ところで、セル積層体を堅固に締結するためには、入力側プレートに、比較的大きな荷重を加える必要がある。しかし、大荷重により入力側プレートが湾曲してしまうと、セル積層体を、セルの面展開方向に亘って、均等に押圧することが困難になる。この観点から、入力側プレートには、高剛性であることが要求される。このため、入力側プレートの板厚は、大きい方が好ましい。
しかしながら、入力側プレートの板厚が大きくなると、その分、セル押圧アセンブリの、荷重が加わる方向(セル積層方向)の全長(以下、適宜、単に「全長」と略称する。)が大きくなってしまう。この点、セル押圧アセンブリの設置スペース削減の観点からは、セル押圧アセンブリの全長は、小さいことが要求される。
このような相反する要求を満たすために、本発明者は、収容凹部を有する入力側プレートを案出した。当該入力側プレートの押圧面(セル積層体側の面)には、複数の収容凹部が配置されている。収容凹部には、コイルスプリングの一端部が収容されている。この入力側プレートによると、例えば、押圧面に立ち爪状の保持部を設け当該保持部によりコイルスプリングの一端を保持する場合と比較して、同等のストロークを確保しながら、セル押圧アセンブリの全長を小さくすることができる。並びに、隣接する収容凹部間の壁部がリブとして作用するため、入力側プレートは所望の剛性を確保することができる。
ところが、燃料電池用セル押圧アセンブリに、収容凹部を有する入力側プレートを用いると、外部から荷重を加える際、ある特定の部位に応力が集中する場合がある。このため、最大応力(最大主応力の最大値。以下同じ。)が大きくなる場合がある。ここで、最大応力を小さくするためには、入力側プレートの形状を変更する必要がある。しかしながら、形状変更の部位や程度などによっては、入力側プレートの剛性が低くなるおそれがある。
本発明の燃料電池用セル押圧アセンブリは、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、所望の剛性を確保しつつ、入力側プレートの最大応力を小さくすることができる燃料電池用セル押圧アセンブリを提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の燃料電池用セル押圧アセンブリは、複数の弾性体からなる弾性体群と、該弾性体群の伸縮方向一端側に配置され、外部から荷重が入力される入力側プレートと、該弾性体群の伸縮方向他端側に配置され、該弾性体群を介して伝達される該荷重を出力して、積層された複数のセルからなるセル積層体を押圧する出力側プレートと、を備えてなる燃料電池用セル押圧アセンブリであって、前記入力側プレートは、複数の前記弾性体の一端部が収容されると共に開口部の面積が底部の面積よりも大きい複数の収容凹部を持つ押圧面と、前記荷重が加わる荷重部と、該荷重が加わる際の該荷重部に対する変位量が最大になる最大変位部と、を有し、該荷重部の平均板厚は、該最大変位部の平均板厚よりも小さいことを特徴とする(請求項1に対応)。
本発明のセル押圧アセンブリの入力側プレートは、押圧面を有している。押圧面には、複数の収容凹部が配置されている。収容凹部には、弾性体の一端部が収容される。押圧面の収容凹部は、開口部と底部とを有している。開口部は、押圧面に略面一に連なっている。底部は、開口部から深さ方向に最も離間して配置されている。開口部の面積(詳しくは収容凹部の深さ方向に対して略垂直方向の面積。以下同じ。)は、底部の面積よりも、大きい。このため、荷重が加わる際、圧縮された弾性体が、胴膨れ、胴曲がり、座屈、倒れ込みなどを起こして、収容凹部に干渉するのを抑制することができる。
また、開口部の面積が底部の面積よりも大きいため、任意の隣接する一対の収容凹部間の壁部に着目すると、壁部における開口部間の距離(以下、適宜、「開口部間肉厚」と称する。)は、底部間の距離(以下、適宜、「底部間肉厚」と称する。)よりも、小さくなる(つまり薄肉になる)。したがって、外部から荷重が加わる際、壁部の当該開口部間の部分に、最大応力が発生する。
この点、本発明のセル押圧アセンブリによると、荷重部の平均板厚が、最大変位部の平均板厚よりも小さい。板厚が小さいと、その分、収容凹部の深さが浅くなる。このため、板厚が大きい場合と比較して、開口部間肉厚は大きくなる(つまり厚肉になる)。すなわち、荷重部(詳しくは、押圧面のうち荷重部に配置される領域)に配置される収容凹部の開口部間肉厚は、大きくなる。したがって、入力側プレートの板厚が一定の場合と比較して、荷重部に配置される収容凹部の壁部における開口部間の部位(以下、適宜、「開口部間部位」と称する。)に発生する最大応力を、小さくすることができる。このように、本発明のセル押圧アセンブリによると、荷重部において、開口部間部位に発生する最大応力を小さくすることができる。
一方、最大変位部の平均板厚は、荷重部の平均板厚よりも、大きい。このため、荷重が加わる際、最大変位部が変形しにくくなる。したがって、本発明のセル押圧アセンブリの入力側プレートによると、荷重部の平均板厚が小さいにもかかわらず、所望の剛性を確保することができる。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記入力側プレートは、前記荷重部を含む中央部と、前記最大変位部を含む周囲部と、からなり、該中央部の平均板厚は、該周囲部の平均板厚よりも小さい構成とする方がよい(請求項2に対応)。
本構成によると、中央部においては、開口部間部位に発生する最大応力を、小さくすることができる。一方、周囲部の平均板厚が、中央部の平均板厚よりも大きいため、入力側プレートは、所望の剛性を確保することができる。
(2−1)好ましくは、上記(2)の構成において、前記中央部と前記周囲部とは、前記押圧面においてスロープ状(傾斜面状)に連なっている構成とする方がよい。こうすると、中央部と周囲部とが押圧面においてステップ状(段差状)に連なっている場合と比較して、荷重が加わる際の応力集中を抑制することができる。
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記中央部と前記周囲部との境界は、前記荷重部に対する前記最大変位部の変位量を100%として、該変位量が5%以上100%以下となる範囲に設定されている構成とする方がよい(請求項3に対応)。
図1(a)に、荷重が加わる前の入力側プレートの模式断面図を示す。図1(b)に、荷重が加わる際の入力側プレートの模式断面図を示す。なお、図1は、本発明のセル押圧アセンブリの作用を説明するために便宜上例示する図であり、本発明の入力側プレートの形状、外部からの荷重の付加方法、荷重部の配置数、形状などを何等限定するものではない。
中央部と周囲部との境界は、以下のようにして設定する。図1(a)に示すように、入力側プレート109は、荷重部110と、最大変位部111(太線で示す。)と、を有している。また、入力側プレート109の押圧面112には、複数の収容凹部(図略)が配置されている。
