JP2008222939A - 樹脂複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂材料本来の加工性及び成形性をほとんど損ねることなく、優れた引張応力を示すことができる樹脂複合材料を提供すること。
【解決手段】フラーレン類3が熱可塑性スチレン系エラストマー又はポリウレタンからなる樹脂マトリックス2中に分散された樹脂複合材料1である。樹脂複合材料1は、フラーレン類3を有機溶媒に溶解してなるフラーレン溶液と、熱可塑性スチレン系エラストマー又はポリウレタンとを混合して得られる混合物を加熱成形してなる。樹脂複合材料1は、フラーレン類3を10〜5000ppm含有する。
【選択図】図1
【解決手段】フラーレン類3が熱可塑性スチレン系エラストマー又はポリウレタンからなる樹脂マトリックス2中に分散された樹脂複合材料1である。樹脂複合材料1は、フラーレン類3を有機溶媒に溶解してなるフラーレン溶液と、熱可塑性スチレン系エラストマー又はポリウレタンとを混合して得られる混合物を加熱成形してなる。樹脂複合材料1は、フラーレン類3を10〜5000ppm含有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂マトリックス中にフラーレン類が分散された樹脂複合材料に関する。
従来、熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂等の樹脂の特性を改良するために、これらの樹脂材料に無機材料からなる微粒子を添加することが行われてきた。特に、樹脂材料中に微粒子をナノメートルオーダーで分散させた樹脂複合材料は、ユニークな特性を有するため近年注目を集めている。
具体的には、上記樹脂複合材料として、例えば樹脂材料中にカーボンナノチューブ等の微細な炭素繊維を含有する樹脂組成物が開発されている(特許文献1参照)。このような炭素繊維を添加することにより、樹脂材料の特性を改良することができる。
しかしながら、従来、炭素繊維などを添加して樹脂材料の特性を改良するためには、少なくとも数wt%以上の炭素繊維を添加する必要があった。そのため、炭素繊維を添加して例えば引張応力等の機械的特性を向上させると、その反面、加工性及び成形性が低下が劣化するという問題があった。
本発明はかかる従来の問題点を鑑みてなされたものであって、樹脂材料本来の加工性及び成形性をほとんど損ねることなく、優れた引張応力を示すことができる樹脂複合材料を提供しようとするものである。
本発明は、熱可塑性スチレン系エラストマー又はポリウレタンからなる樹脂マトリックス中にフラーレン類が分散された樹脂複合材料であって、
該樹脂複合材料は、上記フラーレン類を有機溶媒に溶解又は分散してなるフラーレン溶液と、上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンとを混合して得られる混合物を加熱成形してなり、
上記樹脂複合材料は、上記フラーレン類を10〜5000ppm含有することを特徴とする樹脂複合材料にある(請求項1)。
該樹脂複合材料は、上記フラーレン類を有機溶媒に溶解又は分散してなるフラーレン溶液と、上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンとを混合して得られる混合物を加熱成形してなり、
上記樹脂複合材料は、上記フラーレン類を10〜5000ppm含有することを特徴とする樹脂複合材料にある(請求項1)。
本発明の樹脂複合材料は、上記樹脂マトリックス本来の加工性及び成形性をほとんど損ねることなく、優れた引張応力等の機械的特性を発揮することができる。
即ち、上記樹脂複合材料は、10〜5000ppmという少量の上記フラーレン類を含有する。そのため、上記フラーレン類は、上記樹脂マトリックス本来の加工性及び成形性をほとんど損ねることがなく、上記樹脂複合材料は、上記フラーレン類を含有していない上記樹脂マトリックスからなる樹脂材料に比べて、例えば0.95〜1.0倍程度のメルトフローレート(MFR)を示すことができる。それ故、上記樹脂複合材料は、上記樹脂マトリックス本来の加工性及び成形性を示すことができる。
即ち、上記樹脂複合材料は、10〜5000ppmという少量の上記フラーレン類を含有する。そのため、上記フラーレン類は、上記樹脂マトリックス本来の加工性及び成形性をほとんど損ねることがなく、上記樹脂複合材料は、上記フラーレン類を含有していない上記樹脂マトリックスからなる樹脂材料に比べて、例えば0.95〜1.0倍程度のメルトフローレート(MFR)を示すことができる。それ故、上記樹脂複合材料は、上記樹脂マトリックス本来の加工性及び成形性を示すことができる。
また、上記樹脂複合材料は、上記フラーレン類を有機溶媒に溶解又は分散してなるフラーレン溶液と、上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンとを混合して得られる混合物を加熱成形してなる。
そのため、上記樹脂複合材料においては、10〜5000ppmという少量の上記フラーレン類が、上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンからなる上記樹脂マトリックス中に均一に分散され、上記のごとく少量の上記フラーレン類でも上記樹脂複合材料は、優れた引張応力等の機械的物性を示すことができる。
そのため、上記樹脂複合材料においては、10〜5000ppmという少量の上記フラーレン類が、上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンからなる上記樹脂マトリックス中に均一に分散され、上記のごとく少量の上記フラーレン類でも上記樹脂複合材料は、優れた引張応力等の機械的物性を示すことができる。
