JP2008223532A - コンプレッサ羽根車の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた耐熱性と強度を有するチタン合金から成る高い空力学的性能を期待できる安価なコンプレッサ羽根車の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、ハブ軸と、ハブディスク部と、複数のブレードとを有し、ブレードに囲まれた空間にハブ軸から半径方向外方に向かってアンダーカットが形成されているコンプレッサ羽根車を、質量%でAl:5.50〜6.75%、V:3.50〜4.50%、B:0.03〜0.30%、Fe:0.40%以下、C:0.40%以下、N:0.05%以下、H:0.015%以下、O:0.25%以下、残部Tiおよび不可避的不純物を含有して成るチタン合金を用い、ロストワックス鋳造法により、アンダーカットを緩和した形状の簡易ブレードを有する羽根車素材を形成し、表面の硬化層を除去した後、簡易ブレードをブレードの形状に塑性変形させるコンプレッサ羽根車の製造方法である。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明は、ハブ軸と、ハブディスク部と、複数のブレードとを有し、ブレードに囲まれた空間にハブ軸から半径方向外方に向かってアンダーカットが形成されているコンプレッサ羽根車を、質量%でAl:5.50〜6.75%、V:3.50〜4.50%、B:0.03〜0.30%、Fe:0.40%以下、C:0.40%以下、N:0.05%以下、H:0.015%以下、O:0.25%以下、残部Tiおよび不可避的不純物を含有して成るチタン合金を用い、ロストワックス鋳造法により、アンダーカットを緩和した形状の簡易ブレードを有する羽根車素材を形成し、表面の硬化層を除去した後、簡易ブレードをブレードの形状に塑性変形させるコンプレッサ羽根車の製造方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、船舶、建設機械、自動車等において、内燃機関からの排気ガスを利用して圧縮空気を送るために用いられる過給機の吸気側に使用される、コンプレッサ羽根車の製造方法に関する。
過給機の吸気側において、コンプレッサ羽根車は、外気を吸引して圧縮するために回転される。そして、コンプレッサ羽根車によって圧縮された空気は、内燃機関に供給されて内燃機関の出力を向上させる。
コンプレッサ羽根車に使用される材料としては、軽量かつ相応の強度を有するアルミニウム合金やマグネシウム合金が使用されることが多い。また、アルミニウム合金やマグネシウム合金よりも高強度であって、耐熱性に優れるJIS−H5801に規定されるTAC6400合金などのチタン合金も使用される。
コンプレッサ羽根車に使用される材料としては、軽量かつ相応の強度を有するアルミニウム合金やマグネシウム合金が使用されることが多い。また、アルミニウム合金やマグネシウム合金よりも高強度であって、耐熱性に優れるJIS−H5801に規定されるTAC6400合金などのチタン合金も使用される。
一般に、コンプレッサ羽根車は、外気の吸引や圧縮の効率を高めるために、空力学的曲面を有する複数のブレードがハブ軸の周りに放射状に配列された複雑な形状に形成されることが多い。そして、ブレードは、すべて同一の形状としている場合や、形状の異なる長羽根と短羽根(スプリッタ羽根)を交互に配置している場合がある。
このように複雑な形状を有するコンプレッサ羽根車の形成手段としては、例えば、鍛造素材から所望の形状に削り出して形成したり、プラスターモールド鋳造法やロストワックス鋳造法などの精密鋳造法により所望の形状に鋳造形成する形成手段が知られている。複雑な形状を有するコンプレッサ羽根車を形成するにおいては、加工工数や材料歩留といった製造コストの点で、精密鋳造法による形成手段は鍛造素材からの形成手段よりも格段に有利である。
このように複雑な形状を有するコンプレッサ羽根車の形成手段としては、例えば、鍛造素材から所望の形状に削り出して形成したり、プラスターモールド鋳造法やロストワックス鋳造法などの精密鋳造法により所望の形状に鋳造形成する形成手段が知られている。複雑な形状を有するコンプレッサ羽根車を形成するにおいては、加工工数や材料歩留といった製造コストの点で、精密鋳造法による形成手段は鍛造素材からの形成手段よりも格段に有利である。
例えば、特開2003−94148号公報(特許文献1)には、チタン合金を用い、精密鋳造法によって鋳造形成されたコンプレッサ羽根車が提案されている。このコンプレッサ羽根車は、ハブ軸から半径方向に延在するハブディスク部と、ハブ軸の周りに配列された空力学的曲面を有する複数のブレードとを備えている。そして、ロストワックス鋳造法により、ワックス模型に耐火物をコーティングして鋳型とし、この鋳型にチタン合金から成る溶湯を注入して鋳造形成された、チタン合金製のコンプレッサ羽根車である。
