JP2008235076A - セラミックス構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 板状のセラミックスの緻密体と同緻密体の表面に焼成一体化されたセラミックスからなる多孔層とを有し、多孔層内に微粒子を充填させたセラミックス構造体を、容易に製造することができる製造方法を提供すること。
【解決手段】 この製造方法においては、微粒子を分散させた微粒子分散液体SOL1と、多孔層22と緻密体21との積層体(充填前構造体)20Bと、を準備する。次に、充填前構造体を第1容器41内の所定の位置に配置し、充填前構造体の多孔層22の露呈面(上面)を微粒子分散液体SOL1内に露呈させるとともに、充填前構造体20Bの露呈面(多孔層23の下面)の少なくとも一部を貫通孔41bを介して空間に露呈させ、多孔層の上面側と充填前構造体の下面側との間に圧力差を生じさせる。微粒子分散液体は多孔層22の上面から多孔層23の下面まで通過し、微粒子が多孔層22に充填される。
【選択図】 図6

Description

本発明は、セラミックスからなる板状の緻密体と前記緻密体の少なくとも一方の表面に焼成一体化して形成されたセラミックスからなる多孔層とを有し、前記多孔層内に微粒子を充填させたセラミックス構造体の製造方法に関する。
近年、パーソナルコンピュータ及び携帯電話等のモバイル機器の電源として、二次電池(充電可能な電池)の需要が大幅に拡大している。二次電池の一つは、Liイオン等のイオンを電極間の電解質を介して移動させる。この電解質として従来から多用されているものは有機溶媒等の液体の電解質(電解液)である。電解液を使用する二次電池においては、電解液が漏液する可能性がある。
全固体型電池は、電解液に代えて固体電解質を使用する。従って、電解液の漏洩に伴う種々の問題が発生しない。更に、全固体型電池は、電解質が固体であるために、電池を構成する部材の腐食による電池性能の劣化等も生じ難い。中でも、全固体型リチウム二次電池(「全固体型リチウムイオン二次電池」とも称呼される。)は、高エネルギー密度の二次電池として各方面で盛んに研究が行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−205741号公報
ところで、本出願人は、固体電解質を含有するセラミックスからなる板状の緻密体と前記緻密体の少なくとも一方の表面に形成された多孔層とを有する「緻密体・多孔層の焼成体である固体電解質構造体(セラミックス構造体)」を使用する全固体型電池を開発している。この全固体型電池は、固体電解質の緻密体の上に同じく固体電解質の多孔層を形成させ、その多孔層の内部(多孔層の細孔内)に活物質(電極活物質)を充填させている。従って、この全固体型電池は、固体電解質と活物質との界面の面積を増大させることができるので、固体電解質と活物質との間の接続抵抗を小さくすることができる。
上述したように、この全固体型電池を製造するためには、前記多孔層の細孔内に、電極に必要な微粒子状の活物質を充填させる必要がある。電池性能を向上するためには、この活物質が細孔内に偏りなく且つ十分に充填されていることが要求される。以下、微粒子状の活物質が充填される前の状態にある緻密体・多孔層の焼成体を、「充填前構造体」と称呼する。
充填前構造体の多孔層の細孔に微粒子状の活物質を充填させるための一つの方法は、真空含浸方法である。より具体的に述べると、先ず、充填前構造体を焼成等のプロセスにより準備するとともに、活物質前駆体を分散させた溶液(活物質前駆体溶液)を準備する。活物質前駆体とは、後に行われる加熱処理等により電極活物質へと変化するものを意味する。次いで、Ar雰囲気において、充填前構造体の多孔層の表面に前記活物質前駆体溶液を滴下する。その後、活物質前駆体溶液が滴下された充填前構造体を収容する容器内を真空化(減圧)することにより、活物質前駆体を多孔層の細孔内に充填する。そして、細孔内に充填された活物質前駆体を、固体電解質構造体とともに加熱することにより、活物質前駆体に含まれる有機系溶剤等の液体を揮発させ且つ有機分を焼き飛ばし、また活物質前駆体自身を反応、結晶化させることにより活物質を生成させる。
しかしながら、上記充填方法によると、多孔層の細孔に微粒子状の活物質を効率良く充填させられないことが判明した。その理由は、以下に述べる通りであると考えられる。
(R1)活物質前駆体溶液を多孔層の表面に滴下した時点において、細孔内には空気が存在している。従って、活物質前駆体溶液が多孔層の深部まで到達できない。なお、多孔層の深部とは、多孔層と緻密体との界面近傍部である。
(R2)真空含浸中においては、前記細孔内の空気の影響を除去することができる。ところが、容器内の気圧を減圧している最中に、活物質前駆体溶液の一部が多孔層の上面近傍において乾燥・固化する。これにより、活物質前駆体溶液が多孔層の深部にまで到達できなくなる。
(R3)活物質前駆体溶液の前駆体の濃度は実質数%であり、その濃度を高くすることができない。従って、1回の充填工程において多孔層の全体に活物質前駆体溶液が充填されたとしても、真空含浸、乾燥及び熱処理後の活物質の体積は多孔層全体の細孔の体積の数%にしかならない。
従って、一回の真空含浸操作によって活物質前駆体を多孔層の細孔全体に十分に行き渡らせることは困難である。このため、一回の真空含浸操作後に緻密体・多孔層の焼成体(固体電解質構造体)を加熱して細孔内に残存する不純物を除去し、更に、次の真空含浸操作を行うという工程を複数回繰り返さなくてはならない。この結果、製造時間及び製造コストが増大するという問題が生じる。
以上に述べた課題は、全固体型電池に限らず、例えば、緻密体・多孔層の焼成体であるセラミックス構造体であって、多孔層の細孔内に微粒子を充填してなる装置に共通する課題である。そのような装置の一例は、多孔層の細孔内に触媒物質(貴金属等)を担持させるセラミックスフィルタやガスセンサ等である。
従って、本発明の目的の一つは、セラミックスからなる板状の緻密体と同緻密体の少なくとも一方の表面に焼成一体化されたセラミックスからなる多孔層とを有し、前記多孔層内に微粒子を充填させたセラミックス構造体を、容易に製造することができる方法を提供することにある。本発明において、前記緻密体はセラミックスからなる。従って、前記緻密体は、緻密ではあるが、多孔層の気孔率よりも小さい気孔率を有し、それ故、その上面と下面とを実質的に連通する微細な経路を備える。
このセラミックス構造体の製造方法は、以下に述べる(1)準備工程、(2)配置工程及び(3)充填実施工程を含む。
(1)準備工程は、前記微粒子を分散させた液体である微粒子分散液体を準備する微粒子分散液体準備工程と、前記微粒子が前記多孔層に充填される前の前記セラミックス構造体である充填前構造体を準備する充填前構造体準備工程と、を含む工程である。微粒子分散液体準備工程及び充填前構造体準備工程の実施順序は問わない。
(2)配置工程は、前記充填前構造体を所定位置に配置する工程である。
(3)充填実施工程は、前記充填前構造体の前記多孔層の表面であって前記緻密体と接していない表面である同多孔層の露呈面を前記微粒子分散液体内に露呈させるとともに、同充填前構造体の同多孔層の露呈面と反対側の表面である同充填前構造体の露呈面の少なくとも一部を空間に露呈させ、同多孔層の露呈面側と同充填前構造体の露呈面側との間に所定の圧力差を生じさせることにより同微粒子分散液体を同多孔層の露呈面から同充填前構造体の露呈面まで同多孔層及び同緻密体を経由して通過させ、同微粒子分散液体内の前記微粒子を同多孔層内に充填する工程である。この充填実施工程において、前記多孔層の露呈面は、前記緻密体に対してどのような方向に配置されてもよい。即ち、前記多孔層の露呈面は、前記緻密体に対して、例えば、上方、下方及び水平方向等に配置されてもよい。
これによれば、前記微粒子分散液体は、前記多孔層の露呈面側と前記充填前構造体の露呈面側との圧力差により、同多孔層の露呈面から同充填前構造体の露呈面に向けて前記多孔層及び前記緻密体を経由して比較的速い速度で移動する。このとき、前記多孔層の露呈面側には前記微粒子分散液体が常に存在する。従って、前記微粒子分散液体は、前記多孔層及び前記充填前構造体を通過する途中において乾燥・固化することなく、前記多孔層の露呈面から前記充填前構造体の露呈面まで通過する。しかも、微粒子は緻密体を通過できない。即ち、緻密体はフィルタのように機能する。これにより、微粒子が多孔層の細孔内に所望の量だけ充填されるまで、同微粒子を同多孔層の細孔内に連続的に充填することができる。従って、一回の充填実施工程により、前記微粒子分散液体は多孔層の深部にまで達する。この結果、一回の充填実施工程により、適量の微粒子を多孔層内に行き渡らせることが可能となるから、製造時間を短縮し且つ製造コストを低減することができる。
この製造方法において、
前記配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第1容器と同貫通孔を介して同第1容器と気密に接続された第2容器とを準備するとともに、前記多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記充填前構造体の露呈面が同貫通孔を覆うように同充填前構造体を同第1容器内に配置する工程であり、
前記充填実施工程は、前記第1容器内に前記微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第2容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第1容器内の同微粒子分散液体に同第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程である、
ことが好ましい。
これによれば、第1容器及び第2容器という簡素な治具を用いて、本発明による製造方法を実施することが可能となる。また、前記充填実施工程において、前記圧力差は、第2容器内の気圧を低下させことによりもたらされてもよく、第1容器内の同微粒子分散液体に同第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加える(例えば、第1容器内の気圧を増大する)ことによりもたらされてもよい。更に、第2容器内の気圧を低下させるとともに、第1容器内の微粒子分散液体に第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加えてもよい。これにより、第1容器、第2容器及び充填前構造体等の要求に応じて減圧装置及び加圧装置のうちの適切な装置を使用することができる。なお、前記第1容器及び前記第2容器は、互いに分離可能な別の容器であってもよく、一体化された容器であってもよい。
