JP2008221261A - 金属製板状体と柱状体とのカシメ組付品およびその製造方法、並びに製造装置。 - Google Patents

金属製板状体と柱状体とのカシメ組付品およびその製造方法、並びに製造装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】柱状体の途中にフランジ部を設けたり複雑な特殊形状を作製する必要がなく、容易且つ低コストに製造でき、薄い板状体でも十分な組付強度を維持できるカシメ組付技術を提供する。
【解決手段】金属製板状体2に対し、バーリング加工により柱状体3を挿入して組み付けるための取付穴20を設け、該取付穴の内周縁に沿ってバーリングによる筒状フランジ22の厚肉部21を形成し、取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に所定深さの周溝30を形成し、柱状体を金属製板状体の取付穴に挿入し、厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットし、厚肉部を軸方向から圧縮プレスして、前記筒状フランジを加圧して当該金属製板状体の表面と略面一とし、且つ該筒状フランジが突出していた面と反対側の面に柱状体外周面に沿ったリング状の膨出フランジを形成すると同時に、取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する柱状体の周溝内に食い込ませる。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属製の板状体と中空又は中実の柱状体を強固に固定できる高強度のカシメ加工技術に関する。
この種の板状体と柱状体とのカシメ加工は、従来、特許文献1のように軸カシメとして柱状体側の途中部にフランジ部を形成するとともに、組み付け対象のプレス部品である板状体側に丸穴を穿設し、この丸穴を挿通させた柱状体の先端部を専用のカシメ機械で潰し、潰された軸体頭部とフランジ部との間にプレス部品を挟みこむようにして組み付けるか、或いは、軸体側に更に複雑な特殊形状を形成しておき、プレス部品に開いた丸穴に軸体を圧入することで接合していた。
しかしながら、潰した軸体頭部との間でプレス部品を挟み込むためには大きなフランジ部を軸体途中部に設けなければならず、製品使用上必要な軸径よりも50%程度太い軸材料から削り出してフランジ形状を作製する必要があり、材料コストおよび加工コストが増大する。また、特殊形状の形成にも製造コストが嵩み、コスト低減に限界があった。
特開2003−260529号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、軸体等の柱状体の途中部にフランジ部を設けたり、複雑な特殊形状を作製する必要がなく、容易に且つ低コストで製造でき、薄い板状体であっても十分な組付強度を維持できるカシメ組付品およびその製造方法を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、金属製板状体と中空又は中実の柱状体とのカシメ組付品の製造方法であって、金属製板状体に対し、バーリング加工により柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに該取付穴の内周縁に沿ってバーリングによる筒状フランジからなる厚肉部を形成する工程と、前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成する工程と、前記柱状体を金属製板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットする工程と、該厚肉部を軸方向から圧縮プレスして、前記筒状フランジを加圧して当該金属製板状体の表面と略面一とし、且つ該筒状フランジが突出していた面と反対側の面に前記柱状体外周面に沿ったリング状の膨出フランジを形成すると同時に、取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する柱状体の周溝内に食い込ませるカシメ工程と、よりなることを特徴とするカシメ組付品の製造方法を提供する。
ここで、前記柱状体を摺動案内する挿通穴を有するとともに、その開口縁部に前記膨出フランジを形成するための切欠き溝を備え、前記柱状体にセットされる前記金属製板状体の筒状フランジが突出している面と反対側の面を当接支持する支持具と、前記厚肉部を前記筒状フランジが突出している側から直接的または間接的にプレスする加圧パンチとにより、該厚肉部を軸方向から圧縮プレスしてなることが好ましい。