近年、内燃機関の出力向上のために、コンプレッサ羽根車をより高速回転させる検討がなされている。コンプレッサ羽根車の高速回転においては、より高い空力学的特性が発揮されるように、ブレードの形状がより複雑な形状に設計されることとなる。このためにコンプレッサ羽根車には、ブレードに囲まれた空間にハブ軸から半径方向外方に向かってアンダーカットが形成されるような複雑な形状が所望されるようになっている。
しかしながら、従来、ロストワックス鋳造法によって、ブレードに囲まれた空間にハブ軸から半径方向外方に向かってアンダーカットが形成されるような複雑な形状のコンプレッサ羽根車を鋳造形成する場合、ワックス模型を形成する金型の構造が極めて複雑化することなど、鋳造形成が難しい場合もあった。これは、アンダーカットがあるが故に、上述したワックス模型を金型を用いて形成する際、ワックス模型が金型から離型できなかったからである。このため上述した特許文献1では、ブレードに囲まれた空間にアンダーカットが形成されない形状となるように、ブレードの端縁を実質的に直線状端縁のように設計したコンプレッサ羽根車を、チタン合金を用いて鋳造形成する提案がされている。
また、上述したようなアンダーカットのあるコンプレッサ羽根車を鋳造形成する手段としては、例えば、特開2001−254626号公報(特許文献2)に提案される手段が知られている。これは、ロストワックス鋳造法によってブレードを伸ばした形状の簡易ブレードを有する羽根車素材を鋳造形成した後に、この羽根車素材の簡易ブレードを曲げ矯正し、本来所望する形状のブレードに修正する形成手段である。このようにブレードを曲げ矯正する形成手段であれば、金型から離型可能なワックス模型を製作して用いることができる。これにより、上述のようにアンダーカットを有する複雑な形状のコンプレッサ羽根車であっても、効率良く製造することができる。
本発明者は、鍛造素材から削り出して形成するよりも製造コストの点で有利なロストワックス鋳造法により、従来のTAC6400合金から成り、上述したようにブレードに囲まれた空間にハブ軸から半径方向外方に向かってアンダーカットが形成される、複雑な形状のコンプレッサ羽根車を鋳造形成することを試みた。
具体的には、まず、上述した特許文献1に提案されるように、コンプレッサ羽根車のブレードの端縁を直線状端縁に変更した簡易ブレードを有する羽根車素材を、TAC6400合金を用いて鋳造形成した。次いで、上述した特許文献2に提案されるように、鋳造形成した羽根車素材の簡易ブレードを曲げることにより、所望の形状にブレードを整形することを試みた。
しかしながら、簡易ブレードを曲げていくにつれて、簡易ブレードの端縁やその近傍において、クラックや折損といった不具合を生じることがあった。これは、TAC6400合金を鋳造形成した羽根車素材には、鋳造後の曲げ矯正に耐えられる塑性変形能を有していないことに起因すると考えられた。
しかしながら、簡易ブレードを曲げていくにつれて、簡易ブレードの端縁やその近傍において、クラックや折損といった不具合を生じることがあった。これは、TAC6400合金を鋳造形成した羽根車素材には、鋳造後の曲げ矯正に耐えられる塑性変形能を有していないことに起因すると考えられた。
本発明の目的は、上記課題を解決し、高強度や耐熱性を備えたチタン合金が鋳造形成されて成り、高い空力学的性能を期待できる複雑な形状であって、ブレードに囲まれた空間にアンダーカットが形成されたコンプレッサ羽根車を、安価に安定して形成するためのコンプレッサ羽根車の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決できる二つの重要な技術を見出して本発明に到達した。そのひとつは、TAC6400合金をベースとし、これに適量のB(ボロン)を含有したチタン合金を採用したことである。もうひとつは、上述したような簡易ブレードを有する羽根車素材を鋳造形成し、この羽根車素材の表面の硬化層を除去した後に、簡易ブレードを所望のブレードの形状となるように塑性変形させる工程を採用したことである。
すなわち本発明は、ハブ軸と、該ハブ軸から半径方向に延在するハブディスク部と、前記ハブ軸の周りに配列された複数のブレードとを有し、前記ブレードに囲まれた空間に前記ハブ軸から半径方向外方に向かってアンダーカットが形成されているコンプレッサ羽根車の製造方法であって、質量%でAl:5.50〜6.75%、V:3.50〜4.50%、B:0.03〜0.30%、Fe:0.40%以下、C:0.40%以下、N:0.05%以下、H:0.015%以下、O:0.25%以下、残部Tiおよび不可避的不純物を含有して成るチタン合金を用い、ロストワックス鋳造法により、前記アンダーカットを緩和した形状の簡易ブレードを有する羽根車素材を形成し、次いで、該羽根車素材の表面の硬化層を除去した後に、前記簡易ブレードを前記ブレードの形状となるように塑性変形させることにより、前記コンプレッサ羽根車を形成する、コンプレッサ羽根車の製造方法である。
本発明において望ましくは、質量%でB:0.03〜0.15%を含有して成る前記チタン合金を用いるコンプレッサ羽根車の製造方法である。
