JP2008233007A - 悪性リンパ腫の診断用キット及び判定方法 - Google Patents

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豊文 中西
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Abstract

【課題】悪性リンパ腫の診断、治療に有用なキット並びに判定方法を提供すること。
【解決手段】悪性リンパ腫の診断用キットであって、(1)L-プラスチン試薬及び(2)L-プラスチン試薬に結合する自己抗体の測定用試薬を含んでなるキット。並びに、悪性リンパ腫の判定方法であって、(1)被験者から採取した試料をL-プラスチン試薬と接触させる工程(2)L-プラスチン試薬と結合する前記試料中の自己抗体の存在又は量を測定する工程、及び(3)前記測定結果に基づき非ホジキンリンパ腫の評価を行う工程を含む方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、悪性リンパ腫の診断、治療等に有用なキット及び判定方法に主に関する。
悪性リンパ腫は大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類される。日本人の悪性リンパ腫の大半は非ホジキンリンパ腫であり、発症数は年々増加している。しかし、非ホジキンリンパ腫の発症原因や機序の全容は未だ十分明らかにされていない。
現在、非ホジキンリンパ腫をはじめリンパ球系悪性腫瘍の診断・分類には主として病理組織学的検査、腫瘍細胞表面マーカーの検索、遺伝子解析等によりなされているが、確定診断、早期診断が困難な症例が数多く存在する。
一方、癌の診断手法として、プロテオーム解析を用いた方法が種々検討されている。これまで主流となっているのは、癌/非癌組織切片中の発現タンパク質の質的・量的変動を多数症例について検討し、同定したタンパク質の中から癌マーカーを見いだす方法である。一方、2001年に、SM.Hanash教授らのグループが、肺癌患者血清中に抗アネキシンI&II抗体を見いだし、それら自己抗体・癌抗原が新しい癌診断指標となり得る可能性を示した(非特許文献1参照)。また本発明者らもその有用性に注目し、抗αエノラーゼ抗体をはじめとして8種類の肺癌特異抗原に対する自己抗体の存在を明らかにした(非特許文献2参照)。
FM. Brichory et al.,Proc.Natl.Acad.NAS,98(2001),pp.9824-9829 T.Nakanishi et al.,J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci,838(2006),15-20
本発明は、悪性リンパ腫の診断に有用なキット、並びに悪性リンパ腫の判定に適した方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決することを主な目的として、悪性リンパ腫患者を対象に鋭意検討を重ねた結果、非ホジキンリンパ腫患者血清中にBリンパ球系腫瘍細胞(Raji細胞)由来可溶性タンパク質に特異的に結合する自己抗体が存在することを見出し、更に鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のキット及び方法に関する。
項1:悪性リンパ腫の診断用キットであって、
(1)L-プラスチン(plastin)試薬、及び
(2)前記L-プラスチン(plastin)試薬に結合する自己抗体の測定用試薬
を含んでなるキット。
項2:悪性リンパ腫の判定方法であって、
(1)被験者から採取した試料を、L-プラスチン(plastin)試薬と接触させる工程
(2)L-プラスチン(plastin)試薬に結合する前記試料中の自己抗体の存在又は量を測定する工程、及び
(3)前記測定結果に基づき非ホジキンリンパ腫の評価を行う工程
を含む方法。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
1.キット
本発明のキットは、(1)L−プラスチン試薬、及び、(2)前記L-プラスチン試薬に結合する自己抗体の測定用試薬を含んでいる。
(1)L-プラスチン試薬
本明細書において、L−プラスチン試薬とは、L−プラスチンの特性を利用してなる試薬であり、L−プラスチン自体又はその断片或いはそれらの誘導体からなる試薬、又は、L−プラスチン又はその断片或いはそれらの誘導体を常法により製剤化して得られる試薬を含むものである。
L-プラスチンは、Bリンパ球系腫瘍細胞から、当分野で一般的に知られている標準のタンパク質精製技術を用いて単離して得ることができる。たとえば、アフィニティクロマトグラフィーや免疫学的に特異的な抗体または抗体断片を用いて、Raji細胞発現タンパク質から分離精製することができる。