このように本発明によれば、樹脂材料本来の加工性及び成形性をほとんど損ねることなく、優れた引張応力を示すことができる樹脂複合材料を提供するができる。
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記樹脂複合材料においては、フラーレン類が熱可塑性スチレン系エラストマー又はポリウレタンからなる樹脂マトリックス中に分散されている。
フラーレンとは、閉殻構造を有する炭素クラスターであり、フラーレンの具体例としては、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96、及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスター等があげられる。フラーレンの炭素数は通常60〜130の偶数である。本発明における上記フラーレン類は、フラーレン骨格を有するものを指し、上述のフラーレンの他にフラーレン誘導体も含有する。該フラーレン誘導体には、フラーレン骨格上に置換基を有するもの、フラーレン骨格の内部に金属や化合物を内包するもの、他の金属原子や化合物と錯体を形成したもの等が含まれる。
上記樹脂複合材料においては、フラーレン類が熱可塑性スチレン系エラストマー又はポリウレタンからなる樹脂マトリックス中に分散されている。
フラーレンとは、閉殻構造を有する炭素クラスターであり、フラーレンの具体例としては、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96、及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスター等があげられる。フラーレンの炭素数は通常60〜130の偶数である。本発明における上記フラーレン類は、フラーレン骨格を有するものを指し、上述のフラーレンの他にフラーレン誘導体も含有する。該フラーレン誘導体には、フラーレン骨格上に置換基を有するもの、フラーレン骨格の内部に金属や化合物を内包するもの、他の金属原子や化合物と錯体を形成したもの等が含まれる。
上記樹脂複合材料は、上記フラーレン類として、少なくともC60骨格を有するフラーレンを含有することが好ましい。
C60骨格のフラーレンは真球に近い形状を有しているため、この場合には、上記樹脂複合材料の作製時に、上記樹脂マトリックス中に上記フラーレン類を均一に分散させ易くなる。また、C60骨格のフラーレンは比較的製造が容易であるため、上記樹脂複合材料の製造コストを低減することができる。また、上記フラーレン類としては、例えば上述のフラーレン及びフラーレン誘導体から選ばれる1種を用いることができるが、2種以上を併用することもできる。
C60骨格のフラーレンは真球に近い形状を有しているため、この場合には、上記樹脂複合材料の作製時に、上記樹脂マトリックス中に上記フラーレン類を均一に分散させ易くなる。また、C60骨格のフラーレンは比較的製造が容易であるため、上記樹脂複合材料の製造コストを低減することができる。また、上記フラーレン類としては、例えば上述のフラーレン及びフラーレン誘導体から選ばれる1種を用いることができるが、2種以上を併用することもできる。
好ましくは、上記樹脂複合材料は、上記フラーレン類として、C60と、C70と、C60及びC70よりも多くの炭素を有するフラーレンとを含有することが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記樹脂複合材料中に上記フラーレン類が分散し易くなり、上記樹脂複合材料の機械的物性をより向上させることができる。これに対し、例えば上記フラーレン類として、C60等の1種類のみを用いた場合には、上記樹脂複合材料の作製中に、上記フラーレン類が樹脂中で結晶化し、上記樹脂マトリックス中に均一に分散させることが困難になるおそれがある。そのためこの場合には、上記樹脂複合材料の機械的特性を十分に向上させることが困難になるおそれがある。
この場合には、上記樹脂複合材料中に上記フラーレン類が分散し易くなり、上記樹脂複合材料の機械的物性をより向上させることができる。これに対し、例えば上記フラーレン類として、C60等の1種類のみを用いた場合には、上記樹脂複合材料の作製中に、上記フラーレン類が樹脂中で結晶化し、上記樹脂マトリックス中に均一に分散させることが困難になるおそれがある。そのためこの場合には、上記樹脂複合材料の機械的特性を十分に向上させることが困難になるおそれがある。
また、C60と、C70と、C60及びC70よりも多くの炭素を有するフラーレンとからなる上記フラーレン類は、その生産性の観点から、C60と、C70と、これらよりも多くの炭素を有する上記フラーレンとをそれぞれ58〜64:22〜28:11〜17という重量比で含有することが好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えばポリオレフィン系、スチレン系、ポリ塩化ビニル(塩ビ)系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系などがある。より具体的に、スチレン系の熱可塑性エラストマーとしては、例えばポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン、及びポリスチレン-ポリブタジエン−ブロック−ポリスチレン、マレイン酸変性SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)やエポキシ化SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)等がある。
