JP2008237631A - 放射線画像撮像装置 - Google Patents

Abstract

【課題】極めて簡易な構成で、乳房に対する放射線源の移動に伴う画質劣化を回避して、高品質な放射線画像を撮像することのできる放射線画像撮像装置を提供する。
【解決手段】グリッド２３を構成する放射線透過体４６及び放射線不透過体４８を、乳房４４の胸壁に対して略平行となるように延在して配設し、放射線源２２から出力された放射線Ｘを前記グリッド２３を介して固体検出器２４に照射することで、乳房４４の放射線画像を撮像する。なお、グリッド２３は、放射線Ｘが照射されている間、放射線不透過体４８の延在する方向と直交する矢印Ｃ方向に往復移動する。
【選択図】図３

Description

本発明は、放射線源から出力された放射線を被写体に照射し、前記被写体を透過した前記放射線を放射線検出器によって検出することで放射線画像の撮像を行う放射線画像撮像装置に関する。

医療分野においては、被写体の乳房に放射線を照射し、透過した放射線を放射線検出器によって検出することで放射線画像の撮像を行う放射線画像撮像装置、いわゆる、マンモグラフィ装置が広汎に使用されている。

ここで、放射線検出器としては、例えば、絶縁基板上に行列状に形成された多数の電荷収集電極と、この電荷収集電極上に形成され、照射された放射線に応じた電荷を発生する放射線導電体とを積層してなる固体検出部を有し、放射線導電体で発生した放射線画像に係る電荷を電荷収集電極で集めて蓄電部に一旦蓄積し、その蓄積電荷を電気信号に変換して出力するものが知られている。また、その他の放射線検出器として、電荷結合素子（ＣＣＤ）を用いたもの、アモルファスシリコンとシンチレータとを組み合わせたものも知られている。さらには、放射線（Ｘ線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等）を照射すると、その放射線エネルギの一部を蓄積し、後にレーザ光や可視光等の励起光を照射することで蓄積されたエネルギに応じた輝尽発光を示す蓄積性蛍光体を利用した蓄積性蛍光体パネルを放射線検出器として用いることもできる。

ところで、図７及び図８に示すように、高品質な放射線画像を取得するため、放射線検出器２の前面には、被写体４内で発生した放射線Ｘの散乱線が放射線検出器２に入射するのを防止するグリッド６が配設される（特許文献１参照）。グリッド６は、周知のように、放射線Ｘが透過するアルミニウム等からなる放射線透過体８と、鉛等を含む放射線不透過体１０とを交互に配列し、且つ、放射線不透過体１０を放射線Ｘの入射方向に合わせ傾斜させて配置した、いわゆる集束グリッドである。

特開２００５−１３３４４号公報

ここで、マンモグラフィ装置では、乳房の上下、左右、斜めの各方向から放射線画像を撮像する場合がある。その際、乳房の大きさによっては、放射線検出器２の所定位置に乳房を正しく位置決めすることができなくなることがある。そのような場合、乳房に対して放射線Ｘを適切に照射するため、放射線源１２の位置を乳房の位置に合わせて変更することが行われる。

しかしながら、放射線源１２の位置を変更すると、放射線Ｘの入射方向とグリッド６を構成する放射線不透過体１０の立設方向とがずれるため、放射線Ｘの一部が放射線不透過体１０によってけられてしまう。

また、近年、マンモグラフィ装置を利用して、トモシンセシスやステレオ撮像が行われている。これらの撮像方法では、乳房に対して放射線源１２を矢印α方向に旋回させて放射線Ｘを照射することで三次元画像や所望の断面画像を取得することができる。この場合、グリッド６に対する放射線Ｘの入射方向が変動するため、同様にして、放射線不透過体１０による放射線Ｘのけられが発生する。

これらのけられを回避するには、放射線源１２の旋回に従ってグリッド６を矢印β方向に旋回させればよいが、そのための移動機構が必要になるだけでなく、特に、放射線源１２の旋回に追従させてグリッド６を旋回させる場合には、グリッド６が旋回できるスペースが必要になる。しかも、グリッド６と放射線検出器２との位置関係がずれるため、画像品質の低下が問題となる。

本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、極めて簡易な構成で、被写体に対する放射線源の移動に伴う画質劣化を回避して、高品質な放射線画像を撮像することのできる放射線画像撮像装置を提供することを目的とする。

本発明の放射線画像撮像装置は、乳房に放射線を照射する放射線源と、
前記乳房を透過した前記放射線を検出する放射線検出器と、
前記乳房と前記放射線検出器との間に配設され、前記放射線検出器の胸壁側側面に対して略平行に延びる放射線透過体と、前記放射線検出器の胸壁側側面に対して略平行に延びる放射線不透過体とが、前記胸壁側から離間する方向に交互に配列された前記放射線の散乱線を吸収するグリッドと、
を備えることを特徴とする。