また、L−プラスチンの配列は、例えばアクセッション番号AAH10271等として公知である。従ってそのような配列から、遺伝子工学的手法及び/又は化学合成により得ることもできる。例えば、遺伝子工学的手法であれば、前記公知の配列に基づき得られたcDNAを大腸菌に組み込ませ大量培養し、可溶化しタンパク質を抽出し、親和性カラム等を用いて分離精製することにより、得ることができる。
具体的には、Tag、例えばGST(グルタチオンS-転移酵素)付加ベクターに全長遺伝子を挿入後、大腸菌内で誘導・発現させ、大量培養することができる。更に培養した大腸菌をクローニングした後、破砕し、Tag付加タンパク質を抽出し、更にGST親和性カラムにて精製分離することにより取得することができる。
また化学合成においては、プロテイン・シークエンサー等を用いて、公知の配列に基づき、ペプチドの部分又は全合成を行うことにより得ることができる。
本明細書において、L−プラスチンの断片とは、自己抗体との結合部位を含むL−プラスチンの一部分からなる断片であり、L−プラスチンを化学的又は酵素的に切断して得られたものを含む。
また、本明細書において、L−プラスチンの誘導体とは、L−プラスチン又はその断片を他の分子と結合させたもの又はアミノ酸配列の一部が欠失、置換乃至付加されたものであって、かつ自己抗体と結合する性質を有するものである。他の分子としては、例えば、蛍光標識や重金属などが挙げられる。
キットにL−プラスチン試薬を備える方法は公知の方法に従って行うことができる。例えば、ビーズまたはウェルなどの固体担体上に、L-プラスチン試薬を共有結合や架橋手段などで固定化することにより備えることができる。
(2)自己抗体の測定用試薬
本明細書において、自己抗体の測定用試薬とは、L−プラスチン試薬に結合する自己抗体又はその存在乃至量を測定するための試薬であって、L−プラスチン試薬に結合する自己抗体を測定するものでもよく、L−プラスチンと自己抗体が結合して形成される複合体を測定するものであってもよい。
尚、本明細書において、「自己抗体」とは、抗原が実際には個体に由来するものであるにもかかわらずその個体の免疫系が外来性であると認識する抗原に対して反応乃至結合する抗体であって、天然に存在する抗体を意味する。
L−プラスチン試薬に結合する自己抗体は、非ホジキンリンパ腫に罹患している場合、正常個体又は健常者と比較して存在量が増加している。
従って、当該自己抗体は、非ホジキンリンパ腫の腫瘍マーカーとして捉えることができ、当該L−プラスチンに結合する自己抗体の有無や量等について測定を行うことにより、自己抗体のレベルが向上している場合、非ホジキンリンパ腫であると判定することができる。また自己抗体の量の変動によって非ホジキンリンパ腫の状態について評価を行うことも可能である。
自己抗体の測定用試薬としては、L−プラスチン試薬に結合する自己抗体或いはL−プラスチン試薬と自己抗体との複合体を測定し得るものであれば特に限定されないが、好ましくは免疫学的試薬が用いられる。免疫学的試薬としては、例えば、当該自己抗体或いはL−プラスチン試薬と自己抗体との複合体に結合する二次抗体などが挙げられる。二次抗体としては、一般には、抗IgG抗体または抗IgM抗体が挙げられる。二次抗体は、検出可能なマーカーで標識したものであってもよく、例えばペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼなどの酵素マーカーで標識したものでもよい。例えば、具体的な二次抗体としては、HRP(horseradish peroxidase)標識抗ヒトIgG抗体などを挙げることができる。
(3)他の成分
本発明のキットには、必要に応じて他の成分を含めることができる。例えば、抗体を定量するために必要な酵素又は基質、バッファー、反応試薬等を含めることができる。また検量線の作成に必要な標準試料などを含めることもできる。例えば、P-ニトロフェニルリン酸、或いは、NADH/ジアホラーゼ/ADHリサイクル系を備えることができる。
(4)作成方法
本発明のキットは、常法に従い、上記成分を備えさせることにより、作成することができる。キットには、検出手段、定量手段及び/又は試料の導入手段等を適宜備えることができる。また定量に備えて、自己抗体と類似の特異性を有する既知の濃度の抗体を含む一連の標準試料を測定し、検量線を備えておくこともできる。
(5)使用方法
本発明のキットは、被験者から採取した試料中の自己抗体の存在乃至量を試験するために用いることができ、悪性リンパ腫の診断乃至判定、さらには非ホジキンリンパ腫の診断乃至評価用として使用することができる。
