JP2008220260A - 磁性粒子の磁気分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 磁気応答性の高い磁性粒子を採用しながらもビーズを再分散させるために適した磁場を作用させることで洗浄を効果的に行うことができる磁気分離方法を提供する。
【解決手段】 生体物質を含む溶液中に分散した生体物質抽出用の磁性粒子を含む懸濁液に外部から磁場を作用させることにより磁性粒子を捕集する方法において、磁性粒子の飽和磁化は80〜180Am2/kgの範囲にあり、外部から作用させる磁場の磁束密度は0.2T〜0.4Tの範囲にあることを特徴とする磁性粒子の磁気分離方法。
【選択図】図1
【解決手段】 生体物質を含む溶液中に分散した生体物質抽出用の磁性粒子を含む懸濁液に外部から磁場を作用させることにより磁性粒子を捕集する方法において、磁性粒子の飽和磁化は80〜180Am2/kgの範囲にあり、外部から作用させる磁場の磁束密度は0.2T〜0.4Tの範囲にあることを特徴とする磁性粒子の磁気分離方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、核酸、蛋白質成分、細胞などの生体物質と磁性粒子を含む懸濁液から、磁性粒子に外部磁場を作用させて捕集する方法に関する。
従来から、核酸、蛋白質成分、細胞などを精製分離する技術として、カラム分離法、遠心分離法、電気泳動法、磁気分離法等が良く知られている。磁気分離法では、生体物質と特異的に結合するリンカーと称される官能基を磁性粒子表面に修飾した磁性粒子または粒子最表面がシリカ等を主体とする被覆層または生体物質に対して活性な物質で磁性粒子が覆われた磁気ビーズと称される磁性粒子を用いる。該磁性粒子の表面に核酸、蛋白質成分、細胞などの目的とする生体物質を吸着させたうえで、磁力を利用することで前記生体物質の回収および分散を行う。例えば、核酸を粒子表面に吸着した磁性粒子並びに試薬を含む懸濁液を収納した反応容器に対して外部から磁場を作用させて、容器内部の壁面に磁性粒子を回収し、目的外の物質を含む上澄みを除去する。その後、目的物質以外の残滓物質を洗浄するための洗浄溶媒を投入し、磁場を遠ざけることにより磁性粒子を磁力から開放して、容器を振動させることで磁性粒子を分散させて洗浄する方法がある。
上記磁性粒子を用いる生体物質の精製分離方法は、簡便な器具を用い、短時間かつ容易に生体物質の回収等を行える利点を有する。
上記磁性粒子を用いる生体物質の精製分離方法は、簡便な器具を用い、短時間かつ容易に生体物質の回収等を行える利点を有する。
核酸結合性の担体としては、例えば超常磁性金属酸化物を用いたシリカ被覆磁性粒子(特許文献1)がある。当該シリカ被覆磁性粒子は金属酸化物を磁性体として使用しているため耐食性や耐酸化性が優れる。さらに数十nm(数十ナノメートル)の微細なシリカ被覆磁性粒子を作製することやそれらの凝集体として数ミクロンのシリカ被覆磁性粒子も作製することができる。
またはカルボニル鉄などの磁性粒子に亜鉛等を含有するガラス層を設けたもの(特許文献2)などがある。カルボニル鉄は優れた磁気特性を発揮し得るため、超常磁性酸化物を用いたシリカ被覆磁性粒子に比べて優れた磁気応答性を有する。また、特許文献2に開示された磁性粒子においては、磁性粒子の表面はSiO2,B2O3,Al2O3,CaO,K2O及びZnOを含むことが核酸の抽出を目的とした場合有効であると示されている。特にZnOを含むことによりガラスコートの融点を高め、製造工程のスプレーイングを行う温度を高めることが可能となり、生体物質の回収量を向上させることが提案されている。
さらに、表面に無機材料による2層被覆を有する磁性粒子が提案されている(特許文献3)。当該磁性粒子はFeを核としているため、磁性粒子の飽和磁化が高く、磁気分離に要する時間を短縮することができることを特長としている。さらに磁性粒子の表面が2層被覆されていることから、耐食性が低いFeを粒子核としているにも関わらず、大気中および溶媒中における耐食性が優れている。
磁気分離法を採用して目的物質を抽出する方法において、磁場を作用させる磁気分離装置に関しては、迅速に磁性粒子を捕集するために高い磁束密度や高磁気勾配を発生させる装置が知られている(特許文献4、特許文献5、特許文献6)。
磁気分離法による核酸の抽出方法に関しては、磁性粒子および試薬を投入した容器に永久磁石を所定位置に配置することにより磁場を作用させて磁性粒子の捕集を行う方法が知られている(特許文献7)。図5を用いて当該磁性粒子の捕集を説明する。これは図5に示すように、一方が閉じた円筒状の容器12中に磁性粒子および試薬が投入され、永久磁石を容器外壁へ接近させることにより磁性粒子の磁気分離を行う方法である。永久磁石は図5(a)に示されたように単一の永久磁石11を用いたり、図5(b)に示されたように複数の永久磁石11a,11bを組み合わせることで必要な磁場を作用させることができる。
