JP2008223309A - 地盤の掘削混合撹拌装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】掘削抵抗や重量の大幅な増大を招くことなく、強度アップの図られる後退翼形状の掘削翼を備えた地盤の掘削混合撹拌装置を提供する。
【解決手段】 掘削軸1の先端又は先端寄り部位に、その対向する側方、2方向に突出する掘削翼11が設けられた地盤の掘削混合撹拌装置101において、掘削翼11を後退翼形状とした。掘削翼11の先端11aと掘削軸1とを連結部材21で、その掘削翼11の上側と該連結部材の下側との間に開口Kを保持して連結した。開口Kを設けて連結部材21で連結したため、重量の増大を招かず、強度アップされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、地盤の掘削混合撹拌装置に関する。詳しくは、土木、建設(建築)の基礎工事などにおいて、軟弱地盤を1又は複数の掘削軸にて柱状などに掘削し、混合攪拌して、石灰系やセメント系のスラリー状の固化剤(以下、単に固化剤ともいう)を吐出して、この固化剤と掘削土とを混合、攪拌して固結させて地盤を改良するのに用いられる地盤の掘削混合撹拌装置(以下単に装置ともいう)に関する。
従来、この種の地盤の掘削混合撹拌装置は、掘削軸の先端(下端)又は先端寄り部位に、その側方に突出する掘削翼が設けられている。通常、この掘削翼は、掘削軸の先端又は先端寄り部位に、その側方に、上から見て対向する2方向に突出する形態を呈している。そして、この掘削翼の下側には掘削爪が設けられている。また、このような装置を構成する掘削翼は、概ね一定高さにて形成されており、掘削軸に対して直角つまり略水平となる水平翼として設けられているのが普通である。しかし、掘削軸の回転による地盤の掘削において掘削土から受ける抵抗(掘削抵抗)を低減して、掘進性(地盤中への掘削翼の食い込み性)を高めたり、掘進速度を速めるため、掘削翼にそのような水平翼に代えて、後退翼形状をなすものがある(特許文献1、特許文献2)。このような後退翼形状の掘削翼では、その形状に基づき、礫層や比較的硬い粘土層でも、地盤への貫入及び掘進が容易となる。ここで、後退翼形状とは、掘削翼における下側及び上側が、掘削翼の先端に向かうに従い掘削軸の後方(上方)に位置するように形成されている形状をいう。
ところで、この種の装置においては、掘削翼の上に位置する掘削軸部位には1又は複数の攪拌翼を備えており、掘削翼と攪拌翼との間に、或いは複数の攪拌翼相互の間に、掘削軸に回転自在に装着された共回り防止翼(装置)を備えたものもある。この共回り防止翼は、それが地盤中にあり掘削軸が回転する掘削過程では、その掘削軸の回りに回転しない構成とされており、掘削中の掘削土が掘削翼等と共に掘削軸の回りに回ること、すなわち共回りを防止するためのものである。
こうした中で、このような単なる共回り防止翼による掘削土の共回りの防止だけでなく、そのような掘削土をその翼の軸回りに回転させるようにした装置もある(特許文献3〜特許文献5)。これは、掘削軸に、掘削翼より上において、環体などからなる支持体を、掘削軸に対してその軸回りに相対的に回転可能に外嵌し、その支持体には横方に延びる横軸体が設けられ、該横軸体の外周面には、その横軸回りに回転自在の回転体が外嵌されていると共に、その回転体の外周面には、該横軸の軸方向から見て軸から離間する方向に延びる攪拌体が複数設けられた構成を有している。そして、横軸体は自身が地盤中にある際、回転する掘削軸の軸回りに回転しない(停止する)構成とされており、掘削軸に別に設けた杆体(突出片)や撹拌翼、或いは掘削翼の上部や下部を、掘削軸の回転時に撹拌体に当てることでその撹拌体を横軸回りに回転させて、掘削土の掘削軸回りの共回りの防止と共に、それをその横軸回りに回転させるようにすることで、掘削土を所謂、三次元的に混合、撹拌するというものである。
