JP2008224750A - 近赤外線遮蔽機能と反射防止機能を有する光学フィルム及びその製造方法 - Google Patents

近赤外線遮蔽機能と反射防止機能を有する光学フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Tomoo Inakura
智生 稲倉
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Abstract

【課題】「はじき欠陥」の発生が抑制された近赤外線吸収膜を形成可能とし、巻き取り不良の発生が抑制された、反射防止層を有する光学フィルム及びその製法を提供する。
【解決手段】長尺帯状透光性基材5の一方の主面側に、ハードコート膜7と低屈折率膜8とがこの順で形成された帯状積層体A'''をロール状に巻き取って巻回体2とし、前記巻回体を巻き戻しながら繰り出された前記透光性基材5の他方の主面側に近赤外線吸収膜6が形成されてなる光学フィルム10であって、前記低屈折率膜8は、前記ハードコート膜7の屈折率よりも低い屈折率を有する無機化合物、硬化性バインダー、添加剤から形成された膜で、前記添加剤は分子量が500〜2000のメタクリル基及び/又はアクリル基を有するポリジメチルシロキサンを含む光学フィルム。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学フィルム及びその製造方法に係わり、さらに詳しくは、基材の片面に近赤外線遮蔽機能を有し、もう一方の面に反射防止機能を有する光学フィルム及びその製造方法であって、フィルム表面の防汚性とその製造方法上に生じる裏面汚染防止の改良に関する。
近年、大型テレビをはじめ種々の電子機器の表示パネルとして、プラズマディスプレイパネル(PDP)の需要が増大している。PDPは、プラズマ放電によって蛍光体が発光し、画像を映し出す。しかしこのとき不要な近赤外線や電磁波などが同時に発生する。発生する近赤外線においては、周辺の電子機器のリモートコントロールに使用される波長領域と重複しており、特にテレビやエアコンなどの誤動作を生じさせるといった問題があった。このため、近赤外線遮蔽機能を有するフィルタをプラズマディスプレイパネルの前面板に貼り付けるなどして対応している。
さらに、ディスプレイ画面への外光の写り込みを防止するため、単層の低屈折率材からなる薄膜、あるいは低屈折率材からなる薄膜と高屈折率材からなる薄膜とを組み合わせたフィルタをディスプレイに配置することで、反射防止性能を得ることも行われている。
最近では各フィルタの密着性改善や工程簡略化によるコストダウンを目的としてこれらの各機能を集約したフィルタの提案がなされている。そのひとつとして近赤外線遮蔽および反射防止機能を共に有するフィルタが挙げられる。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
特開平10−156991号公報 特開平11−295506号公報
この様なディスプレイ用の光学フィルムには、光学特性のほかに、防汚性、滑り性、耐薬品性、耐水性等の様々な特性を有することが必要とされる。これらの特性を確保するために、最外層となる反射防止層を形成するための塗料には適宜添加剤が添加される。添加剤としては、一般的に、シリコーン系やフッ素系のものが知られている。これらの添加剤は、反射防止層の表面にフリーの状態で多量に存在する。光学フィルムの製造過程では、長尺帯状の透光性基材の一方の主面に反射防止層を形成後、透光性基材とハードコート膜と反射防止層とからなる長尺帯状の積層体は、ロール状に一旦巻き取られる。この巻取りにより、反射防止層と透光性基材裏面とが接するので、反射防止層に含まれる上記添加剤が、透光性基材のハードコート膜側の面の反対面に付着する。よって、上記反対面に近赤外線吸収膜を形成するための塗料を塗布した際に、塗料がはじかれ、その結果、近赤外線吸収膜に欠陥(以下、「はじき欠陥」と呼ぶこともある。)が生じる恐れがある。尚、光学フィルムはこのように、現実の生産は、一旦、光学機能層を形成した後、ロール状に巻き取って次の処理を施す場合には、前記巻回体を巻き戻しながら繰り出された帯状積層体を処理するのが連続生産上、最も普通に採用されている製造手法であり、どうしても表面と裏面が接触することになる。巻回体とせずに、一品づつ製造すると言うことは、コストの面からも生産効率の面からも実質生産においては採用できない方法である。
巻回体とする以上、この欠陥に対する改善策として、下記の方法等が考えられる。なお、下記では、反射防止層がハードコート膜と低屈折率膜とから構成されている場合を例に挙げて説明する。
一つ目の改善方法として、透光性基材の一方の主面に近赤外線吸収膜を形成してから、他方の主面にハードコート膜および低屈折率膜をこの順で形成する方法が挙げられる。二つ目の改善方法として、透光性基材の一方の主面にハードコート膜を形成した後、他方の面に近赤外線吸収膜を形成し、次いで、ハードコート膜上に低屈折率膜を形成する方法が挙げられる。しかし、ハードコート膜および近赤外線吸収膜は一般的に膜表面の滑り性が低い。これらの方法を採用すると、近赤外線吸収膜と透光性基材とハードコート膜とがこの順に積層された積層体をロール状に巻取る際に、巻きズレなどの不具合が生じやすい。また、低屈折率膜の形成にあたって、近赤外線吸収膜と透明樹脂フィルムとハードコート膜とからなる帯状積層体をその巻回体から繰り出す際、剥離帯電が大きくなるという不具合が生じる。また、コストの観点からも、比較的高価な近赤外線吸収色素を含む近赤外線吸収膜の形成は、できるだけ、後で行う方が好ましい。すなわち、近赤外線吸収膜には高価な近赤外線吸収色素が用いられている。これらの近赤外線吸収色素は、熱や紫外線で分解しやすい。したがって、ハードコート膜の形成とか低屈折率膜の形成とかの工程を通る場合などの、加熱や紫外線照射工程などがあると近赤外線吸収色素が分解されてしまうおそれがあるからである。
三つ目の改善方法として、透光性基材の一方の主面にハードコート膜および低屈折率膜をこの順に積層された積層体をロール状に巻取る際に、安価なフィルムを一緒に巻き、反射防止膜(低屈折率膜)と、透光性基材の反射防止膜が形成された面とは反対側の面とを接触させない方法が挙げられる。しかし、このような不要な部材の使用は、コストの観点、環境保護の観点からも好ましくない。
尚、透光性基材の一方の主面のみを使用し、透光性基材の一方の主面に近赤外線吸収膜を形成し、その上に重ねてハードコート膜や低屈折率膜をこの順に積層する方法も、上述したと同様に、ハードコート膜や低屈折率膜形成工程における加熱や紫外線照射工程などにより近赤外線吸収色素が分解されてしまうおそれがある。一方、反射防止膜(低屈折率膜とハードコート膜を含む)の上に更に近赤外線吸収膜を形成する方法では、反射防止膜としての機能が達成できない(反射防止膜は最外層でないと意味がない)ので、このような積層構成は意味がなく、採用できない。したがって、透光性基材にハードコート膜、低屈折率膜からなる反射防止膜と近赤外線吸収膜とを形成した光学フィルムは、通常、透光性基材の一方の主面にハードコート膜および低屈折率膜をこの順に積層し、前記透光性基材の反対側の主面に近赤外線吸収膜を形成するのが一般的に採用される積層構成となるのである。