また、ピペットと称されるような両端が開放された円筒状の容器の外壁へ永久磁石1を設置させることによりピペット2内の溶液が流動する通路に磁性粒子を捕集し、外部磁場を遠ざけてピペッティングにより溶媒を吸引および排出することにより磁性粒子を分散洗浄する方法が知られている(特許文献8)。図6(a)を用いて当該手法による磁性粒子の捕集方法を説明する。これは図6(a)に示すように、両端が開放された円筒状の容器2の一方に溶媒を吸引するための分注器4を装着し、相対する先端から別容器中に保留された磁性粒子および試薬を吸引し、溶媒の吸引および排出を連続して行うことにより磁性粒子を溶媒中へ分散させることができる。当該容器中に磁性粒子の懸濁液を吸引して、容器中に懸濁液が貯留している状態で、または溶液の吸引および排出を行いながら永久磁石1を容器外壁へ接近させることにより磁性粒子の磁気分離を行う方法である。当該手法を採用することにより、従来手動で行っていた生体物質の分離作業を自動化することができ、低コスト化並びに正確な核酸の抽出作業を実現することができる。
特許文献1に開示された超磁性金属酸化物を用いた磁性粒子は、磁性金属を用いたものに比べると磁気特性が低いために、目的物質の分離精製工程における固液分離(磁気分離)に長時間を要し、また磁気分離操作を行う際に磁気応答性が低いため微細な磁性粒子を磁気分離する為には長時間磁場にさらす必要があり、または全ての磁性粒子回収することができずに目的物質が結合または吸着した磁性粒子を取り残してしまうために目的物質の精製能率が低減するといった問題がある。かかる問題を解決するためには、特許文献4、特許文献5、特許文献6で開示されたような磁気分離装置を使用して、高い磁場を作用させることが有効ではあるものの、当該磁気分離装置は構造が複雑であるため、その製造コストが高くなってしまう。
また、特許文献2にように、カルボニル鉄を粒子核として用いた磁性粒子は、優れた磁気特性を発揮しうるが、以下に述べるように耐食性は十分なものとはいえない。生体物質を分離精製する工程においては、核酸等の抽出目的物質とシリカとを特異的に吸着させるカオトロピック塩を含有する高塩濃度の溶液中(溶解吸着液)に磁性粒子が浸漬されることになる。この場合、金属粒子核の表面をシリカによって被覆しただけでは、粒子核を構成する磁性金属元素が溶液中へ溶出しやすい。そして、それに伴い生体物質の精製分離に支障をきたし、目的物質の回収量が低減する。
特許文献7で開示された手法においては、生体物質の分離においては、作業が煩雑であり、さらに手動で操作を行う必要があるため多種多量の検体をスクリーニングする際には長時間を要し、コストが高いといった課題がある。
特許文献8で開示された手法を採用した場合には、抽出操作を自動化することができ、多種多量の検体について分離を行うことができる。しかしながら、従来から使用されている酸化物磁性体から成る比較的飽和磁化の低い磁性粒子を使用している限りは、磁気分離時に長時間を要するといった欠点がある。磁気分離時間を短縮するためには、特許文献4、特許文献5及び特許文献6で示されたような高磁場を発生させることができる磁気分離装置を使用することが必要である。しかしながら、高磁場を発生する磁気分離装置は低磁場と比べて、強い永久磁石を必要とするためそのコストが高く、多くの検体を処理するための装置設計が困難であるといった欠点がある。かかる問題を解決するためには特許文献3で開示された、高飽和磁化の磁性粒子を採用することにより、同じ磁場を発生する永久磁石を使用した場合には磁気分離時間を短縮することが可能である。さらには耐食性が高いことから、目的物質の回収量が低減する課題も解決できる。しかしながら、高磁場の永久磁石を使用して磁性粒子を1度捕集すると、磁束密度が強すぎるがために磁気分離した後にビーズを再分散させることが困難であり、その結果、ビーズに付随して同時に集められた不要物を洗浄する効率が低減してしまい、目的物質以外の夾雑物が混入してしまう。
そこで、本発明ではこの問題に鑑み、磁気応答性の高い磁性粒子を採用しながらもビーズを再分散させるために適した磁場を作用させることで、洗浄を効果的に行い、抽出すべき生体物質の回収率を向上することができる磁気分離方法を提供することを目的とした。
発明者等は、上記課題を解決すべく、高い飽和磁化を有する磁性粒子を使用することで、高速な磁気分離を可能とし、さらに高い核酸の抽出性能を発揮しえる磁性粒子の分離方法を鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
本発明の磁性粒子の磁気分離方法は、生体物質を含む溶液中に分散した生体物質抽出用の磁性粒子を含む懸濁液に外部から磁場を作用させることにより磁性粒子を捕集する方法において、磁性粒子の飽和磁化は80〜180Am2/kgの範囲にあり、外部から作用させる磁場の磁束密度は0.2〜0.4Tの範囲にあることを特徴とする。
