JP2008237430A - 超高速吸収能力をもつ吸収性複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量・薄型で、漏れが防止できる吸収体を提供すること。
【解決手段】基材と粒子状の吸水性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを特徴とする吸収性複合体。
(1)該樹脂の嵩比重が0.65以下である、
(2)剛軟性変化率が60%以下である、
(3)少なくとも1枚の基材は親水性繊維から構成されている、
(4)50%以上の吸水性樹脂が基材と直接接着している、
(5)該吸水性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(6)吸収性複合体の全重量に対する吸水性樹脂重量の割合が、50〜99%である。
【選択図】なし

Description

本発明は特定の形状を有する吸水性樹脂を使用した吸収性複合体に関するものである。更に詳しくは、薄型でありながら、高速に体液を吸収する性能と高い吸収力の両方の性能を兼ね備える吸収性複合体に関するものである。この吸水性複合体は、紙オムツや生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料を始め、様々な用途において好適に用いることができる。
近年、合成高分子の1種として、大量の水を吸収してゲル化する吸水性樹脂が開発され、紙おむつ、生理用ナプキン等の衛材分野、農林業分野、土木分野等に幅広く利用されている。この様な吸水性樹脂として例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体(例えば特許文献1参照)、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物(例えば特許文献2参照)、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物(例えば特許文献3参照)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の鹸化物(例えば特許文献4参照)、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物(例えば特許文献5参照)など多くが知られている。これらの吸水性樹脂が備えるべき特性としては、従来より、体液等の水性液体に接した際の高い吸水倍率や優れた吸収速度、通液性、膨潤ゲルのゲル強度、水性液体を含んだ基材から水を吸い上げる吸引量等が求められている。
また近年、平均寿命の上昇に伴い高齢者向けの紙おむつの需要が増している。さらに近年、意匠性の問題、流通の問題、ゴミ問題等から衛生材料に対して薄型化、軽量化という要求が強まっている。これに対応するため現在の衛生材料において一般的に行われている方法としては、繊維などの衛生材料中の吸水性樹脂支持担体を減らし、大量の吸水性樹脂を使用するという方法がある。このように親水性繊維の比率を低め、吸水性樹脂を増加させた衛生材料は単純に液体を貯蔵するという観点からは好ましい方向であるが、実際のおむつの使用状況における液体の分配・拡散の関する性能が低下するという問題を抱えている。すなわち、多量の吸水性樹脂は吸水により柔らかいゲル状となり、いわゆるゲルブロッキングという液の拡散を大きく妨げる現象が生じるという問題がある。このため、用いられる吸水性樹脂はゲルブロッキングを防ぐためゲル強度の高いものを好んで用いられる。しかし、一般的にゲル強度の高い吸水性樹脂は高分子鎖間の架橋点が増加するため保水力は低くなる。そのため保水力を補うために、このような吸収体では大量の吸水性樹脂を用いることとなる。
その他に繊維を低減し、吸水性樹脂を大量に使用した時におこるゲルブロッキングを防ぐ手段として、吸水性能の異なる2種類の吸水性樹脂を使用する方法(例えば、特許文献6参照。)、カチオン性イオン交換ヒドロゲル形成ポリマーとアニオン性イオン交換ヒドロゲル形成ポリマーとを含む組成物を用いる方法(例えば、特許文献7参照。)、表面の架橋密度を高い吸水性樹脂を用いる方法(例えば、特許文献8参照。)、吸水性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物を発泡押し出ししてシート化する方法(例えば、特許文献9参照。)などが提案されているが、いずれの場合も2種類の樹脂を用いたり、アニオン性イオン交換ヒドロゲル形成ポリマーなど特殊な樹脂を用いる必要があり、結果として保水力の小さい樹脂を混合しなければいけないので、吸水剤として大量の樹脂を投入する必要がある。
これらの問題点、支持担体に吸水性樹脂を固着する方法も検討されてきた。例えば、吸収体をエンボス処理する方法、熱可塑性のバインダー繊維を吸水性樹脂と親水性繊維からなる吸収体に含有させて吸収体を熱融着させる方法、歪みからの回復率の高い合成樹脂を吸水性樹脂と親水性繊維からなる吸収体に含有させて吸収体を熱融着させる方法(例えば、特許文献10および特許文献11参照。)、アニオン性基を有する吸水性樹脂の表面にカチオン性ポリマーをコーティングして、膨潤時に粒子どおしを接着固定化する方法(例えば、特許文献12および特許文献13参照。)、エマルションバインダーを用いて吸水性樹脂と親水性繊維を固定化する方法、ホットメルト接着剤を用いて吸水性樹脂を基材に固定化する方法(例えば、特許文献14および特許文献15参照。)等である。これらの方法に高保水力の架橋度の比較的低い樹脂の使用が可能となってり、使用樹脂量の低減は可能であるが、その結果、吸収体としての吸水速度が低下してしまい軽量・薄型の状態では体液投入時の漏れが生じるという問題がある。
軽量・薄型の吸収体で体液投入時の漏れを無くすためには、吸水性樹脂に接触した体液が瞬時に樹脂中に吸収され、かつ、当該樹脂の保水力が高い必要がある。高吸水速度の吸水性樹脂として、数十ミクロンの微粒子の吸水性樹脂を吸水性樹脂で固めて数百ミクロンの粒径にしたものが使用される。この樹脂をパルプ等の嵩高い素材を使用せずに固定化するためには、接着剤で布に固定化したり、袋に入れ込む方法がある。しかし、接着剤を使用してしまうと、粒子表面が疎水性の接着剤で覆われてしまい通液性が低下し、結果として速度が低下してしまう。袋に入れ込む場合、大量の液を吸収するにはある程度の量の吸水性樹脂が必要になるが、これを収容するため大容積の袋を使用すると偏りが問題になるし、袋をたくさん用意すると、結局は厚みがましてしまう。結局、袋構造で固定できる量の吸水性樹脂で、漏れを生じない吸収体として使用可能な体液投入量は、15cc程度であるといえる。
このように、体液を大量に投入される場合に、パルプ等の嵩だか素材を大量に使用しない状態で、漏れを防止できる吸収体はこれまで得られていなかった。
特開昭55−84304号公報 特公昭49−43395号公報 特開昭51−125468号公報 特開昭52−14689号公報 特公昭53−15959号公報 特開2001−252307号公報 国際公開第98/037149号パンフレット 特開平06−057010号公報 国際公開第01/64153号パンフレット 特開平10−118114号公報 特開平10−118115号公報 特開平5−31362号公報 特開平6−370号公報 特開2000−238161号公報 特表平10−510447号公報
本発明の目的は、軽量・薄型で、漏れが防止できる吸収体を提供することにある。
本発明者等らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、樹脂のかさ比重が比較的低い樹脂を所定の構造で基材に接着させることで、液の捕獲能力に特に優れた吸収体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は次の[1]〜[9]である。
[1]基材と粒子状の吸水性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを特徴とする吸収性複合体。
(1)該樹脂の嵩比重が0.65以下である、
(2)剛軟性変化率が60%以下である、
(3)少なくとも1枚の基材は親水性繊維から構成されている、
(4)50%以上の吸水性樹脂が基材と直接接着している、
(5)該吸水性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(6)吸収性複合体の全重量に対する吸水性樹脂重量の割合が、50〜99%である。
[2]該樹脂が内部に空間を有している中空の粒状吸水性樹脂であって、中空の粒状吸水性樹脂の皮膜の厚みが1〜30μmであることを特徴とする[1]に記載の吸収性複合体。
[3]吸水性樹脂の平均粒径が、5〜1000μmであることを特徴とする[1]あるいは[2]に記載の吸収性複合体。
[4]中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基含有単位の含有率が50mol%以上であることを特徴とする[1]〜[3]に記載の吸収性複合体。
[5]中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基含有単位の50%以上が中和塩であることを特徴とする[1]〜[4]に記載の吸収性複合体。
[6]中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基中和塩単位のうち10〜80mol%アンモニウム塩であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の吸収性複合体。
[7]基材と粒子状の吸水性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを特徴とする吸収性複合体の製造方法であって、吸水性樹脂および/または基材を吸水させた後、基材と吸水性樹脂粒子とを接触させた状態で脱水乾燥する工程を含む吸収性複合体の製造方法。
(1)該樹脂の嵩比重が0.65以下である、
(2)剛軟性変化率が60%以下である、
(3)少なくとも1枚の基材は親水性繊維から構成されている、
(4)50%以上の吸水性樹脂が基材と直接接着している、
(5)該吸水性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(6)吸収性複合体の全重量に対する吸水性樹脂重量の割合が、50〜99%である。
[8]該樹脂が粒子の凝集体であり、脱水乾燥前に樹脂に荷重をかける工程を含むことを特徴とする[8]記載の吸収性複合体の製造方法。
[9]乾燥後に、吸収体を剛軟性を下げる工程を含むことを特徴とする、[7]あるいは[8]に記載の吸収性複合体の製造方法。
本発明の吸収性複合体は、吸水速度が速く、かつ、高い保水力を有するため、軽量・薄型吸収体の吸収層として使用すると、パルプなどの嵩だか素材を大量に使用しなくても大量の体液を一度に投入しても漏れない吸収体となる。
以下本発明を詳細に説明する。
1.本発明の複合体の構造・性能について
本発明において、吸水性樹脂と基材を接着させたものを吸収性複合体と呼ぶ。樹脂の位置変化が起こらず形態安定性に優れる。したがって、基材とはシート形状が維持できるものである。
吸収性複合体は、樹脂の固定化に嵩高いパルプなどの材料を大量に使用しないことで、軽量・薄型化が可能である。この吸収性複合体にパルプ等の短繊維やその他シート状材料を混合して吸収体としての性能を調整することは好ましいことである。本発明の吸収性複合体の特徴は、嵩比重が0.65以下である吸水性樹脂を親水性基材に接着させた上で、吸収体の硬さを下げていることにある。一般に比重が低く表面積の大きな樹脂は、ごく初期の吸水速度が速いが、ある程度の粒径以上では、粒子表面が含水したときに、粒子表面が軟らかくなり内部への通液が悪くなる、粒子内でのブロッキング現象が生じ、十分な速度がえられない。親水性基材に接着させることで、繊維から樹脂内部への通液により粒子内ブロッキングの影響を少なくし、超高速吸収が可能となった。また、基材と比較して複合体が硬くなりすぎていると、吸収速度が著しく低下することを見出した。これは、複合体が硬い場合には、基材と樹脂の接着時に、樹脂同士が密着し樹脂同士の固着が起こって樹脂間の通液性が低下したり、通液路として働くべき親水性繊維が変質し樹脂への通液阻害が起こることが原因として考えられる。複合体の硬さを物理的、あるいは化学的方法によって軟らかくすることで、高速吸収が可能となった。
該樹脂は、一定の嵩比重以下であること、すなわち一定の表面積をもっていれば構わないが、内部に空間を有している中空の粒状であり、樹脂の厚みが1〜30μmである特定の構造を有していることが好ましい。この樹脂は保水力と吸収速度に特に優れている。また、高速に液を吸収することで素早くドライ感を出すことが可能である。吸収体の種々の性能を調整するために、嵩比重が0.65以上の樹脂を併用することも可能であるが、速度の観点から少なくとも使用する全吸水性樹脂の30wt%以上の吸水性樹脂が特定の構造を有していることが好ましく、より好ましくは50wt%以上、更に好ましくは70%以上、最も好ましくは90wt%以上である。全吸水性樹脂の平均の嵩比重が0.65以下になることが好ましい。中空の構造を有する樹脂を全吸水性樹脂の30wt%以上使用することが好ましく、より好ましくは50wt%以上、更に好ましくは70%以上、最も好ましくは90wt%以上である。
全ての吸水性樹脂が固定化されている必要はないが、極度の偏りによる性能の低下を防ぐためにも、固定化されていない吸水性樹脂は、全吸水性樹脂重量に対して50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、5%以下であることが最も好ましい。
本発明において、基材はシート状であるため、1枚の基材は表と裏と2つの平面を持つ。本発明においては、基材の平面に対する吸水性樹脂の平均坪量が10〜150g/mであることが好ましい。大量の樹脂を1つの平面に配置しすぎると、吸水時にブロッキングの問題が生じることがあり、吸水速度が低下する場合があるため好ましくない。より高い吸収容量と速度を必要とするために、吸水性樹脂の使用量を増やす場合には、吸収性複合体を複数枚使用するか、または、基材の数を増やし、吸水性樹脂層の数を増やすことで対応できる。本発明の吸収性複合体において、基材の平面に接着している吸水性樹脂の層を吸水性樹脂層と呼ぶ。n枚の基材を使用するとn−1〜n+1層の吸水性樹脂層を有することが可能となる。
吸水性樹脂が基材に接着していると、運搬時や液体吸収時の吸水性樹脂の移動を防ぐことができるため好ましい。接着方法は特に問わないが、接着剤を使用しない方法が好ましく、基材の繊維の一部が吸水性樹脂中にとりこまれた形態で接着することが更に好ましい。接着している吸水性樹脂中の50重量%以上の個数の吸水性樹脂が繊維の一部が吸水性樹脂中に取り込まれた形態で接着することが好ましく、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上の吸水性樹脂がこの形態で接着することである。接着剤を使用しないと、液体吸収時に膨潤規制を受けないため好ましい。繊維の一部が吸水性樹脂中にとりこまれた形態で接着していると、繊維を通じて吸水性樹脂の内部まで液体を送り込むことができ、吸収速度が向上するので好ましい。
種々の性能の中には、(社)日本衛生材料工業連合会の吸水性樹脂の自主基準の中でも規制されている低残存モノマー量が求められている。本発明の吸収性複合体中の樹脂の残存モノマーは、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることが更に好ましい。これは、一般的な基材と樹脂の直接接着法で使用される樹脂の基材上重合法では、達成が困難な値である。使用される樹脂を予め重合し、所定の低残存モノマー状態とされたものを複合体用の樹脂として使用することが好ましい。水溶液中で重合され、その際生成した塊を破砕工程を含む工程で粒状とされた樹脂、または、予め逆相懸濁重合法で重合された粒子凝集体を吸水性樹脂として使用することが好ましい。
本発明の吸収性複合体の剛軟性は、軟らかいことが好ましい。硬くなりすぎている場合には吸収速度が低下するし、風合い的にも好ましくない。吸収性複合体の硬さは、複合体の硬さと基材の硬さと比較して、剛軟性変化率として表すことができる。具体的には、JIS規格L1096記載の剛軟性D法(ハートループ法)によって、基材と複合体の剛軟性をそれぞれ測定し、それを比較し、以下の式によって求められる。
