JP5369494B2 - 反射防止フィルム及び反射防止フィルムを有する偏光板 - Google Patents

反射防止フィルム及び反射防止フィルムを有する偏光板 Download PDF

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本発明は、反射防止フィルム及び反射防止フィルムを有する偏光板に関する。特に、後工程により発生する外観不良が少ないため、収率が良く、高密度かつ機械強度が強く、更に偏光板保護フィルムの外観不良や加水分解等の劣化の少ない環境耐久性に優れた反射防止フィルム及び反射防止フィルムを有する偏光板に関する。
LCDやCRT、プラズマデイスプレイパネル等の光学表示装置においては、太陽光や蛍光灯等の外光の写り込みを防止する反射防止フィルムが使用されることが多い。最近では、屋内での使用のみではなく、デジタルカメラや携帯電話、デジタルビデオカメラ等のモバイル機器やカーナビゲーションの普及により、屋外での使用も増えてきている。
外光の写り込みが大きい屋外の使用においては、限りなくゼロに近い反射率を有する反射防止フィルムすなわちAR(Anti Reflection)フィルムが求められている。一般的に、ARフィルムは、数nmレベルの薄膜の多層成膜が可能なドライコーティング技術が用いられている。中でも、スパッタリング法は、真空蒸着法やイオンプレーティング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの他のドライコーティング方法に比べて、膜厚均一性が高く、ピンホール等の欠陥が少ないため、より視認性に優れた薄膜の形成が可能である。また、緻密な膜の形成が可能であることから、機械特性に非常に優れた薄膜の形成が可能である。
一方、LCD用途では、偏光板の保護フィルムに積層した構成の反射防止層が多く使用されている。近年、偏光板、あるいは、反射防止フィルムは、車載や屋外環境などでの使用の増加に伴い、より高い要求耐久性能が求められている。一般的に、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムが、その吸湿性の高さから、偏光板の保護フィルムとして使用されている。しかし、高温あるいは高温高湿の過酷条件下においては、内部成分の揮発成分による気泡など、TACフィルムの加水分解を起こしてしまうことによる、変色、腐食等の外観不良が発生してしまい、耐久性に欠けることが問題となっている。
そこで、様々な水蒸気バリア性を付与した反射防止層が開発されており、特許文献1によれば、基材の半分以下のバリア性を有した反射防止層を形成する技術を開示している。特許文献2によれば、プラスチックフィルムの片面に300g/m/day以上1000g/m/day以下の光線透過性無機薄膜層を、もう片面に0g/m/day以上10g/m/day以下のバリア性薄膜層を形成する技術を開示している。
一方、現在の屋外環境下での使用頻度の上昇により、特に車載用途などでは、100℃近い極めて高い温度での長時間の耐久性が要求されている。このとき、水蒸気バリア性が高すぎると、外部からの水分の浸入はほとんどないものの、特に、高温環境化においては、偏光板やTACフィルムそのものから発生した水分や内部の揮発成分が膜中に滞ることから、むしろ耐久性に欠けるという問題がわかってきた。そのため、内部発生した水蒸気や揮発成分の外部への透過性が適度に高い反射防止フィルムの開発が望まれている。
特開2004−53797号公報 特開平10−10317号公報
本発明は、収率が良く、緻密かつ耐擦傷性機械特性が強く、さらに透湿度及び揮発ガスの透過度が高く、高湿熱耐久性の高い反射防止フィルム及び反射防止フィルムを有する偏光板を提供することである。
本発明の請求項1に係る発明は、透明基材フィルムと、透明基材フィルムの一方の面上に形成された後にアルカリ鹸化処理が施されたハードコート層と、ハードコート層上に、プロセスガスであるアルゴンガス(Ar)の流量の反応性ガスである酸素(O 2 )の流量に対する比であるAr流量/O 2 流量の値を4.3以上1.6以下とする成膜条件でスパッタリング法により形成された反射防止層と、を順次積層してなる反射防止フィルムであって、反射防止フィルムは、温度23℃、乾燥状態でのアルゴンガスの気体透過度が、5.0×10-16mol/m2・s・Pa以上であり、温度40℃、相対湿度90%RHにおける水蒸気透過度が、65g/m2/day以上250g/m2/day以下であり、前記反射防止層は、酸化ニオブを有する高屈折率透明薄膜層と酸化シリコンを有する低屈折率透明薄膜層とを4層以上交互に積層させ、前記反射防止層の最外層が前記低屈折率透明薄膜層であることを特徴とする反射防止フィルムとしたものである。