本発明は、透光性基材の低屈折率膜(反射防止膜)側の面の反対面への低屈折率膜中の添加剤の付着を抑制することにより、「はじき欠陥」の発生が抑制された近赤外線吸収膜を形成可能とし、かつ、反射防止層の防汚性及び滑り性が付与された光学フィルム並びにその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の光学フィルム並びにその製造方法は次のものである。
(1)透光性基材と、前記透光性基材の一方の主面側に配置されたハードコート膜と、前記ハードコート膜上に配置され前記一方の主面側の最表面を形成し、前記ハードコート膜の材料よりも屈折率が小さい材料を含む低屈折率膜と、前記透光性基材の他方の主面側に配置された近赤外線吸収膜とを含む光学フィルムからなり、
前記低屈折率膜は、前記ハードコート膜の屈折率よりも低い屈折率を有する無機化合物、硬化性バインダー、添加剤から形成された膜で、前記添加剤は、分子量が500〜2000の範囲にあるメタクリル基及び/又はアクリル基を有するポリジメチルシロキサンを含むことを特徴とする光学フィルム。
(2)また、本発明の光学フィルムは、光学フィルム透光性基材と、前記透光性基材の一方の主面側に配置されたハードコート膜と、前記ハードコート膜上に配置され前記一方の主面側の最表面を形成し、前記ハードコート膜の材料よりも屈折率が小さい材料を含む低屈折率膜と、前記透光性基材の他方の主面側に配置された近赤外線吸収膜とを含む光学フィルムからなり、
前記光学フィルムは、長尺帯状の前記透光性基材の前記一方の主面側に、前記ハードコート膜と前記低屈折率膜とがこの順で形成された帯状積層体をロール状に巻き取って、巻回体とし、
前記近赤外線吸収膜が、前記巻回体を巻き戻しながら繰り出された前記透光性基材の他方の主面側に形成されてなる光学フィルムであって、
前記低屈折率膜は、前記ハードコート膜の屈折率よりも低い屈折率を有する無機化合物、硬化性バインダー、添加剤から形成された膜で、前記添加剤は分子量が500〜2000の範囲にあるメタクリル基及び/又はアクリル基を有するポリジメチルシロキサンを含むことを特徴とする光学フィルムである。
(3)前記(1)項又は(2)項のいずれか1項に記載の本発明の光学フィルムにおいては、前記メタクリル基及び/又はアクリル基を有するポリジメチルシロキサンを、前記硬化性バインダー100質量部に対して1質量部以上8質量部以下を含むことが好ましい。
(4)また、前記(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の本発明の光学フィルムにおいては、前記低屈折率膜における前記ハードコート膜の屈折率よりも低い無機化合物の含有量は、前記硬化性バインダーと前記無機化合物の質量の総和の65質量%以下であることが好ましい。
(5)また、前記(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の本発明の光学フィルムにおいては、前記光学フィルムの全光線透過率は91%以上であり、前記透光性基材単独の全光線透過率よりも高いことが好ましい。
(6)また、前記(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の本発明の光学フィルムにおいては、前記無機化合物が空隙を有する無機化合物微粒子であることが好ましい。
(7)また、前記(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の本発明の光学フィルムにおいては、低屈折率層の屈折率が1.40未満であることが好ましい。
(8)また、本発明の光学フィルムの製造方法は、長尺帯状の透光性基材の一方の主面側に配置されたハードコート膜上に前記ハードコート膜の材料よりも屈折率が小さい材料を含む低屈折率膜を形成し、得られた帯状積層体をロール状に巻き取って、巻回体とし、その後、前記巻回体を巻き戻しながら繰り出された前記透光性基材の他方の主面側に近赤外線吸収膜を形成する光学フィルムの製造方法において、
前記低屈折率膜は、前記ハードコート膜の屈折率よりも低い屈折率を有する無機化合物、硬化性バインダー、添加剤を含む組成物を硬化して形成される膜であり、前記添加剤は分子量が500〜2000の範囲にあるメタクリル基及び/又はアクリル基を有するポリジメチルシロキサンを含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
(9)また、前記(8)項に記載の本発明の光学フィルムの製造方法においては、前記メタクリル基及び/又はアクリル基を有するポリジメチルシロキサンを、前記硬化性バインダー100質量部に対して1質量部以上8質量部以下を含むことが好ましい。
本発明は、透光性基材のハードコート膜側の面の反対面への添加剤の付着を抑制することにより、「はじき欠陥」の発生が抑制された近赤外線吸収膜を形成可能とし、かつ、反射防止層の防汚性及び滑り性付与された光学フィルム並びにコスト上昇を押えたその製造方法をできる。
以下、本発明の理解を容易にするために本発明の一実施形態例を取り上げて、図面を引用しながら説明するが、本発明は図示した実施形態例のみに限定されるものではない。
(実施形態1)
実施形態1では、本発明の光学フィルムの一例、およびその製造方法の一例について説明する。
図1は、本発明の光学フィルムの一実施形態例を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の光学フィルム10は、透光性基材5と、透光性基材5の一方の主面上に配置された近赤外線吸収膜6と、この透光性基材1の他方の主面上に配置されたハードコート膜7と、このハードコート膜7上に配置された低屈折率膜8とから構成されている。低屈折率膜8を構成する材料の屈折率は、ハードコート膜7を構成する材料のそれより低いので、低屈折率膜8とハードコート膜7とからなる積層体は、反射防止層として機能する。
<低屈折率膜>
ハードコート膜7上に配置される低屈折率膜8の膜厚は、屈折率と上記膜厚の積である光学膜厚がλ/4(λ:人間の可視光線の波長。人間の目の視感度が高い光の波長550nmに設定されることが多い)となるように設定されると、反射率がより低くなり好ましい。すなわち具体的な膜厚dはλ/4nの範囲となるように設定される。このように低屈折率層の屈折率やどの可視光の波長を選定するかによって異なるので膜厚dは一概に規定できないが、通常、膜厚dとしては80〜120nm程度の範囲になることが多い。低屈折率膜8の屈折率とハードコート膜7の屈折率との差が大きいほど、反射防止性能は向上する。
