JP2008235076A - セラミックス構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 この製造方法においては、微粒子を分散させた微粒子分散液体SOL1と、多孔層22と緻密体21との積層体(充填前構造体)20Bと、を準備する。次に、充填前構造体を第1容器41内の所定の位置に配置し、充填前構造体の多孔層22の露呈面(上面)を微粒子分散液体SOL1内に露呈させるとともに、充填前構造体20Bの露呈面(多孔層23の下面)の少なくとも一部を貫通孔41bを介して空間に露呈させ、多孔層の上面側と充填前構造体の下面側との間に圧力差を生じさせる。微粒子分散液体は多孔層22の上面から多孔層23の下面まで通過し、微粒子が多孔層22に充填される。
【選択図】 図6
Description
(R1)活物質前駆体溶液を多孔層の表面に滴下した時点において、細孔内には空気が存在している。従って、活物質前駆体溶液が多孔層の深部まで到達できない。なお、多孔層の深部とは、多孔層と緻密体との界面近傍部である。
(R2)真空含浸中においては、前記細孔内の空気の影響を除去することができる。ところが、容器内の気圧を減圧している最中に、活物質前駆体溶液の一部が多孔層の上面近傍において乾燥・固化する。これにより、活物質前駆体溶液が多孔層の深部にまで到達できなくなる。
(R3)活物質前駆体溶液の前駆体の濃度は実質数%であり、その濃度を高くすることができない。従って、1回の充填工程において多孔層の全体に活物質前駆体溶液が充填されたとしても、真空含浸、乾燥及び熱処理後の活物質の体積は多孔層全体の細孔の体積の数%にしかならない。
(2)配置工程は、前記充填前構造体を所定位置に配置する工程である。
前記配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第1容器と同貫通孔を介して同第1容器と気密に接続された第2容器とを準備するとともに、前記多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記充填前構造体の露呈面が同貫通孔を覆うように同充填前構造体を同第1容器内に配置する工程であり、
前記充填実施工程は、前記第1容器内に前記微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第2容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第1容器内の同微粒子分散液体に同第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程である、
ことが好ましい。
前記緻密体及び前記多孔層を形成するセラミックスが固体電解質からなり、前記微粒子が電池の電極に用いる電極活物質であれば、前記セラミックス構造体を有する全固体型電池を容易に製造することができる。その結果、全固体型電池の製造コストを低下させることができる。
前記充填前構造体準備工程は、
特定の固体電解質を含有し且つ造孔剤を含有しない第1グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第2グリーンシートと、を準備し、同第1グリーンシートと同第2グリーンシートとを同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質からなる接着層を介して加圧接着し、同加圧接着された同第1グリーンシートと同第2グリーンシートとを一体焼成する工程を含む、
ことが好適である。
B.前記第1微粒子が前記第1多孔層を通過可能であって且つ前記緻密体を通過不能となるように同第1微粒子を分散させた液体である第1微粒子分散液体を準備する第1微粒子分散液体準備工程。
C.前記第2微粒子が前記第2多孔層を通過可能であって且つ前記緻密体を通過不能となるように同第2微粒子を分散させた液体である第2微粒子分散液体を準備する第2微粒子分散液体準備工程。
これらの準備工程の順序は問わない。
E.前記第1多孔層の表面であって前記緻密体と接していない表面である同第1多孔層の露呈面を第1微粒子分散液体内に露呈させるとともに、前記第2多孔層の表面であって前記緻密体と接していない表面である同第2多孔層の露呈面の少なくとも一部を空間に露呈させ、同第1多孔層の露呈面側と同第2多孔層の露呈面側との間に圧力差を生じさせることにより、同第1多孔層の露呈面から同第2多孔層の露呈面まで同第1多孔層、同緻密体及び同第2多孔層を経由するように同第1微粒子分散液体を通過させて前記第1微粒子を同第1多孔層内に充填する第1充填実施工程。
F.前記第1微粒子が前記第1多孔層に充填された充填前構造体を第2配置状態に配置する第2配置工程。