上記ポリウレタンとしては、例えば熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いることができる(請求項2)。
上記樹脂複合材料の基材となるポリウレタンの製造方法としては、本願出願日以前に公知の方法を採用することができる。例えば、ポリイソシアナート、ポリオール及び鎖延長剤を、触媒存在下或いは非存在下で、有機溶剤存在下或いは無溶剤下で反応させることによりポリウレタンを得ることができる。
上記樹脂複合材料の基材となるポリウレタンの製造方法としては、本願出願日以前に公知の方法を採用することができる。例えば、ポリイソシアナート、ポリオール及び鎖延長剤を、触媒存在下或いは非存在下で、有機溶剤存在下或いは無溶剤下で反応させることによりポリウレタンを得ることができる。
特に、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)は、分子量約500〜4000の末端活性水素を有するポリオール、分子量約500以下の低分子量ジオール(鎖伸長剤)、及びジイソシアネートから構成されており、ジオールとジイソシアネートの反応によってできたハードセグメントと、ポリオールとジイソシアネートの反応によってできたソフトセグメントからなるマルチブロックコポリマーである。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、例えばポリオールとジオールとジイソシアネートの3成分を一括混合し、反応させる方法(ワンショット法)、又はポリオールとジイソシアネートを予め反応させ、次いで低分子量ジオールを撹拌混合させる方法(プレポリマー法)等によって製造することができる。
上記のポリオールとしては、好ましくは、例えばテトラハイドロフランのオリゴマーであるポリオキシテトラメチレングリコール、プロピレンオキサイド及びエチレンオキサイド等から得られるポリオキシアルキレン系ポリオール、アジピン酸等の酸とネオペンチルグリコール等のアルコールとから得られるポリエステルポリオール、環状のエステルから得られるε−ポリカプロラクトン系のポリエステルポリオール、多価アルコールとアルキルカーボナートとから得られるポリカーボナートジオール等をもちいることができる。また、末端に活性水素基を有するオレフィン系ポリオール、又はひまし油等の天然物由来のポリオールを用いることもできる。
また、上記のジイソシアネートとしては、好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ポリメリックMDI、トリレンジイソシアナート(TDI)、オルトトルイルジシアナート、ナフチレンジイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアナート(NBDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、水素化キシリレンジイソシアナート(水添XDI)、などが挙げられ、これらは単独で、または、一種以上を混合して用いることもできる。
また、上記鎖伸長剤としては、好ましくは例えばネオペンチルグリコール、及び1,4−ブタンジオール等の低分子量2価のアルコール、水、ヒドラジンやイソホロンジアミン等のジアミン、エタノールアミン等のアルカノールアミン等を用いることができる。また、トリメチロールプロパン、及びジエタノールアミン等の官能基数が3以上の鎖延長剤を使用することもできる。
上記熱可塑性スチレン系エラストマー及び上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、非架橋型であることが好ましい。
この場合には、上記樹脂複合材料のリサイクル性を向上させることができる。即ち、この場合には、使用(廃棄)後の上記樹脂複合材料を加熱することにより、簡単に再利用に供することができる。
この場合には、上記樹脂複合材料のリサイクル性を向上させることができる。即ち、この場合には、使用(廃棄)後の上記樹脂複合材料を加熱することにより、簡単に再利用に供することができる。
上記樹脂複合材料は、上記フラーレン類をテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に溶解してなるフラーレン溶液と、上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンとを混合して得られる混合物を加熱成形してなる。
具体的には、上記フラーレン溶液と上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンとの混合は、例えば上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンをテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に溶解させてなる樹脂成分分散液と上記フラーレン溶液とを混合することにより行うことができる。
また、上記フラーレン溶液と上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンとの混合は、超音波処理を行いながら撹拌することにより行うことができる。
