JP2008219300A - 圧電デバイスの封止方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器本体に亀裂を生じさせることを抑止する圧電デバイスの封止方法を提供する。
【解決手段】積層セラミックからなる、凹状とした容器本体1の開口端面に金属カバー3をシーム溶接によって接合するにあたり、金属カバー3の周回する外周に水晶の点移転温度573℃よりも低い共晶合金、例えばAnSn協商合金からなる環状金属11を設ける。金属カバー3の少なくとも一組の対角部を容器本体1に仮止めした後、一対の電極ローラ10(ab)を一組の対向する辺に当接して通電しながら進行させてシーム溶接した後、他組の辺を同様にしてシーム溶接する。融温度を約270℃とした共晶合金AuSnを用いたシーム溶接なので、比較的低温での溶接となる。したがって、容器本体1(セラミック)との膨張係数差があっても、膨張・収縮による応力の発生を少なくして亀裂等のクラックの発生を抑止できる。
【選択図】図1

Description

本発明はシーム溶接機による圧電デバイスの封止方法を技術分野とし、特に共晶合金を用いた封止方法に関する。
(発明の背景)
圧電デバイス例えば水晶振動子は周波数制御素子として周知され、例えば通信機器やデジタル制御機器に広く内蔵される。このようなものの一つに、シーム溶接機によって封止した表面実装型の水晶振動子(以下、表面実装振動子とする)があり、量産化が進んでいる。
(従来技術の一例)
第3図は一従来例を説明する図で、同図(a)は表面実装振動子の断面図、同図(b)は水晶片の平面図である。
表面実装振動子は容器本体1に水晶片2を収容し、金属カバー3を接合して密閉封入する。容器本体1は凹状とした積層セラミックからなり、開口端面には図示しないW(タングステン)等の下地層を有する。そして、下地層には周回する金属リング4がAg(銀)等によるロウ付けによって設けられる。金属リング4は表面に電解メッキ等による図示しないAu(金)膜を有する。
水晶片2は両主面に励振電極5を有し、一端部両側に引出電極6を延出する。そして、容器本体1の内底面に設けられた水晶端子7に導電性接着剤8によって固着される。水晶端子7は容器本体1の外底面に設けられた外部端子9に積層面を経て電気的に接続する。金属カバー3はFe(鉄)を主成分としてNi(ニッケル)、Co(コバルト)を添加したコバールをカバー母体とする。カバー母体の表面には、例えば電解メッキによる図示しないNi膜を有する。そして、一対の電極ローラ10(ab)を有するシーム溶接機によって、容器本体1の開口端面に接合される。
この場合、金属カバー3の一組の対向辺に一対の電極ローラ10(ab)を当接して通電しながら回転して進行させる。これにより、金属カバー3と金属リング4との間の接触抵抗によるジュール熱によってNi膜が溶融し、金属リング4に金属カバー3が接合する。そして、次に、他組の対向辺を同様にして接合する。通常では、シーム溶接機あるいはスポット溶接機等によって、金属カバー3は金属リング4に仮止めされた後、シーム溶接される。
特開2005−197857号公報 特開2003−318690号公報
(従来技術の問題点)
しかしながら、上記構成の表面実装振動子では、容器本体1の金属リング4を金属カバー3にシーム溶接する際、特にNi膜をジュール熱によって溶融するが、Niは溶融温度が約1400℃であって、溶融時にはかなりの高温となる。したがって、容器本体1(セラミック)といずれもコバールとした金属カバー3及び金属リング4との膨張係数差によって容器本体1に応力を生じ、容器本体1に亀裂等のクラックを発生する問題があった。ちなみに、セラミックの膨張係数は約7.3×10-6/℃であり、コバールのそれは約6×10-6/℃である。
また、ここでの容器本体1にはシーム溶接用の金属リング4を要する。このため、金属リング4を除く容器本体1の高さを大きくして、例えば水晶片2を固着する際の導電性接着剤との接触を防止する必要がある。このことから、金属リング4を含む容器本体1の高さが大きくなって低背化を阻害する問題もあった。
なお、金属リング4に代えて金属厚膜としたダイレクトシームもあるが、これは電極ローラ10(ab)の押圧力が容器本体1(積層セラミック)に直接的に印加されることから、容器本体1にさらにクラックを発生しやすくなる問題がある。この点、金属リング4がある場合は、これが押圧力の緩衝材となって、容器本体1のクラックを防止する。
(発明の目的)
本発明は容器本体に亀裂を生じさせることを抑止する圧電デバイスの封止方法を提供することを目的とする。
(着目点及びその問題点)
本発明は、上記問題点に鑑み、融点温度がNi(1400℃)よりも低い共晶合金例えばAuSn(280℃)に着目した。なお、共晶合金を用いた接合例えば特許文献2に示されるように周知であるものの、通常ではAuSnからなる環状金属11が設けられた金属カバーを容器本体に当接し、加熱溶融によって接合される。
この場合、これらはバッチ処理によって行われるので生産性が悪くなる欠点があった。これに対し、シーム溶接では、容器本体に金属カバーを載置して仮止めする行程からシーム溶接に至るまで1個ずつ製造ライン上で形成されるので、生産効率が高くなる。
(解決手段)
本発明は、積層セラミックからなる凹状とした容器本体の開口端面に金属カバーをシーム溶接によって接合してなる圧電デバイスの封止方法において、前記金属カバーの周回する外周に水晶の点移転温度573℃よりも低い共晶合金からなる環状金属11を設け、前記環状金属11をシーム溶接によって溶融して接合した構成とする。
