JP2008223604A - 密閉型圧縮機 - Google Patents

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Kosuke Tsuboi
康祐 坪井
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Abstract

【課題】冷媒の漏れによる損失と、ピストンの摺動状態を改善し、効率と信頼性が高い密閉型圧縮機を提供する。
【解決手段】ピストン118は潤滑油を含浸した多孔質焼結合金からなり、ピストン118のトップ側端面141とトップ側外周面136に封孔処理を施した封孔部131と、ピストン118のスカート側外周面132の少なくとも一部に封孔処理を施さない含油部133とを形成したので、ピストン118とシリンダの隙間からの冷媒の漏れを低減し、また含油部133に保持した潤滑油を供給することで耐摩耗性を向上し、効率と信頼性が高い密閉型圧縮機を提供することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷凍冷蔵庫等の冷凍サイクルに用いられる密閉型圧縮機に関するものである。
近年、地球環境保護の観点から高効率な密閉型圧縮機の開発が進められている。従来の密閉型圧縮機としては、ピストンに多孔質焼結合金を用い潤滑特性に改良を加えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
図7は従来技術の密閉型圧縮機の縦断面図、図8は図7のA部拡大断面図である。
図7、図8において、密閉容器1は底部に潤滑油2を貯溜するとともに、固定子3と振動子4とからなる電動要素5およびこれによって駆動される圧縮機構6などが収容されており、冷媒ガス7で満たされている。
圧縮機構6は、圧縮室10を備えたシリンダブロック11と、圧縮室10内に往復摺動自在に挿入されたピストン12とを備えている。
ピストン12は多孔質焼結合金で構成され、空孔20がピストン表面21およびピストン深層部22に構成され、空孔20の内部には潤滑油2が含浸されている。
以上のように構成された圧縮機について、以下その動作を説明する。
密閉容器1に収容された電動要素5の振動子4の往復運動に伴って、ピストン12はシリンダブロック11の圧縮室10内を往復運動する。それにより、冷媒ガス7は冷却システム(図示せず)からピストン12中を介して圧縮室10内へ吸入され、圧縮室10内で圧縮された後、再び冷却システムへと吐出される。
ピストン12とシリンダブロック11との摺動部においては、ピストン12の空孔20の内部に含浸された潤滑油2が供給されて潤滑するため、潤滑油2が安定して摺動部に供給され保持されるため、摺動部の耐摩耗性が向上する。
また、封孔処理した多孔質焼結合金のピストン12を用いた場合には、運転中の冷媒の圧力変動により、ピストン表面21近傍の空孔20に含浸した潤滑油2がピストン深層部22の空孔20へ入り込むのを防止し、空孔20の潤滑油量の低下を防ぐことができる。
特開2000−110724号公報
しかしながら、上記従来の構成では、ピストン12に封孔処理を施さずに多孔質焼結合金を用いた場合、圧縮された冷媒ガス7がピストン表面21からピストン深層部22の空孔20を通り、密閉容器1内に漏れ出してしまうため、冷凍能力が低下してしまい、効率が低下する可能性があった。
また、ピストン12に封孔処理を施した後に、表面粗さおよび円筒度を良くするために研磨した場合には、ピストン表面21に空孔20はわずかしか形成されず、潤滑油2を保持することができず、十分な耐摩耗性を得ることができない可能性があるという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ピストンのシール性を確保した上で摺動状態を改善し、効率と信頼性が高い密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機は、ピストンは潤滑油を含浸した多孔質焼結合金からなり、ピストンのトップ側端面とトップ側外周面に封孔処理を施した封孔部と、ピストンのスカート側外周面の少なくとも一部に封孔処理を施さない含油部とを形成したもので、トップ側端面とトップ側外周面の封孔効果により、圧縮室に面するピストントップ側端面から密閉容器内へ冷媒ガスが漏れることを防止するという作用を有するとともに、含油部を通じてトップ側外周面の封孔部へ潤滑油が供給されることで、ピストン外周面とシリンダとの隙間を介して圧縮室から漏れる冷媒ガス量を低減でき、さらに含油部に保持した潤滑油を供給することで、耐摩耗性が向上するという作用を有する。
本発明の密閉型圧縮機は、冷媒ガスの漏れによる損失を低減するとともに、耐摩耗性を向上することができるので、効率が高く耐摩耗性に優れた密閉型圧縮機を提供することができる。
