JP2010214257A - 磁気ビーズ捕集方法、磁気ビーズ捕集用添加剤および迅速捕集用磁気ビーズ - Google Patents

磁気ビーズ捕集方法、磁気ビーズ捕集用添加剤および迅速捕集用磁気ビーズ Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は磁気ビーズの均一性を保持しつつ、短時間で磁気ビーズを捕集することができる方法、磁気ビーズ捕集用添加剤および迅速捕集用磁気ビーズを提供する。
【解決手段】 磁気ビーズと前記磁気ビーズより高い飽和磁化を有する磁気粒子をブレンドし磁気分離を行うことを特徴とする。また、磁気ビーズ捕集用添加剤は磁気ビーズまたは磁気ビーズが懸濁している溶液に添加し前記磁気ビーズの磁気捕集時間を短時間化することに用い、更に前記磁気ビーズより高い飽和磁化を有する磁性粒子であることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、免疫検査、免疫沈降、食中毒、細菌検査、核酸抽出、ガン研究、移植医学、細菌学、プロテオーム、臨床化学等の検体の分離・精製技術の分野に係り、検体中に含まれる目的物質を補足した磁気ビーズを捕集する方法、磁気ビーズ、およぶ磁気ビーズ捕集用添加剤に関する。
現在、タンパク質、核酸および細胞などの特定の物質を特異的若しくは非特異的に捕捉するように修飾した、磁気ビーズと称される磁性粒子が生化学の分野で広く用いられている。磁気ビーズは遠心分離等の煩雑な操作を伴わずにスタンドに磁石が内包された磁気スタンドにより簡便に分離・捕集することができる。
また、血液、体液、糞便などから特定の細胞を回収後、回収された細胞から核酸を抽出し一塩基多型などを調べガン検診、薬剤の効果予想などを行うことが研究されている。例えば特許文献1では糞便中から上皮系の細胞を回収する方法が提案されている。
近年、免疫検査の高感度化や、目的物質との反応性を向上させるため反応場である磁気ビーズの表面積を増大する、すなわち高比表面積である小さい粒子径の磁気ビーズの研究が行われている。
ところで、近年医療の現場では患者のそばでおこなう臨床検査として定義されるPOC検査への要求が高まっており、そのため検査の短時間化が求められており、磁気ビーズの捕集時間の短縮が求められている。しかし、小さい粒子径の磁気ビーズは磁気捕集に長時間を要するため磁気捕集に要する時間を短くすることが必要である。例えば特許文献2では数平均粒径dの磁気ビーズのうち、2d以上の粒子の体積分率を2〜70%、かつ、0.5dより大きく2dより小さい粒子の体積分率を28〜98%、かつ、0.5d以下の粒子の体積分率を2%以下にすることにより平均粒径を小さくすることと優れた磁気分離性とを両立した磁気ビーズが提案されている。
特開2005−46065号公報 特開2006−234417号公報
従って、本発明の目的は短時間で磁気ビーズを捕集することができる方法、磁気ビーズ捕集用添加剤および迅速捕集用磁気ビーズを提供することである。
本発明の磁気ビーズ捕集方法は磁気ビーズと前記磁気ビーズより高い飽和磁化を有する磁性粒子をブレンドし磁気分離を行うことを特徴とする。かかる方法により、外部磁界により磁化されたとき磁気ビーズと磁性粒子が磁気的に引き付けられ、低い飽和磁化の磁気ビーズも高い飽和磁化を有する磁性粒子に近い捕集速度を得られるため、目的物質と結合する磁気ビーズの粒度分布を均一に保ちつつ磁気ビーズ単独で磁気分離を行うより短時間に磁気ビーズを捕集することが可能である。
また、前記磁性粒子は、磁性金属を主成分とする金属粒子核が無機材料で被覆されていることが好ましい。前記構成であることにより磁性粒子は磁気ビーズを使用する水溶液中においても化学的に安定に存在することができ好ましい。より好ましくは、無機材料がチタン酸化物を主体として構成されることである。より化学的安定性が向上し、金属粒子核中の金属の溶出を抑制でき、磁性粒子が塩溶液中でも安定である。また、互いに異なる2種以上の無機材料で被覆されていると、化学的安定性が向上し、高塩濃度の溶液中で安定になり好ましい。
さらに、金属粒子核は、Feを主成分とすることが好ましい。高飽和磁化を有するFeを主成分とすることにより磁性粒子が高飽和化を発現でき好ましい。
さらに、磁気粒子の飽和磁化が前記磁気ビーズの飽和磁化の2倍以上であることが好ましい。磁性粒子の飽和磁化を磁気ビーズの飽和磁化の2倍以上とすることにより顕著に捕集時間を短縮でき好ましい。
