JP2008223054A - 深絞り性および耐焼付け軟化性に優れた成形加工用アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents

深絞り性および耐焼付け軟化性に優れた成形加工用アルミニウム合金板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複雑な製造工程を必要とせずに、深絞り性と耐焼付け軟化性とを同時に高めた成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、Mg:1〜5%、Fe:0.1〜1.0%、Ti:0.005〜0.1%、B:0.0005〜0.01%を含み、残部Alと不可避的不純物からなり、不可避的不純物のうちSi:0.20%未満とし、マトリックス中のFeの固溶量が50ppm以上であり、再結晶粒径が12μm以下、限界絞り比が2.13以上であることを特徴とする成形加工用アルミニウム合金板。この合金組成の溶湯を双ベルト式鋳造機により連続鋳造して薄スラブとし、該薄スラブに均質化処理および中間焼鈍を施すことなく、冷間圧延を行った後に、最終焼鈍を施すことを特徴とする製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、家電製品や自動車の外板などの構造材に見られるように、例えば深絞り成形加工後に焼付け塗装が施されるような場合、成形加工性に優れかつ焼付け処理後に高い強度が求められる成形加工用アルミニウム合金板に関する。
Al−Mg系合金は、成形性に優れていることから、当該技術分野において種々の製造方法、成形性に優れた合金板、特に深絞り成形性に優れた合金板が提唱されてきた。
成形加工用のアルミニウム合金板として、従来からJIS 5052合金、JIS 5182合金材が使用されてきた。深絞り成形加工に適するAl−Mg系合金板の製造方法としては、所定の組成の溶湯をDC鋳造してスラブとし、両面面削後に均質化処理を施して、熱間圧延、中間冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延、最終焼鈍を行うことが一般的である。特許文献1では、このような一般的な製造方法を採用し、Mn、Crを添加することにより、焼鈍板の集合組織および結晶粒径を適正な範囲として、(110)方位集積度などを制御した深絞り成形性に優れたAl−Mg系合金板が提案されている。
また、絞り比が2.0に近い食缶材等の深絞り成形において、ストレッチャー・ストレインマーク(SSマーク)が発生し、プレス加工速度の増大や温度制御によるSSマークの防止が困難であることから、材料面からの改善が要望されていた。特許文献2では、中間圧延における加工率、中間焼鈍温度、仕上げ圧延における加工率、安定化焼鈍温度などを規定することにより、特に絞り比が2.0に近い深絞り加工においてもストレッチャー・ストレインマークの発生しないAl−Mg合金板の製造方法が提案されている。
さらに、DI缶など深絞り缶の製造において、ネックの縮径率を大きくするとネック耳が生じ、しごき加工後のトリム加工において耳も除去され歩留まりが低下して製造コストが上昇するという問題があった。特許文献3では、トリム加工の際に除去される板材の量割合(耳率)を低くするため、熱間圧延の全工程にシングルミルのリバース式熱間粗圧延機を用い、熱間圧延、中間冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延などの製造条件を細かく規定した深絞り成形用アルミニウム基合金板の製造方法が開示されている。
一方、耐焼付け軟化性について、特許文献4では、質量%で、Mg:2〜5%、Fe:0.05を超え1.5%以下、Mn:0.05〜1.5%および結晶粒微細化剤を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物のうちSi:0.20%未満とし、Fe+Mn>0.3%であり、Feの固溶量が50ppm以上で、円相当径で1〜6μmの金属間化合物が5000個/mm2以上存在し、しかも再結晶粒径の平均値が20μmである耐焼付け軟化性に優れたアルミニウム合金板が提案されている。