更に、上記製造方法に、前記充填実施工程が終了した後、前記セラミックス構造体を加熱することにより、前記多孔層内に充填され且つ未乾燥状態にある前記微粒子分散液体に含まれる前記微粒子以外の不純物を除去する不純物除去工程、を加えてもよい。
この不純物除去工程を追加的に実施することにより、前記微粒子分散液体が前記微粒子以外の不純物(例えば、分散剤等の有機物)を多量に含む場合であっても、それらの不純物を容易に除去することができる。
加えて、上記製造方法において、
前記緻密体及び前記多孔層を形成するセラミックスが固体電解質からなり、前記微粒子が電池の電極に用いる電極活物質であれば、前記セラミックス構造体を有する全固体型電池を容易に製造することができる。その結果、全固体型電池の製造コストを低下させることができる。
更に、上記製造方法により全固体型電池を製造する場合、
前記充填前構造体準備工程は、
特定の固体電解質を含有し且つ造孔剤を含有しない第1グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第2グリーンシートと、を準備し、同第1グリーンシートと同第2グリーンシートとを同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質からなる接着層を介して加圧接着し、同加圧接着された同第1グリーンシートと同第2グリーンシートとを一体焼成する工程を含む、
ことが好適である。
上述した全固体型電池においては、電極と電解質とが共に固体である。従って、電極と電解質との接触する面積は、双方の粒子が接触する面積に依存することになる。電極と電解質との焼成温度が低く焼結が進んでいない状態では、これらの粒子間の接続はほぼ点接触となる。これに対し、焼結が進むことによって粒子間の融着が進むと、電極と電解質とが接触する面積が増大する。その結果、電極を構成する粒子と電解質を構成する粒子間の接続部分(ネッキング部)が太くなるので、電極と電解質との接続界面における接続抵抗(インピーダンス)を低下させることができる。従って、焼成温度は、電極と電解質との焼結を十分に行うことができる温度であることが望ましい。しかしながら、このような焼成においては、電極と電解質との反応を考慮に入れる必要がある。
このような観点から、上記のように、第1グリーンシート及び第2グリーンシートに同一の固体電解質を含有させるとともに、それらを加圧接着する接着層を同一の固体電解質からなる接着層とすることにより、それらの間の反応性の問題を小さくすることができる。従って、焼結を進行させることができる適切な焼成温度にてそれらを焼成させることができる。その結果、電極と固体電解質との接続界面における接続抵抗を低下させることができるので、高性能の全固体型電池を製造することが可能となる。
本発明による他のセラミックス構造体の製造方法は、セラミックスからなる板状の緻密体と同緻密体の上面及び下面に同緻密体とそれぞれ焼成一体化されたセラミックスからなる第1多孔層及びセラミックスからなる第2多孔層とを有し、前記第1多孔層内に第1微粒子を充填させ且つ前記第2多孔層に第2微粒子を充填させたセラミックス構造体の製造方法であって、以下の工程を含んでいる。
A.前記緻密体の上面及び下面に前記第1多孔層及び前記第2多孔層をそれぞれ焼成により形成することにより前記第1微粒子が前記第1多孔層に充填される前であり且つ前記第2微粒子が前記第2多孔層に充填される前の前記セラミックス構造体である充填前構造体を準備する充填前構造体準備工程。
B.前記第1微粒子が前記第1多孔層を通過可能であって且つ前記緻密体を通過不能となるように同第1微粒子を分散させた液体である第1微粒子分散液体を準備する第1微粒子分散液体準備工程。
C.前記第2微粒子が前記第2多孔層を通過可能であって且つ前記緻密体を通過不能となるように同第2微粒子を分散させた液体である第2微粒子分散液体を準備する第2微粒子分散液体準備工程。
これらの準備工程の順序は問わない。
D.前記充填前構造体を第1配置状態に配置する第1配置工程。
E.前記第1多孔層の表面であって前記緻密体と接していない表面である同第1多孔層の露呈面を第1微粒子分散液体内に露呈させるとともに、前記第2多孔層の表面であって前記緻密体と接していない表面である同第2多孔層の露呈面の少なくとも一部を空間に露呈させ、同第1多孔層の露呈面側と同第2多孔層の露呈面側との間に圧力差を生じさせることにより、同第1多孔層の露呈面から同第2多孔層の露呈面まで同第1多孔層、同緻密体及び同第2多孔層を経由するように同第1微粒子分散液体を通過させて前記第1微粒子を同第1多孔層内に充填する第1充填実施工程。
以上の工程に含まれる一回の第1充填実施工程により、第1微粒子が第1多孔層内に充填される。この第1充填実施工程においては、前記圧力差により、第1微粒子分散液体が第1多孔層の露呈面から第2多孔層の露呈面まで通過させられる。このとき、第1微粒子分散液体に含まれる第1微粒子は、第1多孔層を通過することができるが、緻密体を通過することはできない。換言すると、第1微粒子分散液体に含まれる第1微粒子以外のもの(例えば、溶剤等)が第1多孔層、緻密体及び第2多孔層を通過する。従って、第2多孔層内に第1微粒子は充填されない。
更に、上記他のセラミックス構造体の製造方法は、以下の工程を含む。
F.前記第1微粒子が前記第1多孔層に充填された充填前構造体を第2配置状態に配置する第2配置工程。
G.前記第2多孔層の露呈面を前記第2微粒子分散液体内に露呈させるとともに、前記第1多孔層の露呈面の少なくとも一部を空間に露呈させ、同第2多孔層の露呈面側と同第1多孔層の露呈面側との間に圧力差を生じさせることにより、同第2多孔層の露呈面から同第1多孔層の露呈面まで同第2多孔層、前記緻密体及び同第1多孔層を経由するように同第2微粒子分散液体を通過させて前記第2微粒子を同第2多孔層内に充填する第2充填実施工程。
以上の工程により、既に第1微粒子が第1多孔層内に充填されているセラミックス構造体の第2多孔層に第2微粒子が充填される。第2充填実施工程においても、前記圧力差により、第2微粒子分散液体が第2多孔層の露呈面から第1多孔層の露呈面まで通過させられる。このとき、第2微粒子分散液体に含まれる第2微粒子は、第2多孔層を通過することができるが、緻密体を通過することはできない。換言すると、第2微粒子分散液体に含まれる第2微粒子以外のもの(例えば、溶剤等)が第2多孔層、緻密体及び第1多孔層を通過する。従って、第1多孔層内に第2微粒子は充填されない。
この結果、一回の第1充填実施工程及び一回の第2充填実施工程を実施することにより、第1多孔層の細孔内に第1微粒子が偏りなく且つ十分に充填され且つ第2多孔層の細孔内に第2微粒子が偏りなく且つ十分に充填される。従って、前記セラミックス構造体の製造時間を短縮し且つその製造コストを低減することができる。
この製造方法において、
前記第1配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第1容器と同貫通孔を介して同第1容器と気密に接続された第2容器とを準備するとともに、前記第1多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記第2多孔層の露呈面が同貫通孔を覆うように前記充填前構造体を同第1容器内に配置する工程であり、
前記第1充填実施工程は、前記第1容器内に前記第1微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第2容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第1容器内の同第1微粒子分散液体に同第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程であることが望ましい。
更に、
前記第2配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第3容器と同貫通孔を介して同第3容器と気密に接続された第4容器とを準備するとともに、前記第2多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記第1多孔層の露呈面が同貫通孔を覆うように前記充填前構造体を同第3容器内に配置する工程であり、
前記第2充填実施工程は、前記第3容器内に前記第2微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第4容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第3容器内の同第2微粒子分散液体に同第4容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程であることが望ましい。
前記第3容器は前記第1容器と同じ容器であってもよく、前記第4容器は前記第2容器と同じ容器であってもよい。更に、前記第1容器及び前記第2容器は、互いに分離可能な別の容器であってもよく、一体化された容器であってもよい。同様に、前記第3容器及び前記第4容器は、互いに分離可能な別の容器であってもよく、一体化された容器であってもよい。
これによれば、第1〜第4容器という簡素な治具を用いて、本発明による他の製造方法を実施することが可能となる。また、前記第1充填実施工程において、前記圧力差は、第2容器内の気圧を低下させことによりもたらされてもよく、第1容器内の第1微粒子分散液体に第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加える(例えば、第1容器内の気圧を増大する)ことによりもたらされてもよい。更に、第2容器内の気圧を低下させるとともに第1容器内の第1微粒子分散液体に第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加えてもよい。同様に、前記第2充填実施工程において、前記圧力差は、第4容器内の気圧を低下させことによりもたらされてもよく、第3容器内の第2微粒子分散液体に第4容器内の気圧よりも大きな圧力を加える(例えば、第3容器内の気圧を増大する)ことによりもたらされてもよい。更に、第4容器内の気圧を低下させるとともに第3容器内の第2微粒子分散液体に第4容器内の気圧よりも大きな圧力を加えてもよい。これにより、減圧装置及び加圧装置のうちの適切な装置を使用することができる。
