JP2008224945A - 現像ローラ - Google Patents

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武雄 大柴
Masahiro Yasuno
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Abstract

【課題】高温高湿環境(例えば、30℃、80%RH)に放置後、プリントを行っても、ハーフトーン画像部に画像濃度ムラが発生したり、多数枚プリントを行ってもハーフトーン画像部に黒ポチや白ポチが発生せず、高品質のプリント画像が継続して得られる優れた現像ローラの提供。
【解決手段】導電性軸体の外周に、少なくとも導電剤と樹脂とを有する被覆層を直接形成して構成される電子写真用現像ローラにおいて、該導電性軸体が、以下の要件を満たしていることを特徴とする電子写真用現像ローラ。(1)導電性軸体の表面が、無電解ニッケルメッキ法により形成されたニッケルメッキ層である。(2)ニッケルメッキ層の膜厚が、2〜8μmである。(3)前記ニッケルメッキ層形成後の導電性軸体の耐食性が、塩水噴霧試験でレイティングナンバー6以上、10以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、現像ローラに関する。
近年、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成技術の発達は著しく、中でも電子写真方式に基づいた画像形成装置が多く用いられている。また、パーソナルコンピュータ等関連技術の性能向上に伴い、カラーの画像形成が可能な装置や小型、軽量、低価格の画像形成装置を要望する声が高くなり、更なる改良、性能アップが望まれている。
カラーの画像形成が可能な画像形成装置においては、色別の現像装置を複数設置する必要があり、低価格のカラー画像形成装置を開発する際の更なる課題となっている。
一方、電子写真現像剤としてはいわゆるトナーとキャリアとからなる二成分現像剤と非磁性又は磁性のトナーからなる一成分現像剤とがあり、一成分現像剤を利用した現像方式における画像形成方法ではキャリアを使用する必要が無いため、キャリアとトナーを混合するための攪拌装置が不要で、トナーとキャリアの混合比を一定にするための装置を必要としないという利点がある。また、非磁性一成分現像方式には磁性一成分現像方式と比較して現像ローラに磁石を使用しなくて済むという利点があるため、小型の電子写真方式の画像形成装置であるプリンター等に好ましく用いられている。
低価格のカラープリンターの普及に伴って、トナーカートリッジに現像ローラを内蔵して現像装置の機能を持たせて小型化、低価格化するという技術の開発が進み、トナーカートリッジを使い捨てタイプのトナー容器とする構成の画像形成装置が注目されてきている。
非磁性一成分現像方式に用いられる現像ローラとしては、金属等からなる導電性の軸体にシリコーンゴム等からなる弾性層を形成したもの(例えば、特許文献1参照。)が多く用いられているが、金属等からなる軸体をそのまま用い、その外周にブラスト処理等により凹凸を形成しただけのものもある(例えば、特許文献2参照。)。
非磁性一成分現像方式には像担持体と現像ローラ上に搭載された現像剤とが接触する接触タイプの現像と、両者が所定の間隙を持ち、現像ローラ上の現像剤を飛翔させて現像する非接触タイプの現像とがあり、非接触タイプの現像においては、現像ローラに必ずしも弾性層を必要としない。即ち、非接触タイプの現像を行う現像装置に特許文献1に記載された弾性層を有する現像ローラを用いると、コスト高となるという問題があり、使い捨てタイプのトナーカートリッジには適しない。しかしながら、現像ローラに特許文献2のように金属等からなる軸体をそのまま用いると、現像ローラの表面に搭載されるトナーが、トナーの層厚を規制する規制ブレードと金属製現像ローラとの間で押しつぶされて微粉化してしまうという問題がある。
また、現像ローラの軸体の外側に弾性層の代わりに導電性樹脂層を形成するという技術が開示されており(例えば、特許文献3参照。)、軸体にはステンレスやアルミニウム等を用いた実施例が記載されている。この導電性樹脂層は金属より硬度が低いため、前述のトナーが規制ブレードと金属製現像ローラとの間で押しつぶされるという問題は少なくなるが、ステンレスを用いるとコスト高となるという問題があり、使い捨てタイプのトナーカートリッジには不向きである。軸体の材質としてアルミニウムを用いると、コスト的には鉄にメッキ処理するより安くなる場合もあるが、強度不足のため、ベンディングの問題や、取り扱い等、生産性上の問題がある。アルミニウムやステンレス以外の軸体の材質については後述する。
更に、非磁性一成分現像方式に用いる現像装置は、現像ローラの表面に担持する非磁性一成分トナーを所定の層厚とするため、現像ローラ近傍に規制ブレードを配設するという構成が一般に用いられているが、この規制ブレードは、非磁性一成分トナーに摩擦帯電を与えるという重要な機能も有している。
現像ローラ表面に担持された非磁性一成分トナーは、規制ブレードと現像ローラ表面との間で擦過されて摩擦帯電され、像担持体上の静電潜像をトナー像にする現像工程を終えた後、現像ローラ表面から除去される。
然るに、非磁性一成分トナーを除去された現像ローラ表面には、非磁性一成分トナーと逆極性の電荷が残留し、この電荷を放置しておくと、現像ローラの表面に新たに担持される非磁性一成分トナーにより順次電荷が付与されるため、残留する電荷が増え続けることになる。現像ローラの表面に残留する電荷が増え続けると、適正な現像が行われなくなる。従って、現像ローラの樹脂被覆層はトナーに摩擦帯電を付与するためにある程度の抵抗値が必要であり、一方、残留電荷の蓄積を抑えるためにある程度以下の抵抗値にする必要があり、結果として両方を満足する適正範囲に設計される。また、現像装置には、現像ローラの軸受をアースする等、現像ローラ表面の残留電荷をリークする手段が求められる。
軸体の材質にアルミニウムやステンレスを用いることについては既に説明したが、アルミニウムやステンレスはコスト高であることから、低コストの鉄系金属からなる現像ローラを用いることが考えられる。
特開2005−121792号公報 特開2001−66876号公報 特開平6−27806号公報
しかしながら、軸体に表面処理していない鉄系金属を現像ローラとして用いた場合には、高湿環境や経時変化により軸体表面が酸化され易く、表面の僅かな酸化の度合のバラツキによって、現像ローラ上の電荷のリークが均一に行われなく、そのため、残留電荷が不均一になり、結果として画像上に現像ローラ回転の周期でムラが発生するという問題が起きやすい。
