JP2008228640A - 糖鎖化合物の濃縮および/または精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 糖鎖プライマー伸長法等で得られた糖鎖化合物を経済的かつ工業的に濃縮および/または精製する方法を提供する。
【解決手段】 動物細胞を糖鎖プライマー伸長法により所望の糖鎖化合物が細胞培養上清中に得られるような条件下で培養し、得られた培養上清に固体吸着剤を接触させる。ここでの固体吸着剤は、スチレン系合成吸着剤またはメタクリル系合成吸着剤である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、糖鎖化合物の濃縮および/または精製方法に関し、より詳しくは細胞による糖鎖プライマー伸長法等で得られた糖鎖化合物を細胞培養物または培養培地上清から濃縮および/または精製する方法に関する。
糖鎖は構造が複雑であり、同じ生体分子であるDNAやタンパク質よりも産業上の利用の為の開発が遅れている。しかし、近年、糖鎖の研究が急速に進展し、産業上の利用への模索も進められてきている。特に、細胞分化、ガン化、免疫反応等への糖鎖の関わりについて新しい事実が明らかにされつつある。例えば、細胞表層における糖鎖は、タンパク質や脂質と相互作用することによって、生体内における細胞分化、ガン化、免疫反応等の重要なプロセスに関与している。また、糖鎖は、細胞表層における細胞認識、接着、細胞間のシグナル伝達において重要な役割を担っていることも明らかになってきている。
糖鎖の合成方法としては、化学的に合成する方法、分解酵素による方法、糖転移酵素を用いる方法などがあるが、それぞれ、工程が煩雑であったり、収量が低かったり、使用原料が限られるなどの欠点がある。このような中、最近、動物細胞の機能を利用した糖鎖合成技術が注目されている。
動物細胞の機能を利用した糖鎖合成では、糖鎖合成経路の前駆体となる「糖鎖プライマー」を培地中に添加するなどして細胞内に取り込ませると、糖鎖伸長を受けた生成物である糖鎖化合物が細胞外に分泌されるようになる。ここで、糖鎖プライマーとしては、基本的に、オリゴ糖にアルキル鎖が結合された構造の化合物が用いられるが、末端にアジド基などの種々の官能基が付加された構造の化合物を用いることもできる。しかしながら、このような糖鎖プライマーは通常細胞への毒性があることから、添加濃度は制限されなければならず、生成される糖鎖化合物の濃度も必然的に高濃度とはならない。従って得られた糖鎖化合物を利用する際には、培養培地からの分離精製と共に濃縮を行う必要がある。
しかし、これまで動物細胞の機能を利用した糖鎖合成において必要となる大量の糖鎖化合物を濃縮および/または分離・精製する方法はなく、主に分析を目的としたC18系固相カートリッジでの濃縮や、HPLCまたはHPTLCを用いた分離方法が行なわれていた(例えば特許文献1、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。
特開2000−247992 M.C.Z.Kasuyaら、Carbohydrate Research 329(2000)755−763 Johannes Muthing, Methods in Enzymology, Vol312, Part B, 45-64 Stephan Ladisch and Ruixiang Li, Methods in Enzymology, Vol312, Part B, 135-145 Robert K. Yu and Toshio Ariga, Methods in Enzymology, Vol312, Part B, 115-134
現在糖鎖化合物の濃縮および/または精製に用いられているC18系固相カートリッジあるいはHPLCやHPTLCを用いる方法では、カートリッジあるいは装置の価格が高く、大量の試料の処理には適さない。このように、大量の糖鎖化合物を効率的かつ安価に濃縮および/または精製する方法は未だなく、このような方法の開発が強く望まれている。