また、望ましくは、400℃以下に加熱した前記簡易ブレードを前記ブレードの形状となるように塑性変形させるコンプレッサ羽根車の製造方法である。
また、望ましくは、ケミカルピーリングによって前記硬化層を除去するコンプレッサ羽根車の製造方法である。
また、望ましくは、400℃以下に加熱した前記簡易ブレードを前記ブレードの形状となるように塑性変形させるコンプレッサ羽根車の製造方法である。
また、望ましくは、ケミカルピーリングによって前記硬化層を除去するコンプレッサ羽根車の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、高強度や耐熱性を備えたチタン合金から成り、複雑な形状であって、ブレードに囲まれた空間にアンダーカットが形成された、高い空力学的性能を期待できるコンプレッサ羽根車を、安価に安定して形成することができる。よって、本発明は工業上極めて有益な技術となる。
上述した通り、本発明の重要な特徴のひとつは、TAC6400合金をベースとし、これに適量のB(ボロン)を含有させたチタン合金を使用することである。具体的には、本発明の製造方法においては、質量%でAl:5.50〜6.75%、V:3.50〜4.50%、B:0.03〜0.30%、Fe:0.40%以下、C:0.40%以下、N:0.05%以下、H:0.015%以下、O:0.25%以下、残部Tiおよび不可避的不純物を含有して成るチタン合金を使用する。このチタン合金から成るコンプレッサ羽根車は、アルミニウム合金やマグネシウム合金に比べ、高強度かつ耐熱性を有している。よって、このコンプレッサ羽根車は、高速回転させても損壊し難い安全なものとなる。
本発明におけるチタン合金は、α+β型の凝固組織を形成し、微視的にはα相とβ相とから成る針状あるいは等軸状の結晶粒が形成される。また、巨視的にはα相とβ相とが内包された単一の大きな結晶粒のごとくのモザイク状の凝固組織(以下、α+β型結晶粒という)が形成される。モザイク状に形成されるのは、互いに隣接するα+β型結晶粒の間に粒界αと称されるα相が形成されるためである。
本発明では、TAC6400合金に対して上記範囲でBを含有させ、これにより上記粒界αの形成に先立ってTiBなどの化合物を晶出あるいは析出させて、α+β型結晶粒の成長すなわち粗大化を抑えることができる。こうして、鋳造形成された凝固組織のα+β型結晶粒を微細化することにより、鋳造形成された羽根車素材に対して塑性変形を可能とするだけの絞り特性などの機械的性質を付与することができる。
また、本発明では、上述とは別の特徴として、簡易ブレードを有する羽根車素材を鋳造形成し、この羽根車素材の表面の硬化層を除去した後に、簡易ブレードを所望のブレードの形状となるように塑性変形させる、という重要な重要がある。これにより、上述したチタン合金から成る羽根車素材から、ハブ軸と、該ハブ軸から半径方向に延在するハブディスク部と、前記ハブ軸の周りに配列された複数のブレードとを有し、前記ブレードに囲まれた空間に前記ハブ軸から半径方向外方に向かってアンダーカットが形成されているコンプレッサ羽根車を得ることができる。
本発明における羽根車素材は、ロストワックス鋳造法によって鋳造形成される。チタン合金は高価な合金であり、当初からコンプレッサ羽根車に近似の羽根車素材の形状に鋳造することにより、削り出し加工による羽根車素材の形成を不要にできる。これにより、生産性を向上させるとともに安価な羽根車素材を得ることが可能となる。
また、ロストワックス鋳造法では、鋳型を得るために、金型を用いて消失性模型を形成する。金型を用いるのは、繰り返し使用できて製造コストの点で有利だからである。しかしながら、アンダーカットを有する複雑な形状のコンプレッサ羽根車を、従来と同様に、そのまま模して消失性模型を形成しようとしても、アンダーカットがあるが故に、形成した消失性模型は金型から離型できない。そこで、本発明では、上述した簡易ブレードを有する羽根車素材を、まず鋳造形成するのである。そして、金型を用いて、この羽根車素材と実質的に同一の形状を有する消失性模型つまり羽根車素材模型を形成する。このように形成された羽根車素材模型は、金型から容易に離型することができる。
また、上述の羽根車素材は、コンプレッサ羽根車のブレードに囲まれた空間に形成されるアンダーカットを緩和した形状の簡易ブレードを有する。簡易ブレードにおけるアンダーカットを緩和した形状とは、上述した羽根車素材模型を形成する際、羽根車素材模型が金型から離型可能となる形状を意味する。また、簡易ブレードの形状としては、後の塑性変形が可能な限り少量となる形状が望ましい。例えば、所望するコンプレッサ羽根車のブレードの端縁をハブ軸の軸方向に引き起こして伸ばしたような形状とすることができる。また、ブレードの空力学的曲面の中央部の湾曲を緩やかにするような形状とすることもできる。また、後の塑性変形は多量となるものの、ブレードの湾曲をほぼなくすように平面状の形状とすることもできる。