図1(b)に示すように、ロッド115により、荷重部110に荷重が加わると、入力側プレート109の最大変位部111は、荷重部110を起点として、荷重が加わる方向に向かって反り上がるように変位する。この変位量を100%とする。本例においては、変位量がA1(=5)%以上100%以下となる範囲内の、変位量B1%を基準に、境界B0を設定している。そして、境界B0を挟んで荷重部110を含む方の部分を、中央部113としている。並びに、境界B0を挟んで最大変位部111を含む方の部分を、周囲部114としている。このように、境界は、荷重が加わる際の変位量に基づいて設定される。
ここで、境界の位置を5%以上としたのは、5%未満の場合、周囲部が大きくなり(中央部が小さくなり)、押圧面において開口部間肉厚が小さい領域が、大きくなるからである。すなわち、所望の剛性は確保しやすい一方、開口部間部位に発生する最大応力が小さい領域が、小さくなるからである。
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記弾性体は、コイルスプリングである構成とする方がよい(請求項4に対応)。本構成によると、コイルスプリングのコイル径や長さなどを調整することにより、セル積層体に所望の締結荷重を加えることができる。
(5)また、上記課題を解決するため、本発明のセル押圧アセンブリは、複数の弾性体からなる弾性体群と、該弾性体群の伸縮方向一端側に配置され、外部から荷重が入力される入力側プレートと、該弾性体群の伸縮方向他端側に配置され、該弾性体群を介して伝達される該荷重を出力して、積層された複数のセルからなるセル積層体を押圧する出力側プレートと、を備えてなる燃料電池用セル押圧アセンブリであって、前記入力側プレートは、複数の前記弾性体の一端部が収容される複数の収容凹部を持つ押圧面を有し、該押圧面は、背面側から前記荷重が加わる荷重領域を有し、該荷重領域に配置される該収容凹部のうち、少なくとも一部の該収容凹部の開口部は、略多角形状の多角形開口部であり、該荷重領域以外の領域に配置される該収容凹部のうち、少なくとも一部の該収容凹部の開口部は、略真円形状の真円開口部であり、該多角形開口部の面積は該真円開口部の面積よりも大きく、隣接する該多角形開口部の直線部同士は、互いに略平行になるように配置されていることを特徴とする(請求項5に対応)。
図2(a)に、隣接する一対の真円開口部を押圧面上方から見た模式図を示す。図2(b)に、隣接する一対の多角形開口部を押圧面上方から見た模式図を示す。なお、図2は、本発明のセル押圧アセンブリの作用を説明するために便宜上例示する図であり、本発明の真円開口部あるいは多角形開口部の形状、開口部間の距離などを何等限定するものではない。
図2(a)に示すように、開口部が真円開口部100の場合、開口部間部位101(左上がりハッチングで示す。)は、押圧面102上方から見て、一対の半円が、互いに背中合わせに配置されたような形状を呈している。このため、開口部間肉厚が最小となる部位は、隣接する真円開口部100の重心(中心)同士を結んだ直線L1上の部位P1(太線で示す。)のみである。荷重が加わる場合、当該部位P1には、局所的に応力が集中する。このため、最大応力が大きくなる。
これに対して、図2(b)に示すように、開口部が多角形(一例として略正六角形)開口部103の場合、多角形開口部103の直線部L2同士は、互いに略平行になるように配置される。このため、開口部間部位104(左上がりハッチングで示す。)は、押圧面105上方から見て、一対の直線部L2が、互いに背中合わせに配置されたような部位P2(クロスハッチングで示す。)を有している。当該部位P2においては、開口部間肉厚が最小となる。当該部位P2は、多角形開口部103の直線部L2全長に亘って、開口部間部位104に延在している。このため、多角形開口部103を配置すると、荷重が加わる場合の応力集中を抑制することができる。したがって、最大応力を小さくすることができる。
一方、多角形開口部103の面積は真円開口部100(図2(b)において、一点鎖線の円で示す。)の面積よりも大きい。このため、真円開口部100間の開口部間肉厚は、多角形開口部103間の開口部間肉厚よりも、大きくなる。したがって、入力側プレートにおける真円開口部100に対応する部分は、多角形開口部103に対応する部分よりも、剛性が高くなる。
本発明のセル押圧アセンブリによると、荷重領域に配置される収容凹部の開口部は、多角形開口部である。一方、荷重領域以外の領域に配置される収容凹部の開口部は、真円開口部である。このため、荷重領域においては、応力集中を抑制することにより、開口部間部位に発生する最大応力を、小さくすることができる。並びに、荷重領域以外の領域の開口部間肉厚は大きいため、入力側プレートは、所望の剛性を確保することができる。
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記多角形開口部は、隣接する前記直線部間が曲線部を介して連結される略正六角形状を呈している構成とする方がよい(請求項6に対応)。
所望の締結荷重を確保しつつセル押圧アセンブリの全長を小さくするためには、入力側プレートと出力側プレートとの間に介装する弾性体の長さを短くし、かつ配置数を多くすることが好ましい。弾性体を密に配置しようとすると、押圧面において任意の一つの収容凹部が、他の六つの収容凹部に囲まれて隣接することになる。すなわち、一つの収容凹部が六方向に他の収容凹部に隣接することになる。
この点、本構成によると、多角形開口部が略正六角形状を呈している。このため、六方向に直線部を配置することができる。したがって、弾性体が密に配置される場合であっても、荷重領域においては、応力集中を抑制することができる。つまり、開口部間部位に発生する最大応力を、小さくすることができる。並びに、荷重領域以外の領域の開口部間肉厚は大きいため、入力側プレートは、所望の剛性を確保することができる。
(6−1)好ましくは、上記(5)の構成において、前記多角形開口部は、隣接する直線部間が曲線部を介して連結される略正方形状を呈している構成とする方がよい。本構成によると、四方向に直線部を配置することができる。したがって、任意の一つの収容凹部が、他の四つの収容凹部に囲まれて隣接する場合であっても、荷重領域においては、応力集中を抑制することができる。つまり、開口部間部位に発生する最大応力を、小さくすることができる。並びに、荷重領域以外の領域の開口部間肉厚は大きいため、入力側プレートは、所望の剛性を確保することができる。
(7)好ましくは、上記(5)または(6)の構成において、前記収容凹部の開口部の面積は、該収容凹部の底部の面積よりも大きい構成とする方がよい(請求項7に対応)。本構成によると、荷重が加わる際、圧縮された弾性体が、胴膨れ、胴曲がり、座屈、倒れ込みなどを起こして、収容凹部に干渉するのを抑制することができる。
(8)好ましくは、上記(5)ないし(7)のいずれかの構成において、前記弾性体は、コイルスプリングである構成とする方がよい(請求項8に対応)。本構成によると、コイルスプリングのコイル径や長さなどを調整することにより、セル積層体に所望の締結荷重を加えることができる。