更に、上記他の製造方法は、前記第1充填実施工程後であって前記第2配置工程前に、前記第1微粒子が前記第1多孔層に充填された充填前構造体を加熱することにより、前記第1多孔層内に充填され且つ未乾燥状態にある前記第1微粒子分散液体に含まれる前記第1微粒子以外の不純物を除去する第1不純物除去工程を含むことが望ましい。
同様に、上記他の製造方法は、前記第2充填実施工程後に、前記第1微粒子及び前記第2微粒子が前記第1多孔層及び前記第2多孔層にそれぞれ充填されたセラミックス構造体を加熱することにより、前記第2多孔層内に充填され且つ未乾燥状態にある前記第2微粒子分散液体に含まれる前記第2微粒子以外の不純物を除去する第2不純物除去工程を含むことが望ましい。
この第1不純物除去工程及び/又は第2不純物除去工程を追加的に実施することにより、各微粒子分散液体が、対応する第1微粒子及び第2微粒子以外の不純物(例えば、分散剤等の有機物)を多量に含む場合であっても、それらの不純物を容易に除去することができる。
加えて、上記他の製造方法において、
前記緻密体、前記第1多孔層及び前記第2多孔層を形成するセラミックスが固体電解質からなり、
前記第1微粒子は電池の正極を形成するための正極活物質及び同電池の負極を形成するための負極活物質の何れか一方であり、
前記第2微粒子は前記正極活物質及び前記負極活物質の何れか他方である、
ことが好適である。
これによれば、多孔層からなる正極及び多孔層からなる負極を備えた全固体型電池を極めて容易に製造することができる。その結果、全固体型電池の製造時間を短縮し、その製造コストを低下させることができる。
更に、上記他の製造方法において、
前記充填前構造体準備工程は、
特定の固体電解質を含有し且つ造孔剤を含有しない第1グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第2グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第3グリーンシートと、を準備し、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質からなる接着層を介して同第1グリーンシートの上面に同第2グリーンシートを加圧接着するとともに、同接着層を介して同第1グリーンシートの下面に同第3グリーンシートを加圧接着し、同加圧接着された同第1グリーンシート、同第2グリーンシート及び同第3グリーンシートを一体焼成する工程を含む、ことが好適である。
これによれば、上述したように、第1グリーンシート〜第3グリーンシートに同一の固体電解質を含有させるとともに、それらを加圧接着する接着層を同一の固体電解質からなる接着層としているので、それらの間の反応性の問題を小さくすることができる。従って、焼結を進行させることができる適切な焼成温度にてそれらを焼成させることができる。その結果、各電極と固体電解質との接続界面における接続抵抗を低下させることができるので、高性能の全固体型電池を製造することが可能となる。
以下、本発明によるセラミックス構造体の製造方法の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
先ず、本発明の第1実施形態に係るセラミックス構造体の製造方法と、その製造方法によって製造されるセラミックス構造体について説明する。このセラミックス構造体は、全固体型リチウム二次電池を構成する。しかしながら、本発明によるセラミックス構造体の製造方法は、全固体型リチウム二次電池以外の全固体型電池のみならず、同様のセラミックス構造体を使用する電池以外の装置を製造する場合にも当然適用することができる。
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るセラミックス構造体の製造方法によって製造される全固体型リチウム二次電池10の断面図である。全固体型リチウム二次電池10は、固体電解質構造体(セラミックス構造体)20と、正極集電極31及び負極集電極32を備えている。
固体電解質構造体20は、緻密体21と、正極側多孔層22と、負極側多孔層23と、を備えている。本例において、緻密体21と、正極側多孔層22と、負極側多孔層23とは、焼成により一体化されている。
緻密体21は、固体電解質(リチウムイオンを移動させることが可能な固体電解質)を含有するセラミックスからなる。緻密体は薄板体である。緻密体21の平面視における形状は、固体電解質構造体20の斜視図である図2に示したように円形である。即ち、緻密体21は円盤形状を有している。なお、図1は図2の1−1線に沿った平面にて固体電解質構造体20を切断した断面(正極集電極31及び負極集電極32を除く。)に対応している。
緻密体21の厚みは、好ましくは5〜100μm、更に好ましくは5〜50μmである。緻密体21は所定の小さい気孔率を有している。緻密体21の気孔率は、水銀圧入法により測定した場合、5〜20%である。である。従って、緻密体21は、緻密ではあるが、その上面と下面とを実質的に連通する微細な経路(液体が通過可能な経路)を備えている。緻密体21の材質及び製造方法等は後に詳述する。
正極側多孔層22は、緻密体21に含有される固体電解質と同一の固体電解質を含有するセラミックスからなる。正極側多孔層22は薄板体である。正極側多孔層22の平面視における形状は、図1及び図2に示したように、緻密体21の平面視における形状と同一の円形である。即ち、正極側多孔層22は、緻密体21と同様の円盤形状を有している。正極側多孔層22の厚みは、好ましくは10μm〜1mm、更に好ましくは50〜500μmである。正極側多孔層22は、緻密体21の上面(緻密体21の一方の表面)に焼成により一体的に形成されている。なお、正極側多孔層22の緻密体21と接していない側の表面を「正極側多孔層22の露呈面」とも称呼する。
正極側多孔層22は、緻密体21よりも相当に大きい気孔率を有している。正極側多孔層22の気孔率は、例えば、水銀圧入法により測定した場合、10〜70体積%であることが好ましく、30〜60体積%であることが更に好ましい。従って、正極側多孔層22は、内部に微細な細孔(気孔、空孔)22aを多数備えている。その結果、正極側多孔層22は、細孔22aに何も充填されていない状態において、その上面と下面とを実質的に連通する経路を備えている。正極側多孔層22は、全固体型リチウム二次電池10の正極を構成する第1活物質22bを備えている。第1活物質22bは微粒子であり、細孔22a内に充填(担持)されている。これにより、正極側多孔層22は全固体型リチウム二次電池10の正極を構成している。正極側多孔層22及び第1活物質22bの材質及び製造方法等は後に詳述する。
負極側多孔層23は、緻密体21に含有される固体電解質と同一の固体電解質を含有するセラミックスからなる。負極側多孔層23は薄板体である。負極側多孔層23の平面視における形状は、図1及び図2に示したように、緻密体21の平面視における形状と同一の円形である。即ち、負極側多孔層23は、緻密体21及び正極側多孔層22と同様の円盤形状を有している。負極側多孔層23の厚みは、好ましくは10μm〜1mm、更に好ましくは50〜500μmである。負極側多孔層23は、緻密体21の下面(緻密体21の他方の表面、即ち、正極側多孔層22が形成されている面と反対側の面)に焼成により一体的に形成されている。従って、緻密体21は、互いに対向する負極側多孔層23と正極側多孔層22との間に挟まれている。換言すると、固体電解質構造体20は、負極側多孔層23と、緻密体21と、正極側多孔層22と、がこの順に積層された積層体である。なお、負極側多孔層23の緻密体21と接していない側の表面を「負極側多孔層23の露呈面」とも称呼する。
負極側多孔層23は、正極側多孔層22と略同一の気孔率を有している。従って、負極側多孔層23は、内部に微細な気孔(空孔)23aを多数備えている。その結果、負極側多孔層23は、細孔23aに何も充填されていない状態において、その上面と下面とを実質的に連通する経路を備えている。負極側多孔層23は、全固体型リチウム二次電池10の負極を構成する第2活物質23bを備えている。第2活物質23bは微粒子であり、細孔23a内に充填(担持)されている。これにより、負極側多孔層23は全固体型リチウム二次電池10の負極を構成している。負極側多孔層23及び第2活物質23bの材質及び製造方法等は後に詳述する。
正極側多孔層22の上面(露呈面)には、図1に示したように、正極集電極31が形成されている。正極集電極31は金属膜である。
負極側多孔層23の下面(露呈面)には、図1に示したように、負極集電極32が形成されている。負極集電極32は金属膜である。
正極集電極31及び負極集電極32の材質及び製造方法等は後に詳述する。
(放電作用,充電作用)
この全固体型リチウム二次電池10は、正極集電極31と負極集電極32との間に図示しない電気負荷が接続されると、負極側多孔層23の第2活物質23bからリチウムイオンが脱離し、同時に電子が負極集電極32を介して電気負荷に供給される。放出されたリチウムイオンは、緻密体21内を移動し正極側多孔層22に到達する。このとき、電気負荷及び正極集電極31を介して供給される電子と緻密体21内を移動してきたリチウムイオンとが結合してリチウムとなり、正極側多孔層22の第1活物質22b内に挿入される。以上が、放電時における全固体型リチウム二次電池10の作用である。なお、充電時においては、上記各物質が上述の動きと逆の動きを行う。その結果、正極側多孔層22内のリチウムはリチウムイオンとなり、緻密体21を通して負極側多孔層23へと移動する。
(固体電解質構造体20の製造方法)
次に、上記のように構成される固体電解質構造体(セラミックス構造体)20の製造方法について説明する。
<1.準備工程>
<1−1.活物質分散液体(微粒子分散液体)の準備工程>
<1−1−1.第1微粒子分散液体準備工程(第1活物質分散液体準備工程)>
先ず、正極側多孔層22(正極側多孔層22の細孔22a)に充填される第1活物質(第1微粒子)の溶液(第1活物質分散液体、第1微粒子分散液体)を作製する。具体的に述べると、固相合成法や液相合成法により作製した第1活物質を粉砕して微粉末を得て、その微粉末を有機系溶剤(例えば、アルコール)、水系溶剤及び純水等に混合することにより、第1活物質の微粒子を分散させた第1活物質分散液体を作製する。これに代え、ゾルゲル法において用いられる手法の一部を利用して第1活物質を合成し、緻密体21の細孔よりも大きい粒径まで成長させた後、その反応溶液をそのまま第1活物質分散液体として使用してもよい。なお、場合により、第1活物質の分散性を向上させるために、溶液のpHを調整したり、及び/又は、界面活性剤を第1活物質分散液体に混入させたりしてもよい。