次いで、本発明の製造方法では、上述した羽根車素材を鋳造形成した後に、この羽根車素材の表面の硬化層を除去する。上述したようにロストワックス鋳造法によって鋳造形成した羽根車素材は、所望の寸法形状に削り出すことはない。しかしこのために、羽根車素材の表面には、鋳造によって形成される硬化層が残存することとなる。そして、もし表面に硬化層が残存する羽根車素材の簡易ブレードを塑性変形させようとすると、簡易ブレードの端縁やその近傍に、クラックや折損などを生じる可能性がある。これは、硬化層がチタンに富むα相に酸素が固溶して針状に粗大化して形成された極めて脆い組織であることに加え、クラックや折損の起点となる微細なクラックを内在しやすいからである。
そこで、本発明では、鋳造形成した羽根車素材の表面から硬化層を除去する。硬化層は完全に除去されることが望ましいものの、分散的に残留していても構わず、硬化層の残留状態を確認して調整すればよい。表面の硬化層を除去する手段としては、例えば、機械加工によって削り取るといった手段でも構わないものの、製造コストでは不利となることがある。望ましくは、ケミカルピーリングのような手段をもって除去することである。例えばケミカルピーリングでは、羽根車素材の表面の硬化層を容易に一様に溶出除去できる。また、羽根車素材の表面から、深さ0.10mmまで、深さ0.15mmまで、深さ0.20mmまでといった具合に、硬化層の除去量を容易に調整できる。
また、本発明では、鋳造時のミクロシュリンケージ等の内部欠陥に起因するクラックや損壊の発生を防止するために、得られた羽根車素材に対してHIP処理を施すことも有効である。
また、本発明では、鋳造時のミクロシュリンケージ等の内部欠陥に起因するクラックや損壊の発生を防止するために、得られた羽根車素材に対してHIP処理を施すことも有効である。
上述のように羽根車素材の表面の硬化層を除去した後に、本発明の製造方法では、羽根車素材の簡易ブレードを、コンプレッサ羽根車に所望される本来のブレードの形状となるように塑性変形させる。本発明では、上述したようにBを含有させたチタン合金を用いることで、鋳造形成された羽根車素材は、塑性変形が可能となる絞り特性などの機械的性質を有している。これにより、チタン合金から成る羽根車素材の簡易ブレードを塑性変形させることができ、上述したようなアンダーカットを有する複雑な形状のコンプレッサ羽根車を得ることができる。
羽根車素材の簡易ブレードを塑性変形させる手段は、簡易ブレードの形状に合わせて採用すればよい。例えば、プレス成形機などを用い、羽根車素材のハブ軸の軸方向に沿うように簡易ブレードの端縁近傍を押圧して曲げ変形させるなどの手段を採用できる。また、押圧する手段の場合、例えば、所望のブレードの形状に対応する押圧型を用い、すべての簡易ブレードを同時に押圧することにより、寸法精度の良い同一形状のブレードが得られるとともに、生産効率を格段に向上させることができる。
また、各々の簡易ブレードを個別に押圧する手段は、各々が異なったブレード形状を有する簡易ブレードの場合などでも有効である。例えば、長羽根とスプリッタ羽根とを有する簡易ブレードの場合、長羽根とスプリッタ羽根とを分けて押圧するといった手段を採用できる。また、ハブ軸の軸方向と交差する方向から押圧する手段も、アンダーカットが酷い場合などでも有効である。また、生産効率は不利となるが、簡易ブレードの個々のブレードを個別に押圧する手段なども採用できる。また、簡易ブレードの個々のブレードをクランプして曲げ変形させるといった手段でもよい。
上述した簡易ブレードの塑性変形は、例えば25℃程度の常温の状態でも実施することができるが、望ましくは塑性変形させる簡易ブレードあるいは羽根車素材自体を400℃以下に加熱した状態として、簡易ブレードを塑性変形させることである。このように加熱した状態では、硬化層を除去した後の除去面に若干の酸化層が形成されることがあるものの、塑性変形させてもクラックや折損などを生じる可能性は極めて小さい。むしろ、簡易ブレードにおける絞り特性が向上されるなど有利であって、常温よりも容易に簡易ブレードを塑性変形させることができる。ただし、400℃を超えて加熱してしまうと、酸化層の形成が甚だしくなるとともに、塑性変形させたときに剥離してしまった酸化層が簡易ブレードに食い込むなどの不具合を生じることがある。よって、簡易ブレードあるいは羽根車素材自体を加熱する場合には、400℃以下に抑えておくことが望ましい。より望ましくは250〜350℃に加熱することである。
以下、本発明において用いるチタン合金の成分組成を上述のように限定した理由を説明する。
Al:5.50〜6.75%(質量%)
Al(アルミニウム)は、凝固組織においてマトリックスにα相を形成して安定化し、固溶強化の効果が大きい元素である。ただし、多量に含有させるとα2相(Ti3Al)などの化合物が析出して靭性を低下させることがあるので6.75%以下とする。また、含有量が少ないとα相が不安定になりやすいので5.50%以上とする。よって、本発明においては、Alの効果を好適に得るために5.50〜6.75%を含有させる。