(9)また、上記課題を解決するため、本発明のセル押圧アセンブリは、複数の弾性体からなる弾性体群と、該弾性体群の伸縮方向一端側に配置され、外部から荷重が加わる入力側プレートと、該弾性体群の伸縮方向他端側に配置され、該弾性体群を介して伝達される該荷重により、積層された複数のセルからなるセル積層体を押圧する出力側プレートと、を備えてなる燃料電池用セル押圧アセンブリであって、前記入力側プレートは、複数の前記弾性体の一端部が収容される複数の収容凹部を持つ押圧面を有し、該押圧面は、背面側から前記荷重が加わる荷重領域を有し、該荷重領域に配置される該収容凹部を含む三つ以上の隣接する該収容凹部の開口部の重心を繋いで形成される包囲領域のうち、少なくとも一部には、開口部間凹部が配置されていることを特徴とする(請求項9に対応)。
図3に、隣接する三つの開口部を押圧面の荷重領域上方から見た模式図を示す。なお、図3は、本発明のセル押圧アセンブリの作用を説明するために便宜上例示する図であり、本発明の開口部の形状、隣接する開口部の数、開口部間の距離などを何等限定するものではない。
図3に示すように、仮に開口部が真円状の場合、前出図2(a)同様に、開口部間肉厚が最小となる部位は、隣接する開口部106の重心G1同士を結んだ直線L3上の部位P3(太線で示す。)のみである。荷重が加わる場合、当該部位P3には、局所的に応力が集中する。このため、最大応力が大きくなる。
この点、本発明のセル押圧アセンブリの重心G1を繋いで形成される包囲領域r0(一点鎖線で示す。)の少なくとも一部には、開口部間凹部107(右上がりハッチングで示す。)が配置されている。開口部間凹部107を配置すると、その分だけ、収容凹部間の壁部の高さが小さくなる。このため、部位P3に集中する応力を、開口部間凹部107側に逃がすことができる。したがって、荷重領域108において、開口部間部位に発生する最大応力を、小さくすることができる。
一方、隣接する収容凹部が、全て、荷重領域以外の領域に配置されている場合、開口部間凹部は配置されない。このため、荷重領域以外の領域により、入力側プレートの剛性を確保することができる。
(10)好ましくは、上記(9)の構成において、前記包囲領域は、三角形状を呈している構成とする方がよい(請求項10に対応)。所望の締結荷重を確保しつつセル押圧アセンブリの全長を小さくするためには、入力側プレートと出力側プレートとの間に介装する弾性体の長さを短くし、かつ配置数を多くすることが好ましい。弾性体を密に配置しようとすると、押圧面において任意の一つの収容凹部が、他の六つの収容凹部に囲まれて隣接することになる。このため、包囲領域は、本構成のように三角形状となる。
本構成によると、弾性体が密に配置される場合であっても、荷重領域においては、応力集中を抑制することができる。つまり、開口部間部位に発生する最大応力を、小さくすることができる。並びに、荷重領域以外の領域により、入力側プレートの剛性を確保することができる。
(10−1)好ましくは、上記(9)の構成において、前記包囲領域は、四角形状を呈している構成とする方がよい。本構成によると、任意の一つの収容凹部が、他の四つの収容凹部に囲まれて隣接する場合であっても、荷重領域においては、応力集中を抑制することができる。つまり、開口部間部位に発生する最大応力を、小さくすることができる。並びに、荷重領域以外の領域により、入力側プレートの剛性を確保することができる。
(11)好ましくは、上記(9)の構成において、前記包囲領域のうち、前記荷重領域の中心に配置される一つは六角形状を呈しており、他は三角形状を呈しており、六角形状および三角形状の該包囲領域のうち、少なくとも六角形状の該包囲領域には、前記開口部間凹部が配置されている構成とする方がよい(請求項11に対応)。
所望の締結荷重を確保しつつセル押圧アセンブリの全長を小さくするためには、入力側プレートと出力側プレートとの間に介装する弾性体の長さを短くし、かつ配置数を多くすることが好ましい。弾性体を密に配置しようとすると、押圧面において任意の一つの収容凹部が、他の六つの収容凹部に囲まれて隣接することになる。このため、包囲領域は、三角形状となる。
しかしながら、荷重領域の中心にまで収容凹部を配置すると、所望の剛性を確保しにくい。そこで、本構成は、荷重領域の中心に、敢えて収容凹部を配置していない。荷重領域の中心には、収容凹部の代わりに、六角形状の大きな包囲領域が配置されている。また、当該包囲領域には、大きな開口部間凹部が配置されている。そして、六角形状の大きな包囲領域の周囲に、三角形状の包囲領域が配置されている。
本構成によると、荷重領域においては、応力集中を抑制することができる。つまり、開口部間部位に発生する最大応力を、小さくすることができる。並びに、荷重領域の中心に敢えて収容凹部を配置しないことにより、入力側プレートの剛性を確保することができる。
(12)好ましくは、上記(11)の構成において、前記収容凹部の開口部のうち、六角形状の前記包囲領域を形成する該開口部は、該開口部が真円形状の場合と比較して、該開口部のうち前記荷重領域の中心に最も近い中心端が、さらに該荷重領域の中心に近接するように配置された異形円状を呈している構成とする方がよい(請求項11に対応)。
本構成によると、荷重領域における応力集中を、さらに抑制することができる。つまり、開口部間部位に発生する最大応力を、より小さくすることができる。
(13)好ましくは、上記(9)ないし(12)のいずれかの構成において、前記収容凹部の開口部の面積は、該収容凹部の底部の面積よりも大きい構成とする方がよい(請求項13に対応)。本構成によると、荷重が加わる際、圧縮された弾性体が、胴膨れ、胴曲がり、座屈、倒れ込みなどを起こして、収容凹部に干渉するのを抑制することができる。
(14)好ましくは、上記(9)ないし(13)のいずれかの構成において、前記弾性体は、コイルスプリングである構成とする方がよい(請求項14に対応)。本構成によると、コイルスプリングのコイル径や長さなどを調整することにより、セル積層体に所望の締結荷重を加えることができる。
本発明によると、所望の剛性を確保しつつ、入力側プレートの最大応力を小さくすることが可能な燃料電池用セル押圧アセンブリを提供することができる。
以下、本発明の燃料電池用セル押圧アセンブリの実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
(燃料電池の構成)
まず、本実施形態のセル押圧アセンブリが組み付けられた燃料電池の構成について説明する。図4に、本実施形態のセル押圧アセンブリが組み付けられた固体高分子型燃料電池の側面図を示す。なお、図4以降の図における方位は、説明の便宜上設定するものであり、固体高分子型燃料電池、セル押圧アセンブリの配置方向を何ら限定するものではない。
図4に示すように、固体高分子型燃料電池9は、セル押圧アセンブリ1と、セル積層体8と、一対の絶縁プレート91a、91bと、一対のターミナルプレート92a、92bと、一対のエンドプレート90a、90bと、一対の拘束プレート93a、93bと、一対のテンションプレート94a、94bと、一対のアジャストロッド6a、6bとを備えている。