G.前記第2多孔層の露呈面を前記第2微粒子分散液体内に露呈させるとともに、前記第1多孔層の露呈面の少なくとも一部を空間に露呈させ、同第2多孔層の露呈面側と同第1多孔層の露呈面側との間に圧力差を生じさせることにより、同第2多孔層の露呈面から同第1多孔層の露呈面まで同第2多孔層、前記緻密体及び同第1多孔層を経由するように同第2微粒子分散液体を通過させて前記第2微粒子を同第2多孔層内に充填する第2充填実施工程。
前記第1配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第1容器と同貫通孔を介して同第1容器と気密に接続された第2容器とを準備するとともに、前記第1多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記第2多孔層の露呈面が同貫通孔を覆うように前記充填前構造体を同第1容器内に配置する工程であり、
前記第1充填実施工程は、前記第1容器内に前記第1微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第2容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第1容器内の同第1微粒子分散液体に同第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程であることが望ましい。
前記第2配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第3容器と同貫通孔を介して同第3容器と気密に接続された第4容器とを準備するとともに、前記第2多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記第1多孔層の露呈面が同貫通孔を覆うように前記充填前構造体を同第3容器内に配置する工程であり、
前記第2充填実施工程は、前記第3容器内に前記第2微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第4容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第3容器内の同第2微粒子分散液体に同第4容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程であることが望ましい。
前記緻密体、前記第1多孔層及び前記第2多孔層を形成するセラミックスが固体電解質からなり、
前記第1微粒子は電池の正極を形成するための正極活物質及び同電池の負極を形成するための負極活物質の何れか一方であり、
前記第2微粒子は前記正極活物質及び前記負極活物質の何れか他方である、
ことが好適である。
前記充填前構造体準備工程は、
特定の固体電解質を含有し且つ造孔剤を含有しない第1グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第2グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第3グリーンシートと、を準備し、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質からなる接着層を介して同第1グリーンシートの上面に同第2グリーンシートを加圧接着するとともに、同接着層を介して同第1グリーンシートの下面に同第3グリーンシートを加圧接着し、同加圧接着された同第1グリーンシート、同第2グリーンシート及び同第3グリーンシートを一体焼成する工程を含む、ことが好適である。
<第1実施形態>
先ず、本発明の第1実施形態に係るセラミックス構造体の製造方法と、その製造方法によって製造されるセラミックス構造体について説明する。このセラミックス構造体は、全固体型リチウム二次電池を構成する。しかしながら、本発明によるセラミックス構造体の製造方法は、全固体型リチウム二次電池以外の全固体型電池のみならず、同様のセラミックス構造体を使用する電池以外の装置を製造する場合にも当然適用することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセラミックス構造体の製造方法によって製造される全固体型リチウム二次電池10の断面図である。全固体型リチウム二次電池10は、固体電解質構造体(セラミックス構造体)20と、正極集電極31及び負極集電極32を備えている。
負極側多孔層23の下面(露呈面)には、図1に示したように、負極集電極32が形成されている。負極集電極32は金属膜である。
正極集電極31及び負極集電極32の材質及び製造方法等は後に詳述する。