また、本発明の放射線画像撮像装置は、被写体に対して移動可能に構成され、前記被写体に放射線を照射する放射線源と、
前記被写体を透過した前記放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線源の移動方向に対して略平行に延びる放射線透過体と、前記放射線源の移動方向に対して略平行に延びる放射線不透過体とが、前記放射線源の移動方向に対して略直交する方向に交互に配列された前記放射線の散乱線を吸収するグリッドと、
を備えることを特徴とする。

本発明の放射線画像撮像装置では、グリッドを構成する放射線透過体及び放射線不透過体を、胸壁に対して略平行に延在して配設することにより、放射線源を前記延在する方向に移動させた場合であっても、放射線の一部がグリッドによってけられることがないため、極めて簡易な構成で高品質な放射線画像を撮像することができる。

また、グリッドを構成する放射線透過体及び放射線不透過体を、放射線源の移動方向に延在して配設することにより、放射線源を前記延在する方向に移動させながら撮像を行う場合において、放射線の一部がグリッドによってけられることがないため、極めて簡易な構成で高品質な放射線画像を撮像することができる。

さらに、放射線透過体及び放射線不透過体の延在方向と直交する方向にグリッドを往復移動させながら放射線画像の撮像を行う際、グリッドの移動方向が反転するとき、被写体に対する放射線の照射を禁止するように制御することで、放射線検出器にグリッドの影が形成されることがなく、一層良好な放射線画像を撮像することができる。

図１は、本発明の放射線画像撮像装置が適用される実施形態であるマンモグラフィ装置２０の構成図である。

マンモグラフィ装置２０は、立設状態に設置される基台２６と、基台２６の略中央部に配設される旋回軸２８に固定されるアーム部材３０と、被写体３２の撮像部位である乳房４４（図２）に対して放射線Ｘを照射する放射線源２２（図３）を収納し、アーム部材３０の一端部に固定される放射線源収納部３４と、乳房４４を透過した放射線Ｘ（図２）をグリッド２３を介して検出する固体検出器２４（図２、図３）（放射線検出器）が収納され、アーム部材３０の他端部に固定される撮像台３６と、撮像台３６に対して乳房４４を圧迫して保持する圧迫板３８とを備える。

放射線源収納部３４及び撮像台３６を連結するアーム部材３０は、旋回軸２８を中心として矢印Ａ方向に旋回することで、被写体３２の乳房４４に対する撮像方向が調整可能に構成される。また、放射線源収納部３４は、ヒンジ部３５を介してアーム部材３０に連結されており、矢印Ａ方向に対して撮像台３６とは独立に旋回可能に構成される。圧迫板３８は、アーム部材３０に連結された状態で放射線源収納部３４及び撮像台３６間に配設されており、矢印Ｂ方向に変位可能に構成される。

また、基台２６には、被写体３２の撮像部位、撮像方向等の撮像情報、被写体３２のＩＤ情報等を表示するとともに、必要に応じてこれらの情報を設定可能な表示操作部４０が配設される。

図２及び図３は、マンモグラフィ装置２０における撮像台３６の内部構成の説明図であり、図２は、撮像台３６及び圧迫板３８間に被写体３２の撮像部位である乳房４４を配置した状態を示す。なお、参照符号４５は、被写体３２の胸壁を示す。

放射線源２２に面した固体検出器２４の前面に配設されるグリッド２３は、乳房４４内で発生した放射線Ｘの散乱線を除去するもので、放射線が透過するアルミニウム等からなる放射線透過体４６と、鉛等を含む放射線不透過体４８とを交互に配列して構成される。放射線透過体４６及び放射線不透過体４８は、撮像台３６に位置決めされた被写体３２の胸壁４５に対して略平行となる方向であって、放射線源２２が旋回する矢印Ａ方向に沿って延在する。放射線不透過体４８は、放射線Ｘの入射方向に対応して、放射線源２２を焦点とし、胸壁４５から離間する方向に傾斜角度θが徐々に減少する、いわゆる集束グリッドを構成する。このように構成されるグリッド２３は、放射線透過体４６及び放射線不透過体４８の延在方向と直交する矢印Ｃ方向に往復移動可能である。

固体検出器２４は、例えば、アモルファスセレン（ａ−Ｓｅ）等からなる光電変換素子を二次元状に配列して構成され、光電変換素子に入射した放射線Ｘを電気信号に変換し、放射線画像を電荷情報として蓄積する。