一対のエンドプレート90a、90bは、各々、アルミニウム合金製であって矩形板状を呈している。一対のエンドプレート90a、90bは、後述するセル積層体8の積層方向(上下方向)に所定間隔だけ離間して、平行に対向して配置されている。また、エンドプレート90aには、左右方向に所定間隔だけ離間して、一対のアジャストロッド貫通孔900a、900b(図4において、断面で示す。)が穿設されている。アジャストロッド貫通孔900a、900bの内周面には、各々、ねじ溝(図略)が形成されている。
一対のテンションプレート94a、94bは、各々、アルミニウム合金製であって矩形板状を呈している。一対のテンションプレート94a、94bは、左右方向に所定間隔だけ離間して、平行に対向して配置されている。これら一対のテンションプレート94a、94bと、一対のエンドプレート90a、90bとは、全体として矩形枠状になるように連結されている。
セル押圧アセンブリ1、セル積層体8、一対の絶縁プレート91a、91b、一対のターミナルプレート92a、92b、一対の拘束プレート93a、93b、一対のアジャストロッド6a、6bは、当該矩形枠内に収容されている。
セル積層体8は、多数のセル80が積層され形成されている。セル80は、MEA(電解質膜電極接合体。図略)がセパレータ(図略)で挟持されることにより形成されている。セル80は、薄板状を呈している。
一対のターミナルプレート92a、92bは、各々、銅製であって矩形板状を呈している。ターミナルプレート92aはセル積層体8の上方に、ターミナルプレート92bはセル積層体8の下方に、各々配置されている。
一対の絶縁プレート91a、91bは、各々、絶縁樹脂製であって矩形板状を呈している。絶縁プレート91aはターミナルプレート92aの上方に、絶縁プレート91bはターミナルプレート92bの下方に、各々配置されている。
一対の拘束プレート93a、93bは、各々、ウレタンフォーム製であって矩形板状を呈している。拘束プレート93aはセル積層体8の左方に、拘束プレート93bはセル積層体8の右方に、各々配置されている。
アジャストロッド6a、6bは、鋼製であって丸棒状を呈している。アジャストロッド6a、6bの外周面には、ねじ山が形成されている。アジャストロッド6aは、アジャストロッド貫通孔900aに挿入されている。アジャストロッド6aのねじ山は、アジャストロッド貫通孔900aのねじ溝と、螺合している。アジャストロッド6aを回動させることにより、アジャストロッド6aのねじ込み量Lを調整することができる。同様に、アジャストロッド6bは、アジャストロッド貫通孔900bに挿入されている。アジャストロッド6bのねじ山は、アジャストロッド貫通孔900bのねじ溝と、螺合している。アジャストロッド6bを回動させることにより、アジャストロッド6bのねじ込み量Lを調整することができる。
セル押圧アセンブリ1は、エンドプレート90aと絶縁プレート91aとの間に介装されている。また、セル押圧アセンブリ1は、アジャストロッド6a、6bのねじ込み量Lだけ、エンドプレート90aから離間している。
(セル押圧アセンブリの構成)
次に、本実施形態のセル押圧アセンブリの構成について説明する。図5に、本実施形態のセル押圧アセンブリの斜視合体図を示す。図6に、同セル押圧アセンブリの斜視分解図を示す。図5、図6に示すように、セル押圧アセンブリ1は、入力側プレート2と、出力側プレート4と、スプリング群3と、ガイドプレート5とを備えている。
スプリング群3は、多数のばね鋼製のコイルスプリング30から構成されている。スプリング群3は、本発明の弾性体群に含まれる。多数のコイルスプリング30は、規則的に配列されている。コイルスプリング30の上下方向投影面は、真円形状を呈している。
入力側プレート2は、アルミニウム合金製であって矩形板状を呈している。入力側プレート2は、スプリング群3の上方に配置されている。入力側プレート2の上面には、一対のロッド受け部材28a、28bが配置されている。ロッド受け部材28a、28bは、各々、鋼製であって、中央がやや盛り上がった円板状を呈している。ロッド受け部材28a、28bは、入力側プレート2の上面に、スクリューにより固定されている。ロッド受け部材28aには前出図4のアジャストロッド6aが、ロッド受け部材28bには前出図4のアジャストロッド6bが、各々当接する。入力側プレート2の四隅付近には、各々、ガイドロッド貫通孔21が穿設されている。ガイドロッド貫通孔21は、上方から下方に向かって縮径する段付き円筒状を呈している。入力側プレート2については、後で詳しく説明する。
出力側プレート4は、アルミニウム合金製であって矩形板状を呈している。出力側プレート4は、スプリング群3の下方に配置されている。出力側プレート4の上面46は、略平面状を呈している。上面46には、出力側凹部40が、多数形成されている。出力側凹部40は、多数のコイルスプリング30の各々に対応するように配置されている。出力側凹部40は、真円形状を呈している。出力側凹部40には、コイルスプリング30の下端が収容されている。出力側プレート4の四隅付近には、各々、ガイドロッド固定孔42が穿設されている。ガイドロッド固定孔42の内周面には、ねじ溝(図略)が形成されている。また、出力側プレート4の前後縁付近には、各々三つずつ、ボルト固定凹部41が凹設されている。
ガイドプレート5は、アルミニウム合金製であって矩形薄板状を呈している。ガイドプレート5は、出力側プレート4の上面46に固定されている。ガイドプレート5には、真円形状のコイルスプリング保持孔50が多数穿設されている。コイルスプリング保持孔50は、多数のコイルスプリング30の各々に対応するように配置されている。コイルスプリング保持孔50には、コイルスプリング30が上下方向に貫通して配置されている。ガイドプレート5の前後縁付近には、各々三つずつ、ボルト貫通孔51が穿設されている。ボルト45は、上方から下方に向かって、ボルト貫通孔51を貫通し、ボルト固定凹部41に螺着されている。すなわち、ボルト45により、ガイドプレート5は出力側プレート4の上面46に固定されている。
ガイドプレート5の四隅付近には、各々、ナット締結孔52が穿設されている。前出ガイドロッド貫通孔21と、当該ナット締結孔52と、前出ガイドロッド固定孔42とは、上下方向に一列に並んで配置されている。これら三つの孔には、上方から下方に向かって、ガイドロッド43が挿入されている。詳しく説明すると、ガイドロッド43は、鋼製であってボルト状を呈している。ガイドロッド43の軸部下方の外周面には、ねじ山が形成されている。ガイドロッド43の下端は、上方から下方に向かって、入力側プレート2のガイドロッド貫通孔21を貫通し、ガイドプレート5のナット締結孔52を貫通し、出力側プレート4のガイドロッド固定孔42に固定されている。具体的には、ガイドロッド43のねじ山とガイドロッド固定孔42のねじ溝とが螺着することにより、ガイドロッド43の下端はガイドロッド固定孔42に収容され固定されている。また、ガイドロッド43軸部外周面のナット締結孔52上方部分には、ナット44が螺着されている。ナット44は、ガイドロッド固定孔42に対するガイドロッド43下端のねじ込み量を規制している。ガイドロッド43頭部は、入力側プレート2のガイドロッド貫通孔21の段差上方に配置されている。ガイドロッド43頭部が当該段差に引っかかることにより、入力側プレート2と出力側プレート4との分離が抑制されている。
