JP2008233667A - 反射防止フィルムおよび偏光板 - Google Patents

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【課題】緻密かつ耐擦傷性機械特性が強く、さらに透湿度が高く、高湿熱耐久性の高い反射防止フィルムおよびこれを有する偏光板の提供。
【解決手段】透明基材フィルム1上に、ハードコート層2、2層以上のプライマー層3,4、反射防止層5を順次積層した反射防止フィルム100であって、該2層以上のプライマー層3,4が、金属あるいは金属化合物単体もしくは混合物よりなり、かつ、該2層以上のプライマー層3,4が、異なる組成であることを特徴とする反射防止フィルム100。
【選択図】図1

Description

本発明は、高密度で機械強度が強く、更に偏光板保護フィルムの加水分解等の劣化の少ない高耐久性の反射防止フィルムおよびこれを用いた偏光板に関する。
LCDやCRT、プラズマデイスプレイパネル等の光学表示装置においては、太陽光や蛍光灯等の外光の写り込みを防止する反射防止フィルムが使用されることが多い。最近では、屋内での使用のみではなく、デジカメや携帯電話、デジタルビデオカメラ等のモバイル機器やカーナビゲーションの普及により、屋外での使用も増えてきている。
屋外の使用においては、外光の写り込みはより大きく、限りなくゼロに近い反射率を有する反射防止フィルムすなわちARフィルムが求められている。一般的に、ARフィルムは、数nmレベルの薄膜の多層成膜が可能なドライコーティング技術が用いられる。中でも、スパッタリング法は、蒸着法やイオンプレーティング法、CVD法などの他のドライコーティング方法に比べて、膜厚均一性が高く、ピンホール等の欠陥が少ないため、より視認性に優れた薄膜の形成が可能である。また、緻密な膜の形成が可能であることから、機械特性に非常に優れた薄膜の形成が可能である。
一方、LCD用途では、偏光板の保護フィルムに積層した構成の反射防止膜層が多く使用されている。近年、偏光板あるいは、反射防止フィルムは、車載や屋外環境などでの使用の増加に伴い、より高い要求耐久性能が求められている。一般的に、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムが、その吸湿性の高さから、偏光板の保護フィルムとして使用される。しかし、高温あるいは高温高湿の過酷条件下においては、TACフィルムの加水分解を起こしてしまうことから、耐久性に欠けることが問題となっている。
そこで、様々な水蒸気バリア性を付与した反射防止膜層が開発されており、特許文献1の特開2004−53797号公報によれば、基材の半分以下のバリア性を有した反射防止膜層を形成している。特許文献2の特開平10−10317号公報によれば、プラスチックフィルムの片面に300〜1000g/m/dayの光線透過性無機薄膜層を、もう片面に0〜10g/m/dayのバリア性薄膜層を形成している。
一方、現在の屋外環境下での使用頻度の上昇により、特に車載用途などでは、100℃近い極めて高い温度での耐久性が要求されている。このとき、水蒸気バリア性が高すぎると、外部からの水分の浸入はほとんどないものの、特に、高温環境化においては、偏光板やTACフィルムそのものから発生した水分が膜中に滞ることから、むしろ耐久性に欠けるという問題がわかってきた。そのため、内部発生した水蒸気の外部への透過性が適度に高い反射防止フィルムの開発が望まれている。
特開2004−53797号公報 特開平10−10317号公報
上記の通り、スパッタリング法においては、膜厚の均一制御性に優れ、ピンホール等の欠陥が少ないため、視認性が高く、生産段階においては収率が高い利点を有する。更に、非常に緻密な膜を形成できるため、耐擦傷性等の機械特性に優れた反射防止膜層の形成が可能であるという大きな利点を有する。
一方で、このスパッタリング成膜で形成した薄膜は、その膜の高密度性から、他の成膜方法に比べて、水蒸気のバリア性能が高いという特徴を持つ。従って、本発明は、緻密かつ耐擦傷性機械特性が強く、さらに透湿度が高く、高湿熱耐久性の高い反射防止フィルムおよびこれを有する偏光板の提供を目的とする。
請求項1に記載の発明は、透明基材フィルム上に、ハードコート層、2層以上のプライマー層、反射防止層を順次積層した反射防止フィルムであって、該2層以上のプライマー層が、金属あるいは金属化合物単体もしくは混合物よりなり、かつ、該2層以上のプライマー層が、異なる組成であることを特徴とする反射防止フィルムである。
請求項2に記載の発明は、前記反射防止層が、屈折率の異なる光学薄膜層を複数積層してなることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルムである。
請求項3に記載の発明は、前記反射防止層が、スパッタリング法を用いて形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルムである。