本発明の請求項に係る発明は、ハードコート層と反射防止層との間に、金属、または、2種類以上の金属からなる合金、または、金属化合物、または、それらの混合物よりなり、1層以上からなるプライマー層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルムとしたものである。
本発明の請求項に係る発明は、反射防止層上に防汚層を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルムとしたものである。
本発明の請求項に係る発明は、防汚層の表面の算術平均粗さRaが、1.0nm以上5.0nm以下であることを特徴とする請求項に記載の反射防止フィルムとしたものである。
本発明の請求項に係る発明は、透明基材フィルムが、トリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の反射防止フィルムとしたものである。
本発明の請求項に係る発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする偏光板としたものである。
本発明によれば、成膜時の生産安定性が高く、後工程における外観不良の発生の少ない、非常に収率の高い生産性を有し、耐擦傷性試験、鉛筆硬度試験などの機械特性に優れ、さらに適度なガス透過度、透湿性を有することから、高温環境下での耐久性に優れた反射防止フィルム及び反射防止フィルムを有する偏光板を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。実施の形態において、同一構成要素には同一符号を付け、実施の形態において重複する説明は省略する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る反射防止フィルム100は、透明基材フィルム1、ハードコート層2、プライマー層3、反射防止層4が順次積層されている。さらに反射防止層4上に防汚層5が積層されている。
本発明の実施の形態に係る透明基材フィルム1としては、偏光子を吸着させたポリビニルアルコールフィルムの表面保護層となる基材を用いることができる。透明基材フィルム1としては、材料に制限はないが、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系、セロファン等のセルロース系、トリアセチルセルロース等のセルロースアセテート系等の有機高分子を有する材料を用いることができる。なかでも、トリアセチルセルロース等のセルロースアセテート系樹脂は特に保護性能が高く、好適に用いることができる。更に、これらを使用する場合、その酢化度は問わない。透明基材フィルム1の厚さは目的の用途に応じて適宜選択すればよく、25μm以上300μm以下のものを使用することができる。また、透明基材フィルム1は、可塑剤や紫外線吸収剤、劣化防止剤等の添加物が含まれてもいてもよい。
透明基材フィルム1上に、反射防止層4(後述する)の機械強度を十分に発揮させるためにハードコート層2を設けることができる。本発明の実施の形態に係るハードコート層2の材料は、電離線や紫外線硬化型の樹脂、あるいは、熱硬化性樹脂を使用することができ、例えば紫外線硬化型のアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド等のアクリル系樹脂や有機珪素系樹脂やポリシロキサン樹脂を用いることができる。これらの材料の中には、硬化性を向上させるために、重合開始剤を添加してもよい。ハードコート層2の厚みとしては、物理膜厚0.5μm以上、好ましくは、3μm以上20μm以下である。また、ハードコート層2には、平均粒子0.01μm以上3μm以下の透明微粒子を分散させて、防眩処理を施すことができる。
透明基材フィルム1上にハードコート層2を積層した後、アルカリ鹸化処理を施すことが好ましい。特に、透明基材フィルム1にトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)を用いた場合、トリアセチルセルロースフィルムはエステル基を加水分解するため、水酸基を付与するアルカリ鹸化処理を施すことが好ましく、これにより、後工程である偏光膜(ポリビニルアルコール)10との貼り合わせにおける密着性が著しく向上する(図2参照)。また、アルカリ鹸化処理は液中の処理であるため、侵食・浸透性が高く、ハードコート層2においても、その後積層する層との密着性が向上する。
また、アルカリ鹸化工程の後、透明基材フィルム1と接する面とは反対側のハードコート層2に表面処理を施しても良い。このとき、表面処理方法としては、コロナ放電処理や電子ビーム処理、火炎処理、グロー放電処理、大気圧プラズマ処理等の処理が挙げられる。本発明の実施の形態では、特に低温プラズマ表面処理を施すのが好ましい。低温プラズマ処理を行うことで、親水性の向上や、適度に表面を荒らすことにより、その後に積層する薄膜との密着性を向上させることができる。
