき膜9により熱エネルギーに変換され、溶接部5が形成される。このとき、銅及び銅合金の融点は900℃〜1083℃である。銅合金としては、黄銅やリン青銅などがある。無電解ニッケル−リンめっき膜の融点は890℃であるため、図1(a)に示した2枚の銅または銅合金板の界面付近に位置する、溶接部5の周囲の無電解ニッケル−リンめっき膜9も、融点を超えた領域が溶融し、下側の電解ニッケル−リンめっき膜8と接合される。
無電解ニッケル−リンめっき膜9はニッケルにリンを添加した無電解のめっき膜9であるが、無電解ニッケルめっき膜には、無電解ニッケル−ボロンめっき膜もある。しかし、この無電解ニッケル−ボロンめっき膜の融点は1400℃であり、母材の銅または銅合金の融点(900℃〜1083℃)よりも高いために適さない。
このように、2枚の銅または銅合金の界面に、これらの金属板の融点よりも低い融点を有する金属膜を被覆することにより、銅同士の溶接部近傍に無電解ニッケル−リンめっき膜9と電解ニッケルめっき膜8のニッケル同士の接合部12が形成され、図9に示すように銅の融点より高い融点を有する電解ニッケルめっき膜8のような金属膜2、4を被覆した場合に比べ、ニッケル同士の接合部12の分だけ溶接面積を大きくすることが可能となる。
図1(b)において、銅の母材同士が接合された部分の切断面11の周囲に、ニッケルめっき膜同士の接合部12(無電解ニッケル−リンめっき膜9と電解ニッケルめっき膜8の接合部12)の切断面12aがあり、溶接面積は銅/銅の溶接部5の切断面11の面積S1とニッケル−リン/ニッケルの接合部12の切断面12aの面積S2を合わせた面積となる。一方、図9に示した従来のレーザ溶接部材の構成(金属層2、4が電解ニッケルめっき膜8の場合)の溶接面積はS1のみとなるので、図1の方が図9より溶接面積が大きくなる。
図2に、下側金属板1に電解ニッケルめっき膜8を被覆した無酸素銅を用い、上側金属板3に電解ニッケルめっき8と無電解ニッケル−リンめっき膜8を被覆した無酸素銅を用いてYAGレーザ溶接(波長1064nm)を実施した場合のレーザピークパワーと溶接面積の測定結果を示す。
用いたYAGレーザ出射ユニットの焦点距離は70mm、ファイバコア径はφ0.4mm、焦点はずしは無し(上側金属板3表面に焦点を結ぶように焦点位置(出射ユニット高さ)を調節)、レーザピークパワーは3.5kW〜6.0kW、照射エネルギーは100J固定とした。無電解ニッケル−リンめっき膜9の厚さおよび電解ニッケルめっき膜の厚さ8は5μm±1μmとした。また、下側金属板1の母材厚さを1.0mm、上側金属板3の母材厚さを0.5mmとした。
図3は、レーザ溶接方法の手順を説明する図であり、同図(a)および同図(b)は工程順に示した要部製造工程図である。
まず、図3(a)おいて、XYテーブル41上に下側金属板1を乗せ、この下側金属板1の上面に上側金属板3を乗せる。出射ユニットに内蔵されたCCDカメラ画像により、上側金属板3を被覆している無電解ニッケル−リンめっき膜9の表面に目視で焦点を合わせる。焦点合わせは出射ユニット42が上下動できる図示しないZ軸テーブルによって行う。出射ユニット42はこの図示しないZ軸テーブルに固定されており、Z軸テーブルを上下動させることにより、焦点合わせを行う。
次に、図3(b)において、加圧治具43(先端が二股に分かれたピンセットのような形状をしている治具)により、上側金属板3上面から所定圧力を負荷した状態で、上側金属板3を被覆している無電解ニッケル−リンめっき膜9上面にYAGレーザ光30を所定パワー照射してレーザ溶接を行う。