なお、支持体が掘削軸の回りに回転するのを停止する手段(以下、回転停止手段とも言う)としては、横軸体の掘削軸からの突出長を、掘削翼の長さより大きいものとしておき、掘削翼による掘削過程において、その横軸体の先端を掘削されていない、掘削径より外側の地盤中に圧入させるようにしてその回転を止めるようにしたものが代表的なものとして知られている(特許文献3)。また、その他の回転停止手段としては、その横軸体の掘削軸からの突出長を、掘削翼の長さより小さいものとしておく一方、その横軸体を、掘削軸回りに回転しないように支持体で保持したものもある(特許文献4、特許文献5)。なお、回転停止手段に代えて、横軸体を掘削軸と異なる回転数で回転させるなど、掘削軸と同じ回転をしない構成とすることでも、撹拌体を横軸回りに回転させることもできる。
特開2001−115445号公報 特開2001−241034号公報 特開平8−120665号公報 特開2001−3352公報 特開2001−193052号公報
上記したように、掘削翼を後退翼形状としたものでは、掘削抵抗が小さく、したがって、地盤中への食い込み性もよく、掘進速度を速めることができるが、次のような問題があった。掘削翼の掘削抵抗を効率的に低減するには、その後退角(掘削翼の後退の程度を示す角度であって、掘削軸が鉛直に立てられた際における水平線と、掘削翼の下側とのなす開き角度をいう)を十分に大きくする必要がある。一方、掘削翼が水平の水平翼場合には、掘削軸(軸心)からのその突出長さは掘削径、すなわち、掘削軸を上から見たとき(平面視)に掘削される地盤の掘削半径と一致するのに対し、後退翼とする場合には、掘削軸(軸心)からの掘削翼の突出長さは、掘削翼の後退角にもよるが、その角度が付けられている分、掘削翼が水平の場合よりも長くなる。
このように掘削翼を後退翼形状とすると、掘削翼における掘削軸からの突出長さが長くなるため、掘削抵抗等によりその根元(掘削軸寄り部位)にかかる曲げモーメントが大きくなり、したがって、掘削翼の強度が低下するという問題があった。このような問題に対しては、掘削翼の下側のみがその先端に向かうにしたがって後退する三角翼形状の後退翼形状(以下、三角形後退翼形状ともいう)とすることも考えられる。しかし、このような三角翼形状の後退翼形状とすると、翼面積の増大により、地盤中において掘削翼が回転する際に横方向(掘削軸の回転方向)から受ける抵抗(掘削抵抗)の大幅なアップに加えて、翼面積の増大による掘削翼の重量の増加を招いてしまう。そして、この問題は、後退角及び掘削径が大きくなるほど顕著となる。
とくに、上記したように、掘削土を三次元的に混合、撹拌する手段を有する装置では、掘削軸の回転力を利用して、横軸体の軸回りに撹拌体を回転させる構成を有するものであることから、掘削翼における掘削抵抗の増大は、掘削軸の回転駆動力の増大化など、装置の大型化を招くことからも好ましいことではない。
本発明は、従来の地盤の掘削混合撹拌装置のもつ、こうした問題点に鑑みて案出したものであって、その目的とするところは、掘削抵抗や重量の大幅な増大を招くことなく、強度アップの図られる後退翼形状の掘削翼を備えた地盤の掘削混合撹拌装置を提供すると共に、掘削土を三次元的に混合、撹拌する手段を有する装置において後退翼形状の掘削翼を設けるとしても、その掘削軸の回転駆動力の増大化や装置の大型化を招かないようにすることにある。
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の本発明は、掘削軸の先端又は先端寄り部位に、その側方に突出する掘削翼が設けられた地盤の掘削混合撹拌装置において、
前記掘削翼を後退翼形状とするとともに、該掘削翼の先端又は先端寄り部位と前記掘削軸とを連結部材で、その掘削翼の上側と該連結部材の下側との間に開口を保持して連結してなることを特徴とする。なお、本明細書及び本発明において、掘削翼について後退翼形状とは、掘削翼における下側及び上側が、掘削翼の先端(外側端)に向かうに従い掘削軸の後方(上方)に位置するように形成されている形状をいう。また、本明細書及び本発明において、「掘削軸の先端」とは、掘削軸を鉛直に保持して地盤を掘削する際における掘削軸の下端をいう。