ハードコート層2上に、プライマー層3を設けることができる。本発明の実施の形態に係るプライマー層3の材料は、例えば、シリコン、ニッケル、クロム、錫、金、銀、白金、亜鉛、チタン、タングステン、アルミニウム、ジルコニウム、パラジウム等の金属、または、これら金属の2種類以上を有する合金、または、これらの酸化物、弗化物、硫化物、窒化物などが挙げられ、これは混合物であってもよい。また、プライマー層3は2層以上を積層した構成であってもよい。
本発明の実施の形態に係るプライマー層3は、密着性を向上させるために用いることができる。プライマー層3の厚みは、透明基材フィルム1の透明性を損なわない程度あればよく、好ましくは、物理膜厚で、1nm以上10nm以下が好ましい。これらのプライマー層3は、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相成長(CVD)法などのドライコーティング方法を用いることが好ましい。特に、スパッタリング法が好ましい。
本発明の実施の形態に係る反射防止層4としては、波長550nmにおける光の屈折率が1.6未満でかつ波長550nmにおける光の消衰係数が0.5以下の低屈折率透明薄膜層単層からなるものや、波長550nmにおける光の屈折率が1.9以上の高屈折率透明薄膜層、光の屈折率1.6未満の低屈折率透明薄膜層、光の屈折率1.6〜1.9程度の中屈折率透明薄膜層などの屈折率の異なる光学薄膜を積層した複数層からなるものなどが挙げられる。複数層からなる反射防止層4は反射率がきわめて低く、反射防止性能が高いため好ましい。複数層からなる反射防止層4としては、透明基材フィルム1側より順番に、高屈折率透明薄膜層、低屈折率透明薄膜層、高屈折率透明薄膜層、低屈折率透明薄膜層とを積層した構成のものが挙げられる。
これらの光学薄膜層からなる反射防止層4は、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相成長(CVD)法などのドライコーティング方法で形成できる。膜厚均一性が高く、ピンホール等の欠陥が少ないため、視認性に優れ、緻密であり、耐擦傷性などの機械特性に優れた薄膜の形成が可能であるスパッタリング法を用いることが好ましい。中でも、より高い成膜速度と高い放電安定性により高生産性を得ることができることから、中周波領域の電圧印加により成膜を行うデュアル・マグネトロン・スパッタリング(DMS)法が最適である。
反射防止層4として用いられる高屈折率透明薄膜層の材料としては、インジウム、錫、チタン、シリコン、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、マグネシウム、ビスマス、セリウム、タンタル、アルミニウム、ゲルマニウム、カリウム、アンチモン、ネオジウム、ランタン、トリウム、ハフニウム等の金属、あるいは、これら金属の2種類以上からなる合金、これらの酸化物、弗化物、硫化物、窒化物などが挙げられる。具体的には、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化セリウム等が挙げられるがこれに限られるものではない。また、複数積層する場合、必ずしも同じ材料を選択する必要はなく、目的にあわせて、適宜選択すればよい。中でも、スパッタリング法を用いる場合は、作製した薄膜のピンホールの少なさから、酸化ニオブが適している。
反射防止層4として用いられる低屈折率透明薄膜層の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化チタン、弗化マグネシウム、弗化バリウム、弗化カルシウム、弗化ハフニウム、弗化ランタン等の材料が、挙げられるが本発明ではこれらに限定されるものではない。更に、複数積層する場合、必ずしも同じ材料を選択する必要がなく、目的にあわせて、適宜選択すればよい。特に、光学特性、機械強度、コスト、成膜適正などの面などから、酸化シリコンが最適な材料である。
ここで、本発明の実施の形態で用いられるスパッタリング法においては、膜厚の均一制御性に優れ、ピンホール等の欠陥が少ないため、視認性が高く、更に後工程における外観不良も少ない、全生産段階において収率が高い利点を有する。更に、非常に緻密な膜を形成できるため、耐擦傷性等の機械特性に優れた反射防止層4の形成ができるという大きな利点を有する。一方で、このスパッタリング法を用いて成膜で形成した薄膜は、その膜の高密度性から、他の成膜方法に比べて、水蒸気のバリア性能が高いという特徴を持つ。