この全固体型リチウム二次電池10は、正極集電極31と負極集電極32との間に図示しない電気負荷が接続されると、負極側多孔層23の第2活物質23bからリチウムイオンが脱離し、同時に電子が負極集電極32を介して電気負荷に供給される。放出されたリチウムイオンは、緻密体21内を移動し正極側多孔層22に到達する。このとき、電気負荷及び正極集電極31を介して供給される電子と緻密体21内を移動してきたリチウムイオンとが結合してリチウムとなり、正極側多孔層22の第1活物質22b内に挿入される。以上が、放電時における全固体型リチウム二次電池10の作用である。なお、充電時においては、上記各物質が上述の動きと逆の動きを行う。その結果、正極側多孔層22内のリチウムはリチウムイオンとなり、緻密体21を通して負極側多孔層23へと移動する。
次に、上記のように構成される固体電解質構造体(セラミックス構造体)20の製造方法について説明する。
<1.準備工程>
<1−1.活物質分散液体(微粒子分散液体)の準備工程>
<1−1−1.第1微粒子分散液体準備工程(第1活物質分散液体準備工程)>
先ず、正極側多孔層22(正極側多孔層22の細孔22a)に充填される第1活物質(第1微粒子)の溶液(第1活物質分散液体、第1微粒子分散液体)を作製する。具体的に述べると、固相合成法や液相合成法により作製した第1活物質を粉砕して微粉末を得て、その微粉末を有機系溶剤(例えば、アルコール)、水系溶剤及び純水等に混合することにより、第1活物質の微粒子を分散させた第1活物質分散液体を作製する。これに代え、ゾルゲル法において用いられる手法の一部を利用して第1活物質を合成し、緻密体21の細孔よりも大きい粒径まで成長させた後、その反応溶液をそのまま第1活物質分散液体として使用してもよい。なお、場合により、第1活物質の分散性を向上させるために、溶液のpHを調整したり、及び/又は、界面活性剤を第1活物質分散液体に混入させたりしてもよい。
更に、負極側多孔層23(負極側多孔層23の細孔23a)に充填される第2活物質(第2微粒子)の溶液(第2活物質分散液体、第2微粒子分散液体)を作製する。第2活物質分散液体の作製方法は第1活物質作製方法と同様である。
<1−2−1.グリーンシート作製工程>
次に、正極側多孔層22及び負極側多孔層23のそれぞれに第1活物質及び第2活物質が充填される前の固体電解質構造体(セラミックス構造体)を準備する。この状態の固体電解質構造体20は、本明細書において、単に「充填前構造体」とも称呼される。
次に、第1グリーンシート21Aの上面及び下面、第2グリーンシート22Aの下面、並びに、第3グリーンシート23Aの上面に、接着層(接着剤からなる層、接着ペースト)をスクリーン印刷により形成する。この接着層の主成分は、第1グリーンシート21Aに含有された(従って、第2グリーンシート22A及び第3グリーンシート23Aにも含有されている)特定の固体電解質の材料である。接着層は、この固体電解質の材料にバインダ及び溶剤を加えたものを混練することにより作製される。この接着層の上記スクリーン印刷には、スクリーン印刷用製版が使用される。スクリーン印刷された接着層は、各グリーンシートと共にオーブン内にて加熱され乾燥させられる。
次に、図3に示したように、第1グリーンシート21Aを第2グリーンシート22Aの下面と第3グリーンシート23Aの上面との間に挟むように積層(配置)する。即ち、第3グリーンシート23Aの上面と第1グリーンシート21Aの下面とが接合し、第1グリーンシート21Aの上面と第2グリーンシート22Aの下面とが接合するように、これらのグリーンシートを積層する。これにより、固体電解質構造体(充填前構造体)の前駆体が得られる。
このように積層された第1〜第3グリーンシート21A〜23A(固体電解質構造体(セラミックス構造体)の前駆体)を所定の焼成温度にて一体焼成する。焼成温度及び焼成時間は、第1〜第3グリーンシート21A〜23Aの焼結が十分に進行する温度(例えば、1090℃、2時間)に設定する。この結果、図4に示したように、第1グリーンシート21Aは緻密体21となる。また、この焼成過程において造孔剤が分解且つ消失する。その結果、第2グリーンシート22Aは細孔22aを有する正極側多孔層22(第1活物質充填前正極側多孔層22)となり、第3グリーンシート23Aは細孔23aを有する負極側多孔層23(第2活物質充填前負極側多孔層23)となる。以上により、図2に示した固体電解質構造体20と同形の充填前構造体20Bが作製・準備される。
次に、図5、図6の(A)及び図6の(B)に示した第1容器(第1治具)41及び第2容器(第2治具)42を準備する。
次に、図6の(A)に示したように、準備しておいた第1活物質分散液体(第1微粒子分散液体)SOL1を第1容器41に注ぐ。これにより、充填前構造体20Bの正極側多孔層22の露呈面である正極側多孔層22の上面が、第1活物質分散液体SOL1内に露呈される。このとき、充填前構造体20Bの正極側多孔層22と接していない表面である同充填前構造体20Bの露呈面(この場合、負極側多孔層23の下面である負極側多孔層23の露呈面)の一部が貫通孔41bを介して第2容器42内の空間に露呈される。なお、充填前構造体20Bの負極側多孔層23と円柱状凹部41aの側壁又は底面との間にOリング等のシール部材を介在させ、第1活物質分散液体SOL1が充填前構造体20Bの側面と円柱状凹部41aの側壁との間を通過して貫通孔41bへと流れないようにしておく。