このような構成であれば、シーム溶接によって溶融される金属を水晶の点移転温度573℃よりも低い共晶合金とするので、従来例のNi(1400℃)よりも格段に低くなる。したがって、シーム溶接時における金属カバーと容器本体(セラミック)との膨張係数差に基づいた膨張・収縮によっての応力も少なくなる。これにより、容器本体1に生ずる亀裂等のクラックを抑止できる。
なお、水晶の点移転温度573℃よりも低い共晶合金とするので、例えば熱によっての双晶化を確実に防止できる。但し、従来例のように溶融温度を1400℃とするNiとしても、総熱量が少ないために現実には双晶化が生じた報告例はない。ここでは、温度の目安としてこれを採用した。
(実施態様項)
本発明の請求項2では、請求項1において、前記共晶合金はAuSnとする。これによれば、AuSnは融点温度を約270℃とするので、容器本体との膨張係数差に基づいた膨張・収縮にる応力を小さくして、クラックの発生をさらに抑制できる。
同請求項3では、請求項1において、前記金属カバー3の少なくとも一組の対角部を前記容器本体に仮止めした後、前記金属カバーを前記容器本体に接合する。これによれば、環状金属11を金属カバーを接合する際、厚みが最も大きくなる角部のうちの一組の対角部を溶接するので、仮止めを容易にする。
同請求項4では、請求項1において、前記容器本体の開口端面には前記金属カバーの金属リングが接合される金属膜が設けられる。これにより、従来例の金属リングを設けることなく溶接するので、表面実装振動子(容器本体)の低背化を促進できる。
第1図及び第2図は本発明の一実施形態を説明する図で、第1図は表面実装振動子の断面図、第2図(a)は金属カバーの平面図、同図(b)はA−A断面図である。なお、前従来例と同一部分には同番号を付与してその説明は簡略又は省略する。
表面実装振動子は前述したように積層セラミックからなる凹状とした容器本体1内に水晶片2を収容し、シーム溶接によって金属カバー3を接合してなる。そして、ここでは、容器本体1の開口端面には印刷によるWを下地電極として電解メッキ等によるNi、Au膜(不図示)を設ける。また、コバールをカバー母体とした金属カバー3の一主面には、融点温度を約270℃としたAuSnとした共晶合金からなる環状金属11を設ける。
この場合、予め枠状に成形された共晶合金(AuSn)をカバー母体上に加熱溶融して、環状金属11が形成される。これにより、環状金属11はAuSnの溶融時にカバー母体の4角部に表面張力によって凝集するので、4角部の厚みが各辺の中央領域よりも厚くなる。
これらから、先ず、例えば厚みの大きい角部のうちの一組の対角部を仮止めする。ここでは、例えばシーム溶接機によって溶接する。要するに、一対の電極を金属カバー3の対角部に当接した状態で通電して部分的に溶接する。仮止めは、シーム溶接機に限らず、スポット溶接機等による溶接としてもよい。そして、前述したように、一対の電極ローラ10(ab)を一組の対向する辺に当接して通電しながら進行させてシーム溶接した後、他組の辺を同様にしてシーム溶接する。
このようなものでは、発明の効果の欄でも述べたように、溶融温度を約270℃とした共晶合金AuSnを用いたシーム溶接なので、比較的低温での溶接となる。したがって、容器本体1(セラミック)との膨張係数差があっても、膨張・収縮による応力の発生を少なくして亀裂等のクラックの発生を抑止できる。
また、金属カバー3の少なくとも一組の対角部を容器本体1に仮止めした後、金属カバー3を前記容器本体1に接合する。これによれば、環状金属11を金属カバー3を接合する際、厚みが最も大きくなる角部のうちの一組の対角部を溶接するので、仮止めを容易にする。さらに、従来の金属リング4を設けることなく、容器本体1の開口端面に直接に溶接するので、表面実装振動子(容器本体1)の低背化を促進できる。
(他の事項)
上記実施形態では水晶振動子として説明したが、これに限らず、発振器やフィルタ等の圧電デバイスに適用できる。また、環状金属11としての共晶合金はAuSnとしたが、これに限らず例えばAuGe等であってもよく、目安として水晶の点移転温度573℃以下の共晶合金であればよい。
本発明の一実施形態を説明する表面実装振動子の断面図である。 本発明の一実施形態を説明する金属カバーの平面図、同図(b)はA−A断面図である。 従来例を説明する図で、同図(a)は表面実装振動子の断面図、同図(b)は水晶片の平面図である。
符号の説明
1 容器本体、2 水晶片、3 金属カバー、4 金属リング、5 励振電極、6 引出電極、7 水晶端子、8 導電性接着剤、9 外部端子、10 電極ローラ、11 環状金属。

Claims (4)

  1. 積層セラミックからなる凹状とした容器本体の開口端面に金属カバーをシーム溶接によって接合してなる圧電デバイスの封止方法において、前記金属カバーの周回する外周に水晶の点移転温度573℃よりも低い共晶合金からなる環状金属を設け、前記環状金属をシーム溶接によって溶融して接合したことを特徴とする圧電デバイスの封止方法。
  2. 請求項1において、前記共晶合金はAuSnである圧電デバイスの封止方法。
  3. 請求項1において、前記金属カバーの少なくとも一組の対角部を前記容器本体に仮止めした後、前記金属カバーを前記容器本体に接合したことを特徴とする圧電デバイスの封止方法。
  4. 請求項1において、前記容器本体の開口端面には前記金属カバーの金属リングが接合される金属膜が設けられた圧電デバイスの封止方法。
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