また、前記支持具が、前記挿通穴において前記柱状体をその端面が前記加圧パンチに当接した状態で一体的に移動するように支持し、該加圧パンチにより前記金属製板状体の厚肉部をプレスすることにより、該金属製板状体を柱状体の前記端面に略面一となるように組み付けてなることが好ましい。
また、本発明は、金属製板状体と中空又は中実の柱状体とのカシメ組付品の製造装置であって、金属製板状体に対し、バーリング加工により柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに該取付穴の内周縁に沿ってバーリングによる筒状フランジからなる厚肉部を形成する手段と、前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成する手段と、前記柱状体を金属製板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットする手段と、該厚肉部を軸方向から圧縮プレスして、前記筒状フランジを加圧して当該金属製板状体の表面と略面一とし、且つ該筒状フランジが突出していた面と反対側の面に前記柱状体外周面に沿ったリング状の膨出フランジを形成すると同時に、取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する柱状体の周溝内に食い込ませるカシメ手段と、よりなることを特徴とするカシメ組付品の製造装置をも提供する。
ここで、前記柱状体を摺動案内する挿通穴を有するとともに、その開口縁部に前記膨出フランジを形成するための切欠き溝を備え、前記柱状体にセットされる前記金属製板状体の筒状フランジが突出している面と反対側の面を当接支持する支持具と、前記厚肉部を前記筒状フランジが突出している側から直接的または間接的にプレスする加圧パンチとにより、該厚肉部を軸方向から圧縮プレスしてなるものが好ましい。
本発明は、金属製板状体と中空又は中実の柱状体とよりなるカシメ組付品であって、金属製板状体に対し、バーリング加工により柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに該取付穴の内周縁に沿ってバーリングによる筒状フランジからなる厚肉部を形成し、前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成し、前記柱状体を金属製板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットした状態で、該厚肉部を軸方向から圧縮プレスして、前記筒状フランジを加圧して当該金属製板状体の表面と略面一とし、且つ該筒状フランジが突出していた面と反対側の面に前記柱状体外周面に沿ったリング状の膨出フランジを形成すると同時に、取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する柱状体の周溝内に食い込ませて固定したことを特徴とするカシメ組付品をも提供する。
以上にしてなる本願発明によれば、柱状体の途中部にフランジ部を設けたり、複雑な特殊形状を作製する必要がなく、柱状体に形成が容易に周溝を設け、板状体の取付穴周囲に、同じく形成が容易なバーリングによる筒状フランジからなる厚肉部を設けるだけで、簡単なプレス加工で且つ低コストで板状体と柱状体とのカシメ組付が可能となる。
また、板状体にバーリングによる筒状フランジからなる厚肉部を形成し、塑性変形して周溝に食い込ませているので、十分なカシメ強度が得られると同時に、筒状フランジが突出していた面と反対側の面に前記柱状体外周面に沿ったリング状の膨出フランジを形成しており、板状体自体の強度も得られることから、従来よりも薄い板状体であっても従来と同様の高いカシメ強度を得ることができる。このように軸の形状を単純化することにより、従来比でおよそ20〜70%のコストダウンが図れる。