請求項2に記載の本発明は、掘削軸の先端又は先端寄り部位に、その側方に、上から見て少なくとも2方向に突出する掘削翼が設けられた地盤の掘削混合撹拌装置において、
前記掘削翼を後退翼形状とするとともに、該掘削翼の先端又は先端寄り部位と前記掘削軸とを連結部材で、その掘削翼の上側と該連結部材の下側との間に開口を保持して連結してなることを特徴とする。なお、本明細書及び本発明において、「上から見て」とは、掘削軸を後端側からその軸方向に見て、という意味である。そして、ここに後端とは前記した掘削軸の先端と反対側の端をいう。
請求項3に記載の本発明は、掘削軸の先端又は先端寄り部位に、その側方に突出する掘削翼が設けられ、
さらに、前記掘削軸の外側であって前記掘削翼より上に、該掘削軸に対してその軸回りに相対的に回転可能とされた支持体が設けられていると共に、該支持体には横方に延びる横軸体が設けられ、該横軸体の外周面には、その横軸回りに回転自在の回転体が外嵌されていると共に、その回転体の外周面には、該横軸体の軸方向から見て該軸から離間する方向に延びる攪拌体が複数設けられており、しかも、前記横軸体は自身が地盤中にある際、回転する前記掘削軸の軸回りに回転しないように構成されているか、その掘削軸とは同じ回転をしないように構成されている、地盤の掘削混合撹拌装置において、
前記掘削翼を後退翼形状とするとともに、該掘削翼の先端又は先端寄り部位と前記掘削軸とを連結部材で、その掘削翼の上側と該連結部材の下側との間に開口を保持して連結し、前記掘削軸が回転して前記横軸体が地盤中にある際、該連結部材が前記攪拌体に当たって該攪拌体を横軸回りに回転させる構成としてなることを特徴とする。
請求項4に記載の本発明は、掘削軸の先端又は先端寄り部位に、その側方に、上から見て少なくとも2方向に突出する掘削翼が設けられ、
さらに、前記掘削軸の外側であって前記掘削翼より上に、該掘削軸に対してその軸回りに相対的に回転可能とされた支持体が設けられていると共に、該支持体には横方に延びる横軸体が設けられ、該横軸体の外周面には、その横軸回りに回転自在の回転体が外嵌されていると共に、その回転体の外周面には、該横軸体の軸方向から見て該軸から離間する方向に延びる攪拌体が複数設けられており、しかも、前記横軸体は自身が地盤中にある際に回転する前記掘削軸の軸回りに回転しないように構成されているか、その掘削軸とは同じ回転をしないように構成されている、地盤の掘削混合撹拌装置において、
前記掘削翼を後退翼形状とするとともに、該掘削翼の先端又は先端寄り部位と前記掘削軸とを連結部材で、その掘削翼の上側と該連結部材の下側との間に開口を保持して連結し、前記掘削軸が回転して前記横軸体が地盤中にある際、該連結部材が前記攪拌体に当たって該攪拌体を横軸回りに回転させる構成としてなることを特徴とする。
請求項5に記載の本発明は、前記連結部材は、その掘削軸寄り端がその掘削翼の先端寄り端よりも掘削軸の後方に位置するように傾斜して連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の地盤の掘削混合撹拌装置である。なお、本発明の地盤の掘削混合撹拌装置においては、掘削軸には、その側方に突出する撹拌翼が設けられているものでもよいし、設けられていないものでもよい。
本発明では、掘削翼に十分な後退角を付けることによってその長さが長くなるとしても、上記のように連結部材にて連結する構成として、掘削翼の上側と該連結部材の下側との間に開口を保持するものとしたため、単に三角形後退翼形状としたものと異なり、その開口がある分、掘削翼における掘削抵抗や重量の大幅な増大を招くこともなく、掘削翼の強度アップが図られる。とくに、掘削土を三次元的に混合、撹拌する手段を有する請求項3又は4に記載の本発明の装置においては、後退翼形状の掘削翼を備えているものの、その掘削抵抗の大幅な増大を招かないから、掘削軸の回転駆動力の増大化や装置の大型化を招かない。しかも、連結部材が撹拌体を回転、駆動する役割をも果たすため、別途、そのための手段を設ける必要もない。そして、請求項5に記載の本発明のように、連結部材が傾斜して連結されているものでは、掘削翼が掘削軸方向に受ける力に対して効果的に抗することができるため、掘作翼が後方に変形するのを防止するのに効果的である。
