JP2008232930A - 磁界発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘルムホルツコイルによって生じる磁界の温度補償をより精度良く行うことが可能な磁界発生装置を得る。
【解決手段】磁界発生装置は、ヘルムホルツコイル1の抵抗値を検出する抵抗値検出部10と、当該抵抗値検出部10によって検出された抵抗値に基づいて電流を変化させる温度補償部11とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁界発生装置に関する。
従来、磁気センサに用いられるホールIC等の特性検査は、磁界発生装置を用いて行われる。この磁界発生装置として、二つの励磁コイルからなるヘルムホルツコイルを備えるものが知られており、この磁界発生装置を用いて特性検査を行う場合、ヘルムホルツコイルによって形成された磁界中に被検査部品が配置され、磁界の強さに対する出力値が測定され、生じた磁界の強さに対応する出力値が得られたか否か等が検査される。
ところで、この種の磁界発生装置では、温度変化(環境温度の変化やヘルムホルツコイルの発熱による温度変化など)によって、ヘルムホルツコイルによって生じる磁界の強さが変化するため、発生させる磁界の強さの温度補償が行われる場合がある。
この温度補償として、従来、放射温度計を用いて測定されたヘルムホルツコイルの巻線の外表面の温度に基づいて、ヘルムホルツコイルへ供給される電流を制御する方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−172438号公報
しかしながら、ヘルムホルツコイルの巻線の外表面は、巻線の内部に比べて放熱性が良く、当該外表面の温度は、内部の温度に比べて低くなる傾向にある。よって、上記従来の方式では、ヘルムホルツコイルの温度補償を精度良く行うことが難しくなる場合があった。
そこで、本発明は、ヘルムホルツコイルによって生じる磁界の温度補償をより精度良く行うことが可能な磁界発生装置を得ることを目的とする。
請求項1の発明にあっては、二つのコイルが同軸上に配置され、印加された電流によって磁界を生じさせるヘルムホルツコイルと、上記ヘルムホルツコイルに印加される電流を制御する電流制御部と、上記ヘルムホルツコイルの温度による磁界変化を補償するよう上記ヘルムホルツコイルに印加される電流を変化させる温度補償部と、を備えた磁界発生装置において、上記ヘルムホルツコイルの抵抗値を検出する抵抗値検出部を備え、上記温度補償部は、上記抵抗値検出部によって検出された抵抗値に基づいて電流を変化させることを特徴とする。
請求項2の発明にあっては、二つのコイルが同軸上に配置され、印加された電流によって磁界を生じさせるヘルムホルツコイルと、上記ヘルムホルツコイルに印加される電流を制御する電流制御部と、を備えた磁界発生装置において、上記ヘルムホルツコイルの抵抗値を検出する抵抗値検出部と、上記抵抗値検出部によって検出された抵抗値に基づいて上記ヘルムホルツコイルの温度による磁界変化を取得する磁界変化取得部と、を備えることを特徴とする。
請求項3の発明にあっては、上記ヘルムホルツコイルの電圧値を検出する電圧値検出部を備え、上記抵抗値検出部は、上記電圧値検出部によって検出された電圧値に基づいて上記抵抗値を検出することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ヘルムホルツコイルの抵抗値はヘルムホルツコイルの全体的な温度に応じて変化するため、上記構成により、従来のように局所的な巻線の外表面の温度に基づいて温度補償を行う場合に比べて、より精度の高い温度補償が可能となる。
請求項2の発明によれば、ヘルムホルツコイルの抵抗値はヘルムホルツコイルの全体的な温度に応じて変化するため、上記構成により、磁界変化をより精度良く取得することができる。
請求項3の発明によれば、ヘルムホルツコイルの抵抗値を電圧値に基づいて比較的容易に得ることができ、上記抵抗値検出部、ひいては上記磁界発生装置を比較的簡素な構成として得ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下では、磁界発生装置がコンピュータを含み、ヘルムホルツコイルに印加される電流が当該コンピュータによって制御されるとともに、同じコンピュータを用いて被検査部品の検査が行われる場合について例示する。