なお、前記膨出フランジを設けずに筒状フランジを一部残したまま周溝内に食い込ませて固定することも可能であるが、筒状フランジはバーリング加工により形成されており、その突出端面は加工によるギザギザや凹凸が生じており、歯車等の他部品と接触した場合には他部品を損傷させる原因となるとともに、金属製板状体の表面に通常施される腐蝕防止用のコーティング等がされている場合も、バーリングによる前記突出端面にはコーティング等が存在しないこととなり、腐蝕の原因となる。これに対し、本願発明では、上記の問題を生じる筒状フランジを加圧して当該金属製板状体の表面と略面一として上記問題を解消しつつ、筒状フランジが突出していた面と反対側の面に、前記柱状体外周面に沿ったリング状の膨出フランジを形成する。この膨出フランジは圧縮プレスにより金属製板状体が塑性変形したものであり、その突出端面には凹凸等も存在せず、他部品が摺動接触しても問題とならず、また当該突出端面は本来の板状体表面が膨出したものであり、表面にコーティング等が為されていた場合にはそのコーティングがそのまま存在し、腐蝕を有効に防止できることとなる。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明に係るカシメ組付品に用いる金属製の板状体2と柱状体3を示し、図1〜5は製造方法の第1実施形態、図6は第2実施形態を示す。図中符号1はカシメ組付品、2は板状体、3は柱状体をそれぞれ示している。
本発明に係るカシメ組付品1は、図1に示すように、金属製の板状体2と中空又は中実の柱状体3とをカシメ加工により組みつけたカシメ組付品であり、とくに電子部品などに好適であるが、その他種々の部品、製品に適用できることは勿論である。
板状体2には、バーリング加工により柱状体3を挿入して組み付けるための取付穴20が設けられるとともに、該取付穴の内周縁に沿ってバーリングによる筒状フランジ22からなる厚肉部21が形成される。
また、柱状体3には、外周面に所定深さの周溝30が形成される。
そして、第1、第2実施形態で説明するように、柱状体3を板状体2の取付穴20に挿入し、厚肉部21と周溝30とが対向した状態で厚肉部21を軸方向から圧縮プレスすることにより、筒状フランジ22が加圧されて当該板状体2の表面と略面一となり、且つ該筒状フランジ22が突出していた面と反対側の面に前記柱状体3外周面に沿ったリング状の膨出フランジ23が形成されると同時に、取付穴中心方向に塑性変形し、周溝30内の隙間Sに食い込むことにより固定されることになる。
具体的には、板状体2に、柱状体3を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに、該取付穴の内周縁に沿って筒状フランジ22からなる厚肉部をバーリング加工により形成するバーリング加工部と、前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成する溝加工手段と、前記柱状体3を板状体2の取付穴20に挿入し、厚肉部21と周溝30とが対向した組付位置にセットする取付手段と、厚肉部21を軸方向から圧縮プレスして筒状フランジ22を加圧して当該板状体2の表面と略面一とし、反対側面に柱状体外周面に沿ったリング状の膨出フランジ23を形成すると同時に、取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する柱状体の周溝内に食い込ませるカシメ部を備えた製造装置を用いて加工される。
カシメ部の構造は、図2〜4にも示すように、柱状体3を内部に摺動案内できる挿通穴40を有するとともに、その開口縁部に前記膨出フランジ23を形成するための切欠き溝44を備え、下方から板状体2を当接支持する支持具41と、厚肉部21を前記筒状フランジ22が突出している側から直接的または間接的にプレスする加圧パンチ43と、前記柱状体3をその端面が前記加圧パンチに直接的または間接的に当接した状態で一体的に移動可能に支持する支持台45とより構成されている。
以下、図1〜5に基づき第1実施形態の製造方法を説明する。
まず、板状体2に対して、バーリング加工により柱状体3を挿入して組み付けるための取付穴20が設けられるとともに、該取付穴20の内周縁に沿ってバーリングによる筒状フランジ22からなる厚肉部21が形成される。板状体2には、少なくとも板状部分に開けられた取付穴20およびその厚肉部21が存在すればよく、他の部分に板状以外の構造があってもよい。
一方、この取付穴20に挿入される柱状体3の端部近傍の外周面には、板状体2が取付けられる予定の組付位置に、所定深さの周溝30が形成される。周溝30の深さは、板状体2の厚肉部21が膨出フランジ23の形成と同時に食い込んで固定された状態で十分な強度を維持できるように、板状体2の厚み、軸の外径などの大きさに応じて適宜設定される。柱状体3には少なくとも外周面に形成された周溝30が存在すればよく、他の部分に軸状以外の構造があってもよい。