(式)
剛軟性変化率=(基材の剛軟性−複合体の剛軟性)*100/基材の剛軟性
複数の基材を使用している場合には、複数枚を重ねた状態で基材の剛軟性を測定する。表と裏とで粒子の粒径や分布が異なる場合は、異なった値となるが、本発明においては、硬い方、つまり値が小さいほうを剛軟性とする。剛軟性変化率は60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、40%以下であることが更に好ましく、30%以下であることが更に更に好ましく、20%以下であることが最も好ましい。風合いの観点からは、複合体の剛軟性は3cm以上であることが好ましく、4cm以上であることがより好ましく、5cm以上であることが更に好ましく、6cm以上であることが最も好ましい。吸収性複合体を製造するときに、剛軟性が硬くならないように条件を調整することも好ましいし、硬くなった複合体を後から軟らかくすることも好ましい。軟らかくする手段は特に問わないが、例えば柔軟剤を使用したり、物理的に力をかけるなどがある。
2.接着について
本発明において、基材と吸水性樹脂が接着しているとは、基材に吸水性樹脂が固定化されていて、実質的に基材と吸水性樹脂の位置関係が変化しないことを表す。本発明においては、吸収性複合体の一辺を手で持ち、複合体の平面方向を垂直にした状態で辺の方向に、20cmの幅で1秒間に1往復の速さで1分間振って、脱離しない粒子を接着しているとする。脱離した粒子については、吸収性複合体に混合されているものとみなし、吸収性複合体に含まれない。吸収性複合体にこの試験で脱離するような、接着されていない吸水性樹脂が混ざっていても問題ないが、接着されていない吸水性樹脂は、吸収性複合体の重量に対して50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。基材と吸水性樹脂の位置関係が変化しないと、使用前の運搬などによって吸収性複合体の性能が変化することもないし、繰り返し吸液の観点からも好ましい。
本発明においては、全吸水性樹脂に対する接着形態に特に制限はないが、50%以上の吸水性樹脂が基材と直接接着していることが好ましい。接着剤による接着、基材と吸水性樹脂との化学結合による接着、物理的相互作用による接着、吸水性樹脂中に繊維が入り込んだ形態での接着等でよい。接着剤とは、例えば熱可塑性の繊維やポリマー、エマルジョンバインダー、ホットメルト接着剤などがある。接着剤を使用すると、通常は接着剤による膨潤規制が働き吸収速度と吸収量が低下するため好ましくない。しかし、本発明においては厚みの薄い樹脂を使用しているため、接着剤に触れる部位の割合が少ないため、膨潤規制は受けにくい。大量に接着剤を使用すると、膨潤規制の影響が出てくる場合があるため、使用される吸水性樹脂の50重量%以上が、基材と樹脂が直接接触した形態であることが好ましい。より好ましくは75%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上が直接接着した形態である。ここで、直接接着しているとは、接着剤等の基材、吸水性樹脂粒子またはこれらに由来する成分以外の成分を利用せずに接着していることをいう。ただし、膨潤規制が生じない程度に接着剤を併用している場合は、直接接着に含まれる。直接接着している粒子の割合は、接着剤を溶解する溶剤に吸収性複合体を1時間浸漬した後になお接着している吸水性樹脂粒子の量を測定することで求められる。
直接接着の方法に特に制限はなく、基材と吸水性樹脂粒子との化学結合による接着、物理的相互作用による接着、吸水性樹脂中に繊維が入り込んだ形態での接着等でよい。
中でも、吸水性樹脂中に繊維が入り込んだ形態での接着が好ましい。具体的には、全吸水性樹脂粒子の50重量%以上が、吸水性樹脂中に繊維を取り込んだ形態で接着していることが好ましい。好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の粒子がこの形態で接着していることである。
吸水性樹脂中に繊維を入り込んだ形態とは、吸水性樹脂マトリックス中に基材中の繊維が存在している状態を表す。入り込んだ繊維の形状や長さは特に限定されない。この形態で接着していると、吸水性樹脂中に繊維を介して水を取り込むことができるため、吸収量、吸収速度の点で優れた性能を発揮する。吸水性樹脂中に繊維が入り込んだ形態で接着しているかどうかは、電子顕微鏡で確認することができる。接着している粒子を任意に30個抽出し、引き剥がして電子顕微鏡観察を行い、割合を決定することができる。
基材の片面のみに樹脂が接着されていても構わないし、基材の両面に接着されていてもかまわない。1つの平面に配置できる粒子量は制限されるため、より速い吸収速度、より多量の吸収量が求められ、使用する樹脂量を増やす必要がある場合には、両面に配置することが好ましい。さらに使用する樹脂量を増やしたい場合、樹脂層を増やすために吸収性複合体を複数枚使用することは好ましい。複数枚の吸収性複合体を使用することで、加工が複雑になる場合には、複数枚の吸収性複合体同士を、接着剤を用いて一体化させておくことも可能であるが、接着剤によって吸収性複合体間の通液性が悪くなる場合もある。この場合は、基材同士を1つの樹脂層を介して接着させることで改善できる。すなわち、基材数が任意の数n枚であるとき、n−1〜n+1層の樹脂層を持った一体型の吸収性複合体を使用することが好ましい。基材を複数枚使用する場合においては、全ての基材が親水性繊維である必要はなく、目的に応じて使い分けることが出来る。外側への漏れを防止したい場合などは、一番外側に疎水性の基材を用いることは好ましいといえる。ただし、樹脂層間の通液性を確保する観点から、1つの樹脂層は少なくとも1枚の親水性基材に接していることが好ましく、2つの親水性基材に接していることが更に好ましい。
親水性基材の枚数/吸水性樹脂層の数の値が高いほど、樹脂層に対する親水性基材の寄与が大きくなるため、効率的に吸収速度を高めることができる。親水性基材の枚数/吸水性樹脂層の数の値は好ましくは1.3以上であり、より好ましくは1.5以上であり、最も好ましくは2である。
本発明における吸収性複合体の表面とは、外部に剥き出しになっている平面のことを指す。全ての吸収性複合体は、2つの表面をもつ。表面に存在する樹脂は、膨潤後に力がかかると脱離する可能性がある。そのため、脱離が好ましくない用途の場合は、表面における樹脂量を制限することが好ましい。平面あたりの樹脂量を少なくすることで、1つの粒子に対する基材面積が増えるため、接着力を強くすることができる。吸収性複合体の表面の樹脂量は少ないほど好ましい。具体的には、平均坪量が0〜20g/mであることが好ましく、0〜10g/mであることがより好ましく、0〜5g/mであることが更に好ましく、0〜1g/mであることが最も好ましい。
3.樹脂の平均坪量について
本発明における平均坪量とは、1つの平面における吸水性樹脂の単位面積あたりの重量として定義される。吸水性樹脂の重量は全ての粒子をはがした状態で測定する。平均坪量は、10〜150g/mであることが好ましく、30〜130g/mであることがより好ましく、40〜120g/mであることが更に好ましく、50〜110g/mであることが更に更に好ましく、60〜90g/mであることが最も好ましい。樹脂の坪量が少なすぎると、基材中の液体を完全に樹脂へ移送することが難しく、液の逆戻りの原因となる場合がある。樹脂の坪量が多すぎると、基材繊維と接触していない樹脂が増えるため、ブロッキングの影響をうける場合がある。より多くの樹脂量が必要なときには、平面を増やすことで対応できる。この場合においても、基材と基材の間の平面の樹脂量は前述の範囲を満たすことが好ましい。
4.吸水性樹脂について
本発明の吸水性樹脂は嵩比重が0.65以下であることが好ましい。この樹脂はどのようなものでも構わないが、ボルテックス法において10秒以内の吸収時間をもつような高速吸収の樹脂であることが好ましい。
まず、本発明において吸収性樹脂粒子を構成する吸収性樹脂について説明する。吸収性樹脂は、1種類の樹脂のみを用いても構わないし、複数の樹脂を混ぜて使用しても構わない。製造の簡便さから、同一の吸収性樹脂層には同じ種類の吸収性樹脂が使用されていることが好ましい。
本発明において、吸収性樹脂は、吸収性樹脂の重量に対する残存モノマー濃度が200ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm下、さらに好ましくは50ppm以下、最も好ましくは10ppm以下である。残存モノマーが多いと、液吸収時の溶出成分が多く性能的に好ましくない。
残存モノマーは、吸収性複合体製造時または完成後に加熱処理を施し重合を完結させることによっても低減できるが、基材との接触前の吸収性樹脂の残存モノマー濃度は5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましく、0.05%以下であることが最も好ましい。出発材料として残存モノマーが多い状態の吸収性樹脂を使用すると、複合体製造時に該残存モノマーの重合反応を完結させるのが困難で、最終的に残存モノマーが多量に残りやすいため好ましくない。また、反応方法によっては基材の風合いを損なうことがあり好ましくない。
このようなことから、本発明においては、吸収性樹脂として、水溶液重合法で重合された後、破砕工程を含む製法で不定形の粒状とされた樹脂および/または逆相懸濁重合法で製造された粒子を用いることが好ましい。
残存モノマー量は、以下のような方法を用いて定量することができる。
吸収性樹脂を、樹脂重量の250倍の0.9%生理食塩水に加え、常温で撹拌しながら6時間程度抽出した後に濾過をする。濾液を、液体クロマトグラフィー法を用いて定量する。
本発明において、吸収性樹脂の種類は特に限定されず、どのような吸収性樹脂でも構わない。側鎖に酸基を有した吸収性樹脂であることが好ましく、側鎖にカルボン酸基を有した樹脂であることがさらに好ましい。酸基のうち50%以上が塩の形で中和されていることが好ましく、酸基のうち50%以上がアンモニウム塩の形で中和されていることがさらに好ましい。このような吸収性樹脂は、少なくとも1層以上に使用されることが好ましく、全部の層に使用されていることが更に好ましい。側鎖に酸基をもった吸収性樹脂は、液体吸収時に酸基同士の静電反発が起こり、吸収速度が速くなるため好ましい。酸基が中和されていると、浸透圧により液体が吸収性樹脂内部に吸収されるため好ましい。アンモニウム塩の形で中和されていると、アンモニウム塩は水への親和性が高く吸収量が多くなるため好ましい。また、アンモニウム塩は平均粒子径が300μm以上の粒子を使用したときにも、吸収速度の低下が起こりにくいため好ましい。
次に、本発明において、使用されると特に好ましい、特定の構造を有する中空樹脂について説明する。特定の形態を工夫することによって、従来の吸水性樹脂では不可能であった吸収速度と保水力のバランスが高い吸水性樹脂が得られる。
通常、吸水速度を高めるためには、樹脂の比表面積を向上させる必要があると考えられる。その方法としては、より小さな粒径の微粒子の吸水性樹脂を使用することが挙げられる。しかし、通常、吸水性樹脂は数百μmの粒径の物が使用されるため、数μmから数十μm程度の微粒子の吸水性樹脂をそのまま使用することは不可能であり、当該微粒子を集合させて、数百μmの粒径のものとして使用されていた。その結果、集合体の内部に取り込まれた微粒子はその樹脂表面は体液と直接接触させることができず、理想的な高比表面積樹脂からはかなり離れたものとなる。そこで、理想に近い高比表面積吸水性樹脂として、厚みの薄い膜から構成された樹脂層をその樹脂層が体液と直接接触できる確率を向上させるという考えで、鋭意検討した結果、内部に空間を有する吸水性樹脂を製造することに成功した。
本発明の中空樹脂とは、その形には特に限定されない。逆相懸濁重合法や噴霧重合法で製造されるような球状に近い構造をしていてもよいし、水溶液重合法で製造された吸水性樹脂の塊を粉砕し製造される粉砕品のような不定形の構造であってもよい。また、サイコロ状や三角錐状、円錐状に近いような形で構わない。勿論、重合時球状に近い形で製造された樹脂が後処理工程で変形破壊された構造であっても構わない。高速かつ高保水力の性能を向上させるためには、樹脂層の厚みを所定範囲内で均質に近づける方が好ましいので、球状に近い形をした中空樹脂は製造方法上樹脂の皮膜の厚みを所定範囲内で均質に近づけ易く、好ましい形である。また、中空は樹脂皮膜に完全に包み込まれている必要はなく、外部の空気と接触する穴が空いていても構わない。穴が空いている場合は、体液との接触面積として中空内部も利用できるので、好ましい構造である。また、穴の大きさによっては、中空内部へ入り込んだ体液を捕獲した形となり、吸収倍率が向上するので、好ましい構造である。
ここで穴は、内部の液体が乾燥時に抜けるときにできる穴と粉砕時に割れる穴の二種類がある。粉砕時に割れる穴には、一次粒子がそのまま割れる場合に出来る穴と接着していた一次粒子が分離する時に接着部の膜がどちらかの粒子にへばりついて剥がれる時にできる穴がある。
本発明における中空樹脂は、粒子状でその内部に空間を有する結果、中空部とその中空部を取り囲む樹脂皮膜からなる。本発明の樹脂皮膜の厚みについては、1〜30μmであることが好ましい。厚みはより薄いほど体液との接触時の吸収呼応時間が著しく短くなり、結果として吸収速度が向上するので、好ましいが、1μm未満となると中空構造を維持するための強度に問題が生じることがある。また、厚みが30μm以上となってしまうと吸収速度が低下する場合がある。構造維持のための強度と吸収速度の両方を両立させるためには、樹脂皮膜の厚みは5〜25μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、6〜18μmである。この樹脂皮膜の厚みは、中空樹脂を粉砕等で物理的に破壊した後、電子顕微鏡で観察することで確認できる。具体的には、当該樹脂を電子顕微鏡で写し、樹脂皮膜の厚みが観察できる樹脂を任意に20個取り出し、その平均値を樹脂皮膜の厚みとする。
樹脂皮膜が薄くなると後処理工程の加熱処理等でアンモニウム塩の多くがアンモニアとして遊離してしまうので、その場合は、Na、K等の不揮発性のアルカリ金属をカルボキシル基中和塩含有単位の5〜80mol%含有させることが好ましい。
また本発明の中空の吸水性樹脂は、嵩比重が一定値以下であることが好ましい。これは、樹脂皮膜の厚みが所定の範囲に入っている場合でも、嵩比重が高い場合は、中空の吸水性樹脂の粒径が著しく小さいことを意味し、当該中空の吸水性樹脂を使用可能粒径まで上げるために凝集させた場合、凝集粒子の内部にとりこまれた中空の吸水性樹脂は、体液との接触が困難となり、吸収速度が著しく低下する場合があるからである。嵩比重は、できるだけ小さい方が、比表面積が大きくなり好ましい。一方で、嵩比重が小さすぎる場合は、樹脂層の厚みが1μmより薄くなってしまうので、壊れやすい樹脂となり吸収体中での使用が困難になる場合がある。樹脂の嵩比重として好ましい範囲は、0.65以下であり、より好ましくは0.60以下であり、さらに好ましくは0.55以下である。ここで言う嵩比重とは乾燥状態の吸水性樹脂を一定粒径へ分級し、室温下にて所定体積の容器中へ細密状態となるように充填する。この間隙を含んだ細密状態の樹脂重量を計測し体積で割った値を嵩比重とする。
本発明の中空の吸水性樹脂は、一次粒子でもその凝集体の形態でもいずれも使用することができる。50μm以上の粒径であれば、そのまま使用する事もできるが、粒径が小さい場合は、凝集させて数百μm程度して使用することもできる。樹脂の強度を高めるためには、中空の吸水性樹脂の粒径が小さい粒子を凝集させたものを使用することが好ましが、粒径が小さすぎると凝集粒子内部に取り込まれた内部の中空の吸水性樹脂に体液が直接接触せず、吸収速度を低下させるので、あまり好ましくない。したがって、好ましい中空の吸水性樹脂の平均粒径は、一次粒子として5〜1000μmであり、さらに好ましくは、10〜500μm、最も好ましくは、30〜200μmである。
ここで、平均粒径とは、電子顕微鏡で写し、粒径が観察できる樹脂を任意に20個取り出し、その平均値を平均粒径とする。
本発明の中空の吸水性樹脂は、その構造に起因した高吸収速度かつ高保水力を有し、吸水性樹脂の化学組成には、特に拘らないが、より吸収速度が高速で高保水性を有する樹脂を使用することが好ましい。