また、上記の磁性粒子の磁気分離方法において、前記磁性粒子はFeを主成分としており、互いに異なる2種以上の無機材料で多層に被覆されていることを特徴とする。
さらに、上記の磁性粒子の磁気分離方法において、前記磁性粒子の表面の被覆層は主として珪素酸化物を含む無機材料であることを特徴とする。
さらに、上記の磁性粒子の磁気分離方法において、前記磁性粒子は平均粒径が1μm〜10μmの範囲であることを特徴とする。
さらに、上記の磁性粒子の磁気分離方法において、溶液中に分散した磁性粒子は、懸濁液を貯留(担持)できる領域部を有すると共に溶液が流動可能な両端が開放された円筒またはチューブ状容器に保持された状態にあり、外部からの磁場が作用することを特徴とする。
また、上記の磁性粒子の磁気分離方法において、前記磁性粒子はFeを主成分としており、互いに異なる2種以上の無機材料で多層に被覆されていることを特徴とする。
さらに、上記の磁性粒子の磁気分離方法において、前記磁性粒子の表面の被覆層は主として珪素酸化物を含む無機材料であることを特徴とする。
さらに、上記の磁性粒子の磁気分離方法において、前記磁性粒子は平均粒径が1μm〜10μmの範囲であることを特徴とする。
さらに、上記の磁性粒子の磁気分離方法において、溶液中に分散した磁性粒子は、懸濁液を貯留(担持)できる領域部を有すると共に溶液が流動可能な両端が開放された円筒またはチューブ状容器に保持された状態にあり、外部からの磁場が作用することを特徴とする。
本発明によれば、飽和磁化が80〜180Am2/kgである磁性粒子を使用して、磁性粒子に作用させる磁場の磁束密度の範囲を0.2〜0.4Tとすることで、磁気分離後の磁性粒子の分散性を向上させることができる。これにより効率的に磁性粒子を洗浄すること可能となり、従来よりも高い抽出すべき生体物質の回収率を実現することができる。
本発明の磁気分離方法は、磁性粒子の飽和磁化と外部から作用させる磁場の磁束密度を上記範囲内とすることで、磁気分離後の磁性粒子の分散性を良好なものとすることができる。飽和磁化が80Am2/kg以下の磁性粒子を採用した場合には、磁気分離の工程に長時間を要してしまうため好ましくない。または、磁気分離時間を短時間とした際には、全ての磁性粒子を回収できずに目的物質を吸着した粒子を溶媒とともに除去してしまい回収量が低減してしまう。
一方、180Am2/kgを超える飽和磁化を有する磁性粒子を採用した場合には、その磁性粒子の構成は高い飽和磁化を有するFeを主構成元素とすることとなる。Feは酸化性が強いため、目的用途に対して十分な耐食性を持たせるためには、十分な厚さでFeの表面を被覆しなければならない。本発明で対象とする用途において被覆層は非磁性成分で構成されるため、180Am2/kgを超える飽和磁化を実現するためには、磁性粒子内の被覆層の占める質量割合の上限は制限され、求められる磁性粒子の耐食性を実現することはできない。さらには、本発明で対象としている生体物質抽出のためには、磁性粒子表面は目的物質に対して活性な物質で完全に被覆されていることが好ましい。高飽和磁化を実現するために磁性粒子内の被覆層の質量割合を小さくすると、被覆されていない個所が露出してしまい、目的物質に対して活性な被覆の面積が小さくなり、吸着する目的物質の量が少なくなる。そのため、核酸の抽出性能を低減させてしまう。好ましくは、磁性粒子の耐食性を十分に確保するためには、被覆層の膜厚が適当であることが必要であるため、使用する磁性粒子の飽和磁化の範囲は80〜130Am2/kgである。
上記磁性粒子を採用した場合に、磁気分離する際に作用させる磁場の磁束密度が0.2T以下の場合には、磁性粒子に作用する磁力が弱く、磁性粒子全てを磁気捕集することができず、ビーズを取り残してしまう。また、磁場の磁束密度が0.4Tよりも大きな場合には、磁気分離後に磁性粒子が凝集してしまい、溶媒中においてビーズの再分散性が悪くなる。
さらに、磁場によって容器内壁に捕集された磁性粒子が、磁場から開放された後も容器内壁へ固着してしまい粒子の洗浄を十分に行えなくなってしまう。ここで、固着とは磁性粒子が容器内壁へ凝集している状態を意味する。固着した粒子は、溶媒を吸引排出させるような弱い力では分散せず、粒子間に目的外の物質を残したまま後工程に進んでしまう。これにより目的外物質や試薬が混入した質の低い抽出となってしまう。さらには固着した磁性粒子表面に吸着した目的物質は抽出されること無く破棄されてしまう。そのため、目的物質の抽出する際の回収量が大きく低減してしまう。したがって、外部から作用させる磁場の磁束密度範囲は0.2T〜0.4Tであることが好適である。好ましくは、外部から作用させる磁場の磁束密度は0.2T〜0.3Tである。従来技術では、高い磁場を発生させるためには高い残留磁束密度の永久磁石を使用する必要があったが、本発明に係る磁場を得るためには、残留磁束密度の比較的低い永久磁石を使用することができ、コストを低減させることができる。