そこで、本発明の目的は、細胞による糖鎖プライマー伸長法等で得られた糖鎖化合物を細胞培養物またはその上清から大量にかつ安価に濃縮および/または精製する方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す、細胞により生成された糖鎖化合物の濃縮および/または精製方法により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、細胞培養物から糖鎖化合物を濃縮および/または精製する方法であって、このような細胞培養物または細胞培養物の上清と固体吸着剤とを接触させる工程を含む方法を提供する。
上記方法は、さらに、細胞培養物または細胞培養物の上清と接触させた固体吸着剤から、糖鎖化合物を溶離させる工程を含み得る。
上記溶離させる工程は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、およびアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1種の溶離剤を用いて行われる。
上記固体吸着剤は、スチレン系合成吸着体およびメタクリル系合成吸着体からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
上記細胞培養物は、細胞に糖鎖プライマーを加えて培養して得ることができる。
上記細胞は、動物細胞であり得る。
本発明はまた、細胞培養物から複数種類の糖鎖化合物を別々に濃縮および/または精製する方法であって、細胞培養物または細胞培養物の上清と固体吸着剤とを接触させる工程;および細胞培養物または細胞培養物の上清と接触させた固体吸着剤から、複数の糖鎖化合物を異なる濃度の溶離剤にてそれぞれ溶離させる工程、を含む方法を提供する。この方法では、培地由来成分、中性糖鎖化合物、酸性糖鎖化合物を特に好適に分離、精製および/または濃縮できる。
上記溶離させる工程は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、およびアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1種の溶離剤を用いて行われ、上記固体吸着剤がスチレン系合成吸着体およびメタクリル系合成吸着体からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
以上のように、本発明を適用することによって、細胞、特に動物細胞を利用して、好ましくは糖鎖プライマーから伸長され生成される糖鎖化合物を、細胞培養物またはその上清から、経済的かつ工業的に容易に濃縮および/または精製することができる。よって、ヒト型糖鎖を始めとする有用な動物細胞由来の糖鎖化合物を安価に大量に調製することが可能になり、糖鎖を利用した製品の開発の迅速な実用化が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の細胞培養物は、好ましくは動物細胞を糖鎖化合物が得られるような条件下にて培養することで得られる。動物細胞は特に限定されず、所望の糖鎖化合物の種類に応じて様々な動物細胞が用いられ得る。動物細胞の例としては、ヒト由来、マウス由来、サル由来、ラット由来などの哺乳動物細胞が挙げられ、特にB16マウスメラノーマ細胞、ラットPC12細胞、マウスNeuro2a細胞、ラットRBL−2H3細胞、ヒトMOLT−4細胞、ヒトHL−60細胞、サル腎臓由来ベロ細胞などが好適に用いられ得る。培養は、通常の動物細胞の培養条件に従って行う。
糖鎖化合物が得られるような条件とは、例えば、上記の動物細胞を、室温から45℃までの温度の間で1時間から70時間までの間の時間でDMEM/F12などの培養培地で前培養した後、糖鎖プライマーを添加した培地に置換してさらに培養を行い、糖鎖伸長反応を行うことなどである。
ここで、糖鎖プライマーは、用いられる細胞種、所望の糖鎖構造により任意に選択することができる。限定はされないが、好ましい糖鎖プライマーの例としては、式(I):(G1)x(G2)y(G3)z−L−Xで表される化合物が挙げられる。ここで、式中、G1、G2及びG3は、それぞれ独立して環状構造の単糖残基又はその誘導体であり、Lは、−O−(CH2)n−、−S−(CH2)n−、及び−NH−(CH2)n−から選択される連結基であり、Xは、−N3、−NH2、−OH、−COOH、及び−C1-C4アルキルから選択される基であり;x、y、及びzは、それぞれ独立して0〜10の整数であり、好ましくは0〜5、さらに好ましくは0から3であり、x、y及びzの全てが同時に0であることはない。また、nは、8〜20の整数であり、好ましくは8〜16、特に好ましくは12である。単糖としては、限定はされないが、ペントース及びヘキソースを使用するのが好ましい。またアルドース、ケトースのいずれも使用することができる。