セル押圧アセンブリ1が固体高分子型燃料電池9に組み付けられた状態(前出図4参照。)では、アジャストロッド6a、6bから、ロッド受け部材28a、28bを介して、入力側プレート2に、荷重が加えられる。当該荷重により、入力側プレート2は、スプリング群3を圧縮しながら、下方(出力側プレート4方向)に移動する。出力側プレート4はスプリング群3により下方(セル積層体8方向)に付勢され、セル積層体8を押圧する。このようにして、セル積層体8に締結荷重が加えられる。
(入力側プレートの詳しい構成)
次に、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレートの構成について、詳しく説明する。図7に、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレートの斜視図を示す。図8に、同入力側プレートの下面図を示す。図9に、図8のIX−IX方向断面図を示す。図10に、図8のX−X方向断面図を示す。なお、図7に示す入力側プレート2は、前出図6の入力側プレート2を、軸L4を中心に上下反転させたものである(図中の方位を参照)。
図7〜図10に示すように、入力側プレート2の下面全体は、スプリング群3(前出図6参照)を押圧するための押圧面26となっている。また、入力側プレート2は、中央部R3と周囲部R4とからなる(ただし、入力側プレート2自体は一体物である。)。なお、図8においては、中央部R3と周囲部R4との境界B2を、一点鎖線で示す。
中央部R3は、矩形板状を呈している。押圧面26のうち、中央部R3に対応する部分は、上方に向かって緩やかに凹む凹面状(すり鉢状)を呈している。中央部R3は、左右一対の荷重部R1(図8において、点線で示す。)を有している。一対の荷重部R1は、各々、短軸円柱状を呈している。一対の荷重部R1の上面には、各々、前記ロッド受け部材28a、28bが配置されている(前出図4参照)。すなわち、一対の荷重部R1には、ロッド受け部材28a、28bを介して、アジャストロッド6a、6bから、直接的に荷重が加えられる。押圧面26のうち、荷重部R1に対応する部分には、荷重領域r1が配置されている。したがって、荷重領域r1には、背面側(上面側)から、荷重が加わることになる。
周囲部R4は、矩形枠状を呈している。周囲部R4は、中央部R3の周囲に配置されている。周囲部R4は、左右一対の最大変位部R2(図8、図10において、太線で示す。)を有している。左右一対の最大変位部R2は、入力側プレート2の左右縁に相当する。ロッド受け部材28a、28b(前出図4参照)から荷重部R1に荷重が加わる際、入力側プレート2は、荷重部R1を基点として、ちょうど反り上がるように変形する。この際、最大変位部R2の反り量(変位量)は、入力側プレート2全体において、最大となる。
押圧面26には、入力側凹部22が多数形成されている。入力側凹部22は、本発明の収容凹部に含まれる。多数の入力側凹部22は、多数のコイルスプリング30(前出図6参照)の各々に対応するように配置されている。入力側凹部22には、コイルスプリング30の上端が収容されている。すなわち、コイルスプリング30は、上端が入力側凹部22に、下端が出力側凹部40に、下端付近の胴部がコイルスプリング保持孔50に、各々収容されることにより、入力側プレート2と出力側プレート4との間に保持されている。
多数の入力側凹部22は、押圧面26の全面に亘って、規則的に配置されている。詳しく説明すると、複数の入力側凹部22は、所定間隔だけ離間して前後方向に並ぶ列を、多数構成している。多数の当該列は、左右方向に、平行に多数配列されている。ここで、入力側凹部22の配置数を多くするために、隣接する列間の入力側凹部22同士は、左右方向に一列に並ばないように(互い違いになるように)配置されている。このため、任意の入力側凹部22は、六つの入力側凹部22に囲まれている。
図11に、図8の荷重領域r1付近の拡大図を示す。図8、図11に示すように、荷重領域r1に配置される入力側凹部22は、略正六角形状を呈している。すなわち、荷重領域r1内の入力側凹部22は、六角形開口部220aと六角形底部221aとを備えている。六角形開口部220aは、本発明の多角形開口部に含まれる。六角形開口部220aの面積は、六角形底部221aの面積よりも、大きい。
これに対して、その一部でも荷重領域r1以外の領域に配置される入力側凹部22は、真円形状を呈している。すなわち、荷重領域r1外の入力側凹部22は、真円開口部220bと真円底部221bとを備えている。真円開口部220bの面積は、真円底部221bの面積よりも、大きい。また、コイルスプリング30(前出図6参照)の外径は、真円底部221bの内径と同じか、あるいは若干小径である。なお、出力側プレート4の出力側凹部40も、全て、当該真円形状の入力側凹部22と同様の形状を呈している。
図12に、荷重領域r1内の入力側凹部の拡大図を示す。図12に示すように、六角形開口部220aは、六つの直線部220cと、六つの曲線部220dと、を備えている。これら直線部220cと曲線部220dとが交互に連結されることにより、六角形開口部220aが形成されている。六角形開口部220aの面積は、真円開口部220b(図12において、一点鎖線で示す。)の面積よりも、大きい。また、真円開口部220bは、六角形開口部220aの内接円に該当する。同様に、六角形底部221aの面積は、真円底部221b(図12において、一点鎖線で示す。)の面積よりも、大きい。また、真円底部221bは、六角形底部221aの内接円に該当する。
図11に戻って、荷重領域r1には、多数の開口部間凹部223(ハッチングで示す。)が配置されている。開口部間凹部223は、各々、包囲領域r2(一点鎖線で示す。)内に配置されている。包囲領域r2は、隣接する三つの開口部(六角形開口部220aおよび真円開口部220bの総称。以下同じ。)の重心を繋いで形成されており、三角形状を呈している。開口部間凹部223の重心と包囲領域r2の重心とは、互いに一致している。
図13に、図11の荷重領域r1中央に配置される入力側凹部付近の拡大斜視図を示す。図13に示すように、開口部間凹部223は、一対の入力側凹部22間の壁部222が三つ収束する部位に配置されている。開口部間凹部223は、図中、一点鎖線で示すように、部分「裏」球面状を呈している。
図14に、図9の枠XIV内の拡大図を示す。前出図9、図14に示すように、入力側凹部22の上下方向断面形状は、開口部から底部(六角形底部221aおよび真円底部221bの総称。以下同じ。)に向かって狭まるテーパ状を呈している。開口部は、押圧面26に面一に連なっている。また、底部の上下方向位置は、全て一定である。