請求項1に記載の発明は、密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに冷媒ガスを圧縮する圧縮機構を収容し、前記圧縮機構は、略鉛直方向に配設され主軸部と偏芯部とを有するクランクシャフトと、円筒形の圧縮室を備えたシリンダブロックと、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピストンと前記偏芯部とを連結する連結機構と、前記シリンダブロックに形成され前記クランクシャフトの前記主軸部を軸支する主軸受と、前記潤滑油を前記ピストンの外周面に供給する給油機構とを備え、前記ピストンは潤滑油を含浸した多孔質焼結合金からなり、前記ピストンのトップ側端面とトップ側外周面に封孔処理を施した封孔部と、前記ピストンのスカート側外周面の少なくとも一部に封孔処理を施さない含油部とを形成したもので、トップ側端面とトップ側外周面の封孔効果により、圧縮室に面するピストントップ側端面からピストンの内部を介して密閉容器内へ冷媒ガスが漏れることを防止することができるとともに、さらに含油部を通じてトップ側外周面の封孔部へ潤滑油が供給されるため、ピストン外周面とシリンダとの隙間を介して圧縮室から漏れる冷媒ガス量を低減でき、さらに含油部に保持した潤滑油を供給することで、摺動損失を低減するとともに、耐摩耗性を向上することできる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に、ピストンの外周側面に封孔処理を施した封孔部を形成したもので、ピストンに最大の側圧荷重が作用する位置の近傍に封孔部を形成することで、荷重が作用した場合でも、潤滑油がピストンの空孔の深層部に入り込まずに摺動部で油圧を発生し、流体潤滑で摺動することができるので、請求項1に記載の発明の効果に加えて、ピストン外周面とシリンダ間で発生する摺動損失をさらに低減することができ、高い効率を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明に、更に、ピストンの外周面に溝部を形成し、前記溝部は前記ピストンのトップ側端面およびスカート側端面に連通せず、かつ少なくとも前記ピストンが下死点にあるときに密閉容器内の空間と連通するとしたもので、溝部に貯留した潤滑油が、含油部に効率よく充填されるとともに、ピストン外周側面の封孔部に潤滑油を供給できるので、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、ピストン側面へ大きな荷重が作用する場合でも、耐摩耗性を確保することができ、高い信頼性を得ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明に、更に、ピストンは、外周面に凹部を形成したピストン素材を封孔処理した後に外周面を加工し、凹部を封孔部として形成したもので、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、含油部と封孔部を同時に加工することで効率よく容易に形成することができ、生産性を高めることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明に、更に、潤滑油の粘度がVG3〜VG8としたもので、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、油膜切れを起こしやすい低粘度の潤滑油を使用した場合においても、安定的に潤滑油を供給して油膜切れを防止することができ、さらに高い耐摩耗性を確保することができるとともに高い効率を得ることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明に、更に、圧縮機構を駆動する電動要素を備え、前記電動要素は少なくとも27Hz以下の運転周波数を含む複数の運転周波数でインバーター駆動されるもので、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、給油機構からのピストン、シリンダ間への給油量が少なくなりやすい低速運転時においても、含油部に保持している潤滑油を供給でき、さらに高い耐摩耗性を確保し高い信頼性を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図、図2は、同実施の形態におけるピストンの斜視図、図3は、同実施の形態におけるピストン素材の斜視図である。
図1から図3において、密閉容器101内には潤滑油102を貯溜するとともに、電動要素103と電動要素103によって駆動される圧縮機構104を収容しており、冷媒ガス105で満たされている。
尚、本密閉型圧縮機に使用される冷媒ガス105は、オゾン破壊係数がゼロのR134aやR600aに代表される温暖化係数の低い自然冷媒である炭化水素系冷媒等であり、それぞれの冷媒と相溶性を有する潤滑油と組み合わせてある。潤滑油102の粘度グレードはVG3からVG8のものを用いており、低粘度の潤滑油である。