ここで用いた上側金属板3は無酸素銅で、YAGレーザ光30の基本波(1064nm)における吸収率が10%程度と低く溶接性が悪いため、図3で示すようにレーザ照射面に無電解ニッケル−リンめっき膜9を被覆したものを用いた。つまり、無電解ニッケル−リンめっき膜9は上側金属板3の全表面に処理されている。下側金属板1は直接YAGレーザ光30が照射されないため、めっき処理無し状態でも使用できるが、酸化防止目的で全面に電解ニッケルめっき膜8を被覆した。
前記の図2に示した通り、上側金属板3に電解ニッケルめっき膜8を被覆した場合よりも、無電解ニッケル−リンめっき膜9を被覆した場合の方が、同じレーザピークパワーであっても溶接面積を大きくすることができた。
また、上側金属板3に電解ニッケルめっき膜8を被覆した場合には、評価した3.5kW〜6.0kWのレーザピークパワー全域で溶接時にスパッタ(溶融状態の金属が飛散したもの)が発生したが、上側金属板3に無電解ニッケル−リンめっき膜9を被覆した場合にはスパッタは全く発生することが無く、目的を達成することができた。
ニッケルめっき膜質を電解ニッケルめっき膜8から無電解ニッケルめっき膜9に変えたことにより、溶接面積の拡大とスパッタ発生の抑制を図ることができる。これは、ニッケルめっき膜の低融点化(電解ニッケルめっき膜8の融点は1450℃であるが、無電解ニッケル−リンめっき膜9の融点は890℃)による効果である。
図1(a)において、YAGレーザ光30が上側金属板3の表面に形成した無電解ニッケル−リンめっき膜9に吸収され、熱エネルギーに変換されることにより無電解ニッケル−リンめっき膜9は融点の890℃を越した時点で溶融する。
さらに継続してレーザ光を照射すると母材の無酸素銅にレーザが照射され、溶融部5が形成される。このとき、上側金属板3と下側金属板1との界面に存在する上側金属板3表面の無電解ニッケル−リンめっき膜9は、その融点が890℃と銅の融点の1083℃よりも低いため、溶融部5(温度は最低でも銅の融点の1083℃)に近い部分が一緒に溶接することで、ニッケルめっき膜同士の接合部12が形成される。
図1(b)において、下側金属板1まで貫通しない条件(レーザピークパワー4.0kW〜5.0kW)で、上側金属板3に電解ニッケルめっき膜8を形成した場合の溶接面積S1に比べ、無電解ニッケル−リンめっき膜9を被覆した場合の溶接面積(S1+S)の方が約3倍の溶接面積を得ることができた。
溶接面積が増大したことより、例えば、従来30点のスポットレーザ溶接を行っていた箇所を10点まで減らすことが可能となり、工数を1/3に削減することができる。
また、上側金属板3に電解ニッケルめっき膜8を被覆した場合には、スパッタが発生したが、同金属板に無電解ニッケル−リンめっき膜9を被覆した場合にはスパッタの発生が無くなった。スパッタ発生が防止されるメカニズムについて図3および図4を用いて説明する。
ここでは、母材である銅の表面に電解ニッケルめっき膜8と無電解ニッケル−リンめっき膜9をそれぞれ被覆し、YAGレーザ光30を照射して実験を行った。
図4は、レーザ光のパルス幅と溶接部の深さの関係を示す図である。電解ニッケルめっき膜8の場合と無電解ニッケル−リンめっき膜9の場合を示す。レーザピークパワーは5.5kWでパルス幅は1msから6msの矩形波パルスのYAGレーザ光30である。電解ニッケルめっき膜8は溶接部5の深さが短時間で深くなるのに対して、無電解ニッケル−リンめっき膜9では溶接部5の深さが深くなるのに時間がかる。
図5は、溶接深さが進行して行く様子を示した図である。電解ニッケルめっき膜8の場合と無電解ニッケル−リンめっき膜9の場合を示す。電解ニッケルめっき膜8の場合、Aの段階では、めっき面8に照射されたYAGレーザ光30はこの面で吸収されて熱エネルギーに変換されて、Bの段階では、めっき膜8の溶接に至る。めっき膜8の融点は1450℃であり、めっき膜8下部の母材である銅3の融点は1084℃であるため、Cの段階では、YAGレーザ光30が照射されて表面のめっき層8が溶接した途端に下地の金属板3(銅)は溶接状態にあると推測される。また、銅の融点付近におけるレーザ(YAGレーザ)吸収率は28%程度になるので、Dの段階では、YAGレーザ光30を十分に吸収できるためキーホールが形成されるのが早く。パルス幅1msから4msの間で溶け込みが深くなりスパッタ6が発生したと考えられる。