吸水性樹脂の具体例としては、側鎖に酸基を有した吸水性樹脂であることが好ましく、側鎖にカルボキシル基を有した樹脂であることが更に好ましい。特に、吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基含有単位の含有率が50mol%以上であるものが好ましい。
また、カルボキシル基含有単位の50%以上が中和塩であることが好ましく、70%以上が中和塩であることが更に好ましい。塩の種類としては、アンモニアを含む少なくとも1種類以上で部分中和されることが好ましい。吸水性能の観点から、ポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基中和塩単位のうち10〜80mol%がアンモニウム塩であることが好ましく、より好ましくは30〜70mol%がアンモニウム塩である。
なお、吸水性樹脂中のアンモニウム塩の割合は、吸水性樹脂中の全窒素原子量を求めることで計算することができる。吸水性樹脂中の全窒素原子量はケルダール法により求めることができる。また、アルカリ金属の含有量は、原子吸光やICP等の金属の定量分析法を用いて測定できる。
側鎖に酸基をもった吸水性樹脂は、体液吸収時に酸基同士の静電反発が起こり、吸収速度が速くなるため好ましい。また、酸基が中和されていると、浸透圧により体液が吸水性樹脂内部に吸収されるため好ましい。アンモニウム塩の形で中和されていると、アンモニウム塩は水への親和性が高く吸収量が多くなるため好ましい。吸水性樹脂の種類としては、ポリアクリル酸部分中和物架橋体(例えば特開昭55−84304号公報参照)、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物(例えば特公昭49−43395号公報参照)、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物(例えば特開昭51−125468号公報参照)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の鹸化物(例えば特開昭52−14689号公報参照)、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物(例えば特公昭53−15959号公報参照)、ポリグルタミン酸塩(例えば特開2003−192794号広報参照)など多くが知られている。吸水性能、コストなどの観点からは通常衛生材料用途に使用されているカルボン酸基を有するポリマーが好ましい。
カルボン酸基を有するポリマーを主成分とする吸水性樹脂の重合に供する単量体としては、通常、不飽和結合を有するものが用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸、エタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、ソルビン酸、けい皮酸、それらの無水物、不飽和カルボン酸単量体の中和塩があげられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸の中和塩を用いる。中和塩の種類はリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニア等の含窒素塩基性物質であることが好ましい。
アクリル酸の中和塩を単量体の主成分とするポリアクリル酸では、ポリマー分子鎖中における繰り返し単位は好ましくは50mol%以上がカルボキシル基含有単位である。より好ましくは80mol%以上、最も好ましくは90mol%以上である。繰り返し単位のうちのカルボキシル基含有単位が50mol%以下では吸水性能の低下が見られるため好ましくない。
その他単量体を共重合してもよく、共重合してもよい不飽和単量体は(メタ)アクリル酸、エタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、ソルビン酸、けい皮酸、それらの無水物、ビニルスルフォン酸、アリルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸、ビニルトルエンフルフォン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルフォン酸、2−ヒドロキシルエチルアクリロイルオフォスフェート、2−ヒドロキシルエチルメタクリロイルフォスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルフォスフェート、ビニルリン酸などのアニオン性不飽和単量体およびその塩、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクレリート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペジリン、N−アクリロイルピロリジンなどのノニオン性の親水性基含有不飽和単量体、また、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルなどの様に重合後の官能基の加水分解によって、吸水性樹脂を形成する親水性単量体を用いてもよい。また、併用できる疎水性単量体としては、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの中で1種類、もしくは2種類以上を添加することができる。また、重合物を架橋させて吸水性樹脂としてもよい。架橋の方法としては、単量体中に重合性の架橋剤を共存させて共重合する方法、カルボン酸と反応する架橋剤を用いて架橋する方法、樹脂に電子線や放射線を照射し架橋する方法等が挙げられる。これらの方法の中では、重合性の架橋剤を使用する方法とカルボン酸と反応する架橋剤を用いる方法が、架橋度の制御が正確に行い易く、好ましい方法である。架橋度は吸水性樹脂の種々の性能に大きく影響を及ぼす因子であるため、精密に吸水性樹脂の性能を調整したい場合は、重合性架橋剤とカルボン酸と反応する架橋剤を併用することが好ましい。
重合性の架橋剤としては、一分子内に2個以上の不飽和結合を有するものが使用できる。例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、N,N‘−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルオキシ酢酸塩などがあげられ、これら架橋剤は2種以上用いてもよい。
カルボン酸と反応する架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多価アミン類;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの多価イオンなどがあげられこれら架橋剤は2種以上用いてもよい。
また、上記単官能性不飽和単量体と内部架橋剤の他、必要に応じて、発泡剤、連鎖移動剤、界面活性剤、キレート剤等を添加して重合してもよい。
不飽和結合を有する単量体の重合方法は特に限定されず、水溶液重合、逆相懸濁重合、逆相乳化重合、噴霧重合、ベルト重合など一般に広く用いられている方法が適用できる。重合開始方法も特に限定されず、ラジカル重合開始剤による重合、放射線、電子線などの照射による重合、光増感剤による紫外線重合を行うこともできる。かかるラジカル重合に用いられる開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酢酸など有機化酸化物などの公知の開始剤が挙げられる。酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合はL−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤を併用しても構わない。
吸水性樹脂の重合開始前には予め単量体溶液中の脱酸素操作を行うことが好ましい。具体的な方法として、十分な時間、窒素、ヘリウムなどの不活性ガスによるバブリング等により溶存酸素を取り除く方法があげられる。また、反応器内雰囲気も窒素、ヘリウムなどの不活性ガスに置換されていることは好ましい。重合中の反応器内は減圧、常圧、加圧のいずれであっても良い。重合開始温度は通常0〜100℃の範囲で行うことが好ましい。さらに好ましくは、20〜70℃の範囲である。重合開始温度が高すぎると、開始剤を加える前から熱による重合が開始してしまい好ましくない。また、開始温度が低すぎると、重合開始に時間がかかりすぎるため生産効率上好ましくない。重合中の反応器内の温度は成り行きに任せてもよく、外部から冷却もしくは加熱により温度制御を行ってもよい。重合中の昇温速度や最高温度は特に問題とならず、最高温度が100℃を超えても問題はない。重合時の最高温度は、通常20〜140℃で、好ましくは、40〜120℃の範囲であり、更に好ましくは50〜100℃である。単量体溶液の濃度は10〜80%が好ましく、30〜70%が最も好ましい。単量体溶液の濃度が濃すぎると、反応が暴走しやすいため好ましくなく、濃度が薄すぎると、反応に時間がかかりすぎ、また、その後の乾燥工程にも負荷がかかるため好ましくない。重合時間は特に限定されないが、反応溶液からの発熱が止まる時間付近に設定することが好ましい。重合後の後工程として、乾燥工程、後架橋工程等などの加熱工程が存在するため、反応溶液からの発熱が止まる前に重合を終了しても構わない。また、発熱終了後、数時間加温、保温しても構わない。
上記重合後に得られる重合体が含水ゲルである場合は乾燥を行う。この乾燥方法は特に限定されるものではないが、例えば共沸脱水、流動乾燥、熱風乾燥、真空乾燥など一般に広く用いられている方法が適用でき、特に熱風乾燥、真空乾燥が好ましい。また、乾燥前の重合樹脂をスプレー状態にできる場合は、スプレードライという乾燥方法も可能である。樹脂中の含水率としては特に限定されるものではないが30質量%以下が好ましく、10質量%以下まで乾燥することが更に好ましい。乾燥はどのような形態の含水ゲルで行ってもよいが、粗解砕して表面積を増やしてから乾燥するのが乾燥効率上好ましい。乾燥温度は70℃〜180℃の範囲が好ましく、特に好ましくは90〜150℃である。
乾燥後の重合樹脂体は、必要に応じて粉砕や分級等の操作によって粒子径が調整される。
その後、後架橋のために所定の粒子径に調整された乾燥樹脂を加熱処理しても構わない。この加熱処理の方法は特に限定されるものではないが、使用するカルボキシル基と反応する架橋剤を共存させておくことが好ましい。カルボキシル基と反応する架橋剤の添加方法は特に限定されるものではなく、重合前からいれておいてもいいし、加熱処理前の粒子に加えても構わない。加熱処理前の粒子に入れる場合には、水、アルコール類、エーテル類などの親水性溶媒に溶解させて、粒子表面に均一に散布することが好ましい。加熱処理の温度は特に限定されるものではないが、好ましくは90〜250℃の範囲である。更に好ましくは120〜200℃、最も好ましくは150〜180℃である。加熱処理は、乾燥終了後に連続的に同じ装置内で加熱処理しても良く、乾燥工程とは独立の工程としても構わない。加熱処理は、通常の乾燥機や加熱炉など一般に広く用いられている装置を用いる事ができ、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機等が挙げられる。
この様にして得られる吸水性樹脂に、必要に応じて消臭剤、香料、各種無機粉末、発泡剤、顔料、染料、抗菌剤、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、キレート剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、水、塩類等を添加してもかまわない。
上記、無機粉末としては、例えば、水及び親水性有機溶媒に対して不活性な各種無機化合物の微粒子、粘土鉱物の微粒子等が挙げられる。特に無機粉末としては水に対して適度な親和性を有し、かつ、水に不溶或いは難溶のものが好ましく、例えば、二酸化珪素や酸化チタン等の金属酸化物、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト等が挙げられる。無機粉末の使用量は特に限定されるものではないが、通常は吸水性樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。吸水性樹脂と無機粉末の混合方法に特に制限はなく、ドライブレンド法、湿式混合法等一般的な方法で行われる。
また、製造された樹脂に透水剤を塗布し、吸水性樹脂表面に体液が高速に拡散させるようにすることは大変好ましい方法である。透水剤塗布方法は、特に限定されるものではなく、透水剤または透水剤を溶解した溶液を樹脂上に噴霧し乾燥する方法、透水剤または透水剤を溶解した溶液に樹脂を含浸させ乾燥する方法等が挙げられ、吸水性樹脂表面の透水剤塗布面積を向上させやすいという点が好ましい方法である。
透水剤は、親水性が高く、かつ、吸水性樹脂表面に付着可能なものであれば構わない。通常、透水剤としては、低分子親水性化合物や親水性高分子樹脂などが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、Dow Chemical Companyで製造されているボラノール(VoranolTM)2070、ボラノール2100、ボラノール3100ポリオール、トリトン(TRITONTM)X−100界面活性剤(Rohm&Haasから入手可能)、タージトール(TERGITOLTM)15−5−9、エトキシル化界面活性剤(Union Carbideから入手可能)、ポリエチレングリコール、花王で製造されているエマルゲンLS−106、エマルゲンLS−110、エマルゲンLS−114、エマルゲンMS−1110、エマルゲン1118S−70、エマルゲン1135S−70、エマルゲン1150S−70、レオドールTW−O106V、レオドールTW−O120V、日本国特許第3057521号に記載されているポリオレフィン系繊維用耐久親水化剤等の非イオン系界面活性剤、ドデシルベンゼンスルホネート、アルキル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル等のアニオン界面活性剤、ラウリルジメチルベタイン、ヤシアミドプロピルジメチルベタイン等の両性界面活性剤、特開平1−148879、特開平10−53955に記載されているシリコーン系の親水性処理剤等が挙げられる。これらのうち、HLB値が7以上の非イオン系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤は高い透水性を示すので特に好ましい。
透水剤を溶液状態で塗布する際に使用する溶媒としては特に限定されないが、透水剤を溶解し、塗布後蒸発除去しやすい溶媒である事が好ましく、例えば親水性の液体を使用することが最も好ましい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトンなどに代表されるケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等に代表されるニトリル類、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等に代表されるアミド類、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等に代表されるエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等に代表されるエーテル類、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノ−ル等に代表されるモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,2−シクロヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等に代表される多価アルコール類、また水などが挙げられる。この中で、透水剤塗布後の溶媒乾燥の点から常圧時の沸点が100℃以下であるのものが好ましく利用される。また、プロセス上の安全性も考慮すると、水やエタノールが好ましく使用され、水である事が最も好ましい。
次に、中空樹脂の製造方法として最も簡便な代表的な方法を示す。
本発明の中空樹脂を製造する方法としては、不飽和カルボン酸塩を含む単量体水溶液を有機溶媒中に懸濁させ重合する逆相懸濁重合方法が好ましい方法として用いられる。反応器の形式は特に限定するものではなく回分式もしくは連続式のいずれでも構わない。例えばループリアクターの様な連続式装置や一般的に広く用いられているバッチ式の攪拌層などが挙げられる。