(第1実施形態)図1は、本実施形態にかかる磁界発生装置のブロック図、図2は、抵抗値検出部および温度補償部の処理内容をグラフで示した説明図である。
ヘルムホルツコイル1は、リード線を筒状(例えば略円筒状)に巻回して構成された二つのコイル2が略同軸上に所定距離をもって離間配置されたものであり、二つのコイル2間の比較的広い範囲にほぼ均一な磁界を形成するものである。本実施形態では、このヘルムホルツコイル1に、DC電源3から直流電流が供給され、DC電源3から供給される電流が、電流制御部12によって制御されるようになっている。DC電源3は、電流値可変の定電流装置として構成される。
被検査部品4(例えばホールIC等)は、二つのコイル2間の磁界中に配置され、検査モジュール5によって特性検査が行われる。この検査モジュール5は、例えば、コンピュータ100のI/Oボードに構築することができ、被検査部品4の電源となる電源部8と、被検査部品4の出力値を取得する測定部9とを備えている。なお、検査モジュール5は、かかる構成には限定されず、例えば、コンピュータ100に外付けしたハードウエアとして構成することも可能である。
なお、上記ホールICは、磁気センサとしてのホール素子と、所定の信号処理を行う回路とを、一つのチップ内に内蔵したものであり、具体的には、例えば、自動車等の車両に搭載される車速センサやクランク角センサ等に装備される。
本実施形態では、磁界発生装置の一部は、コンピュータ100によって構成される。すなわち、コンピュータ100の制御部(例えばCPU等)6は、ヘルムホルツコイル1の抵抗値を検出する抵抗値検出部10と、当該抵抗値検出部10によって検出された抵抗値に基づいてヘルムホルツコイル1に印加される電流を変化させる温度補償部11と、DC電源3からヘルムホルツコイル1に印加される電流を制御する電流制御部12と、を備えている。本実施形態では、温度補償部11からの出力に応じて、電流制御部12からDC電源3に対する指示値が変化するように構成されている。
制御部6は、例えば、コンピュータ100にインストールされた所定のプログラムにしたがって、磁界発生装置の制御部として機能するようになっている。また、コンピュータ100の記憶部7には、制御部6による演算処理で用いられる各種データや、測定部9による測定値等が格納される。
ここで、本実施形態では、ヘルムホルツコイル1の抵抗値は、電圧値検出部13によって検出されたヘルムホルツコイル1の電圧値(例えば両端間電圧値)に基づいて検出される。すなわち、ヘルムホルツコイル1の電圧値をE、ヘルムホルツコイル1に流れる電流値をI、ヘルムホルツコイル1の抵抗値をRとすれば、抵抗値Rは、R=E/Iとして取得される。すなわち、抵抗値検出部10は、電圧値検出部13による検出によって取得された電圧値Eと、電流制御部12からの指示によってDC電源3から供給される電流の電流値Iから、上記式によって抵抗値Rを取得する。
なお、本実施形態では、電圧値検出部13は、電圧値として、ヘルムホルツコイル1のグラウンドG側の端部とDC電源3側の端部との間の両端間電圧を取得するように構成されている。
以上の構成では、図2に示すように、まず、抵抗値検出部10において、上記電圧と抵抗との相関関係(電圧−抵抗特性)によって、電圧値に対応する抵抗値が取得される。ここでの電圧−抵抗特性の傾きは、DC電源3からヘルムホルツコイル1に供給される電流の電流値となっている。
次に、抵抗と温度との相関関係(抵抗−温度特性)によって、抵抗値に対応する温度が取得される。ここで、抵抗−温度特性は、ヘルムホルツコイル1の材質等によって定まるものである。
さらに、温度補償部11において、取得された温度に対応する電流値が取得される。すなわち、予め、磁界強度(磁界の強さ)の大きさ毎に(図2では、30mT[ミリテスラ],60mT,90mTのみ例示する)、温度と電流値(または電流値のドリフト量)との相関関係(温度−電流特性)が取得されており、温度補償部11において、該当する磁界強度における温度−電流特性から、電流値が取得される。なお、上記各種の相関関係を示すデータは、例えば、記憶部7に格納される。