上記低屈折率層は、前記ハードコート膜よりも屈折率が低い無機化合物、硬化性バインダー、添加剤から形成されている。
低屈折率膜8の表面は、光学フィルタの一方の最外面でもあるので、強度と防汚性を有していることが好ましく、前記添加剤には、メタクリル基及び/又はアクリル基(以下、これを「メタ/アクリル基」と略称する)を有するポリジメチルシロキサンを用いることが必要であり、より好ましくは両末端及び側鎖にメタ/アクリル基を有するポリジメチルシロキサンがよい。
また、前記メタ/アクリル基を有するポリジメチルシロキサンの分子量は、500〜2000の範囲にあることが必要である。前記分子量が500以下であるとジメチルシロキサン部位が短く、防汚性の効果を満たせず、2000を超えると反応性が悪く未反応物が膜表面に残存するため、透光性基材の一方の主面にハードコート膜および低屈折率膜をこの順に積層された積層体をロール状に巻取った際に、反射防止膜と透光性基材のハードコート膜側の面の反対面が接触してこれが転写し、はじき欠陥の原因となるからである。
前記メタ/アクリル基を有するポリジメチルシロキサンの分子量は、熱分解質量分析装置で測定できる。
前記メタ/アクリル基を有するポリジメチルシロキサンとしては、例えば、信越化学株式会社製の“X−22−164A”、“X−22−164AS”、“X−24−8201”等、ビックケミー社製の“BYK3500”、“BYK3570”等、チッソ株式会社製の“サイラプレーンFM−7711”、“FM−0711”等が挙げられる。
また、前記メタ/アクリル基を有するポリジメチルシロキサンは、前記硬化性バインダー100質量部に対して1質量部以上8質量部以下で含むことが好ましく、より好ましくは1質量部以上6質量部以下である。前記メタ/アクリル基を有するポリジメチルシロキサンの使用割合があまりに少ないと巻き取り不良が生じやすくなる傾向になり、あまりに多すぎると、裏面への転写により前記近赤外線吸収膜の塗布不良を起こしやすくなる傾向になるので、上記範囲で用いることが特に好ましい。
上記ハードコート層の上に配置される低屈折率層の屈折率は、ハードコート層の屈折率よりも低く設定してある。これにより、反射防止層を2層構造にしても、反射防止機能を付与できる。
上記低屈折率層の屈折率としては、例えば1.40未満、より好ましくは1.38以下に設定することが、反射率を低減させるために好ましい。低屈折率層の屈折率の下限は特に制限はないが、通常、1.30程度である。
また、前記ハードコート膜よりも屈折率が低い無機化合物は、ハードコート膜との屈折率差が大きい方が反射防止性能が向上するため好ましく、フッ素化合物及び珪素化合物が好ましく、また、シリカゾル等が挙げられる。シリカゾルとしては、例えば、ケイ素アルコキシドと酸触媒またはアルカリ触媒とを出発原料とするシリカゾルが挙げられる。ケイ素アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシランやテトラエトキシシラン等が用いられる。より好ましい無機化合物は、微粒子状の無機化合物であり、特に空隙を有する微粒子状の無機化合物が好ましい。すなわち、多孔質状か、中空形状の微粒子状無機化合物である。さらに、コスト低減面から、中空シリカ微粒子がより好ましい。
また、中空シリカ微粒子の平均粒子径は、低屈折率層の厚みを大きく超えないことが好ましく、特に0.1μm以下であることが好ましく、細かいほど好ましい。平均粒子径が大きくなると散乱が生じ、ヘイズ値が大きくなってしまうおそれがある。尚、ここで平均粒子径とは、レーザードップラー方式で測定された平均粒子径を基準とするものであり、以下、他の粒子の平均粒子径についても同様である。
これらの無機化合物の使用割合は、用いる無機化合物の種類、形状、大きさ、屈折率、用いるバインダー樹脂の種類などにより異なるので一概に規定し難いが、強いて目安を示すとすれば、前記硬化性バインダーと前記無機化合物の質量の総和の65質量%以下が膜強度(耐擦傷性)の保持の理由で好ましく、さらには、反射防止性能を十分発揮させる観点からも、前記硬化性バインダーと前記無機化合物の質量の総和の65〜35質量%程度の範囲から適宜選定されることがより好ましい。
上記低屈折率層を形成する硬化性バインダー樹脂としては、電離放射線硬化型材料、または熱硬化型材料等であればよい。電離放射線硬化型材料としては、ビニル基、メタ/アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基を有するモノマー、プレポリマー、ポリマーを用いることができ、例えば不飽和基を2つ以上有する多官能アクリレ−ト等が好適に使用できる。
電離放射線硬化型樹脂は、耐擦傷性を向上させる観点から、特に、重合可能な不飽和基を2つ以上有する多官能アクリレ−ト等を含んでいると好ましい。
不飽和基を2つ以上有する多官能アクリル系化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサントリメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート等の、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とから生成されるエステル類、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン等のビニルベンゼンおよびその誘導体等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいが、2種以上を組み合せて用いてもよい。なかでも、耐擦傷性をより高める観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートについては、膜強度を高める観点からは好ましいが、屈折率が高いので、屈折率がこれらよりも低い他の多官能アクリル系化合物と組み合せて用いると好ましいし、上述したように空隙を有するシリカやフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子を用いることにより低屈折率塗膜層の屈折率の上昇を適宜抑制することが望ましい。
また、熱硬化型材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、または、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は硬化剤と共に使用すると好ましい。
ハードコート層の上に低屈折率層を形成する方法については特に制限はなく、上記材料を含む塗布液をハードコート層上に塗布することにより形成できる。塗布方法も特に制限されず、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート等の塗工法、又はグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷法等を用いることができる。