第1活物質分散液体は、後に説明する第1充填実施工程において正極側多孔層22の露呈面から負極側多孔層23の露呈面まで通過させられたとき、第1活物質が正極側多孔層22を通過するが緻密体21を通過することができないように、且つ、第1活物質を除く溶媒等の液体は正極側多孔層22、緻密体21及び負極側多孔層23の総てを通過することができるように、調整される。具体的には、第1活物質分散溶液中の第1活物質を含む粒子の大きさが正極側多孔層22の細孔よりも小さく、緻密体21の細孔よりは大きくなるように第1活物質分散溶液が調整される。
<1−1−2.第2微粒子分散液体準備工程>
更に、負極側多孔層23(負極側多孔層23の細孔23a)に充填される第2活物質(第2微粒子)の溶液(第2活物質分散液体、第2微粒子分散液体)を作製する。第2活物質分散液体の作製方法は第1活物質作製方法と同様である。
第2活物質分散液体は、後に説明する第2充填実施工程において負極側多孔層23の露呈面から正極側多孔層22の露呈面まで通過させられたとき、第2活物質が負極側多孔層23を通過するが緻密体21を通過することができないように、且つ、第2活物質を除く溶媒等の液体は負極側多孔層23、緻密体21及び正極側多孔層22の総てを通過することができるように、調整される。具体的には、第2活物質分散溶液において第2活物質を含む粒子の大きさが負極側多孔層23の細孔よりも小さく、緻密体21の細孔よりは大きくなるように第2活物質分散溶液が調整される。
<1−2.充填前固体電解質構造体準備工程>
<1−2−1.グリーンシート作製工程>
次に、正極側多孔層22及び負極側多孔層23のそれぞれに第1活物質及び第2活物質が充填される前の固体電解質構造体(セラミックス構造体)を準備する。この状態の固体電解質構造体20は、本明細書において、単に「充填前構造体」とも称呼される。
より具体的に述べると、上記緻密体21に含有される特定の固体電解質の材料のみを含み且つ造孔剤を含有しない第1グリーンシート(セラミックグリーンシート)21Aを準備する(図3を参照。)。第1グリーンシート21Aは後に緻密体21となる。
次に、第1グリーンシート21Aに含有された特定の固体電解質の材料を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上、より好ましくは100体積%以上(固体電解質の体積に対する造孔剤の体積の比が1以上、より好ましくは2以上)の割合で含有させた第2グリーンシート(セラミックグリーンシート)22Aを準備する(図3を参照。)。第2グリーンシート22Aは後に正極側多孔層22となる。
同様に、第1グリーンシート21Aに含有された特定の固体電解質の材料を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上(より好ましくは100体積%以上)の割合で含有させた第3グリーンシート(セラミックグリーンシート)23Aを準備する(図3を参照。)。第3グリーンシート23Aは後に負極側多孔層23となる。
第1〜第3グリーンシートは、周知の方法により作製される。例えば、上記固体電解質の粉末を準備し、これにバインダ、溶剤、分散剤及び可塑剤(更に、第2グリーンシート22A及び第3グリーンシート23Aの場合には上述した造孔剤)等を所望の組成に調合してスラリーを作製する。その後、このスラリーに対して脱泡処理し、更に、ドクターブレード法及びリバースロールコーター法等の周知のシート成形法を利用してセラミックグリーンシートを作製する。
なお、緻密体21の厚さが厚いほど緻密体21のインピーダンスが大きくなる。従って、後に緻密体21となる第1グリーンシート21Aは極力薄いことが望ましい。具体的には、第1グリーンシート21Aの厚さは、特に限定されるものではないが、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
一方、正極側多孔層22及び負極側多孔層23は、何れも全固体型リチウム二次電池10の電極となる。全固体型リチウム二次電池10の電池の容量は、これらの多孔層の電極(正極側多孔層22及び負極側多孔層23)に充填されている活物質の量が多いほと大きくなる。また、正極側多孔層22及び負極側多孔層23は、各厚さが厚いほどより多くの活物質を保持することができる。以上から、後に正極側多孔層22となる第2グリーンシート22A及び後に負極側多孔層23となる第3グリーンシート23Aは、極力厚いことが望ましい。具体的には、第2グリーンシート22A及び第3グリーンシート23Aの各厚さは、特に限定されるものではないが、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることが更に好ましい。
<1−2−2.加圧接着工程>
次に、第1グリーンシート21Aの上面及び下面、第2グリーンシート22Aの下面、並びに、第3グリーンシート23Aの上面に、接着層(接着剤からなる層、接着ペースト)をスクリーン印刷により形成する。この接着層の主成分は、第1グリーンシート21Aに含有された(従って、第2グリーンシート22A及び第3グリーンシート23Aにも含有されている)特定の固体電解質の材料である。接着層は、この固体電解質の材料にバインダ及び溶剤を加えたものを混練することにより作製される。この接着層の上記スクリーン印刷には、スクリーン印刷用製版が使用される。スクリーン印刷された接着層は、各グリーンシートと共にオーブン内にて加熱され乾燥させられる。
なお、接着層は、次の積層工程において接合面となる第1〜第3グリーンシート21A〜23Aの各面総てに形成する必要はない。即ち、接着層は、互いに接合する二つの面の何れか一方の面上のみに形成されればよい。従って、例えば、接着層は、第1グリーンシート21Aの上下の両面のみに形成されてもよく、第1グリーンシート21Aの上下の両面には形成されず第2グリーンシート22Aの下面及び第3グリーンシート23Aの上面にのみ形成されてもよい。
<1−2−3.積層・加圧工程>
次に、図3に示したように、第1グリーンシート21Aを第2グリーンシート22Aの下面と第3グリーンシート23Aの上面との間に挟むように積層(配置)する。即ち、第3グリーンシート23Aの上面と第1グリーンシート21Aの下面とが接合し、第1グリーンシート21Aの上面と第2グリーンシート22Aの下面とが接合するように、これらのグリーンシートを積層する。これにより、固体電解質構造体(充填前構造体)の前駆体が得られる。
これらのグリーンシートを積層する際、所定の方法で各グリーンシートの位置決めを行う。例えば、各グリーンシートの4隅に貫通孔を形成しておき、4本の立設したガイドピンが各グリーンシートの対応する貫通孔を貫通するように、これらのグリーンシートを積層する。代替として、各グリーンシートにマーカー(目印)を付しておき、積層時にそれらのマーカーが直線上に配置されるようにこれらのグリーンシートを積層する。これにより、積層した際の各グリーンシートの相対的な位置ずれを抑制することができる。その後、積層されたる第1〜第3グリーンシート21A〜23Aを加圧し、それらを互いに接着(加圧接着)させる。
<1−2−4.焼成工程>
このように積層された第1〜第3グリーンシート21A〜23A(固体電解質構造体(セラミックス構造体)の前駆体)を所定の焼成温度にて一体焼成する。焼成温度及び焼成時間は、第1〜第3グリーンシート21A〜23Aの焼結が十分に進行する温度(例えば、1090℃、2時間)に設定する。この結果、図4に示したように、第1グリーンシート21Aは緻密体21となる。また、この焼成過程において造孔剤が分解且つ消失する。その結果、第2グリーンシート22Aは細孔22aを有する正極側多孔層22(第1活物質充填前正極側多孔層22)となり、第3グリーンシート23Aは細孔23aを有する負極側多孔層23(第2活物質充填前負極側多孔層23)となる。以上により、図2に示した固体電解質構造体20と同形の充填前構造体20Bが作製・準備される。
なお、焼成後において充填前構造体20Bに反り或いはウネリ等の歪みが存在する場合、重り等により充填前構造体20Bに力(圧力)を加えながら充填前構造体20Bを加熱し、再度焼成温度付近の温度まで充填前構造体20Bの温度を上昇させる。これにより、歪みを修正することができる。
<2.第1配置工程>
次に、図5、図6の(A)及び図6の(B)に示した第1容器(第1治具)41及び第2容器(第2治具)42を準備する。
第1容器41は、有底で上面が開放した円筒状の容器である。第1容器41はセラミックス又はテフロン(登録商標)からなる。第1容器41の底部には充填前構造体20Bの直径と同径であり且つ充填前構造体20Bの高さと同じ高さの円柱状凹部41aが形成されている。即ち、この円柱状凹部41aは、充填前構造体20Bを丁度収容することができる形状に形成されている。円柱状凹部41aの底部(底壁)には複数の貫通孔41bが形成されている。貫通孔41bの直径は特に限定されないがここでは1mmである。更に、第1容器41は底壁から下方に円筒状に突出した接続部41cを備えている。接続部41cは、上面が第1容器41の底壁により閉鎖されていて、下面は開放されている。接続部41cの外径は円柱状凹部41aの内径と略同一である。接続部41cの外周は第2容器と密着させるためにOリング41d又はゴム栓等が嵌め込まれている。
第2容器42は、図5に示したように、有底で上面が開放した円錐台状(三角フラスコ状)の容器であり、ガラス又はプラスチックからなる。第2容器42の上部開口は円形である。その上部開口の内径は、第1容器41の接続部41cのOリング41dの外径もしくはゴム栓の外径より若干小さくなっている。即ち、第1容器41の接続部41cが第2容器42の上部開口部分に嵌め込まれるようになっている。このとき、Oリング41d又はゴム栓より接続部41cの側壁と第2容器42の上部開口部分の内壁とがシールされる。換言すると、第1容器41と第2容器42とは、気密に接続され、且つ、貫通孔41bを介して連通するようになっている。第2容器42は、図5に示したように、その側壁に空気取出し部42aを備えている。空気取出し部42aは管状である。