係る磁場を発生するためには、図5(a)へ示すように単一の永久磁石を使用する方法や、図5(b)に示すように複数の永久磁石を使用する方法で実現できる。または、これらの永久磁石と容器の距離を適宜調整することによっても実現することができる。更には図7(a),(b),(c)へ示すような磁気回路によっても実現可能である。
なお、本発明における外部から印加する磁場の磁束密度の数値は本発明の磁気ビーズに実効的に作用する磁束密度を意味する。本来はその作用する磁力を規定するべきものであるが、本対象のように磁性粒子が生体物質を含む溶液中に分散した系では、個々の粒子が必ずしも孤立したものであるとは限らず、一義的に定義できないため外部から印加される磁場の磁束密度として規定した。永久磁石表面の磁場の磁力として換算した場合も同義である。
上記磁性粒子は、磁性金属の核粒子と、該核粒子の外側に2層以上の被覆を備え、前記2層以上の被覆のうち最外層は珪素酸化物(シリカ)を主体とする被覆層である。磁性金属の核粒子は、Fe、CoおよびNiの単体、これらの合金並びにこれらと他の元素との合金および化合物が好ましい。上記元素の合金並びに他の元素との合金および化合物の組成を調整することで、磁性粒子の飽和磁化を調整することができる。すなわち、磁気分離に使用する永久磁石の強さに対して好適な飽和磁化を有する磁性粒子を作製することが可能である。迅速な磁気分離を実現するためには、高い飽和磁化を示す磁性金属を主成分とする核粒子を用いることによって可能となる。このうち特に高い飽和磁化を有することからFeを主成分とすること、すなわちFe単体、Feを含有する合金・化合物で磁性粒子の核粒子を構成することが高飽和磁化の磁性粒子を得るためには好ましい。
前記磁気分離法において採用する磁性粒子は互いに異なる2種以上の無機材料で多層に被覆されていることが好ましい。核酸を抽出する工程で使用される溶媒は高濃度の塩を含有しており、金属元素が磁性粒子から溶出してしまうと、核酸が粒子表面へ吸着することを阻害してしまい、核酸の回収量を低減させてしまう。しかしながら、磁性粒子であるFeの表面が互いに異なる2種以上の無機材料で多層に被覆されていることにより、耐食性が低いFeを核としているにも関わらず、高塩濃度溶媒中においても優れた耐食性を発現し、核酸の抽出を阻害すること無く良好な軟磁気特性を発現することができる。
ここに、シリカとは二酸化珪素やその誘導体を意味しSiO2なる化学式で一義的に表わされる構造を主体とする。SiO2を主体としている限りにおいては1種以上の他の元素を含有していても良い。また、目的とする作用を妨害するものでない限りにおいては、その表面には何らかの有機物が吸着または収着していても良い。核酸を抽出するために好適なシリカで表面が被覆された磁性粒子を使用すると、優れた核酸の抽出能を実現することができる。
前記磁気分離方法において、前記磁性粒子は平均粒径が1μm〜10μmの範囲であることが好ましい。本発明の高飽和磁化ビーズは集磁性において特に粒径の制約を本来は受けるものではないが、平均粒径が1μm未満となると、例えば全血からDNAを抽出する場合には、DNAなどの生体物質が微細な磁性粒子に絡まってしまい、磁性粒子を凝集させることが知られている。全血とは、特性成分の抽出や除外を行っていない血液を指す。また、粒子は微細になるほどその表面エネルギーを低減させるために凝集し易くなる。これらの結果、溶媒中での洗浄効率が低下し、核酸を抽出して得た抽出溶液中に洗浄工程で使用した溶媒が残存してしまい、その後工程であるPCR反応において反応を阻害する可能性があり好ましくない。一方、平均粒径が10μmを超えると、微細な磁性粒子を粉体として捉えたときに粒径が大きくなると粉体の比表面積が小さくなって、吸着する核酸の量が少なくなり、最終的な核酸の回収量が低減してしまう。また、溶媒中において磁性粒子が沈降してしまい好ましくない。上述の観点からすると前記磁性粒子は平均粒径は好ましくは1μm〜8μmである。さらに好ましくは3μm〜8μmである。
平均粒径は、例えば、磁性粒子の試料粉末を溶媒中に分散させて、レーザー光線を照射させ回折を利用して粒径分布を測定する方法により求めることができる。本発明においては、平均粒径には、該測定方法におけるメジアン径d50値を用いた。上記測定方法においては、測定対象である粒子を構成する物質の屈折率を考慮する。したがって、粒子表面がシリカで被覆された粒子の場合には、平均粒径を求めるためにシリカの屈折率を用いて求める。
前記磁気分離方法において、溶液中に分散した磁性粒子は、懸濁液を貯留(担持)できる領域部を有し、溶液が流動可能な両端が開放された円筒またはチューブ状容器に保持された状態にあり、外部からの磁場が作用することが好ましい。または、上記容器は一方が閉じた円筒またはチューブ状の容器であっても良い。