図４は、マンモグラフィ装置２０を構成する制御回路のブロック図である。

マンモグラフィ装置２０は、被写体３２の年齢、性別、体型、被写体識別番号等に係る被写体情報、放射線画像の撮像条件、撮像方法の設定等を行うための操作設定部５４と、設定された撮像条件、例えば、管電流、管電圧、放射線源２２に設定されるターゲットやフィルタの種類、算出された放射線Ｘの照射線量、照射時間等に従って放射線源２２を駆動制御する放射線源駆動制御部５６と、シャッタ５８を駆動し、グリッド２３の移動方向が反転する際に放射線Ｘを遮断するシャッタ駆動制御部６０と、グリッド２３の矢印Ｃ方向（図２、図３）に対する往復移動を制御するグリッド移動制御部６２と、固体検出器２４から取得した乳房４４の放射線画像に対する画像処理を行う画像処理部６４とを備える。

本実施形態のマンモグラフィ装置２０は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作につき、図５に示すフローチャートに従って説明する。

先ず、マンモグラフィ装置２０の操作設定部５４を用いて、被写体情報、撮像条件、撮像方法等を設定する（ステップＳ１）。被写体情報には、被写体３２の年齢、性別、体型、被写体識別番号等の情報があり、被写体３２が所持するＩＤカード等から取得することができる。また、撮像条件としては、被写体３２の撮像部位である乳房４４に応じて適切な放射線画像を取得することのできる管電流、管電圧、ターゲットやフィルタの種類、放射線Ｘの照射線量等が設定される。さらに、撮像方法には、医師によって指示された撮像部位、撮像方向等の情報がある。これらの情報は、マンモグラフィ装置２０の表示操作部４０に表示して確認することができる。なお、マンモグラフィ装置２０がネットワークに接続されている場合には、上位の装置からこれらの情報を取得することも可能である。

次いで、放射線技師は、指定された撮像方法に従ってマンモグラフィ装置２０を所定の撮像姿勢に設定する（ステップＳ２）。例えば、乳房４４の撮像方向としては、上部から放射線Ｘを照射して撮像を行う頭尾方向（ＣＣ）撮像、側面から放射線Ｘを照射して撮像を行う側面方向（ＭＬ）撮像、斜め方向から放射線Ｘを照射して撮像を行う内外側斜位（ＭＬＯ）撮像があり、これらの撮像方向に応じてアーム部材３０を旋回軸２８を中心に旋回させる。なお、図１は、頭尾方向（ＣＣ）撮像を行う場合を示す。

次に、マンモグラフィ装置２０に対して被写体３２の乳房４４を位置決めする。すなわち、乳房４４を撮像台３６に載置した後、圧迫板３８を撮像台３６に指向して移動させ、撮像台３６及び圧迫板３８間に乳房４４を固定する（ステップＳ３）。

図６は、マンモグラフィ装置２０を内外側斜位（ＭＬＯ）撮像を行う状態に設定して、乳房４４を固定する場合を示す。この場合、乳房４４の位置は、撮像台３６及び圧迫板３８の上端側によって規制されるため、乳房４４の大きさによっては、撮像台３６の中央部ではなく、下端側に偏って設定されてしまうことがある。

そこで、撮像台３６、圧迫板３８間に固定された乳房４４の位置に従い、放射線源収納部３４を矢印Ａ方向に移動させ、放射線源２２が乳房４４の略中央部に位置するように調整する（ステップＳ４）。この場合、放射線源２２は、グリッド２３を構成する放射線不透過体４８の延在方向に移動されるため、放射線源２２から出力された放射線Ｘが放射線不透過体４８によってけられてしまう事態が発生することはない。

次いで、グリッド移動制御部６２は、グリッド２３を駆動し、放射線不透過体４８の延在方向と直交する矢印Ｃ方向（図２、図３）に往復移動させる（ステップＳ５）。なお、グリッド２３の移動量は、乳房４４の撮像域からグリッド２３が外れことがなく、且つ、放射線Ｘが放射線不透過体４８によってけられることなく固体検出器２４に到達できる範囲内に設定するものとする。

次に、放射線源駆動制御部５６は、ステップＳ１で設定された撮像条件に従って管電圧、管電流、照射時間を制御し、放射線源２２を駆動して放射線Ｘを乳房４４に照射することで放射線画像の撮像を行う（ステップＳ６）。

圧迫板３８、乳房４４及び移動するグリッド２３を透過した放射線Ｘは、固体検出器２４に照射され、放射線画像が電荷情報として記録される。固体検出器２４に記録された放射線画像は、画像処理部６４により取得される（ステップＳ７）。

ここで、放射線Ｘが固体検出器２４に照射されている間、グリッド２３は、矢印Ｃ方向に往復移動しているが、移動端では、グリッド２３の移動速度が０となる。このとき、放射線Ｘが固体検出器２４に照射されると、放射線不透過体４８の影が放射線画像に形成されてしまう。