低屈折率膜8形成用塗料に含まれる溶媒としては、例えば、硬化性バインダーを溶解させることが可能で、かつ、中空シリカ微粒子などの無機化合物微粒子などが安定して分散可能な有機溶媒であれば特に限定されない。例えば、ヘキサン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルビロリドン、ピリジン等の非プロトン性極性溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコール誘導体等が挙げられる。また、これらの溶剤のうちの1種のみを用いてもよいが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記低屈折率層に含まれる電離放射線硬化型樹脂を硬化させる際に、紫外線照射を行う場合には、低屈折率層の塗布液に光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が使用でき、これらは単独でも、二種以上を組み合わせても使用できる。光重合開始剤の使用量は、通常、用いる電離放射線硬化型樹脂バインダーの質量に対し1〜15質量%の範囲が好ましい。
<透光性基材>
透光性基材5の材料としては、可視光に対して透光性を有していれば特に限定されない。透光性基材5には、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂等の材料をフィルム状に加工したものを用いることができる。
フィルム状に加工する方法としては、押出成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、射出成形法などの方法が挙げられる。透光性基材5の厚さは通常10〜500μm程度が適当である。なお、基材5は、酸化防止剤、難燃剤、耐熱剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。また、上記透光性基材の全光線透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
<ハードコート膜>
ハードコート膜7の材料を構成するバインダー成分としては、可視光に対して透光性を有し、透光性基材5よりも高硬度の膜を形成でき、かつ、低屈折率膜の材料よりも高い屈折率を有していれば特に限定されない。ハードコート膜7形成用の塗料に含まれるバインダー成分としては、低屈折率膜の形成に用いられるバインダーと同様の電離放射線硬化型樹脂または熱硬化型樹脂等を用いることができる。なかでも、表面硬度が高い膜を形成可能な、電離放射線硬化型樹脂を用いることがより好ましい。
ハードコート膜7は、無機微粒子をさらに含んでいると好ましい。無機微粒子を含むことによって、より高い表面硬度を有するハードコート膜7が得られるとともに、硬化によるハードコート膜7の収縮を緩和できる。無機微粒子の材料としては、例えば、二酸化珪素(シリカ)、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、酸化ジルコニウム等を用いることができる。ハードコート膜7形成用塗料に含まれる無機微粒子の配合割合は、ハードコート膜の上記バインダ成分100質量部に対して15質量部〜200質量部が適当である。これらの無機微粒子の平均粒子径は、その一次平均粒子径で、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が特に好ましい。これらの範囲内であれば、電離放射線硬化型樹脂中における分散性が良い。なお、上記一次平均粒子径は、小さければ小さいほど、ハードコート膜7の透明性も高くなるので好ましい。
ハードコート膜7は、帯電防止機能を有していてもよい。ハードコート膜7が帯電防止機能を有していると、ディスプレイにおける画面表面の静電気による埃、ゴミ等の付着を防止することができるからである。帯電防止機能の付与方法は、ハードコート膜7に導電性金属酸化物および/または導電性樹脂等を含有させる方法が一般的ある。
導電性金属酸化物としては、例えば、アンチモン−錫複合酸化物(ATO)、インジウム―錫複合酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb26)等が挙げられる。これら導電性金属酸化物は、微粒子状のものが好適に使用され、その一次平均粒子径は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が特に好ましい。これらの範囲内であれば、電離放射線硬化型樹脂中における分散性が良い。なお、上記一次平均粒子径は、小さければ小さいほど、ハードコート膜12における導電性金属酸化物の含有量を多くすることができ、かつハードコート膜12の透明性も高くなるので好ましい。また、導電性金属酸化物の使用割合はバインダ成分100質量部に対して15質量部〜200質量部が適当である。
ハードコート膜7中に、導電性金属酸化物の微粒子が均一性よく分散されていると、ハードコート膜7の導電性が向上する。よって、ハードコート膜7形成用塗料には、分散剤が配合されていると好ましい。
分散剤としては、カチオン系、弱カチオン系、ノニオン系又は両性の界面活性剤を用いることができる。特に、プロピレンオキサイド又はエチレンオキサイド等の低級(C2〜C3)アルキレンオキサイドにより変性されたアルキルアミン系の界面活性剤が好ましい。分散剤のハードコート膜における含有量、またはハードコート膜形成用塗料における配合量は、導電性金属酸化物100質量部に対して0.05〜15質量部であると好ましく、0.5〜10質量部であるとより好ましい。これらの範囲内であれば、分散剤の効果が確実に得られ、また、ハードコート膜7の透光性が維持でき、強度も確保できるからである。
ハードコート膜7に含まれる導電性樹脂としては、例えば、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリピロール等が挙げられる。導電性樹脂は、ハードコート膜7形成用塗料に含まれる有機溶媒に可溶であるか、または、上記有機溶媒に対する分散性が良好な微粒子状であると好ましい。導電性樹脂が微粒子状である場合、その一次粒径は100nm以下であると、硬化性バイン中での分散性も良好であるので、より好ましい。導電性樹脂を使用する場合には、導電性樹脂の種類や導電率によっても異なるので一概に規定し難いが、使用割合はハードコート膜のバインダ成分100質量部に対して1質量部〜10質量部が適当である。
透光性基材5の一方の主面側にハードコート膜7を形成する方法については特に制限はなく、ハードコート膜7形成用塗料を、低屈折率膜8を形成する場合と同様に、隣接する層に塗布し、塗膜を乾燥し、塗膜に含まれるバインダー成分を硬化することにより形成できる。