そして、第1配置工程において、第1容器41と第2容器42とを貫通孔41bを介して連通し且つOリング又はゴム栓によって気密に接続する。次に、図6の(A)に示したように、充填前構造体20Bを第1容器41の円柱状凹部41aに挿入・配置する。このとき、正極側多孔層22が緻密体21より上方に位置し且つ充填前構造体20Bの露呈面(この場合、負極側多孔層23の下面である露呈面)が第1容器41の貫通孔41bを覆うように、充填前構造体20Bを第1容器41内に配置する。
<3.第1充填実施工程>
次に、図6の(A)に示したように、準備しておいた第1活物質分散液体(第1微粒子分散液体)SOL1を第1容器41に注ぐ。これにより、充填前構造体20Bの正極側多孔層22の露呈面である正極側多孔層22の上面が、第1活物質分散液体SOL1内に露呈される。このとき、充填前構造体20Bの正極側多孔層22と接していない表面である同充填前構造体20Bの露呈面(この場合、負極側多孔層23の下面である負極側多孔層23の露呈面)の一部が貫通孔41bを介して第2容器42内の空間に露呈される。なお、充填前構造体20Bの負極側多孔層23と円柱状凹部41aの側壁又は底面との間にOリング等のシール部材を介在させ、第1活物質分散液体SOL1が充填前構造体20Bの側面と円柱状凹部41aの側壁との間を通過して貫通孔41bへと流れないようにしておく。
この状態において、第2容器42の空気取出し部42aを図示しないポンプ(減圧装置)に接続し、このポンプを駆動して第2容器42内の気圧を低下させる。即ち、第2容器42内を真空化する。換言すると、正極側多孔層22の露呈面側と充填前構造体20Bの下面側(この場合、負極側多孔層23の露呈面側)との間に圧力差を生じさせる。これにより、第1活物質分散液体SOL1は、正極側多孔層22の露呈面(上面)から充填前構造体20Bの下面(この場合、負極側多孔層23の下面である負極側多孔層23の露呈面)まで、正極側多孔層22、緻密体21及び負極側多孔層23を経由して通過する。
このとき、第1活物質分散液体SOL1に分散された第1活物質は、正極側多孔層22の露呈面から細孔22aを通過して緻密体21の上面(緻密体21と正極側多孔層22との界面、即ち、正極側多孔層22の深部)に到達する。この結果、第1活物質が細孔22a内に充填される。しかし、前述の第1微粒子分散液体準備工程<1−1−1>にて説明したように、第1活物質は緻密体21の細孔を通過できない。従って、第1活物質分散液体SOL1に含まれる第1活物質以外のもの(溶剤等の液体や分散剤等)のみが緻密体21及び負極側多孔層23を通過し、充填前構造体20Bの露呈面である負極側多孔層23の露呈面まで到達する。そして、それらは貫通孔41bを通過し、第2容器42の底部に貯留される。係る状態を所定時間だけ継続することにより、適量の第1活物質を正極側多孔層22(正極側多孔層22の細孔22a内)全体に満遍なく行き渡らせることができる。
<4.第1不純物除去工程(正電極−緻密体の界面調整工程)>
次に、第1活物質が正極側多孔層22の細孔内に充填された充填前構造体20B(以下、「半充填構造体」とも称呼する。)を第1容器41から取り出し、その半充填構造体に熱を加える(加熱して昇温する)。これにより、正極側多孔層22(正極側多孔層22の細孔22a)、緻密体21及び負極側多孔層23に充填され且つ未乾燥状態にある前記第1活物質分散液体SOL1に含まれる第1活物質以外の不純物(例えば、溶媒等の有機物等)を除去する。
<5.第2配置工程>
次に、別の第1容器41と、第2容器42と、を準備する。この場合の第1容器41は便宜上「第3容器」とも称呼され、第2容器42は便宜上「第4容器」とも称呼される。そして、第2配置工程においても、第1配置工程と同様、第1容器41と第2容器42とを貫通孔41bを介して連通し且つOリング又はゴム栓によって気密に接続する。
次に、図6の(A)に示した場合と同様に、上記第1不純物除去工程を経た半充填構造体を、第1容器41の円柱状凹部41aに挿入・配置する。このとき、第1配置工程とは異なり、負極側多孔層23が緻密体21より上方に位置し且つ半充填構造体の下面である半充填構造体の露呈面(この場合、正極側多孔層22の露呈面)が第1容器41の貫通孔41bを覆うように、半充填構造体を第1容器41内に配置する。
<6.第2充填実施工程>
次に、準備しておいた第2活物質分散液体(第2微粒子分散液体)SOL2を第1容器41に注ぐ。これにより、半充填構造体の負極側多孔層23の露呈面(負極側多孔層23の上面)が、第2活物質分散液体SOL2内に露呈される。このとき、半充填構造体の負極側多孔層23と接していない表面である同半充填構造体の露呈面(この場合、正極側多孔層22の下面である正極側多孔層22の露呈面)の一部が貫通孔41bを介して第2容器42内の空間に露呈される。なお、半充填構造体の正極側多孔層22と円柱状凹部41aの側壁又は底面との間にOリング等のシール部材を介在させ、第2活物質分散液体SOL2が半充填構造体の側面と円柱状凹部41aの側壁との間を通過して貫通孔41bへと流れないようにしておく。
この状態において、第2容器42の空気取出し部42aを図示しないポンプ(減圧装置)に接続し、このポンプを駆動して第2容器42内の気圧を低下させる。即ち、第2容器42内を真空化する。換言すると、負極側多孔層23の露呈面側と半充填構造体の下面側(この場合、正極側多孔層22の露呈面側)との間に圧力差を生じさせる。これにより、第2活物質分散液体SOL2は、負極側多孔層23の露呈面(上面)から半充填構造体の下面(この場合、正極側多孔層22の下面である正極側多孔層22の露呈面)まで、負極側多孔層23、緻密体21及び正極側多孔層22を経由して通過する。
このとき、第2活物質分散液体SOL2に分散された第2活物質は、負極側多孔層23の露呈面から細孔23aを通過して緻密体21の上面(緻密体21と負極側多孔層23との界面、即ち、負極側多孔層23の深部)に到達する。この結果、第2活物質が細孔23a内に充填される。しかし、前述の第2微粒子分散液体準備工程<1−1−2>にて説明したように、第2活物質は緻密体21の細孔を通過できない。従って、第2活物質分散液体SOL2に含まれる第2活物質以外のもの(溶剤等の液体や分散剤等)のみが緻密体21及び正極側多孔層22を通過し、半充填構造体の露呈面である正極側多孔層22の露呈面まで到達する。そして、それらは貫通孔41bを通過し、第2容器42の底部に貯留される。係る状態を所定時間だけ継続することにより、適量の第2活物質を負極側多孔層23(負極側多孔層23の細孔23a内)全体に満遍なく行き渡らせることができる。
<7.第2不純物除去工程(正電極−緻密体の界面調整工程)>
次に、第1活物質が正極側多孔層22の細孔22aに充填され、且つ、第2活物質が負極側多孔層23の細孔23aに充填された半充填構造体(以下、「全充填構造体」とも称呼する。)を第1容器41から取り出し、その全充填構造体に熱を加える(加熱して昇温する)。これにより、負極側多孔層23(負極側多孔層23の細孔23a)、緻密体21及び正極側多孔層22に充填され且つ未乾燥状態にある前記第2活物質分散液体SOL2に含まれる第2活物質以外の不純物(例えば、溶媒等の有機物等)を除去する。
<8.正極集電極及び負極集電極の作製工程>
最後に、正極集電極31及び負極集電極32を、スパッタリング法を用いて正極側多孔層22の露呈面上及び負極側多孔層23の露呈面上にそれぞれ作製する。なお、正極集電極31及び負極集電極32は、スパッタリング法に代え、例えば、抵抗により蒸着源を加熱して蒸着させる抵抗加熱蒸着法、イオンビームにより蒸着源を加熱して蒸着させるイオンビーム蒸着法、及び、電子ビームにより蒸着源を加熱して蒸着させる電子ビーム蒸着法等の方法によって形成することもできる。得られた全固体型電池をケース等に収納する際には、正極集電極31と負極集電極32の間の絶縁を適当な絶縁手法によって確保する。
以上が、本発明の第1実施形態に係る固体電解質構造体20の製造方法(セラミックス構造体の製造方法、全固体型電池の製造方法)である。これによれば、前記微粒子分散液体(第1微粒子分散液体SOL1又は第2微粒子分散液体SOL2)は、前記多孔層(正極側多孔層22又は負極側多孔層23)の露呈面側と前記充填前構造体又は前記半充填構造体の露呈面側との圧力差により、同多孔層の露呈面から同充填前構造体又は同半充填構造体の露呈面に向けて比較的速い速度で移動する。このとき、前記多孔層の露呈面側には前記微粒子分散液体が常に存在する。
従って、前記微粒子分散液体は、前記多孔層を通過する途中において乾燥・固化することなく、前記多孔層の露呈面から前記充填前構造体又は前記半充填構造体の露呈面まで通過する。従って、一回の充填実施工程(第1充填実施工程又は第2充填実施工程)により、前記微粒子分散液体(第1微粒子分散液体SOL1又は第2微粒子分散液体SOL2)は多孔層(正極側多孔層22又は負極側多孔層23)の深部にまで達する。この結果、各一回の充填実施工程により、適量の各微粒子を各多孔層内に行き渡らせることが可能となる。従って、全固体型電池10の製造時間を短縮し且つ全固体型電池10の製造コストを低減することができる。
また、上記第1及び第2充填実施工程は、第1容器及び第2容器(又は第3容器及び第4容器)という簡素な治具を用いて実施される。従って、全固体型電池10の製造コストを低減することができる。
更に、前記第1不純物除去工程(第2不純物除去工程)により、正極側多孔層22(負極側多孔層23)に充填され且つ未乾燥状態にある第1微粒子分散液体SOL1(第2微粒子分散液体SOL2)に含まれる第1微粒子(第2微粒子)以外の不純物を除去することができる。従って、高性能の全固体型電池10を製造することができる。
加えて、第1グリーンシート〜第3グリーンシート21A〜23Aに同一の固体電解質を含有させるとともに、それらを加圧接着する接着層を同一の固体電解質からなる接着層としているので、それらの間の反応性の問題を小さくすることができる。従って、焼結を進行させることができる適切な焼成温度にてそれらを焼成させることができる。その結果、各電極と固体電解質との接続界面における接続抵抗を低下させることができるので、高性能の全固体型電池20を製造することが可能となる。
(固体電解質構造体の材質)
次に、上記固体電解質構造体20の材質について述べる。ここでは、固体電解質構造体20は全固体型リチウム二次電池10を構成している。従って、全固体型リチウム二次電池10に適した以下に述べる材質が使用され得る。但し、以下に挙げる材料はあくまで例示であり、これらに限定されるものではない。
<緻密体21に含まれる固体電解質の材料>
緻密体21を構成するセラミックスに含有される固体電解質としては、可動イオンとなるリチウムを含む次に挙げる材料を使用することができる。