次に、第1活物質が正極側多孔層22の細孔内に充填された充填前構造体20B(以下、「半充填構造体」とも称呼する。)を第1容器41から取り出し、その半充填構造体に熱を加える(加熱して昇温する)。これにより、正極側多孔層22(正極側多孔層22の細孔22a)、緻密体21及び負極側多孔層23に充填され且つ未乾燥状態にある前記第1活物質分散液体SOL1に含まれる第1活物質以外の不純物(例えば、溶媒等の有機物等)を除去する。
次に、別の第1容器41と、第2容器42と、を準備する。この場合の第1容器41は便宜上「第3容器」とも称呼され、第2容器42は便宜上「第4容器」とも称呼される。そして、第2配置工程においても、第1配置工程と同様、第1容器41と第2容器42とを貫通孔41bを介して連通し且つOリング又はゴム栓によって気密に接続する。
次に、準備しておいた第2活物質分散液体(第2微粒子分散液体)SOL2を第1容器41に注ぐ。これにより、半充填構造体の負極側多孔層23の露呈面(負極側多孔層23の上面)が、第2活物質分散液体SOL2内に露呈される。このとき、半充填構造体の負極側多孔層23と接していない表面である同半充填構造体の露呈面(この場合、正極側多孔層22の下面である正極側多孔層22の露呈面)の一部が貫通孔41bを介して第2容器42内の空間に露呈される。なお、半充填構造体の正極側多孔層22と円柱状凹部41aの側壁又は底面との間にOリング等のシール部材を介在させ、第2活物質分散液体SOL2が半充填構造体の側面と円柱状凹部41aの側壁との間を通過して貫通孔41bへと流れないようにしておく。
次に、第1活物質が正極側多孔層22の細孔22aに充填され、且つ、第2活物質が負極側多孔層23の細孔23aに充填された半充填構造体(以下、「全充填構造体」とも称呼する。)を第1容器41から取り出し、その全充填構造体に熱を加える(加熱して昇温する)。これにより、負極側多孔層23(負極側多孔層23の細孔23a)、緻密体21及び正極側多孔層22に充填され且つ未乾燥状態にある前記第2活物質分散液体SOL2に含まれる第2活物質以外の不純物(例えば、溶媒等の有機物等)を除去する。
最後に、正極集電極31及び負極集電極32を、スパッタリング法を用いて正極側多孔層22の露呈面上及び負極側多孔層23の露呈面上にそれぞれ作製する。なお、正極集電極31及び負極集電極32は、スパッタリング法に代え、例えば、抵抗により蒸着源を加熱して蒸着させる抵抗加熱蒸着法、イオンビームにより蒸着源を加熱して蒸着させるイオンビーム蒸着法、及び、電子ビームにより蒸着源を加熱して蒸着させる電子ビーム蒸着法等の方法によって形成することもできる。得られた全固体型電池をケース等に収納する際には、正極集電極31と負極集電極32の間の絶縁を適当な絶縁手法によって確保する。
次に、上記固体電解質構造体20の材質について述べる。ここでは、固体電解質構造体20は全固体型リチウム二次電池10を構成している。従って、全固体型リチウム二次電池10に適した以下に述べる材質が使用され得る。但し、以下に挙げる材料はあくまで例示であり、これらに限定されるものではない。
緻密体21を構成するセラミックスに含有される固体電解質としては、可動イオンとなるリチウムを含む次に挙げる材料を使用することができる。
(A1)Li3PO4、Li3PO4に窒素を混ぜたLiPON、Li2S−SiS2、Li2S−P2S5及びLi2S−B2S3等のリチウムイオン伝導性ガラス状固体電解質。
(A2)上記(A1)に挙げた材料にLiIなどのハロゲン化リチウムをドープしたリチウムイオン伝導性固体電解質、上記(A1)に挙げた材料にLi3PO4などのリチウム酸素酸塩をドープしたリチウムイオン伝導性固体電解質(例えば、Li2S−SiS2−Li3PO4)。
(A4)ナシコン(NASICON)型のリン酸化合物(例えば、Li1+xAlxTi2−x(PO4)3(但し、xは0<x<1)。
上記(A3)及び(A4)に示したチタン酸化物型の固体電解質及びナシコン型のリン酸化合物等は、酸素雰囲気下での焼成においても安定な性能を示すため緻密体21の材質としてより好ましい。
第1活物質として、次に挙げる材料を使用することができる。