ハードコート膜7の表面硬度は、JIS K5400に規定された鉛筆硬度試験による評価で、H以上が好ましく、2H以上であることがより好ましい。また、ハードコート膜7の厚さは、1〜7μmが好ましく、1.5〜5μmがより好ましい。厚さが1μm未満であると、硬度の維持が困難となり、7μmを超えるとクラックが生じ易くなり、カール(フィルムの反り)が発生し易くなり、よって、光学フィルム1の全光線透過率が低下し易くなるからである。
ハードコート膜7形成用塗料には重合開始剤が含まれていると好ましい。ハードコート膜7形成用塗料に含まれるバインダー成分が電離放射線硬化型樹脂であり、これを硬化させる際に紫外線を用いる場合には、重合開始剤には光重合開始剤を用いればよい。この光重合開始剤としては、例えば、上述した低屈折率膜に用いられる光重合開始剤と同様のものを用いればよい。
光学フィルム1の反射防止層側の表面抵抗値は、5×1012Ω/□以下であると好ましく、1×1011Ω/□以下であるとより好ましい。表面抵抗値が5×1012Ω/□を超えると塵埃が付着し易くなる傾向になる。表面抵抗値は、低ければ低いほど好ましいが、表面抵抗値を低くしようとして、上記導電性金属酸化物などの導電性物質の添加量を多くすると、ハードコート膜の着色が大きくなって光学フィルムの全光線透過率が低下する。また、反射防止層の硬度が小さくなって耐擦傷性が低下する。よって、上記表面抵抗値の下限値は108Ω/□程度のオーダーのものがより好適である。
ハードコート膜7形成用塗料に含まれる溶媒としては、例えば、硬化性バインダーを溶解させることが可能な有機溶媒であれば特に限定されない。例えば、ヘキサン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の非プロトン性極性溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコール誘導体等が挙げられる。また、これらの溶剤のうちの1種のみを用いてもよいが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<近赤外線吸収膜>
近赤外線吸収膜6に含まれる近赤外線吸収化合物は、850nm〜1100nmの波長領域に最大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。近赤外線吸収膜が上記近赤外線吸収化合物を含んでいると、波長400nm〜850nmの可視光の透過率を大きく低減させることなく、波長領域850nm〜1100nmの近赤外線の透過率を低減させることが可能となる。そのため、本実施形態の光学フィルムをPDP等の近赤外線吸収フィルタとしても好適に用いることができる。
上記850nm〜1100nmの波長領域に最大吸収波長を有する近赤外線吸収化合物としては、例えば、アミニウム系、アゾ系、アジン系、アントラキノン系、インジゴイド系、オキサジン系、キノフタロニン系、スクワリウム系、スチルベン系、トリフェニルメタン系、ナフトキノン系、ジイモニウム系、フタロシアニン系、シアニン系、ポリメチン系等の有機色素が挙げられる。
近赤外線吸収化合物を分散させるバインダ成分としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース樹脂、ポリブチラール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもいいし、2種以上を組み合わせてポリマーブレンドとしても用いてもよい。
近赤外線吸収膜6形成用塗料に含まれる溶媒としては、例えば、近赤外線吸収化合物及び分散させるバインダが安定である有機溶媒であれば特に限定されない。例えば、ヘキサン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の非プロトン性極性溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコール誘導体等が挙げられる。また、これらの溶剤のうちの1種のみを用いてもよいが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
透光性基材5のハードコート膜7側の反対側に近赤外線吸収膜6を形成する方法については特に制限はなく、例えば、前述のハードコート膜7の場合と同様に、近赤外線吸収膜6形成用塗料を透光性基材に塗布することにより形成できる。塗布方法も特に制限されず、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート等の塗工方法、又はグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷方法等を採用できる。近赤外線吸収膜6の厚さは、1μm〜10μmが好ましく、2μm〜7μmがより好ましい。
近赤外線吸収膜6の厚さ、材料の種類、近赤外線吸収化合物の含有率等は、波長850nm〜1100nmの全波長領域において、光学フィルムの分光透過率が20%以下となるように適宜定めればよい。
<易接着層>
図2に本発明の光学フィルムの別の一実施形態例を示す断面図を示した。図2に示すように、透光性基材5とハードコート膜7との間には、易接着層11が配置されていてもよい。この場合、透光性基材5とハードコート膜7との接合強度が向上する。
易接着層11に用いられる材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよいが、2種以上組み合わせてポリマーブレンドとして用いてもよい。これらの樹脂を構成する単量体に、カルボキシル基、水酸基等の親水基を有する単量体を共重合させた共重合体を、易接着層11の材料として用いると、易接着層と透光性基材との接着性がさらに向上するのでより好ましい。
易接着層11は、透光性基材5の滑り性、巻き性、耐ブロッキング性等のハンドリング性や、耐摩耗性、耐スクラッチ性等の摩耗特性を改善したり、屈折率の調整のために、無機粒子及び耐熱性高分子粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子を含んでいてもよい。無機粒子としては、炭酸カルシウム粒子、リン酸カルシウム粒子、シリカ粒子、カオリン粒子、タルク粒子、二酸化チタン粒子、アルミナ粒子、硫酸バリウム粒子、フッ化カルシウム粒子、フッ化リチウム粒子、ゼオライト粒子、硫化モリブデン粒子、シュウ酸カルシウム粒子等が挙げられ、耐熱性高分子粒子としては、架橋高分子粒子等が挙げられる。これらの粒子の中でも、シリカ粒子が好適である。下記平均粒子径のシリカ粒子の屈折率はポリエステル樹脂の屈折率と比較的近く、高い透明性が得やすいからである。
上記粒子の平均粒子径は、通常0.005μm〜1.0μm、好ましくは0.005μm〜0.5μm、さらに好ましくは0.005μm〜0.1μmである。平均粒子径が1.0μmを超えると易接着層の表面が粗面化し、易接着層11の透明性が低下する傾向があるからである。