具体的には、上記フラーレン溶液と上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンとの混合は、例えば上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンをテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に溶解させてなる樹脂成分分散液と上記フラーレン溶液とを混合することにより行うことができる。
また、上記フラーレン溶液と上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンとの混合は、超音波処理を行いながら撹拌することにより行うことができる。
また、上記樹脂複合材料は、上記フラーレン類を10〜5000ppm含有する。
上記フラーレン類の含有量が10ppm未満の場合には、引張応力等の機械的特性が十分に向上しないおそれがある。一方、5000ppmを越える場合には、上記樹脂複合材料の成形性及び加工性が劣化するおそれがある。
上記フラーレン類の含有量が10ppm未満の場合には、引張応力等の機械的特性が十分に向上しないおそれがある。一方、5000ppmを越える場合には、上記樹脂複合材料の成形性及び加工性が劣化するおそれがある。
より好ましくは、上記樹脂複合材料は、上記フラーレン類を50〜2000ppm含有することがよい(請求項4)。
この場合には、上記樹脂複合材料は、優れた機械的物性、成形性及び加工性をより高いレベルで兼ね備えることができる。
この場合には、上記樹脂複合材料は、優れた機械的物性、成形性及び加工性をより高いレベルで兼ね備えることができる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例につき、図1〜図3を用いて説明する。
本例においては、樹脂複合材料を作製し、その特性を評価する例である。
図1に示すごとく、本例の樹脂複合材料1は、樹脂マトリックス2中にフラーレン類3が分散されている。本例において、樹脂マトリックス2は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなる。フラーレン類3としては、C60と、C70と、これらよりも多くの炭素を有するフラーレンとを含有する。また、樹脂複合材料1は、フラーレン類3を有機溶媒に溶解してなるフラーレン溶液と、ポリウレタンとを混合して得られる混合物を加熱成形してなる。
次に、本発明の実施例につき、図1〜図3を用いて説明する。
本例においては、樹脂複合材料を作製し、その特性を評価する例である。
図1に示すごとく、本例の樹脂複合材料1は、樹脂マトリックス2中にフラーレン類3が分散されている。本例において、樹脂マトリックス2は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなる。フラーレン類3としては、C60と、C70と、これらよりも多くの炭素を有するフラーレンとを含有する。また、樹脂複合材料1は、フラーレン類3を有機溶媒に溶解してなるフラーレン溶液と、ポリウレタンとを混合して得られる混合物を加熱成形してなる。
本例においては、フラーレン類3を10〜5000ppmの範囲内で含有する5種類の樹脂複合材料(試料E1〜試料E5)を作製する。まず、フラーレン類3を10ppm含有する樹脂複合材料(試料E1)を以下のようにして作製した。
即ち、まず、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(分子量2000)と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと、及び1,4−ブタンジオールを用いて熱可塑性ポリウレタンエラストマー(PUE)を作製した。以下、括弧内の重量(g)は、調整しようとする樹脂複合材料を1000gとしたときの重量を示す。
具体的には、まずポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(分子量2000)2000g(770g)と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート510g(195g)とを70℃において反応させて末端にイソシアナート基を有するオリゴマーを作製した。続いて、1,4−ブタンジオール90g(35g)を用いて鎖延長しながら、粘度の上昇にあわせてテトラヒドロフラン(THF)にて希釈した。これにより、、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(PUE)を2600g(1000g)含有するPUE/テトラヒドロフラン(THF)溶液を13000g(5000g)得た。
具体的には、まずポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(分子量2000)2000g(770g)と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート510g(195g)とを70℃において反応させて末端にイソシアナート基を有するオリゴマーを作製した。続いて、1,4−ブタンジオール90g(35g)を用いて鎖延長しながら、粘度の上昇にあわせてテトラヒドロフラン(THF)にて希釈した。これにより、、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(PUE)を2600g(1000g)含有するPUE/テトラヒドロフラン(THF)溶液を13000g(5000g)得た。
次に、フラーレン類として、混合フラーレンであるフロンティアカーボン社製のナノムミックス(登録商標)を準備した。この混合フラーレンは、C60を61wt%、C70を25wt%、及びC60及びC70よりも分子量が高いフラーレンを14wt%含有する。このフラーレン類0.01gをテトラヒドロフラン(THF)1000gに添加し、超音波処理を5分間行った。これにより、フラーレン類がTHFに溶解したフラーレン溶液を得た。