必要に応じて、反射防止層4上の最表面層に防汚層5を設けることができる。本発明の実施の形態に係る防汚層5は、反応性官能基と結合している珪素原子を2つ以上有するフッ素含有珪素化合物から得られた層である。本発明の実施の形態に係る反応性官能基とは、反射防止層4の最上層(プライマー層3が形成されていない面)と反応し、結合しうる基を意味する。また、防汚層5はフッ素含有珪素化合物の反応性官能基同士を反応させることにより形成される。これにより、表面に汚れが付きにくく、更に、汚れが付いた場合でも拭き取り性能を上げることができる。本発明の実施の形態に係る防汚層5の形成方法は、ドライコーティング法及びウェットコーティング法を用いることができる。
反射防止層4の最表面層上に防汚層5を設けた場合には、防汚層5表面の算術平均粗さRaは1.0nm以上5.0nm以下であることが好ましい。防汚層5表面の算術平均粗さRaは、下層の反射防止層4の膜の密度に反映したパラメーターとすることができ、防汚層5表面の算術平均粗さRaが1.0nm未満であると、下層である反射防止層4の膜の密度が高いため、反射防止フィルム100の温度23℃、乾燥状態でのアルゴンガスの気体透過度を5.0×10−16mol/m・s・Pa以上とすることが困難となる。一方、防汚層5表面の算術平均粗さRaが5.0nmを超えると、反射防止層4の膜の密度が低く、十分な耐擦傷性や密着性等の機械特性を得ることができなくなる場合がある。
図2に示すように、本発明の実施の形態に係る反射防止フィルム100を有する偏光板101は、反射防止フィルム100、ヨウ素により染色した偏光膜(ポリビニルアルコールフィルム)10、反対面の透明基材フィルム1と同じ材質の透明基材フィルム1を順に積層し、貼り合わせることにより作製することができる。なお、反射防止フィルム100以外の層構成については、これに限らず、公知の技術を採用できる。
この偏光板101化工程で、貼り合わせ用の糊を使用することができる。加熱環境に置かれた時、これらの糊または、フィルム基材(透明基材フィルム1)に含まれる揮発成分等が内部で発生し、外部への逃げ道が無いと、気泡等の外観不良が起こってしまう。つまり、膜内に残る揮発ガスを膜の外部に逃がすことができれば、外観不良を防ぐことができる。従って、反射防止層4面の気体透過度を適度にあげる必要がある。
反射防止フィルム100の気体透過度の測定は、差圧法(JIS K7126−1)を用いることができる。この測定は、測定する装置の使用範囲内であれば、透過させる気体を限定しない測定方法であり、試験片により隔てられた一方(低圧側)を真空に保ち、もう一方(高圧側)に試験気体を導入し、低圧側の圧力の増加によって、気体透過度を測定する方法である。
反射防止フィルムの気体透過度(GTR)は、基材や機能層の材質、厚み、更には温湿度の影響を受けて変化する。気体透過度の算出方法は以下に示すとおりである。
GTR=Vc/R・T・Pu・A×dp/dt
GTR:気体透過度
Vc:低圧側容積
R:気体定数
T:試験温度
Pu:供給気体の差圧
A:透過面積
dp/dt:単位時間における低圧側の圧力変化
前述の通り、この試験で透過度を測定する透過気体としては、特に制限はない。しかし、純粋に気体の透過度の測定を行うためには、反応性が低く、適度な分子量を持つ気体が好ましい。特に、原子量20のアルゴンガスが一番好ましい。これにより、反射防止フィルム100に対する正確な気体の透過度が測定できる。
本発明の実施の形態に係る反射防止フィルム100は、適度な気体透過性すなわち通気性を保持し、かつ、良好な密着性を有するために、温度23℃、乾燥状態でのアルゴンガスの気体透過度が、5.0×10−16mol/m・s・Pa以上であることが好ましい。温度23℃、乾燥状態でのアルゴンガスの気体透過度が、5.0×10−16mol/m・s・Pa未満では、反射防止フィルム100の内部で発生した水蒸気や揮発成分の外部への透過性が低下するために、耐久性が低下してしまう。より好ましくは、1.0×10−14mol/m・s・Pa以上、5.0×10−14mol/m・s・Pa以下である。
気体透過度を上げる方法としては、成膜方法の選定などにより達成することができ、例えば、スパッタリング法で反射防止層4を成膜するにあってはプロセスガスであるアルゴン(Ar)と反応性ガスである酸素(O)の流量を変化させることにより可能となる。成膜条件をプロセスガスであるアルゴンと反応性ガスである酸素との流量を4.3以上18.6以下とすることにより気体透過度を5.0×10−16mol/m・s・Pa以上にできる。
ところで、反射防止フィルム100の水蒸気透過量は、基材や機能層の材質、厚み、更には温湿度の影響を受けて変化する。透湿率の温度依存性は以下に示すアレニウス式で表される。