中空樹脂の具体的な重合方法の例としては、まず、不飽和カルボン酸塩の水溶液と有機溶媒(以後、有機溶媒1と称す。)を界面活性剤(以後、界面活性剤1と称す。)存在下で混合し、水溶液中に油滴が安定に存在するエマルジョンを作成する。その後、この水溶液エマルジョンと有機溶媒(有機溶媒2と称す。)を界面活性剤(界面活性剤2)存在下で混合する。有機溶媒2中に水溶液エマルジョンを水滴として安定に存在させ、その状態で重合させる方法が簡便な方法として挙げられる。
また、中空状態の形成法としては、重合後に内部に蒸発除去が可能な物質を包含した粒子を製造し、その後当該物質を蒸発除去し、中空状態を形成することが好ましい方法である。
中空樹脂の製造のし易さという点では、用いられる不飽和カルボン酸塩として、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。好ましくはアンモニウム塩及びナトリウム塩、最も好ましい塩はアンモニウム塩である。不飽和カルボン酸塩としてアンモニウム塩を主とする単量体を用いて中空状態の樹脂を作り出した後に、ナトリウム塩やカリウム塩などの別の塩に一部または全部置換をすることも目的によっては構わない。
不飽和カルボン酸アンモニウムには、一部不飽和カルボン酸アミドが含有されていても構わない。不飽和アミドとは分子内に不飽和結合と一般式RCONH−(Rはアルキル基、アリール基など任意の有機基)で表される官能基の両方含む化合物のことをいう。このような化合物としては、シンナムアミド、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられるが、アクリルアミド及びメタクリルアミドが好ましく、アクリルアミドがより好ましい。
不飽和カルボン酸塩として最も好ましい不飽和カルボン酸アンモニウムは、如何なる製法で製造されたものでも構わない。例えば、a.不飽和ニトリル及び/又は不飽和アミドを微生物による加水分解反応に供する方法、b.不飽和カルボン酸をアンモニアで中和する方法が挙げられる。次にそれぞれの具体的な製法を説明する。
a.不飽和ニトリル及び/又は不飽和アミドを微生物による加水分解法
微生物による加水分解反応に供される不飽和ニトリルとは、分子内に不飽和結合とシアン基を両方含む化合物のことをいう。また、不飽和結合とシアン基をそれぞれ多数含んでいても構わない。不飽和結合とは、炭素原子間に二重結合(エチレン結合)あるいは三重結合(アセチレン結合)を含むものをいい、このような化合物の例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル、ケイ皮酸ニトリルなどが挙げられる。なかでもアクリロニトリル及びメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。また、微生物による加水分解反応に供される不飽和アミドとは、分子内に不飽和結合と一般式RCONH−(Rはアルキル基、アリール基など任意の有機基)で表される官能基を両方含む化合物のことをいう。このような化合物の例として、シンナムアミド、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられるが、アクリルアミド及びメタクリルアミドが好ましく、特にアクリルアミドが好ましい。
不飽和ニトリル及び/又は不飽和アミドの微生物による加水分解条件には特に制限されるものではないが、該微生物としては20重量%以上の濃度の不飽和カルボン酸アンモニウム水溶液を生産できる微生物が好ましい。このような微生物としては、アシネトバクター属、アルカリゲネス属、コリネバクテリウム属、ロドコッカス属、ゴルドナ属からなる群から選ばれた少なくとも1種を使用することが好ましい。上記微生物の中ではアシネトバクター属の微生物がより好ましく、その中でも該微生物がアシネトバクターsp.AK226菌株(FERM BP−08590)、あるいはアシネトバクターsp.AK227菌株(FERM BP−08591)、であることが最も好ましい。なお、アシネトバクターsp.AK226菌株(FERM BP−08590)及びアシネトバクターsp.AK227菌株(FERM BP−08591)の微生物学的性質は表1に示す通りである。





表1続き




この微生物による加水分解法で生成される不飽和カルボン酸アンモニウム水溶液は、不飽和カルボン酸の二量体及び/又は水和物などの不純物量が極めて微量であるので、該製法は好ましい方法である。不純物の具体的例としては、アクリル酸の場合では、アクリル酸の二量体であるβ−アクリロイルオキシプロピオン酸及びアクリル酸の水和物であるβ−ヒドロキシプロピオン酸、及びそれらの塩等が挙げられる。
b.不飽和カルボン酸をアンモニアで中和する方法
不飽和カルボン酸をアンモニアで中和する方法に供される不飽和カルボン酸は、前述の不飽和カルボン酸と同様のものが使用される。
この不飽和カルボン酸はどのような製法で作られたものでも構わない。このような不飽和カルボン酸に、不純物が多量に含まれている場合は、精製して不純物を低減させることが好ましい。ここでいう不純物とは、分解して単量体成分となりうる化合物のことをいう。例えば、不飽和結合が水和したものやオリゴマー、アクリル酸においてはβ−ヒドロキシプロピオン酸やβ−アクリロイルオキシプロピオン酸などが挙げられる。精製の方法は、不純物の量を規定量以下に低減することができればどのような方法でもよく、手段は特に制限されるものではなく、具体的な精製の方法として蒸留などの一般的に用いられる方法で行ってもよい。不純物の量は1000ppm以下まで低減させることが好ましく、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。不純物が多いと、得られた吸水性樹脂の残存モノマーが多く、さらにその後の製造工程によって残存モノマーが増加するという現象を示し、さらにはポリマーの諸物性が不十分となる場合もあり好ましくない。
中和方法としては特に制限されるものではなく、アンモニア水を用いてもよいし、アンモニアのガスを用いても構わない。また、少なくとも中和工程中の一時期は不飽和カルボン酸の中和率が100モル%を超える状態を経過する条件下にて中和しても構わない。中和工程においては、冷却によって温度を0〜50℃に保つことが好ましい。温度が上がりすぎると、β―ヒドロキシプロピオン酸やオリゴマーが生成してしまい好ましくないため中和時の温度は0〜30℃以下にする事がより好ましい。
また、不飽和カルボン酸アンモニウム単量体の使用量は、不飽和カルボン酸とその塩の総モル量に対して50〜100モル%の範囲であることが、製造される吸水性樹脂の吸収倍率の観点から好ましい。製造される吸水性樹脂の吸収倍率を向上させるためには、不飽和カルボン酸アンモニウムの含有モル%が高い方が好ましく、80〜100モル%の範囲であることが好ましく、より好ましくは95〜100%である。この時、アンモニウム塩以外の不飽和カルボン酸塩としてアルカリ金属塩の使用量は、不飽和カルボン酸とその塩の総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウムと不飽和カルボン酸アルカリ金属塩と不飽和カルボン酸それぞれのモル量の総和である。)に対して、0〜45モル%の範囲であることが好ましい。製造される吸水性樹脂の吸収倍率を向上させるためには、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩の含有モル%が低い方が好ましく、0〜20モル%の範囲であることがより好ましい。さらに好ましくは0〜10%である。
次に、重合に供する不飽和カルボン酸アンモニウム単量体の水溶液中濃度は特に限定は無いが、安定的に中空樹脂を製造したい場合は、比較的高い濃度で実施することが好ましい。重合性単量体の水溶液中の濃度としては、20重量%以上であることが好ましく、更に好ましくは40重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。また、当該濃度の実施的上限値は重合条件下における重合性単量体の水に対する溶解度である。ここで言う実質的上限値とは、例え一部の単量体が溶解せずに固体として水溶液中に存在しても重合反応で溶解している単量体が消費された後に固体が水溶液中に溶解し、重合できる程度の不溶固体分も溶解成分と考えた場合の溶解度の上限値である。
重合性架橋剤および/またはカルボン酸基と反応できる架橋剤は特に限定されるものではないが、重合性単量体の水溶液中に添加しておくことが好ましい方法である。
重合開始剤は、結果的に不飽和カルボン酸塩水溶液中に、できるだけ均質に溶解するように投入すれば、どの段階で投入しても構わない。例えば、不飽和カルボン酸塩水溶液が有機溶媒1と混合する前から、不飽和カルボン酸塩水溶液と有機溶媒1からなるエマルジョン溶液を有機溶媒2と混合される前の間のいずれかの時に投入する方法が挙げられる。
有機溶媒1は、不飽和カルボン酸塩水溶液中、界面活性剤1存在下で油滴が生成できるものであれば特に限定されるものではない。通常、プロセス溶媒としては、蒸発潜熱が小さく、水との分離性がよく、界面活性剤と化学的に反応しにくい溶媒が好ましい。具体的には炭化水素系溶媒が好ましい溶媒として挙げられる。より好ましくは、脂肪族炭化水素系溶媒であり、さらに好ましくは飽和脂肪族炭化水素系溶媒である。飽和脂肪族炭化水素系溶媒としては、直鎖構造でも、分岐を有する構造でも、環状構造を有してもいても構わない。勿論、一分子内に、直鎖構造、分岐構造、環状構造の複数の構造を有する化合物であっても構わない。飽和脂肪族炭化水素系溶媒の具体例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状構造を有する飽和脂肪族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、リグロイン等の鎖状構造を有する飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。得られるエマルジョンの安定性及び、溶媒の沸点、比重などの諸物性から、中でもシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、n−ペンタン、n−ヘキサンが好ましく、より好ましくはシクロヘキサンである。
界面活性剤1は、不飽和カルボン酸塩を主成分とする単量体水溶液中に有機溶媒1を撹拌状態または静置状態で安定的に油滴として分散でき、重合反応を阻害しないものであれば特に限定されるものではない。使用できる界面活性剤1の具体例としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これらの内、界面活性剤1としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレートなどのポリオキシエチレン誘導体類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル類、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどのポリオキシエチレンソルビト−ル脂肪酸エステルやグリセロールモノステアレートなどのグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。懸濁状態または乳化状態の安定性を向上させるためには、非イオン性界面活性剤のうちHLB値が4〜14であるものを使用することが好ましく、さらに好ましくはHLB値が7〜13のものである。また、曇点が30℃以下には存在しないものが好ましく、さらに好ましくは曇点が存在しないものである。界面活性剤1の添加量は有機溶媒1の重量に対して10重量%以下とし、通常は0.05〜8重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%である。
有機溶媒2は、等量の水と撹拌・混合した後静止状態として二層分離し、原料単量体のラジカル重合反応を著しく阻害しない有機溶媒であれば、官能基の種類や量、構成原子等に関して特に限定される必要はない。通常、プロセス溶媒としては、蒸発潜熱が小さく、水との分離性がよく、界面活性剤1、界面活性剤2と化学反応しにくい溶媒が好ましく使用される。具体的には、炭化水素系溶媒が好ましい溶媒として挙げられる。より好ましくは脂肪族炭化水素系溶媒であり、さらに好ましくは飽和脂肪族炭化水素系溶媒である。飽和脂肪族炭化水素系溶媒としては、直鎖構造でも、分岐を有する構造でも、環状構造を有してもいても構わない。勿論、一分子内に、直鎖構造、分岐構造、環状構造の複数の構造を有する化合物でも構わない。飽和脂肪族炭化水素系溶媒の具体例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状構造を有する飽和脂肪族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、リグロイン等の鎖状構造を有する飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。
得られるエマルジョンの安定性及び、溶媒の沸点、比重などの諸物性から、この中でもシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、n−ペンタン、n−ヘキサンが好ましく、より好ましくはシクロヘキサンである。
界面活性剤2は、有機溶媒1を油滴として含む単量体水溶液の懸濁液または乳化液を撹拌条件下または静置条件下、有機溶媒2中で懸濁状態または乳化状態として安定化できるものであれば特に限定されるものではない。使用できる界面活性剤2の具体例としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これらの内、界面活性剤2としては、原料単量体として用いられる不飽和カルボン酸塩がイオン性であり、イオン交換等による性能の変化が起り難いため、非イオン性界面活性剤を用いる事が好ましい。非イオン性界面活性剤としては、HLB値が4〜12の範囲のものが懸濁状態または乳化状態時に高い安定性を示すため好ましく用いられる。また、比較的大きな水相の液滴を生成したい場合は、HLB値が5〜10の範囲の非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。HLB値が4〜12の非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビトール脂肪酸エステル系、ソルビトール脂肪酸エステルエーテル系、ソルビタン脂肪酸エステル系、ソルビタン脂肪酸エステルエーテル系などが挙げられる。その中でもソルビタン脂肪酸エステル系とソルビタン脂肪酸エステルエーテル系が好ましい。また、HLB値が5〜10の非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウリレートやオキシエチレンソルビタンモノステアレートエーテルが好ましい。より好ましくはソルビタンモノステアレートである。
本発明におけるHLB値は、三洋化成工業株式会社出版の新・界面活性剤入門に記載、グリフィンのHLB値のことである。HLB値の計算式は以下のように定義される。
非イオン性界面活性剤のHLB=(親水基部分の分子量÷界面活性剤の分子量)×20
界面活性剤の使用量は単量体に対して0.1〜15重量%が適切な範囲であり、好ましくは0.2〜5重量%である。実質的に界面活性剤の使用量は安定したエマルジョン状態を保つ事ができれば特に限定されるものではないが、界面活性剤の使用量が少なすぎても安定したエマルジョン状態を保つことができず、15重量%以上使用してもこれに伴う好結果が得られない。
重合反応温度は特に限定されるものではないが、使用する重合開始剤のラジカル発生速度の温度依存性によって調整することが好ましい。重合時のポリマーの粘度変化や重合熱に伴う温度変化による懸濁状態や乳化状態が不安定になることもあるので、重合初期は70℃以下の比較的低温で重合を開始し、ある程度重合が進行した後、70℃以上の高温に上げて重合を完結させることが好ましい方法である。
重合終了後、粒子径が小さい場合は、凝集させて平均粒径100μm以上とすることも構わない。凝集方法としては、第三成分を入れて界面活性剤2を粒子表面からはがし粒子同士を接着させる方法、粒子同士が接触している状況で溶媒を蒸留除去し粒子同士を接着させる方法等が挙げられる。