家電製品や自動車の外板などの構造材などを深絞り加工した場合に外観を綺麗に仕上げるため、焼付け塗装が施されるケースも多い。この場合、従来法で製造された所謂DC材では、深絞り加工性に優れるAl−Mg合金板であっても、マトリックス中におけるFe、Mn、Crなどの遷移金属元素の固溶量が低いために、焼付け塗装時の加熱によって転位の回復が起こり、成形部材の強度が低下するという問題点があった。さらに上述したように、従来法では、所定の組成の溶湯をDC鋳造によりスラブを製造し、両面面削後に均質化処理を施して、熱間圧延、中間冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延、最終焼鈍を施すため、工程が複雑となり製造コストが高くなるという問題点もあった。
特開平5-295476 特開平9-13152 特開平10-330898 特開2004-76155
本発明は、上記従来の問題を解決し、複雑な製造工程を必要とせずに、深絞り性と耐焼付け軟化性とを同時に高めた成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の成形加工用アルミニウム合金板は、質量%で、Mg:1〜5%、Fe:0.1〜1.0%、Ti:0.005〜0.1%、B:0.0005〜0.01%を含み、残部Alと不可避的不純物からなり、不可避的不純物のうちSi:0.20%未満とし、マトリックス中のFeの固溶量が50ppm以上であり、再結晶粒径が12μm以下、限界絞り比が2.13以上であることを特徴とする。
上記の成形加工用アルミニウム合金板を製造する方法は、本発明によれば、質量%で、Mg:1〜5%、Fe:0.1〜1.0%、Ti:0.005〜0.1%、B:0.0005〜0.01%を含み、残部Alと不可避的不純物からなり、不可避的不純物のうちSi:0.20%未満とする合金組成の溶湯を双ベルト式鋳造機により連続鋳造して薄スラブとし、該薄スラブに均質化処理および中間焼鈍を施すことなく、冷間圧延を行った後に、最終焼鈍を施すことを特徴とする。
本発明の成形加工用アルミニウム合金板においては、再結晶粒が12μm以下のサイズであり、しかも再結晶時に圧延集合組織を残存させ、(110)方位を得やすく、r値やLDRが高く深絞り性に優れたAl−Mg系合金板を製造することができる。しかも、このAl−Mg系合金板は、マトリックス中におけるFe、Mnなどの遷移金属元素の固溶量が高く、成形後の焼付け塗装時の加熱による耐力の低下が少ないため、耐焼付け軟化性にも優れている。
本発明の製造方法によると、双ベルト鋳造機による薄スラブ鋳造時、薄スラブ中にAl-Fe、Al-(Fe・Mn)-Si、Al-Cr系化合物などが均一かつ微細に晶出して、最終焼鈍時に再結晶粒の核となり、同時に結晶粒界の移動を妨げるピン止め効果を発揮するため、再結晶粒径が12μm以下と微細になる。また、母相Al中に過飽和に固溶したFe、Mnなど遷移金属元素が、Mgとともに固溶体強化元素となり、再結晶の際に圧延集合組織の転位やセル境界の移動を止め、そこに存在する圧延集合組織を残存させる。この結果、(110)方位が得られ、r値やLDRが高く深絞り性に優れたAl−Mg系合金板とすることができる。
しかもこのAl−Mg系合金板は、マトリックス中におけるFe、Mnなどの遷移金属元素の固溶量が高く、成形後の焼付け塗装時の加熱によるによる耐力の低下が少ないため、耐焼付け軟化性にも優れている。
本発明の合金成分の意義および限定理由について説明する。本願においては、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
まず、必須要件から説明する。
〔Mg:1〜5%〕
Mgは必須成分であり、マトリックス中に固溶して固溶体強化元素として作用し、強度と成形性を付与するために添加する。Mg含有量を1〜5%と限定したのは、1%未満ではその効果が小さく、5%を越えると塑性変形による加工硬化が進み、冷間圧延時に耳割れが生じやすくいことに加え、応力腐食割れに敏感になるなどの問題が発生する可能性があるからである。Mg含有量の好ましい範囲は、1.5〜3.5%である。
〔Fe:0.1〜1.0%〕
Feは必須成分であり、Mn、Siと共存させることにより、薄スラブ中にAl-Fe、Al-(Fe・Mn)-Si系化合物などを均一かつ微細に晶出させる。これら微細な金属間化合物は最終焼鈍時に再結晶粒の核となり、同時に結晶粒界の移動を妨げるピン止め効果を発揮するため、再結晶粒径が12μm以下と微細になり、深絞り性に優れた板となる。また、薄スラブ連続鋳造機では、溶湯の凝固冷却速度が速いため、Feが過飽和に固溶する傾向が大きくなり、均質化処理、中間焼鈍を施さない本発明においては、最終焼鈍板におけるマトリックス中のFe固溶量が50ppm以上となる。マトリックスに固溶したFeは、圧延集合組織を残存させ、深絞り性に優れた板となる。しかも、成形後の焼付け塗装時の加熱による軟化の度合いが、従来法によるDC材に比較して小さくなり、耐焼付け軟化性にも優れた板となる。