試料としては、例えば、体液、或いは、組織又は細胞抽出液等を用いることができるが、一般的には、血清が用いられる。
対象となる被験者は目的に応じて設定することができ、例えば、造血器腫瘍患者などを対象とすることができる。また危険性が高い対象者の同定などを目的として、健常者も対象とすることができる。
キットの使用形態は特に限定されないが、例えば、実施形態の一例においては、造血器腫瘍患者から採取した血清又はその調製物からなる試料を、キット中のL-プラスチンと接触させる。試料中に自己抗体が存在していると、自己抗体とL-プラスチンとが免疫学的に結合して複合体が形成される。当該複合体を二次抗体を用いて検出又は定量し、正常個体と比較して自己抗体のレベルが向上しているかどうかを測定する。測定結果に基づき、非ホジキンリンパ腫であるか無いか或いは非ホジキンリンパ腫の状態を評価する。更に悪性リンパ腫であるか無いか、また悪性リンパ腫であればホジキンリンパ腫であるか無いかの判定を行う。
本発明のキットには、公知の免疫学的試薬乃至キットにおける技術を必要に応じて付加し得るものである。
2.判定方法
本発明は、悪性リンパ腫、更には非ホジキンリンパ腫の判定乃至評価に有用な方法を提供する。
本発明の判定方法は、
(1)被験者から採取した試料をL-プラスチン試薬と接触させる工程
(2)L-プラスチン試薬と反応する前記試料中の自己抗体の存在又は量を測定する工程、
及び
(3)前記測定結果に基づき非ホジキンリンパ腫の評価を行う工程
を有する。
被験者から採取した試料をL−プラスチン試薬と接触させる方法は特に限定されない。例えば、上記キットを用い、固定化されたL-プラスチン試薬を備えたキットに試料を導入させて実施することができる。
L−プラスチン試薬と反応する自己抗体の存在又は量を測定する手法も特に限定されず、公知の手法を用いることができる。
例えば、エンザイムイムノアッセイ(EIA)やラジオイムノアッセイ(RIA)を用いることができる。中でも、固相酵素免疫検定法(ELISA)が好ましく用いられる。
ELISAは、常法に従って実施することができる。例えば、「サンドイッチ」ELISAであれば、固体表面上に固定したL−プラスチン試薬と、被験者から採取した試料とを接触させる。自己抗体が存在すると、自己抗体とL-プラスチン試薬との複合体が形成される。当該抗体に特異的に結合する二次抗体を用いて、複合体の測定を行うことにより、自己抗体の検出乃至定量を行うことができる。
非ホジキンリンパ腫の評価には、非ホジキンリンパ腫であるか否か、または非ホジキンリンパ腫に罹患している可能性が高いか否かの判定や、非ホジキンリンパ腫の進行状態等を評価することを含む。
非ホジキンリンパ腫の評価は、L−プラスチン試薬と反応する自己抗体の存在又は量の測定結果に基づき行うことができる。また必要に応じて測定結果に数値化処理又は統計学的処理を加えたものにより行うこともできる。例えば、被験者の測定結果を、健常者の測定結果に統計学的処理を加えて算出した基準値等と照らし合せることによって行うことができる。照らし合わせた結果、被験者の血清中に自己抗体の存在が認められる場合又は自己抗体の量が多いと判断できる場合等は、非ホジキンリンパ腫に罹患または罹患している可能性が高いと判定乃至評価できる。
また、このような評価を行うことにより、非ホジキンリンパ腫であるか無いか、更には悪性リンパ腫であるか無いか、また悪性リンパ腫であればホジキンリンパ腫であるか無いかの判定を行うことができる。
また本発明の方法は、種々の臨床形態で使用することができる。
例えば、被験者の測定結果を、被験者の過去の測定履歴と照らし合わせることにより、非ホジキンリンパ腫の病状や進行度についての評価を行うこともできる。
また、治療前と治療後の測定結果を比較して評価することにより、悪性リンパ腫に対する抗ガン治療の効果や治療に対する患者の応答性を分析することもできる。
また悪性リンパ腫や非ホジキンリンパ腫を対象とする薬剤又は治療法のスクリーニングや研究開発に利用することができる。例えば、癌治療薬候補化合物の有用性を調べたりするために用いることもできる。
また、当該評価は、数値化した指標を用いて行うことができる。例えば、測定した自己抗体の量の変動を数値化して、当該基準に基づき、非ホジキン腫であるか無いかを判定したり、非ホジキンリンパ腫の状態の評価を行ったりすることもできる。その際、種々の統計学的処理や画像解析処理を行うこともできる。
本発明の判定方法には、腫瘍又は癌の判定方法における公知技術を必要に応じて付加し得るものである。
本発明のキット乃至判定方法によれば、患者または被験者から採取した試料中の自己抗体の検出乃至定量を行うことにより、悪性リンパ腫であるか無いか、また非ホジキンリンパ腫であるか無いか、更には、悪性リンパ腫の状態等を、簡便かつ高い精度で、評価乃至判定することができる。