次に、PUE/THF溶液とフラーレン溶液とを混合し、温度70℃で、超音波処理を行いながら10分間撹拌した。その後、THFを取り除いて得られた混合物を温度120℃で30分間プレス成形し、フラーレン類を10ppm含有する樹脂複合材料を作製した。これを試料E1とする。
また、本例においては、PUEとフラーレン類との配合割合を変えてさらに4種類の樹脂複合材料(試料E2〜試料E5)を作製した。
試料E2は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を100ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料E3は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を500ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料E2は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を100ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料E3は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を500ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料E4は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を1000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。試料E5は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を5000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
また、本例においては、上記試料E1〜試料E5の比較用として、フラーレン類を含有しないPUEからなる樹脂材料(試料C1)を作製した。試料C1は、上記試料E1と同様にして作製したPUE/THF溶液を上記試料E1と同様の成形条件でプレス成形することにより作製した。
また、上記試料E1〜試料E5の比較用として、フラーレン類を5000ppmを越える含有量で含有する5種類の樹脂複合材料(試料C2〜試料C6)を作製した。
試料C2は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を10000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料C3は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を30000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料C4は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を50000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料C5は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を70000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料C6は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を100000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料C2は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を10000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料C3は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を30000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料C4は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を50000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料C5は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を70000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料C6は、PUEとフラーレン類との配合割合を変えて、フラーレン類を100000ppm含有する樹脂複合材料を作製した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
次に、上記試料E1〜試料E5及び試料C1〜試料C6について、下記の引張応力試験を行った。
「引張応力試験」
引張応力試験は、JIS K 6251に準拠する方法により行った。