そこで、シャッタ駆動制御部６０は、グリッド２３の移動速度が０となる近傍において、放射線源２２から出力された放射線Ｘを遮断するようにシャッタ５８を制御する。これにより、放射線不透過体４８の影が固体検出器２４によって検出される事態を回避することができる。

また、シャッタ５８を用いる代わりに、グリッド２３の移動速度が０となる近傍で放射線Ｘが出力されないよう、例えば、グリッド２３の往復移動の周波数に対応させて、放射線源駆動制御部５６により放射線源２２に供給する管電流の周波数をパルス化し、放射線Ｘをオンオフ制御してもよい。

一方、マンモグラフィ装置２０を用いてトモシンセシスを行う場合、放射線源２２を矢印Ａ方向に所定角度だけ移動させた後（ステップＳ８）、ステップ６からの撮像処理を繰り返す（ステップＳ９）。

この場合、グリッド２３を構成する放射線不透過体４８は、放射線源２２の移動方向Ａに延在して配設されているため、放射線源２２の位置が変わっても、放射線Ｘが放射線不透過体４８によってけられることがなく、放射線不透過体４８の影が形成されない高品質な放射線画像を撮像することができる。

以上のようにして、放射線源２２を矢印Ａ方向に移動させながら取得した放射線画像は、画像処理部６４において処理され、所望の断面における放射線画像、あるいは、三次元放射線画像が構築される（ステップＳ１０）。

なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。例えば、固体検出器２４に代えて、蓄積性蛍光体パネルを使用することもできる。

本実施形態のマンモグラフィ装置の構成図である。 本実施形態のマンモグラフィ装置における撮像台の内部構成図である。 本実施形態のマンモグラフィ装置におけるグリッドの斜視構成説明図である。 本実施形態のマンモグラフィ装置を構成する制御回路のブロック図である。 本実施形態のマンモグラフィ装置における動作フローチャートである。 本実施形態のマンモグラフィ装置を用いた内外側斜位（ＭＬＯ）撮像を行う状態の説明図である。 従来技術に係るマンモグラフィ装置の説明図である。 従来技術に係るマンモグラフィ装置に使用されるグリッドの説明図である。

符号の説明

２０…マンモグラフィ装置 ２２…放射線源
２３…グリッド ２４…固体検出器
３６…撮像台 ３８…圧迫板
４４…乳房 ４６…放射線透過体
４８…放射線不透過体 ５４…操作設定部
５６…放射線源駆動制御部 ５８…シャッタ
６０…シャッタ駆動制御部 ６２…グリッド移動制御部
６４…画像処理部

Claims (6)

1. 乳房に放射線を照射する放射線源と、
   前記乳房を透過した前記放射線を検出する放射線検出器と、
   前記乳房と前記放射線検出器との間に配設され、前記放射線検出器の胸壁側側面に対して略平行に延びる放射線透過体と、前記放射線検出器の胸壁側側面に対して略平行に延びる放射線不透過体とが、前記胸壁側から離間する方向に交互に配列された前記放射線の散乱線を吸収するグリッドと、
   を備えることを特徴とする放射線画像撮像装置。
2. 被写体に対して移動可能に構成され、前記被写体に放射線を照射する放射線源と、
   前記被写体を透過した前記放射線を検出する放射線検出器と、
   前記放射線源の移動方向に対して略平行に延びる放射線透過体と、前記放射線源の移動方向に対して略平行に延びる放射線不透過体とが、前記放射線源の移動方向に対して略直交する方向に交互に配列された前記放射線の散乱線を吸収するグリッドと、
   を備えることを特徴とする放射線画像撮像装置。
3. 請求項１又は２記載の装置において、
   前記放射線不透過体は、前記放射線源を焦点として、胸壁から離間する方向に傾斜角度が徐々に減少するように設定された集束グリッドであることを特徴とする放射線画像撮像装置。
4. 請求項１〜３のいずれか１項に記載の装置において、
   前記グリッドを移動制御するグリッド移動制御部を備え、
   前記グリッドは、前記グリッド移動制御部によって前記放射線透過体及び前記放射線不透過体の延在方向と直交する方向に往復移動制御されることを特徴とする放射線画像撮像装置。
5. 請求項４記載の装置において、
   前記放射線源を駆動制御する放射線源駆動制御部を備え、
   前記放射線源駆動制御部は、前記往復移動する前記グリッドの移動方向が反転する際に、前記放射線の照射を禁止する制御を行うことを特徴とする放射線画像撮像装置。
6. 請求項４記載の装置において、
   前記放射線を遮断するシャッタを駆動制御するシャッタ駆動制御部を備え、
   前記シャッタ駆動制御部は、前記往復移動する前記グリッドの移動方向が反転する際に前記放射線源から出力された前記放射線を遮断する制御を行うことを特徴とする放射線画像撮像装置。

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