(B1)二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LixMn2O4又はLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えば、LixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えば、LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えば、LiNi1−yCoyO2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えば、LiMnyCo1−yO2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えば、LixMn2−yNiyO4)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えば、LixFePO4、LixFe1−yMnyPO4、LixCoPO4)、ナシコン構造を有するリチウムリン酸化合物(例えば、LixV2(PO4)3)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えば、V2O5)。なお、これらの化学式中、x,yは0〜1の範囲であることが好ましい。
(B2)上記(B1)に列挙した材質のうちの2種以上を使用した材質。
第2活物質として、次に挙げる材料を使用することができる。
(C1)グラファイトカーボン、ハードカーボン及びソフトカーボン等のカーボン。
(C2)LiAl、LiZn、Li3Bi、Li3Cd、Li3Sd、Li4Si、Li4.4Pb、Li4.4Sn及びLi0.17C(LiC6)等の金属化合物。
(C3)SnO、SnO2、GeO、GeO2、In2O、In2O3、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Ag2O、AgO、Ag2O3、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、SiO、ZnO、CoO、NiO、TiO2及びFeO等の金属酸化物。
(C5)Li4Ti5O12で表されるリチウム−チタン複合酸化物等のLi金属酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物を含む。)。
(C5)ホウ素添加カーボン及びホウ素添加グラファイト等のホウ素添加炭素。
(C6)グラファイト。
(C7)リチウムリン酸化合物(例えば、LixV2(PO4)3)等のナシコン構造を有する化合物。
(C8)上記(C1)〜(C7)に挙げた材質のうちの2種以上を使用した材質。
更に、緻密体21に含まれる固体電解質、第1活物質及び第2活物質は、以下のような材質とすることができる。
MaN1 bX1 c …(1)
MdN2 eX2 f …(2)
MgN3 hX3 i …(3)
MはH、Li、Na、Mg、Al、K、又はCaであり、
X1、X2、及びX3はSiO4、PO4、SO4、MoO4、WO4、BO4及びBO3からなる群より選択される少なくとも一種のポリアニオンであり、
a、d及びgは0〜5の数であり、
b、e及びhは1〜2の数であり、
c、f及びiは1〜3の数である。
前記一般式(2)中、N2は、遷移金属、Al及びCuからなる群より選択される少なくとも一種である。
前記一般式(3)中、N3は、Ti、Ge、Hf、Zr、Al、Cr、Ga、Fe、Sc及びInからなる群より選択される少なくとも一種である。
正極集電極31及び負極集電極32の材料としては、例えば、白金(Pt)、白金(Pt)/パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及びITO(インジウム−錫酸化膜)等を挙げることができる。
次に、本発明の第2実施形態に係るセラミックス構造体(固体電解質構造体)の製造方法と、その製造方法によって製造される全固体型リチウム二次電池について説明する。
図7に示したように、この全固体型リチウム二次電池50は、第1実施形態に係る固体電解質構造体20の負極側多孔層23を多孔層ではない負極層23’に置換した点のみにおいて全固体型リチウム二次電池10と相違している。このように、緻密体21の一方の表面のみに多孔層(この場合、正極側多孔層22)が形成された固体電解質構造体20’を用いた場合であっても、接続界面における接続抵抗(インピーダンス)を低減させ、良好な充放電特性を実現することができる。なお、固体電解質構造体20の正極側多孔層22のみを多孔層ではない正極層に置換した場合も同様である。
<1.準備工程>
<1−1.第1微粒子分散液体準備工程(第1活物質分散液体準備工程)>
第1実施形態における第1微粒子分散液体準備工程と同様に第1活物質分散液体を作製する。なお、第1実施形態と同様、第1活物質分散溶液中の第1活物質を含む粒子の大きさが正極側多孔層22の細孔よりも小さく、緻密体21の細孔よりは大きくなるように第1活物質分散溶液が調整される。