一方、無電解ニッケル−リンめっき膜9の場合、Aの段階で、めっき面に照射されたYAGレーザ光30はめっき膜9で吸収され、Bの段階で、めっき膜9の融点890℃に達すると溶接する。しかしながら下地の金属板3(銅)の融点が1084℃であるために、表面の無電解ニッケル−リン膜9が溶接しても下地の銅は固体であり、Cの段階では、この固体の銅(吸収率9.1%)にYAGレーザ光30が照射されると溶接の進行速度が低下する。Dの段階では、パルス幅のある閾値を超えるとキーホール型の溶け込みが形成される。このDの段階に至るまでの時間(閾値)は図から4ms程度後であるものと推測できる。
このように、電解ニッケルめっき膜8の場合には溶け込みが初期段階から急激に起きるためスパッタ6が発生し、無電解ニッケル−リンめっき膜9の場合は時間をかけて溶け込みが進行して行くためにスパッタ6の発生が抑えられるものと推測される。
図6は、この発明の第2実施例のレーザ溶接部材の溶接部の要部断面図である。上側金属板及び下側金属板の両方ともに無電解ニッケル−リンめっき膜9を被覆した場合である。この場合も図1で示した第1実施例と同様の効果(溶接面積の拡大とスパッタ発生なし)が得られる。尚、図中の符号の13はニッケル−リン/ニッケル−リンの接合部であり、この分が溶接面積を拡大している分である。
図7は、この発明の第3実施例のレーザ溶接部材の溶接部の要部断面図である。上側金属板3側に無電解ニッケル−リンめっき膜9を被覆し、上側金属板3と対向する下側金属板1の表面には銅の素地が出ている状態である。
この場合においても、溶接した無電解ニッケル−リンめっき膜9が、下側金属板1の表面に濡れ広がることにより接合され、図1で示した第1実施例と同様の効果(溶接面積の拡大とスパッタ発生なし)が得られる。第3実施例においては、上側金属板3に対向する下側金属板1の表面のみが銅の素地が露出した状態を示したが、下側金属板1のその他の面も銅の素地が露出していてもよい。
尚、図中の符号の14はニッケル−リン/銅の接合部であり、この分が溶接面積を拡大している分である。
図8は、この発明の第4実施例のレーザ溶接部材の溶接部の要部断面図である。上側金属板3の表面に電解ニッケルめっき8を形成し,下側金属板1の表面に無電解ニッケル−リンめっき9を形成した場合である.この場合はスパッタ6の発生はあるが、溶接面積の拡大が得られる。
尚、図中の符号の15はニッケル/ニッケル−リンの接合部であり、この分が溶接面積を拡大している分である。
図1、図6、図7、図8で示した本発明の第1〜第8実施例では、上側金属板3または/および下側金属板1表面うを被覆する低融点金属膜として、無電解ニッケル−リンめっき膜9(融点890℃)を用いた例を示したが、母材の銅または銅合金の融点(900℃〜1083℃)以下であれば、他の金属膜を用いても同様の効果が得られる。
例えば、金属膜の材質としてアルミ(融点660℃)、亜鉛(融点420℃)を用いても良い。また、これらの低融点金属膜は、めっき法及び蒸着法によって母材の金属板の表面に処理すると良い。
また、前記の金属膜の膜厚は、1μm〜10μmの範囲とする。1μm未満では、膜厚が薄すぎて被覆した効果がなくなる。また10μmを超えても効果があまり変わらなく、被覆するためのコストが増大するだけである。金属膜の膜厚としては5μm程度が好適である。