(A1)LiPO、LiPOに窒素を混ぜたLiPON、LiS−SiS、LiS−P及びLiS−B等のリチウムイオン伝導性ガラス状固体電解質。
(A2)上記(A1)に挙げた材料にLiIなどのハロゲン化リチウムをドープしたリチウムイオン伝導性固体電解質、上記(A1)に挙げた材料にLiPOなどのリチウム酸素酸塩をドープしたリチウムイオン伝導性固体電解質(例えば、LiS−SiS−LiPO)。
(A3)リチウムとチタンと酸素を含むチタン酸化物型の固体電解質(例えば、LiLaTiO(但し、xは0<x<1、yは0<y<1))。
(A4)ナシコン(NASICON)型のリン酸化合物(例えば、Li1+xAlTi2−x(PO(但し、xは0<x<1)。
上記(A3)及び(A4)に示したチタン酸化物型の固体電解質及びナシコン型のリン酸化合物等は、酸素雰囲気下での焼成においても安定な性能を示すため緻密体21の材質としてより好ましい。
緻密体21に含有される固体電解質のより好適な具体例としては、Li0.35La0.55TiOを挙げることができる。なお、上述したように、本例においては緻密体21、正極側多孔層22及び負極側多孔層23には同一の固体電解質材料が使用されていたが、これらは互いに相違していてもよい。また、これらのうちの任意の二つのみ(即ち、緻密体21と正極側多孔層22のみ、緻密体21と負極側多孔層23のみ、正極側多孔層22と負極側多孔層23のみ)が共通する固体電解質材料を含有するように構成されてもよい。
<第1活物質(正極側多孔層22に充填される活物質、即ち、正極活物質)の材料>
第1活物質として、次に挙げる材料を使用することができる。
(B1)二酸化マンガン(MnO)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiMn又はLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えば、LiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(例えば、LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えば、LiNi1−yCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えば、LiMnCo1−y)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えば、LiMn2−yNi)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えば、LiFePO、LiFe1−yMnPO、LiCoPO)、ナシコン構造を有するリチウムリン酸化合物(例えば、Li(PO)、硫酸鉄(Fe(SO)、バナジウム酸化物(例えば、V)。なお、これらの化学式中、x,yは0〜1の範囲であることが好ましい。
(B2)上記(B1)に列挙した材質のうちの2種以上を使用した材質。
なお、正極側多孔層22には、導電助材を必要に応じて含めることができ、例えば導電助材を溶液中に分散させて多孔層内部に充填したり、固体電解質表面にコーティングする手法が挙げられる。この導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、種々の炭素繊維及びカーボンナノチューブ等を挙げることができる。
第1活物質のより好適な具体例としては、LiCoO、LiMn、LiMnO、及び、Li(PO等を挙げることができる。
<第2活物質(負極側多孔層23に充填される活物質、即ち、負極活物質)の材料>
第2活物質として、次に挙げる材料を使用することができる。
(C1)グラファイトカーボン、ハードカーボン及びソフトカーボン等のカーボン。
(C2)LiAl、LiZn、LiBi、LiCd、LiSd、LiSi、LiPb、Li4.4Sn及びLi0.17C(LiC)等の金属化合物。
(C3)SnO、SnO、GeO、GeO、InO、In、PbO、PbO、Pb、Pb、AgO、AgO、Ag、Sb、Sb、Sb、SiO、ZnO、CoO、NiO、TiO及びFeO等の金属酸化物。
(C4)LiFeN、Li2.6Co0.4N、Li2.6Cu0.4N等のLi金属化合物。
(C5)LiTi12で表されるリチウム−チタン複合酸化物等のLi金属酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物を含む。)。
(C5)ホウ素添加カーボン及びホウ素添加グラファイト等のホウ素添加炭素。
(C6)グラファイト。
(C7)リチウムリン酸化合物(例えば、Li(PO)等のナシコン構造を有する化合物。
(C8)上記(C1)〜(C7)に挙げた材質のうちの2種以上を使用した材質。
なお、負極側多孔層23には、上記正極側多孔層22にて説明した導電助材と同様の導電助材を必要に応じて含めることができ、例えば導電助材を溶液中に分散させて多孔層内部に充填したり、固体電解質表面にコーティングする手法が挙げられる。
第2活物質のより好適な具体例としては、LiTi12、TiO及びLi(PO等を挙げることができる。
<緻密体21に含まれる固体電解質、第1活物質及び第2活物質の別の組合せ>
更に、緻密体21に含まれる固体電解質、第1活物質及び第2活物質は、以下のような材質とすることができる。
[1]第1活物質(正極活物質)22b、第2活物質(負極活物質)23b及び緻密体21に含まれる固体電解質が、それぞれ下記一般式(1)〜(3)で表される物質。
…(1)
…(2)
…(3)
但し、前記一般式(1)〜(3)中、
MはH、Li、Na、Mg、Al、K、又はCaであり、
X1、X2、及びX3はSiO、PO、SO、MoO、WO、BO及びBOからなる群より選択される少なくとも一種のポリアニオンであり、
a、d及びgは0〜5の数であり、
b、e及びhは1〜2の数であり、
c、f及びiは1〜3の数である。
更に、前記一般式(1)中、N1は、遷移金属、Al及びCuからなる群より選択される少なくとも一種である。
前記一般式(2)中、N2は、遷移金属、Al及びCuからなる群より選択される少なくとも一種である。
前記一般式(3)中、N3は、Ti、Ge、Hf、Zr、Al、Cr、Ga、Fe、Sc及びInからなる群より選択される少なくとも一種である。
[2]前記一般式(1)及び(2)中、X1とX2が、同一の前記ポリアニオンを少なくとも一種含み、前記一般式(2)及び(3)中、X2とX3が、同一の前記ポリアニオンを少なくとも一種含む材質。
[3]前記[1]又は[2]に記載した材料であって、前記一般式(1)〜(3)中のX1、X2、及びX3が、第1活物質22b、第2活物質23b及び緻密体21に含まれる固体電解質間において相互に同一である材質。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の材質であって、前記一般式(1)〜(3)中のMが、第1活物質22b、第2活物質23b及び緻密体21に含まれる固体電解質間において相互に同一である材質。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の材質であって、第1活物質22b、第2活物質23b及び緻密体21に含まれる固体電解質の骨格構造が、それぞれ、前記一般式(1)中のX1、前記一般式(2)中のX2、及び前記一般式(3)中のX3を各々の共有の頂点とする頂点共有骨格構造である材質。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の材質であって、第1活物質22b、第2活物質23b及び緻密体21に含まれる固体電解質が、ナシコン構造を有するカチオン導電体である材質。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の材質を用いる場合、前記固体電解質の材質が正極側多孔層22及び負極側多孔層23の何れにも含有されていることは更に好ましい。
前記[1]〜[7]に記載の材質を使用することにより、高出力且つ長寿命の全固体型リチウム二次電池10が提供される。
<正極集電極31及び負極集電極32の材料>
正極集電極31及び負極集電極32の材料としては、例えば、白金(Pt)、白金(Pt)/パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及びITO(インジウム−錫酸化膜)等を挙げることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るセラミックス構造体(固体電解質構造体)の製造方法と、その製造方法によって製造される全固体型リチウム二次電池について説明する。
(構造)
図7に示したように、この全固体型リチウム二次電池50は、第1実施形態に係る固体電解質構造体20の負極側多孔層23を多孔層ではない負極層23’に置換した点のみにおいて全固体型リチウム二次電池10と相違している。このように、緻密体21の一方の表面のみに多孔層(この場合、正極側多孔層22)が形成された固体電解質構造体20’を用いた場合であっても、接続界面における接続抵抗(インピーダンス)を低減させ、良好な充放電特性を実現することができる。なお、固体電解質構造体20の正極側多孔層22のみを多孔層ではない正極層に置換した場合も同様である。
(固体電解質構造体(セラミックス構造体)20’の製造方法)
<1.準備工程>
<1−1.第1微粒子分散液体準備工程(第1活物質分散液体準備工程)>
第1実施形態における第1微粒子分散液体準備工程と同様に第1活物質分散液体を作製する。なお、第1実施形態と同様、第1活物質分散溶液中の第1活物質を含む粒子の大きさが正極側多孔層22の細孔よりも小さく、緻密体21の細孔よりは大きくなるように第1活物質分散溶液が調整される。
<1−2.充填前固体電解質構造体準備工程>
<1−2−1.グリーンシート作製工程>
次に、第1活物質が充填される前の正極側多孔層22と緻密体21との積層体(焼成体)を形成する。より具体的に述べると、上記第1グリーンシート21Aを準備するとともに、造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた上記第2グリーンシート22Aを準備する。第1及び第2グリーンシート21A,22Aは、上述した周知の方法により作製される。
<1−2−2.加圧接着工程>