本発明に係る地盤の掘削混合撹拌装置の第1の実施形態について、図1を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態については、鉄鋼製の各構成部材を溶接などで結合することにより構成されている。図中、101は、本形態の混合攪拌装置であり、1は、略円筒状(若しくは中空円柱状)をなす掘削軸(回転駆動軸)であって、上方に設けられた図示しない回転駆動手段により回転(正転又は逆転)するように構成されており、その先端(掘削軸1の下端)からやや上方に位置する先端寄り部位に、掘削軸1の片側にだけでもよいが、本形態では、左右に(上から見て直線状の配置となるように)所定の突出量で突出させられた掘削翼11が設けられている。なお、掘削軸1の先端寄り部位には固化剤の吐出口1aが設けられている。
この掘削翼11は、左右のものとも後退翼形状をなし、その先端(外側端)11aに向かうに従い、下側と上側が掘削軸1の後方(上方)に位置するように、斜め上に向けて延びている。ただし、本例では図示における左右両側の掘削翼11ともに、それぞれ半径方向に同一長さ(D1/2)で延びている。また、この掘削翼11は、本形態では、高さ方向に所定の幅をもち、半径方向外側に延びている。ここで、その後退角θ1は、例えば、25〜45度の範囲で設定されるが、30〜40度の範囲で設定されるのが好ましい。なお、後退角θ1は、図1に示されるように、掘削翼11の後退の程度を示す角度であって、掘削軸1が鉛直に立てられた際において、掘削翼11の根元(基端)における水平線と、掘削翼11の下側(下縁辺)に沿う直線とのなす開き角度である。また、本形態では掘削翼11の下側(下縁)には複数の掘削爪13が設けられている。
このように左右に斜め上向きに延びる各掘削翼11の先端11a又は先端寄り部位(以下、先端ともいう)と、掘削軸1とは、本形態では略水平に配置された棒状をなす連結部材21にて連結されている。ただし、各連結部材21の端部23,24は、例えば溶接、又は図示しないボルト、ナット等のネジ部材を用いた固定により、掘削翼11の先端11a及び掘削軸1に連結されている。これにより、各連結部材21の下側と各掘削翼11の上側との間には正面視、三角形状の開口(窓)Kが形成されている。なお、本形態の装置101においては、掘削軸1に掘削翼11の径(半径方向の突出量)より小さい径の撹拌翼10が設けられている。
このように本形態では、掘削翼11に十分な後退角θ1が付けられており、したがって、砂礫や硬い粘土層でも、地盤Jへの貫入及び掘進が容易となるように形成されている。一方、掘削翼11に十分な後退角θ1を付けたことにより、掘削翼11の突出長は、それが同一掘削径をなす水平翼である場合に比べると長くなっているが、その先端11aにおいて、それぞれ連結部材21にて掘削軸1と連結されている。このため、連結部材21が補強材となると共に、開口Kを有していることから、掘削軸1がその軸G1回りに回転して掘削翼11により掘削される際に、その回転方向に受ける掘削抵抗や掘削翼の重量の大幅な増大を招くこともなく、その強度アップが図られている。なお、連結部材21は、図1中に2点鎖線で示したように、その掘削軸寄り端23がその掘削翼11の先端寄り端24よりも掘削軸1の後方に位置するように傾斜して連結してもよい。掘削翼11には掘削過程で、その下から上に作用する力(上向きの掘削抵抗)を受ける。したがって、このように連結部材21を設けておけば、こうした抵抗に効果的である。