電荷のリークを均一にするには、現像ローラの樹脂層の抵抗値を均一にする以外に、樹脂層から軸体への電荷の注入を均一化することが必要である。軸体上の僅かな組成のムラや酸化状態のムラがあると電荷の注入が不均一になるため、画像ムラの原因となりやすい。
更に、表面処理していない鉄系金属を導電性軸体として用いた現像ローラは、高湿環境等により表面の酸化が進行して軸体と樹脂層との接合部に錆びが発生しやすく、錆びが発生した場合には、樹脂層表面に微細な凹凸を生じてしまい、現像時に画像ムラを引き起こすおそれがある。
そしてこの様な導電性軸体(以下、単に軸体ともいう)に被覆層を直接形成した構成の現像ローラでは、高温高湿(例えば、30℃、80%RH)の環境に放置後プリントすると、ハーフトーン画像部に画像濃度ムラが発生したり、ハーフトーン画像部に黒ポチや白ポチが発生したりして高品質のプリント画像を継続して得ることができなかった。
本発明は、高温高湿環境(例えば、30℃、80%RH)に放置後、プリントを行っても、ハーフトーン画像部に濃度ムラが発生したり、ハーフトーン画像部に黒ポチや白ポチが発生せず、多数枚(例えば、5000枚)プリントしても高品質のプリント画像が継続して得られる優れた現像ローラを提供することを目的とする。
本発明の課題は、下記に記載の何れかの構成により発現されるものである。
1.導電性軸体の外周に、少なくとも導電剤と樹脂とを有する被覆層を直接形成して構成される電子写真用現像ローラにおいて、
該導電性軸体が、以下の要件を満たしていることを特徴とする電子写真用現像ローラ。
(1)導電性軸体の表面が、無電解ニッケルメッキ法により形成されたニッケルメッキ層である
(2)ニッケルメッキ層の膜厚が、2〜8μmである
(3)前記ニッケルメッキ層形成後の導電性軸体の耐食性が、塩水噴霧試験でレイティングナンバー6以上、10以下である。
2.前記無電解ニッケルメッキ法が、重金属フリーメッキ液を用いて行うものであることを特徴とする前記1に記載の現像ローラ。
本発明の現像ローラは、高温高湿環境(例えば、30℃、80%RH)に放置後、プリントを行っても、ハーフトーン画像部に濃度ムラが発生したり、多数枚(例えば、5000枚)プリントしてもハーフトーン画像部に黒ポチや白ポチが発生せず、高品質のプリント画像が継続して得られる優れた効果を有する。
導電性軸体(以下、単に軸体とも云う)に直接被覆層を形成する構成の現像ローラ(弾性層を有さない現像ローラ(ベースレスローラ))では、導電性軸体の欠陥を拾いやすく、軸体表面に錆び、バリやピンホールがあると、プリント画像に画像欠陥が発生する。
軸体の錆び、バリやピンホールを少なくする手段はいつか考えられる。しかしながら、一般に行われるメッキ前の下地加工段階でバリの無い加工又はバリを後から取る加工などでは画像欠陥を無くするのは不十分であった。
本発明者らは、高品質のトナー画像が継続して得られる現像ローラについて鋭意検討を行った。
種々検討した結果、軸体の外周に導電材と樹脂とを有する被覆層を直接形成する構成の現像ローラでも、表面に無電解ニッケルメッキ法により形成されたニッケルメッキ層を有し、その膜厚が2〜8μmで、耐食性が塩水噴霧による試験でレーティングナンバー6以上、10以下の耐食性を有する軸体を用いると、高温高湿(例えば、30℃、80%RH)の環境に長期間(例えば、2週間)放置した後、プリントを行っても、ハーフトーン画像部に画像濃度ムラが発生したり、多数枚プリントを行ってもハーフトーン画像部に黒ポチや白ポチが発生せず、高品質のプリント画像が継続して得られることを見出した。
高品質のトナー画像が継続して得られるようになった理由は、無電解ニッケルメッキ法により形成されたニッケルメッキ層により錆びの発生が防止され、且つバリやピンホールも隠蔽されることによるものと推察している。
無電解ニッケルメッキのメッキ液として、重金属フリーメッキ液を用いると、更に耐食性の効果が大きく、薄いメッキ層厚でも錆び、バリやピンホール欠陥が出ないことを見出した。
この理由は明確ではないが、メッキ液の安定化、及び光沢出しのため従来添加していた重金属がバリやピンホール部分に集中して発生させていた欠陥が無くなったことによるのではないかと推察している。また、重金属フリーメッキ液を用いることは環境の点でも好ましい。
軸体にバリやピンホールがあると、バリの部分は塗膜が薄くなり、ピンホール部分は塗膜が形成されなかったり塗膜の浮きが発生する。これらの箇所は電気的なリークが発生しやくなり、多数枚プリント中に放電破壊され、塗膜が損傷を受けて正常な機能が失われるため画像欠陥が発生する。
以下、本発明について詳細に説明する。
《現像ローラの構成》
本発明の現像ローラは、軸体の外周に、少なくとも樹脂と導電剤とを有する被覆層を直接形成して構成されたものである。
図1は、本発明の現像ローラの一例を示す断面概略図である。
本発明の現像ローラ25は、円筒状の基材251の表面にニッケルメッキ層252を形成した導電性軸体254を準備し、その外周に被覆層254を直接形成した構成のものである。
〈層間接着力〉
本発明の現像ローラは、軸体と被覆層の層間接着力が強いことが好ましい。
軸体と被覆層の層間接着力は、下記の方法で測定し評価する。
図2は、軸体と被覆層の層間接着力の測定方法を説明するための模式図である。
現像ローラ25を、図2(a)に示すように、ローラ中央部の被覆層254に対し、その外周に沿って、破線Xで示される幅2.5cmの切り込みを入れ、更に、上記被覆層254に対して現像ローラ25方向に切り込み(破線Y)を入れて、そこから軸体253の外周に設けられた被覆層254を少し剥がし、図2(b)に示すように、剥がされた被覆層254の端部を「オートグラフAGS(島津製作所社製)」のグリップ5でつまみ、垂直に引き上げて(矢印Z方向)、どの程度の力で引き上げたら被覆層が、軸体253から引きはがされ始めるか測定し層間接着力を評価した。
具体的には、被覆層を100mm/minの速度で引き上げていって、負荷容量20Nまで上げる過程で、負荷が増加しなくても被覆層を引き上げていける負荷値を求めた。
上記の方法で軸体と被覆層の層間接着力を測定したとき、引きはがされ始める負荷が4.0N以上有するものが好ましい。
次に、本発明の現像ロールを構成する導電性軸体について説明する。
《導電性軸体》
本発明で用いられる導電性軸体は、下記要件を満足するものである。