このような手段乃至方法は、非侵襲性であり、患者又は被験者の負担を軽減させることができる。
更に、病理組織学的な解析では判別が困難な場合でも、本発明を用いれば自己抗体の測定結果を数値乃至統計学的指標を用いて示すことができるため、客観的な診断乃至評価を行うことが可能になる。また組織学的解析ではわかりにくい初期段階の癌であっても、本発明により適切に評価乃至診断を行うことが可能になる。
また種々の臨床形態で使用することができる。例えば、非ホジキンリンパ腫患者のスクリーニングに用いたり、或いは非ホジキンリンパ腫の発症リスクを調べたりするために用いることができる。また、非ホジキンリンパ腫の進行度の判定や、治療後の評価などに利用することができる。
このように、本発明は、悪性リンパ腫、特に非ホジキンリンパ腫の診断、治療、さらには当該疾患の機序解明や治療法の開発手段として有用な技術を提供するものである。
以下、本発明を、実施例等を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。
1.概要
Hanashらの方法(Proc. Natl. Acad. NAS, 2001; 98: 9824-9829.)に準じ、Raji細胞(Bリンパ球系腫瘍細胞)発現タンパク質を腫瘍抗原とし、種々の造血器腫瘍患者を対象に、血清中に存在する自己抗体を標的として、非ホジキンリンパ腫診断マーカーの探索を行った。
対象は、文部科学省ヒトゲノム・遺伝子研究に関する倫理指針及び大阪医科大学学内倫理委員会規定に則って採取した造血器腫瘍患者血清を用いた。
Bリンパ球系腫瘍細胞(Raji細胞)由来タンパク質をSDS-PAGEによりゲル電気泳動し、分離されたタンパク質をPVDF膜に転写し、造血器疾患患者及び健常者血清を1次抗体とし、ウェスタンブロッティング(以下「WB」ともいう。)/化学発光検出法(以下「ECL法」ともいう。)にて、血清中に存在する自己抗体と特異的に結合するバンドを検索した。
また電気泳動したゲルを銀染色し、WB陽性バンドに対応するバンドを切り出し、還元アルキル化(DTT/モノヨードアセトアミド)後、ゲル内トリプシン消化を行い、トリプシン断片化ペプチド混合物を抽出し、濃縮した後、ソフトイオン化質量分析/データベース検索を行い、非ホジキンリンパ腫特異抗原の同定を行った。
2.物質及び材料
ヒトBリンパ球系腫瘍細胞(Raji細胞)由来タンパク質はBiochain Institute
Inc.(Haywood、CA)から購入した。当該タンパク質は、HEPES(pH=7.9)、塩化マグネシウム、塩化カリウム、EDTA、スクロース、グリセロール、sodium doxycholate、NP-40及びプロテアーゼ阻害剤のカクテルを含む緩衝液中で、−80℃で、使用時まで保存した。
尿素、グリシン、 SDS(sodium dodecyl sulphate)、ヨードアセトアミド、CHAPS、アクリルアミド、N,N-メチレンビスアクリルアミド、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン(Tris)、炭酸水素アンモニウム、グリセロール、2-メルカプトエタノール、ジチオスレイトール(DTT)、トウィーン20、アンモニウムパースルフェイト、PMSF、NonidetP-40、亜硝酸銀、及びエチレンジアミンテトラ酢酸は、ナカライテスク(Nakalai Tesque)から購入した。
メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、酢酸、蟻酸、及び蒸留水は、メルク(Merck、Darmstart、Germany)から購入した。
10-20% グラジェントスラブゲル(gradient slub-gel)(9cm 長)は第一化学(Daiichi Chemical Co.Ltd.)から購入した。抗L-プラスチンポリクローナル抗体(sc-16657)はサンタクルーズバイオテク(Santa Cruz Biotech. Inc.)から購入した。
3.対象
対象者は、
非ホジキンリンパ腫(以下「NHL」) 25名、
骨髄異形成症候群(Myelodysplastic syndrome(以下「MDS」))11名、
ホジキンリンパ腫(以下「HL」) 4名、
急性リンパ性白血病(以下「ALL」) 7名、
慢性骨髄性白血病(以下「CML」) 3名、
自己免疫疾患(以下「Autoimmune」) 3名、及び
健常者(以下「Normal」) 8名
とした。
4.方法
4-1)SDS-PAGE
Raji 細胞(Lot No. A802144)由来可溶性タンパク質 4μgをSDS-PAGEゲルの各レーンに加え、常法に従ってゲル電気泳動を行った。