さて、次に第2の実施形態の装置について、図2〜5に基づいて説明するが、この装置201は、前記した実施の形態において、掘削土を三次元的に混合、撹拌する手段を追加的に設けた点が相違するもので、後退翼をなす掘削翼11及び連結部材21については、異なる点はないので、その相違点を中心に説明し、同一部位には同一の符号を付すに止める。ただし、本形態では撹拌翼は設けていない。本形態の装置201においては、掘削翼11の上方における掘削軸1の外周に、次記するように形成された横軸体41を支持する支持体として円筒(円管)状をなす外軸31が、掘削軸1に対してその軸G1回りに相対的に回転可能にして装着されている。ただし外軸31の下端部32は、連結部材21より所定の高さ上方に位置するように保持されている。なお、本形態では、外軸31の上端部は図示しない回転駆動手段に連結され、掘削軸1と同方向又は逆方向に適宜の回転数で、掘削軸1の軸線G1回りに回転し、又は停止可能に制御されるように設けられている。ただし、外軸31は回転駆動手段に連結することなく、掘削軸1の軸線G1回りに回転しないようにして、掘削軸1における同一高さに保持されるようにしてもよい。
一方、外軸31の下端部32寄り部位の両外側には、外軸31に対して略直角で上から見て、対向する両側に略直線状に延びる断面円形の棒状をなす横軸体41が半径方向に突出するように設けられている。そして、この左右の横軸体41にはそれぞれその横軸(軸ともいう)G2回りに回転自在に筒状の回転体51が外嵌(遊嵌)されているとともに、その回転体51の外側(外周面)には、横軸体41の軸線G2方向から見て(横軸回りに)放射状に略等角度間隔で4つの攪拌体(丸棒)53が延びるように設けられており、回転体51と共に横軸G2回りに回転自在とされている。なお、攪拌体53は横軸G2回りに回転した際にその先端53aが、連結部材21の上縁より下に位置し、連結部材21が掘削翼11と共に回転し、横軸体41が上から見て停止しているとしたとき、その連結部材21が攪拌体(丸棒)53に当って、攪拌体53を横軸G2回りに断続的に回転させ得るように設定(構成)されている。
また、横軸体41の先端部(掘削軸1から離間した端部)は回転体51の抜け止めを成すように大径の拡径部45を備えている。そして、横軸体41の先端と、掘削軸1の軸G1との距離は、本形態では掘削翼11の突出量であるD1/2よりやや小さくされており、掘削径D1、つまり、掘削翼11が回転してその掘削翼11の先端が描く、平面視、円Eの内方に位置する大きさとされている(図5参照)。なお円(周)Eの直径は理論上掘削翼11の直径D1と同じであるが、図では円Eを大きめに示している。
しかして、例えば外軸31を回転させることなく掘削軸1を回転させると、掘削翼11の上に位置する連結部材21が外軸31に設けられた左右の横軸体41の回転体51における攪拌体(丸棒)53に当たり、攪拌体53は横軸G2回りに回転体51と共に、攪拌体53の当りに応じて断続的に回転する。なお、本形態では左右の回転体51に丸棒からなる攪拌片54を適数個、それぞれ横軸体41の軸G2方向から見て略等角度(例えば90度)間隔で設けており、回転体51及び攪拌体53と共に横軸G2回りに回転することで上下方向に、すなわち、横軸G2回りに掘削土を攪拌するように設けられている。ただし、攪拌片54は連結部材21には当らない大きさとされている。因みに本例では、構造上、左右の横軸体41における攪拌体53は軸線G2に対して互いに反対側に回転する。
このように構成された本例装置201においては、掘削軸1が回転しながら土中(地盤中)に入り込むと、後退翼形状をなし、ともに回転する掘削翼11により掘削が始まり、土砂は掘削翼11にて掘削軸1の回りに混合攪拌され、地盤Jは掘削翼11の径D1とほぼ同径でもって円柱状に掘削されていく。この際、本形態では、掘削翼11は後退翼形状をなしている。したがって、上記もしたように、掘進性がよく、高い掘進速度で掘削が行われる。一方、三角形後退翼形状としていないため、掘削翼11が横方向(掘削軸1の回転方向)に掘削土により受ける掘削抵抗は小さいし、各掘削翼11は連結部材21にて掘削軸1に連結されているため、掘削翼11の強度の低下も招くこともない。