請求項4に記載の発明は、前記ハードコート層と接する第一プライマー層が、表面に微小な凹凸を有しており、前記反射防止層と接する第二プライマー層と前記第一プライマー層の組成が異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルムである。
請求項5に記載の発明は、前記透明基材フィルムが、トリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルムである。
請求項6に記載の発明は、前記2層以上のプライマー層を形成する前に、前記ハードコート層を設けた透明基材フィルムにアルカリ鹸化処理を施したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルムである。
請求項7に記載の発明は、前記アルカリ鹸化処理を施した後に、前記ハードコート層表面に低温プラズマ表面処理を施したことを特徴とする請求項6に記載の反射防止フィルムである。
請求項8に記載の発明は、前記第二プライマー層の膜厚が10nm以下であり、かつ、前記第一プライマー層の膜厚が前記第二プライマー層の膜厚よりも薄いことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルムである。
請求項9に記載の発明は、前記反射防止層上に防汚層を積層したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルムである。
請求項10に記載の発明は、温度40℃、相対湿度90%RHにおける水蒸気透過度が、20g/m/day以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルムである。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする偏光板である。
本発明によれば、耐擦傷性などの機械特性に優れ、高湿熱耐久性の高い反射防止フィルムおよびこれを有する偏光板が提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の反射防止フィルムの一実施形態の断面図である。
図1において、本発明の反射防止フィルム100は、透明基材フィルム1上に、ハードコート層2、第一プライマー層3、第2プライマー層4、反射防止層5が順次積層されている。さらに反射防止層5上に防汚層6が積層されている。
透明基材フィルム1としては、偏光子を吸着させたポリビニルアルコールフィルムの表面保護層となる基材を適用する。透明基材フィルム1としては、本発明の効果を奏すれば、材料に限りはないが、一般的に、トリアセチルセルロースなどのセルロースアセテート系樹脂などが挙げられる。更に、これらを使用する場合、その酢化度は問わない。透明基材フィルム1の厚さは、目的の用途に応じて、適宜選択すればよく、通常25〜300μm程度のものを使用する。また、この透明基材フィルム1には、可塑剤や紫外線吸収剤、劣化防止剤等の添加物が含まれても良い。
透明基材フィルム1上に、反射防止層5の機械強度を十分に発揮させるためのハードコート層2を設けてもよい。このハードコート層2としては、電離線や紫外線硬化型の樹脂あるいは、熱硬化性樹脂が使用され、紫外線硬化型のアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド等のアクリル系樹脂や有機珪素系樹脂やポリシロキサン樹脂が最適である。これらの材料の中には、硬化性を向上させるために、重合開始剤を添加してもよい。ハードコート層2の厚みとしては、物理膜厚0.5μm以上、好ましくは、3〜20μmである。また、ハードコート層2には、平均粒子0.01〜3μmの透明微粒子を分散させて、防眩処理を施しても良い。
透明基材フィルム1にハードコート層2を設けたのち、アルカリ鹸化処理が施されていることが好ましい。特に、トリアセチルセルロース基材においては、エステル基を加水分解し、水酸基を付与するアルカリ鹸化処理が好ましく、これにより、後工程である、ポリビニルアルコール層10との貼り合わせの密着性が著しく向上する。また、鹸化処理は液中の処理であるため、侵食・浸透性が高く、ハードコート層2においても、その後の層との密着性が高い。
また、鹸化工程の後、ハードコート層2側には、さらに、表面処理を施しても良い。このとき、表面処理方法としては、コロナ放電処理や電子ビーム処理、火炎処理、グロー放電処理、大気圧プラズマ処理等の処理が挙げられる。本発明では、低温プラズマ表面処理を施すのがとくに好ましい。
この後、ハードコート層2に、第一プライマー層3、第二プライマー層4を順番に設ける。プライマー層の材料としては、例えば、シリコン、ニッケル、クロム、錫、金、銀、白金、亜鉛、チタン、タングステン、ジルコニウム、パラジウム等の金属、あるいは、これら金属の2種類以上からなる合金、これらの酸化物、弗化物、硫化物、窒化物などの金属化合物が挙げられ、これは混合物であってもよい。このとき、第一プライマー層3と第二プライマー層4は異なる組成の膜を形成することが望ましい。