本例では、板状体2の厚肉部21が形成された取付穴20の形状を円形とし、柱状体をそれに嵌挿される断面視円形の外周面を有する柱状体としたが、本発明はこのような形状になんら限定されず、たとえば断面視異形状、円弧状、あるいは角型形状等の柱状体3でも、図7に示すように、それに応じた形状の取付穴20および厚肉部21を形成することにより板状体2を組付けることが可能である。また、双方の形状が同じでなくてもよく、たとえば柱状体3が断面視多角形であり、取付穴20がこれに外接する円形のものや、柱状体3が断面視円形で、取付穴20をこれに外接する多角形としたものなども好ましい。柱状体3は中実であってもよいし、薄板を筒状にした、例えば自動車のフレーム、ピラーなどの筒状体であってもよく、この場合、周溝はプレス加工で容易に形成できる。
また、厚肉部21を塑性変形させる板状体2は金属製のものが使用されるが、これに対する柱状体3は、金属製以外にも合成樹脂、セラミックス、木製、複合繊維など種々の素材からなるものを適用できる。
次に、図2に示すように、柱状体3を内部に摺動案内できる挿通穴40を有するとともに、その開口縁部に前記膨出フランジ23を形成するための切欠き溝44を備え、下方から板状体2を当接支持する支持具41、およびその端面が加圧パンチ43に直接的または間接的に当接した状態で一体的に移動可能に支持する支持台45より構成されるカシメ治具4に、板状体2が取り付けられ、該板状体2の取付穴20と支持具41の挿通穴40に柱状体3が周溝30側の端面を上にして挿入してセットされる。これにより厚肉部21と周溝30とが対向した状態となる。
そして、カシメ治具4にセットされた板状体2および柱状体3に対し、上方から加圧パンチ43を押下し、柱状体2は加圧パンチ43に当接した状態で一体的に下方に移動し、図3に示すように、該加圧パンチ43により厚肉部21を構成している筒状フランジ22が加圧されてゆき、この塑性変形により板状体2の反対側の面は膨出して前記柱状体外周面に沿って切欠き溝44に食い込んでゆくと同時に、取付穴中心方向に塑性変形して対向する柱状体の周溝30内の隙間Sに食い込んでゆき、最終的には、図4、5に示すように筒状フランジ22が当該板状体2の表面と略面一となり、塑性変形した厚肉部21が周溝30および切欠き溝44の内部をそれぞれ満たして膨出フランジ23を形成し、板状体2と柱状体3が強固に一体化したカシメ組付品1が得られる。
なお、本例では、柱状体下端をばね付勢により支持しておき、加圧パンチ43と一緒に下方に移動可能として圧縮させないように構成しているが、柱状体3も同時に圧縮されるようにすることも好ましい例である。また、後述の第2実施形態と同様、厚肉部21に下端部が当接するスペーサ部材を介して圧縮プレスしたり、加圧パンチ43の下端に厚肉部にのみ当接する筒状部を一体的に形成するようにしても良い。
また、柱状体3の周溝30の底部に、全周にわたって凹凸面(ローレット溝)を形成し、板状体2の厚肉部21が周溝30内の隙間Sに食い込んできて固定される際、この凹凸面に食い込ませることにより、組付け強度をより高めたものも好ましい実施例である。この凹凸面は、周方向に交差する方向に延びる溝、とくに軸方向に延びる溝を間隔をおいて複数設けたものでは、回転強度をより高めることができるのである。このような凹凸面、とくに前記溝の加工はローレット加工により行うことが好ましいが、その他の方法により形成することも勿論可能である。ローレット加工により形成するローレット溝は、軸方向に沿ったもの以外に、斜め方向(螺旋状)や編目状に形成することも好ましい。
次に、図6に基づき第2実施形態の製造方法を説明する。
上記の第1実施形態では、板状体2を柱状体3の端部に組み付ける例について説明したが、本実施形態では柱状体3の端部ではなく途中部に板状体2を組み付ける例について説明する。
図6(a)に示すように、柱状体3の軸方向途中部に周溝30が形成され、これに組み付けられる板状体2は上記第1実施形態と同様である。柱状体3は、第1実施形態と同様のカシメ治具4により周溝30と厚肉部21が対向する位置にセットされるとともに、周溝30よりも上側で板状体2よりも上方に突出した部分に、下端部50が厚肉部21を構成している筒状フランジ22の上端面に当接する筒状部を備えたスペーサ部材5が別途被着される。
