JP2008230937A - 複合酸化物及び複合酸化物担持体、並びにそれらを用いた排ガス浄化用触媒の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡略化された製造工程により、酸素貯蔵能、比表面積及び熱安定性に優れたセリア−ジルコニア系複合酸化物、並びにそれらを用いた排ガス浄化用触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】溶媒に、酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを溶解させた溶液に対して、酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加え、次いで、前記溶液から前記溶媒を200℃以下で蒸発除去し、さらに、残留物を500〜1100℃で焼成することによって、セリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物を得ることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】溶媒に、酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを溶解させた溶液に対して、酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加え、次いで、前記溶液から前記溶媒を200℃以下で蒸発除去し、さらに、残留物を500〜1100℃で焼成することによって、セリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物を得ることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規な自動車の排ガス浄化用触媒に関し、特に、複合酸化物及び複合酸化物担持体、並びにそれらを用いた排ガス浄化用触媒の製造方法に関する。
従来から自動車等の内燃機関から排出される排ガス浄化用触媒として、排ガス中の炭化水素類、一酸化炭素及び窒素酸化物を同時に除去できる三元触媒が用いられている。三元触媒としては、白金、ロジウム、パラジウム等の貴金属が用いられている。さらに、走行の過度時域において、空気と燃料の比が理論空燃比から外れた場合に、酸素分圧を一定に調整して触媒の浄化能を維持するため、酸素貯蔵能を有するセリアが助触媒として用いられている。近年、セリアの酸素貯蔵能を向上させ、さらに、高温での比表面積の減少を防止するためにジルコニアの添加が有効であることが分かり、セリア−ジルコニア系複合酸化物からなる担体に貴金属が担持された排ガス浄化用触媒が多く提案されている。
例えば、特許文献1には、金属アルコキシドから調製されたセリア−ジルコニア系複合酸化物を用いた排ガス浄化用触媒の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、セリウムの水溶性塩とジルコニウムの水溶性塩との混合水溶液からセリアとジルコニアを共沈させ、その沈殿物を熱処理するセリア−ジルコニア系複合酸化物の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3には、セリウム化合物と、ジルコニウム化合物と、酸化物がセリア及びジルコニアと反応しない金属の化合物の溶液を用いて共沈法により沈殿物を生成し、その沈殿物を焼成した後に、還元雰囲気中800〜1200℃で還元処理を行う、セリア−ジルコニア系複合酸化物の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法においては、セリウムとジルコニウムとが原子レベルで複合化されて固溶体となっているため、耐熱性が向上して高い酸素貯蔵能を示すものの、原料が高価になるという問題がある。また、特許文献2の方法においては、原料コストは安価であるものの、ジルコニアの固溶度が小さく、酸素貯蔵能が不十分であるという問題がある。さらに、特許文献3の方法においては、原料コストが安価であり、高い酸素貯蔵能と比表面積を示すセリア−ジルコニア系複合酸化物が得られるものの、複合塩沈殿物の濾過、洗浄及び固液分離の工程が必要不可欠であり、工業的にはさらに低コストのプロセスが望まれている。
そこで、本発明は、簡略化された製造工程により、酸素貯蔵能、比表面積及び熱安定性に優れたセリア−ジルコニア系複合酸化物及び複合酸化物担持体、並びにそれらを用いた排ガス浄化用触媒の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを溶媒に溶解させた溶液に対して、酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加え、次いで、前記溶液から前記溶媒を200℃以下で蒸発除去し、さらに、残留物を500〜1100℃で焼成することによって、セリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物を得ることを特徴とする複合酸化物の製造方法である。