上記容器の容量は特に定められるものでは無いが、磁性粒子懸濁液や試薬および血液などの検体を貯留するに十分な容量であれば良い。例えば血液から核酸を抽出する場合には、使用される血液量は数μL(数マイクロリットル)から数十mL(数十ミリリットル)である。この血液量に対して適した磁性粒子懸濁液と試薬を貯留するに十分な容量であれば良い。
ここで、核酸とは、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)等のことを示す。これら核酸は、全血、血漿、血清、糞便、尿、体液、細胞等の生体物質内に含有される。また、これら核酸は、PCR増幅反応生成物、培養細胞、植物や動物以外の生物にも含まれる。
次に、磁気分離に使用する永久磁石が発生する磁場の磁束密度の測定方法について説明する。永久磁石を使用した場合の磁場の磁束密度はガウスメーターを使用して測定することができる。ガウスメータには、先端近傍の側面で磁束を感知するプローブが付属しているものを用い、永久磁石のN極又はS極となっている面にプローブ先端の側面を当てることで、磁束密度B(T)を測定する。本発明では永久磁石の磁化方向に平行な成分の永久磁石表面近傍での磁束密度Bを磁性粒子に印加される磁束密度とする。単一の永久磁石により発生する磁場は永久磁石を構成する材料に起因する永久磁石の残留磁束密度(Br)、大きさおよび形状ならびに永久磁石表面からの距離によって決まる。例えば、Brが1.48Tの材料から成る永久磁石で図8(a),(b)に示すような形状の場合には、Bそれぞれは0.52Tおよび0.33Tである。
なお、図5(b)のような互いの磁化方向が反平行な永久磁石11a,11bの異なる磁極が相対して磁場を形成する場合には、磁極が作る磁場の磁化方向と垂直な成分が最大となる磁場と解釈できる。
通常当該磁気分離方法においては、図5(a)または図6(a)へ示すように1方向から円筒またはチューブ状容器の高さ方向にほぼ直交するように永久磁石を設置することが行われる。しかしながら、磁気分離後の磁性粒子の分散性を改善するためには、図7(a)に示すように永久磁石11c,11dを相対する2方向から接近させることで、磁気分離時の磁性粒子の捕集箇所10aを2箇所に分離でき、磁性粒子の捕集量を分散させることで、磁気分離後の磁性粒子の再分散性を向上させることも可能である。さらに、図7(b)に示すような複数の磁極が同一面上に現れるような磁気回路(貫通孔15を有するリング状の永久磁石14)を使用することにより、磁気分離時の磁性粒子の捕集個所10bを複数箇所に分散させることができる。これによりビーズの磁気捕集効率を向上させたり磁気分離後の再分散性を更に向上させることもできる。
また、磁気分離操作は通常磁性粒子への核酸の吸着、洗浄、核酸の磁性粒子からの脱離などの工程において複数回行われるが、前半の磁気分離操作においては、比較的高い磁場を作用させ、後半の磁気分離操作においては、比較的低い磁場を作用させることでも磁性粒子の磁気分離時の凝集を緩和させることができ磁気分離後の粒子の分散性を向上させることもできる。なお、強弱の順番を逆にした操作も可能である。
磁気分離時の磁性粒子の捕集効率を調整するためには、交番磁場のような磁力線の方向が周期的に入れ替わる磁場を採用することも望ましい。例えば、図7(c)に示すように磁性粒子懸濁液が貯留された容器12近傍で永久磁石1を回転させることで交番磁場を発生させたり、軟磁性材料に巻かれたコイルに交番電流を通じることで交番磁場を発生することが可能である。これにより、磁性粒子を磁気分離した際に磁性粒子の凝集を低減することも可能である。また、ビーズと外部からの磁場との相対的な位置関係が変化すれば良いことから、外部からの磁場を固定し、ビーズの入った容器を揺動させることでもよい。
次に磁気分離法を採用した場合に生体物質から核酸などの目的物質を抽出する方法を説明する。一方が閉じた円筒の容器を使用して、血液から核酸を抽出する場合を例として図9を用いて説明する。具体的な手順は以下の(A1)〜(A6)とおりである。
(A1)容器中に磁性粒子、血液、溶解吸着溶液を投入し、容器を振動させることで混合する(吸着)。
(A2)磁気分離を行い、核酸の吸着した磁性粒子5を容器内の壁面に保持して目的外物質を含む溶媒6を分離して溶媒を除去する(磁気分離)。
(A3)洗浄溶媒を投入し、容器を振動させることにより目的外物質を更に除去するべく洗浄する(洗浄1および2)。
(A4)上記(A2)および(A3)に記載の磁気分離および洗浄を所定回数繰り返す。
(A5)核酸を磁性粒子から脱離させるために適した溶媒を投入し、容器を振動させることで核酸を磁性粒子表面から脱離する(脱離)。
(A6)磁気分離を行い磁性粒子と核酸が含まれる溶媒を分離し核酸を含む抽出液7(測定試料)を得る。
(A2)磁気分離を行い、核酸の吸着した磁性粒子5を容器内の壁面に保持して目的外物質を含む溶媒6を分離して溶媒を除去する(磁気分離)。
(A3)洗浄溶媒を投入し、容器を振動させることにより目的外物質を更に除去するべく洗浄する(洗浄1および2)。