次に、第1グリーンシート21Aの上面、第2グリーンシート22Aの下面に上記接着層(接着剤からなる層、接着ペースト)をスクリーン印刷により形成する。スクリーン印刷された接着層は、各グリーンシートと共にオーブン内にて加熱され乾燥させられる。なお、接着層は、次の積層工程において接合面となる第1グリーンシート21Aの上面及び第2グリーンシート22Aの下面の何れか一方のみに形成されればよい。
<1−2−3.積層・加圧工程>
次に、第1グリーンシート21Aの上面に第2グリーンシート22Aを積層(配置)する。その後、積層されたる第1グリーンシート21A及び第2グリーンシート22Aを加圧し、それらを互いに接着(加圧接着)させる。
<1−2−4.焼成工程>
このように積層された第1グリーンシート21A及び第2グリーンシート22Aを所定の焼成温度にて所定時間だけ一体焼成する。焼成温度及び焼成時間は、第1グリーンシート21A及び第2グリーンシート22Aの焼結が十分に進行する温度(例えば、1090℃、2時間)に設定する。この焼成過程において造孔剤が分解且つ消失する。その結果、第2グリーンシート22Aは細孔22aを有する正極側多孔層22となる。以下、この状態にある構造体を、便宜上「半構造体」と称呼する。半構造体も「充填前構造体」の一つである。
<2.配置工程>
次に、上述した第1容器41及び第2容器42を準備する。但し、第2実施形態において、第1容器41の底部に形成されている円柱状凹部41aの高さは、半構造体の高さと同じである。次に、第1容器41と第2容器42とを貫通孔41bを介して連通し且つOリング41d又はゴム栓等によって気密に接続する。
その後、半構造体を第1容器41の円柱状凹部41aに挿入・配置する。このとき、正極側多孔層22が緻密体21より上方に位置し且つ半構造体の下面(この場合、緻密体21の正極側多孔層22が形成された面と反対側の面である緻密体21の露呈面)が第1容器41の貫通孔41bを覆うように、半構造体を第1容器41内に配置する。
<3.充填実施工程>
次に、準備しておいた第1活物質分散液体(第1微粒子分散液体)SOL1を第1容器41に注ぐ。これにより、第1実施形態と同様に、正極側多孔層22の露呈面(正極側多孔層22の上面)が、第1活物質分散液体SOL1内に露呈される。このとき、半構造体の下面(この場合、緻密体21の露呈面)の一部が貫通孔41bを介して第2容器42内の空間に露呈される。
この状態において、第2容器42の空気取出し部42aを図示しないポンプ(減圧装置)に接続し、このポンプを駆動して第2容器42内の気圧を低下させ、第2容器42内を真空化する。換言すると、正極側多孔層22の露呈面側(正極側多孔層22の上面側)と半構造体の露呈面側(この場合、緻密体21の下面側、緻密体21の露呈面側)との間に圧力差を生じさせる。これにより、第1活物質分散液体SOL1は、正極側多孔層22の露呈面から半構造体の露呈面まで、正極側多孔層22及び緻密体21を経由して通過する。
このとき、第1活物質分散液体SOL1に分散された第1活物質は、正極側多孔層22の露呈面から細孔22aを通過して緻密体21の上面(緻密体21と正極側多孔層22との界面、即ち、正極側多孔層22の深部)に到達する。この結果、第1活物質が細孔22a内に充填される。一方、第1活物質は緻密体21の細孔を通過できない。従って、第1活物質分散液体SOL1に含まれる第1活物質以外のもの(溶剤等の液体や分散剤等)のみが緻密体21を通過して半構造体の露呈面に到達し、その後、貫通孔41bを通過して第2容器42の底部に貯留される。係る状態を所定時間だけ継続することにより、適量の第1活物質を正極側多孔層22(正極側多孔層22の細孔22a内)全体に満遍なく行き渡らせる。
<4.第1不純物除去工程(正電極−緻密体の界面調整工程)>
次に、第1活物質が正極側多孔層22の細孔内に充填された半構造体(以下、「半充填半構造体」とも称呼する。)を第1容器41から取り出し、その半充填半構造体に熱を加える(加熱して昇温する)。これにより、正極側多孔層22(正極側多孔層22の細孔22a)及び緻密体21に充填され且つ未乾燥状態にある前記第1活物質分散液体SOL1に含まれる第1活物質以外の不純物(例えば、溶媒等の有機物等)を除去する。
<5.負極層23’形成工程>
一方、負極層23’となる層を、負極側活物質(第2活物質)を含む電極材料を所定厚みの薄膜状又はシート状に成形することにより作製する。より具体的には、負極側活物質及び緻密体21に含まれる固体電解質と同じ固体電解質のみを含む原料、又は負極側活物質及び他の固体電解質を含む原料、からなる接着ペーストを作製し、その接着ペーストを緻密体21の露呈面(正極側多孔層22が形成されていない面)に塗布し、その後、全体を加熱焼成する。なお、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、イオンビーム蒸着法、電子ビーム蒸着法等の方法によって、緻密体21の下面に負極層23’を形成してもよい。
<8.正極集電極及び負極集電極の作製工程>
最後に、正極集電極31及び負極集電極32を、第1実施形態と同様にして作製する。以上が、本発明の第2実施形態に係る固体電解質構造体50の製造方法である。
以上、説明したように、本発明のセラミックス構造体の製造方法の各実施形態によれば、極めて効率的に正極側多孔層22に第1活物質を充填できるとともに、負極側多孔層23に第2活物質を充填することができる。従って、セラミックス構造体(又は、固体電解質構造体)を使用する製品の製造時間を短縮し且つ製造コストを低減することができる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上述した第1グリーンシート21A、第2グリーンシート22A及び第3グリーンシート23Aは、互いに異なる固体電解質を含有していてもよい。
また、上記各実施形態の充填実施工程(第1充填実施工程、第2充填実施工程、及び、充填実施工程)においては、第2容器42内の気圧を減圧して第2容器42内を真空化していた。これに代わり、各充填実施工程において、第1容器内41の気圧を増大してもよい。
即ち、図8に示したように、第1容器41に代わる第1容器41’と、第2容器42と、を準備する。第1容器41の側壁の上部近傍には第2容器42の空気取出し部42aと同様な空気導入部41eが設けられている。更に、第1容器41は蓋体41fにより密封されるようになっている。その他の点において第1容器41’は第1容器41と同じ構造を有している。一方、第2容器42の空気取出し部42aは開放しておく。
そして、このような第1容器41’と第2容器42とを上記各充填実施工程と同様に気密に接続するとともに、第1容器41’の円柱状凹部41aに充填前構造体、半充填構造体、又は、半構造体挿入・配置する。その後、第1容器41内’に多孔層の細孔に充填するべき活物質を含む活物質分散液体を入れ、第1容器41’を蓋体41fにより密封する。次いで、空気導入部41eを図示しないポンプ(増圧装置)に接続し、そのポンプを駆動して第1容器41’上部(活物質分散液体が満たされていない部分)の気圧を増大する。これにより、活物質を充填しようとしている多孔層の上面側(露呈面側)と充填前構造体、半充填構造体、又は、半構造体の下面側(露呈面側)との間に圧力差が生じるので、その活物質分散液体が充填前構造体、半充填構造体、又は、半構造体を通過する。従って、活物質分散液体が活物質を充填しようとしている多孔層の細孔内に満遍なく適量だけ充填される。
また、各充填実施工程において、第1容器内41を密閉するとともに、第1容器内41内の気圧を増大し、且つ、第2容器内42の気圧を減圧してもよい。更に、第1容器41内の気圧を増大することに代えて、第1容器41を密閉するとともに第1容器41内を活物質分散液体により満たし、活物質分散液体そのものをポンプ等により加圧して第1容器41内に圧送するように構成することもできる。即ち、第1容器41内の活物質分散液体に第2容器42内の気圧よりも大きな圧力を加えてもよい。なお、活物質分散液体そのものをポンプ等により加圧して第1容器41内に圧送する場合、第1容器41及び/又は充填前構造体等が破損しないように、第1容器41内の活物質分散液体の液圧が一定値以下となるように制限するリリーフ弁を更に設けることが好ましい。また、第1容器41及び第2容器42(第3容器及び第4容器)、又は、第1容器41’及び第2容器42は、互いに別体の容器であったが、それぞれを個別に作成後、一体化しておいてもよい。
また、上述したように、本発明によるセラミックス構造体の製造方法は、上述した全固体型電池が備える固体電解質構造体に限らず、例えば、緻密体・多孔層の焼成体であるセラミックス構造体(固体電解質構造を含む。)であって、多孔層の細孔内に微粒子を充填してなる装置(例えば、多孔層の細孔内に触媒物質を担持させるセラミックスフィルタやガスセンサ等)にも適用され得る。
加えて、上述した充填実施工程において、前記多孔層の露呈面(正極側多孔層22の露呈面又は負極側多孔層23の露呈面)は、緻密体21に対してどのような方向に配置(維持)されてもよい。即ち、前記多孔層の露呈面は、第1容器41等が密閉され且つ微粒子分散液体が第1容器41内に満たされていれば、前記緻密体21に対して、例えば、鉛直上方、鉛直下方、斜め上方、斜め下方及び水平方向等に配置されてもよい。
本発明の第1実施形態に係るセラミックス構造体の製造方法によって製造される全固体型リチウム二次電池の断面図である。 図1に示したセラミックス構造体の斜視図である。 図1に示したセラミックス構造体の前駆体の断面図である。 図1に示したセラミックス構造体であって活物質が充填される前のセラミックス構造体の断面図である。 本発明の第1実施形態に係るセラミックス構造体の製造方法において使用する第1容器及び第2容器の斜視図である。 図6の(A)は図5に示した第1容器の断面図、図6の(B)は第1容器の平面図である。 本発明の第2実施形態に係るセラミックス構造体の製造方法によって製造される全固体型リチウム二次電池の断面図である。 本発明の実施形態の変形例に係るセラミックス構造体の製造方法において使用する第1容器及び第2容器の斜視図である。
符号の説明
10…全固体型リチウム二次電池、20…固体電解質構造体、20B…充填前構造体、21…緻密体、22…正極側多孔層、23…負極側多孔層、22a,23a…細孔(気孔、空孔)、22b,23b…活物質、21A…第1グリーンシート、22A…第2グリーンシート、23A…第3グリーンシート、31…正極集電極、32…負極集電極、41…第1容器、41a…円柱状凹部、41b…貫通孔、41c…接続部、42…第2容器、42a…空気取出し部。

Claims (11)