界面活性剤2を粒子表面からはがし凝集する方法としては、重合後のエマルジョン溶液と水への溶解度を示す有機溶媒を混合することが好ましく、その混合方法は特に限定されるものではない。例えば、エマルジョンに水溶性溶媒を添加しても、水溶性溶媒にエマルジョンを添加しても、エマルジョンと水溶性溶媒を同時に反応容器の中に投入しても構わない。製造上簡便な方法は、重合後のエマルジョン溶液中に水溶性溶媒を添加する方法であり、撹拌されたエマルジョン溶液に水溶性溶媒を添加する方法が好ましい方法である。
エマルジョンと水溶性溶媒が混合されることにより、エマルジョンを保っている界面活性剤の安定化効果を崩壊させ粒子を凝集させる。界面活性剤の安定化効果を崩壊させるには、混合される水溶性溶媒の水への溶解度が1重量%以上である必要があり、好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上である。
添加する水への溶解度が1重量%以上の水溶性溶媒は1種類でも構わないし、複数種類であっても構わないが、好ましくは2種類以上の水溶性溶媒を用いることである。より好ましくは、多価アルコールを含む2種類以上の水溶性溶媒を用いることである。アルコール基を2個以上含む多価アルコールが添加する水溶性溶媒に含まれていることは、凝集工程で生成する水可溶分を低減させる効果が高いため好ましい。複数種のアルコールを用いる場合、添加するタイミングは特に限定されるものではなく同時であってもよいし、それぞれ独立に添加しても構わない。添加する水への溶解度が1重量%以上の水溶性溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトンなどに代表されるケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等に代表されるニトリル類、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等に代表されるアミド類、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等に代表されるエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等に代表されるエーテル類、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノ−ル等に代表されるモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,2−シクロヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等に代表される多価アルコール類などが挙げられる。この中で、モノアルコール類と多価アルコール類を組み合わせた水溶性溶媒を使用することが好ましく、モノアルコール類としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが、多価アルコール類としてはプロピオングリコール、グリセリン、エチレングリコールを組み合わせて使用することが好ましく、エチルアルコールとグリセリンの組み合わせかイソプロピルアルコールとグリセリンの組み合わせが最も好ましい。
水溶性溶媒の添加量は特に限定されるものではなく凝集体が所望の粒径になるように調整する事が好ましく、例えばエマルジョン中の固形分に対して0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
添加時の温度もエマルジョンが保たれる範囲であれば、特に限定されることはない。例えば、重合温度でそのまま行ってもよく、加温してから添加してもよい。あるいは室温付近まで冷却して行っても構わない。
凝集工程を経た後に、溶媒との共沸脱水によりゲルの含水率を下げる工程を経てもよく、その条件は圧力及び温度等、特に限定されるものではない。
凝集体の粒径は、添加する水溶性溶媒の量及び攪拌動力の大きさによりコントロールする事が可能であり、任意の粒径を得ることができる。本発明においては、凝集体粒径を特に限定するものではないが、吸水性樹脂が最も用いられる衛生材料用途では、粒径の小さなものでは粉塵の発生が問題となるため使用されず、また粒径の極端に大きなものは吸水速度が遅いために使用されない。以上のことを勘案すると凝集体の粒径は100〜5000μmが好ましく、100μm〜1500μmの粒径が特に好ましい。
凝集体形成後にエマルジョンを40℃以上に保ち粒子同士を融着させる工程を用いることは凝集体の結合強度を上げるうえで有効である。加熱処理が有効な理由は明らかではないが、接触した粒子同士のフリーのポリマー鎖ないしそのセグメントが相互に拡散し、いわゆる自着が進行しているものと推測される。ポリマー鎖の相互拡散を促進するためには凝集させている含水ゲルのガラス転移点温度以上の温度に加熱することが好ましい。ゲルのガラス転移点温度はゲルの含水率・中和率・中和塩の種類により変化するが、加熱する温度は40〜200℃が好ましく、60〜180℃がより好ましく、さらに好ましくは60〜150℃である。加熱する時間1〜120分が好ましい。加熱温度、加熱時間ともにゲルの融着を十分に行うことができ、製品の性能を劣化しない範囲であれば特に制限するものではない。そこで加熱温度を高めるためには重合装置内を加圧することも有効であり、重合時と異なる溶媒を用いても構わない。また、凝集粒子の結合強度は特に制限するものではないが、製造した樹脂をハンドリングすることを考えると高強度であることが好ましい。
凝集工程後、粒子凝集体と溶媒を分離回収する方法は一般的に広く用いられる固液分離方法を用いる事が出来る。例えば、ろ過分別、遠心分離による分離、加熱による溶媒の除去などが挙げられるが、いずれの方法を用いても構わない。
粒子凝集体ゲルの乾燥方法としては特に限定されるものではなく、通常真空乾燥、熱風乾燥が用いられる。乾燥温度は70℃〜180℃の範囲が好ましく、より好ましくは90〜140℃である。乾燥温度は低すぎると乾燥に時間がかかりすぎるため経済的でなく、高すぎると吸水性樹脂の分解等が起こるため吸水性能の低下を招く。乾燥工程はこれらの問題を起こさない範囲であれば特に限定されることはなく多段昇温してもよく、一定温度での乾燥でも構わない。
吸水性樹脂として、アンモニウム塩を使用する場合は、前述の乾燥後、特開2005−200630号公報に示されるように吸水性樹脂に加熱処理工程を行い、アンモニアを遊離させ、アンモニア中和率を任意の割合にコントロールすることができる。この時、アンモニアの遊離は樹脂表面から起こるために、吸水性樹脂凝集体の内部と表面近傍の中和率に差ができる状態となる。またアンモニアが遊離して中和率が低下した部分に、後にリチウム、ナトリウム、カリウム等の不揮発性のアルカリ金属を含有させ中和率を制御する事も可能である。同時に凝集工程の際に添加した多価アルコールと水可溶分となる低分子量ポリマー中の官能基とを反応させ、低分子量ポリマーを高分子量化して、水可溶分を低減させることも可能となり、これにより、樹脂吸水時のゲルブロッキング現象を低減させることができる。本加熱処理工程は、乾燥後の吸水性樹脂を不織布やパルプと接触、接着、付着など共存させた状態で行ってもよく、吸水性樹脂単独で行っても構わない。加熱処理は100〜250℃の範囲で行う事が好ましく、より好ましくは130〜200℃である。また、吸水性樹脂体中の中和率の分布構造及び吸水性能の面から、加熱温度は乾燥温度よりも10〜150℃高い温度で行われることが好ましく、より好ましくは30〜100℃高い温度で行われることである。加熱時間は0.5分〜5時間で行う事が好ましく、より好ましくは2〜60分であり、さらに好ましくは3〜15分である。加熱温度、時間は特に限定されるものではなく、吸水性樹脂の性能が劣化しない範囲内であれば構わない。加熱処理工程の雰囲気は特に限定されるものではないが、不要な反応が起らない様、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
また、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上含有する化合物を乾燥後の吸水性樹脂に含浸させ、加熱処理により架橋反応を起こさせることでいわゆる表面架橋処理を行うことも本発明の範囲内である。
本発明の中空樹脂は、樹脂層が薄い膜状の効果、即ち、体液との接触時の呼応速度が著しく向上する効果と、樹脂の高比表面積の効果、即ち、体液と直接接触する確率の向上効果の二つの効果により吸収速度が高速となり、かつ、その樹脂中空部位への水の捕獲能力により高い保水量を示す。
本発明ではボルテックス法(測定方法の詳細は下記。)で測定される吸収速度が10秒以下で、保水力(測定方法の詳細は下記。)が25g/gを超える吸水性樹脂が製造可能となる。さらに、本発明の中空吸水性樹脂は最終工程となる加熱処理工程を含水状態でセルロース系繊維と接触させて実施することにより樹脂と繊維との複合化が可能となり、さらなる吸収速度の高速化と高保水力化が可能となる樹脂である。
(表面近傍の塩濃度)
基材上へ接着する前の吸収性樹脂粒子は、その表面近傍の塩濃度(以下、「表面塩濃度」という。)が、50mol%以上であることが好ましく、より好ましくは60mol%以上、さらに好ましくは70mol%、最も好ましくは80mol%以上である。基材上へ接着する前の表面塩濃度が低すぎると、粒子の接着性が低下する場合があり好ましくない。
最終的な基材への接着後の吸収性複合体中の吸収性樹脂粒子の表面塩濃度については特に制限はないが、吸水速度の観点から、塩濃度が高いほど好ましい。吸水倍率の観点から、全体の塩濃度は40〜99%であることが好ましく、50〜90%であることがより好ましく、60〜80%であることが更に好ましい。全体の塩濃度を特定の範囲にし、表面塩濃度を高めるためには、表面に塩をコーティングすることが考えられる。なお、表面近傍とは、表面から深さ方向に約1μm厚みの外層部のことである。表面塩濃度の調整は、樹脂の状態で行ってもよいし、複合体にしてから行っても良い。
粒子内に塩濃度の傾斜があると、浸透圧差による吸引力が働くため吸収速度の観点から好ましいといえる。すなわち、表面部分のみは高塩濃度であり、その内側は低塩濃度、一番内部は高塩濃度という傾斜構造である。このような構造は、アンモニウム塩で中和された樹脂を、加熱処理によって外側の塩濃度を低くした後に、更に塩でコーティングすることで得られる。この時のコーティングは、アンモニウム塩とは異なるアルカリ金属等で行われることが好ましい。コーティングは、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水溶液を樹脂に均等に噴霧することで可能である。
吸収性樹脂は、通常カルボキシル基やスルホン酸基などの酸基とその中和塩、アミノ基などの塩基性基とその中和塩などからなっており、吸収性樹脂粒子の表面塩濃度とは、吸収性樹脂粒子の表面部分の中和された基の割合を表す。本発明において、樹脂粒子の表面近傍の塩濃度は、赤外吸光分析法の一つである顕微ATR法によって測定することにより求める。このATR法では、通常、表層の深さ1μmの構造情報が得られるので、樹脂粒子表面の中和率の測定は顕微ATR法にて直接表面を測定できる。内部部分については、ウルトラミクロトーム(Reichert製 ULTRACUT N)を用いることにより樹脂を割断して中心部を露出させてから顕微ATR法にて測定する。測定装置は、Bio−Rad社製FTS−575を用いる。
以下、ポリアクリル酸系吸収性樹脂を例に挙げて説明する。カルボン酸およびカルボキシレートの組成比を規定する指標として、1695cm-1(カルボン酸νC=0 ベースライン1774〜1616cm-1)および1558cm-1(カルボキシレートνCOO- ベースライン1616〜1500cm-1)のピーク面積比(1695/1558cm-1)を計算し、別途、10mol%,30mol%,50mol%,70mol%,90mol%,100mol%アンモニア中和の部分架橋ポリアクリル酸を標準サンプルとして測定、作成した検量線より組成比を求める。
(表面強度)
次に、基材上へ接着する前の吸収性樹脂粒子は、表面強度が0.1〜5.5Nであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5N、さらに好ましくは0.2〜4N、最も好ましくは0.2〜3Nである。表面強度とは、粒子表面の変形しやすさを表すパラメータである。特定倍率に吸収して膨潤した吸収性樹脂粒子を容器に入れて荷重をかけていくと、容器内で隙間をあけて充填されていた吸収性樹脂粒子の隙間を埋めるようにゲルが移動、変形していく。表面強度は、吸収した吸収性樹脂粒子が実体積になった時の弾性率であるので、ゲル粒子間の相互作用の大きさや表面の変形しやすさを意味する。表面強度が大きいということは、吸収性樹脂粒子が変形しにくいことを表す。変形しにくいということは、吸収性樹脂粒子が吸収して膨潤するのに対し負の力が強いということになり、ひいては吸収容量を下げてしまうことになる。また、表面が変形しにくいと、樹脂と基材との接着面が小さくなり複合体からの粒子の脱離が起こりやすく好ましくない。本発明の吸収性樹脂粒子の表面強度は、以下のように求める。
装置:島津オートグラフAG−1
試料:吸収性樹脂粒子0.10gを精秤し、底面に75μmの孔径のナイロンシートを貼り付けた内径20.5mm、高さ50mmの円筒容器の底に均一に入れた。50φのシャーレを用意し、0.90gの生理食塩水をいれ、吸収性樹脂粒子の入った円筒容器を静置し、1時間吸収膨潤させた。
測定:1kNのロードセルを使用し、直径19.7mmの円柱軸をとりつけた。測定レンジは0.2kNと設定し、ロードセルに荷重がかからない高さにあわせ、そこから降下速度0.6mm/分という一定の速度で下がるように設定する。ロードセルに加わる圧力を経時的に記録した。ここで、表面強度とは実体積になった時点における荷重(N)を表す。吸収性樹脂粒子の実体積は、生理食塩水の比重1.010g/cm3と吸収性樹脂粒子の比重を利用して計算した。
(吸水性樹脂の評価)
次に、吸水性樹脂性能の評価について説明する。
吸水性樹脂1gが1秒間で60g以上の生理食塩水を捕獲する性能を発揮すると、非常に薄く漏れる事がない「薄型・軽量吸収体」として使用することが可能となる。しかし、現状のボルテックス法は、所定速度で撹拌される50g生理食塩水中に2gの吸水性樹脂を投入し、投入直後から液表面が平らになるまでの時間(ボルテックスが消える時間)を測定する方法であり、この方法では吸水性樹脂が生理食塩水中に均一に拡散されるだけで3〜4秒を有す。これは計算上の最高速でも8.3g/sec・g−吸水性樹脂となり、実質的に10g/sec・g−吸水性樹脂以上の速度を有する吸水性樹脂の吸収速度を測定する事はできない。そこで、新たな吸収速度の測定方法として次の方法にて60g/sec・g−吸水性樹脂以上の速度を有する吸水性樹脂の吸収速度を測定する事が可能となった。
新たな測定方法しては、まず、所定サイズの布間に所定量の樹脂を挟み込み、その布の中央部へ生理食塩水を一定時間で投下する。その際に、生理食塩水投下開始から布の端より生理食塩水が漏れ出すまでの時間を測定する。この測定方法により該樹脂の吸水速度を測定した結果、本発明の樹脂は、60g/sec・g−吸水性樹脂以上の性能が出ることが確認された。
(シート間挟み込み法の吸収速度の測定法)
25g/m目付のレーヨンスパンレース(国光製紙製)を縦15cm、横10cmの長方形に切り取る。切り取られたレーヨンスパンレース2枚の間に、吸水性樹脂0.75gを出来るだけ均質にばら撒いて配置し、吸収体を作成する。吸収体の短手方向へ生理食塩水が漏れ出さないように吸収体の長手方向に堰を設け、短手方向に漏れ出す生理食塩水を長手方向へ走らせるようにしておく。(図1参照)この吸収体の中央部に、25℃に調温された0.9%生理食塩水を1.5cmの高さから5g/secの速度で投下する。吸収体の長手方向のエッジから外側に液体が漏れでた時点で生理食塩水の投下を終了する。最終的に投下された生理食塩水量(g)を測り取る。投下時間(秒)は、投下された生理食塩水量を5g/secで割った値とする。(式1)に従って、シート挟み込み法の吸収速度を算出する。
(式1)
シート挟み込み法の吸収速度(g/sec・g−吸水性樹脂)=5(g/sec)/{0.75g×1(sec)/投下時間(sec)}