(A4)上記(A2)および(A3)に記載の磁気分離および洗浄を所定回数繰り返す。
(A5)核酸を磁性粒子から脱離させるために適した溶媒を投入し、容器を振動させることで核酸を磁性粒子表面から脱離する(脱離)。
(A6)磁気分離を行い磁性粒子と核酸が含まれる溶媒を分離し核酸を含む抽出液7(測定試料)を得る。
上記工程において磁気分離は使用する試薬の種類やその使用量、磁性粒子の使用量等により変化するため一義的に定めることはできないが、通常は4回から6回程度である。
また、両端が開放した円筒の容器を使用して、血液から核酸を抽出する場合を図10を用いて説明する。具体的な手順は以下の(B1)〜(B6)とおりである。
(B1)吸引排出を繰り返すことで磁性粒子、血液、溶解吸着溶液の混合溶液を混合する(吸着)。
(B2)磁気分離を行い、核酸の吸着した磁性粒子を容器内の壁面に保持し、目的外物質を含む溶媒を排出することで溶媒を除去する(磁気分離)。
(B3)洗浄溶媒を吸引し、吸引排出を繰り返すことにより目的外物質を更に除去するべく洗浄する(洗浄1および2)。
(B4)上記(B2)および(B3)に記載の磁気分離および洗浄を所定回数繰り返す。
(B5)核酸を磁性粒子から脱離させるために適した溶媒を吸引し、吸引排出を繰り返すことで核酸を磁性粒子表面から脱離する(脱離)。
(B6)磁気分離を行い磁性粒子と核酸が含まれる溶媒を排出して核酸を含む抽出液7(測定試料)を得る(抽出)。
(B1)吸引排出を繰り返すことで磁性粒子、血液、溶解吸着溶液の混合溶液を混合する(吸着)。
(B2)磁気分離を行い、核酸の吸着した磁性粒子を容器内の壁面に保持し、目的外物質を含む溶媒を排出することで溶媒を除去する(磁気分離)。
(B3)洗浄溶媒を吸引し、吸引排出を繰り返すことにより目的外物質を更に除去するべく洗浄する(洗浄1および2)。
(B4)上記(B2)および(B3)に記載の磁気分離および洗浄を所定回数繰り返す。
(B5)核酸を磁性粒子から脱離させるために適した溶媒を吸引し、吸引排出を繰り返すことで核酸を磁性粒子表面から脱離する(脱離)。
(B6)磁気分離を行い磁性粒子と核酸が含まれる溶媒を排出して核酸を含む抽出液7(測定試料)を得る(抽出)。
次に、血液などから抽出した核酸の回収量の測定方法についてDNAの場合について説明する。DNAを構成する塩基は260nm付近に極大吸収をもつため、吸光度を測定することによりDNA量を定量することができる。具体的には、DNA抽出の操作により得たDNA抽出液の吸光度を測定する。260nmにおける吸光度を測定することでDNAの濃度を算出することができる。抽出に使用した溶液の容量にDNAの濃度を掛けることでDNAの回収量を求めることができる。また、DNA抽出液はタンパク質などDNA以外の物質の混入が少ないこと、すなわち高純度であることが望まれる。タンパク質は280nm付近に強い吸収を持つことから、DNAの260nmにおける吸収(OD260nm)とタンパク質の280nm(OD280nm)における吸収との比(OD260nm/OD280nm)がDNAの純度として求められる。これらの測定においては、DNAの抽出工程で使用する溶媒の残存の影響を除去するために、320nmにおける吸光度をバックグランドとして差し引く。
以下、本発明に係る実施例を詳細に説明する。ただし、これら実施例によって必ずしも本発明が限定されるわけではない。
(実施例1)
表面がTi酸化物で被覆された平均粒径5.3μmのFe微粒子(1次微粒子)5gをエタノール溶媒100mL中に分散し、これに1.1gのテトラエトキシシラン(TEOS)を添加した。この溶媒を攪拌しながら22.52gのイオン交換水、4.57gのアンモニア水(アンモニア濃度28質量%)および0.03gのKClの混合溶液を1分間で滴下した。その後、モータ攪拌を行い、TEOSの加水分解を1時間行った。反応終了後、IPA(イソプロピルアルコール)による洗浄を3回行った。上記処理を繰り返し複数回行うことにより粒子表面がTi酸化物ならびにシリカで2層に被覆されたシリカ被覆Fe粒子を作製した。処理が終了した後、濾過することにより固液分離し、その後大気中において一晩乾燥した。なお、前記表面がTi酸化物で被覆されたFeの1次微粒子は、TiC粉末とFe2O3粉末とを混合して得られた混合粉を窒素中、800℃で8時間熱処理することにより作製されたものである。
表面がTi酸化物で被覆された平均粒径5.3μmのFe微粒子(1次微粒子)5gをエタノール溶媒100mL中に分散し、これに1.1gのテトラエトキシシラン(TEOS)を添加した。この溶媒を攪拌しながら22.52gのイオン交換水、4.57gのアンモニア水(アンモニア濃度28質量%)および0.03gのKClの混合溶液を1分間で滴下した。その後、モータ攪拌を行い、TEOSの加水分解を1時間行った。反応終了後、IPA(イソプロピルアルコール)による洗浄を3回行った。上記処理を繰り返し複数回行うことにより粒子表面がTi酸化物ならびにシリカで2層に被覆されたシリカ被覆Fe粒子を作製した。処理が終了した後、濾過することにより固液分離し、その後大気中において一晩乾燥した。なお、前記表面がTi酸化物で被覆されたFeの1次微粒子は、TiC粉末とFe2O3粉末とを混合して得られた混合粉を窒素中、800℃で8時間熱処理することにより作製されたものである。