圧縮機構104を構成するクランクシャフト111は、偏芯部112と主軸部113を有する。シリンダブロック114にはクランクシャフト111の主軸部113を軸支する主軸受115が一体に形成されており、また圧縮室116を形成するシリンダ117を備えている。ピストン118はシリンダ117に約10μmの隙間をもって往復摺動自在に挿入され、偏芯部112と平行になるようにピストン118に配設されたピストンピン119と偏芯部112との間を連結機構120によって連結されている。
給油機構121は主軸部113の下端部に固定され、一端が潤滑油102中に開口し他端が給油通路122と連通したオイルコーン123と、クランクシャフト111の内部に形成され、オイルコーン123と連通し、偏芯部112の上端で開口している給油通路122で構成されている。
図2に示したピストン118は、図3に示した多孔質焼結合金のピストン素材130を加工した完成品であり、封孔処理を施した封孔部131と、スカート側外周面132の一部に封孔処理を施さない含油部133(図3中のハッチング部)とを形成している。
具体的に説明すると、まずピストン素材130は、鉄系の粉体を金型に充填し加圧成形し、焼結することで外周面134に凹部135を一体に成形し、更に水蒸気雰囲気中で加熱することで深さ0.5mm〜1mm程度の表層に酸化鉄を生成させて封孔処理されている。
凹部135は、トップ側外周面136の全周に亘って形成された凹部135aと、外周面134の一部を経てスカート側端面137まで帯状に延びている凹部135bとがつながって形成されている。そのため、スカート側端面137近傍の外周面134は、全周に亘って凹部135が形成されるのではなく、一部に形成される。
さらに、凹部135bは外周側面138に形成されており、後に加工されるピストンピン孔139の軸方向に対して垂直方向の外周面134上に、ピストン素材130の軸に対して対称となる位置に形成されている。
図3に示す凹部135a,135bの深さ(図3中の寸法B)は、凹部135a,135bや凹部135a,135bでない凸部140の外周面134から封孔処理の深さ以上であり、ここでは1mm以上としている。
ピストン118は、ピストン素材130の外周面134を、凸部140と凹部135a,135bの段差がなくなるまで旋盤などを用いて円筒形に切削加工された後、ピストンピン孔139等の孔加工がなされ、外周面134を研磨されている。
従って、凹部135a,135bが形成されていた箇所とトップ側端面141は、封孔処理が施された封孔部131となり、凸部140は封孔処理された表層を取り除かれ、封孔処理を施さない含油部133となる。
また、ピストン118は、組み立て前に潤滑油102と同種の潤滑油に含浸させている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電動要素103がクランクシャフト111を回転させ、偏芯部112の回転運動が連結機構120を介してピストン118に伝えられることで、ピストン118は圧縮室116内を往復運動する。それにより、冷媒ガスは冷却システム(図示せず)から圧縮室116内へ吸入・圧縮された後、再び冷却システムへと吐出される。
この際、給油機構121は、クランクシャフト111の回転に伴ってオイルコーン123が回転することで発生する遠心力によって、潤滑油102を給油通路122内で上昇させ、偏芯部112の上端付近から密閉容器101内に散布する。散布された潤滑油102はシリンダブロック114に当り伝って、ピストン118のスカート側外周面132に付着する。
ピストン118のスカート側外周面132に付着した潤滑油102は、毛細管効果により含油部133に充填され、ピストン118が上死点から下死点に向かう吸入行程の内で圧縮室116内の圧力が密閉容器101内に比べ低くなる期間に染み出す様に、トップ側外周面136の封孔部131とシリンダ117との間へ供給される。
また、ピストン118が上死点近傍に近づくと、圧縮室116内は、冷媒ガス105が圧縮され高圧になり、ピストン118を境に密閉容器101内と大きな圧力差が生じる。
そのため、圧縮室116内の高圧の冷媒ガス105が漏れ易くなるが、ピストン118のトップ側端面141とトップ側外周面136の封孔効果により、圧縮室116に面するピストン118のトップ側端面141からピストン118の内部を介して密閉容器101内へ冷媒ガス105が漏れることを防止することができる。さらに、含油部133を通じてトップ側外周面136の封孔部131へ潤滑油102が供給されるため、ピストン118の外周面134とシリンダ117との隙間を介して圧縮室116から漏れる冷媒ガス105を低減することができるとともに、さらに含油部133に保持した潤滑油102を供給することで、摺動損失を低減するとともに、耐摩耗性を向上することできる。
