JP2008234885A - 発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 その発光素子は、透明電極と、この透明電極に対向して配置された対向電極と、中間電荷発生層と、前記透明電極と対向電極との間に中間に前記中間電荷発生層を挟んで介在された複数の有機発光層とを有し、かつ中間電荷発生層は、フタロシアニン系有機化合物ホストにnドーパントを含有する層と、フタロシアニン系有機化合物ホストにpドーパントを含有する層の積層構造からなり、前記両フタロシアニン系有機化合物が同一の化合物であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
より詳しくは、透明電極と対向電極との間に複数の有機発光層を積層し、その各有機発光層間に中間電荷発生層が挟んで配置されている有機EL発光素子、すなわちタンデム型有機EL発光素子に関する。
これを用いて表示装置(ディスプレイ)を形成するには、単一の発光素子をマトリックス状に配置するマトリックス型発光装置とすることになる。
その際に用いる有機発光材料については種々の材料が開発されているが、その効率は最大でもη=10cd/A〜17cd/Aであるといわれている。
高精細ディスプレイでは、走査線がN本(N>100)となり、そのため瞬間的には求める輝度Lo(nit)のN倍、すなわち、LN(nit)が必要である。
このときに必要な電流密度は、I=LN/η(A/m2)=(LN/η)×10-4(A/cm2)=(LN/η)×10-1(mA/cm2)である。
従って、求める輝度Lo=200(nit)とした場合、次の表1に示すような大電流密度が必要である。(η=10cd/Aのとき)
(a)走査ライン、信号ラインの抵抗により電圧降下が大きく、消費電力が増大する。
(b)大電流を注入できるような駆動回路が必要となり、そのため、駆動回路の大型化により薄型ディスプレイが実現できない。
しかも、高精細になるにつれ、走査ラインおよび信号ラインが細線化し高抵抗化するため、CR時定数が大きくなり、素子の応答が遅れ、動画像を得る場合の支障となる。
さらに、テレビジョンを実現したいというニーズに対しては輝度が300nit以上必要となるので、これらの問題はさらに不可避となる。
つまり、輝度を同一とすると、このタンデム型有機EL発光素子では、電圧は従来(非タンデム型の場合)のn倍にはなるものの、電流が従来の1/nでよいため、従来問題となっていた走査、信号ラインの抵抗による電圧降下は1/nとなる。
従来の発光装置(非タンデム型発光装置)では、走査線電流が大きく、そのため電圧降下が大きく、消費電力の増大をもたらすこと、また、高精細、大面積の発光装置では走査線電流が1A近くとなり、実質的にはドライバーICで駆動できないことが問題となっていたが、この提案のタンデム型では、走査線電流は従来の1/nとなり、消費電力も減少するので、より大面積かつ高精細、たとえば、12インチSVGA(画素数800×600、画素ピッチ110μm×330μm)以上も可能である。
このため、駆動波形の立ち上がり、立ち下がりが遅れ、動画表示に支障が出ていた。
しかしながら、タンデム型では、Coが1/nとなり、さらに駆動時に関係する静電容量C1も1/nとなり、その結果時定数はτo=Ro・(C1/n)となり、高速に応答し、動画表示も高品質で行うことができる。
なお、C1はCoと同一ではなく、駆動方式にもよるが、C1=Co×(縦画素数)程度となる。
また、製造プロセスが簡素化され、製造コストが低減された有機EL発光素子を提供することも目的とするものである。
(1)フタロシアニン系有機化合物が亜鉛フタロシアニン(ZnPc)であること
(2)nドーパントがマグネシウムであること
(3)pドーパントが7,7,8,8−テトラシアノー2,3,5,6テトラフルオロキノジメタン(F4−TCNQ)であること
(4)nドーパントを含有する層が透明電極側に配置されていること
(5)中間電荷発生層上にTPDからなるホール輸送層を形成したこと
(6)発光層はTPDからなるホール輸送層上に形成された、電子輸送層を兼ねるAlq3であること
(7)透明電極がITO、対向電極がアルミニウムであること
すなわち、画素の輝度をn倍にしようとした場合には、非タンデム型構造の発光装置では、駆動電流をn倍にする必要があるが、タンデム型有機EL発光素子では、駆動電圧がn倍にはなるものの、駆動電流は同じでよい。