第一プライマー層3は、微小な凹凸表面を形成することにより、その後に積層させる成長方向を不規則な方向に形成させるための層である。基材表面に、極微量の粒子が付いてあれば良く、その膜は、粒子状や島状で構わない。その厚みは、物理膜厚で、5nm以下程度であり、更に、2nm以下であることが好ましい。また、その後の膜を不規則性に成膜するために、ジグザグ構造や波上構造に薄膜を形成しても良いが、透明性に影響を及ぼさない程度の膜厚と、材料を選択する必要がある。このような層の成膜条件としては、例えば成膜時間が極めて短いスパッタリングが挙げられ、装置条件によって異なるが数秒程度の照射が挙げられる。
第一プライマー層3は、アルミナ、シリカ、酸化ニオブ、酸化チタンなどから形成されることが好ましい。
第二プライマー層4は、密着性を向上させるために用いる。その厚みは、基材の透明性を損なわない程度あればよく、好ましくは、物理膜厚で、10nm以下、例えば1〜10nm程度であり、第一プライマー層3よりも厚い方が良い。
第二プライマー層4は、例えばSiOのような結合手が一本余った状態のもの、あるいは、市販のシランカップリング剤などを使用してもよい。
これらのプライマー層は、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着(CVD)法などのドライコーティング方法を用いることが好ましい。スパッタリング法がとくに好ましい。
反射防止層5としては、波長550nmにおける光の屈折率が1.6未満でかつ波長550nmにおける光の消衰係数が0.5以下の低屈折率透明薄膜層からなるものや、波長550nmにおける光の屈折率が1.9以上の高屈折率透明薄膜層、光の屈折率1.6未満の低屈折率透明薄膜層、光の屈折率1.6〜1.9程度の中屈折率透明薄膜層などの屈折率の異なる光学薄膜を複数積層した物などが挙げられる。例えば、高屈折率透明薄膜層、低屈折率透明薄膜層を交互に積層したものとして、基材側より順番に、高屈折率透明薄膜層、低屈折率透明薄膜層、高屈折率透明薄膜層、低屈折率透明薄膜層と構成したものが挙げられる。
高屈折率透明薄膜層の材料としては、インジウム、錫、チタン、シリコン、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、マグネシウム、ビスマス、セリウム、タンタル、アルミニウム、ゲルマニウム、カリウム、アンチモン、ネオジウム、ランタン、トリウム、ハフニウム無等の金属、あるいは、これら金属の2種類以上からなる合金、これらの酸化物、弗化物、硫化物、窒化物などが挙げられる。具体的には、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化セリウム等が挙げられるがこれに限られるものではない。また、複数積層する場合、必ずしも同じ材料を選択する必要なく、目的にあわせて、適宜選択すればよい。
低屈折率透明薄膜層の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化チタン、弗化マグネシウム、弗化バリウム、弗化カルシウム、弗化ハフニウム、弗化ランタン等の材料が、挙げられるがこれに限られるものでなく、更に、複数積層する場合、必ずしも同じ材料を選択する必要なく、目的にあわせて、適宜選択すればよい。
中屈折率透明薄膜層としては、例えば、酸化アルミニウム、弗化セリウムなどが挙げられる。
これらの光学薄膜層からなる反射防止層5は、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着(CVD)法などのドライコーティング方法で形成できる。膜厚均一性が高く、ピンホール等の欠陥が少ないため、より視認性に優れた薄膜の形成が可能であり、緻密な膜の形成が可能であることから、耐擦傷性などの機械特性に優れた薄膜の形成が可能であることからスパッタリング法を用いることが好ましい。中でも、より高い成膜速度と高い放電安定性により高生産性を得ることができることから、中周波領域の電圧印加により成膜を行うデュアル・マグネトロン・スパッタリング(DMS)法が最適である。
必要に応じて、反射防止層5の上、最表面層に防汚層6を設けても良い。防汚層6は、反応性官能基と結合している珪素原子を2つ以上有するフッ素含有珪素化合物から得られた層である。本発明における反応性官能基とは、反射防止層の最上層と反応し、結合しうる基を意味する。また、フッ素含有珪素化合物の反応性官能基同士を反応させることにより形成される層である。これにより、表面に汚れが付きにくく、更に、汚れが付いた場合でも拭き取り性能を上げることができる。
ところで、これらの反射防止フィルムの水蒸気透過度を測定する際には、基材や機能層の材質、厚み、更には温湿度の影響を受けて変化する。透湿率の温度依存性はアレニウス式で表される。