Al:5.50〜6.75%(質量%)
Al(アルミニウム)は、凝固組織においてマトリックスにα相を形成して安定化し、固溶強化の効果が大きい元素である。ただし、多量に含有させるとα2相(Ti3Al)などの化合物が析出して靭性を低下させることがあるので6.75%以下とする。また、含有量が少ないとα相が不安定になりやすいので5.50%以上とする。よって、本発明においては、Alの効果を好適に得るために5.50〜6.75%を含有させる。
V:3.50〜4.50%(質量%)
V(バナジウム)は、凝固組織においてマトリックスにβ相を形成して安定化し、固溶強化の効果が大きく、鋳造性も向上させる元素である。ただし、多量に含有させるとα相の析出が遅延されて不安定なα相が形成され、このために靭性を低下させることがあるので4.50%以下とする。また、含有量が少ないとβ相が不安定になりやすいので3.50%以上とする。よって、本発明においては、Vの効果を好適に得るために3.50〜4.50%を含有させる。
V(バナジウム)は、凝固組織においてマトリックスにβ相を形成して安定化し、固溶強化の効果が大きく、鋳造性も向上させる元素である。ただし、多量に含有させるとα相の析出が遅延されて不安定なα相が形成され、このために靭性を低下させることがあるので4.50%以下とする。また、含有量が少ないとβ相が不安定になりやすいので3.50%以上とする。よって、本発明においては、Vの効果を好適に得るために3.50〜4.50%を含有させる。
B:0.03〜0.30%(質量%)
B(ボロン)は、TiBなどの化合物を形成してマトリックスに分散して強化するとともに、凝固組織の結晶粒を微細化させる。また、上述したように鋳造形成された羽根車素材に対して塑性変形を可能とするだけの絞り特性などの機械的性質を付与でき、本発明においては重要な元素である。
本発明では、Bを0.03〜0.30%含有させる。Bの含有量には、形成するコンプレッサ羽根車の大きさによって適量があると考えられる。これは、鋳造形成する対象物の容積つまりコンプレッサ羽根車の大きさにより、鋳造時に形成される凝固組織の結晶粒の大きさが変化するからである。そして、凝固組織の結集粒が微細に形成されるほど、絞り特性などの機械的性質は向上される。ただし、多量に含有させるとそれに見合うだけの上述の効果が期待できない。そればかりか、α+β型結晶粒の粒界強度を低下させ、簡易ブレードを塑性変形させたときに粒界破壊を生じてクラックや折損を起こしやすくなる。よって、0.30%以下とするのがよい。また、Bの含有量が少ないと、塑性変形を可能とするだけの絞り特性などの機械的性質が十分に得られないことがある。よって、0.03%以上とするのがよい。
B(ボロン)は、TiBなどの化合物を形成してマトリックスに分散して強化するとともに、凝固組織の結晶粒を微細化させる。また、上述したように鋳造形成された羽根車素材に対して塑性変形を可能とするだけの絞り特性などの機械的性質を付与でき、本発明においては重要な元素である。
本発明では、Bを0.03〜0.30%含有させる。Bの含有量には、形成するコンプレッサ羽根車の大きさによって適量があると考えられる。これは、鋳造形成する対象物の容積つまりコンプレッサ羽根車の大きさにより、鋳造時に形成される凝固組織の結晶粒の大きさが変化するからである。そして、凝固組織の結集粒が微細に形成されるほど、絞り特性などの機械的性質は向上される。ただし、多量に含有させるとそれに見合うだけの上述の効果が期待できない。そればかりか、α+β型結晶粒の粒界強度を低下させ、簡易ブレードを塑性変形させたときに粒界破壊を生じてクラックや折損を起こしやすくなる。よって、0.30%以下とするのがよい。また、Bの含有量が少ないと、塑性変形を可能とするだけの絞り特性などの機械的性質が十分に得られないことがある。よって、0.03%以上とするのがよい。
Fe:0.40%以下(質量%)
Fe(鉄)は、本発明においては不可避的に含有することのある元素のひとつであるものの、上述したVと同様に、凝固組織においてマトリックスに固溶してβ相を安定化して強化する効果を有する。また、Bと関わって、凝固組織の結晶粒の微細化に効果的に作用すると思われる。ただし、多量に含有してしまうと偏析して鋳造性を阻害したり、TiFeなどの化合物が形成され、α+β型結晶粒の粒界が不安定となって靭性を低下させることがあるので0.40%以下とする。
Fe(鉄)は、本発明においては不可避的に含有することのある元素のひとつであるものの、上述したVと同様に、凝固組織においてマトリックスに固溶してβ相を安定化して強化する効果を有する。また、Bと関わって、凝固組織の結晶粒の微細化に効果的に作用すると思われる。ただし、多量に含有してしまうと偏析して鋳造性を阻害したり、TiFeなどの化合物が形成され、α+β型結晶粒の粒界が不安定となって靭性を低下させることがあるので0.40%以下とする。
C:0.40%以下(質量%)