つまり、輝度を同一とすると、タンデム型有機EL発光素子では、電圧は従来(非タンデム型の場合)のn倍になるものの、電流が従来の1/nでよいため、従来問題となっていた走査、信号ラインの抵抗による電圧降下は1/nとなる。
しかしながら、タンデム型では、Coが1/nとなり、さらに駆動時に関係する静電容量C1も1/nとなり、その結果時定数はτo=Ro・(C1/n)となり、高速に応答し、動画表示も高品質で行うことができる。
また、本発明では、ドーパントをドープするホストは、nドーパント及びpドーパントのいずれについてもフタロシアニン系有機化合物で同一の化合物であり、そのため製造プロセスは簡素化され、製造コストが低減される。
さらに、フタロシアニン系有機化合物は、熱安定性が高く、耐光性に優れており、この点でも好適なホスト材料である。
その図1は、発明を実施するための最良の形態を図示するものであり、図1に図示された発光素子は、ITOからなる透明電極1、この透明電極に対向して配置されたアルミニウムからなる対向電極2と、中間電荷発生層3とを備える。
透明電極1と中間電荷発生層3との間の有機発光層、すなわち下側の有機発光層は、正孔輸送層4及び発光層5から形成されている。
また、対向電極2と中間電荷発生層3との間の有機発光層、すなわち上側の有機発光層は、正孔輸送層6、発光層7、電子注入層8から形成されている。
なお、この図1に図示された発光素子においては、発光層7は電子輸送性を有しており、電子輸送層を兼務することになる。
すなわち電子輸送層は発光層と別に形成してもよい。
なお、発光層は電子輸送層を兼務できる材料である必要はなく、発光層単独の機能のみを有するものでもよく、その場合には必要なら別途電子輸送層を設ければよく、場合によっては設けなくともよい。
すなわち、有機発光層には、発光層のほかに正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子注入層を適宜組み合わせ使用でき、例えば下側の有機発光層にも上側の有機発光層と同様に電子注入層を形成してもよい。
その際に使用するフタロシアニン系有機化合物としては、隣接積層材料のHOMO準位、LUMO準位と近いHOMO準位、LUMO準位を有するという中間電荷発生層に要求される機能を発現することができるものであれば、特に制限されることなく各種フタロシアニン系有機化合物が使用できる。
なお、本発明で使用する「フタロシアニン系有機化合物」とは、下記一般式(1)で定義することができる範疇のものであり、その炭素環については、例えば炭素にフッ素が結合したもの(F16CuPc)等の各種置換基が結合したものであってもよい。
また、同様にフタロシアニン系有機化合物のホストにドーピングするpドーパントについても、通常使用されている各種のpドーパントが特に制限されることなく使用でき、それにはF4−TCNQ、FeCl3、SbCl5、F16CuPc等が例示できるが、強力な電子吸引性を有している点でF4−TCNQが好ましい。
その透明電極は、透明で有機発光層で発光した光を外部に取り出すことができ、かつ有機発光層を対向電極と共働して発光させることができる機能を有する限り特に制限されることなく各種電極材料が使用でき、ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム(IZO)、酸化亜鉛、酸化スズ等が例示できるが、抵抗が低いという点でITOが好ましい。
その対向電極は透明電極と共働して有機発光層を発光させることができる機能を有する限り特に制限されることなく各種電極材料が使用でき、Al、Mg−Ag合金等が例示できるが、高い導電性を有している点でAlが好ましい。
なお、図3は実施例1の発光素子の積層構造を図示するものである。
次いで、素子作製を行ったが、その際に真空蒸着装置(SULVAC製「EX−400」)を使用し、UVオゾン洗浄まで終了した基板を前記蒸着装置のチャンバー内に配置し、3.3×10-6Torr以下で、以下の全ての層を蒸着にて形成した。
そのTPD上に発光層兼電子輸送層として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称「Alq3」)を60nmの膜厚で形成し、続いて中間電荷発生層3を形成した。
まず、亜鉛フタロシアニン(略称「ZnPc」)とマグネシウムとを共蒸着することでフタロシアニン系有機化合物ホストにnドーパントを含有する層を10nmの膜厚で形成した。