<1−2−1.グリーンシート作製工程>
次に、第1活物質が充填される前の正極側多孔層22と緻密体21との積層体(焼成体)を形成する。より具体的に述べると、上記第1グリーンシート21Aを準備するとともに、造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた上記第2グリーンシート22Aを準備する。第1及び第2グリーンシート21A,22Aは、上述した周知の方法により作製される。
次に、第1グリーンシート21Aの上面、第2グリーンシート22Aの下面に上記接着層(接着剤からなる層、接着ペースト)をスクリーン印刷により形成する。スクリーン印刷された接着層は、各グリーンシートと共にオーブン内にて加熱され乾燥させられる。なお、接着層は、次の積層工程において接合面となる第1グリーンシート21Aの上面及び第2グリーンシート22Aの下面の何れか一方のみに形成されればよい。
次に、第1グリーンシート21Aの上面に第2グリーンシート22Aを積層(配置)する。その後、積層されたる第1グリーンシート21A及び第2グリーンシート22Aを加圧し、それらを互いに接着(加圧接着)させる。
このように積層された第1グリーンシート21A及び第2グリーンシート22Aを所定の焼成温度にて所定時間だけ一体焼成する。焼成温度及び焼成時間は、第1グリーンシート21A及び第2グリーンシート22Aの焼結が十分に進行する温度(例えば、1090℃、2時間)に設定する。この焼成過程において造孔剤が分解且つ消失する。その結果、第2グリーンシート22Aは細孔22aを有する正極側多孔層22となる。以下、この状態にある構造体を、便宜上「半構造体」と称呼する。半構造体も「充填前構造体」の一つである。
次に、上述した第1容器41及び第2容器42を準備する。但し、第2実施形態において、第1容器41の底部に形成されている円柱状凹部41aの高さは、半構造体の高さと同じである。次に、第1容器41と第2容器42とを貫通孔41bを介して連通し且つOリング41d又はゴム栓等によって気密に接続する。
次に、準備しておいた第1活物質分散液体(第1微粒子分散液体)SOL1を第1容器41に注ぐ。これにより、第1実施形態と同様に、正極側多孔層22の露呈面(正極側多孔層22の上面)が、第1活物質分散液体SOL1内に露呈される。このとき、半構造体の下面(この場合、緻密体21の露呈面)の一部が貫通孔41bを介して第2容器42内の空間に露呈される。
次に、第1活物質が正極側多孔層22の細孔内に充填された半構造体(以下、「半充填半構造体」とも称呼する。)を第1容器41から取り出し、その半充填半構造体に熱を加える(加熱して昇温する)。これにより、正極側多孔層22(正極側多孔層22の細孔22a)及び緻密体21に充填され且つ未乾燥状態にある前記第1活物質分散液体SOL1に含まれる第1活物質以外の不純物(例えば、溶媒等の有機物等)を除去する。
一方、負極層23’となる層を、負極側活物質(第2活物質)を含む電極材料を所定厚みの薄膜状又はシート状に成形することにより作製する。より具体的には、負極側活物質及び緻密体21に含まれる固体電解質と同じ固体電解質のみを含む原料、又は負極側活物質及び他の固体電解質を含む原料、からなる接着ペーストを作製し、その接着ペーストを緻密体21の露呈面(正極側多孔層22が形成されていない面)に塗布し、その後、全体を加熱焼成する。なお、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、イオンビーム蒸着法、電子ビーム蒸着法等の方法によって、緻密体21の下面に負極層23’を形成してもよい。
最後に、正極集電極31及び負極集電極32を、第1実施形態と同様にして作製する。以上が、本発明の第2実施形態に係る固体電解質構造体50の製造方法である。
Claims (11)
- セラミックスからなる板状の緻密体と同緻密体の少なくとも一方の表面に焼成一体化されたセラミックスからなる多孔層とを有し、前記多孔層内に微粒子を充填させたセラミックス構造体の製造方法であって、
前記微粒子を分散させた液体である微粒子分散液体を準備する微粒子分散液体準備工程と、前記微粒子が前記多孔層に充填される前の前記セラミックス構造体である充填前構造体を準備する充填前構造体準備工程と、を含む準備工程と、
前記充填前構造体を所定位置に配置する配置工程と、
前記充填前構造体の前記多孔層の表面であって前記緻密体と接していない表面である同多孔層の露呈面を前記微粒子分散液体内に露呈させるとともに、同充填前構造体の同多孔層の露呈面と反対側の表面である同充填前構造体の露呈面の少なくとも一部を空間に露呈させ、同多孔層の露呈面側と同充填前構造体の露呈面側との間に所定の圧力差を生じさせることにより同微粒子分散液体を同多孔層の露呈面から同充填前構造体の露呈面まで同多孔層及び同緻密体を経由して通過させ、同微粒子分散液体内の前記微粒子を同多孔層内に充填する充填実施工程と、