また、ピストンピン119の軸方向に対して垂直方向のピストン118の外周面134は、シリンダ117との摺動において最大の側圧荷重が作用するが、この最大の側圧荷重が作用するピストン118の外周面134の位置に封孔部131を形成しており、ピストン118の外周面134に、シリンダ117との摺動において最大の側圧荷重が作用した場合でも、潤滑油102がピストン118の空孔の深層部に入り込まずに摺動部で油圧を発生し、流体潤滑で摺動することができるので、ピストン118の外周面134とシリンダ117間で発生する摺動損失をさらに低減することができるとともに、耐摩耗性を向上することできる。
以上の通り、ピストン118において、最大の側圧荷重が作用する外周面134である外周側面138には封孔部131を形成して、最大の側圧荷重が作用しない外周面134には含油部133を形成することで、ピストン118とシリンダ117との摺動損失を低減するとともに、耐摩耗性を向上することができる。
また、外周面134に凹部135a,135bを形成したピストン素材130を用いているので、含油部133と封孔部131を同時に加工することで効率よく容易に形成することができ、生産性を高めることができる。
また、油膜切れを起こしやすい低粘度の潤滑油102を使用した場合においても、安定的に潤滑油102を供給して油膜切れを防止することができ、さらに高い耐摩耗性を確保することができるとともに高い効率を得ることができる。
なお、ピストン118は、組み立て前に潤滑油102と同種の潤滑油に含浸させているとしたが、組み立て後、運転させて給油機構121により潤滑油102を付着させ含浸させても同様の効果が得られることはいうまでもない。
また、使用される冷媒は、R134aやR600a等を例示して説明したが、冷媒は圧縮荷重の大きくなるR404a、R290、二酸化炭素としても、同様の作用、効果が得られることはいうまでもない。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図、図5は、同実施の形態におけるピストンの斜視図、図6は、同実施の形態におけるピストン素材の斜視図である。
図4から図6において、密閉容器201内には潤滑油202を貯溜するとともに、電動要素203と電動要素203によって駆動される圧縮機構204を収容しており、冷媒ガス205で満たされている。
電動要素203は少なくとも27Hz以下の運転周波数を含む複数の運転周波数でインバーター駆動することができる。
尚、本密閉型圧縮機に使用される冷媒ガス205は、オゾン破壊係数がゼロのR134aやR600aに代表される温暖化係数の低い自然冷媒である炭化水素系冷媒等であり、それぞれの冷媒と相溶性を有する潤滑油と組み合わせてある。潤滑油202の粘度グレードはVG3からVG8のものを用いており、低粘度の潤滑油である。
圧縮機構204を構成するクランクシャフト211は、偏芯部212と主軸部213を有する。シリンダブロック214にはクランクシャフト211の主軸部213を軸支する主軸受215が一体に形成されており、また圧縮室216を形成するシリンダ217を備えている。ピストン218はシリンダ217に約10μmの隙間をもって往復摺動自在に挿入され、偏芯部212と平行になるようにピストン218に配設されたピストンピン219と偏芯部212との間を連結機構220によって連結されている。
給油機構221は一端が潤滑油202中に開口し他端が給油通路222と連通し、主軸部213の下端付近の内部に形成された遠心ポンプ部223と、クランクシャフト211の内部に形成され、遠心ポンプ部223と連通し、偏芯部212の上端で開口している給油通路222で構成されている。
図5に示したピストン218は、図6に示した多孔質焼結合金のピストン素材230を加工した完成品であり、封孔処理を施した封孔部231と、スカート側外周面232の一部に封孔処理を施さない含油部233(図5中のハッチング部)とを形成している。
具体的に説明すると、まずピストン素材230は、鉄系の粉体を金型に充填し加圧成形し、焼結することで外周面234に凹部235a,235bを一体に成形し、更に水蒸気雰囲気中で加熱することで深さ0.5mm〜1mm程度の表層に酸化鉄を生成させて封孔処理されている。
凹部235aは、トップ側外周面236の全周に亘って形成されている。また、凹部235bは、スカート側端面237近傍の外周面234には、全周ではなく一部に形成され、しかもトップ側外周面236の凹部235aとは連通せず非連続に形成されている。
さらに、凹部235bは外周側面238に形成されており、後に加工されるピストンピン孔239の軸方向に対して垂直方向の外周面234上に、ピストン素材230の軸に対して対称となる位置に形成されている。
図6に示す凹部235a,235bの深さ(図6中の寸法C)は、凹部235a,235bや凹部235a,235bでない凸部240の外周面234から封孔処理の深さ以上であり、ここでは1mm以上としている。