さらに、前記磁性粒子の粒子径が前記磁気ビーズの粒子径以下であることが好ましい。磁性粒子の粒子径を磁気ビーズの粒子径以下にすることにより分散性を同等にできるため好ましい。
本研究の磁気ビーズ捕集用添加剤は、磁気ビーズまたは磁気ビーズが懸濁している溶液に添加し前記磁気ビーズの磁気捕集時間を短時間化することに用い、更に前記磁気ビーズより高い飽和磁化を有する磁性粒子であることを特徴とする。前記磁気ビーズ捕集用添加剤を添加することにより磁気ビーズの捕集時間を短縮化できる。
また、前記磁気ビーズ捕集用添加剤は、磁性金属を主成分とする金属粒子核が無機材料で被覆されていることが好ましい。前記構成であることにより磁性粒子は磁気ビーズを使用する水溶液中においても化学的に安定に存在することができ好ましい。より好ましくは、無機材料がチタン酸化物を主体として構成されることである。より化学的安定性が向上し、金属粒子核中の金属の溶出を抑制でき、磁性粒子が塩溶液中でも安定である。また、互いに異なる2種以上の無機材料で被覆されていると、化学的安定性が向上し、高塩濃度の溶液中で安定になり好ましい。
さらに、金属粒子核は、Feを主成分とすることが好ましい。高飽和磁化を有するFeを主成分とすることにより磁性粒子が高飽和化を発現でき好ましい。
さらに、磁性粒子の飽和磁化が前記磁気ビーズの飽和磁化の2倍以上であることが好ましい。磁性粒子の飽和磁化を磁気ビーズの飽和磁化の2倍以上とすることにより顕著に捕集時間を短縮でき好ましい。
さらに、前記磁性粒子の粒子径が前記磁気ビーズの粒子径以下であることが好ましい。磁気粒子の粒子径を磁気ビーズの粒子径以下にすることにより分散性を同等にできるため好ましい。
本発明の迅速捕集用磁気ビーズは、飽和磁化が互いに異なる磁性粒子を2種以上ブレンドすることを特徴とする。かかる構成にすることにより、外部磁界により磁化されたとき低い飽和磁化の磁性粒子も高い飽和磁化を有する磁性粒子に近い捕集速度を得られるため、低い飽和磁化の磁性粒子も含め迅速捕集用磁気ビーズ全体が短時間に捕集することが可能である。
また、前記磁性粒子のうち1種以上がFeを主成分とする磁性粒子であることが好ましい。高飽和磁化を有するFeを主成分とすることにより磁性粒子が高い飽和磁化を発現でき、低い飽和磁化の磁性粒子を含め迅速捕集用磁気ビーズの捕集を短時間で実現でき好ましい。
本発明により磁気ビーズの磁気捕集時間を短縮できる。
予備実験、実施例1〜4および比較例1における捕集時間と550nmの吸光度の関係を示す図である。 実施例1〜4および比較例1における捕集時間と捕集率の関係を示す図である。
(1)磁気ビーズ捕集方法
本発明に係る磁気ビーズ捕集方法は、磁気ビーズと前記磁気ビーズより高い飽和磁化を有する磁性粒子をブレンドすることにより液体中に懸濁した磁気ビーズを磁気スタンドなどの外部磁界を発生する装置により捕集する方法である。この磁性粒子は補集用添加剤に相当する。磁気ビーズと磁性粒子は液体に懸濁する前にブレンドしても構わないし、磁気ビーズが液中に懸濁したのちに磁性粒子をブレンドしても構わない。また、磁性粒子を液中に懸濁後、磁気ビーズを液中に加えブレンドしても構わない。さらに、磁気ビーズが数回の磁気捕集工程を行うような使用法であるときは、どの工程において磁性粒子をブレンドしても構わない。
(2)磁性粒子
磁性粒子は、磁気ビーズより1粒子辺りの飽和磁化が高ければ特に限定するものではないが、単位重量辺りの飽和磁化が高いことが好ましい。さらに、磁性粒子の飽和磁化が同重量の磁気ビーズの飽和磁化の2倍以上であることがより好ましい。磁気ビーズの捕集時間を顕著に短縮できる。また、磁気ビーズと磁性粒子のブレンド比は特に限定するものではないが、磁気ビーズに対し、25重量%以上の割合で磁性粒子をブレンドすることが好ましい。顕著に捕集時間を短縮できる。さらに、ブレンド比を磁気ビーズに対し50重量%以上の割合で磁性粒子をブレンドすることがより好ましい。さらに短時間で磁気ビーズの捕集を行える。ブレンド比は、磁気ビーズを100重量%としたとき、それに添加する磁性粒子の量に相当する。