また、前記実施例のレーザ光はYAGレーザ光30であるが、これに限らずレーザ光の波長が0.19μm〜10.6μmの範囲であれば使用できる。0.19μm未満では、エネルギーが高すぎまた、レーザ光の浸透深さが浅すぎるのでスパッタが発生し易くなる。10.6μmを超えるとエネルギーが弱すぎて溶融させることが困難になる。
この発明の第1実施例のレーザ溶接部材の構成図であり、(a)は要部断面図、(b)は(a)のA−A線で切断した溶接部の平面図、(c)は(a)のB部拡大図 レーザピークパワーと溶接面積の関係を示す図 レーザ溶接方法の手順を説明する図であり、(a)および(b)は工程順に示した要部製造工程図 レーザ光のパルス幅と溶接部の深さの関係を示す図 溶接深さが進行して行く様子を示した図 この発明の第2実施例のレーザ溶接部材の溶接部の要部断面図 この発明の第3実施例のレーザ溶接部材の溶接部の要部断面図 この発明の第4実施例のレーザ溶接部材の溶接部の要部断面図 従来のレーザ溶接部材の構成図であり、(a)は要部断面図、(b)は(a)のA−A線で切断した溶接部の平面図、(c)は(a)のC部拡大図
符号の説明
1 下側金属板
2、4 金属膜
3 上側金属板
5 溶接部
6 スパッタ
7、11 銅/銅の溶接部の切断面
8 電解ニッケルめっき膜
9 無電解ニッケル−リンめっき膜
12 ニッケル−リン/ニッケルの接合部
12a ニッケル−リン/ニッケルの接合部の切断面
13 ニッケル−リン/ニッケル−リンの接合部
14 ニッケル−リン/銅の接合部
15 ニッケル/ニッケル−リンの接合部
20 隙間
30 YAGレーザ
41 X−Yステージ
42 照射ユニット
43 加圧治具
S1 銅/銅の溶接部の切断面の面積
S2 ニッケル−リン/ニッケルの接合部の切断面の面積

Claims (8)

  1. 二枚の金属板を重ね合わせてなるレーザ溶接部材において、上側金属板の少なくともレーザ照射面に上側金属板の融点よりも低い融点を有する金属膜を被覆したことを特徴としたレーザ溶接部材。
  2. 二枚の金属板を重ね合わせてなるレーザ溶接部材において、二枚の金属板が対向する少なくとも一方の面に前記二枚の金属板の融点よりも低い融点を有する金属膜を被覆したことを特徴としたレーザ溶接部材。
  3. 前記上側金属板のレーザ照射面と対向する裏面に前記金属膜を被覆することを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接部材。
  4. 前記二枚の金属板の材質が銅もしくは銅合金であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ溶接部材。
  5. 前記金属膜が無電解ニッケル−リンめっき膜、アルミニウム膜もしくは亜鉛膜のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ溶接部材。
  6. 前記金属膜の厚さが1μm〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3または5のいずれか一項に記載のレーザ溶接部材。
  7. 前記金属膜が蒸着膜であることを特徴とする請求項1〜3、5または6のいずれか一項に記載のレーザ溶接部材。
  8. 前記請求項1〜7のいずれか一項に記載のレーザ溶接部材を用いてレーザ溶接する方法において、前記レーザ溶接部材である二枚の金属板を重ね合わせ、加圧治具で上側金属板と下側金属板を押さえて密着させ、波長が0.19μm〜10.6μmであるレーザ光を上側金属板に照射してレーザ溶接することを特徴とするレーザ溶接方法。
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