しかも、外軸31の回転を停止しているか、逆転するか、或いは、掘削軸1と同方向に異なる回転数で回転するようにそれを制御すると、掘削翼11の上の連結部材21が回転体51に設けられた攪拌体53、53に当たって、攪拌体53および攪拌片54を横軸体41の軸線G2回りに回転させ、そして、その状態の下で掘削がすすめられる。すなわち、連結部材21が攪拌体53、53を回転させるから、別途、独立に攪拌体53、53を回転させるための手段を設ける必要もなく、所謂、三次元的な混合、撹拌作用を得ることができる。
このように、本形態では、連結部材21が撹拌体53を回転、駆動する役割をも果たすため、別途にそのための手段を設ける必要もない。これに加えて、掘削翼11と連結部材21との間に開口Kがあるため、掘削土をその開口を通して流す(動かす)ことができるので、小さな抵抗でしかもより効率的に掘削土を混合、撹拌することができる。かくして、吐出口1aから固化剤を吐出させ、地盤内に注入した固化剤と土砂とを混合攪拌することで、改良固結体をうることができる。そして、上記したような後退翼形状の掘削翼11を設けたため、それが回転する際に受ける横方向の抵抗を小さくできるため、撹拌体53を横軸G2回りに回転させることで掘削土を三次元的に混合、撹拌するとしても、掘削軸1の回転駆動力の増大化や装置の大型化を招かないようにすることができる。なお、本形態でも、連結部材21は、上記した形態と同様に、その掘削軸寄り端23がその掘削翼11の先端寄り端24よりも掘削軸1の後方に位置するように傾斜して連結してもよい。
なお、攪拌体53の形状は、必要な強度を保持した上で、舌片状など、土質などに応じて適宜の形状、構造のものに設計すればよい。粘土質のように粘性が高い土質の場合には、本例のような丸棒などの単純形が適する一方、砂質土など粘性が比較的小さい土質の場合には、混合、攪拌時の抵抗がむしろ大きい方が混合、攪拌効率がよい。
上記形態では、支持体を、掘削軸1に外嵌した外軸31として、これを掘削軸1回りに回転させない等の制御をすることで、横軸体41を掘削軸回りに回転させないこととして、掘削軸1が回転して横軸体41が地盤中にある際に、連結部材21が攪拌体53に当たってその攪拌体53を横軸G2回りに回転させる構成としてなる場合で説明したが、横軸体はこのような外軸31の回転の制御によることなく、掘削過程で、掘削軸1の回りに回転しないように設けられているものとすればよい。
その1例としては、前記形態における支持体をなす外軸31を掘削軸1に対する上下動を規制して、掘削軸1回りに相対的に自由に回転できるようにしておく一方で、横軸体41の先端を掘削径D1より大きく延ばしておき、その先端が掘削過程で掘削されない、掘削径D1の外側の地盤中に押込まれるようにしておき、その押込みによる抵抗で掘削過程で横軸体41が掘削軸1回りに回転しないようにしてあってもよい。また、図示はしないが、前記形態において掘削軸1に平行にガイドバー(縦軸)を設けておき、例えば、そのガイドバーの下端部に横軸体41の先端を固定しておくとともに、このガイドバーを掘削軸1の回りに回転させずに、上下方向にのみ移動できるようなガイド手段でガイドしておいてもよい。
なお、前記形態では、掘削翼11のほかには、単に掘削軸1と共に回転する攪拌翼を備えていない装置として具体化したが、本発明として具体化される装置は、掘削土の三次元的な混合、撹拌手段を有するものにおいても、掘削軸の適所に撹拌翼を設けたものとしてもよい。
さらに上記形態では、掘削翼11及び横軸体41等を掘削軸1の左右両側において設けた場合で説明したが、これらは、各側に片翼(1つ)だけ設けることとしてもよいし、平面視、等角度間隔で、或いは不等角度間隔において3以上(例えば90度間隔で4つ)放射状方向に設けてもよい。また、これらを掘削軸に複数設ける場合、上記形態では、掘削軸の同一高さ部位に設けた場合を例示したが、いずれも異なる高さ部位にて設けてもよい。