易接着層11中に含まれる上記粒子の含有量は、通常、60質量%以下、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。粒子の含有量が多すぎると易接着層11の易接着性が損なわれることがあるからである。
易接着層11は、上記樹脂成分、上記粒子および溶媒等を含む塗料を、例えば透光性基材5に塗布することにより形成できる。塗布方法は特に制限されず、例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法等が挙げられる。これらの方法は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
易接着層11形成用塗料の塗布は、二軸延伸され、かつ熱固定化された透光性基材に対して行なってもよいが、延伸前の透光性基材に対して行ない、塗布後に延伸及び熱固定を行ってもよい。塗料を均一性よく塗布するためには、延伸前の透光性基材に対して塗布する方が好ましい。
易接着層11形成用塗料中の固形分濃度(溶媒を除いた残りの成分の総濃度)は、通常30質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。易接着層11形成用塗料の塗布量は、走行中のフィルム1m2に対して0.01〜5gであると好ましく、0.2〜4gであるとより好ましい。
易接着層11の厚さは、1μm未満であると好ましく、0.7μm未満であるとより好ましい。
次ぎに、本発明の光学フィルムの製造方法の一例を、図3を用いて説明する。図3は、本発明の光学フィルムの製造方法の一実施形態例の工程の一部を説明するための部分工程概念図である。なお、図3中、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28は、回転ロールである。
図3に示すように、透光性基材5とその一方の主面上に形成されたハードコート膜7とを含む帯状の積層体Aは、ロール状に巻回された状態にある。積層体Aは、積層体Aが巻回された巻回体1から繰り出され、塗料塗布部4に搬送される。搬送は、例えば回転ロール16,17等により行なわれる。
塗料塗布部4では、積層体Aを構成するハードコート膜に対して、低屈折率膜形成用塗料の塗布が行なわれる。塗料の塗布方法については、特に制限はないが、例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
次いで、ハードコート膜上に塗膜が形成された積層体A'は、乾燥機29内に搬送される。乾燥機29内では、塗膜中の溶媒が除去される。乾燥機29内の雰囲気温度および積層体A'の搬送速度は、乾燥機29内で上記塗膜中の溶媒の殆どが除去可能となるように設定すればよい。また、透光性基材やハードコート膜の熱によるダメージが可能なかぎり小さくなるように設定すればよい。
次いで、乾燥機29内を通過して、塗膜中の溶媒が除去された積層体A''に対して、例えば、放射線照射装置30により放射線(放射線は紫外線も含む意味で用いている)が照射される。放射線が照射されることにより、塗膜中の電離放射線硬化樹脂が硬化し、塗膜は、低屈折率膜8(図1参照)となる。なお、低屈折率膜形成用塗料に含まれるバインダ成分が、例えば、熱硬化性樹脂である場合は放射線照射装置を使用せずに乾燥機により、熱硬化性樹脂を硬化させればよい。また、本工程において、添加剤はメタ/アクリル基の反応性官能基を有しているため、硬化性バインダーと反応する。
次ぎに、塗膜中の硬化性バインダーが硬化した積層体A'''はロール状に順次巻き取られ、巻回体2が形成される(巻き取り工程)。
次ぎに、図示していないが、通常は、積層体A'''を巻回体2から繰り出し、光学的欠陥の有無を検査する(検査工程)。光学的欠陥は、例えば、はじき、低コントラスト、打痕によるへこみ、等があり、これらの有無は、例えば、一般的な反射性或いは透過性光学欠点検出装置等を用いて確認される。光学的欠陥が検出された場合、その欠陥箇所には、油性フェルトペンなどによってマーキングがされる。
このような検査は、例えば、ロール状に巻き取られる直前の低屈折率膜に対して行うこともできる。しかし、この場合、マーカーの低屈折率膜への接触により、低屈折率膜形成用塗料の塗布速度が変動し、または、低屈折率膜形成用塗料の塗布対象に張力変動が生じる恐れがある。塗布速度が変動や上記張力変動は、塗布不良や、巻き取り不具合を生じさせる可能性があり、その結果、歩留まりの低下をもたらしてしまう。
しかし、上述の検査工程を採用する本実施形態の光学フィルムの製法方法では、このような問題を伴うことなく、光学的欠陥の有無の検査を行うことができる。
次ぎに、検査工程を経た積層体A'''に図示していないが、保護ラミネートフィルムを貼り付ける。保護ラミネートフィルムの貼付けは、積層体A'''を構成する低屈折率膜に対して行なわれる。
次ぎに、図示していないが、透光性基材5の反射防止膜側の面の反対面上に近赤外線吸収膜を形成する。近赤外線吸収膜の形成は、保護ラミネートフィルム付き積層体A'''を一旦ロール状に巻回してから行ってもよいが、巻回を経ることなく、保護ラミネートフィルムの貼付け直後に行ってもよい。
得られた長尺帯状積層体からなる光学フィルムは、所望の大きさにカットされて光学フィルムとして使用される。
近赤外線吸収膜の形成方法については、特に制限はなく、従来公知の方法で形成すればよい。例えば、近赤外線吸収膜形成用塗料を、透光性基材5の反射防止膜側の面の反対面に塗布したあと、低屈折率膜を形成する場合と同様に、塗膜中の溶媒を除去し、次いで、塗膜中に含まれる樹脂を硬化させればよい。
尚、ハードコート膜7については、上述のとおり、ハードコート膜7形成用塗料を従来から知られた塗工方法または印刷方法を採用して、透光性基材5に塗布し、その後、塗膜中に含まれる溶媒を除去し、塗膜中に含まれるバインダ成分を硬化して、形成すればよい。透光性基材5とハードコート膜7との間に易接着層が配置された形態の場合は、易接着層上にハードコート膜7を形成すればよい。
このように、本実施形態の光学フィルムの製造方法では、透光性基材5と、ハードコート膜7と低屈折率膜8とを含む積層体A'''は一旦ロール状に巻き取られるが、添加剤は硬化性バインダーと反応しているため、反射防止層の表面にフリーの状態で多量に存在することはなく、透光性基材5の反射防止膜(低屈折率膜8とハードコート膜7)側の面の反対面に、低屈折率膜8に含まれる添加剤が付着することを抑制できる。したがって、上記反対面に近赤外線吸収膜を形成するための塗料を塗布した際に、塗料がはじかれることが抑制され、よって、近赤外線吸収膜に「はじき欠陥」が生じることが抑制される。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例における「部」は質量部を意味する。
まず、各塗料の組成および作製方法について説明する。
<ハードコート膜形成用塗料>
下記材料を混合および攪拌して、ハードコート膜形成用塗料を作製した。