P=P0e−E/RT
P:透湿率(単位厚さ、単位水蒸気圧差あたりの水蒸気透過度)
P0:絶対零度の透湿率
E:透湿率の活性化エネルギー
R:気体定数
T:絶対温度
偏光板の表面保護膜として汎用されているトリアセチルセルロースフィルムの場合、厚さ100μmの水蒸気透過度は温度25℃相対湿度90%で120〜160g/m/day、温度40℃相対湿度90%で380g/m/dayとなる。この基材上に、様々な層を積層することで、水蒸気は、フィルムを透過しにくくなる。特に、優れた機械特性を有した緻密な膜により形成された反射防止層の水蒸気透過度は、ほぼゼロに近く、優れた水蒸気バリア性能を示す。
反射防止層5は複数の無機化合物を積層させているが、少なくともどれか1層が優れた水蒸気バリア性があると、そのフィルム全体の水蒸気バリア性能は高くなる。どれか一層フィルム内部からの水分の抜けは少なくなるため、全体の水蒸気透過度が速くなるように性能を改善する必要がある。
すなわち、本発明においては、反射防止層5の水蒸気透過度を調整するとともに、ハードコート層2と反射防止層5との間に、薄膜成長方向を不規則にする第一プライマー層3、密着性を付与する第二プライマー層4を挟む事で、例えばスパッタリング法の大きな利点である緻密な膜の形成が可能な特徴を有したまま、緻密な膜ゆえの特徴であった低い透湿性を改善し、適度な透湿性かつ密着性が良い高耐久性能を有した反射防止膜の形成が可能とした。
本発明の反射防止フィルムは、温度40℃、相対湿度90%RHにおける水蒸気透過度が、20g/m/day以上が好ましく、40〜250g/m/dayがさらに好ましい。
次に、図2を参照して、反射防止フィルム100を有する偏光板101について説明する。この偏光板101は、上記反射防止フィルム100と、ヨウ素により染色したポリビニルアルコールフィルム10、反対面の透明基材フィルム1と同じ材質のフィルム1、をこの順に積層し、貼り合わせることにより作成することができる。なお、反射防止フィルム以外の層構成については、これに限らず、公知の技術を採用できる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
[実施例1]
透明基材フィルム1に厚さ80μmのトリアセチルセルロースを用い、紫外線硬化型アクリル系樹脂を塗布し、乾燥・紫外線硬化させて5μmのハードコート層2を設けた後、40℃の1.5N−NaOH溶液にフィルムを2分間浸漬し、水洗し乾燥させた。
鹸化処理を施したハードコート層2上に、グロープラズマ処理を施し、第一プライマー層3として、Al膜を、スパッタリング法により成膜した。成膜は、電力7kW、アルゴンガス流量1300sccmの条件で2秒間成膜した。第二プライマー層4として、SiO層を、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccmの条件で、光学膜厚6nm成膜した。その後、反射防止層5として、成膜順に、TiO/SiO/TiO/SiOの4層設けた。TiOの成膜は、電力2.5kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量40sccm、SiOの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量20sccm、それぞれ成膜中の真空層内の圧力は、0.5Paで行った。
反射防止層各層の光学膜厚は、光学式の膜厚モニターにより、光量値を監視し、反射防止層の光学膜厚が、高屈折率透明薄膜層(TiO)、低屈折率透明薄膜層(SiO)、高屈折率透明薄膜層(TiO)、低屈折率透明薄膜層(SiO)として、それぞれ60nm/44nm/105nm/145nmとなるように成膜時間を設定した。
このように、作成した反射防止フィルム100の裏面に、図2に示したように、ヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム10、厚さ80μmのトリアセチルセルロース1を貼り合わせ、反射防止機能付きの偏光板101を作成した。
[実施例2]
第一プライマー層3として、SiO膜を用いた以外は、実施例1と同じ条件で反射防止機能付きの偏光板を形成した。
[比較例1]
ハードコート層に鹸化処理を施した後、直接、反射防止層を設けた以外は、実施例1と同様の条件にて、反射防止機能付きの偏光板を作成した。
[比較例2]
プラズマ処理を施した後、第二プライマー層を設けずに第一プライマー層のみ設けた以外は、実施例1同様の条件にて、反射防止層を形成した偏光板を作成した。
[比較例3]
プラズマ処理を施した後、第一プライマー層を設けずに第二プライマー層のみ設けた以外は、実施例1同様の条件にて、反射防止層を形成した偏光板を作成した。
[比較例4]
トリアセチルセルロースフィルムにハードコート層を設けた後、反射防止層は設けずに、偏光板と貼り合わせた。
[評価]
実施例、比較例で得られたサンプルを以下の方法で評価した。結果は表1に示す。