ピストン218は、ピストン素材230の外周面234を、凸部240と凹部235a,235bとの段差がなくなるまで旋盤などを用いて円筒形に切削加工された後、溝部241とピストンピン孔239等の孔加工がなされ、外周面234を研磨されている。従って凹部235a,235bが形成されていた箇所とトップ側端面242は、封孔処理が施された封孔部231となり、凸部240は封孔処理された表層を取り除かれ、封孔処理を施さない含油部233となる。
溝部241は、トップ側端面242およびスカート側端面237には連通せず、かつ少なくともピストン218が下死点にあるときに密閉容器201内の空間と連通するように、ピストンピン孔239が開口しているピストン218の上部と下部にそれぞれ独立して軸対称の同一形状に形成されている。
溝部241のトップ側の縁250はトップ側端面242から円筒方向に7〜8mmの位置に構成し、溝部241の深さはピストン218のトップ側の外周面234から0.1〜0.5mmとしている。また、ピストン218の上部と下部の2つの溝部241をつなぐように含油部233が構成されている。
また、ピストン218のトップ側端面242近傍の外周面234には、円周方向に独立した二本の環状溝255が設けられており、溝部241とも独立している。
また、ピストン218は、組み立て前に潤滑油202と同種の潤滑油に含浸させている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電動要素203がクランクシャフト211を回転させ、偏芯部212の回転運動が連結機構220を介してピストン218に伝えられることで、ピストン218は圧縮室216内を往復運動する。それにより、冷媒ガスは冷却システム(図示せず)から圧縮室216内へ吸入・圧縮された後、再び冷却システムへと吐出される。
この際、給油機構221は、クランクシャフト211の回転に伴って遠心ポンプ部223が回転することで発生する遠心力によって、潤滑油202を給油通路222内で上昇させ、偏芯部212の上端付近から密閉容器201内に散布する。散布された潤滑油202の一部はシリンダブロック214に当った後に伝わって流れ、ピストン218のスカート側外周面232に付着したり、あるいはピストン218が下死点にあるときに密閉容器201内の空間と連通する溝部241に入り込んだりする。
ピストン218が下死点から上死点に向うときに、ピストン218のスカート側外周面232に付着あるいは溝部241に入り込んだ潤滑油202は、溝部241のスカート側の縁251によりかき集められ、毛細管効果により含油部233に充填される。含油部233が潤滑油202で満たされると、潤滑油202はピストン218の側面の溝部241の縁付近(図5中のD付近)に貯留される。
含油部233に充填された潤滑油202は、吸入行程において圧縮室216内の圧力が密閉容器201内に比べ低くなる間に染み出し、溝部241の縁付近に貯留された潤滑油202とともにピストン218の運動により、トップ側外周面236の封孔部231や環状溝255にまで広がり、シリンダ217との摺動潤滑に用いられる。
また、ピストン218が上死点近傍に近づくと、圧縮室216内は、冷媒ガス205が圧縮され高圧になり、ピストン218を境に密閉容器201内と大きな圧力差が生じる。
そのため、圧縮室216内の高圧の冷媒ガス205が漏れ易くなるが、ピストン218のトップ側端面242とトップ側外周面236の封孔効果により、圧縮室216に面するピストン218のトップ側端面242からピストン218の内部を介して密閉容器201内へ冷媒ガス205が漏れることを防止することができる。
さらに、含油部233を通じてトップ側外周面236の封孔部231へ潤滑油202が供給されるとともに、環状溝255にも潤滑油202が保持されるため、ピストン218の外周面234とシリンダ217との隙間を介して圧縮室216から漏れる冷媒ガス205を低減することができるとともに、さらに含油部233や環状溝255に保持した潤滑油202を供給することで、摺動損失を低減するとともに、耐摩耗性を向上することできる。
また、ピストンピン219の軸方向に対して垂直方向のピストン218の外周面234は、シリンダ217との摺動において最大の側圧荷重が作用するが、この最大の側圧荷重が作用するピストン218の外周面234の位置に封孔部231を形成しており、ピストン218の外周面234に、シリンダ217との摺動において最大の側圧荷重が作用した場合でも、潤滑油202がピストン218の空孔の深層部に入り込まずに摺動部で油圧を発生し、流体潤滑で摺動することができるので、ピストン218の外周面234とシリンダ217間で発生する摺動損失をさらに低減することができるとともに、耐摩耗性を向上することできる。
以上の通り、ピストン218において、最大の側圧荷重が作用する外周面234である外周側面238には封孔部231を形成して、最大の側圧荷重が作用しない外周面234には含油部233を形成することで、ピストン218とシリンダ217との摺動損失を低減するとともに、耐摩耗性を向上することができる。