4-2) WB/ECL検出
SDS-PAGEにより分離したタンパク質を、ミニトランスブロットシステム(Mini Trans-Blot system (Bio-Rad, Hercules, CA))を使用して、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride (PVDF))膜(Hybond P, Amersham Biosciences) に、1時間、20Vで転写した。
転写後、PVDF 膜をトリス緩衝液 (TBS) 及び3% ノンファットスキムミルクからなるブロッキング緩衝液を用いて、4℃で一晩インキュベートした。次いで、洗浄緩衝液(TBS/0.05% Tween 20)を用いて洗浄した。
洗浄後、膜を各レーンに切断し、断片を、1:1000希釈血清と、2時間室温でインキュベートした。次いで、4回の洗浄後、1:8000希釈西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体(HRP標識抗ヒトIgG抗体,Amersham-Pharmacia Biosciences)を用いて、1時間室温で反応させた後、洗浄し、化学蛍光システム(ECL plus, Amersham Biosciences)を用いて陽性スポットを検出した。
4-3)銀染色
SDS-PAGEゲルを亜硝酸銀(silver nitrite)で染色し、WB陽性バンドに対応するゲル切片を切り出した。DTT/モノヨードアセトアミドで還元しアルキル化した後、TPCK-トリプシン(trypsin)を用い、エッペンドルフチューブ中で16時間37℃で消化した。次いで、文献(Proc. Natl. Acad. NAS, 2001; 98: 9824-9829)に記載の方法に従ってタンパク質の同定を行った。ゲル切片を50mM炭酸水素アンモニウム(ammonium bicarbonate, pH 8.5)及びアセトニトリルで交互に洗浄し、最後にアセトニトリルで脱水した。これらの切片をスピードバック装置(Speedvac device)を用いて45°Cで完全に脱水し、25μL のTPSK修飾トリプシン(0.02 mg/mL: Promega Co.Ltd. Madison, WI)含有炭酸水素アンモニウム緩衝液 (40mM, pH 8.5)で覆い、37°Cで一晩放置した。トリプシン消化後、得られたペプチドを100μLの0.5 % (v/v)蟻酸で抽出し、次いで、100 μLのアセトニトリル/水1% (v/v)蟻酸(50/50)で抽出した。抽出は超音波槽中で15分ずつ行った。得られた抽出物を濃縮し、ZipTip C18マイクロカラム(Millipore Co.Ltd. Bedford, MT)で脱塩した。
4-4)質量分析/データベース検索によるタンパク質同定
上記4-3)で抽出したペプチド断片の液1 μLを同じ量のマトリックス液と混合させてMALDI ターゲットプレートに設置した。マトリックス液は0.3 g/mLのα−シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸 (Wako Purified Reagent Co.Ltd. Kyoto)をアセトン-エタノール(1:1, v/v)溶剤に溶解したものを用時調製して使用した。
質量分析の測定は、20 kVの加速電圧で、Ultraflex MALDI-TOF/TOF質量スペクトロメーター(Brucker Daltonics, Germany)を使用して行った。レーザー波長は337 nmでレーザーパルス周波数は25Hzとした。
校正は外部ペプチド標準 (Bruker Daltonics)か、またはトリプシン自己消化ペプチドシグナル内部標準を使用して行った。
最終質量スペクトルは50-200 のレーザーショットを平均して得た。
ペプチド質量フィンガープリントを、トリプシン消化物サイズからのペプチド同定に使用した。当該同定は、NCBIn及びスイスプロットタンパクデータベースをマスコット(Mascot)サーチエンジンを使用して解析した。また当該同定において、ペプチドはモノアイソトピックで、メチオニン残基が酸化されており、かつシステイン残基がカルバミドメチル化されていると仮定した。またペプチド質量値の整合において一つの欠失トリプシン開裂まで許容し、誤差の許容限度を100ppmとした。
確率基礎MOWSEスコアは、推定ランダムマッチ母集団に対する調査結果と-10*LOG10 (p)として報告されたサーチ結果との比較により解析した。ここで、pは絶対確率(absolute probability)を示す。
全ての同定は、ゲルにおける位置に基づき予測された大きさの範囲であった。
5. 解析結果
5-1) WB/ECL検出法による陽性バンド(Raji細胞由来可溶性タンパク質)