本発明に係る複合酸化物の製造方法において、前記固溶体に対する前記アルミナの重量比は、0.5〜2であることが好ましい。
また、本発明は、酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを溶媒に溶解させた溶液に対して、酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加え、次いで、前記溶液から前記溶媒を200℃以下で蒸発除去し、さらに、残留物を500〜1100℃で焼成することによって、セリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物を得て、その複合酸化物に貴金属を担持させることによって、排ガス浄化用触媒を得ることを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法である。
本発明に係る排ガス浄化用触媒の製造方法において、前記固溶体に対する前記アルミナの重量比は、0.5〜2であることが好ましく、また、前記複合酸化物に担持された前記貴金属の重量は、前記複合酸化物の0.5〜3重量%であることが好ましい。
さらに、本発明は、酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを溶媒に溶解させた溶液に対して、酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加え、次いで、前記溶液に担体基材を浸漬した後に引き上げて、前記担体基材から前記溶媒を200℃以下で蒸発除去し、さらに、前記担体基材を500〜1100℃で焼成することによって、セリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物が担持された複合酸化物担持体を得ることを特徴とする複合酸化物担持体の製造方法である。
また、本発明によれば、酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを溶媒に溶解させた溶液に対して、酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加え、次いで、前記溶液に担体基材を浸漬した後に引き上げて、前記担体基材から前記溶媒を200℃以下で蒸発除去し、さらに、前記担体基材を500〜1100℃で焼成することによってセリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物が担持された複合酸化物担持体を得て、その複合酸化物担持体に貴金属を担持させることによって、排ガス浄化用触媒を得ることを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法である。
本発明に係る複合酸化物の製造方法は、従来の共沈法を用いる方法とは異なり、製造過程において、濾過、洗浄及び固液分離の工程を必要とせず、簡略化された製造工程によって複合酸化物を製造できる点に特徴がある。
以上のように、本発明によれば、簡略化された製造工程により、酸素貯蔵能、比表面積及び熱安定性に優れたセリア−ジルコニア系複合酸化物、並びにそれらを用いた排ガス浄化用触媒の製造方法を提供することができる。
本発明に係る複合酸化物の製造方法において、酸素を含むセリウム塩としては、硫酸セリウム、硝酸セリウム、リン酸セリウム、酢酸セリウム、炭酸セリウム及びシュウ酸セリウムの少なくとも1以上であることが好ましい。また、酸素を含むジルコニウム塩としては、二塩化酸化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、二硝酸酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硝酸酸化ジルコニウム及び酢酸酸化ジルコニウムの少なくとも1以上であることが好ましい。さらに、本発明によって得られる複合酸化物において、X線解析から得られる前記固溶体の結晶構造が立方晶蛍石構造及び正方晶の少なくとも一方であることが好ましい。