C(炭素)は、本発明においては不可避的に含有することのある元素のひとつであるものの、上述したAlと同様に、凝固組織においてα相を安定化する効果を有する。また、TiCなどの化合物を形成して凝固組織の結晶粒の微細化に効果的に作用する。ただし、鋳造性を阻害させないために0.40%以下に抑える。望ましくは、TiCなどの化合物が過剰に形成されることを抑えて靭性の低下を防ぐために0.10%以下とする。
C(炭素)は、本発明においては不可避的に含有することのある元素のひとつであるものの、上述したAlと同様に、凝固組織においてα相を安定化する効果を有する。また、TiCなどの化合物を形成して凝固組織の結晶粒の微細化に効果的に作用する。ただし、鋳造性を阻害させないために0.40%以下に抑える。望ましくは、TiCなどの化合物が過剰に形成されることを抑えて靭性の低下を防ぐために0.10%以下とする。
N:0.05%以下(質量%)
N(窒素)は、本発明においては不可避的に含有することのある元素のひとつであるものの、上述したCと同様に、凝固組織においてα相を安定化する効果を有する。また、TiNなどの化合物を形成して凝固組織の結晶粒の微細化に効果的に作用する。ただし、多量に含有させるとTiNなどの化合物が過剰に形成されることとなって靭性を低下させることがあるので0.05%以下とする。
N(窒素)は、本発明においては不可避的に含有することのある元素のひとつであるものの、上述したCと同様に、凝固組織においてα相を安定化する効果を有する。また、TiNなどの化合物を形成して凝固組織の結晶粒の微細化に効果的に作用する。ただし、多量に含有させるとTiNなどの化合物が過剰に形成されることとなって靭性を低下させることがあるので0.05%以下とする。
H:0.015%以下(質量%)
H(水素)は、本発明においては不可避的に含有することのある元素のひとつであるものの、上述したCやNと同様に、凝固組織においてα相を安定化する効果を有する。ただし、多量に含有させると靭性を低下させることがあるので0.015%以下とする。
H(水素)は、本発明においては不可避的に含有することのある元素のひとつであるものの、上述したCやNと同様に、凝固組織においてα相を安定化する効果を有する。ただし、多量に含有させると靭性を低下させることがあるので0.015%以下とする。
O:0.25%以下(質量%)
O(酸素)は、本発明においては不可避的に含有することのある元素のひとつであり、多量に含有させると脆化しやすくなる。このために、簡易ブレードを塑性変形させたときに粒界破壊を生じてクラックや折損を起こしやすくなるので0.25%以下とする。
O(酸素)は、本発明においては不可避的に含有することのある元素のひとつであり、多量に含有させると脆化しやすくなる。このために、簡易ブレードを塑性変形させたときに粒界破壊を生じてクラックや折損を起こしやすくなるので0.25%以下とする。
残部Tiおよび不可避的不純物
Ti(チタン)は、AlやMgには及ばないもののNiやFeよりも軽量で、かつ、AlやMgよりも優れた耐熱性と強度を有する合金を形成するからである。よって、Tiを基とするチタン合金を用いてコンプレッサ羽根車を形成することにより、従来のアルミニウム合金製やマグネシウム合金製のコンプレッサ羽根車と同等以上の比応力を有することが期待される。そして、これにより従来よりも高速回転させることができるため吸気特性や圧縮特性を向上でき、内燃機関の出力向上が期待できる。
Ti(チタン)は、AlやMgには及ばないもののNiやFeよりも軽量で、かつ、AlやMgよりも優れた耐熱性と強度を有する合金を形成するからである。よって、Tiを基とするチタン合金を用いてコンプレッサ羽根車を形成することにより、従来のアルミニウム合金製やマグネシウム合金製のコンプレッサ羽根車と同等以上の比応力を有することが期待される。そして、これにより従来よりも高速回転させることができるため吸気特性や圧縮特性を向上でき、内燃機関の出力向上が期待できる。
また、本発明のチタン合金では、上述した元素以外にも不可避的に含有されるP、S、希土類元素、Siなどの不可避的不純物がある。これらの元素は、質量%で、P:0.20%以下、S:0.20%以下、希土類元素:0.20%以下に抑えて鋳造性の低下を防ぎ、また、Si:0.40%以下に抑えて、塑性変形に影響するクリープ特性の低下を防ぐことが望ましい。また、Ni、Nb、W、Cr、Moなどは上述したVと同様の効果を有するものの各々0.10%以下に抑えることが望ましく、また、Sn、Zrなども0.10%以下に抑えて、本発明の作用効果の低下を防ぐことが望ましい。
自動車用過給機の吸気側に使用されるコンプレッサ羽根車(以下、羽根車という)の製造方法について、一例を挙げて説明する。