中央部R3の最小板厚T3は、周囲部R4の板厚T4よりも小さくなるように設定されている。このため、中央部R3の平均板厚は、周囲部R4の平均板厚(=T4)よりも小さい。したがって、任意の隣接する一対の入力側凹部22に着目すると、入力側プレート2の板厚が小さい方が、一対の入力側凹部22間の壁部222の高さが、低くなる。壁部222の高さが低くなると、壁部222頂面間の距離(水平方向の開口部間肉厚)が、大きくなる。すなわち、中央部R3の開口部間肉厚t3の方が、周囲部R4の開口部間肉厚t4よりも、大きくなる。
(セル押圧アセンブリの作用効果)
次に、本実施形態のセル押圧アセンブリの作用効果について説明する。本実施形態のセル押圧アセンブリ1の入力側凹部22、出力側凹部40は、開口部から底部に向かって狭まるテーパ状を呈している。このため、荷重が加わる際、圧縮されたコイルスプリング30が、胴膨れ、胴曲がり、座屈、倒れ込みなどを起こして、入力側凹部22あるいは出力側凹部40に干渉するのを抑制することができる。
ところで、入力側凹部22がテーパ状を呈していると、開口部間肉厚が底部間肉厚よりも小さくなる。例えば、前出図14に示すように、隣接する入力側凹部22間の壁部222は、六角形底部221aから六角形開口部220aに向かって徐々に薄肉になる。このため、外部から荷重が加わる際、開口部間部位に最大応力が発生してしまう。
この点、本実施形態のセル押圧アセンブリ1の入力側プレート2によると、中央部R3の平均板厚が、周囲部R4の平均板厚(=T4)よりも小さくなっている。このため、中央部R3の開口部間肉厚t3の方が、周囲部R4の開口部間肉厚t4よりも、大きい。したがって、開口部間部位に発生する最大応力を小さくすることができる。
一方、周囲部R4の平均板厚(=T4)は、中央部R3の平均板厚よりも、大きい。このため、荷重が加わる際、周囲部R4が変位しにくくなる。したがって、本実施形態のセル押圧アセンブリ1の入力側プレート2によると、中央部R3の平均板厚が小さいにもかかわらず、所望の剛性を確保することができる。
また、本実施形態のセル押圧アセンブリ1の入力側プレート2によると、前出図9、図10に示すように、中央部R3と周囲部R4とが、押圧面26において緩やかなスロープ状に連なっている。具体的には、平面状の周囲部R4下面と、平面状の緩やかな傾斜面と、平面状の中央部R3下面とが、丸面取り状の曲面を介して、連なっている。このため、中央部R3と周囲部R4とがステップ状に連なっている場合と比較して、荷重が加わる際の応力集中を抑制することができる。
また、本実施形態のセル押圧アセンブリ1の入力側プレート2によると、中央部R3と周囲部R4との境界B2が、荷重部R1に対する最大変位部R2の変位量を100%として、変位量が5%となる部位に設定されている。このため、所望の剛性を確保しつつ、開口部間部位に発生する最大応力を小さくすることができる。
また、本実施形態のセル押圧アセンブリ1によると、前出図4〜図6に示すように、本発明の弾性体として、コイルスプリング30が用いられている。このため、コイルスプリング30のコイル径や長さなどを調整することにより、セル積層体8に所望の締結荷重を加えることができる。
また、本実施形態のセル押圧アセンブリ1の入力側プレート2によると、前出図11に示すように、荷重領域r1に配置される入力側凹部22は、六角形開口部220aを備えている。また、前出図12に示すように、六角形開口部220aは、六つの直線部220cを備えている。ここで、隣接する六角形開口部220a間においては、互いの直線部220c同士が平行になるように配置されている。このため、開口部間部位の特定箇所に局所的に応力が集中するのを抑制することができる。したがって、開口部間部位に発生する最大応力を、小さくすることができる。また、六角形開口部220aは、六つの曲線部220dを備えている。このため、直線部220c同士が曲線部220dを介さずに直接連結されている場合と比較して、応力集中を抑制することができる。
一方、荷重領域r1以外の領域に配置される入力側凹部22は、真円開口部220bを備えている。このため、荷重領域r1以外の領域の開口部間肉厚は大きい。したがって、リブとしての剛性確保の効果が大きいため、入力側プレート2は所望の剛性を確保することができる。
また、本実施形態のセル押圧アセンブリ1の入力側プレート2によると、前出図11に示すように、荷重領域r1において、多数の包囲領域r2内に、各々、開口部間凹部223が配置されている。前出図13に示すように、開口部間凹部223を配置した部位は、押圧面26の面上から陥没しているため、その分だけ、壁部222の高さが小さくなる。このため、壁部222における応力分布の局所的な集中を、開口部間凹部223方向に逃がすことができる。したがって、荷重領域r1において、開口部間部位に発生する最大応力を、小さくすることができる。
一方、隣接する入力側凹部22が、全て、荷重領域r1以外の領域に配置されている場合、開口部間凹部223は配置されない。このため、入力側プレート2の剛性を確保することができる。
また、本実施形態のセル押圧アセンブリ1によると、入力側凹部22および出力側凹部40が形成されているため、これら入力側凹部22および出力側凹部40に、コイルスプリング30の両端を収容することで、コイルスプリング30の位置決めを容易に行うことができる。
また、コイルスプリング30は、入力側凹部22および出力側凹部40およびコイルスプリング保持孔50により、堅固に保持されている。したがって、セル押圧アセンブリ1の搬送時や使用時におけるコイルスプリング30のずれを抑制することができる。
また、本実施形態のセル押圧アセンブリ1によると、一対の入力側凹部22、出力側凹部40に対して、一つのコイルスプリング30が収容されている。このため、コイルスプリング30を多数配置する場合でも、個々のコイルスプリング30を互いに干渉することなく位置決めすることができる。
また、本実施形態のセル押圧アセンブリ1では、入力側プレート2、出力側プレート4、ガイドプレート5等、アルミニウム合金製の部材を多用している。よって、セル押圧アセンブリ1、ひいては固体高分子型燃料電池9の軽量化を図ることができる。さらに、本実施形態のセル押圧アセンブリ1は、スプリング群3に弾性力が生じるよう互いに連結された入力側プレート2、出力側プレート4により、モジュール化されている。このため、固体高分子型燃料電池9の製造や交換作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態のセル押圧アセンブリ1では、出力側プレート4の上にガイドプレート5が配置されている。ガイドプレート5を配置することで、セル押圧アセンブリ1を組み立てる際、コイルスプリング30の傾動を規制することができ、コイルスプリング30の取り付けがより簡単になる。すなわち、1)まず、出力側プレート4の上方にガイドプレート5を配置し、2)次いで、コイルスプリング30の下端を出力側凹部40に、上端をコイルスプリング保持孔50に収容して、コイルスプリング30の仮位置決めをし、3)最後に、コイルスプリング30の上端を入力側凹部22に収容することにより、多数のコイルスプリング30を簡単に取り付けることができる。なお、上記1)の工程と3)の工程とは、逆であってもよい。すなわち、入力側プレートと出力側プレートとの配置順序を逆にしてもよい。また、ガイドプレート5を配置すると、セル押圧アセンブリ1の搬送時、使用時におけるコイルスプリング30のずれを、より抑制することができる。このように、入力側凹部22、出力側凹部40、およびガイドプレート5による相乗効果で、コイルスプリング30の位置決めが一層容易になる。また、ガイドロッド43は、六角穴付きの頭部を有するため、ガイドロッド43の螺着作業が容易で、セル押圧アセンブリ1を組み立て易い。