P=P−E/R・T
P:透湿率(単位厚さ、単位水蒸気圧差あたりの水蒸気透過速度)
:絶対零度の透湿率
E:透湿率の活性化エネルギー
R:気体定数
T:絶対温度
偏光板101の表面保護膜として汎用されているトリアセチルセルロースフィルム(透明基材フィルム1)の場合、厚さ100μmの水蒸気透過速度は温度25℃相対湿度90%で120g/m/day以上160g/m/day以下、温度40℃相対湿度90%で380g/m/dayとなる。このトリアセチルセルロースフィルム上に、様々な層を積層することで、水蒸気はトリアセチルセルロースフィルムを透過しにくくなる。特に、優れた機械特性を有し、緻密な膜を積層してなる反射防止層4の水蒸気透過速度は、ほぼゼロに近く、優れた水蒸気バリア性能を示す。特に、スパッタリング法で作製した膜は、緻密な膜が形成されるため、水蒸気バリア性能の高い膜が形成される。
この時、反射防止層4の水蒸気バリア性能が高すぎると、反射防止フィルム100内部の水分が外部への逃げ道をなくし、反射防止フィルム100内部に滞り、耐久性を低下させる一要因となることから、環境耐久性を必要とする用途においては、反射防止フィルム100全体の水蒸気透過速度を適度に速めるように性能を改善する必要がある。
本発明の実施の形態に係る反射防止フィルム100は、適度な透湿性を保持し、かつ、良好な密着性を有するために、温度40℃、相対湿度90%RHにおける水蒸気透過度が、10g/m/day以上であることが好ましく、35g/m/day以上250g/m/day以下であることがさらに好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
図1に示すように、透明基材フィルム1に厚さ80μmのトリアセチルセルロースを用いた。透明基材フィルム1上に紫外線硬化型アクリル系樹脂を塗布し、乾燥・紫外線硬化させて5μmのハードコート層2を設けた後、40℃の1.5N−NaOH溶液にフィルムを2分間浸漬し、水洗し乾燥させた。次に、鹸化処理を施したハードコート層2上に、グロープラズマ処理を施し、プライマー層3として、スパッタリング法を用いて、SiO層を、膜厚3nmで成膜した。
次に、反射防止層4はスパッタリング法を用いて、任意の成膜圧力条件にて、層構成をハードコート層3側からNb/SiO/Nb/SiO、各層の膜厚は、それぞれ15nm/25nm/105nm/85nmとなるように成膜を行った。反射防止層4を積層した後、気体透過度測定、水蒸気透過度測定、反射防止層表面の算術平均粗さRaを測定した。
[実施例1]
反射防止層4の成膜条件を、SiO成膜時に導入されるAr流量とOの流量比をAr流量/O流量=8.2〜11.7の間とし、Nb成膜時に導入されるAr流量とOの流量比をAr流量/O流量=4.3〜11.7の間とし、反射防止層4を形成した。
[実施例2]
反射防止層4の成膜条件を、SiO成膜時に導入されるAr流量とOの流量比をAr流量/O流量=13.0〜18.6の間とし、Nb成膜時に導入されるAr流量とOの流量比をAr流量/O流量=6.8〜18.6の間とし、反射防止層4を形成した。
[比較例1]
反射防止層4の成膜条件を、SiO成膜時に導入されるAr流量とOの流量比とをAr流量/O流量=3.0〜4.3の間とし、Nb成膜時に導入されるAr流量とOの流量比をAr流量/O流量=1.6〜4.3の間とし、反射防止層4を形成した。
このように、作製した反射防止フィルム100の裏面(ハードコート層2が形成されていない面)に、図2に示すように、ヨウ素により染色した厚さ25μmの偏光膜(ポリビニルアルコールフィルム)10、厚さ80μmの透明基材フィルム1を貼り合わせ、反射防止機能付きの偏光板101を作製し、外観不良を目視にて確認した。
[評価]
実施例1、2及び比較例1で得られたサンプルを以下の方法で評価した。結果は表1に示す。
(1)反射率測定
日立製作所製U4000型の分光光度計を用いて、測定を実施した。サンプルの裏面側は艶消し黒塗りスプレーにより裏面からの反射をカットする処理を施し、測定の際には、正反射5°ユニットを使用した。
(2)機械強度
スチールウール#0000を擦傷試験機に固定し、500gfの荷重をかけて、10往復の擦傷試験を各サンプルの反射防止層に対して行い、サンプルの磨耗状態(傷本数)を目視で観測した。判定基準を以下に示す。
◎:傷無し
○:傷10本未満
×:傷10本以上
(3)耐熱性試験
実施例1、2及比較例1で作製した偏光板101を、粘着フィルムを介して、ガラスに貼り付け、温度95℃、相対湿度5%のドライ環境の条件下に設定した恒温恒湿槽内に500時間、保持し、耐久性の評価を行った。トリアセチルセルロースフィルムの加水分解などの劣化の有無を、目視にて及び酢酸臭の確認及び赤外分光測定におけるカルボニル基の吸収スペクトルの変化により判断した。