Fe含有量を0.1〜1.0%と限定したのは、0.1%未満ではその効果が小さく、1.0%を越えると鋳造時に粗大な金属間化合物を生じやすく、深絞り成形性を劣化させる可能性があるからである。Fe含有量のさらに好ましい範囲は、0.15〜0.5%である。
〔Ti:0.005〜0.1%〕
Tiは必須成分であり、薄スラブの結晶粒微細化剤として作用し、スラブ割れ等の鋳造欠陥を確実に防止することができる。Ti含有量が0.005%未満では、その効果が十分でなく、Ti含有量が0.10%を超える場合には、鋳造時にTiAl3等の粗大な金属間化合物が生成するため、曲げ性が著しく低下する。したがって、Ti含有量は0.005〜0.10%とする。Ti含有量の好ましい範囲は、0.005〜0.05%である。
〔B:0.0005〜0.01%〕
Bは必須成分であり、鋳塊の結晶粒微細化剤としてのロッドハードナー(例えば、Al-5%Ti-1%B)を添加することで、必然的に混入する。Bは、溶湯中で必須元素であるTiと混在することで、鋳塊の結晶粒微細化効果が飛躍的に向上する。B含有量が0.0005%未満の場合には、結晶粒微細化効果が十分でなく、スラブ割れ等の鋳造欠陥を確実に防止することが困難である。B含有量が0.01%を超える場合には、鋳塊の結晶粒微細化効果が飽和するだけではなく、最終焼鈍板において、余剰のTiB2の凝集体が介在物として作用する場合があり、深絞り加工時に板表面キズを発生させるなど成形性を低下させる虞がある。
〔不可避的不純物〕
不可避的不純物は、アルミニウム地金、返り材、フラックスなどに含まれる不純物元素、或いは溶湯中のMgによる炉材シリカの還元溶出、溶製治具と溶湯との反応などが原因で混入する。Si、Cu、Ni、Zn、Ga、V、Ca、Naなどが代表的な元素である。
特にSiは返り材から多く混入するので配合には注意を要する。 過剰に含有すると、Mg2SiやAl-(Fe・Mn)-Siなどの晶出物が増加して、深絞り成形性を劣化させる。したがって、Si含有量は0.2%未満に制限すべきである。Si含有量の更に好ましい範囲は0.15%未満である。
〔マトリクス中のFe固溶量:50ppm以上〕
マトリクス中のFeの固溶量を50ppm以上に限定したのは以下の理由による。
すなわち、マトリクス中に固溶したFeは、再結晶の際に圧延集合組織を残存させ、深絞り成形性を高める効果がある。同時に、板成形後、焼付け塗装の加熱時に転位の回復を妨げて強度低下を抑制する効果もある。Fe固溶量が50ppm未満であると、これらの効果が十分に得られない。
次に、任意要件を説明する。
〔Cr:0.05〜0.4%〕
Crは任意成分であり、鋳造時に5μm以下のサイズのAl-Cr系金属間化合物を均一かつ微細に晶出させる。これら微細な金属間化合物は最終焼鈍時に再結晶粒の核となり、同時に結晶粒界の移動を妨げるピン止め効果を発揮するため、製造条件(特に最終焼鈍温度など)を厳しく制限しなくとも再結晶粒径が容易に12μm以下に微細化する。
したがって、本発明の合金は0.05〜0.40%のCrを含有することが好ましい。Cr含有量が0.05%未満ではその効果が十分でなく、再結晶粒の粒径を12μm以下に微細化するには上記したような製造条件を厳しく制限しなくてはならない。再結晶粒径が12μmを超えると肌荒れ性が低下する。一方、Cr含有量が0.40%を超えると鋳造時に粗大な金属間化合物を生じやすく、深絞り性を劣化させる。
〔Mn:0.05〜0.5%〕
Mnは任意成分であり、Fe、Siとともに鋳造時に5μm以下のサイズのAl-(Fe・Mn)-Si系金属間化合物を均一かつ微細に晶出させる。これら微細な金属間化合物は最終焼鈍時に再結晶粒の核となり、同時に結晶粒界の移動を妨げるピン止め効果を発揮するため、前記のような製造条件を厳しく制限しなくとも、再結晶粒径が容易に12μm以下に微細化する。また、薄スラブ連続鋳造機では、溶湯の凝固冷却速度が速いため、Mnが過飽和に固溶する傾向が大きくなり、均質化処理、中間焼鈍を施さない本発明においては、最終焼鈍板におけるマトリックス中のMn固溶量が50ppm以上となる。マトリックスに固溶されたMnは圧延集合組織を残存させ、深絞り性に優れた板となる。しかも、成形後の焼付け塗装時の加熱による軟化の度合いが、従来法によるDC材に比較して小さくなり、耐焼付け軟化性にも優れた板となる。
したがって、本発明の合金は0.05〜0.50%のMnを含有することが好ましい。Mn含有量が0.05%未満ではその効果が十分でなく、再結晶粒の粒径を12μm以下に微細化するには上記したような製造条件を厳しく制限しなくてはならない。再結晶粒の粒径が12μmを超えると肌荒れ性が低下する。0.50%を超えると鋳造時に粗大な金属間化合物を生じやすく、深絞り性を劣化させる。