そして、電流制御部12は、ここで取得された電流値に基づいてDC電源3を制御する。つまり、本実施形態では、温度補償部11が、取得した電流値を電流制御部12に与えることで、DC電源3からヘルムホルツコイル1に印加される電流を変化させ、これにより、当該ヘルムホルツコイル1の温度変化による磁界変化が補償(補正)され、所望の強さの磁界が得られるようになっている。
なお、本実施形態では、抵抗値検出部10で電圧値から温度が取得され、温度補償部11によって温度から電流値が取得される構成となっているが、結果的に、ヘルムホルツコイル1に印加される電流が抵抗値検出部10で検出された抵抗値に基づいて変化されて、温度補償がなされる構成であればよく、図2の構成例には限定されない。
以上の本実施形態によれば、磁界発生装置は、ヘルムホルツコイル1の抵抗値を検出する抵抗値検出部10と、抵抗値検出部10によって検出された抵抗値に基づいて電流を変化させる温度補償部11とを備える構成となっているが、ヘルムホルツコイル1の抵抗値はヘルムホルツコイル1の全体的な温度に応じて変化するため、かかる構成によれば、従来のように巻線の局所的な温度に基づいて温度補償を行う場合に比べて、より精度の高い温度補償が可能となる。
また、温度変化により生じる各コイル2の変形や、巻線のテンションの変化等も、抵抗値変化の要因となるが、本実施形態によれば、温度に起因して生じる各種現象に伴う抵抗値の変化も反映されることになるため、この点でも、より精度の高い温度補償が可能となる。
さらに、本実施形態によれば、抵抗値検出部10は、電圧値検出部13によって検出された電圧値に基づいて抵抗値を検出するため、ヘルムホルツコイル1の抵抗値を電圧値に基づいて比較的容易に得ることができ、抵抗値検出部10、ひいては上記磁界発生装置を比較的簡素な構成として得ることができる。
(第2実施形態)図3は、本実施形態にかかる磁界発生装置のブロック図、図4は、抵抗値検出部および磁界変化取得部の処理内容をグラフで示した説明図である。なお、本実施形態は上記第1実施形態と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
本実施形態にかかる磁界発生装置は、磁界の強さについて温度補償を行う(変化させる)のではなく、検査を実行した時点における温度による磁界変化(または、温度による磁界変動分を含んだ真の磁界の強さ)を取得するものである。
したがって、図3を図1と比較すると明らかとなるように、本実施形態にかかる磁界発生装置は、構成要素としては温度補償部11を備えておらず、その代わりに、抵抗値検出部10によって検出された抵抗値に基づいて磁界変化を取得する磁界変化取得部14を備えている。
抵抗値検出部10は、上記第1実施形態と同様に動作する。すなわち、抵抗値検出部10では、まずは、電圧と抵抗との相関関係(電圧−抵抗特性)によって、電圧値に対応する抵抗値が取得され、次に、抵抗と温度との相関関係(抵抗−温度特性)によって、抵抗値に対応する温度が取得される。
磁界変化取得部14では、温度と磁界強度(磁界の強さ)との相関関係(温度−磁界強度特性)に基づいて、取得された温度に対応する磁界強度が取得される。すなわち、予め、印加される電流値の大きさ毎に(図4では、1mA[ミリアンペア],0.5mA,0.1mAのみ例示する)、温度と磁界強度(または磁界強度のドリフト量)との相関関係(温度−磁界強度特性)が取得されており、磁界変化取得部14において、該当する電流値における温度−磁界強度特性から、磁界強度が取得される。なお、この温度と磁界強度との相関関係を示すデータも、例えば、記憶部7に格納される。
このとき磁界変化取得部14で取得されるデータは、温度による変動分に対応するものであればよく、磁界変化取得部14は、磁界変化を示すデータとして、磁界強度そのものを取得してもよいし、磁界強度の温度による変動分を取得してもよい。
また、ここで取得された磁界変化(磁界変化を示すデータ)は、測定部9によって取得された測定値と対応付けできるようにしておくのが良い。具体的には、例えば、磁界変化を、その取得した時刻と関連付けて記憶部7に格納したり(ただし、この場合、測定値も時刻と関連付けしておくことが必要)、測定部9における測定値と同じパラメータの関数(例えば、磁界変化をf(i)、測定値をg(i)とする。i:測定実施タイミングに対応する媒介変数)として記憶部7に格納したりすればよい。