得られた磁性粒子の25℃における磁気特性はVSM(振動型磁力計)により1.6MA/mの印加磁場で測定し、平均粒径(d50)は、レーザー回折型粒度分布測定装置(HORIBA製 LA−920)で測定した。得られたシリカ被覆Fe粒子の飽和磁化は91A・m2/kgであった。平均粒径は7.8μmであった。
得られたシリカ被覆Fe粒子を用いた場合の全血からのDNA性能の評価は、市販の核酸抽出用キット「MagNAPure LC DNA Isolation Kit I(登録商標)」(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を使用した。磁気分離法は図10で示された方法で行った。溶液の吸引排出を行うための容器は長さ13cmで、磁気分離の際に磁場を作用させる部位の容器の厚さおよび内径は図6(b)に示すようにそれぞれ0.7mm、2.5mmであり、ポリスチレン製の容器であった。容器の上端にはマイクロピペットの先端を挿入して溶媒の吸引排出を行った。
先ず、容量2mLのマイクロチューブへ100μLの馬血を分注し、上記キットに付属したProteinaseK溶液100μLおよびLysis Binding Buffer300μLを添加した。その後、室温にて3分間ピペッティングにて攪拌混合した。上記シリカ被覆Fe粒子12mgを99.5%のIPA150μLへ分散させて粒子の分散液を調製し、上記溶媒中へ投入して、室温にて8分間ピペッティングで攪拌混合しDNAを粒子表面へ吸着した。
その後、図8(a)へ示した高さ15mm、幅4mm、奥行き12mmの形状で、奥行き方向に磁化されたB=0.20Tの永久磁石を図6(a)に示すようにピペットチップ外壁へ設置し、ピペッティングを行うことにより、磁性粒子をピペットチップ内壁へ磁気捕集し溶媒を排出した。その後、永久磁石を磁性粒子へ磁場の影響を与えないために十分な距離離し、上記キット付属のWash BufferI(850μL)を吸引した。ピペッティングにて粒子を洗浄して、上記と同様に永久磁石を設置することで磁気分離を行い固液分離した。永久磁石を離した後、さらに、上記キット付属のWash BufferII(450μL)を吸引し、ピペッティングで磁性粒子を洗浄した。その後同様に磁気分離を行い固液分離した。Wash BufferIIによる洗浄は2回繰り返し行った。磁性粒子からDNAを離脱させるために、上記キットに付属したElution Buffer(100μL)を吸引した後、ピペッティングで室温にて8分間攪拌した後、磁気分離を行うことによりDNAを抽出した溶液を回収した。抽出したDNAは吸光光度測定法で波長260nmの吸光度を測定することによりDNA濃度を測定した。上記抽出操作を4回行って4つのDNA回収溶液を得た。吸光光度測定には、ダイオードアレー型バイオ光度計U−0080D(日立ハイテクノロジーズ製)を用いた。DNA回収量は、抽出した溶液100μLを測定試料として次の式から求めた。
DNA回収量=DNA濃度×測定試料容量
DNA回収量=DNA濃度×測定試料容量
(実施例2)
B=0.29Tの永久磁石を使用した以外は実施例1と同様にして、DNA抽出操作を行った。
B=0.29Tの永久磁石を使用した以外は実施例1と同様にして、DNA抽出操作を行った。
(比較例1)
B=0.44Tの永久磁石を使用した以外は実施例1と同様にして、DNA抽出操作を行った。この磁場は市販されている自動核酸抽出装置に使用されている磁場と同程度である。
B=0.44Tの永久磁石を使用した以外は実施例1と同様にして、DNA抽出操作を行った。この磁場は市販されている自動核酸抽出装置に使用されている磁場と同程度である。
(比較例2)
B=0.65Tの永久磁石を使用した以外は実施例1と同様にして、DNA抽出操作を行った。
B=0.65Tの永久磁石を使用した以外は実施例1と同様にして、DNA抽出操作を行った。
(比較例3)
B=0.12Tの永久磁石を使用した以外は実施例1と同様にして、DNA抽出操作を行った。
B=0.12Tの永久磁石を使用した以外は実施例1と同様にして、DNA抽出操作を行った。
(比較例4)
B=0.05Tの永久磁石を使用した以外は実施例1と同様にして、DNA抽出操作を行った。
B=0.05Tの永久磁石を使用した以外は実施例1と同様にして、DNA抽出操作を行った。