そして、上方から加圧パンチ43で前記スペーサ部材5を押下することにより、該スペーサ部材5を介して厚肉部21が軸方向下側に加圧され、これにより第1実施形態と同様、図7(b)に示すように塑性変形した厚肉部21が周溝30内部の隙間Sを満たすとともに切欠き溝44を満たして膨出フランジ23を形成し、板状体2と柱状体3が強固に一体化したカシメ組付品1が得られる。
ここで、スペーサ部材5を下側に開口した有底の形状に構成しているが、上側も開口した筒形状に構成してもよい。また本例では、加圧パンチ43と厚肉部21との間に別途スペーサ部材5を介装したが、加圧パンチ43の下端部にスペーサ部材5と同様の筒状部を一体的に形成したものも好ましい。柱状体3、板状体2の素材や構造その他の変形例などは、第1実施形態と同様に適用できる。
次に、実施例1、2のカシメ組付品、比較例1、2のカシメ組付品について試験を行った結果を説明する。
実施例1、2は、それぞれ上記第1実施形態の方法で鉄製の柱状体(丸棒)の端部に、電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)の板状体をカシメ加工により組み付けたものであり、柱状体の外径はいずれも8.5mm、板状体の板厚は0.8(mm)である。
比較例1、2は、本願発明のように膨出フランジを形成するものではなく、図8に示すように、本願と同様に周溝30や厚肉部21を形成した柱状体3および板状体2を用意し、柱状体3を内部に摺動案内できる挿通穴40を有しかつ板状体2の厚肉部21を下方から当接支持する下受け支持具41、および該板状体3を取付穴20の周辺部で上方にばね付勢しながら支持する外形保持具42より構成されるカシメ治具4に、板状体2が取り付けられ、該板状体2の取付穴20と下受け支持具41の挿通穴40に柱状体3が挿入され、上方から加圧パンチ43を押下し、厚肉部21を下受け支持具41との間で圧縮プレスする。これにより、厚肉部21は、取付穴中心方向に塑性変形して対向する軸部の周溝30内の隙間Sに食い込んでゆき、最終的には周溝30内部を満たし、板状体2と柱状体3が強固に一体化したカシメ組付品1が得られる。
これら実施例1、2、比較例1、2について、それぞれ回転強度を試験した。回転強度は、図9に示すように、基台61から上方に延びる支持板62に板状体2を固定し、横方向に延びる柱状体3に対して回転トルクを叙々に負荷して柱状体の相対回転の有無をみる。
結果は表1のとおり、すべて規格強度(3.0Nm)をクリアできた。
Figure 2008221261
次に、実施例1で形成された膨出フランジ、および比較例1で形成されている筒状フランジについて、それぞれ平坦度を測定した。具体的には、周方向に沿った異なる8箇所でフランジ高さhを測り、その最大値、最小値の差を求めた。
結果は、表2のとおり、比較例1では0.11mmであった差が実施例1では1/2以下の0.5mmに抑えられており、比較例1では歯車等の他部品と接触した場合に他部品を損傷させる虞があるが、実施例1では、他部品が摺動接触しても問題がほとんど生じないことが分かる。
Figure 2008221261
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の第1実施形態に係るカシメ組付品の各部材を示す斜視図。 同じく第1実施形態において、各部材をカシメ治具に取り付けた状態を示す断面図。 厚肉部が塑性変形して柱状体の周溝および治具の切欠き溝に食い込んでゆく過程を示す断面図。 カシメ加工が完了した状態を示す断面図。 第1実施形態のカシメ組付品を示す斜視図。 (a)および(b)は第2実施形態の製造方法を示す断面図。 カシメ組付品の各部材の変形例を示す説明図。 (a)〜(b)は比較例1、2の製造方法を示す断面図。 回転強度の試験方法を示す説明図。
符号の説明
1 カシメ組付品
2 板状体
3 柱状体
4 カシメ治具
5 スペーサ部材
20 取付穴
21 厚肉部
22 筒状フランジ
23 膨出フランジ
30 周溝
40 挿通穴
41 支持具
42 外形保持具
43 加圧パンチ
44 切欠き溝
45 支持台
50 下端部
61 基台
62 支持板
S 隙間
h フランジ高さ


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Claims (6)

  1. 金属製板状体と中空又は中実の柱状体とのカシメ組付品の製造方法であって、