上記羽根車の一例を、図1に模式的に示す。羽根車1は、羽根車1の回転軸となるハブ軸2と、ハブ軸2から半径方向に延在するハブディスク部3と、ハブ軸2の周りに配列された複数のブレードとを有する。また、ハブディスク部3は複数のブレードが放射状に突設されたハブ面6を有する。また、複数のブレードは、6枚の長羽根4と6枚のスプリッタ羽根5とが交互隣接関係で配列された12枚で構成され、それぞれ複雑な空力学的曲面形状のブレード面を表裏に有している。また、隣接する一対の長羽根4に囲まれた各空間には、ハブ軸2から半径方向外方に向かってアンダーカットが形成されている。このように複雑なブレードの形状とすることにより、空力学的性能に優れた羽根車とすることができる。なお、スプリッタ羽根5は短羽根ともいう。
上記羽根車の一例を、図1に模式的に示す。羽根車1は、羽根車1の回転軸となるハブ軸2と、ハブ軸2から半径方向に延在するハブディスク部3と、ハブ軸2の周りに配列された複数のブレードとを有する。また、ハブディスク部3は複数のブレードが放射状に突設されたハブ面6を有する。また、複数のブレードは、6枚の長羽根4と6枚のスプリッタ羽根5とが交互隣接関係で配列された12枚で構成され、それぞれ複雑な空力学的曲面形状のブレード面を表裏に有している。また、隣接する一対の長羽根4に囲まれた各空間には、ハブ軸2から半径方向外方に向かってアンダーカットが形成されている。このように複雑なブレードの形状とすることにより、空力学的性能に優れた羽根車とすることができる。なお、スプリッタ羽根5は短羽根ともいう。
上述した羽根車1を得るにあたり、羽根車1のブレードの形状を単純化して簡易な形状のブレードとした、羽根車素材の形状を決定した。図2は、羽根車素材11を模式的に示した簡略図であり、明確化のために2枚の長羽根14と1枚のスプリッタ羽根15のみを記載している。また、本来所望される長羽根の形状を破線で示している。羽根車素材11は、図2中の矢印で示すように、羽根車1のブレードのうち長羽根4の端縁4aのみをハブ軸2の軸方向に引き起こして伸ばしたような形状の簡易ブレード16を有する点で、羽根車1の形状とは異なっている。そして、この簡易ブレード16では、端縁14aとスプリッタ羽根15との間隔が広く形成され、これにより羽根車1に形成されるようなアンダーカットにはならず、アンダーカットは緩和されている。
上述の羽根車素材11を、ロストワックス鋳造法によって鋳造形成した。まず、羽根車素材11と実質的に同一の形状を有する羽根車素材模型を、金型に画成したキャビティにワックス材料を射出して形成した。そして、まず、ハブ軸12の軸方向に可動金型を開き、次いでハブ軸12の軸方向を中心として半径方向外方に向かってスライド金型を開いて、金型から羽根車素材模型を離型させた。このとき、羽根車素材模型は抵抗の少ない状態で容易に離型することができた。
次に、鋳造に供する鋳型を製作した。羽根車素材模型の周りには、チタン合金の溶湯との反応の少ない安定なジルコニア系の耐火物をコーティングし、さらに外周にはカルシア系を含む耐火物をコーティングして鋳型強度を確保した。そして、十分に乾燥させた後、オートクレーブによりワックス材料を除去した後、1000℃に加熱し焼成して鋳型と成した。
次に、得られた鋳型に鋳造するチタン合金の溶湯を製作した。製作した溶湯の化学成分(質量%)を表1に示す。また、チタン合金の溶解は、従来の真空溶解法に従った。そして、上述のようにして得た鋳型に対し、真空鋳造法により、表1に示すBを含有させたチタン合金(イ)の化学成分となるよう調整したチタン合金の溶湯を鋳造した。また、鋳造においては、鋳型を回転させる遠心鋳造法を採用し、遠心力の作用によって簡易ブレードに対応する狭幅個所にも十分に溶湯を供給できるようにした。そして、冷却後、鋳型から成形体を取り出してサンドブラスト処理を施して清浄した。さらに、鋳造時のミクロシュリンケージ等の内部欠陥に起因するクラックや損壊の発生を防止するために、得られた成形体に対し、圧力100MPa、温度910℃、時間2hの条件でHIP処理を施した。上述の製造工程によって、表面に硬化層を有する鋳造ままの羽根車素材を得た。
次いで、得られた鋳造ままの羽根車素材に対してケミカルピーリングを実施し、表面の硬化層を0.15mm除去した。具体的には、体積%で、水82.6%、硝酸11.0%、フッ化水素6.4%の水溶液を液温30〜40℃に保ち、この水溶液に鋳造ままの羽根車素材を10分間浸漬し、硬化層を溶出除去した。これにより、表面の硬さが320HVの羽根車素材11を得た。
ここで、塑性変形の可否を判断するために、上述と同様にして得た溶湯を用いて鋳造試験片を形成し、絞り特性を測定することとした。鋳造試験片は、寸法形状を引張試験に使用可能な全長81mm、外径12mm、平行部は、外径7mm、長さ15mm、R20mmとした。そして、ロストワックス鋳造法により、片側1mmの加工代を有する鋳造試験片素材を形成した後に、表面の硬化層を含めて機械加工により加工代を除去し、鋳造試験片を得た。測定した絞り特性(%)を表2に示す。
この結果、本発明の実施例となるBを含有させたチタン合金(イ)は、Bを含有しないチタン合金(ロ)よりも、常温(25℃)における絞り特性が2.2倍に向上していた。また、300℃に加熱した状態では1.5倍に向上していた。よって、Bを含有させたチタン合金(イ)は、Bを含有しないチタン合金(ロ)よりも、優れた絞り特性を有することが確認できた。このことから、チタン合金(イ)から成る羽根車素材の簡易ブレードには、塑性変形が可能であろうことが期待された。