(1)導電性軸体を構成する基材の表面が、無電解ニッケルメッキ法によりニッケルメッキ層が設けられている
(2)ニッケルメッキ層の膜厚が、2〜8μmである
(3)前記ニッケルメッキ層形成後の導電性軸体の耐食性が、塩水噴霧試験でレイティングナンバー6以上、10以下である。
導電性軸体の外径は、5〜30mmが好ましく、10〜20mmがより好ましい。軸体は現像ローラ表面に蓄積される電荷をリークさせる部材も兼ねるため、比抵抗が1×104Ω・cm以下にすることが好ましい。具体的には、軸体を軽量化するため中空の基材(肉厚は0.8〜2.0mm程度)の両端にフランジを装着したものが好ましい。尚、比抵抗は公知の方法により測定することができる。
導電性軸体の基材としては、ステンレス、アルミニウム等の錆びにくい材料でも使用可能であるがコスト高となる。そのため、本発明の実施形態においてはコスト面で有利な鉄を含む金属材料が好ましく、切削鋼、炭素鋼、合金鋼、及び鋳鉄等が推奨できる。これらの中では、切削性に優れる切削鋼が好ましい。
上記基材は、無電解ニッケルメッキ法によるニッケルメッキ層が外周面(表面)に形成される。ここで、無電解ニッケルメッキ法とは、メッキ液に含有される還元剤の酸化により放出される電子の作用で、メッキ液に含浸させた導電性軸体表面に金属ニッケルの薄膜を析出させてメッキ層を形成する無電解メッキ法の1つである。
無電解メッキの種類としては、ニッケルメッキ、銅メッキ、金メッキ、或いはニッケル合金メッキ等が挙げられる。本発明では、無電解メッキの中で、メッキ液の安定性やコストの面から好ましい無電解ニッケルメッキを採用している。
基材の表面に無電解ニッケルメッキ法によりニッケルメッキ層を形成することで基材表面のバリやピンホールをニッケルメッキ層で覆え、且つ錆びが発生するのを防止できる。
無電解ニッケルメッキ法は、電気ニッケルメッキ法のような、電界の集中等によるメッキ層厚のムラがなく均一なメッキ層を形成できる。
また、無電解メッキの方が処理時間は長くなるものの、メッキ層厚が均一性に優れるために高精度の膜厚が得られ、ピンホール等の欠陥も隠蔽されるために耐食性に優れるのではと考えている。
本発明においては、無電解ニッケルメッキのメッキ液として、重金属フリーメッキ液を用いると、更に耐食性の効果が大きく、薄いメッキ層厚でも錆び、バリやピンホール欠陥が出ないことを見出した。
この理由は明確ではないが、メッキ液の安定化、及び光沢出しのため従来入れていた重金属がバリやピンホール部分に集中して発生させていた欠陥が無くなったことによるのではないかと推察している。また、重金属フリーメッキ液を用いることは環境の点でも好ましい。
本発明で重金属とは、比重が4以上の金属元素で、具体的な重金属としては、鉛、銅、クロム、亜鉛、マンガンなどが挙げられる。
本発明の実施形態においては、ニッケルメッキ層の膜厚は、2〜8μm、好ましくは膜厚3〜6μmである。
メッキ層の膜厚はバリやピンホールをカバーするためにはある程度の厚さが必要であり、薄すぎると欠陥を隠蔽できない。また厚くしすぎると、メッキ堆積時のムラが発生し、均質性が低下する。
また、メッキ層の膜厚を2μm以上とすることで、耐食性評価でレイティングナンバー6以上を確保することができる。
ニッケルメッキ層の膜厚は、蛍光X線法により測定することができる。蛍光X線法とは、ニッケルメッキ面にX線を照射し、メッキ層と基材から発生する蛍光X線の量を測定してメッキ層の膜厚を測定する方法である。蛍光X線法の用いる蛍光X線測定装置としては、市販の装置を用いることができる。
導電性軸体としては、耐食性試験(塩水噴霧試験)でレイティングナンバー6以上、10以下の耐食性を示すものを用いる。
塩水噴霧試験は、金属メッキなどの表面処理を施した金属材料の耐食性を評価する腐食環境試験の1つで、試験温度35℃で中性の5質量%の塩化ナトリウム水溶液を噴霧して行うものである。また、レイティングナンバーとは塩水噴霧試験による金属材料の耐食性を評価得点で、10〜0に区分される。即ち、レイティングナンバーは金属材料試験片中の腐食面積と有効面積の割合により耐食性の程度を評価するものである。
塩水噴霧試験でレイティングナンバーが6以上の耐食性を示すもの軸体は、鋼材に無電解ニッケルメッキ法により、膜厚2μm以上のニッケルメッキ層を形成することにより得られる。
本発明で用いられる導電性軸体の耐食性試験は、下記方法で行う。
試験法:JIS H8617及びZ2371による塩水噴霧試験
試験液組成:塩化ナトリウム5.0±1質量% pH6.5〜7.2
使用食塩の品質:JIS K8150特級
使用水質:イオン交換水(比抵抗50×104Ωcm以上)使用
試料表面の調整法:エタノール洗浄
試験時間:96時間
試験時の温度:35℃
噴霧方法:24時間連続噴霧
判定方法:試料表面の錆び発生をレイティングナンバーで示す。
《被覆層》
被覆層は、導電剤(電子導電剤やイオン導電剤)と樹脂、必要に応じ非導電性充填剤を適宜配合して調製した塗布液を導電性軸体の外周面に塗布・乾燥し、所望の場合にはこれを加熱し硬化させて形成することができる。
〈被覆層の樹脂〉
被覆層を形成する樹脂としては、特に限定されるものではないが、具体的には、シロキサン変性ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等の変性アルキッド樹脂、オイルフリーアルキッド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。この内、自己膜補強性、トナー帯電性等の観点から、シロキサン変性ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等が好ましく用いられる。中でも、良好な耐磨耗性が得られる点から、シロキサン変性ポリウレタン樹脂を用いることが特に好ましい。
ウレタン樹脂とは、ポリヒドロキシ化合物とイソシアネート化合物を含むウレタン原料を反応させて得られたたもので、例えば、プレポリマーを架橋反応させる方法で得られたのや、ポリオールをワン・ショット法にてポリイソシアネー卜と反応させる方法で得られたものなどが挙げられる。