得られるセリアとジルコニアの固溶体中のジルコニアの固溶度が20〜70モル%、好ましくは、30〜50モル%の範囲になるように調整し、前記酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、前記酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを溶媒に溶解させて、溶液を得ることが好ましい。ジルコニアの固溶度が20モル%未満であると、ジルコニアの添加によるセリアの酸素貯蔵能の改善効果が不十分であり、反対に、70モル%より大きくなると、セリア量が相対的に減少するため、酸素貯蔵能が低下するので好ましくない。溶媒の種類及び溶液の濃度については特に制限はなく、有機溶媒又は無機溶媒いずれでも良いが、未溶解の部分が発生しないように、溶媒の種類及び溶液の濃度を決めることが好ましい。
上記のように調製した前記溶液に対して添加する、酸素を含むアルミニウム塩としては、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、二酢酸水酸化アルミニウム、シュウ酸アルミニウム及び過塩素酸アルミニウムの少なくとも1以上であることが好ましい。前記酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上の添加量は、セリアとジルコニアの固溶体に対するアルミナの重量比が、0.5〜2の範囲、好ましくは、0.7〜1.5の範囲になるように調整することが望ましい。アルミナの重量比が0.5未満であると、アルミナの添加による複合酸化物の比表面積増加効果が不十分であり、反対に、2より大きくなると、セリア量が相対的に減少するため、酸素貯蔵能が低下するので好ましくない。
次いで、前記酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加えた前記溶液から、前記溶媒を200℃以下で蒸発除去する。この蒸発除去は、それ自体公知の方法によって行なうことができる。
さらに、前記溶液から前記溶媒を除去した残留物を500〜1100℃、好ましくは、700〜1000℃で焼成することによって、セリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物を得ることができる。焼成の雰囲気は、大気中でよい。焼成温度が500℃未満であると、原料が十分に無機化しないため、高温下で不安定な物質が残留し、助触媒として使用する際に分解物が発生する可能性があるので好ましくない。反対に、焼成温度が1100℃より高温であると、セリアとジルコニアの固溶体が正方晶になりやすく、結晶子の平均径が20nmより大きくなり、複合酸化物の比表面積が小さくなるので好ましくない。
上記の方法によって得られた前記複合酸化物において、セリアとジルコニアの固溶体の結晶構造は、立方晶蛍石構造及び正方晶の少なくとも1以上であるが、セリアの酸素貯蔵能が高くなるので、立方晶蛍石単相構造であることが好ましい。前記固溶体中の結晶子の平均径は20nm以下であることが好ましいが、さらに好ましくは、10nm以下である。また、前記複合酸化物の比表面積は、20m2/g以上、45m2/g未満であることが好ましい。比表面積が20m2/g未満であると、セリアの酸素貯蔵能が低下し、さらに、担持される貴金属の活性も不十分となるので好ましくない。反対に、比表面積が45m2/g以上であると、高温安定性が不十分となり、使用中にシンタリングによって、セリアの酸素貯蔵能の低下及び担持される貴金属の活性低下が起こるので好ましくない。
本発明に係る排ガス浄化用触媒の製造方法においては、上記の方法によって得られた複合酸化物に貴金属を担持させる。前記貴金属としては、排ガス浄化用触媒に通常使用される、Pt、Rh、Pd、Ir及びRu等から1以上を選択することができる。前記貴金属の担持量は、従来の排ガス浄化用触媒と同等でよく、担持の方法としては、公知の方法である、吸着担持法、吸水担持法、浸漬担持法等が適用できる。
なお、本発明に係る排ガス浄化用触媒の製造方法においては、複合酸化物に担持された貴金属の重量が前記複合酸化物の0.5〜3重量%である場合に、300℃における酸素貯蔵能は、600℃における酸素貯蔵能の80%以上であり、また、プロパンの酸化反応開始温度は、220℃以下であって、優れた酸素貯蔵能及び酸化力を有している。
また、本発明に係る複合酸化物担持体の製造方法においては、溶媒に、酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを所定の比率になるように溶解させた溶液に対し、酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加え、次いで、担体基材を浸漬した後に引き上げて、前記担体基材から前記溶媒を200℃以下で蒸発除去し、さらに、前記担体基材を500〜1100℃で焼成することによって、簡略化された工程によりセリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物を担体基材に担持することができる。担体基材としては、コージェライト製のハニカム基材等、それ自体公知の担体基材を使用することができる。なお、上述の方法によって複合酸化物を作製した後に、その粉末のスラリーを調製し、次いで、そのスラリーに担体基材を浸漬した後に引き上げて、さらに、前記担体基材を焼成することによっても前記複合酸化物を担持することができる。また、複合酸化物を担持した担体基材に触媒である貴金属を担持する方法としては、公知の方法である、吸着担持法、吸水担持法、浸漬担持法等が適用できる。