また、T−バッグ法の吸水倍率測定試験(測定法の詳細は下記。)においては、35g/g以上の性能が発現する吸水性樹脂となる。通常、吸水速度60g/sec・g−吸水性樹脂以上、保水力25g/g以上、吸収倍率35g/g以上という吸水性樹脂は確認できていない。本発明は、当該樹脂層の厚みを30μm以下とし、樹脂の液体接触時の呼応速度を上げることで体液の超高速吸収を可能にした。また、当該樹脂は樹脂部以外にも樹脂内部に中空状の空間を有することで空間保水するため高保水化が可能となった。
(T−バッグ法の吸収倍率測定試験)
本発明の吸水性樹脂の吸収倍率とは0.9%の生理食塩水を、吸水性樹脂に荷重がかからない状態において、自由に膨潤吸収できる量のことである。吸水性樹脂の吸収倍率は以下のような方法で測定する。
吸水性樹脂0.5gを不織布製のティーバッグ式袋(60×40mm)に均一に入れ、23℃の0.9%生理食塩水中に浸漬する。60分後にバッグを取り出し、ティーバッグの角を固定し斜めの状態で10分間吊るして水切り後、重量を測定する。吸水性樹脂を用いずに同様の操作を行い、重量を測定しブランクとする。(式2)に従って吸収倍率を算出する。測定は3回行い、平均値を吸収倍率とする。
(式2)
吸水性樹脂の吸収倍率(g/g)={(吸水後のティーバッグの重量)−(吸水後のブランクのティーバッグ重量)−(吸水性樹脂の重量)}/(吸水性樹脂の重量)
(保水力の測定試験)
前記T−バッグ法の吸収倍率測定試験実施直後の含水樹脂を包含したT−バッグを遠心分離機に入れ、250Gで3分間脱水し、重量を測定する。吸水性樹脂を用いずに同様の操作を行い、重量を測定しブランクとする。(式3)に従って保水力を算出する。測定は3回行い、平均値を保水力とする。
(式3)
吸水性樹脂の保水力(g/g)={(吸水後遠心分離機で脱水後のティーバッグの重量)−(吸水後のブランクのティーバッグ重量)−(吸水性樹脂の重量)}/(吸水性樹脂の重量)
(ボルテックス法による吸収速度の測定法)
100ccのガラス製ビーカーに25℃に調整した0.9%の生理食塩水を50g測り取る。ここに30*8mmの回転子を入れ、回転計のついたマグネチックスターラーの上にのせ、600rpmで回転させる。非接触式回転計にて、回転数を確認する。吸水性樹脂を2.00g測り取り、ビーカーに投入する。吸水性樹脂投入後から、液表面が平らになるまでの時間を吸収時間とする。(式4)に従って吸収速度を算出する。
(式4)
吸水性樹脂のボルテックス法による吸収速度(g/sec・g−吸水性樹脂)=50g/(2g×吸収時間(秒))
本発明の吸水性樹脂は、吸収倍率、保水力、吸水速度のバランスが非常に優れた樹脂であり、当該樹脂を単独使用しても構わないが、上記性能の異なる樹脂と併用して使用することも好ましい方法である。
(嵩比重測定法)
乾燥状態の吸水性樹脂を室温下にて2cc台付メスフラスコ(許容誤差+−0.015cc)中へ細密状態となるように2cc分充填する。この間隙を含んだ細密状態の樹脂重量を計測し体積2ccで割った値を嵩比重とする。
5.複合体中の吸水性樹脂の粒子径について
本発明に使用する吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径は好ましくは10〜500μmであり、より好ましくは30〜400μm、さらに好ましくは50〜300μm、最も好ましくは70〜200μmである。平均粒子径が小さすぎると、吸水性能の点で好ましくない。また、大きすぎると、吸収速度が劣るし、粒子の感触が目立ってしまうため好ましくない。
本発明において、吸水性樹脂粒子の粒子径は、目の開きが32μm、38μm、45μm、53μm、63μm、75μm、90μm、106μm、125μm、150μm、180μm、212μm、250μm、300μm、355μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、1700μm、2500μmの篩を使用して篩い分けすることによって求める。本発明においては、通過することのできた篩の目の開きと通過することのできない篩の目の開きの中間の値を粒子径とする。なお、32μmの篩を通過したものについては、16μmとし、2500μmの篩の上に残ったものについては、2700μmとする。この操作により、16μm、35μm、41.5μm、49μm、58μm、69μm、82.5μm、98μm、115.5μm、137.5μm、165μm、196μm、231μm、275μm、327.5μm、390μm、462.5μm、550μm、655μm、780μm、925μm、1090μm、1290μm、1550μm、1850μm、2100μm、2700μmの粒径へと分類される。
また、本発明の複合体中の吸水性樹脂粒子は、目の開きが500μmの篩を通過できない粒子は50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下であり、更に好ましくは10%以下である。目の開きが300μmの篩を通過できない粒子は70%以下であることが好ましく、より好ましくは50%以下である。目の開きが106μmの篩を通過するような粒子は50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。63μmの篩を通過するような粒子は30%以下であることが好ましく、10%以下であることが好ましい。大きすぎる粒子が大量に存在すると、複合体中で粒子の触感が目立ってしまうため好ましくない。小さすぎる粒子は、完全に接着していればそれほど問題にならないが、接着していない場合に飛散しやすいため好ましくない。
6.基材について
本発明において基材とは、シート形状を保てる素材のことをいう。
(素材)
本発明においては、基材はシート状のものをいう。どのような素材でも構わないが、親水性であることが好ましく、紙および/または布が好ましい。本発明において親水性の基材とは、後述する基材の吸収速度が0.2mg/秒以上である基材のことをいう。紙とは、JISP0001で定義される広義の意味での紙のことを指し、布とはJISL0206で定義されるシート状繊維製品の総称である。布はシートを形成する手段によって織物、編物、組み物、レース、網、不織布に分類されるが、本発明に使用する布は、織物、編物、不織布が好ましく、より好ましくは不織布である。紙および/または布は、形態安定性に優れているため好ましい。不織布とは、JIS L 0222により定義される。
基材の原料に限定はなく、複数の組み合わせの基材でもよい。基材繊維としては、天然繊維、合成繊維の双方があり、さらに複数の繊維の組み合わせでも構わない。繊維の長さは、短繊維でも長繊維でもかまわない。強化のためや親水性付与のために処理をほどこしていても構わない。長繊維の方が拡散性を求める場合は好ましい。捕獲力の観点からは短繊維が好ましい。特にパルプは捕獲力に優れるため、パルプを布状にした基材は好ましい。
親水性の基材のなかでも、特にセルロース系の基材が好ましい。本発明におけるセルロース系基材とは、セルロースを主原料とした布および/または紙のことを表し、この中でもセルロース系繊維からなる布および/または紙、特に、セルロース不織布が好ましい。セルロースは、例えばエステル化やエーテル化などの処理により誘導体化されたものを使用しても構わない。また、他の繊維と混ぜたものでもよい。セルロースとしては、綿、麻などの天然繊維、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、キュプラなどの再生繊維などがある。繊維としては再生繊維の方が好ましく、一年草である綿実を再生繊維化した繊維がさらに好ましい。
(形状)
基材の形状は特に限定されず、1枚あたりの厚さは好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.01mm以上であり、さらに好ましくは0.05mm以上であり、最も好ましくは0.1mm以上である。基材の1枚あたりの坪量は28〜100g/mであることが好ましく、35〜80g/mであることがより好ましく、40〜60g/mであることが更に好ましい。薄すぎるものは強度の点から好ましくない。厚みがあるほど、樹脂を保持する空間が大きく、樹脂同士の接触が起こりにくく、樹脂と繊維との接点が大きくなるため、吸収速度の点から好ましい。また、基材の表面は平滑であるよりも、凹凸が多いほど樹脂と基材繊維との接点が多くなるため好ましい。軽すぎるものについては、吸水性樹脂に対して通水路となる繊維量が不足するため好ましくない。重すぎるものについては、樹脂に対して繊維の割合が高くなりすぎるため、繊維中の液体を樹脂が吸収しきれないと逆戻りの原因になる場合があり好ましくない。
基材を複数枚使用する場合においては、少なくとも1枚が前述の坪量を満たしていることが好ましい。樹脂層が複数ある場合には、それぞれの樹脂層に対して、少なくとも1枚の基材が前述の坪量を満たすことが好ましい。
基材、樹脂層は何層あってもよいが、吸水性樹脂の合計重量と基材の合計重量との比率が一定の範囲であると、吸収速度と逆戻り性のバランスが特に良好になる。基材に対する吸水性樹脂の比率は、35〜300%であることが好ましく、42〜250%であることがより好ましく、50〜200%であることが更に好ましく、60〜140%であることが最も好ましい。
(引張破断強度)
本発明においては、生理食塩水後の引張破断強度が、好ましくは0.6N/20mm以上であり、より好ましくは0.6〜5000N/20mmであり、さらに好ましくは0.7〜500N/20mmであり、0.85〜100N/20mmであることがさらに好ましく、1〜100N/20mmであることが最も好ましい。
本発明においては、強度が最大である方向を縦方向、それに対して垂直の方向を横方向とするが、横方向において(すなわち、縦方向と横方向いずれにおいても)上記の範囲にあることが好ましい。
本発明において、基材の生理食塩水吸収後の引張破断強度は、基材に生理食塩水を吸収させた後の引張破断強度のことを表す。衛生材料においては、液吸収後もすぐに交換されずにそのまま使用されることもある。また、液吸収後、複数回にわたっての液吸収を求められることもある。一度吸収した後に使用を続けると、吸収体に水分がある状態で荷重がかかることとなる。荷重によって基材が破断してしまうと、通液性や液拡散性が低下することになり吸収体の性能を劣化させることとなる。生理食塩水吸収後も、高強度を保つ基材ほど吸収体の耐久性の点において好ましいといえる。また、製造時に基材が含水するようなプロセスの場合は、含水時の強度が低いと問題になることがあり、基材の強度が高いほど好ましいといえる。しかし、強度が高すぎても、実質的に性能の差はみられない。
生理食塩水吸収後の引張破断強度は以下のように求める。
試料:15cm×2cmの長方形型基材(方向を変えて何種類か用意する)
装置:引張試験機(島津のオートグラフ)
方法:1Lビーカーに0.9%生理食塩水を700g取り、基材を10分間浸漬させる。基材を引き上げ、キムタオル上に1分間放置し、間隔が10cmとなるように両端から2.5cmの部分をセットし、10mm/分のスピードで破断するまで引っ張り続ける。この時の力を記録し、最大値を強度N/20mmとする。方向があるものについては、方向を変えて何点か測定する。
(吸収倍率)
本発明において基材の吸収倍率とは、基材が0.9%生理食塩水を60分間で吸収して何倍の重量になるかを測定したものであり、具体的には以下のような方法で測定する。 基材を直径59.5mmの円形に切り取り、重量を記録した後、円周部分から1cmのところに針金を通す。1Lのビーカーに23℃の生理食塩水を500g以上用意しておき、基材を針金ごと生理食塩水に漬け込む。60分後、基材を針金ごと生理食塩水から取り出し、基材が他のものと触れないようにして10分間吊り下げる。10分後針金を抜いて含水基材と付着水の総重量を計測する。
基材の吸収倍率は、式(7)で示した。
(式7)
基材の吸収倍率(g/g)=吸収後の重量(g)/吸収前の重量(g)
本発明においては、基材の吸収倍率は6g/g以上200g/g以下であることが好ましく、より好ましくは8g/g以上100g/g以下、さらに好ましくは10g/g以上50g/g以下であり、最も好ましくは12g/g以上30g/gである。
吸収性複合体においては、吸水性樹脂粒子よりも繊維の方が吸収速度が速いため、吸収初期には基材が、後期には吸水性樹脂粒子が吸収することとなる。基材の吸収倍率が高いほど初期の液体吸収速度が速くなるため好ましい。通常、基材の吸収は毛細管現象によるもので、荷重がかかった時には液体が戻ってしまうこともあるし、使用中の蒸れの原因となる可能性もある。そこで、樹脂粒子が基材の繊維を取り込んだ形で接着させると、基材から吸水性樹脂が液体を奪い取る形で吸収する。このため、荷重によって液体が戻ったり、使用中に蒸れたりすることは少ない。
(吸収速度)
基材の親水性、通液性を表す指標として、吸収速度がある。 本発明において基材の吸収速度とは、幅2cmの基材が0.9%生理食塩水を垂直方向に吸収していく速度のことを表す。
基材の吸収速度は、0.2mg/秒以上100mg/秒以下であることが好ましく、より好ましくは0.3mg/秒以上50mg/秒以下、さらに好ましくは0.40mg/秒以上30mg/以下、最も好ましくは0.5mg/秒以上10mg/秒以下である。
基材の吸収速度は、具体的には下記のように測定する。
試料:10cm×2cmの長方形型基材
縦横方向があるものについては、方向を変えて2点以上用意する
装置:電子天秤、直径90mmのシャーレ
方法:電子天秤上にシャーレをおき、基材をシャーレの10cm上から垂直に吊り下げる。シャーレを電子天秤から取り、他の天秤で0.9%の生理食塩水60gを量り取る。基材の下部を手でもち、生理食塩水にふれないようにしてシャーレを電子天秤上に再度設置し、天秤の値を0点に設定する。基材を静かに生理食塩水に漬け込み、電子天秤の値を経時的に記録する。時間(秒)と電子天秤の値の絶対値(mg)をグラフにプロットし、120秒後から240秒後までの間の傾き(mg/秒)を吸収速度とする。基材で方向があるものについては、方向を変えて何点か測定を行い、一番早い値を吸収速度とする。
基材中に、吸収速度の違う方向がある方が好ましいといえる。基材に方向が存在すると、特定の方向への通液性に優れ、特定方向に液体を拡散させやすいため、吸収体中において吸収のバランスをコントロールすることができる。
(縦方向と横方向の引張破断伸び、強度の比率)
基材に方向が存在すると、方向ごとに強度と伸びが変化する。前述のとおり、本発明においては、強度が最大である方向を縦方向とし、それに対して垂直の方向を横方向とする。 縦方向と横方向の引張破断強度の比は好ましくは1.2:1以上であり、より好ましくは1.5:1以上、さらに好ましくは2:1以上であり、10:1以下である。
縦方向と横方向の引張破断伸びの比は好ましくは好ましくは1:1.2以上であり、より好ましくは1:1.5以上、さらに好ましくは1:2以上であり、1:10以下である。基材の伸びと強度は、生理食塩水吸収後の基材の強度と同様の方法で、生理食塩水に浸さず乾燥状態において引っ張り試験を行うことで求めることができる。基材が破断するまで引っ張りの試験を行い、最大の強度を示した時の力を基材の強度とし、その時に伸びた距離を伸びとする。
(接触角)
本発明における基材は、接触角が130度以下である不織布が好ましい。
本発明中における接触角とは室温で粘度74cpの44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液を基材へ接触させ、10秒後になす角として定義される。測定は、FACE(協和界面科学株式会社)製の接触角計(CA−X150型)を用いて測定する。液は和光純薬の44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(70〜110cp)を水で粘度調整して使用する。粘度は回転円盤粘度計を用いて測定する。
接触角は130度以下であることが好ましく、より好ましくは120度以下であり、さらに好ましくは110度以下であり、最も好ましくは100度以下である。接触角が小さいほど、基材と水、基材と吸水性樹脂の親和性が高くなり、吸収性や接着性の点で好ましい。
7.吸収性複合体の製造方法
本発明における吸収性複合体は、吸水性樹脂粒子と基材を原料とし、基材に吸水性樹脂粒子を接着させる工程を含む製法で製造されることが好ましい。