本発明の製造方法の諸条件を限定した理由を説明する。
以下の説明においては、製造工程順に記載し、必須要件と任意要件と明記した。
〔双ベルト鋳造機により連続鋳造して薄スラブとし<必須要件>〕
本発明の高温高速成形性に優れたAl−Mg系合金板の製造に用いる薄スラブは双ベルト式鋳造機により鋳造する。
双ベルト式鋳造機とは、上下に対面し水冷されている一対の回転ベルト間に溶湯を注湯してベルト面からの冷却で溶湯を凝固させてスラブとし、ベルトの反注湯側より該スラブを連続して引き出してコイル状に巻き取る方式の鋳造機である。
〔双ベルト式鋳造機により鋳造した厚さ3〜15mmのスラブを巻き取り(任意要件)〕
〔スラブ厚み1/4における凝固冷却速度が20〜150℃/sec(任意要件)〕
本発明においては、鋳造する薄スラブの厚さは3〜15mmとすることが好ましい。この範囲の厚さであれば、スラブ厚み1/4において20〜150℃/sec程度の凝固冷却速度を容易に確保できるので、均一な鋳造組織を形成し易く、マトリックス中へのFe、Mnなどの遷移金属元素の固溶量を確保することが容易にできる。また、鋳造凝固時に生成される金属間化合物のサイズを5μm以下に抑え易くなり、結果的に最終焼鈍後の再結晶粒の平均粒径を12μm以下に制御することが容易になる。
上記のスラブ厚さ範囲は、ベルト式鋳造機の実行面からも最適である。すなわち、スラブ厚さが3mm未満であると、単位時間当りに鋳造機を通過するアルミニウム合金量が少ないため、鋳造が困難になる。スラブ厚さが15mmを超えると、コイルとして巻き取ることが困難になる。
〔薄スラブに均質化処理および中間焼鈍を施すことなく<必須要件>〕
本発明においては、コイルに巻き取った薄スラブに均質化処理および中間焼鈍のいずれも施すことなく最終板厚まで冷間圧延する。均質化処理、中間焼鈍を施さないため、マトリックス中に過飽和に固溶されたFe、Mnは、そのまま維持され、耐焼付け軟化性に優れた板を製造できる。
また、この製造方法では、従来法による複雑な工程のうち、両面面削、均質化処理、熱間圧延、中間焼鈍などの工程が省略されるため、製造コストを低く抑えることが可能である。
〔連続焼鈍炉により保持温度400〜520℃で行う(任意要件)〕
本願発明においては、冷間圧延後に最終焼鈍を行う。この最終焼鈍は、バッチ焼鈍炉で実施してもよいが、連続焼鈍炉(CAL)で実施する方が好ましい。連続焼鈍炉(CAL)とは、コイルを連続的に溶体化処理等するための設備であり、熱処理を施すための誘導加熱装置や水冷するための水槽および空冷するためのエアノズル等を備えたことを特徴としている。最終焼鈍温度は400〜520℃の範囲が好ましい。400℃未満であると、再結晶に必要なエネルギー供給が少ないため、再結晶が十分に起きることが困難になり、微細な再結晶組織を得ることが困難になる。しかし、最終焼鈍温度が520℃を超えると、再結晶粒径が12μmを超えて粗大化し易くなり、微細な再結晶組織を得ることが困難になる。
連続焼鈍炉における焼鈍温度での保持時間は40秒以内とすることが好ましい。40秒以上の保持時間の場合、再結晶粒が粗大化し易くなり、微細な再結晶組織を得ることが困難になる。
〔バッチ焼鈍炉により保持温度300〜400℃で行う(任意要件)〕
この最終焼鈍をバッチ焼鈍炉で実施する場合、最終焼鈍温度は300〜400℃の範囲とすることが好ましい。300℃未満であると、再結晶に必要なエネルギー供給が少ないため、再結晶が不十分に起きることが困難になり、微細な再結晶組織を得ることが困難になる。しかし、最終焼鈍温度が400℃を超えると、再結晶粒径が12μmを超えて粗大化し易くなり、微細な再結晶組織を得ることが困難になる。
バッチ焼鈍炉における焼鈍温度での保持時間は0.5〜12時間とすることが好ましい。保持時間が0.5時間未満の場合、コイルの実体温度が炉内雰囲気温度まで到達しない虞れがある。保持時間が12時間を超えても、微細な再結晶組織を発現させる作用が更に増加することはなく、単に生産性の低下を招くだけである。
本発明例として、表1に「CC材」と示す合金組成のアルミニウム合金溶湯を双ベルト式連続鋳造機で10mmの厚みの薄スラブを鋳造してコイルに巻き取った。鋳造した薄スラブはその後、均質化処理、中間焼鈍を行わず、最終板厚1mmまで冷間圧延した。
比較例として、表1に「DC材」と示す合金組成のアルミニウム合金溶湯をDC鋳造機にて1000mm×500mm×4000mmのスラブに鋳造し、両面面削した後、熱処理炉にて450℃×12hrsの均質化処理を行い、引き続き熱間圧延機にて、熱延を行って、6mm厚さの熱間圧延板をコイルに巻き取った。その後、中間焼鈍することなく、最終板厚1mmまで冷間圧延した。