このような糖鎖プライマーを各種細胞の培地に添加して細胞を培養すると、細胞は、プライマーを取り込み、その糖鎖部分に更に糖を付加してグリコシル化し、その糖付加生成物を細胞内には蓄積せずに細胞外に分泌する。付加される糖は、細胞により異なる。
得られる細胞培養物または細胞培養物から細胞を除いた上清は、糖鎖プライマーから伸長して得られた生成物である糖鎖化合物を含有する。この細胞培養物または細胞培養物の上清に、固体吸着剤を接触させることにより、糖鎖化合物を濃縮および/または精製することができる。
接触は、例えば、細胞培養物または細胞培養物の上清に直接固体吸着剤を加え、30分以上の時間で振盪するなどして行う。あるいは、カラムなどに予め固体吸着剤を充填しておき、充填したカラムに細胞培養物または細胞培養物の上清を流すことによって行う。
本発明においては、さらに、接触工程終了後の固体吸着剤に適度な濃度の溶離剤を接触させて、固体吸着剤から糖鎖化合物を脱着させるとともに、脱着させた糖鎖化合物を溶離剤中に溶離させる溶離工程を行い得る。溶離剤は、限定はされないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、およびアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1種であり得る。この工程は、糖鎖化合物と吸着体が疎水性相互作用によって吸着していたものに、有機溶媒などの溶離剤を接触させることで、吸着剤から糖鎖化合物を脱着させて、さらにこの糖鎖化合物を有機溶媒中に溶離させる工程である。
ここで、固体吸着剤は、スチレン系合成吸着体およびメタクリル系合成吸着体からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。その他、フェノール系合成吸着体も用いることができる。培養物中または培養上清中の糖鎖化合物を吸着させるスチレン系合成吸着剤としては、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体を樹脂母体とするものが挙げられる。スチレン系合成吸着体として、具体的には、三菱化学社製ダイヤイオン(登録商標、以下同じ)HP20、HP21、セパビーズ(登録商標、以下同じ)SP207、SP825、SP850、SP875、ロームアンドハース社製アンバーライト(登録商標、以下同じ)XAD4、XAD16、XAD1180、XAD2000、Bayer社製VPOC1062、VPOC1064等が挙げられる。また、メタクリル系合成吸着体として、三菱化学社製ダイヤイオン(登録商標、以下同じ)HP1MG、HP2MG等を用いることができる。本発明者の検討によって、スチレン系及びメタクリル系合成吸着体は特に糖鎖化合物を良好に吸着させることが判った。
本発明はまた、細胞培養物から複数種類の糖鎖化合物を別々に濃縮および/または精製する方法であって、細胞培養物または細胞培養物の上清と固体吸着剤とを接触させる工程;および細胞培養物または細胞培養物の上清と接触させた固体吸着剤から、複数の糖鎖化合物を異なる濃度の溶離剤にてそれぞれ溶離させる工程、を含む方法を提供するが、この方法では、培地由来成分、中性糖鎖化合物、酸性糖鎖化合物を特に好適に分離、精製および/または濃縮することができる。
すなわち、合成吸着体の吸着力の違いにより、糖鎖化合物を分離・精製することができる。例えば、疎水性相互作用の大きいものは、極性の高い酸性の糖鎖化合物も効率よく吸着できる反面、極性の低い中性の糖鎖化合物は溶出しにくい。一方、疎水性相互作用の小さいものは、極性の高い酸性の糖鎖化合物は極性の高い溶媒で容易に溶出される半面、極性の低い中性の糖鎖化合物も溶出しやすい。以上のような、合成吸着体の吸着力を利用すれば、糖鎖化合物を分離・精製することができる。
例えば、吸着剤としてダイヤイオンHP20を用いて糖鎖化合物を吸着させた場合、50%の濃度のメタノールにより培地由来成分を溶離させることができ、70%の濃度のメタノールにより、GM3等の酸性糖鎖化合物を溶出することができ、100%の濃度のメタノールにより、中性の糖鎖プライマーである12‐アジドドデシル‐βラクトシドや、Gb3やGb4等の中性糖鎖化合物を溶出できる。