(1)アンチモン酸亜鉛微粒子(日産化学社製、“セルナックスCX−Z210IP−F2”、平均粒子径:(20nm):2質量部
(2)ペンタエリスリトールトリアクリレート:9質量部
(3)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:4質量部
(4)光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、“IRGACURE(登録商標)907”):2質量部
(5)イソプロピルアルコール:77質量部
<低屈折率膜形成用塗料>
下記材料を混合および攪拌して、低屈折率膜形成用塗料を作製した。
(1)中空シリカ微粒子(触媒化成社製 平均粒子径:60nm):60質量部
(2)ペンタエリスリトールトリアクリレート:20質量部
(3)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:20質量部
(4)光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、“IRGACURE(登録商標)907”):2.0質量部
(5)メタクリル変性シリコーンオイル“X‐22−164A” (信越化学工業社製、両末端にメタクリル基を有するポリジメチルシロキサン、分子量:1700):2.0質量部
(6)イソプロピルアルコール:2000質量部
<近赤外線吸収膜形成用塗料>
下記材料を混合および攪拌して、近赤外線吸収膜形成用塗料を作製した。
(1)アクリル樹脂(三菱レイヨン社製、“ダイヤナール”):100質量部
(2)芳香族ジイモニウム色素(日本カーリット社製、“CIR−1085”):6質量部
(3)シアニン部位・ジチオール金属錯体部位含有近赤外線吸収化合物(住友精化社製、“SD50−E04N”、最大吸収波長:877nm):1質量部
(4)シアニン部位・ジチオール金属錯体部位含有近赤外線吸収化合物(住友精化社製、“SD50−E05N”、最大吸収波長:833nm):1質量部
(5)メチルエチルケトン:125質量部
(6)トルエン:460質量部
これらの塗料を用いて、下記のようにして光学フィルムを作製した。透光性基材として、表裏両面に易接着処理がなされた厚さ100μmの紫外線カット性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製“ルミラーQT58”)を準備した。
まず、上記透光性基材の片面に、ハードコート膜形成用塗料をマイクログラビアコータ(康井精機社製)を用いて塗布し、次いで塗膜を乾燥させた。その後、塗膜に紫外線を150mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ3μmのハードコート膜を形成し、ロール状に巻回した。
次に、上記ロール状の巻回物からハードコート膜が形成された透光性基材を帯状に繰り出し、ハードコート膜の上に、低屈折率膜形成用塗料を上記マイクログラビアコータを用いて塗布し、次いで塗膜を乾燥させた。その後、塗膜に紫外線を300mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ107nmの低屈折率膜を形成し、ロール状に巻回した。この部分の工程が図3を引用して説明した部分である。
次に、上記ロール状の巻回物からハードコート膜と低屈折率膜が形成された透光性基材を帯状に繰り出し、透光性基材のもう一方の面に近赤外線吸収膜形成用塗料を上記マイクログラビアコータを用いて塗布、乾燥し、厚さが4μmの近赤外線吸収膜を形成し、光学フィルムを得た。
前記低屈折率層膜塗料中のメタクリル変性シリコーンオイル を“X−22−164AS”(信越化学工業社製、両末端にメタクリル基を有するポリジメチルシロキサン、分子量:4740):2.0質量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート膜及び近赤外線吸収膜を形成し、光学フィルムを得た。
前記低屈折率層膜塗料中のメタクリル変性シリコーンオイル を“X−22−164A”:0.4質量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート膜及び近赤外線吸収膜を形成し、光学フィルムを得た。
前記低屈折率層膜塗料中のメタクリル変性シリコーンオイル を“X−22−164A”:1.2質量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート膜及び近赤外線吸収膜を形成し、光学フィルムを得た。
前記低屈折率層膜塗料中のメタクリル変性シリコーンオイル を“X−22−164A”:4.0質量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート膜及び近赤外線吸収膜を形成し、光学フィルムを得た。
前記低屈折率層膜塗料中のメタクリル変性シリコーンオイル を“X−24−8201”(信越化学工業社製、片末端にメタクリル基を有するポリジメチルシロキサン、分子量:2000):2質量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート膜及び近赤外線吸収膜を形成し、光学フィルムを得た。
比較例1
前記実施例1の低屈折率層膜塗料中のメタクリル変性シリコーンオイル をメタ/アクリル基を持たないポリエーテル変性ジメチルシロキサン“BYK307”(ビックケミー社製、分子量:2300):2質量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート膜及び近赤外線吸収膜を形成し、光学フィルムを得た。
比較例2
前記実施例1の低屈折率層膜塗料中のメタクリル変性シリコーンオイル を“X−22−2404”(信越化学工業社製、片末端にメタクリル基を有するポリジメチルシロキサン、分子量:420):2質量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート膜及び近赤外線吸収膜を形成し、光学フィルムを得た。
比較例3
前記実施例1の低屈折率層膜塗料中のメタクリル変性シリコーンオイル を“X−22−1602”(信越化学工業社製、両末端にメタクリル基を有するポリジメチルシロキサン、分子量:2370):1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート膜及び近赤外線吸収膜を形成し、光学フィルムを得た。
上記実施例1〜6及び比較例1〜3の光学フィルムの特性を下記のように評価した。
<はじき欠陥>
目視観察で近赤外線吸収膜のはじき欠陥の有無を確認した。
○:「はじき欠陥」なし
△:問題ない程度(1m2につき1〜2個)
×:全面に発生
<巻きずれ及びブロッキング>
帯状積層体の巻回体について、光学フィルムの作製完了までの間の工程で、巻きずれ及びブロッキングの有無を観察した。巻きズレおよびブロッキングのうちの少なくとも一方が観察される場合は不良とし、いずれも観察されない場合は良とした。