本発明例のCC材冷延板および比較例のDC材冷延板を、いずれも連続焼鈍炉(CAL:continuous annealing line)にて、保持温度425℃で焼鈍を行った。
上記焼鈍後の各板材からミクロ組織観察用試料を採取して断面を研磨し、クロスカット法で再結晶粒径の測定を行った。さらにマトリックス中のFe固溶量、Mn固溶量を熱フェノール法にて測定した。結果を表2に示す。CC材の再結晶粒径は12μm以下であり、Fe、Mnの固溶量は各々50ppm以上である。
同じく上記焼鈍後の各板材から、L方向、LT方向、圧延45°方向の引張試験片を切り出し加工して、引張試験を行い、引張強さ、耐力、伸びを測定し、平均値を算出した。結果を表3に示す。
またr値(ランクフォード値)については、前記3方向の平均値(mean value)であるrm値により、n値(加工硬化指数)についても前記3方向の平均値であるnm値により評価した。結果を表3に示す。
表3に示す各結果から、CC材はDC材に比べ、引張強さ、耐力、rm値ともに高いが、伸び、nm値についてはCC材もDC材と同等であることが判った。
さらに上記焼鈍後の各板材から、φ68.0〜74.6mmの範囲で9種類のサイズの円盤を打ち抜き、深絞り性評価試験を行って限界絞り比(LDR)の測定を行った。なお、シワ押さえ力は500kgとし、ポンチ径はφ33mmであった。結果を表3に示す。
DC材の限界絞り比(LDR)が2.11であるのに対し、CC材の限界絞り比(LDR)は2.17であり、CC材はDC材に比べ、深絞り性に優れていることが判った。
さらに上記焼鈍後の各板材引張試験片について、成形後の耐焼付軟化性をシミュレートするため、5%、10%の予歪を加えて予歪材とし、更にこれら予歪材の一部について180℃×30minの熱処理(加熱)を行った。熱処理前、熱処理後の予歪材について引張り試験を行った。結果を表4に示す。
CC材はDC材に比べ、引張強度・耐力について軟化率が低く、耐焼付け軟化性に優れていることが判った。
Figure 2008223054
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Figure 2008223054
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以上説明したように、本発明によれば、複雑な製造工程を必要とせずに、深絞り性と耐焼付け軟化性とを同時に高めた成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法が提供される。

Claims (7)

  1. 質量%で、Mg:1〜5%、Fe:0.1〜1.0%、Ti:0.005〜0.1%、B:0.0005〜0.01%を含み、残部Alと不可避的不純物からなり、不可避的不純物のうちSi:0.20%未満とし、マトリックス中のFeの固溶量が50ppm以上であり、再結晶粒径が12μm以下、限界絞り比が2.13以上であることを特徴とする深絞り性、耐焼付け軟化性に優れた成形加工用アルミニウム合金板。
  2. 請求項1において、更にCr:0.05〜0.4%を含むことを特徴とする成形加工用アルミニウム合金板。
  3. 請求項1または2において、更にMn:0.05〜0.5%を含み、マトリックス中のMnの固溶量が50ppm以上であることを特徴とする成形加工用アルミニウム合金板。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項に記載の合金組成の溶湯を双ベルト式鋳造機により連続鋳造して薄スラブとし、該薄スラブに均質化処理および中間焼鈍を施すことなく、冷間圧延を行った後、最終焼鈍を施すことを特徴とするアルミニウム成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
  5. 請求項4において、上記薄スラブの厚みが5〜15mmであり、スラブ厚み1/4における凝固冷却速度が20〜150℃/secであることを特徴とする製造方法。
  6. 請求項4または5において、前記最終焼鈍を連続焼鈍炉にて保持温度400〜520℃で行うことを特徴とする製造方法。
  7. 請求項4または5において、前記最終焼鈍をバッチ焼鈍炉にて保持温度300〜400℃で行うことを特徴とする製造方法。
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