以下に、実施例を挙げて本発明に係る方法によって製造される排ガス浄化用触媒をさらに詳しく説明するが、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することができる。
(実施例1〜3)
硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)及び二塩化酸化ジルコニウム(ZrCl2O・8H2O)を用いて、セリアとジルコニアのモル比が7:3(実施例1)、1:1(実施例2)及び3:7(実施例3)となるように調整し、それぞれ水100gに、硝酸セリウム及び二塩化酸化ジルコニウムの合計で0.1molを溶解させた。得られた3種類の溶液に、セリアとジルコニアの固溶体との重量比が1:1となるようにアルミナゾルを添加した。次いで、3種類の溶液を80℃に加熱し、水溶媒を蒸発除去し、さらに、得られた乾燥物を大気中800℃で焼成して、複合酸化物粉末を得た。得られた複合酸化物粉末をジニトロジアンミン白金の水溶液に浸漬した後、室温で乾燥し、さらに、大気中500℃で焼成して、複合酸化物粉末に対し、1.5重量%の白金を担持する3種類の排ガス浄化用触媒(実施例1〜3)を作製した。
硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)及び二塩化酸化ジルコニウム(ZrCl2O・8H2O)を用いて、セリアとジルコニアのモル比が7:3(実施例1)、1:1(実施例2)及び3:7(実施例3)となるように調整し、それぞれ水100gに、硝酸セリウム及び二塩化酸化ジルコニウムの合計で0.1molを溶解させた。得られた3種類の溶液に、セリアとジルコニアの固溶体との重量比が1:1となるようにアルミナゾルを添加した。次いで、3種類の溶液を80℃に加熱し、水溶媒を蒸発除去し、さらに、得られた乾燥物を大気中800℃で焼成して、複合酸化物粉末を得た。得られた複合酸化物粉末をジニトロジアンミン白金の水溶液に浸漬した後、室温で乾燥し、さらに、大気中500℃で焼成して、複合酸化物粉末に対し、1.5重量%の白金を担持する3種類の排ガス浄化用触媒(実施例1〜3)を作製した。
図1に、実施例1〜3について、X線回折により結晶構造を調べた結果を示す。実施例1〜3のいずれも、複合酸化物中のセリアとジルコニアの固溶体のピークが得られた。一方、白金とアルミナゾルを焼成して得られるガンマ−アルミナは、ピークが小さいため、回折ピークとして認められなかった(図示せず)。図1より、セリアとジルコニアの固溶体は、立方晶蛍石構造で、ジルコニアの増加に伴い、ピークが高角側にシフトしていることが分かる。図2に、(311)面のピークから求めた格子常数とジルコニア量との関係を示す。なお、図2中のセリアとジルコニアの格子常数は、文献値(出典:JCPDS−CARD34−0394(CeO2)、JCPDS−CARD27−0997(ZrO2))を使用した。セリアとジルコニアの固溶体の格子常数は、ほぼセリアとジルコニアを結ぶ直線上に位置しており、ベガードの法則から、セリアとジルコニアのモル比が7:3(実施例1)、1:1(実施例2)及び3:7(実施例3)である、セリアとジルコニアの固溶体であることが確認された。
表1に、実施例1〜3について、セリアとジルコニアの固溶体中の結晶子径をX線回折結果から求めた結果を示す。表1から、固溶体中の結晶子径の平均径は、いずれも20nm以下と小さく、特にセリアとジルコニアのモル比が1:1(実施例2)及び3:7(実施例3)の場合は、10nm以下となっている。
表2に、実施例1〜3の製造状態における比表面積、及び1000℃で10時間処理した後の比表面積を窒素吸着法によって求めた結果を示す。表2から、製造状態における比表面積は、いずれも35m2/g以上の高い値を示し、さらに、1000℃で10時間処理した後においても20m2/g以上を維持しており、熱安定性に優れていることが分かる。
表3に、実施例1〜3の600℃及び300℃における酸素貯蔵能を示す。酸素貯蔵能は、水素を5%含むアルゴンガス雰囲気中、600℃又は300℃で還元処理を行った後、純酸素ガスのパルスを送り、その吸収量から測定した。実施例1〜3のいずれも、300℃における酸素貯蔵能は、600℃における酸素貯蔵能の80%以上の値を示しており、低温での高い酸素貯蔵能を有していることが分かる。特に、セリアとジルコニアのモル比が1:1の組成(実施例2)において、高い酸素貯蔵能を示すことが分かる。