すなわち、極性の異なる2種以上の溶離液を用い、これら溶離液を極性の高い順に合成吸着剤に接触させることができる。このように溶離液を極性の高いものから低いものに段階的に接触させることにより、高極性化合物から順に溶出でき、糖鎖化合物の極性に応じて分離することが可能である。
更に、疎水性相互作用か強く吸着力の高いダイヤイオンSP207を吸着剤として用いた場合、中性の糖鎖プライマーである12‐アジドドデシル‐βラクトシドは100%の濃度のメタノールを用いても完全に溶出することが困難であるくらい吸着力が強いため、糖鎖プライマーなどの中性糖鎖の除去に使用できる。
また、中性である糖鎖プライマーである12‐アジドドデシル‐βラクトシドは、培地上清に同量の酢酸エチルを添加し振盪することにより、酢酸エチル層に抽出できることにより除くことも可能である。よって、培地上清を吸着剤に接触させる前に、酢酸エチルによる抽出により中性である糖鎖プライマーである12‐アジドドデシル‐βラクトシドを除いておくと、吸着工程及び、溶離工程における負荷を軽減することが可能である。
糖鎖プライマーは、ラクトースやN-アセチルグルコサミンなどをドデシル基と結合することで作成し利用できる。更に、アジド基などの官能基をアグリコン部分に導入しておけば、後の操作でその部分と別の化合物とを共有結合などで結合して固定化することが可能である。
以下に、本発明の糖鎖化合物の精製方法および濃縮方法の具体例を実施例の態様で示すが、本発明はこれに限定されない。
まず、触媒としてルイス酸であるboron trifluoride etherate (BF3・OEt2)とアジド基を導入したアルコールを用いてグリコシル化を行った後、脱アセチル化反応を行うことにより、糖鎖プライマー:12‐アジドドデシル‐βラクトシドを得た(Murozuka, Y., Kasuya, M. C., Kobayashi, M., Watanabe, Y., Sato, T. and Hatanaka, K. 2005, Chemistry and Biodiversity, 2, 1063, Kasuya, M. C., Wang, L., Lee, Y. C., Mitsuki, M., Nakajima, N., Sato, T., Hatanaka, K., Yamagata, S. and Yamagata, T. 2000, Carbohydr. Res., 329, 755.)
100mmのディッシュに、細胞数2×10cellsのマウスメラノーマB16細胞及びサルの腎臓由来であるベロ細胞をそれぞれ7mlの10% FBSを含むDMEM/F12培地(インビトロジェン)に懸濁して播き、COインキュベターの中で37℃にて48時間、前培養を行った。
前培養後、終濃度50μMになるように12‐アジドドデシル‐βラクトシド及び1%のITSX(GIBCO社製)を添加したDMEM/F12培地に置換し、更に、COインキュベターの中で37℃にて48時間培養し、糖鎖伸長反応を行った。糖鎖伸長反応後、培地を回収し、更にディッシュ表面を1.5mlのPBSで洗浄することにより、培地上清全量を回収した。
得られた培地上清を用い、本発明における濃縮および精製を行った。まず、酢酸エチル抽出処理を行った後、スチレン系合成吸着剤としてダイヤイオンHP20、溶離剤としては、50%濃度のメタノール、70%濃度のメタノール、100%濃度のメタノールを順に用いた。
具体的には、以下のようにして糖鎖化合物の濃縮・精製を行った。
(1)培地上清(7ml)+洗浄液の量(1.5ml)に対して同量(8.5ml)の酢酸エチルによる抽出による糖鎖プライマー除去操作を2回行った。
(2)酢酸エチルによる糖鎖プライマー除去を行った液を、容量5mlのスチレン系合成吸着剤(ダイヤイオンHP20)を充填したカラムに通液した(吸着剤接触工程)。
(3)通液終了後、4カラム容量の水でスチレン系合成吸着剤を洗浄した。次いで、溶離剤として、50%濃度のメタノール、70%濃度のメタノール、100%濃度のメタノールを順に20mlずつ通液した(溶離工程)。
各々の溶離剤を、減圧濃縮、乾燥を行い、HPTLCにより分析した結果を図1に示す。展開溶媒としては、クロロホルム/メタノール/0.25%KCl水溶液(5:4:1)を用い、レゾルシノールにより発色を行った。