接着方法は特に限定されず、前述の条件を満たすような接着方法を行えばよい。接着方法としては、基材に吸水性樹脂をからませる方法や、接着剤を使用する方法などが挙げられるが、好ましい方法は、吸水性樹脂100重量部に対して10〜3000重量部の水を吸水性樹脂および/または基材に吸収させ、その後、吸水性樹脂と基材が接触した状態で、脱水する方法である。水の量は吸水性樹脂粒子100重量部に対して、20〜2000重量部であることが好ましく、50〜1000重量部であることがさらに好ましい。この方法で接着を行うと、不純物となる接着剤も使用する必要がないため好ましい。また、この方法で接着を行うと、吸水性樹脂中に繊維の一部が取り込まれるため、吸収速度や吸収倍率の点で好ましい。水の量が多いほど接着性が高くなり好ましいが、あまりにも多すぎると乾燥に時間がかかりすぎるため非効率的である。
水を吸収させるのは、基材でも吸水性樹脂でも両方でも構わないが、好ましいのは基材に吸収させることである。基材に含水させて、その後、吸水性樹脂粒子と接触させる場合の基材の含水率としては、50〜500重量%の範囲が好ましい。吸水性樹脂粒子と基材との接着性を上げるためには、含水率が高いことが好ましいが、高すぎると乾燥に時間がかかる。勿論、含水率が低すぎると基材と樹脂の接着性が低下する問題がある。したがって、好ましい含水率の範囲は、50〜200重量%、より好ましくは、80〜150重量%である。複数枚の基材を使用する場合には、全ての基材を含水させることが好ましい。
接着のための含水法としては、吸水性樹脂粒子中に接着用の水を含ませておく方法を採用しても構わないが、その場合吸水性樹脂が基材以外の部分にくっつきやすくなるため、接触させる前の吸水性樹脂粒子は他の物質への接着や粒子同士の接着がない程度に乾燥していることが好ましい。この場合の吸水性樹脂粒子の含水率としては、1〜50重量%としておくことが好ましい。より好ましくは、5〜30重量%である。
接触の方法の例とは、基材上に上部から吸水性樹脂粒子を散布する方法、吸水性樹脂を空気と一緒に吹き付ける方法などが挙げられる。吸水性樹脂粒子同士の重なりがより少なくなる様に配置できる方法が、接着性の観点から好ましい。更に基材繊維と樹脂との絡まりが多くなるような方法であると、吸収速度が向上するため好ましい。基材繊維と樹脂との絡まりを多くする方法としては、基材を起毛させておく方法や、接触後に基材と樹脂との密着性を高めるためにプレスをかける方法などがある。プレスをかける際に、プレス機器と樹脂が接触する部分に樹脂が付着することがあるため、接触する部分は樹脂が付着しにくい材料にしておくことが好ましい。付着しにくい材料とは、疎水性の材料であり、ポリオレフィン類やテフロン(登録商標)などがあげられ、特にテフロン(登録商標)が好ましい。テフロン(登録商標)のシートを捲きつけてもよいし、コーティングしたものでもよい。樹脂の付着を防止する最も好ましい方法としては、表面に樹脂を配置しないことである。すなわち樹脂層より1多い数の基材を使用し、基材間に樹脂を完全に挟み込むことである。
含水させる水に、不純物を含んでいても構わない。不純物としては、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、鉄イオンなどの陽イオン、塩素イオンなどの陰イオン、アセトン、アルコール類、エーテル類、アミン類などの水溶性有機化合物などが挙げられる。吸水性樹脂および/または吸収性複合体のpH調整のために、酸性または塩基性のものを使用してもよい。吸水性樹脂と基材の接触性や吸収能力の点から考えると、これら不純物のない蒸留水またはイオン交換水を単独で用いることが好ましい。
また、この水中に消臭等の機能を有する物質を溶解および/または分散させて製造させる吸収性複合体に機能付与することは好ましい方法である。ここで使用可能な消臭剤の例としては、有機系、無機系の消臭剤が挙げられる。水に不溶な消臭剤を使用する場合は、必要に応じて分散剤や界面活性剤を使用することが好ましい。また、無機系消臭剤は、その粒子径をナノレベルまで小さくすることで、分散剤を使用しなくても水中に分散させることが可能となるので、微粒子の無機系消臭剤を分散剤なしで使用することは好ましい。
含水方法には特に制限はない。例えば、水浴につける方法、水を噴霧する方法、含水体と接触させる方法、加湿状態へ曝す方法等が挙げられる。これらのうち、工業的に最も簡便で、かつ、含水量の調整が容易に方法である水噴霧方式が好ましい方法である。水噴霧の方式としては、布等の基材の含水率が均質になるような方式を採用することが好ましい。基材の各場所における含水率にバラツキが大きい場合は、吸水性樹脂接触後、脱水乾燥の工程までの間に吸水性樹脂粒子が吸水する量が場所により異なってしまい、乾燥工程時の脱水に伴う発泡挙動が異なり、乾燥後の吸収性複合体中の樹脂粒径が不均質になってしまう。粒径が不均質な樹脂粒子が配置された吸収性複合体は、風合いを悪化させることがある。
吸水性樹脂が粒子の凝集体である場合には、脱水乾燥前に、凝集体の一部が壊れるような荷重を樹脂にかけることが好ましい。荷重は含水前でも構わないし、含水後でも構わないし、布との接触前でもよいし、接触後でもよい。破片の飛散を考えると含水後であることが好ましく、布との接触後が好ましい。荷重の方法はどのような方法でも構わない。樹脂に十分な速度を持たせるためには、樹脂の表面硬度を高くすることが考えられる。しかし、表面硬度の高い樹脂は、接着しにくいという欠点がある。凝集粒子であると、表面硬度を高くしても、内部に硬度の低い部分が存在しているため、荷重をかけて凝集体の一部を壊すことによって、硬度の低い部分を露出させ十分に接着させることができるようになる。
脱水の方法は、どのような方法を用いても構わない。方法としては、加熱による乾燥、乾燥空気や窒素などを吹きかける方法、真空乾燥、凍結乾燥、共沸脱水、流動乾燥、マイクロウェーブによるなどが挙げられるが、加熱による乾燥が好ましい。加熱の条件は、70〜350℃で1秒〜1000秒の条件で行うことが好ましく、より好ましくは100〜340℃で1秒〜1000秒、さらに好ましくは120〜330℃で1秒〜1000秒、最も好ましくは150℃〜300℃で1秒〜1000秒である。高温であるほど短時間で乾燥が可能であるが、高温で長時間加熱を行うと樹脂の種類によっては吸収性能が低下する場合もある。乾燥と同時に、表面架橋などの表面処理を行ってもよい。脱水は、最終製品になるまでの間であれば、いつ行われてもかまわないが、吸水性樹脂の劣化の点から、含水後に速やかに脱水を行うことが好ましい。
脱水後に吸収性複合体の剛軟性を軟らかくする工程が含まれることが好ましい。この工程により、風合いと吸収速度が向上する。方法は特に限定されないが、柔軟剤など基材を軟らかくする効果のある薬剤を散布したり、物理的に力をかけて軟らかくする方法などがある。物理的な力により軟らかくする方法が、簡便で好ましい方法といえる。複合体に力をかけるには、小さいロールを使用して布に急角度がつくように流したり、エンボスロールを通したりする方法などがある。縦方向、横方向ともにやわらかくなるよに力をかけることが好ましい。
吸収性複合体はシート状であり、基材もシート状であるため、ロールの基材を用い、ロール状の吸収性複合体を製造することが好ましい。すなわち、基材ロールから流れた基材を含水させ、乾燥した吸水性樹脂を配置し、乾燥させたのちに再びロールにまくことである。ロールにまいたときの滑り性を考慮すると、表面に樹脂が存在しないことが好ましい。すなわち、基材ロールを2つ用意し、1枚の基材に樹脂を配置した後に、もう1枚の基材を重ねて同時に乾燥する製造方法が好ましいといえる。この時、後から重ねる方の基材も含水させておくことが好ましい。また、重ねたのちにプレスをかけることも好ましい。基材ロールの数を増やし、樹脂を配置する装置を増やすことで、樹脂層及び基材枚数を増やすこともできるが、製品ロールの厚みと乾燥しやすさを考慮すると、樹脂層は2層までであることが好ましい。
8.吸収性複合体の性能
(吸収倍率)
本発明において、吸収性複合体の吸収倍率は、0.9%生理食塩水を自由吸収させた時、3時間後に吸収された量とする。具体的には、直径59.5mmの円状の吸収性複合吸収体を作製し、前述の基材の吸収倍率と同様の方法を用いて測定する。ただし、脱離がおきた場合においては、濾過を行って吸水性樹脂粒子を回収し、キムワイプ上で10秒以上静置して水切りを行い、その重量も加えて計算することにする。接着されていない吸水性樹脂粒子を含んでいる場合は、取り除いてから測定する。
吸収性複合体の吸収倍率は、好ましくは20g/g以上であり、より好ましくは30g/g以上、さらに好ましくは40g/g以上である。
(面積あたりの吸収量)
吸収性複合体の吸収性能の指標として、面積あたりの吸収量が重要となる。面積あたりの吸収量は、前述の測定結果から(式8)に従って計算することができる。
(式8)
面積あたりの吸収量(g/cm2)=((吸収後の全重量(g)−吸収性複合体の重量(g))/吸収性複合体の面積(cm2
面積あたりの吸収量は、多い方が好ましく、0.1g/cm2以上あることが好ましく、より好ましくは0.3g/cm2以上、さらに好ましくは0.6g/cm2以上である。
(1分後吸収倍率)
1分後吸収倍率は、初期の液体の吸収速度を表す。紙オムツなどの衛生材料用途においては、瞬時に体液を吸収することが求められるため、1分後吸収倍率が大きいほど好ましい。1分後吸収倍率は(式10)に従って求められる。具体的には以下の方法で測定する。 吸収性複合体を縦2cm、横7cmに切り取り、重量を測定する。1000ccのガラス製ビーカーに生理食塩水を700cc入れておく。まず、縦80cm、横70cmのT−Bagの重量を測定し、T−Bagのみの状態で1分間吸水させて遠心分離を行い、その後重量を測定する。この重量を、吸水前のT−Bagの重量で割ることにより、T−Bagの1分後吸収倍率を求める。同じ大きさのT−Bagの重量を測定し、T−Bagに吸収性複合体を入れる。T−Bagを液から素早く引き出すために、ひものついたクリップを用意し、T−Bagにとりつけ、布が折れたり絡んだりしないように丁寧に素早く液へ漬け込む。漬け込んでから1分経過後に、ひもをもって速やかに引き上げる。その後クリップをはずし、150Gで3分間遠心分離を行い、重量を測定する。総重量からT−Bagの吸水分を引き、吸水前の吸収性複合体重量で割ることにより1分後吸収倍率を求める。吸収性複合体の引き上げから遠心分離の開始までは15秒以内とする。
(式10)
1分後の吸収倍率(g−生食/g)=(遠心後の重量(g)−T−Bagの重量(g)*T−Bagの1分後の吸収倍率)/吸収性複合体の重量(g)
(吸収性複合体の評価)
(吸収性複合体の液捕獲性、戻り性の評価)
十分な広さのある木の板を水平な実験台の上に設置する。吸収性複合体の大きさを、長手方向は26cm、短手方向は8cmとする。ユニ・チャーム社製ライフリーさわやかパッド120cc用からトップシート部分を切り取り、吸収性複合体の上に配置する。図1のように吸収性複合体の長手方向に沿って堰をもうけ、短手方向に液が流れないようにする。37℃に暖めた生理食塩水を80g量り取り、10秒かけて吸収性複合体の中心部分に滴下する。表面に力がかからないように軽く触ったときに、全体が乾いたと感じられる時間を吸収時間とする。そのときに液が広がっている長さを拡散長とする。拡散長が短いほど液の捕獲能力が高く、漏れにくいといえる。吸収時間が早いほど、吸収速度が速いといえる。液滴下開始から10分後に、アドバンテック製No2、直径150mmの濾紙を1辺10cmの正方形に切り取った濾紙を約100gを液滴下部に静置する。その上に3.5kgの荷重をかける。荷重の設置から3分後に荷重をはずし、濾紙の重量を測定し、増加した重量を戻り量とする。戻り量が少ないほど、ドライ感がますので好ましい。
9.吸収性複合体の使用法について
本発明の吸収性複合体の好ましい使用法として、体液吸収物品の構成要素としての使用が挙げられる。以下に体液吸収物品の構成要素として使用される場合について説明する。
(体液吸収物品)
本発明の体液吸収物品とは、透液性シート、不透液性シートとその間に介在する吸収性複合体から構成される体液吸収物品であり、体液を吸収する能力をもつ物品全てを指す。本発明において吸収する体液は特に限定されず、例としては尿、経血、母乳、軟便等が挙げられる。物品の形状も特に限定されないが、パッド状やテープタイプ、パンツ型などが好ましく使用される。具体的な例の一つとしては、おむつや生理用ナプキン、尿取りパッド、母乳パッド等が挙げられる。
本発明の吸収性複合体を、透液性シート、不透液性シートと組み合わせると、薄型・軽量で高い吸収速度をもった体液吸収物品を構成することができる。また、使用中に体液吸収物品中における吸収体のずれや移動がおきにくいため、安定的に体液を吸収させることができる。
本発明において透液性シートとは、シート形状であり、シートに水をかけたときに水が透過するようなものであればどのようなものでも構わないが、JISL0206で定義されるような布であることが好ましい。布はシートを形成する手段によって織物、編物、組み物、レース、網、不織布に分類されるが、本発明の透液性シートに使用する布は、織物、編物、不織布が好ましく、不織布が最も好ましい。肌と接触した部分の湿潤感をなくし、肌触りを快適にするためには、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系からなる吸水能力の低いシートが好ましく、短時間で液体を透過させる観点からすると、透水処理や親水化処理を施したポリオレフィン系であることが好ましい。
本発明において不透液性シートとは、シート形状であり、水を透過しないシートであればどのようなものでも構わない。蒸れを防止する観点から通気性のよい素材であることが好ましい。
本発明の体液吸収物品においては、少なくとも透液性シート、不透液性シートと間に介在する吸収性複合体があれば問題ないが、透液性シートと吸収性複合体の間、および/または不透液性シートと吸収性複合体の間にその他の部材が存在していても構わない。また、透液性シート、不透液性シートの外側にその他の部材が存在していても構わない。
ここで使用される部材には、例えばパルプなど繊維状のものや、吸水性樹脂など粒子状のものや、ティッシュ、布、紙などシート状のものなどが挙げられる。これらの部材が本発明の吸収性複合体と接着されていても構わない。接着法としては、接着剤を使用して接着されていても構わないし、本発明の吸収性複合体中の吸水性樹脂粒子と直接接着していても構わない。体液吸収性物品においては、透液性シート、不透液性シート、吸収性複合体の他に、例えば、体に固定するためのテープやゴム、横からの漏れを防止するためのギャザーなどがあることは好ましい。
本発明の体液吸収物品の形状としては、正方形や真円、長方形や楕円、台形を組み合わせたような形状でもよいし、不定形でも構わない。長方形や楕円形、またはそれに準ずるような長手方向と短手方向(長手方向に対して垂直な方向)を持つ形状であると、おむつや生理用品、尿取りパッド等の場合は、股の形状に合わせて装着できるため好ましい。吸収性複合体をその他の部材と接着するための、のりしろとなる部分があっても構わない。
なお、吸収性複合体中に吸水性樹脂の存在しないのりしろの部分があってもかまわないが、その場合、吸収性複合体の吸水性樹脂の坪量などは、その部分を省いた状態で、吸収性複合体として好ましい条件範囲を満たしていることが好ましい。
吸収性複合体の使用枚数は1枚でもよいし、複数枚を使用してもよい。薄型化の物品を構成するためには1枚のみを使用したほうが好ましい。より高い吸収力をもった物品を構成するためには複数枚使用することが好ましい。複数枚を使用する時は、それぞれを重ねて使用してもよいし、並べて使用してもよい。また、全く同じ形状のものを使用してもよいし、異なった形状のものを使用してもよい。無駄なく吸収力を向上させるためには、体液の分泌される部分のみ重ねて使用することが好ましく、漏れを防止したい時には、漏れ易い部分を重ねて使用することが好ましい。
体液吸収物品中における吸収性複合体の状態は特に限定されず、吸収性複合体シートが完全に伸ばされた状態でもよいし、しわがよった状態でもよいし、折り曲げられた状態でもよい。
以下に本発明の具体的な実施例および比較例を示すが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
製造例1