また磁性粒子は、磁性金属を主成分とする金属粒子核が無機材料で被覆されていることが好ましい。前記構成であることにより磁性粒子は磁気ビーズが使用される水溶液中においても化学的に安定に存在することができ好ましい。より好ましくは、無機材料がチタン酸化物を主体として構成されることである。より化学的安定性が向上し、金属粒子核中の金属の溶出を抑制でき、磁性粒子が塩溶液中でも安定である。また、互いに異なる2種以上の無機材料層で被覆されていると、化学的安定性が向上し、高塩濃度の溶液中で安定になり好ましい。さらに、磁性粒子が磁気ビーズと同様のリガンドが修飾してあっても構わないし、非特異吸着を抑制するためにブロッキングされていても構わない。
前記磁性金属はFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つの元素を主成分とする磁性金属であるのが好ましく、特にFeであるのがより好ましい。高い飽和磁化を発現することができ、磁気ビーズの捕集時間をより短縮できる。
磁性粒子の粒子径は、磁気ビーズの粒子径以下であることが好ましい。磁気ビーズと同等もしくは同等以下の粒子径であることにより磁気ビーズと同等の分散性を有すことができ、ブレンドしたとき磁性粒子だけが沈降し分離してしまうことが抑制され、有効に効力を発現することができる。
(3)磁気ビーズ
磁気ビーズは特に限定するものでないがリガンドが固定されていることが好ましい。また、シリカで被覆され核酸抽出用に供される構成であっても構わない。また、磁気ビーズの磁性成分はこれを特に限定するものではないが、酸化鉄などで低い飽和磁化のとき本発明に係る捕集時間短縮の効果が顕著に発現することができる。さらに、免疫検査などでは検査結果に安定性および再現性が強く求められるため免疫検査用途に用いる場合などでは、磁気ビーズはばらつきの少さい、つまり粒度分布が狭く均一であることが好ましい。
(4)検体
検体は液体であれば限定するものではなく、目的物質は生体由来のものと限定するものでないことは言うまでもない。例えば、血液、血清・血漿などの血液の成分、糞便またはその希釈液、組織片の溶解液など高粘度の液体も対象とすることが出来る。また、目的物質は細胞や、細菌など磁気ビーズと同等もしくは同等以上の容積を有するときに従来の磁気ビーズでは捕集に長時間要するが本発明の方法を用いることにより迅速に捕集でき好適に用いることができる。
(5)迅速捕集用磁気ビーズ
飽和磁化が互いに異なる磁気ビーズ及び磁性粒子がブレンドされていれば特に限定するものではない。外部磁界を印加することにより磁化されたとき低い飽和磁化の磁気ビーズも高い飽和磁化を有する磁性粒子に近い捕集速度を得られるため、低い飽和磁化の磁気ビーズも含め迅速捕集用磁気ビーズ全体が短時間に捕集することができる。
また、前記磁性粒子がFeを主成分とする磁性粒子であることが好ましい。高飽和磁化を有するFeを主成分とすることにより磁性粒子が高い飽和磁化を発現でき、低い飽和磁化の磁気ビーズを含め迅速捕集用磁気ビーズの捕集を短時間で実現でき好ましい。
以下、本発明に係る実施例を詳細に説明する。ただし、これら実施例によって必ずしも本発明が限定されるわけではない。
磁気ビーズ又は磁性粒子の磁気特性は、最大印加磁界を1.6MA/mとしてVSM(振動型磁力計)により測定した。また、粒子径はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−920(堀場製作所社)により測定した。
(予備実験)
粒子径1μm、飽和磁化26.7A・m/kgのDynabeads MyOne streptavidin T1(インビトロジェン社(旧ダイナル社))を67ng/mlにPBS(リン酸緩衝生理食塩水)により調整し、前記溶液を入れた50μlセルをダイオードアレー型バイオ光度計 U−0080D(日立ハイテクノロジーズ社)のセルホルダーに設置し設置直後(0秒後)、50秒後、100秒後、150秒後、200秒後、250秒後および300秒後の550nmの吸光度を測定し溶液の濁度より沈降性を調べた。その結果を図1に示す。
(実施例1〜4、比較例1)