図1(A)の中央よりやや下側にあるバンドは、B16細胞を用いて生成された糖化合物である酸性糖由来のバンドである。上側のバンドは、糖鎖プライマー由来のバンドである。図1(A)から明らかなように、70%メタノールおよび100%メタノールのいずれの溶離剤を用いた場合でも、スチレン系合成吸着体による酸性糖の濃縮および/または精製が、従来のSep−PakC−18カラム(Waters)を用いて同じ条件で溶出を行った場合と同等もしくはそれ以上にできることが証明された。図1(B)の中央あたりのバンドは、ベロ細胞を用いて生成された糖化合物である中性糖由来のバンドである。図1(B)から明らかなように、100%メタノールの溶離剤を用いた場合には、スチレン系合成吸着体による中性糖の濃縮および/または精製が、従来のSep−PakC−18カラム(Waters)を用いた場合で同じ条件で溶出を行った場合と同等もしくはそれ以上にできることが証明された。
150枚の100mmのディッシュに各々、細胞数2×10cellsのマウスメラノーマB16細胞を7mlの10% FBSを含むDMEM/F12培地に懸濁して播き、COインキュベターの中で37℃にて48時間、前培養を行った。前培養後、終濃度50μMになるように12‐アジドドデシル‐βラクトシド及び1%のITSX(GIBCO社製)を添加したDMEM/F12培地に置換し、更に、COインキュベターの中で37℃にて48時間培養し、糖鎖伸長反応を行った。糖鎖伸長反応後、培地を回収し、更にディッシュ表面をPBSで洗浄することにより、培地上清全量を回収した。
得られた培地上清を用い、本発明における濃縮・精製を行った。この場合、まず、50gのスチレン系合成吸着剤ダイヤイオンHP20を培地上清に加え、16時間振盪し、糖鎖化合物を吸着剤に吸着させた(吸着剤接触工程)。
次に、100mlの水で5回洗浄した後、50%濃度のメタノール、70%濃度のメタノール、100%濃度のメタノールを順に100mlで4回ずつ通液した。
50%濃度のメタノール、70%濃度のメタノールによる溶出液については、ロータリーエバポレーターにより濃縮した後、容量50mlのスチレン系合成吸着剤(ダイヤイオンHP20)を充填したカラムで、吸着剤へ再吸着を行い、適量の40〜50%メタノールを通液した後、200mlの70%濃度のメタノールで目的糖鎖化合物であるGM3型糖鎖化合物を溶出した。
一方、100%濃度のメタノールによる溶出液については、ロータリーエバポレーターで濃縮後、乾燥した。この乾燥物に対し、3mlのDMSOを加えて溶解した後、100mlの水を加えた後、容量50mlのスチレン系合成吸着剤(セパビーズSP207)を充填したカラムで、吸着剤へ再吸着を行い、200mlの水で洗浄した後、200mlの70%濃度のメタノールで目的糖鎖化合物であるGM3型糖鎖化合物を溶出した。
各々の目的糖鎖化合物であるGM3の溶出液を、減圧濃縮、乾燥を行い、HPTLCにより分析した結果を図2に示す。展開溶媒としては、クロロホルム/メタノール/0.25%KCl水溶液(5:4:1)を用い、レゾルシノールにより発色を行った。全溶出液を減圧濃縮及び、乾燥させた後、18.5mgの白色粉末としてGM3型糖鎖化合物が得られた。
様々な種類のスチレン系合成吸着体およびメタクリル系合成吸着体の糖鎖化合物を濃縮および/または精製する能力を検討する為に、以下の実験も行った。
BALL-1細胞を実施例1または2と同様にして前培養後、12‐アジドドデシル‐βラクトシドを添加した培地に置換し、更に、培養し、糖鎖伸長反応を行った。糖鎖伸長反応後、培地を回収した。
得られた培地(同じものを4つ)を用い、本発明における濃縮および精製を行った。まず、洗浄した各種吸着剤(スチレン系HP20、SP850、SP207、メタクリル系HP2MG)をそれぞれ5mlずつ充填したカラムに通液した。続いて、10mlの水で洗浄した後、溶離剤として、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%濃度のメタノールを用いて溶出を行った。
各々の溶離剤を、減圧濃縮、乾燥を行い、HPTLCにより分析した結果を図3に示す。展開溶媒としては、クロロホルム/メタノール/0.25%KCl水溶液(5:4:1)を用い、レゾルシノールにより発色を行った。