この場合、ウレタン樹脂を得る際に用いられるポリヒドロキシル化合物としては、一般の軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマーの製造に用いられるポリオール、例えば、末端にポリヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオールが挙げられるほか、ポリブタジエンポリオールやポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール、ポリオール中でエチレン性不飽和単量体を重合させて得られるいわゆるポリマーポリオール等の一般的なポリオールを使用することができる。また、イソシアネート化合物としては、同様に一般的な軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマーの製造に使用されるポリイソシアネート、即ち、トリレンジイソシアネート(TDIと表すことがある)、粗製TDI、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDIと表すことがある)、粗製MDI、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの混合物や変性物、例えば部分的にポリオール類と反応させて得られるプレポリマー等を用いることができる。特に被覆層をユニバーサル硬さを低くする目的でポリイソシアネートの混合比率を低くしてもよい。
また、ウレタン樹脂は、ポリヒドロキシル化合物及びポリイソシアネートを含む、1液型や2液型のウレタン原料を用いて調製してもよいし、必要に応じてエポキシ樹脂やメラミン樹脂を架橋剤として用いてもよい。
ポリアミド樹脂とは、ナイロン6、6・6、6・10、6・12、11、12、12・12及びそれらのポリアミドの異種モノマー間の重縮合から得られるポリアミドなどで、作業性の面からアルコール可溶性のものが好んで用いられている。例えばポリアミドの3元共重合体や4元共重合体の分子量を調整したもの、又はナイロン6やナイロン12をメトキシメチル化し、アルコールや水に可溶性としたものが挙げられる。
また、アクリル樹脂とは、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルエタクリレート、これらの側鎖末端をヒドロキシアルキル基等で置換したもの、及び、これらの共重合体などである。
アクリル樹脂を構成するモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
が挙げられる。
シロキサン変性ポリウレタン樹脂としては、例えばポリオールとイソシアネートと鎖伸長剤から得られ、且つエポキシ基と反応性を持つ官能基を有するポリウレタン樹脂(1)と、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(A)(以下、単にエポキシ化合物(A)と略す。)とアルコキシシラン部分縮合物(B)との脱アルコール反応によって得られるエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)とを反応させてなるアルコキシ基含有シロキサン変性ポリウレタン樹脂を用いることができるがこれに限定されるものではない。
ポリウレタン樹脂(1)におけるエポキシ基と反応性を有する官能基は、ポリウレタン樹脂(1)の末端、主鎖の何れに存在していてもよい。かかる官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などの酸性基、アミノ基、水酸基、メルカプト基などが挙げることができる。エポキシ基との反応性や、官能基付与容易性の点から酸性基、アミノ基が好ましい。ポリウレタン樹脂(1)に酸性基を付与する方法は特に限定されないが、例えば前記の鎖伸長剤や重合停止剤として前述の官能基を有する化合物を使用することで、官能基を付与することができる。
本発明に用いるポリウレタン樹脂(1)を製造する方法としては、高分子ポリオールとジイソシアネート化合物ならびに必要に応じて鎖伸長剤及び/又は重合停止剤を、適当な溶媒中で一度に反応させる一段法、高分子ポリオールとジイソシアネート化合物とを、イソシアネート基過剰の条件で反応させ、高分子ポリオールの末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを調製し、次いでこれを適当な溶媒中で鎖伸長剤及び必要に応じて、重合停止剤と反応させる二段法等が挙げられる。均一なポリマー溶液をうる目的には二段法が好ましい。これら製造法において、使用される溶剤としては通常、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンなどの溶剤を単独又は混合して使用できる。
またポリウレタン樹脂(1)にアミノ基を付与する方法に限定はないが、例えばプレポリマーの末端イソシアネート基に対し、アミノ基が過剰になるようポリアミン類を反応させればよい。ポリウレタン樹脂(1)におけるエポキシ基反応性官能基の量は特に制限されないが、通常は0.1〜20KOHmg/gであることが好ましい。0.1KOHmg/g未満になると得られるポリウレタン樹脂−シリカハイブリッド体の柔軟性や耐熱性が低下し、また20KOHmg/gを超えるとポリウレタン樹脂−シリカハイブリッド体の耐水性が低下する傾向がある。尚、ポリウレタン樹脂中にはウレア結合を含むものが、層間接着性がより好ましい。
本発明のエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)は、前記のように、エポキシ化合物(A)とアルコキシシラン部分縮合物(B)との脱アルコール反応によって得られるものである。
かかるエポキシ化合物(A)としては、1分子中に水酸基を1つもつエポキシ化合物であれば、エポキシ基の数は特に限定されない。また、エポキシ化合物(A)としては、分子量が小さいもの程、アルコキシシラン部分縮合物(B)に対する相溶性がよく、耐熱性や密着性付与効果が高いことから、炭素数が15以下のものが好適である。その具体例としては、エピクロロヒドリンと、水、2価アルコール又はフェノール類とを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するモノグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとグリセリンやペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するポリグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとアミノモノアルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するエポキシ化合物;分子中に1つの水酸基を有する脂環式炭化水素モノエポキシド(例えば、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール)などが例示できる。これらのエポキシ化合物の中でも、グリシドールが耐熱性付与効果の点で最も優れており、またアルコキシシラン部分縮合物(2)との反応性も高いため、最適である。