◎:劣化なし
○:一部劣化あり
×:劣化大
(4)耐湿熱性試験
実施例1、2及び比較例1で作製した偏光板101を、粘着フィルムを介して、ガラスに貼り付け、温度60℃、相対湿度95%のドライ環境の条件下に設定した恒温恒湿槽内に500時間、保持し、耐久性の評価を行った。トリアセチルセルロースフィルムの加水分解などの劣化の有無を、目視にて及び酢酸臭の確認及び赤外分光測定におけるカルボニル基の吸収スペクトルの変化により判断した。
◎:劣化なし
○:一部劣化あり
×:劣化大
(5)外観不良の確認
偏光板101加工を施した後、1m□に断裁し、蛍光灯(3波長型昼白光)を反射防止フィルムを有する偏光板101に透過させ、外観不良の数を確認した。
(6)気体透過度測定
それぞれ、偏光膜10を貼り付ける前の、反射防止フィルム100において、温度23℃、乾燥化におけるアルゴンガスの気体透過度を測定した。気体透過度の測定は、JIS K7126−1差圧法により、GTR−30XT(ヤナコテクニカルサイエンス社)を用いて行った。
(7)水蒸気透過度
それぞれ、偏光膜10を貼り付ける前の、反射防止フィルム100において、温度40℃、相対湿度90%Rhの環境下における、水蒸気透過度を測定した。水蒸気透過度の測定は、JIS Z0208に順ずる方法を用いて測定した。
(8)算術平均粗さ測定
反射防止フィルム100表面の算術平均粗さ測定(JIS B 0601)を、原子間力顕微鏡(AFM)NanoscopeIIIa(Digital Instruments社)を用いて行った。測定エリアは、1μm×1μmとした。
Figure 0005369494
実施例1、2で作製した反射防止フィルムを有する偏光板においては、成膜時の生産安定性が高く、偏光板化した際に外観不良の発生が少なく、収率の高い生産性が確認でき、反射率0.2%以下の極めて低い反射防止機能を持ち、機械特性に優れ、さらに適度なガス透過度、透湿性を有することから、高温環境下での耐久性に優れたていることが確認できる。これに対し、比較例1で作製した反射防止フィルムを有する偏光板に関しては、光学特性、機械特性は優れているものの、外観不良の数が非常に多く、更に環境耐久性も劣る。
本発明の実施の形態に係る反射防止フィルムを示す概略断面図である。 本発明の実施の形態に係る反射防止フィルムを有する偏光板を示す概略断面図である。
符号の説明
1 透明基材フィルム
2 ハードコート層
3 プライマー層
4 反射防止層
5 防汚層
10 偏光膜(ポリビニルアルコール)
100 反射防止フィルム
101 反射防止フィルムを有する偏光板

Claims (6)

  1. 透明基材フィルムと、
    前記透明基材フィルムの一方の面上に形成された後にアルカリ鹸化処理が施されたハードコート層と、
    前記ハードコート層上に、プロセスガスであるアルゴンガス(Ar)の流量の反応性ガスである酸素(O 2 )の流量に対する比であるAr流量/O 2 流量の値を4.3以上1.6以下とする成膜条件でスパッタリング法により形成された反射防止層と、を順次積層してなる反射防止フィルムであって、
    前記反射防止フィルムは、温度23℃、乾燥状態でのアルゴンガスの気体透過度が、5.0×10-16mol/m2・s・Pa以上であり、
    温度40℃、相対湿度90%RHにおける水蒸気透過度が、65g/m2/day以上250g/m2/day以下であり、
    前記反射防止層は、酸化ニオブを有する高屈折率透明薄膜層と酸化シリコンを有する低屈折率透明薄膜層とを4層以上交互に積層させ、前記反射防止層の最外層が前記低屈折率透明薄膜層であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記ハードコート層と前記反射防止層との間に、金属、または、2種類以上の金属からなる合金、または、金属化合物、または、それらの混合物よりなり、1層以上からなるプライマー層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記反射防止層上に防汚層を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記防汚層の表面の算術平均粗さRaが、1.0nm以上5.0nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の反射防止フィルム。
  5. 前記透明基材フィルムが、トリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする偏光板。
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