<第二実施形態>
本実施形態のセル押圧アセンブリと第一実施形態のセル押圧アセンブリとの相違点は、中央部と荷重部とが一致している点である。すなわち、入力側プレートにおける荷重部以外の部分が、全て周囲部となっている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図15に、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレートの下面図を示す。なお、図8と対応する部位については、同じ符号で示す。また、図16に、図15のXVI−XVI方向断面図を示す。なお、図10と対応する部位については、同じ符号で示す。
図15、図16に示すように、中央部R30は、荷重部と一致している。すなわち、中央部R30は、短軸円柱状を呈しており、入力側プレート2において左右に一対配置されている。入力側プレート2における中央部R30以外の部分には、全て周囲部R40が配置されている。押圧面26のうち、中央部R30に対応する部分は、上方に向かって緩やかに凹む、部分「裏」球面状を呈している。このため、中央部R30の板厚は一定ではない。しかしながら、中央部R30の平均板厚は、周囲部R40の平均板厚よりも小さくなっている。
本実施形態のセル押圧アセンブリは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のセル押圧アセンブリと同様の作用効果を有する。また、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレート2によると、最も大きな荷重が加わる部分に限定して、平均板厚が小さい中央部R30が配置されている。したがって、入力側プレート2は、所望の剛性を確保しやすい。
<第三実施形態>
本実施形態のセル押圧アセンブリと第一実施形態のセル押圧アセンブリとの相違点は、押圧面の全ての入力側凹部が真円形状を呈している点である。また、開口部間凹部が配置されていない点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図17に、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレートの斜視図を示す。なお、図7と対応する部位については同じ符号で示す。図17に示すように、押圧面26の全ての入力側凹部22は、真円形状を呈している。すなわち、前出図11を引用して示すように、入力側凹部22は、真円開口部220bと、真円開口部220bよりも小径の真円底部221bと、を備えている。また、隣接する三つの入力側凹部22の開口部間には、前出図11に示すような開口部間凹部223は形成されていない。
本実施形態のセル押圧アセンブリは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のセル押圧アセンブリと同様の作用効果を有する。また、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレート2によると、全ての入力側凹部22が真円形状を呈している。並びに、開口部間凹部が配置されていない。このため、入力側プレート2は、所望の剛性を確保しやすい。
<第四実施形態>
本実施形態のセル押圧アセンブリと第一実施形態のセル押圧アセンブリとの相違点は、入力側プレートの板厚が一定となっている点である。また、入力側凹部にテーパが設定されていない点である。また、開口部間凹部が配置されていない点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図18に、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレートの下面図を示す。なお、図8と対応する部位については、同じ符号で示す。また、図19に、図18のXIX−XIX方向断面図を示す。なお、図10と対応する部位については、同じ符号で示す。
図18、図19に示すように、入力側プレート2の板厚は一定である。また、入力側凹部22の開口部と底部とは、同一形状を呈している。すなわち、開口部から底部に向かって狭まるテーパ形状は、設定されていない。また、隣接する三つの入力側凹部22の開口部間には、前出図11に示すような開口部間凹部223は形成されていない。
本実施形態のセル押圧アセンブリは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のセル押圧アセンブリと同様の作用効果を有する。また、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレート2によると、板厚が一定である。並びに、開口部間凹部が配置されていない。このため、入力側プレート2は、所望の剛性を確保しやすい。
<第五実施形態>
本実施形態のセル押圧アセンブリと第一実施形態のセル押圧アセンブリとの相違点は、入力側プレートの板厚が一定となっている点である。また、入力側凹部にテーパが設定されていない点である。また、押圧面の全ての入力側凹部が真円形状を呈している点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図20に、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレートの下面図を示す。なお、図8と対応する部位については、同じ符号で示す。図20に示すように、入力側プレート2の板厚は一定である。また、全ての入力側凹部22の開口部と底部とは、同径の真円形状を呈している。すなわち、開口部から底部に向かって狭まるテーパ形状は、設定されていない。また、略正六角形状の入力側凹部22は、配置されていない。
本実施形態のセル押圧アセンブリは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のセル押圧アセンブリと同様の作用効果を有する。また、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレート2によると、板厚が一定である。並びに、入力側凹部22は全て真円形状を呈している。このため、入力側プレート2は、所望の剛性を確保しやすい。
<第六実施形態>