<防汚性> 指紋拭き取り性
各サンプルの反射防止層に指を5秒間押し当てることにより指紋を付着させた後、付着した指紋を“JKワイパー”(商品名(株)クレシア製ワイパー)、で拭き取り、その除去性を目視により評価した。
○:痕無し
△:痕が少し残るが問題なし
×:拭き取り不能
<防汚性> 油性フェルトペンインクのはじき性
完成した光学フィルムをサンプリングし、油性フェルトペン(ゼブラ株式会社製商品名“マッキー(細字)”)を用いて“A”と書き、その直後及び5秒後に“JKワイパー”(商品名(株)クレシア製ワイパー)で拭き取り、筆跡痕を目視により評価した。
○:5秒後拭き取りで筆跡痕無し
△:5秒後拭き取りで筆跡痕が少し残るが直後は筆跡痕無し
×:拭き取り不能
<反射率>
分光光度計“Ubest V−570型”(日本分光社製)を用い、300〜800nmの波長領域において視感度反射率Yを測定した。
これらの評価結果を表1に示した。
Figure 2008224750
実施例1〜6については、品質、歩留まり上問題となるほどの「ハジキ欠陥」は観察されなかった。また、視感度反射率Yは1.2以下で、光学フィルムの光学特性としては問題ない。一方、比較例1、比較例3については、「ハジキ欠陥」が多数観察された。比較例2については「ハジキ欠陥」は観察されなかったが、巻回体について5mmの巻きズレが確認された。またブロッキングも観察された。これは、膜表面の滑り性が悪い近赤外線吸収膜と低屈折率膜とが接するように、透光性基材とハードコート膜並びに低屈折率膜と近赤外線吸収膜とからなる帯状積層体が巻回されたためであると考えられる。
以上のことから、前記ハードコート膜の屈折率よりも低い無機化合物、硬化性バインダー、添加剤から形成された膜で、前記添加剤には、分子量が500〜2000の範囲にあるメタ/アクリル基を有するポリジメチルシロキサンを用いた低屈折率膜において透光性基材とハードコート膜と低屈折率膜とを含む帯状積層体を、ロール状に巻回した場合は、「ハジキ欠陥」が抑制され、巻回性も良好であることが確認できた。
本発明の光学フィルム並びのその製造方法は、「はじき欠陥」を抑制した光学フィルムを提供できるので、均一性の優れた赤外線吸収膜を備えた光学フィルムの製造に適用できる。
本発明の光学フィルムの一実施形態例を示す断面図。 本発明の光学フィルムの別の一実施形態例を示す断面図。 本発明の光学フィルムの製造方法の一実施形態例の工程の一部を説明するための部分工程概念図。
符号の説明
1 巻回体
2 巻回体
4 塗料塗布部
5 透光性基材
6 近赤外線吸収膜
7 ハードコート膜
8 低屈折率膜
10、10´ 光学フィルム
11 易接着層
16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28 回転ロール
29 乾燥機
30 放射線照射装置

Claims (9)

  1. 透光性基材と、前記透光性基材の一方の主面側に配置されたハードコート膜と、前記ハードコート膜上に配置され前記一方の主面側の最表面を形成し、前記ハードコート膜の材料よりも屈折率が小さい材料を含む低屈折率膜と、前記透光性基材の他方の主面側に配置された近赤外線吸収膜とを含む光学フィルムからなり、
    前記低屈折率膜は、前記ハードコート膜の屈折率よりも低い屈折率を有する無機化合物、硬化性バインダー、添加剤から形成された膜で、前記添加剤は、分子量が500〜2000の範囲にあるメタクリル基及び/又はアクリル基を有するポリジメチルシロキサンを含むことを特徴とする光学フィルム。
  2. 透光性基材と、前記透光性基材の一方の主面側に配置されたハードコート膜と、前記ハードコート膜上に配置され前記一方の主面側の最表面を形成し、前記ハードコート膜の材料よりも屈折率が小さい材料を含む低屈折率膜と、前記透光性基材の他方の主面側に配置された近赤外線吸収膜とを含む光学フィルムからなり、
    前記光学フィルムは、長尺帯状の前記透光性基材の前記一方の主面側に、前記ハードコート膜と前記低屈折率膜とがこの順で形成された帯状積層体をロール状に巻き取って、巻回体とし、
    前記近赤外線吸収膜が、前記巻回体を巻き戻しながら繰り出された前記透光性基材の他方の主面側に形成されてなる光学フィルムであって、
    前記低屈折率膜は、前記ハードコート膜の屈折率よりも低い屈折率を有する無機化合物、硬化性バインダー、添加剤から形成された膜で、前記添加剤は分子量が500〜2000の範囲にあるメタクリル基及び/又はアクリル基を有するポリジメチルシロキサンを含むことを特徴とする光学フィルム。
  3. 前記メタクリル基及び/又はアクリル基を有するポリジメチルシロキサンを、前記硬化性バインダー100質量部に対して1質量部以上8質量部以下を含む請求項1又は2のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  4. 前記低屈折率膜における前記ハードコート膜の屈折率よりも低い無機化合物の含有量は、前記硬化性バインダーと前記無機化合物の質量の総和の65質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 前記光学フィルムの全光線透過率は91%以上であり、前記透光性基材単独の全光線透過率よりも高い請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 前記無機化合物が空隙を有する無機化合物微粒子である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. 低屈折率層の屈折率が1.40未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  8. 長尺帯状の透光性基材の一方の主面側に配置されたハードコート膜上に前記ハードコート膜の材料よりも屈折率が小さい材料を含む低屈折率膜を形成し、得られた帯状積層体をロール状に巻き取って、巻回体とし、その後、前記巻回体を巻き戻しながら繰り出された前記透光性基材の他方の主面側に近赤外線吸収膜を形成する光学フィルムの製造方法において、
    前記低屈折率膜は、前記ハードコート膜の屈折率よりも低い屈折率を有する無機化合物、硬化性バインダー、添加剤を含む組成物を硬化して形成される膜であり、前記添加剤は分子量が500〜2000の範囲にあるメタクリル基及び/又はアクリル基を有するポリジメチルシロキサンを含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  9. 前記メタクリル基及び/又はアクリル基を有するポリジメチルシロキサンを、前記硬化性バインダー100質量部に対して1質量部以上8質量部以下を含む請求項8に記載の光学フィルムの製造方法。
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