(1)スチールウール擦傷試験
スチールウール#0000を擦傷試験機に固定し、500gfの荷重をかけて、10往復の擦傷試験を各サンプルの反射防止層に対して行い、サンプルの磨耗状態(傷本数)を目視で観測した。
(2)耐熱性試験
実施例および比較例で作成した偏光板を、粘着フィルムを介して、ガラスに貼り付け、温度95℃のドライ環境の条件下に設定した恒温恒湿槽内に保持し、耐久性の評価を行った。セルロースフィルムの加水分解などの劣化の有無を、目視にて及び酢酸臭の確認、及び赤外分光測定におけるカルボニル基の吸収スペクトルの変化により判断した。
(3)耐湿熱性試験
実施例および比較例で作成した偏光板を、粘着フィルムを介して、ガラスに貼り付け、温度60℃、相対湿度95%のドライ環境の条件下に設定した恒温恒湿槽内に保持し、耐久性の評価を行った。セルロースフィルムの加水分解などの劣化の有無を、目視にて及び酢酸臭の確認、及び赤外分光測定におけるカルボニル基の吸収スペクトルの変化により判断した。
(4)水蒸気透過度
それぞれ、偏光板を貼り付ける前の、反射防止フィルムにおいて、温度40℃、相対湿度90%Rhの環境下における、水蒸気透過度を測定した。水蒸気透過度の測定は、JIS Z0208に順ずる方法を用いて測定した。
Figure 2008233667
実施例1から2で作成した反射防止フィルムを備えた偏光板においては、耐擦傷性性能が良好なことから、密着性が良く、さらに、耐熱性および耐湿熱性において、1000時間以上偏光板や偏光板の保護フィルムに変質のない優れた耐久性を有していることが確認できる。一方、比較例1の第一プライマー層のみでは、密着性が弱いことが、比較例2の第二プライマー層のみでは、密着性は良いものの、耐熱および耐湿熱試験、特に耐熱試験においては、250時間程度で加水分解反応が起こっていることが確認できた。
本発明の反射防止フィルムおよび偏光板は、LCDやCRT、プラズマデイスプレイパネル等の光学表示装置に有用である。
本発明の反射防止フィルムの一実施形態の断面図である。 本発明の偏光板の一実施形態の断面図である。
符号の説明
1 透明基材フィルム
2 ハードコート層
3 第一プライマー層
4 第二プライマー層
5 反射防止層
6 防汚層
10 偏光膜(ポリビニルアルコール)
100 本発明により作成された反射防止フィルム
101 本発明により作成された反射防止フィルムを有する偏光板

Claims (11)

  1. 透明基材フィルム上に、ハードコート層、2層以上のプライマー層、反射防止層を順次積層した反射防止フィルムであって、
    該2層以上のプライマー層が、金属あるいは金属化合物単体もしくは混合物よりなり、
    かつ、該2層以上のプライマー層が、異なる組成である、
    ことを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記反射防止層が、屈折率の異なる光学薄膜層を複数積層してなることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記反射防止層が、スパッタリング法を用いて形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記ハードコート層と接する第一プライマー層が、表面に微小な凹凸を有しており、
    前記反射防止層と接する第二プライマー層と前記第一プライマー層の組成が異なる、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 前記透明基材フィルムが、トリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  6. 前記2層以上のプライマー層を形成する前に、前記ハードコート層を設けた透明基材フィルムにアルカリ鹸化処理を施したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  7. 前記アルカリ鹸化処理を施した後に、前記ハードコート層表面に低温プラズマ表面処理を施したことを特徴とする請求項6に記載の反射防止フィルム。
  8. 前記第二プライマー層の膜厚が10nm以下であり、かつ、前記第一プライマー層の膜厚が前記第二プライマー層の膜厚よりも薄いことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  9. 前記反射防止層上に防汚層を積層したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  10. 温度40℃、相対湿度90%RHにおける水蒸気透過度が、20g/m/day以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする偏光板。
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