ストレプトアビジンが修飾されているDynabeads MyOne streptavidin T1と、表1に記載の量の粒子径0.8μm、飽和磁化116A・m/kgのFeを主成分とする金属粒子核がチタン酸化物で被覆され、さらにケイ素酸化物で被覆された磁性粒子とを67ng/mlにPBSで調整して攪拌した溶液を、50μlセルに入れた。ダイオードアレー型バイオ光度計 U−0080D(日立ハイテクノロジーズ社製)のセルホルダーにガムテープを重ねて作製した1.25mmスペーサーを挿みセルホルダーに接する面の表面磁束密度が0.45テスラの縦9.5mm、横4.0mm、高さ15.0mmの磁石を配置した状態で前記溶液の入った50μlセルをセルホルダーに設置し、設置直後(0秒後)、50秒後、100秒後、150秒後、200秒後、250秒後および300秒後の550nmの吸光度を測定し、溶液の濁度より捕集時間を調べた。その結果を図1に示す。また、50秒後、100秒後、150秒後、200秒後、250秒後および300秒後の550nmの吸光度を、比較例1のセルホルダーに設置直後(0秒後)の550nmの吸光度で割り、1から前記値を引いた値を捕集率とし求め、図2に示す。
図1に示すように、磁石により外部磁界を印加しないと磁気ビーズの濁度に変化が無いことを確認できる(予備実験1)。図1において明らかなように、実施例1〜4は比較例1と比較し短時間に磁気ビーズの捕集が可能であることがわかる。また、図2に示すように50秒後の捕集率を比較すると、比較例1では磁気ビーズの23%を捕集できているに過ぎないが、磁気ビーズの25重量%磁性粒子(磁気ビーズ捕集用添加剤)をブレンド(添加)した実施例1では55%、磁気ビーズの50重量%磁性粒子(磁気ビーズ捕集用添加剤)をブレンド(添加)した実施例2では66%、磁気ビーズの75重量%磁性粒子(磁気ビーズ捕集用添加剤)をブレンド(添加)した実施例3では70%、磁気ビーズの100重量%磁性粒子(磁気ビーズ捕集用添加剤)をブレンド(添加)した実施例3では72%の磁気ビーズを捕集できていることがわかる。つまり、本発明の磁気ビーズ捕集方法および磁気ビーズ捕集用添加剤を用いることにより磁気ビーズの捕集時間を短縮できることが示された。また、本発明の迅速捕集用磁気ビーズを用いることにより迅速に磁気ビーズの捕集ができることが示された。

Claims (12)

  1. 磁気ビーズと前記磁気ビーズより高い飽和磁化を有する磁性粒子をブレンドし磁気分離を行うことを特徴とする磁気ビーズ捕集方法。
  2. 前記磁性粒子は、磁性金属を主成分とする金属粒子核が無機材料で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ビーズ捕集方法。
  3. 前記金属粒子核が、Feを主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ビーズ捕集方法。
  4. 前記磁性粒子の飽和磁化が前記磁気ビーズの飽和磁化の2倍以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気ビーズ捕集方法。
  5. 前記磁性粒子の粒子径が前記磁気ビーズの粒子径以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気ビーズ捕集方法。
  6. 磁気ビーズまたは磁気ビーズが懸濁している溶液に添加し前記磁気ビーズの磁気捕集時間を短時間化することに用い、更に前記磁気ビーズより高い飽和磁化を有する磁性粒子であることを特徴とする磁気ビーズ捕集用添加剤。
  7. 前記磁性ビーズ捕集用添加剤は、磁性金属を主成分とする金属粒子核が無機材料で被覆されていることを特徴とする請求項6に記載の磁気ビーズ捕集用添加剤。
  8. 前記金属粒子核が、Feを主成分とすることを特徴とする請求項6または7に記載の磁気ビーズ捕集用添加剤。
  9. 前記磁気ビーズ捕集用添加剤の飽和磁化が前記磁気ビーズの飽和磁化の2倍以上であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の磁気ビーズ捕集用添加剤。
  10. 前記磁気ビーズ捕集用添加剤の粒子径が前記磁気ビーズの粒子径以下であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の磁気ビーズ捕集用添加剤。
  11. 飽和磁化が互いに異なる磁気ビーズ及び磁性粒子がブレンドされていることを特徴とする迅速捕集用磁気ビーズ。
  12. 前記磁性粒子がFeを主成分とする磁性粒子であることを特徴とする請求項11に記載の迅速捕集用磁気ビーズ。
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