を含んでなるセラミックス構造体の製造方法。 - 請求項1に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
前記配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第1容器と同貫通孔を介して同第1容器と気密に接続された第2容器とを準備するとともに、前記多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記充填前構造体の露呈面が同貫通孔を覆うように同充填前構造体を同第1容器内に配置する工程であり、
前記充填実施工程は、前記第1容器内に前記微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第2容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第1容器内の同微粒子分散液体に同第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程である、
セラミックス構造体の製造方法。 - 請求項2に記載のセラミックス構造体の製造方法であって、更に、
前記充填実施工程が終了した後、前記セラミックス構造体を加熱することにより、前記多孔層内に充填され且つ未乾燥状態にある前記微粒子分散液体に含まれる前記微粒子以外の不純物を除去する不純物除去工程、
を含むセラミックス構造体の製造方法。 - 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
前記緻密体及び前記多孔層を形成するセラミックスが固体電解質からなり、
前記微粒子が電池の電極に用いる電極活物質であるセラミックス構造体の製造方法。 - 請求項4に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
前記充填前構造体準備工程は、
特定の固体電解質を含有し且つ造孔剤を含有しない第1グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第2グリーンシートと、を準備し、同第1グリーンシートと同第2グリーンシートとを同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質からなる接着層を介して加圧接着し、同加圧接着された同第1グリーンシートと同第2グリーンシートとを一体焼成する工程を含む、
セラミックス構造体の製造方法。 - セラミックスからなる板状の緻密体と同緻密体の上面及び下面に同緻密体とそれぞれ焼成一体化されたセラミックスからなる第1多孔層及びセラミックスからなる第2多孔層とを有し、前記第1多孔層内に第1微粒子を充填させ且つ前記第2多孔層に第2微粒子を充填させたセラミックス構造体の製造方法であって、
前記緻密体の上面及び下面に前記第1多孔層及び前記第2多孔層をそれぞれ焼成により形成することにより前記第1微粒子が前記第1多孔層に充填される前であり且つ前記第2微粒子が前記第2多孔層に充填される前の前記セラミックス構造体である充填前構造体を準備する充填前構造体準備工程と、
前記第1微粒子が前記第1多孔層を通過可能であって且つ前記緻密体を通過不能となるように同第1微粒子を分散させた液体である第1微粒子分散液体を準備する第1微粒子分散液体準備工程と、
前記第2微粒子が前記第2多孔層を通過可能であって且つ前記緻密体を通過不能となるように同第2微粒子を分散させた液体である第2微粒子分散液体を準備する第2微粒子分散液体準備工程と、
前記充填前構造体を第1配置状態に配置する第1配置工程と、
前記第1多孔層の表面であって前記緻密体と接していない表面である同第1多孔層の露呈面を第1微粒子分散液体内に露呈させるとともに、前記第2多孔層の表面であって前記緻密体と接していない表面である同第2多孔層の露呈面の少なくとも一部を空間に露呈させ、同第1多孔層の露呈面側と同第2多孔層の露呈面側との間に圧力差を生じさせることにより、同第1多孔層の露呈面から同第2多孔層の露呈面まで同第1多孔層、同緻密体及び同第2多孔層を経由するように同第1微粒子分散液体を通過させて前記第1微粒子を同第1多孔層内に充填する第1充填実施工程と、
前記第1微粒子が前記第1多孔層に充填された充填前構造体を第2配置状態に配置する第2配置工程と、
前記第2多孔層の露呈面を前記第2微粒子分散液体内に露呈させるとともに、前記第1多孔層の露呈面の少なくとも一部を空間に露呈させ、同第2多孔層の露呈面側と同第1多孔層の露呈面側との間に圧力差を生じさせることにより、同第2多孔層の露呈面から同第1多孔層の露呈面まで同第2多孔層、前記緻密体及び同第1多孔層を経由するように同第2微粒子分散液体を通過させて前記第2微粒子を同第2多孔層内に充填する第2充填実施工程と、