またアルコキシシラン部分縮合物(B)としては、下記一般式(a)で表される加水分解性アルコキシシランモノマーを酸又はアルカリ水の存在下で加水分解し、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
一般式(a):R1pSi(OR24-p
(式中、pは0又は1を示す。R1は、炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい低級アルキル基、アリール基又は不飽和脂肪族残基を示す。R2はメチル基又はエチル基を示し、R2同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
このような加水分解性アルコキシシランモノマーの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、が挙げられる。尚、これらアルコキシシラン部分縮合物(B)としては、前記例示のものを特に制限なく使用できるが、これら例示物のうちの2種以上を混合使用する場合には、テトラメトキシシランを、アルコキシシラン部分縮合物(B)を構成する全てのアルコキシシランモノマー中70モル%以上用いて合成されたものが好ましい。尚、ポリウレタン樹脂−シリカハイブリッド体中に含まれるシラン骨格の割合が、1.0質量%以上30.0質量%以下とすることにより、非常に安定した接着性が発現される。
アルコキシシラン部分縮合物(B)は、例えば次の一般式(b)又は(c)で示される。
Figure 2008224945
(一般式(b)中、R1は、炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい低級アルキル基、アリール基又は不飽和脂肪族残基を示す。R2はメチル基又はエチル基を示し、R2同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。nは整数である。)
Figure 2008224945
(一般式(c)中、R1、R2は一般式(b)中のR1、R2と同じ。nは整数である。)
〈電子導電剤〉
電子導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅、錫、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫一酸化アンチモン固溶体、酸化錫一酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物、これらの導電性材料で被膜された絶縁性物質などの微粉末を用いることができる。この内、カーボンブラックが、比較的容易に入手でき良好な帯電性が得られるので好ましく用いられる。
カーボンブラックは、その種類には、特に制限はなく、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等の従来公知の種々のカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックの配合量は、使用するカーボンブラックの種類によって異なるために特に限定されないが、通常、樹脂成分100質量部に対して5〜50質量部とするのが好ましく、10〜40質量部がより好ましい。この配合量は被覆層に要求される導電性及びユニバーサル硬さに応じて適宜設定される。
〈イオン導電剤〉
イオン導電剤としては、従来から無機イオン塩や有機イオン塩として公知のものが、何れも適宜に選択使用できる。具体的には、Li、LiCl、NaI、NaBr、KI等のアルカリ金属ハライド、LiClO4、KCllO4、CuCl2Mg(ClO42等の過塩素酸塩、LiSCN、NaSCN、CsSCN等のチオシアン酸塩等のごとき無機イオン塩や、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加リン酸エステル塩、4級アンモニウム塩、ベタイン等の有機イオン塩を挙げることができる。これらの中で特に好ましいものとして、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を挙げることができる。このイオン導電剤は、1種類で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イオン導電剤の配合量は、特に制限はなく各種状況に応じて適宜選定されるが、被覆層を形成する樹脂成分100質量部に対し0.001〜5質量部が好ましく、0.05〜2質量部がより好ましい。
これにより、1×104〜1×1010Ω・cmの抵抗領域で、電気抵抗の位置ばらつきが少なく、且つ電気抵抗の電圧依存性が少ない上、温湿度の環境変化に対する電気抵抗の変動が少ない導電性を有する被覆層が得られる。
次に、現像ローラの作製について一例を挙げて説明する。
図3は、本発明の現像ローラを作製する手順を示すフローチャートである。
現像ローラ25を作製する手順は、図3に示すように、炭素鋼の管を切削加工して基材251を準備し(ステップS1)、次いで基材251にメッキ処理(ステップS2)を行ってメッキ層を有する軸体253を形成し、軸体253の外周に浸漬塗布等により被覆層254を形成する(ステップS3)手段である。
ステップS1(基材の準備)
中空筒状の炭素鋼管を切削加工して基材を準備する。
基材の形状は、画像形成装置を小型、軽量、低コストにするため小径(例えば、外径5〜30mm)の薄肉厚(例えば、0.5〜2.0mm)の中空筒状の管に、フランジを取り付けた形状のものが好ましい。
ステップS2(メッキ処理)
基材の表面に無電解ニッケルメッキ法によりメッキ層を形成する。
無電解ニッケルメッキに用いるメッキ液としては、特に限定されず、公知のメッキ液を処方して用いることも、市販メッキ液を用いることもできる。具体的には、市販品の「トップニコロンPAL」、「トップニコロンSA−98」(奥野製薬工業社製)を挙げることができる。