また、外周面234に凹部235a,235bを形成したピストン素材230を用いているので、含油部233と封孔部231を同時に加工することで効率よく容易に形成することができ、生産性を高めることができる。
また、油膜切れを起こしやすい低粘度の潤滑油202を使用した場合においても、安定的に潤滑油202を供給して油膜切れを防止することができ、さらに高い耐摩耗性を確保することができるとともに高い効率を得ることができる。
また、給油機構221からのピストン218、シリンダ217間への給油量が少なくなりやすい低速運転時においても、含油部233に保持している潤滑油202を供給でき、さらに高い耐摩耗性を確保し高い信頼性を得ることができる。
なお、ピストン218は、組み立て前に潤滑油202と同種の潤滑油に含浸させているとしたが、組み立て後、運転させて給油機構221により潤滑油202を付着させ含浸させても同様の効果が得られることはいうまでもない。
また、使用される冷媒は、R134aやR600a等を例示して説明したが、冷媒は圧縮荷重の大きくなるR404a、R290、二酸化炭素としても、同様の作用、効果が得られることはいうまでもない。
以上のように、本発明にかかる密閉型圧縮機は、ピストンの摺動状態を改善することができ、効率を良くすることができるため、エアーコンディショナーや自動販売機等の密閉型圧縮機の用途にも展開できる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態におけるピストンの斜視図 同実施の形態におけるピストン素材の斜視図 本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態におけるピストンの斜視図 同実施の形態におけるピストン素材の斜視図 従来の密閉型圧縮機の縦断面図 図7のA部拡大断面図
符号の説明
101,201 密閉容器
102,202 潤滑油
104,204 圧縮機構
105,205 冷媒ガス
111,211 クランクシャフト
112,212 偏芯部
113,213 主軸部
114,214 シリンダブロック
115,215 主軸受
116,216 圧縮室
118,218 ピストン
120,220 連結機構
121,221 給油機構
130,230 ピストン素材
131,231 封孔部
132,232 スカート側外周面
133,233 含油部
134,234 外周面
135,135a,135b,235a,235b 凹部
136,236 トップ側外周面
138,238 外周側面
141,242 トップ側端面
237 スカート側端面
241 溝部

Claims (6)

  1. 密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに冷媒ガスを圧縮する圧縮機構を収容し、前記圧縮機構は、略鉛直方向に配設され主軸部と偏芯部とを有するクランクシャフトと、円筒形の圧縮室を備えたシリンダブロックと、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピストンと前記偏芯部とを連結する連結機構と、前記シリンダブロックに形成され前記クランクシャフトの前記主軸部を軸支する主軸受と、前記潤滑油を前記ピストンの外周面に供給する給油機構とを備え、前記ピストンは前記潤滑油を含浸した多孔質焼結合金からなり、前記ピストンのトップ側端面とトップ側外周面に封孔処理を施した封孔部と、前記ピストンのスカート側外周面の少なくとも一部に封孔処理を施さない含油部とを形成した密閉型圧縮機。
  2. ピストンの外周側面に封孔処理を施した封孔部を形成した請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. ピストンの外周面に溝部を形成し、前記溝部は前記ピストンのトップ側端面およびスカート側端面に連通せず、かつ少なくとも前記ピストンが下死点にあるときに密閉容器内の空間と連通する請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
  4. ピストンは、外周面に凹部を形成したピストン素材を封孔処理した後に外周面を加工し、凹部を封孔部として形成した請求項1から3のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  5. 潤滑油の粘度がVG3〜VG8である請求項1から4のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  6. 圧縮機構を駆動する電動要素を備え、前記電動要素は少なくとも27Hz以下の運転周波数を含む複数の運転周波数でインバーター駆動される請求項1から5のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
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