次に、上述のようにして得た羽根車素材11を300℃に加熱し、簡易ブレード16の端縁14aを徐々に押圧プレスして塑性変形させた。図3は、簡易ブレード16の塑性変形の工程を模式的に示した図である。端縁14aを押圧する押型21を、図3(a)に矢印で示すように、羽根車素材11のハブ軸12の軸方向に沿って移動した。押型21の形状は、羽根車1の複数のブレードに対応する形状、つまり、6枚の長羽根4の端縁4aおよび6枚のスプリッタ羽根5の端縁5aが交互隣接関係で配列された形状に対応する。次いで、押型21を簡易ブレード16の端縁14aに接触させて、端縁14aの塑性変形を開始した。終いには、押型21を、図3(b)に示すように、羽根車1に所望するブレードの形状となり得る位置まで移動した。これにより、簡易ブレード16にクラックや折損を生じさせることなく、所望する羽根車1のブレードの形状を形成することができた。
以上、アンダーカットを緩和した形状の簡易ブレードを有する羽根車素材を形成し、次いで、該羽根車素材の表面の硬化層を除去した後に、前記簡易ブレードを前記ブレードの形状となるように塑性変形させる、本発明の製造方法により、所望するブレードの形状を有するコンプレッサ羽根車を得ることができた。
(比較例)
表1に示すBを含有させないチタン合金(ロ)の化学成分となるよう調整したチタン合金の溶湯を用い、上述した実施例と同様な製造方法により、鋳造後に表面の硬化層を除去し、上記実施例の羽根車素材11と同等の形状を有する羽根車素材11’を得た。
次いで、羽根車素材11’を300℃に加熱し、押型21を用いて簡易ブレード16’の端縁を徐々に押圧プレスして塑性変形させた。しかしながら塑性変形の途中、羽根車1として所望するブレードの形状に形成される前に、押型21によって曲げ加工していた個所に微細なクラックが生じてしまった。よって、所望するブレードの形状を有するコンプレッサ羽根車を得ることができなかった。
表1に示すBを含有させないチタン合金(ロ)の化学成分となるよう調整したチタン合金の溶湯を用い、上述した実施例と同様な製造方法により、鋳造後に表面の硬化層を除去し、上記実施例の羽根車素材11と同等の形状を有する羽根車素材11’を得た。
次いで、羽根車素材11’を300℃に加熱し、押型21を用いて簡易ブレード16’の端縁を徐々に押圧プレスして塑性変形させた。しかしながら塑性変形の途中、羽根車1として所望するブレードの形状に形成される前に、押型21によって曲げ加工していた個所に微細なクラックが生じてしまった。よって、所望するブレードの形状を有するコンプレッサ羽根車を得ることができなかった。
羽根車、2.ハブ軸、3.ハブディスク部、4.長羽根、4a.端縁、5.スプリッタ羽根、5a.端縁、6.ハブ面、11、11’.羽根車素材、12.ハブ軸、14.長羽根、14a.端縁、15.スプリッタ羽根、16、16’.簡易ブレード、21.押型
Claims (4)
- ハブ軸と、該ハブ軸から半径方向に延在するハブディスク部と、前記ハブ軸の周りに配列された複数のブレードとを有し、前記ブレードに囲まれた空間に前記ハブ軸から半径方向外方に向かってアンダーカットが形成されているコンプレッサ羽根車の製造方法であって、質量%でAl:5.50〜6.75%、V:3.50〜4.50%、B:0.03〜0.30%、Fe:0.40%以下、C:0.40%以下、N:0.05%以下、H:0.015%以下、O:0.25%以下、残部Tiおよび不可避的不純物を含有して成るチタン合金を用い、ロストワックス鋳造法により、前記アンダーカットを緩和した形状の簡易ブレードを有する羽根車素材を形成し、次いで、該羽根車素材の表面の硬化層を除去した後に、前記簡易ブレードを前記ブレードの形状となるように塑性変形させることにより、前記コンプレッサ羽根車を形成することを特徴とするコンプレッサ羽根車の製造方法。
- 質量%でB:0.03〜0.15%を含有して成る前記チタン合金を用いることを特徴とする請求項1に記載のコンプレッサ羽根車の製造方法。
- 400℃以下に加熱した前記簡易ブレードを前記ブレードの形状となるように塑性変形させることを特徴とする請求項1または2に記載のコンプレッサ羽根車の製造方法。
- ケミカルピーリングによって前記硬化層を除去することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンプレッサ羽根車の製造方法。
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2007
- 2007-03-09 JP JP2007060187A patent/JP2008223532A/ja active Pending
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