なお、その際にはZnPcとMgとは重量比で3:1(すなわちZnPc:Mg=3:1)となるようにした。
なお、その際にはZnPcとF4−TCNQとは重量比で1:1(すなわちZnPc:F4−TCNQ=1:1)となるようにした。
その後、Alq3上に、Alq3とマグネシウムとを共蒸着することにより、電子注入層を10nmの膜厚で形成し、その形成後対向電極2であるアルミニウム層を60nmの膜厚で形成した。
なお、その共蒸着の際には、Alq3とMgとは重量比で3:1(すなわちAlq3:Mg=3:1)となようにした。
さらに、実施例1の発光素子について、輝度と電圧との関係(輝度−電圧特性)及び電流密度と電圧との関係(電流密度−電圧特性)を測定したところ、それぞれ図5及び6に示すとおりの結果が得られた。
すなわち、前記した透明電極であるITO上にホール輸送層としてTPDを70nmの膜厚で形成し、そのTPD上に発光層兼電子輸送層としてAlq3を60nmの膜厚で形成した。
その後、そのAlq3上にAlq3:Mg=3:1の層を膜厚10nmで形成し、その形成後対向電極であるアルミニウムを60nmの膜厚で形成した。
本発明はこの実施例2によっても何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることは実施例1の場合と同様にいうまでもない。
なお、図7には実施例2の発光素子の積層構造を図示する。
次ぎに、素子作製を行ったが、実施例1と同一の真空蒸着装置を使用し、洗浄した基板を前記蒸着装置のチャンバー内に同様に配置し、実施例1の場合と同様に3.3×10-6Torr以下で、以下の全ての層を蒸着にて形成した。
その後Alq3層上に電子注入層としてAlq3:Mg=3:1の層を層厚5nmで積層し、更に実施例1と同一の中間電荷発生層3を実施例1と同一の操作で、かつ同一の膜厚で形成した。
なお、「DCM−1」は、4−(ジシアノメチレン)−メチル−6−(4−ジメチルアミノスチリル)−4H−(ピラン)の略号である。
この発光により得られる光は黄色であるが、その発光スペクトルには2つのピークがあり、低い方のピークはAlq3のピークの緑発光に該当し、高い方のピークは赤発光のDCM−1のピークに該当することが、その図8に図示したそれぞれのピークからわかる。
以上のとおりであり、実施例2の発光素子については、2つの有機発光層の間に中間電荷発生層を介在させることにより、それぞれの発光層が発光していることが確認できる。
また、この実施例2の発光素子も、単体型の発光素子に比し約2倍の効率を発現でき、より高い電流効率(cd/A)を有する。
2 対向電極
3 中間電荷発生層
4 正孔輸送層4
5 発光層
6 正孔輸送層
7 発光層
8 電子注入層
Claims (8)
- 透明電極と、この透明電極に対向して配置された対向電極と、中間電荷発生層と、前記透明電極と対向電極との間に中間に前記中間電荷発生層を挟んで介在された複数の有機発光層とを有し、かつ中間電荷発生層は、フタロシアニン系有機化合物ホストにnドーパントを含有する層と、フタロシアニン系有機化合物ホストにpドーパントを含有する層の積層構造からなり、前記両フタロシアニン系有機化合物が同一の化合物であることを特徴とする発光素子。
- フタロシアニン系有機化合物が亜鉛フタロシアニン(ZnPc)である請求項1に記載の発光素子
- nドーパントがマグネシウムである請求項1又は2に記載の発光素子。
- pドーパントが7,7,8,8−テトラシアノー2,3,5,6テトラフルオロキノジメタン(F4−TCNQ)である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光素子。
- nドーパントを含有する層が透明電極側に配置されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光素子。
- 中間電荷発生層上にTPDからなるホール輸送層を形成した請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光素子。
- 発光層はTPDからなるホール輸送層上に形成された、電子輸送層を兼ねるAlq3である請求項6に記載の発光素子。
- 透明電極がITO、対向電極がアルミニウムである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の発光素子。
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