なお、ヘルムホルツコイル1や、検査モジュール5等の構成は、上記第1実施形態と同様である。
以上の本実施形態によれば、磁界発生装置は、ヘルムホルツコイル1の抵抗値を検出する抵抗値検出部10と、抵抗値検出部10によって検出された抵抗値に基づいてヘルムホルツコイル1の温度による磁界変化を取得する磁界変化取得部14と、を備える構成となっているが、ヘルムホルツコイル1の抵抗値はヘルムホルツコイル1の全体的な温度に応じて変化するため、かかる構成によれば、より精度良く磁界変化を取得することができる。
さらに、本実施形態でも、抵抗値検出部10は、電圧値検出部13によって検出された電圧値に基づいて抵抗値を検出するため、ヘルムホルツコイル1の抵抗値を電圧値に基づいて比較的容易に得ることができ、抵抗値検出部10、ひいては上記磁界発生装置を比較的簡素な構成として得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、いずれも、同じコンピュータによって、磁界発生(制御)ならびに測定を行ったが、これらは全く別の装置あるいはコンピュータによって行っても良い。
また、抵抗値検出部によって検出する抵抗値あるいは電圧値検出部によって検出する電圧値は、ヘルムホルツコイルの両端間の抵抗値あるいは電圧値として得ることは必須ではなく、例えば、ヘルムホルツコイルをなすいずれか一方のコイルについて抵抗値あるいは電圧値を取得してもよい。
また、温度補償部を電流制御部の一部として、これらを一体的に構成してもよい。
また、上述した実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想を、その効果と共に以下記載する。
(イ)ヘルムホルツコイルを用いた磁界発生方法は、ヘルムホルツコイルの抵抗値を検出するステップと、検出された抵抗値に基づいて電流を変化させて温度補償を行うステップと、を有するのが好適である。
ヘルムホルツコイルの抵抗値は、ヘルムホルツコイルの全体的な温度変化に応じて変化するため、局所的な温度に基づいて温度補償を行う場合に比べて、補償精度を向上することができる。
本発明の第1実施形態にかかる磁界発生装置のブロック図である。 本発明の第1実施形態にかかる磁界発生装置の抵抗値検出部および温度補償部の処理内容をグラフで示した説明図である。 本発明の第2実施形態にかかる磁界発生装置のブロック図である。 本発明の第2実施形態にかかる磁界発生装置の抵抗値検出部および磁界変化取得部の処理内容をグラフで示した説明図である。
符号の説明
1 ヘルムホルツコイル
2 コイル
10 抵抗値検出部
11 温度補償部
12 電流制御部
13 電圧値検出部
14 磁界変化取得部

Claims (3)

  1. 二つのコイルが同軸上に配置され、印加された電流によって磁界を生じさせるヘルムホルツコイルと、
    前記ヘルムホルツコイルに印加される電流を制御する電流制御部と、
    前記ヘルムホルツコイルの温度による磁界変化を補償するよう前記ヘルムホルツコイルに印加される電流を変化させる温度補償部と、
    を備えた磁界発生装置において、
    前記ヘルムホルツコイルの抵抗値を検出する抵抗値検出部を備え、
    前記温度補償部は、前記抵抗値検出部によって検出された抵抗値に基づいて電流を変化させることを特徴とする磁界発生装置。
  2. 二つのコイルが同軸上に配置され、印加された電流によって磁界を生じさせるヘルムホルツコイルと、
    前記ヘルムホルツコイルに印加される電流を制御する電流制御部と、
    を備えた磁界発生装置において、
    前記ヘルムホルツコイルの抵抗値を検出する抵抗値検出部と、
    前記抵抗値検出部によって検出された抵抗値に基づいて前記ヘルムホルツコイルの温度による磁界変化を取得する磁界変化取得部と、
    を備えることを特徴とする磁界発生装置。
  3. 前記ヘルムホルツコイルの電圧値を検出する電圧値検出部を備え、
    前記抵抗値検出部は、前記電圧値検出部によって検出された電圧値に基づいて前記抵抗値を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の磁界発生装置。
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