即ち、まず、各試料をJIS K 6251に準拠するダンベル状試験片(3号)に加工した。この試験片を引張試験装置を用いて規定速度500(100)±25mm/分で引張った。このときの試験片の伸びと引張力(引張応力)を測定した。その結果を図2及び図3に示す。また、伸び100%のときの引張応力(100%モジュラスM100)、及び伸び300%のときの引張応力(300%モジュラスM300)を後述の表1に示す。表1においては、各試料の100%モジュラス及び300%モジュラスを、試料C1に対する相対値(試料C1のM100及びM300を100としたときの相対値)で示してある。
なお、試験片の伸び(%)は、試験片の引張方向の長さからの伸びを100分率で示したものである。即ち、試験片の長さと同じ長さ伸びたときの伸びが100%であり、試験片の長さの3倍伸びたときの伸びは300%である。
「引張応力試験」
引張応力試験は、JIS K 6251に準拠する方法により行った。
即ち、まず、各試料をJIS K 6251に準拠するダンベル状試験片(3号)に加工した。この試験片を引張試験装置を用いて規定速度500(100)±25mm/分で引張った。このときの試験片の伸びと引張力(引張応力)を測定した。その結果を図2及び図3に示す。また、伸び100%のときの引張応力(100%モジュラスM100)、及び伸び300%のときの引張応力(300%モジュラスM300)を後述の表1に示す。表1においては、各試料の100%モジュラス及び300%モジュラスを、試料C1に対する相対値(試料C1のM100及びM300を100としたときの相対値)で示してある。
なお、試験片の伸び(%)は、試験片の引張方向の長さからの伸びを100分率で示したものである。即ち、試験片の長さと同じ長さ伸びたときの伸びが100%であり、試験片の長さの3倍伸びたときの伸びは300%である。
また、各試料について、JIS K 7210に準拠する方法に従って、メルトフローレートを測定した。その結果を後述の表1に示す。
図2、図3、及び表1より知られるごとく、フラーレン類を含有する試料E1〜試料E5及び試料C2〜試料C6は、フラーレン類を含有しない試料C1に比べて引張応力が向上していた。また、フラーレン類を10〜5000ppm含有する試料E1〜試料E5は、フラーレン類を10000ppm含有する試料C2及びフラーレン類を30000を含有する試料C3と同程度の優れた引張応力を示している。したがって、フラーレン類は10〜5000ppmという少量でも上記樹脂複合材料の機械的特性を十分に向上できることがわかる。
また、フラーレン類を50000ppm以上含有する試料C4〜試料C6は、さらに高い引張応力を示した。しかしその一方で、上記試料C4〜試料C6は、試料C1に比べてMFRが著しく低くなっており、成形性や加工性が劣化していることがわかる。これに対し、試料E1〜試料E3は、上述のごとく優れた引張応力を示すと共に、フラーレンを含有していない上記試料C1と同程度の高いMFRを示しており、優れた成形性及び加工性を示すことがわかる。
1 樹脂複合材料
2 樹脂マトリックス
3 フラーレン類
2 樹脂マトリックス
3 フラーレン類
Claims (4)
- 熱可塑性スチレン系エラストマー又はポリウレタンからなる樹脂マトリックス中にフラーレン類が分散された樹脂複合材料であって、
該樹脂複合材料は、上記フラーレン類を有機溶媒に溶解又は分散してなるフラーレン溶液と、上記熱可塑性スチレン系エラストマー又は上記ポリウレタンとを混合して得られる混合物を加熱成形してなり、
上記樹脂複合材料は、上記フラーレン類を10〜5000ppm含有することを特徴とする樹脂複合材料。 - 請求項1において、上記ポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタンエラストマーであることを特徴とする樹脂複合材料。
- 請求項1又は2において、上記フラーレン類として、C60と、C70と、C60及びC70よりも多くの炭素を有するフラーレンとを含有することを特徴とする樹脂複合材料。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記フラーレン類を50〜2000ppm含有することを特徴とする樹脂複合材料。
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JP2007066035A JP2008222939A (ja) | 2007-03-15 | 2007-03-15 | 樹脂複合材料 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8865019B2 (en) | 2011-05-03 | 2014-10-21 | King Fahd University Of Petroleum And Minerals | Method of inhibiting free radical polymerization of styrene |
JP2016079358A (ja) * | 2014-10-22 | 2016-05-16 | 昭和電工株式会社 | 含フッ素エラストマー組成物、その成形品及び該成形品が組み込まれた装置 |
CN112126217A (zh) * | 2020-10-12 | 2020-12-25 | 广东工业大学 | 一种富勒烯/碳纳米管/热塑性树脂复合薄膜、其制备方法及应用 |
-
2007
- 2007-03-15 JP JP2007066035A patent/JP2008222939A/ja active Pending
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