  1. セラミックスからなる板状の緻密体と同緻密体の少なくとも一方の表面に焼成一体化されたセラミックスからなる多孔層とを有し、前記多孔層内に微粒子を充填させたセラミックス構造体の製造方法であって、
    前記微粒子を分散させた液体である微粒子分散液体を準備する微粒子分散液体準備工程と、前記微粒子が前記多孔層に充填される前の前記セラミックス構造体である充填前構造体を準備する充填前構造体準備工程と、を含む準備工程と、
    前記充填前構造体を所定位置に配置する配置工程と、
    前記充填前構造体の前記多孔層の表面であって前記緻密体と接していない表面である同多孔層の露呈面を前記微粒子分散液体内に露呈させるとともに、同充填前構造体の同多孔層の露呈面と反対側の表面である同充填前構造体の露呈面の少なくとも一部を空間に露呈させ、同多孔層の露呈面側と同充填前構造体の露呈面側との間に所定の圧力差を生じさせることにより同微粒子分散液体を同多孔層の露呈面から同充填前構造体の露呈面まで同多孔層及び同緻密体を経由して通過させ、同微粒子分散液体内の前記微粒子を同多孔層内に充填する充填実施工程と、
    を含んでなるセラミックス構造体の製造方法。
  2. 請求項1に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
    前記配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第1容器と同貫通孔を介して同第1容器と気密に接続された第2容器とを準備するとともに、前記多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記充填前構造体の露呈面が同貫通孔を覆うように同充填前構造体を同第1容器内に配置する工程であり、
    前記充填実施工程は、前記第1容器内に前記微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第2容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第1容器内の同微粒子分散液体に同第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程である、
    セラミックス構造体の製造方法。
  3. 請求項2に記載のセラミックス構造体の製造方法であって、更に、
    前記充填実施工程が終了した後、前記セラミックス構造体を加熱することにより、前記多孔層内に充填され且つ未乾燥状態にある前記微粒子分散液体に含まれる前記微粒子以外の不純物を除去する不純物除去工程、
    を含むセラミックス構造体の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
    前記緻密体及び前記多孔層を形成するセラミックスが固体電解質からなり、
    前記微粒子が電池の電極に用いる電極活物質であるセラミックス構造体の製造方法。
  5. 請求項4に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
    前記充填前構造体準備工程は、
    特定の固体電解質を含有し且つ造孔剤を含有しない第1グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第2グリーンシートと、を準備し、同第1グリーンシートと同第2グリーンシートとを同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質からなる接着層を介して加圧接着し、同加圧接着された同第1グリーンシートと同第2グリーンシートとを一体焼成する工程を含む、
    セラミックス構造体の製造方法。
  6. セラミックスからなる板状の緻密体と同緻密体の上面及び下面に同緻密体とそれぞれ焼成一体化されたセラミックスからなる第1多孔層及びセラミックスからなる第2多孔層とを有し、前記第1多孔層内に第1微粒子を充填させ且つ前記第2多孔層に第2微粒子を充填させたセラミックス構造体の製造方法であって、
    前記緻密体の上面及び下面に前記第1多孔層及び前記第2多孔層をそれぞれ焼成により形成することにより前記第1微粒子が前記第1多孔層に充填される前であり且つ前記第2微粒子が前記第2多孔層に充填される前の前記セラミックス構造体である充填前構造体を準備する充填前構造体準備工程と、
    前記第1微粒子が前記第1多孔層を通過可能であって且つ前記緻密体を通過不能となるように同第1微粒子を分散させた液体である第1微粒子分散液体を準備する第1微粒子分散液体準備工程と、
    前記第2微粒子が前記第2多孔層を通過可能であって且つ前記緻密体を通過不能となるように同第2微粒子を分散させた液体である第2微粒子分散液体を準備する第2微粒子分散液体準備工程と、
    前記充填前構造体を第1配置状態に配置する第1配置工程と、
    前記第1多孔層の表面であって前記緻密体と接していない表面である同第1多孔層の露呈面を第1微粒子分散液体内に露呈させるとともに、前記第2多孔層の表面であって前記緻密体と接していない表面である同第2多孔層の露呈面の少なくとも一部を空間に露呈させ、同第1多孔層の露呈面側と同第2多孔層の露呈面側との間に圧力差を生じさせることにより、同第1多孔層の露呈面から同第2多孔層の露呈面まで同第1多孔層、同緻密体及び同第2多孔層を経由するように同第1微粒子分散液体を通過させて前記第1微粒子を同第1多孔層内に充填する第1充填実施工程と、
    前記第1微粒子が前記第1多孔層に充填された充填前構造体を第2配置状態に配置する第2配置工程と、
    前記第2多孔層の露呈面を前記第2微粒子分散液体内に露呈させるとともに、前記第1多孔層の露呈面の少なくとも一部を空間に露呈させ、同第2多孔層の露呈面側と同第1多孔層の露呈面側との間に圧力差を生じさせることにより、同第2多孔層の露呈面から同第1多孔層の露呈面まで同第2多孔層、前記緻密体及び同第1多孔層を経由するように同第2微粒子分散液体を通過させて前記第2微粒子を同第2多孔層内に充填する第2充填実施工程と、
    を含むセラミックス構造体の製造方法。
  7. 請求項6に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
    前記第1配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第1容器と同貫通孔を介して同第1容器と気密に接続された第2容器とを準備するとともに、前記第1多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記第2多孔層の露呈面が同貫通孔を覆うように前記充填前構造体を同第1容器内に配置する工程であり、
    前記第1充填実施工程は、前記第1容器内に前記第1微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第2容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第1容器内の同第1微粒子分散液体に同第2容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程であり、
    前記第2配置工程は、底部の一部に貫通孔を有する第3容器と同貫通孔を介して同第3容器と気密に接続された第4容器とを準備するとともに、前記第2多孔層が前記緻密体より上方に位置し且つ前記第1多孔層の露呈面が同貫通孔を覆うように前記充填前構造体を同第3容器内に配置する工程であり、
    前記第2充填実施工程は、前記第3容器内に前記第2微粒子分散液体を貯留させるとともに、前記第4容器内の気圧を低下させるか及び/又は同第3容器内の同第2微粒子分散液体に同第4容器内の気圧よりも大きな圧力を加える工程である、
    セラミックス構造体の製造方法。
  8. 請求項6又は請求項7に記載のセラミックス構造体の製造方法であって、更に、
    前記第1充填実施工程後であって前記第2配置工程前に、前記第1微粒子が前記第1多孔層に充填された充填前構造体を加熱することにより、前記第1多孔層内に充填され且つ未乾燥状態にある前記第1微粒子分散液体に含まれる前記第1微粒子以外の不純物を除去する第1不純物除去工程、
    を含むセラミックス構造体の製造方法。
  9. 請求項6乃至請求項8の何れか一項に記載のセラミックス構造体の製造方法であって、更に、
    前記第2充填実施工程後に、前記第1微粒子及び前記第2微粒子が前記第1多孔層及び前記第2多孔層にそれぞれ充填されたセラミックス構造体を加熱することにより、前記第2多孔層内に充填され且つ未乾燥状態にある前記第2微粒子分散液体に含まれる前記第2微粒子以外の不純物を除去する第2不純物除去工程、
    を含むセラミックス構造体の製造方法。
  10. 請求項6乃至請求項9の何れか一項に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
    前記緻密体、前記第1多孔層及び前記第2多孔層を形成するセラミックスが固体電解質からなり、
    前記第1微粒子は電池の正極を形成するための正極活物質及び同電池の負極を形成するための負極活物質の何れか一方であり、
    前記第2微粒子は前記正極活物質及び前記負極活物質の何れか他方である、
    セラミックス構造体の製造方法。
  11. 請求項10に記載のセラミックス構造体の製造方法において、
    前記充填前構造体準備工程は、
    特定の固体電解質を含有し且つ造孔剤を含有しない第1グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第2グリーンシートと、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質を含有するグリーンシートに造孔剤を50体積%以上の割合で含有させた第3グリーンシートと、を準備し、同第1グリーンシートに含有された同特定の固体電解質からなる接着層を介して同第1グリーンシートの上面に同第2グリーンシートを加圧接着するとともに、同接着層を介して同第1グリーンシートの下面に同第3グリーンシートを加圧接着し、同加圧接着された同第1グリーンシート、同第2グリーンシート及び同第3グリーンシートを一体焼成する工程を含む、
    セラミックス構造体の製造方法。
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