を含むセラミックス構造体の製造方法。 - 請求項6に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
前記第1配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第1容器と同貫通孔を介して同第1容器と気密に接続された第2容器とを準備するとともに、前記第1多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記第2多孔層の露呈面が同貫通孔を覆うように前記充填前構造体を同第1容器内に配置する工程であり、
前記第1充填実施工程は、前記第1容器内に前記第1微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第2容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第1容器内の同第1微粒子分散液体に同第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程であり、
前記第2配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第3容器と同貫通孔を介して同第3容器と気密に接続された第4容器とを準備するとともに、前記第2多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記第1多孔層の露呈面が同貫通孔を覆うように前記充填前構造体を同第3容器内に配置する工程であり、
前記第2充填実施工程は、前記第3容器内に前記第2微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第4容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第3容器内の同第2微粒子分散液体に同第4容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程である、
セラミックス構造体の製造方法。 - 請求項6又は請求項7に記載のセラミックス構造体の製造方法であって、更に、
前記第1充填実施工程後であって前記第2配置工程前に、前記第1微粒子が前記第1多孔層に充填された充填前構造体を加熱することにより、前記第1多孔層内に充填され且つ未乾燥状態にある前記第1微粒子分散液体に含まれる前記第1微粒子以外の不純物を除去する第1不純物除去工程、
を含むセラミックス構造体の製造方法。 - 請求項6乃至請求項8の何れか一項に記載のセラミックス構造体の製造方法であって、更に、
前記第2充填実施工程後に、前記第1微粒子及び前記第2微粒子が前記第1多孔層及び前記第2多孔層にそれぞれ充填されたセラミックス構造体を加熱することにより、前記第2多孔層内に充填され且つ未乾燥状態にある前記第2微粒子分散液体に含まれる前記第2微粒子以外の不純物を除去する第2不純物除去工程、
を含むセラミックス構造体の製造方法。 - 請求項6乃至請求項9の何れか一項に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
前記緻密体、前記第1多孔層及び前記第2多孔層を形成するセラミックスが固体電解質からなり、
前記第1微粒子は電池の正極を形成するための正極活物質及び同電池の負極を形成するための負極活物質の何れか一方であり、
前記第2微粒子は前記正極活物質及び前記負極活物質の何れか他方である、
セラミックス構造体の製造方法。 - 請求項10に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
前記充填前構造体準備工程は、
特定の固体電解質を含有し且つ造孔剤を含有しない第1グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第2グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第3グリーンシートと、を準備し、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質からなる接着層を介して同第1グリーンシートの上面に同第2グリーンシートを加圧接着するとともに、同接着層を介して同第1グリーンシートの下面に同第3グリーンシートを加圧接着し、同加圧接着された同第1グリーンシート、同第2グリーンシート及び同第3グリーンシートを一体焼成する工程を含む、
セラミックス構造体の製造方法。
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