表4に、実施例1〜3のプロパンの酸化特性を示す。酸化特性は、実施例1〜3に係る排ガス浄化用触媒を石英管に入れて反応炉にセットし、C3H8:O2:N2=1:9.8:89.2組成のガスを流しながら昇温し、反応炉からのガスを連続的に分析して、C3H8の酸化をCO2への転化で評価した。酸化開始温度及び50%酸化温度を測定して、表4に示した。実施例1〜3のいずれも、酸化開始温度は220℃以下、50%酸化温度は300℃以下であり、低温での触媒活性に優れていることが分かる。
(比較例1)
共沈法によって製造された市販のセリアとジルコニアの固溶体(セリアとジルコニアのモル比が1:1、比表面積が100m2/g)の粉末(第一稀元素化学工業社製)を水に分散させ、アルミナゾルを前記粉末との重量比が1:1になるように添加した。次いで、実施例1〜3と同様に、この溶液を80℃に加熱し、水溶媒を蒸発除去し、さらに、得られた乾燥物を大気中800℃で焼成し、複合酸化物粉末を得た。得られた複合酸化物粉末をジニトロジアンミン白金の水溶液に浸漬した後、室温で乾燥し、さらに、大気中500℃で焼成して、複合酸化物粉末に対し、1.5重量%の白金を担持する排ガス浄化用触媒(比較例1)を作製した。比較例1について、実施例1〜3と同様に、セリアとジルコニアの固溶体の結晶子径、比表面積、酸素貯蔵能、及びプロパンの酸化特性を評価し、結果を表1〜4に併記した。結晶子径の平均径は、実施例1〜3と同等であり、製造状態における比表面積は、実施例1〜3よりも大きくなっている。しかし、1000℃で10時間処理した後の比表面積は、大きく減少しており、熱安定性が低いことが分かる。さらに、酸素貯蔵能及びプロパンの酸化特性についても、実施例1〜3に比べて劣っていた。
共沈法によって製造された市販のセリアとジルコニアの固溶体(セリアとジルコニアのモル比が1:1、比表面積が100m2/g)の粉末(第一稀元素化学工業社製)を水に分散させ、アルミナゾルを前記粉末との重量比が1:1になるように添加した。次いで、実施例1〜3と同様に、この溶液を80℃に加熱し、水溶媒を蒸発除去し、さらに、得られた乾燥物を大気中800℃で焼成し、複合酸化物粉末を得た。得られた複合酸化物粉末をジニトロジアンミン白金の水溶液に浸漬した後、室温で乾燥し、さらに、大気中500℃で焼成して、複合酸化物粉末に対し、1.5重量%の白金を担持する排ガス浄化用触媒(比較例1)を作製した。比較例1について、実施例1〜3と同様に、セリアとジルコニアの固溶体の結晶子径、比表面積、酸素貯蔵能、及びプロパンの酸化特性を評価し、結果を表1〜4に併記した。結晶子径の平均径は、実施例1〜3と同等であり、製造状態における比表面積は、実施例1〜3よりも大きくなっている。しかし、1000℃で10時間処理した後の比表面積は、大きく減少しており、熱安定性が低いことが分かる。さらに、酸素貯蔵能及びプロパンの酸化特性についても、実施例1〜3に比べて劣っていた。
(実施例4)
硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)及び硝酸ジルコニル(ZrO(NO3)2・2H2O)を用いて、セリアとジルコニアのモル比が1:1となるように調整し、水100gに、硝酸セリウム及び硝酸ジルコニニルの合計で0.1molを溶解させた。得られた溶液に、セリアとジルコニアの固溶体との重量比が1:1となるようにアルミナゾルを添加した。この溶液に、体積1リットルのコージェライト製担体基材を浸漬した後に引き上げて、次いで、80℃に加熱して水溶媒を蒸発除去し、さらに、大気中800℃で焼成して、複合酸化物粉末を担持した。複合酸化物粉末の担持量は、150gとした。次に、複合酸化物粉末を担持したハニカム担体をジニトロジアンミン白金の水溶液に浸漬した後、室温で乾燥し、大気中500℃で焼成して、複合酸化物粉末に対し、1重量%の白金を担持する排ガス浄化用触媒フィルターを作製した。このフィルター中のセリアとジルコニアの固溶体の結晶子径、並びにフィルターの酸素貯蔵能及びプロパンの酸化特性を評価したところ、セリアとジルコニアのモル比が1:1である実施例2と同等の値が得られた。
硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)及び硝酸ジルコニル(ZrO(NO3)2・2H2O)を用いて、セリアとジルコニアのモル比が1:1となるように調整し、水100gに、硝酸セリウム及び硝酸ジルコニニルの合計で0.1molを溶解させた。得られた溶液に、セリアとジルコニアの固溶体との重量比が1:1となるようにアルミナゾルを添加した。この溶液に、体積1リットルのコージェライト製担体基材を浸漬した後に引き上げて、次いで、80℃に加熱して水溶媒を蒸発除去し、さらに、大気中800℃で焼成して、複合酸化物粉末を担持した。複合酸化物粉末の担持量は、150gとした。次に、複合酸化物粉末を担持したハニカム担体をジニトロジアンミン白金の水溶液に浸漬した後、室温で乾燥し、大気中500℃で焼成して、複合酸化物粉末に対し、1重量%の白金を担持する排ガス浄化用触媒フィルターを作製した。このフィルター中のセリアとジルコニアの固溶体の結晶子径、並びにフィルターの酸素貯蔵能及びプロパンの酸化特性を評価したところ、セリアとジルコニアのモル比が1:1である実施例2と同等の値が得られた。
Claims (7)
- 酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを溶媒に溶解させた溶液に対して、酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加え、次いで、前記溶液から前記溶媒を200℃以下で蒸発除去し、さらに、残留物を500〜1100℃で焼成することによって、セリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物を得ることを特徴とする複合酸化物の製造方法。
- 前記固溶体に対する前記アルミナの重量比が0.5〜2であることを特徴とする請求項1記載の複合酸化物の製造方法。
- 酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを溶媒に溶解させた溶液に対して、酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加え、次いで、前記溶液から前記溶媒を200℃以下で蒸発除去し、さらに、残留物を500〜1100℃で焼成することによって、セリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物を得て、その複合酸化物に貴金属を担持させることによって、排ガス浄化用触媒を得ることを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法。
- 前記固溶体に対する前記アルミナの重量比が0.5〜2であることを特徴とする請求項3記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
- 前記複合酸化物に担持された前記貴金属の重量が、前記複合酸化物の0.5〜3重量%であることを特徴とする請求項3又は4に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
- 酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを溶媒に溶解させた溶液に対して、酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加え、次いで、前記溶液に担体基材を浸漬した後に引き上げて、前記担体基材から前記溶媒を200℃以下で蒸発除去し、さらに、前記担体基材を500〜1100℃で焼成することによって、セリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物が担持された複合酸化物担持体を得ることを特徴とする複合酸化物担持体の製造方法。
- 酸素を含むセリウム塩又は水酸化セリウムと、酸素を含むジルコニウム塩又は水酸化ジルコニウムとを溶媒に溶解させた溶液に対して、酸素を含むアルミニウム塩、水酸化アルミニウム、アルミナゾル及びアルミナ粉末の少なくとも1以上を加え、次いで、前記溶液に担体基材を浸漬した後に引き上げて、前記担体基材から前記溶媒を200℃以下で蒸発除去し、さらに、前記担体基材を500〜1100℃で焼成することによってセリアとジルコニアの固溶体及びアルミナからなる複合酸化物が担持された複合酸化物担持体を得て、その複合酸化物担持体に貴金属を担持させることによって、排ガス浄化用触媒を得ることを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008296111A (ja) * | 2007-05-30 | 2008-12-11 | Toyota Motor Corp | 排ガス浄化触媒の製造法および排ガス浄化触媒 |
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2007
- 2007-03-23 JP JP2007076043A patent/JP2008230937A/ja active Pending
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