重金属フリーの無電解ニッケルメッキに用いるメッキ液としては、特に限定されず、公知のメッキ液を処方して用いることも、市販メッキ液を用いることもできる。具体的には市販品の「トップニコロンBL」(奥野製薬工業社製)、「ニムデンKTY Ver.3」(上村製作所製)を挙げることができる。
メッキ層の膜厚は、メッキ液の温度、メッキ時間によりコントロールすることができる。
ステップS3(被覆層の形成)
メッキ層を有する軸体の外周面に被覆層を形成する。
軸体の外周面に被覆層を直接形成する手段としては、上記構成材料(樹脂と導電剤、必要に応じ非導電性充填剤)を有機溶剤に溶解、分散して調製した塗布液を軸体の外周に塗布する方法が好ましい。この塗布液の樹脂成分濃度は特に制限はなく、必要とする層厚に応じ、適宜調整すればよいが、塗布液中の固形物の分散性や安定性から、樹脂成分濃度は10質量%以上であることが好ましい。
塗布液の樹脂成分濃度を調製するために用いる溶剤は、上記樹脂成分を溶解することができるものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、メチルエチルケトンなどのケトン類、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどが好ましく用いられる。
被覆層の形成方法としては、例えば塗布液の粘度や乾燥速度などに応じて、ディッピング、スプレー、ロールコート又は刷毛塗り法などが挙げられるが、これらの中では、被覆層を均一に形成しやすいディッピング、スプレー法が好ましい。
被覆層の厚みは、1〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。被覆層の厚みは、現像ローラより被覆層を含む断面試料を採取し、断面試料の顕微鏡写真より測定される。
次に、本発明の現像ローラが好ましく用いられる現像装置、フルカラー画像形成装置について説明する。
図4は、本発明の現像ローラが好ましく用いられる現像装置の一例を示す断面概略図である。
図4に示す現像装置20は、現像ローラ25に隣接してバッファ室26を、バッファ室26に隣接してホッパ27等を有する。
バッファ室26には規制ブレード28が現像ローラ25に圧接させた状態で配置されている。ブレード28は、現像ローラ25上のトナーの帯電量及び付着量を規制するものである。また、現像ローラ25の回転方向に対してブレード28の下流側に、現像ローラ25上のトナー帯電量・付着量の規制を補助するための補助ブレード29を更なる設けることも可能である。
現像ローラ25には供給ローラ30が押圧されている。供給ローラ30は、図示しないモータにより現像ローラ25と同一方向(図中反時計回り方向)に回転駆動する。供給ローラ30は、導電性の円柱基体と基体の外周にウレタンフォームなどで形成された発泡層を有する。
ホッパ27には非磁性一成分現像剤であるトナーTが収容されている。また、ホッパ27にはトナーTを攪拌する回転体31が設けられている。回転体31には、フィルム状の搬送羽根が取り付けられており、回転体31の矢印方向への回転によりトナーTを搬送する。搬送羽根により搬送されたトナーTは、ホッパ27とバッファ室26を隔てる隔壁に設けられた通路28を介してバッファ室26に供給される。尚、搬送羽根の形状は、回転体31の回転に伴い羽根の回転方向前方でトナーTを搬送しながら撓むとともに、通路32の左側端部に到達すると真っ直ぐの状態に戻るようになっている。このように羽根はその形状を湾曲状態を経て真っ直ぐに戻るようにすることでトナーTを通路32に供給している。
また、通路32には通路32を閉鎖する弁321が設けられている。この弁はフィルム状の部材で、一端が隔壁の通路32右側面上側に固定され、トナーTがホッパ27から通路28に供給されると、トナーTからの押圧力により右側に押されて通路32を開けるようになっている。その結果、バッファ室26内にトナーTが供給される。
また、弁321の他端には規制部材322が取り付けられている。規制部材322と供給ローラ30は、弁321が通路32を閉鎖した状態でも僅かな隙間を形成する様に配置される。規制部材322は、バッファ室26の底部に溜まるトナー量が過度にならないように調整するもので、現像ローラ25から供給ローラ30に回収されたトナーTがバッファ室26の底部に多量に落下しないように調整される。
現像装置20では、画像形成時に現像ローラ25が矢印方向に回転駆動するとともに供給ローラ30の回転によりバッファ室26のトナーが現像ローラ25上に供給される。現像ローラ25上に供給されたトナーTは、ブレード28、補助ブレード29により帯電、薄層化された後、像担持体との対向領域に搬送され、像担持体上の静電潜像の現像に供される。現像に使用されなかったトナーは、現像ローラ25の回転に伴ってバッファ室26に戻り、供給ローラ30により現像ローラ25から掻き取られ回収される。
図5は、本発明の現像ローラが好ましく用いられるフルカラー画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
図5に示すフルカラー画像形成装置においては、回転駆動される感光体ドラム10の周囲に、この感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させる帯電ブラシ111等が設けられている。
また、帯電ブラシ111によって帯電された感光体ドラム10をレーザビームによって走査露光するレーザ走査光学系20が設けられており、このレーザ走査光学系20はレーザダイオード,ポリゴンミラー,fθ光学素子を内蔵した周知のものであり、その制御部にはイエロー,マゼンタ,シアン,ブラック毎の印字データがホストコンピュータから転送されるようになっている。そして、このレーザ走査光学系20は、上記の各色毎の印字データに基づいて、順次レーザビームとして出力し、感光体ドラム10上を走査露光し、これにより感光体ドラム10上に各色毎の静電潜像を順次形成するようになっている。
また、このように静電潜像が形成された感光体ドラム10に各色のトナーを供給してフルカラーの現像を行うフルカラー現像装置30は、支軸33の周囲にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各非磁性一成分トナーを収容させた4つの色別の現像器31Y、31M、31C、31Bkが設けられており、支軸33を中心として回転し、各現像器31Y、31M、31C、31Bkが感光体ドラム10と対向する位置に導かれるようにな
っている。