試薬アクリル酸(和光純薬製、試薬特級品)100gを200mlフラスコに量り取り、撹拌下、内温30℃以下に保つよう冷却しながら25重量%アンモニア水95.7gを滴下し、100モル%中和のアクリル酸アンモニウム水溶液195.7gを生成した。 重合装置としてあらかじめ系内を窒素置換した還流冷却管付きの2Lセパラブルフラスコに前述のアクリル酸アンモニウム水溶液、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.0173gを仕込み、十分に溶解させた後、エマルゲンLS−106(花王株式会社製、非イオン性界面活性剤)1.1gとシクロヘキサン22.15gを投入し、窒素フロー下にて撹拌を行い懸濁させて、水溶液中に油滴が安定に存在するエマルジョンを調製した。この時、重合装置内が65kPaとなるようコントロールし装置内の酸素を完全に脱気した。次に、500mlフラスコ中で界面活性剤ソルビタンモノステアレート4.44gをシクロヘキサン450g中へ溶解させ、窒素バブリングにより溶媒中の酸素脱気を十分に行った。その後、過硫酸アンモニウム0.0925gを蒸留水2gに溶解させ、重合装置内縣濁液中へ添加した。重合装置内を十分に攪拌しながら酸素脱気しておいたシクロヘキサン溶液を投入した。投入終了後60℃のオイルバスにより加温して重合を開始し、1時間重合した。その後重合装置内部圧力を窒素雰囲気下で常圧まで上昇させ、オイルバス温度を80℃まで上昇させ1時間重合し、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。次にエタノール20.0g、グリセリン1.15g、シクロヘキサン180gの混合溶液を80℃に保持したエマルジョン溶液中へゆっくり滴下し、粒子が適当な粒径となるように凝集させた。凝集粒子を取り出し、シクロヘキサンを用いて洗浄後、ろ過回収し100℃の真空乾燥を行った。この際粒子内部のシクロヘキサンが蒸発除去され、その結果中空状態となる。乾燥後の樹脂を粉砕・分級した。取り出した樹脂の電子顕微鏡写真を図2に示した。
製造例2
製造例1の樹脂をイナートオーブンを用いて窒素雰囲気下で150℃10分間の加熱を行った。
製造例3
水酸化ナトリウム0.482gを蒸留水2.4gに溶解させ、そこへエタノール30gを加えた。ここへ製造例2の樹脂10gを加えて5分間撹拌した後、ろ過を行った。エタノールを加えて洗浄を行い、真空乾燥機を用いて30℃で乾燥を行った。
製造例4
試薬アクリル酸100gに蒸留水10.14g添加後、活性炭(日本エンバイロケミカル株式会社製 白鷺WH2C)を7.25g添加して内温が30℃以下に保つように冷却をしながら1時間撹拌し重合禁止剤を活性炭にて吸着除去し、ろ過によりアクリル酸水溶液を回収する。このアクリル酸水溶液105.6gを200mlフラスコに量り取り、撹拌下、内温30℃以下に保つよう冷却しながら28重量%アンモニア水80.13gを滴下し、100モル%中和のアクリル酸アンモニウム水溶液185.7gを生成した。
重合装置としてあらかじめ系内を窒素置換した還流冷却管付きの2Lセパラブルフラスコにシクロヘキサン450gとソルビタンモノステアレート1.11gを添加し、完全に溶解させ油相を調合した後、重合装置内が65kPaとなるようコントロールし装置内の酸素を完全に脱気した。次に、前述アクリル酸アンモニウム水溶液にN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.0025gを添加し、十分に溶解させ窒素バブリングにより水溶液中の酸素脱気を十分に行った。
重合装置内シクロヘキサンを60℃に加温する。内温が設定温度まで到達したら、アクリル酸アンモニウム水溶液中に過硫酸アンモニウム0.0920gを蒸留水2gに溶解させた液を添加し均一になるよう撹拌する。その後、重合装置内へアクリル酸アンモニウム水溶液を投入し重合を開始し、そのまま2時間保持した。投入開始から2時間後、圧力を常圧まで解放し含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。次に、エタノール8.5g、グリセリン1.06g、シクロヘキサン90gの混合液を80℃に保持したエマルジョン溶液エマルジョン中へゆっくり滴下し、粒子が適当な粒径となるように凝集させた。生成した含水ゲルはシクロヘキサンを用いて洗浄後、ろ過回収し100℃の真空乾燥を行い回収した。乾燥後の樹脂を粉砕・分級した。
取り出した樹脂の電子顕微鏡写真を図3に示した。図3に示すように、この製造例4で得られた樹脂粒子は図2に示すものとは異なり中空状ではない。
製造例5
製造例4で得られた吸水性樹脂をイナートオーブンにて、窒素雰囲気下150℃で30分加熱処理する。次に水酸化ナトリウム0.16g、蒸留水0.98g、0.18gをエタノール6.63g中へ溶解しこの混合溶液を、加熱処理後の樹脂3.01gへ添加し均一に分散させた後、常温で真空乾燥を行った。
製造例6
300mlセパラブルフラスコに40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液(100%中和)を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0062g、シクロヘキサンを72.00g、花王株式会社製 非イオン性界面活性剤エマルゲンLS−110を1.1250g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴しながらマグネティックスターラーを用いて20分間、400rpmで攪拌する。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。次に42重量%グリセリン水溶液をシリンジにて0.86g添加、よく攪拌した後にそれぞれ1gの水に溶かした30重量%過酸化水素水溶液 0.0917gとロンガリット 0.0830gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始10分で80℃まで上昇する。その後、内部温度が70℃に保たれるように水浴にて1時間加熱する。その後、セパラフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にて窒素雰囲気のイナートオーブンを用いて乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けした。
イナートオーブンにて窒素雰囲気下で30分間、130℃で加熱した。
製造例7
300mlセパラブルフラスコに40重量%アクリル酸ナトリウム水溶液(75%中和)を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0062g、シクロヘキサンを72.00g、花王株式会社製 非イオン性界面活性剤エマルゲンLS−110を1.1250g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴しながらマグネティックスターラーを用いて20分間、400rpmで攪拌する。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。次にそれぞれ1gの水に溶かした30重量%過酸化水素水溶液 0.0917gとロンガリット 0.0830gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始10分で80℃まで上昇する。その後、内部温度が70℃に保たれるように水浴にて1時間加熱する。その後、セパラフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にて窒素雰囲気のイナートオーブンを用いて乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けした。
製造例8の樹脂5gに対して、グリセリン0.05g、水0.15g、イソプロピルアルコール1.5の溶液を均一に散布し、イナートオーブンを用いて窒素雰囲気下で130℃30分加熱した。
各製造例の樹脂のうち106〜300μmの樹脂を取り出し、測定を行った。

なお、製造例1〜3の樹脂粒子は中空状であり、製造例4〜7の樹脂粒子は中空状ではない。
実施例1
王子キノクロス社製の「王子キノクロスKS−40」登録商標を、30cm、20cmの長方形に切り取った。布に霧吹きで水を散布し、その上に製造例1の樹脂のうち106〜300μmに分級されたものを3.8g、300〜600μmに分級されたものを3.1g均一に散布した。同じ大きさに切り取った布をもう1枚用意し、霧吹きで水を散布し、先ほど散布されている樹脂面に重ねた。この上に再び水を散布し、その上に製造例1の樹脂のうち106〜300μmに分級されたものを3.8g、300〜600μmに分級されたものを3.1g均一に散布した。同じ大きさに切り取った布を更にもう一枚用意し、水を散布して、樹脂面に重ねた。これをプラスチック製の板の間に挟み込み、手で軽く荷重をかけたのちに取り出した。幅20cm、直径10cm、5kgの円筒を用意し、吸収体の上を2往復転がした。イナートオーブンを用いて窒素雰囲気下で150℃15分の乾燥を行った。取り出した吸収性複合体を、直径2cmの円柱に縦方向、横方向に2回ずつまきつけた。これを実施例1とする。
実施例2
製造例3の樹脂を使用し、乾燥条件を120℃20分とする以外は、実施例1と同様の方法で複合体を作製した。これを実施例2とする。
実施例3
製造例6のイナートオーブンによる加熱前の樹脂を使用し、乾燥条件を130℃40分(布上で樹脂の加熱を行った)とする以外は、実施例1と同様の方法で複合体を作製した。これを実施例3とする。
実施例4
製造例7の100℃乾燥、粉砕、分級後の樹脂のうち106〜300μmに分級されたものを7.6g、300〜600μmに分級されたものを6.2g秤量し混合した。ここへ、グリセリン0.138g、水0.414g、イソプロピルアルコール4.14gの溶液を均一に散布し、真空乾燥機を用いて80℃で乾燥させた。この樹脂を使用して実施例3と同様に複合体を作製した。これを実施例4とする。
実施例5
複合体作製時に5kgの円筒による荷重をかけない以外は実施例1と同様に複合体を作製した。
実施例6
基材を国光製紙株式会社製のレーヨンスパンレース(坪量45g/m)を使用する以外は、実施例1と同様に複合体を作製した。これを実施例6とする。
実施例7
エマルゲンLS−110(花王株式会社製、非イオン性界面活性剤)0.69g、エタノール40gの溶液に実施例2の複合体を漬け込んだ。窒素気流をあてながら風乾したのちに、真空乾燥機を用いて室温で乾燥させた。これを実施例7とする。
比較例1
製造例5の樹脂を用いる以外は、実施例2と同様に複合体を作製した。これを比較例1とする。
比較例2
王子キノクロス社製の「王子キノクロスKS−40」登録商標を用いて、各試験に使用する吸収体の大きさの袋を作製した。例えば拡散性の試験であれば、縦24cm、横8cmの大きさの布を2枚用意し、4辺を接着剤を用いて袋にする。ここに製造例3の樹脂のうち実施例1と同じ量になるように樹脂をいれることで吸収体を作製した。樹脂が偏りやすく安定しない。
比較例3
ポリプロピレン製の旭化成せんい社製「スパンボンドエルタス」(登録商標)、20g/mのものを縦30cm、横20cmに切ったものを6枚用意して重ねた。製造例6の樹脂のうち106〜300μmのものを7.6g、300〜600μmのものを6.2g混合した。これを2.76gずつ6枚の不織布の層間に均一に散布した。熱をかけて融着することにより、複合体を作製した。これを比較例3とする。
比較例4
国光製紙株式会社製のレーヨンスパンレース(坪量45g/m)を30cm、20cmの長方形に切り取った。その上にスプレー式のりを使用して、製造例7の樹脂のうち106〜300μmに分級されたものを3.8g、300〜600μmに分級されたものを3.1g均一に接着させた。その上にさらにスプレーをし、同じ大きさに切り取った布をもう1枚を接着させた。同様の操作を繰り返し、全ての樹脂が接着剤によって接着されている以外は、実施例6と同じ複合体を作製した。これを比較例4とする。
比較例5
乾燥後に巻きつけを行わない以外は実施例4と同様に複合体を作製した。これを比較例5とする。
比較例6
樹脂層1層あたりの樹脂量を、106〜300μmに分級されたものを1.7g、300〜600μmに分級されたものを1.7gとする以外は実施例1と同様に複合体を作製した。これを比較例6とする。

本発明を好ましい実施態様に関連して説明してきたが、当業者が容易に理解されるように本発明の原理及び範囲を逸脱することなく改変及び変更を実施し得ることを理解すべきである。従って、前記改変は本発明の範囲内で実施され得る。
本発明の吸収性複合体は、吸水速度が速く、高い保水力を有するため、軽量・薄型でかつ高い吸収能力を発揮する。そのため、パルプなどの嵩高い素材を多量に使用しなくとも大量の液体を一度に投入しても漏れることの無い吸収体が可能となる。
シート間挟み込み法の吸収速度の測定法の装置概要図 内部に空間を有している中空の吸水性樹脂の電子顕微鏡写真 球状粒子凝集体の吸水性樹脂の電子顕微鏡写真

Claims (9)

  1. 基材と粒子状の吸水性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを特徴とする吸収性複合体。
    (1)該樹脂の嵩比重が0.65以下である、
    (2)剛軟性変化率が60%以下である、
    (3)少なくとも1枚の基材は親水性繊維から構成されている、
    (4)50%以上の吸水性樹脂が基材と直接接着している、
    (5)該吸水性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
    (6)吸収性複合体の全重量に対する吸水性樹脂重量の割合が、50〜99%である。
  2. 該吸水性樹脂が内部に空間を有している中空の粒状吸水性樹脂であって、中空の粒状吸水性樹脂の皮膜の厚みが1〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載の吸収性複合体。
  3. 吸水性樹脂の平均粒径が、5〜1000μmであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の吸収性複合体。
  4. 中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基含有単位の含有率が50mol%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性複合体。
  5. 中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基含有単位の50%以上が中和塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性複合体。
  6. 中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基中和塩単位のうち10〜80mol%アンモニウム塩であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸収性複合体。
  7. 基材と粒子状の吸水性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを特徴とする吸収性複合体の製造方法であって、吸水性樹脂および/または基材を吸水させた後、基材と吸水性樹脂粒子とを接触させた状態で脱水乾燥する工程を含む吸収性複合体の製造方法。
    (1)該樹脂の嵩比重が0.65以下である、
    (2)剛軟性変化率が60%以下である、
    (3)少なくとも1枚の基材は親水性繊維から構成されている、
    (4)50%以上の吸水性樹脂が基材と直接接着している、
    (5)該吸水性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
    (6)吸収性複合体の全重量に対する吸水性樹脂重量の割合が、50〜99%である。
  8. 該樹脂が粒子の凝集体であり、脱水乾燥前に樹脂に荷重をかける工程を含むことを特徴とする請求項7記載の吸収性複合体の製造方法。
  9. 乾燥後に、吸収体の剛軟性を下げる工程を含むことを特徴とする、請求項7あるいは請求項8に記載の吸収性複合体の製造方法。
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