図3(A)から(E)までのすべてにおいて、中央よりやや下側にあるバンドは、BALL-1細胞を用いて生成された糖化合物である酸性糖由来のバンドである。上側のバンドは、糖鎖プライマー由来のバンドである。この図から明らかなように、用いる吸着体の種類により濃度は異なるが、メタノールを溶離剤とした場合に、スチレン系合成吸着体でもメタクリル系合成吸着体でも、酸性糖の濃縮および/または精製が、従来のSep−PakC−18カラム(Waters)を用いた場合で同じ条件で溶出を行った場合と同等もしくはそれ以上にできることが証明された。(Sは分画前のサンプルを指す)
(比較例1)
実施例1と同様の方法にて得られたBALL−1細胞培養物10mlをDEAE−Sephadex A−25(酢酸型)を20ml充填したカラム(内径1.5cm、長さ15cm)に流した。次に、5カラム容量のCHCl/MeOH/HO(5:10:1)を流し、次に5カラム容量のCHCl/MeOH/1M酢酸ナトリウム(5:10:1)で溶出し、各画分をSep−Pakにより脱塩してHPTLC分析に供した。この結果を図4に示す。図4から明らかなように、DEAEで非吸着画分と吸着分画とを分ける前には得られた糖鎖化合物のバンドは、DEAE−Sephadexで低回収率でしか回収することができなかった。
B16細胞とベロ細胞により生成された糖鎖化合物をHP20により濃縮・分離したものをHPTLCにより分析した結果である。 B16細胞により生成された糖鎖化合物をHP20により精製したものをHPTLCにより分析した結果である。 BALL−1細胞により生成された糖鎖化合物を各種合成吸着剤により精製したものをHPTLCにより分析した結果である。 BALL−1細胞により生成された糖鎖化合物をイオン交換樹脂により精製したものをHPTLCにより分析した結果である。

Claims (9)

  1. 細胞培養物から糖鎖化合物を濃縮および/または精製する方法であって、
    該細胞培養物または細胞培養物の上清と固体吸着剤とを接触させる工程を含む、方法。
  2. さらに、前記細胞培養物または細胞培養物の上清と接触させた固体吸着剤から、糖鎖化合物を溶離させる工程を含む、請求項1記載の糖鎖化合物を濃縮および/または精製する方法。
  3. 前記溶離させる工程が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、およびアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1種の溶離剤を用いて行われる、請求項2記載の糖鎖化合物を濃縮および/または精製する方法。
  4. 前記固体吸着剤がスチレン系合成吸着体およびメタクリル系合成吸着体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1から3までのいずれかに記載の糖鎖化合物を濃縮および/または精製する方法。
  5. 前記細胞培養物が、細胞に糖鎖プライマーを加えて培養して得られるものである、請求項1から4までのいずれかに記載の糖鎖化合物を濃縮および/または精製する方法。
  6. 前記細胞が動物細胞である、請求項1から5までのいずれかに記載の糖鎖化合物を濃縮および/または精製する方法。
  7. さらに酢酸エチルにより糖鎖プライマーを除去する工程を含む、請求項1から6までのいずれかに記載の糖鎖化合物を濃縮および/または精製する方法。
  8. 細胞培養物から複数種類の糖鎖化合物を別々に濃縮および/または精製する方法であって、
    該細胞培養物または細胞培養物の上清と固体吸着剤とを接触させる工程;および
    前記細胞培養物または細胞培養物の上清と接触させた固体吸着剤から、該複数の糖鎖化合物を異なる濃度の溶離剤にてそれぞれ溶離させる工程、を含む方法。
  9. 前記溶離させる工程が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、およびアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1種の溶離剤を用いて行われ、前記固体吸着剤がスチレン系合成吸着体およびメタクリル系合成吸着体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8に記載の方法。
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