実施例1〜2および比較例1〜4で得られたDNA回収量の値を磁気分離に使用した永久磁石の磁場の磁束密度に対して図1および表1へ示す。同様に図2および表1へDNA純度の値を磁気分離に使用した永久磁石の磁場の磁束密度に対して示す。表1には4つの得られたDNA抽出液の平均値を示した。実施例1〜2で得られたDNA回収量は1.8〜1.9μgと高い値を示した。また、DNA純度は1.7〜1.8と高純度のDNAを得ることができた。グラフのカーブからB=0.37Tの場合、DNA回収量=1.6μg、DNA純度=1.7という高い値になることが推定される。また、これら実施例1〜2では磁気分離後の磁性粒子の分散状態は良好であった。一方、比較例1で得られたDNAは、DNA純度は1.8と良好であるものの回収量は1.5μgと上記実施例1〜2で得られたDNAの回収量に比べて低かった。また、比較例2で得られたDNAは、回収量は0.9μgと上記実施例で得られたDNAの回収量に比べて低かった。また、これら比較例1および2においては、磁気分離後に磁性粒子が容器内壁に固着した。
比較例3および4で得られたDNAは回収量が0.2μgと、上記実施例と比べて低い結果となった。これら比較例3および4では、磁気分離時に磁性粒子全量を捕集することができずに、磁気捕集されなかった粒子を破棄してしまった。そのため、DNA回収量が低い値となった。
(比較例5〜9)
実施例1と同様にシリカ被覆Fe粒子を作製した。図5に示す方式でDNA回収性能評価を行った。永久磁石は図8(b)へ示した形状のものを使用した。使用した永久磁石のBを表2へ示す。当該永久磁石を磁極が逆平行となるよう図5(b)示すように2個配置し磁気分離時を行った。容器は2mLのマイクロテストチューブを使用した。容器を振動させるためにはVORTEX−GENIE2(サイエンティフィックインダストリーズ社製)を使用した。上記のほかは実施例1と同様にDNA抽出操作を行った。
実施例1と同様にシリカ被覆Fe粒子を作製した。図5に示す方式でDNA回収性能評価を行った。永久磁石は図8(b)へ示した形状のものを使用した。使用した永久磁石のBを表2へ示す。当該永久磁石を磁極が逆平行となるよう図5(b)示すように2個配置し磁気分離時を行った。容器は2mLのマイクロテストチューブを使用した。容器を振動させるためにはVORTEX−GENIE2(サイエンティフィックインダストリーズ社製)を使用した。上記のほかは実施例1と同様にDNA抽出操作を行った。
図3及び図4へDNA回収量とDNA純度をそれぞれ示す。また、表2へDNA回収量とDNA純度の平均値を示した。比較例5〜9においては磁性粒子の固着および取りこぼしは無かった。また、DNA回収量は、永久磁石の磁場の磁束密度に依存せず1.6μg〜2.5μg、DNA純度は1.7〜1.8で良好な抽出性能を示した。したがって、比較例5〜9で行った磁気分離法においては、磁場はDNA回収性能に影響を与えていないといえる。これは、永久磁石の形状、容器の形状に影響されていると考えられる。
1:永久磁石、 2:ピペット、 3:着磁方向、 4:分注器、
5:核酸の吸着した磁性粒子、 6:溶媒、 7:抽出液、
10a:捕集箇所、 10b:捕集箇所、
11:永久磁石、 11a,11b:永久磁石、 11c,11d:永久磁石、
12:容器、 13:着磁方向、 14:永久磁石、 15:貫通孔
5:核酸の吸着した磁性粒子、 6:溶媒、 7:抽出液、
10a:捕集箇所、 10b:捕集箇所、
11:永久磁石、 11a,11b:永久磁石、 11c,11d:永久磁石、
12:容器、 13:着磁方向、 14:永久磁石、 15:貫通孔
Claims (5)
- 生体物質を含む溶液中に分散した生体物質抽出用の磁性粒子を含む懸濁液に外部から磁場を作用させることにより磁性粒子を捕集する方法において、磁性粒子の飽和磁化は80〜180Am2/kgの範囲にあり、外部から作用させる磁場の磁束密度は0.2〜0.4Tの範囲にあることを特徴とする磁性粒子の磁気分離方法。
- 前記磁性粒子はFeを主成分としており、互いに異なる2種以上の無機材料で多層に被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性粒子の磁気分離方法。
- 磁性粒子の表面の被覆層は主として珪素酸化物を含む無機材料であることを特徴とする請求項2に記載の磁性粒子の磁気分離方法。
- 前記磁性粒子は平均粒径が1μm〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性粒子の磁気分離方法。
- 溶液中に分散した磁性粒子は、懸濁液を貯留できる領域部を有すると共に溶液が流動可能な両端が開放された円筒またはチューブ状容器に保持された状態にあり、外部からの磁場が作用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性粒子の磁気分離方法。
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-
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