本実施形態のセル押圧アセンブリと第一実施形態のセル押圧アセンブリとの相違点は、押圧面において入力側凹部が格子状に配置されている点である。また、荷重領域の入力側凹部が略正方形状を呈している点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図21に、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレートの下面図を示す。なお、図8と対応する部位については、同じ符号で示す。図21に示すように、入力側凹部22は、前後方向および左右方向に、直線状に配置されている。すなわち、入力側凹部22は、格子状に配列されている。このため、任意の入力側凹部22は、四つの入力側凹部22に囲まれている。
荷重領域r1に配置される入力側凹部22は、略正方形状を呈している。すなわち、荷重領域r1内の入力側凹部22は、正方形開口部230aと正方形底部231aとを備えている。正方形開口部230aは、本発明の多角形開口部に含まれる。正方形開口部230aの面積は、正方形底部231aの面積よりも、大きい。
正方形開口部230aは、四つの直線部と四つの曲線部とを備えている。これら直線部と曲線部とが交互に連結されることにより、正方形開口部230aが形成されている。正方形開口部230aの面積は、真円開口部220bの面積よりも、大きい。また、真円開口部220bは、正方形開口部230aの内接円に該当する。同様に、正方形底部231aの面積は、真円底部221bの面積よりも、大きい。また、真円底部221bは、正方形底部231aの内接円に該当する。
荷重領域r1には、多数の開口部間凹部224(ハッチングで示す。)が配置されている。開口部間凹部224は、各々、包囲領域r20(二点差線で示す。)内に配置されている。包囲領域r20は、隣接する四つの開口部の重心を繋いで形成されており、正方形状を呈している。また、開口部間凹部224は、部分「裏」球面状を呈している。
本実施形態のセル押圧アセンブリは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のセル押圧アセンブリと同様の作用効果を有する。また、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレート2によると、前出図8の入力側プレート2と比較して、入力側凹部22の配置数が少ない。このため、隣接する入力側凹部22間の開口部間肉厚が大きくなる。したがって、入力側プレート2は、所望の剛性を確保しやすい。
<第七実施形態>
本実施形態のセル押圧アセンブリと第一実施形態のセル押圧アセンブリとの相違点は、荷重領域の中心に入力側凹部が配置されていない点である。また、入力側凹部のうち、荷重領域の中心を囲む六つの入力側凹部が異形円状を呈している点である。また、荷重領域の中心に六角形状の単一の包囲領域が、その周囲に三角形状の包囲領域が、それぞれ配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図22に、荷重領域付近の拡大図を示す。なお、図11と対応する部位については同じ符号で示す。図22に示すように、荷重領域r1に配置される六つの入力側凹部22は、異形円状を呈している。すなわち、荷重領域r1内の入力側凹部22は、異形円状開口部220eと異形円状底部221eとを備えている。異形円状開口部220eの面積は、異形円状底部221eの面積よりも、大きい。
荷重領域r1の中心には、六角形状の単一の包囲領域r21が配置されている。包囲領域r21の周囲には、三角形状の包囲領域r22が配置されている。中央の包囲領域r21には、大きな開口部間凹部225が凹設されている。周囲の包囲領域r22のうち、開口部間凹部225を中心として、前方二つの包囲領域r22および後方二つの包囲領域r22には、小さな開口部間凹部226が凹設されている。
図23に、図22の円XXIII内の拡大図を示す。図23に示すように、異形円状開口部220eの中心端220fは、開口部が真円形状の場合(図23中に点線で示す。)と比較して、より荷重領域の中心に近接するように、配置されている。言い換えると、中心端220fは、後方にシフトしている。異形円状開口部220eと異形円状底部221eとは、互いに相似形状を呈している。
図22に戻って、荷重領域r1に配置される、残りの五つ入力側凹部22も、図23の入力側凹部22と同様の形状を呈している。すなわち、残りの五つの入力側凹部22は、図23の入力側凹部22を、荷重領域の円中心を基準に、略60°ずつ回動させた形状を呈している。
本実施形態のセル押圧アセンブリは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のセル押圧アセンブリと同様の作用効果を有する。また、本実施形態のセル押圧アセンブリの入力側プレートによると、荷重領域r1の中心に入力側凹部22が配置されていない。このため、剛性確保が容易である。
また、包囲領域r21には大きな単一の開口部間凹部225が、包囲領域r22には小さな四つの開口部間凹部226が、各々配置されている。このため、荷重領域r1において、開口部間部位に発生する最大応力を、小さくすることができる。
また、荷重領域r1の六つの入力側凹部22は、荷重領域r1の中心に向かって先細る異形円状を呈している。この点においても、荷重領域r1における最大応力を小さくすることができる。
<その他>
以上、本発明の燃料電池用セル押圧アセンブリの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、入力側プレート2の作製方法は特に限定しない。切削加工により作製してもよい。また、鋳造により作製してもよい。また、中央部R3、R30や開口部間凹部223、224の凹面形状は特に限定しない。「裏」球面状、「裏」円錐状、「裏」角錐状などであってもよい。また、凹面形状は、荷重が加わる際の入力側プレート2の反りを、より抑制できる形状の方がよい。また、上記実施形態においては、ガイドプレート5(前出図6参照)を配置したが、ガイドプレート5は配置しなくてもよい。
また、中央部の設定方法も特に限定しない。例えば、第一実施形態のように、複数の荷重部R1を包含するように中央部R3を配置してもよい(前出図8参照)。あるいは、第二実施形態のように、荷重部ごとに局所的に中央部R30を配置してもよい(前出図15参照)。
また、例えば、第四実施形態のように、入力側凹部22がテーパ形状を呈しない場合は、入力側プレート2の板厚は、一定でもよい(前出図19参照)。また、例えば、第一実施形態と第六実施形態とを比較して判るように、押圧面26における入力側凹部22の配置も特に限定しない(前出図8、図21参照)。
また、入力側凹部22に、テーパ形状の代わりに、開口部から底部に向かって狭まる段差形状を付与してもよい。また、上記実施形態においては、一対のアジャストロッド6a、6bから、ロッド受け部材28a、28bを介して、入力側プレート2に荷重が加えられるが(前出図4参照)、荷重の加え方も特に限定しない。例えば、単一のアジャストロッド、あるいは三つ以上のアジャストロッドを用いて、荷重を加えてもよい。また、荷重を加える部位も特に限定しない。言い換えると、荷重部R1、荷重領域r1の配置数、配置部位、形状は特に限定しない。また、上記実施形態においては、本発明の弾性体としてコイルスプリング30を用いたが、例えばスポンジ、ゴム、弾性樹脂などを用いてもよい。