本発明の地盤の掘削混合撹拌装置の実施形態例の概略構成を示す正面図(側面図)。 本発明の地盤の掘削混合撹拌装置の別の実施形態例の概略構成を示す正面図(側面図)。 図2を矢印Aからみた図。 図2の要部拡大図。 図2の装置の平面図。
符号の説明
1 掘削軸
11 掘削翼
11a 掘削翼の先端
21 連結部材
23 連結部材の掘削軸寄り端
24 連結部材の掘削翼の先端寄り端
31 外軸(支持体)
41 横軸体
51 回転体
53 攪拌体
101,201 地盤の掘削混合撹拌装置
G1 掘削軸の軸(軸線)
G2 横軸体の横軸
K 開口
θ1 後退角

Claims (5)

  1. 掘削軸の先端又は先端寄り部位に、その側方に突出する掘削翼が設けられた地盤の掘削混合撹拌装置において、
    前記掘削翼を後退翼形状とするとともに、該掘削翼の先端又は先端寄り部位と前記掘削軸とを連結部材で、その掘削翼の上側と該連結部材の下側との間に開口を保持して連結してなることを特徴とする、地盤の掘削混合撹拌装置。
  2. 掘削軸の先端又は先端寄り部位に、その側方に、上から見て少なくとも2方向に突出する掘削翼が設けられた地盤の掘削混合撹拌装置において、
    前記掘削翼を後退翼形状とするとともに、該掘削翼の先端又は先端寄り部位と前記掘削軸とを連結部材で、その掘削翼の上側と該連結部材の下側との間に開口を保持して連結してなることを特徴とする、地盤の掘削混合撹拌装置。
  3. 掘削軸の先端又は先端寄り部位に、その側方に突出する掘削翼が設けられ、
    さらに、前記掘削軸の外側であって前記掘削翼より上に、該掘削軸に対してその軸回りに相対的に回転可能とされた支持体が設けられていると共に、該支持体には横方に延びる横軸体が設けられ、該横軸体の外周面には、その横軸回りに回転自在の回転体が外嵌されていると共に、その回転体の外周面には、該横軸体の軸方向から見て該軸から離間する方向に延びる攪拌体が複数設けられており、しかも、前記横軸体は自身が地盤中にある際、回転する前記掘削軸の軸回りに回転しないように構成されているか、その掘削軸とは同じ回転をしないように構成されている、地盤の掘削混合撹拌装置において、
    前記掘削翼を後退翼形状とするとともに、該掘削翼の先端又は先端寄り部位と前記掘削軸とを連結部材で、その掘削翼の上側と該連結部材の下側との間に開口を保持して連結し、前記掘削軸が回転して前記横軸体が地盤中にある際、該連結部材が前記攪拌体に当たって該攪拌体を横軸回りに回転させる構成としてなることを特徴とする、地盤の掘削混合撹拌装置。
  4. 掘削軸の先端又は先端寄り部位に、その側方に、上から見て少なくとも2方向に突出する掘削翼が設けられ、
    さらに、前記掘削軸の外側であって前記掘削翼より上に、該掘削軸に対してその軸回りに相対的に回転可能とされた支持体が設けられていると共に、該支持体には横方に延びる横軸体が設けられ、該横軸体の外周面には、その横軸回りに回転自在の回転体が外嵌されていると共に、その回転体の外周面には、該横軸体の軸方向から見て該軸から離間する方向に延びる攪拌体が複数設けられており、しかも、前記横軸体は自身が地盤中にある際に回転する前記掘削軸の軸回りに回転しないように構成されているか、その掘削軸とは同じ回転をしないように構成されている、地盤の掘削混合撹拌装置において、
    前記掘削翼を後退翼形状とするとともに、該掘削翼の先端又は先端寄り部位と前記掘削軸とを連結部材で、その掘削翼の上側と該連結部材の下側との間に開口を保持して連結し、前記掘削軸が回転して前記横軸体が地盤中にある際、該連結部材が前記攪拌体に当たって該攪拌体を横軸回りに回転させる構成としてなることを特徴とする、地盤の掘削混合撹拌装置。
  5. 前記連結部材は、その掘削軸寄り端がその掘削翼の先端寄り端よりも掘削軸の後方に位置するように傾斜して連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の地盤の掘削混合撹拌装置。
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