また、このフルカラー現像装置30における各現像器31Y、31M、31C、31Bkにおいては、上記図4に示すように、回転してトナーを搬送する現像剤担持体(現像ローラ)25の外周面に規制ブレードが圧接されており、この規制ブレードにより、現像ローラ25によって搬送されるトナーの量を規制すると共に、搬送されるトナーを帯電させるようになっている。尚、このフルカラー現像装置30においては、現像ローラによって搬送されるトナーの規制と帯電とを適切に行うために、規制ブレードを2つ設けるようにしてもよい。
そして、上記のようにレーザ走査光学系20によって感光体ドラム10上に各色の静電潜像が形成される毎に、上記のように支軸33を中心にして、このフルカラー現像装置30を回転させ、対応する色彩のトナーが収容された現像器31Y、31M、31C、31Bkを感光体ドラム10と対向する位置に順々に導き、各現像器31Y、31M、31C、31Bkにおける現像ローラ25を上記のように各色の静電潜像が順々に形成された感光体ドラム10上に向かって、帯電された各色のトナーを順々に供給して現像を行うようになっている。
また、このフルカラー現像装置30より感光体ドラム10の回転方向下流側の位置には、中間転写体40として、回転駆動される無端状の中間転写ベルト40が設けられており、この中間転写ベルト40は感光体ドラム10と同期して回転駆動されるようになっている。そして、この中間転写ベルト40は回転可能な1次転写ローラ41により押圧されて感光体ドラム10に接触するようになっており、またこの中間転写ベルト40を支持する支持ローラ42の部分には、2次転写ローラ43が回転可能に設けられ、この2次転写ローラ43によって記録紙等の記録材Sが中間転写ベルト40に押圧されるようになっている。
更に、前記のフルカラー現像装置30とこの中間転写ベルト40との間のスペースには、中間転写ベルト40上に残留したトナーを掻き取るクリーナ50が中間転写ベルト40に対して接離可能に設けられている。
また、普通紙等の記録材Sを中間転写ベルト40に導く給紙手段60は、記録材Sを収容させる給紙トレイ61と、この給紙トレイ61に収容された記録材Sを1枚ずつ給紙する給紙ローラ62と、上記の中間転写ベルト40上に形成された画像と同期して給紙された記録材Sを中間転写ベルト40と上記の2次転写ローラ43との間に送るタイミングローラ63とで構成されており、このようにして中間転写ベルト40と2次転写ローラ43との間に送られた記録材Sを2次転写ローラ43によって中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40からトナー像を記録材Sへ押圧転写させるようになっている。
一方、上記のようにトナー像が押圧転写された記録材Sは、エアーサクションベルト等で構成された搬送手段66により定着装置70に導かれるようになっており、この定着装置70において転写されたトナー像が記録材S上に定着され、その後、この記録材Sが垂直搬送路80を通して装置本体100の上面に排出されるようになっている。
次に、このフルカラー画像形成装置を用いてフルカラーの画像形成を行う動作について具体的に説明する。
まず、感光体ドラム10と中間転写ベルト40とを同じ周速度でそれぞれの方向に回転駆動させ、感光体ドラム10を帯電ブラシ11によって所定の電位に帯電させる。
そして、このように帯電された感光体ドラム10に対して、上記のレーザ走査光学系20によりイエロー画像の露光を行い、感光体ドラム10上にイエロー画像の静電潜像を形成した後、この感光体ドラム10にイエロートナーを収容させた現像器31Yから前記のように規制ブレードによって荷電されたイエロートナーを供給してイエロー画像を現像し、このようにイエローのトナー像が形成された感光体ドラム10に対して中間転写ベルト40を1次転写ローラ41によって押圧させ、感光体ドラム10に形成されたイエローのトナー像を中間転写ベルト40に1次転写させる。
このようにしてイエローのトナー像を中間転写ベルト40に転写させた後は、前記のようにフルカラー現像装置30を支軸33を中心にして回転させ、マゼンタトナーが収容された現像器31Mを感光体ドラム10と対向する位置に導き、上記のイエロー画像の場合と同様に、レーザ走査光学系20により帯電された感光体ドラム10に対してマゼンタ画像を露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をマゼンタトナーが収容された現像器31Mによって現像し、現像されたマゼンタのトナー像を感光体ドラム10から中間転写ベルト40に1次転写させ、更に同様にして、シアン画像及びブラック画像の露光,現像及び1次転写を順々に行って、中間転写ベルト40上にイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー画像を順々に重ねてフルカラーのトナー像を形成する。
そして、中間転写ベルト40上に最終のブラックのトナー像が1次転写されると、記録材Sをタイミングローラ63により2次転写ローラ43と中間転写ベルト40との間に送り、2次転写ローラ43により記録材Sを中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40上に形成されたフルカラーのトナー像を記録材S上に2次転写させる。
そして、このようにフルカラーのトナー像が記録材S上に2次転写されると、この記録材Sを上記の搬送手段66により定着装置70に導き、この定着装置70によって転写されたフルカラーのトナー像を記録材S上に定着させ、その後、この記録材Sを垂直搬送路80を通して装置本体100の上面に排出させるようになっている。
以下に、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
《現像ローラの作製》
以下の手順で現像ローラを作製した。
〈基材の準備〉
基材としては、下記の材質の鋼を切削加工して中空筒状の管を作製し、中空筒状の管の両端部にフランジを取り付けた「基材」を準備した。
材質:炭素鋼
外径:16mm
肉厚:1mm
〈軸体の作製〉
上記で準備した基材に下記のメッキを行い軸体を作製した。
(軸体1の作製)
上記で作製した「基材」の表面に、無電解ニッケルメッキ液「トップニコロンPAL」(奥野製薬工業社製)を用いてメッキを行い、膜厚5μmのメッキ層を形成し、「軸体1」を作製した。
(軸体2〜5、7、8の作製)
軸体1の作製において、メッキ処理時間を変化させてメッキ層の膜厚を変えた以外は同様にして「軸体2〜5、7、8」を作製した。
(軸体6の作製)