    金属製板状体に対し、バーリング加工により柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに該取付穴の内周縁に沿ってバーリングによる筒状フランジからなる厚肉部を形成する工程と、
    前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成する工程と、
    前記柱状体を金属製板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットする工程と、
    該厚肉部を軸方向から圧縮プレスして、前記筒状フランジを加圧して当該金属製板状体の表面と略面一とし、且つ該筒状フランジが突出していた面と反対側の面に前記柱状体外周面に沿ったリング状の膨出フランジを形成すると同時に、取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する柱状体の周溝内に食い込ませるカシメ工程と、
    よりなることを特徴とするカシメ組付品の製造方法。
  2. 前記柱状体を摺動案内する挿通穴を有するとともに、その開口縁部に前記膨出フランジを形成するための切欠き溝を備え、前記柱状体にセットされる前記金属製板状体の筒状フランジが突出している面と反対側の面を当接支持する支持具と、前記厚肉部を前記筒状フランジが突出している側から直接的または間接的にプレスする加圧パンチとにより、該厚肉部を軸方向から圧縮プレスしてなる請求項1記載のカシメ組付品の製造方法。
  3. 前記支持具が、前記挿通穴において前記柱状体をその端面が前記加圧パンチに当接した状態で一体的に移動するように支持し、該加圧パンチにより前記金属製板状体の厚肉部をプレスすることにより、該金属製板状体を柱状体の前記端面に略面一となるように組み付けてなる請求項2記載のカシメ組付品の製造方法。
  4. 金属製板状体と中空又は中実の柱状体とのカシメ組付品の製造装置であって、
    金属製板状体に対し、バーリング加工により柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに該取付穴の内周縁に沿ってバーリングによる筒状フランジからなる厚肉部を形成する手段と、
    前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成する手段と、
    前記柱状体を金属製板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットする手段と、
    該厚肉部を軸方向から圧縮プレスして、前記筒状フランジを加圧して当該金属製板状体の表面と略面一とし、且つ該筒状フランジが突出していた面と反対側の面に前記柱状体外周面に沿ったリング状の膨出フランジを形成すると同時に、取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する柱状体の周溝内に食い込ませるカシメ手段と、
    よりなることを特徴とするカシメ組付品の製造装置。
  5. 前記柱状体を摺動案内する挿通穴を有するとともに、その開口縁部に前記膨出フランジを形成するための切欠き溝を備え、前記柱状体にセットされる前記金属製板状体の筒状フランジが突出している面と反対側の面を当接支持する支持具と、前記厚肉部を前記筒状フランジが突出している側から直接的または間接的にプレスする加圧パンチとにより、該厚肉部を軸方向から圧縮プレスしてなる請求項4記載のカシメ組付品の製造装置。
  6. 金属製板状体と中空又は中実の柱状体とよりなるカシメ組付品であって、金属製板状体に対し、バーリング加工により柱状体を挿入して組み付けるための取付穴を設けるとともに該取付穴の内周縁に沿ってバーリングによる筒状フランジからなる厚肉部を形成し、前記取付穴に挿入される柱状体外周面の組付位置に、所定深さの周溝を形成し、前記柱状体を金属製板状体の取付穴に挿入し、前記厚肉部と周溝とが対向した組付位置にセットした状態で、該厚肉部を軸方向から圧縮プレスして、前記筒状フランジを加圧して当該金属製板状体の表面と略面一とし、且つ該筒状フランジが突出していた面と反対側の面に前記柱状体外周面に沿ったリング状の膨出フランジを形成すると同時に、取付穴中心方向に塑性変形させることにより対向する柱状体の周溝内に食い込ませて固定したことを特徴とするカシメ組付品。
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