図1に、Raji細胞由来可溶性タンパク質を抗原としたWB/ECL検出法による解析結果を示す。
A〜Fは非ホジキンリンパ腫(NHL)患者由来血清、G〜Jはホジキンリンパ腫(HL)患者由来血清、Kはポリクローナル抗L-plastin抗体を一次抗体に用いたWBパターンの結果を示す。
図1に示されるように、NHL患者由来血清(A〜F)において、50及び70kDAの2つに陽性バンドが高頻度でみられた。
一方、HL 患者由来血清(G〜J)においてはそのようなバンドはみられなかった。これらのバンドは、自己免疫疾患の患者においても幾つか見られたが、頻度は高くなかった。
そして、70kDAのバンドは市販の抗L-プラスチンポリクローナル抗体に対するバンドと対応していた。
5-2) WB/ECL検出法による陽性バンド(精製L-プラスチン)
図2に、アフィニティクロマトグラフィーにより精製したRaji細胞由来のL-プラスチンを抗原として行ったWB/ECLの検出結果を示す。
Aは市販の抗L-plastin抗体、B〜Gは非ホジキンリンパ腫の患者血清を一次抗体として用いた結果を示す。
その結果、同じ70kDaに陽性バンドが検出された。
Raji細胞由来可溶性タンパク質を抗原とするWB結果においても、精製L−プラスチンを抗原とするWB結果においても、共に70kDaに陽性バンドが検出されることがわかった。
5-3) 質量分析マススペクトル
NHL患者由来血清(A〜F)における70kDaのWB陽性バンドに対応する銀染色バンドのタンパクについて、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF/TOFMS)を使用してMSスペクトル(質量フィンガープリント)によりプロテオーム解析を行った。図3に解析結果を示す。
図3中、番号を付したピークは、L-プラスチンのトリプシン消化ペプチドのm/zと高スコアで同定された。また質量フィンガープリントとMS/MSについても高スコアで同定された。
5-4)対象者における比較解析
表1に種々の造血器疾患患者及び健常者を対象に行ったWB/ECL法による解析結果をまとめて示す。表1における分母は対象者の総数、分子は陽性バンドが示された検体の数を示す。
Figure 2008233007
表1に示すように、25名のNHL患者中21名、11名のMDS患者中2名、13名の自己免疫疾患患者中5名、及び白血病患者(ALL及びCML)10名中2名がL-プラスチンに対し、陽性バンドを示した。一方、4名のHL患者中、陽性バンドが検出されたものはなかった。
このように、非ホジキンリンパ腫患者血清ではL-プラスチンに対する陽性バンドが高い確率で検出されたが、ホジキンリンパ腫患者血清においては検出されず、L-プラスチンに対する自己抗体が非ホジキンリンパ腫の診断マーカーとして有用であることが示された。
図1はRaji細胞由来タンパク質を抗原とし、1次抗体に患者血清又は市販の抗L-plastin抗体を用いたWB/ECL検出法による陽性バンドの検出結果を示す。A〜Fは非ホジキンリンパ腫の患者血清、G〜Jはホジキンリンパ腫の患者血清、Kは市販の抗L-plastin抗体を用いた結果を示す。 図2は、アフィニティクロマトグラフィーで精製したRaji細胞由来L-プラスチンを抗原として用いたWB/ECLによる陽性バンドの検出結果を示す。Aは市販の抗L-plastin抗体、B〜Gは非ホジキンリンパ腫の患者血清を用いた結果を示す。 マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析により陽性バンドのトリプシン消化物について構造解析した結果を示す。

Claims (2)

  1. 悪性リンパ腫の診断用キットであって、
    (1)L-プラスチン(plastin)試薬、及び
    (2)前記L-プラスチン(plastin)試薬に結合する自己抗体の測定用試薬
    を含んでなるキット。
  2. 悪性リンパ腫の判定方法であって、
    (1)被験者から採取した試料を、L-プラスチン(plastin)試薬と接触させる工程、
    (2)L-プラスチン(plastin)試薬に結合する前記試料中の自己抗体の存在又は量を測定する工程、及び
    (3)前記測定結果に基づき非ホジキンリンパ腫の評価を行う工程
    を含む方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2013147233A1 (ja) * 2012-03-30 2015-12-14 国立大学法人 岡山大学 抗体検出用試薬の製造方法、及びその用途

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