無電解ニッケルメッキ液「トップニコロンPAL」(奥野製薬工業社製)を、無鉛(重金属フリー)の無電解ニッケルメッキ液「ニムデンKTY Ver.3」(上村工業社製)に変更した以外は同様にして「軸体6」を作製した。
(軸体9、10の作製)
下記条件の電気メッキ法でニッケルメッキを行い軸体を作製した。
メッキ液:いわゆるワット浴であり、硫酸ニッケル240質量部、塩化ニッケル45質量部、及びホウ酸30質量部を純水に溶解し、1000質量部の溶液を作製し、液温を50°Cにしメッキ液とした。
メッキ処理:電流密度5A/dm2とし、通電時間を変え、メッキ層の膜厚を変化させた軸体「軸体9、10」を作製した。
《耐食性試験》
上記で準備した「軸体1〜10」の耐食性試験を、下記方法で行った。
試験法:JIS H8617及びZ2371による塩水噴霧試験
試験液組成:塩化ナトリウム5.0±1質量% pH6.5〜7.2
使用食塩の品質:JIS K8150特級
使用水質:イオン交換水(比抵抗50×104Ωcm以上)使用
試料表面の調整法:エタノール洗浄
試験時間:96時間
試験時の温度:35℃
噴霧方法:24時間連続噴霧
判定方法:試料表面の錆び発生をレイティングナンバーで示す。
表1に、メッキ法、処理時間、通電時間、メッキ層の膜厚、レイティングナンバーを示す。
Figure 2008224945
〈被覆層の作製〉
(被覆層形成用塗布液の調製)
特開2002−220431号公報に記載されている方法で得た、Si含有量が、シリカ質量換算で6.0質量%のアルコキシ基含有シロキサン変性ポリウレタン樹脂(ウレタン樹脂という)100質量部をメチルエチルケトン400質量部、イソプロピルアルコール300質量部の混合溶媒に溶解した。この溶液にカーボンブラック(体積固有抵抗1×10-1Ωcm、数平均一次粒径50nm)30質量部、テトラメチルアンモニウムクロライド1.0質量部、数平均におけるメディアン径(D50)が20μmの架橋ウレタン樹脂粒子20質量部を混合分散させ、「被覆層形成用塗布液1」を調製した。
(現像ローラ1の作製)
「被覆層形成用塗布液1」を「軸体1」の外周面にスプレー塗布した後、120℃で1時間乾燥を行い、乾燥後の膜厚が15μmの被覆層を形成し、「現像ローラ1」を作製した。
(現像ローラ2〜10の作製)
現像ローラ1の作製において用いた「軸体1」を、表1に示す軸体に変更した以外は同様にして「現像ローラ2〜10」を作製した。
《評価》
(画像評価装置)
現像ローラの画像評価は、カラーレーザプリンター「Magicolor2430DL(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」に、上記で作製した現像ローラを順次装着して行った。
(高温高湿環境保存による画像ムラ)
高温高湿環境保存による画像ムラの評価は、上記プリンターに上記で作製した現像ローラをそれぞれ、初期、高温高湿(30℃、80%RH)環境下に2週間及び6箇月間放置した後、順次装填し、常温常湿(20℃、50%RH)でA4サイズの用紙に画像濃度0.5のハーフトーン画像をプリントして行った。
プリントして得られた用紙の9箇所の反射濃度を反射濃度計マクベス反射濃度計「RD−918」(マクベス株式会社製)を用いて測定し、9箇所の数値の最大差(濃度ムラ)を画像ムラとして表した。用紙の9箇所は、用紙の長手方向の一方の端部から50mmの位置で用紙幅方向に3等分した位置の3箇所、用紙の長手方向の中央部の位置で用紙幅方向に3等分した位置の3箇所、及び、用紙の長手方向のもう一方の端部から50mmの位置で用紙幅方向に3等分した位置の3箇所の合計9箇所とした。
尚、画像ムラが、0.08以下を合格とする。
(ハーフトーン画像部の画像欠陥)
ハーフトーン画像部の画像欠陥の評価は、上記のプリンターに上記で作製した現像ローラを高温高湿(30℃、80%RH)環境に2週間放置後、順次装填し、常温常湿(20℃、50%RH)でプリントを行った。
プリントの初期と5000枚プリント修了時に画像濃度0.5のハーフトーン画像をA4サイズの上質紙にプリントし、得られたプリント画像を目視観察し評価した。
評価基準
◎:ハーフトーン画像部に、径0.3以上の白ポチ、黒ポチが無い均一な画像で問題なし
○:ハーフトーン画像部に、径0.3以上の白ポチと黒ポチが存在するが実用上問題なし
×:ハーフトーン画像部に、径0.3以上の白ポチと黒ポチが多数存在し実用上問題有り。
表2に、評価結果を示す。
Figure 2008224945
表2に示すように、本発明に該当する実施例1〜6の「現像ローラ1〜6」は、高温高湿保存による画像ムラ、ハーフトーン画像部の画像欠陥の何れも良好な結果となったのに対し、本発明外の比較例1〜4の「現像ローラ7〜10」はこれらの評価項目の何れかに問題が見られ、本発明の効果が発現されないことが確認された。
本発明の現像ローラの一例を示す断面概略図である。 軸体と被覆層の層間接着力の測定をするための模式図である。 本発明の現像ローラを作製する手段を示すフローチャートである。 本発明の現像ローラが好ましく用いられる現像装置の一例を示す断面概略図である。 本発明の現像ローラが好ましく用いられるフルカラー画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
25 現像ローラ
251 基材
252 ニッケルメッキ層
253 軸体
254 被覆層
10 感光体ドラム
20 現像装置
26 バッファ室
27 ホッパ
28 規制ブレード
29 補助ブレード
30 供給ローラ
T トナー
31 回転体
32 通路
321 弁
322 規制部材

Claims (2)

  1. 導電性軸体の外周に、少なくとも導電剤と樹脂とを有する被覆層を直接形成して構成される電子写真用現像ローラにおいて、
    該導電性軸体が、以下の要件を満たしていることを特徴とする電子写真用現像ローラ。
    (1)導電性軸体の表面が、無電解ニッケルメッキ法により形成されたニッケルメッキ層である
    (2)ニッケルメッキ層の膜厚が、2〜8μmである
    (3)前記ニッケルメッキ層形成後の導電性軸体の耐食性が、塩水噴霧試験でレイティングナンバー6以上、10以下である。
  2. 前記無電解ニッケルメッキ法が、重金属フリーメッキ液を用いて行うものであることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
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