JP2008215333A - 内燃機関の排気熱回収装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の冷却水と排気との熱交換の状態を排気の通過状態を切り替えずに変更できる内燃機関の排気熱回収装置を提供する。
【解決手段】排気熱回収装置1Aは内燃機関の排気が通過する排気通過部2の外周に、冷却水が流れる熱回収室3が配置され、排気通過部2を通過する排気と熱回収室3を流れる冷却水との間で熱交換を行う。熱回収室3には、冷却水が流入する入口部3aと、冷却水が流出する出口部3bと、入口部3a及び出口部3bのそれぞれに連通して冷却水が流れる流通空間8と、流通空間8の容積を変化させることができるように熱回収室3内を移動するシールリング9とが設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の排気通路に導かれる排気と内燃機関の冷却水との間で熱交換を行う内燃機関の排気熱回収装置に関する。
内燃機関の排気の熱を回収する排気熱回収装置として、内燃機関の排気が通過する排気通過部を、冷媒を導く冷媒管に隣接する伝熱通路と、冷媒管を迂回するバイパス通路とに区分し、バイパス通路に設けられた開閉弁を開閉することにより排気の通過状態を切り替えるものが知られている(特許文献1)。特許文献1の装置は、開閉弁にてバイパス通路が閉じられたときに排気通過部に流入した排気の全てが伝熱通路へ導かれて出口から排出される。一方、そのバイパス通路が開閉弁にて開かれたときには排気通過部に流入した排気の一部がバイパス通路を経由して出口に排出されるため、排気から冷媒への熱移動量が減る。
特開平9−76739号公報
しかしながら、特許文献1の装置では排気から冷媒への熱移動量を減少させるためにパイパス通路が開かれても伝熱通路が閉じられずに開かれたままであるので、一部の排気は伝熱通路を通過する。そのため、熱交換を制限すべき場合でも排気から冷媒への熱移動が生じるため、冷媒の温度が予期せずに上昇するおそれがある。
そこで、本発明は内燃機関の冷却水と排気との熱交換の状態を排気の通過状態を切り替えずに変更できる内燃機関の排気熱回収装置を提供することを目的とする。
本発明の内燃機関の排気熱回収装置は、内燃機関の排気が通過する排気通過部の外周に、前記内燃機関の冷却水が流れる熱回収室が配置され、前記排気通過部を通過する排気と前記熱回収室を流れる冷却水との間で熱交換を行う内燃機関の排気熱回収装置において、前記熱回収室には、冷却水が流入する入口部と、冷却水が流出する出口部と、前記入口部及び前記出口部のそれぞれに連通して冷却水が流れる流通空間と、前記流通空間の容積を変化させることができるように前記熱回収室内を移動する移動部材とが設けられていることことにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
本発明の排気熱回収装置によれば、熱回収室に設けられた流通空間の容積を移動部材が移動することにより変化させることができるので、流通空間内に保持される冷却水の量を変更することができる。それにより、排気通過部を流れる排気の通過状態を敢えて変えなくても排気と冷却水との熱交換の状態を変更できる。
本発明の排気熱回収装置の一態様において、前記流通空間の容積が最大となる熱交換位置から前記流通空間の容積が最小となる熱交換制限位置までの間で前記移動部材を駆動する駆動手段を備えてもよい(請求項2)。この態様によれば熱回収室内を移動する移動部材を流通空間の容積が最大となる熱交換位置から最小となる熱交換制限位置までの範囲内で駆動することができる。駆動手段は種々の態様でよい。例えば、駆動手段が電力にて動作する電動アクチュエータを備え、これを利用して移動部材を駆動してもよい。この場合には、電動アクチュエータを適宜操作することにより移動部材を自在に駆動することができるので、種々の条件に応じた移動部材の移動を容易に実現できる。
また、前記移動部材は前記熱回収室を前記流通空間と密閉空間とに仕切るようにして前記熱回収室内を移動可能な状態で配置されており、前記駆動手段は、前記排気通過部を通過する排気と熱交換可能な状態で前記密閉空間に封入され、かつその熱交換によって体積が変化する作動流体を備えてもよい(請求項3)。この場合には、密閉空間に封入された作動流体が排気との間で熱交換することにより作動流体の体積が変化するため移動部材を移動できる。例えば、排気から作動流体へ熱が移動した場合は作動流体が膨張し、移動部材が移動する。そして作動流体が膨張した後に温度が低下すると作動流体の体積が元に戻るので、膨張によって移動した移動部材をその反対側に移動できる。このように、作動流体が排気との間で熱交換を行うことにより移動部材を移動できるため、移動部材を移動させるために電力等の他の動力源が不要となる利点がある。
本発明の排気熱回収装置の一態様において、前記熱交換制限位置は、前記移動部材にて前記流通空間内から冷却水が排除され、かつ前記入口部と前記出口部とが閉鎖される位置に設定されてもよい(請求項4)。この場合には熱交換制限位置に移動した場合は流通空間内に冷却水が残留することがない。そのため、仮に、運転中であった内燃機関が停止して冷却水の流れが止まった時であっても、移動部材を熱交換制限位置に移動することによって流通空間内での冷却水の沸騰を回避することが可能になる。
以上説明したように、本発明によれば、熱回収室に設けられた流通空間の容積を移動部材が移動することにより変化させることができるので、流通空間内に保持される冷却水の量を変更することができる。それにより、排気通過部を流れる排気の通過状態を敢えて変えなくても排気と冷却水との熱交換の状態を変更できる。
(第1の形態)
図1は本発明の排気熱回収装置の一形態を示し、図2は図1のII−II線に沿った断面図を示している。排気熱回収装置1Aは不図示の内燃機関の排気通路101に取り付けられ、その排気通路101に導かれる排気が通過する排気通過部2と、排気通過部2の外周に配置されて内燃機関の冷却水が流れる熱回収室3とを備えている。排気熱回収装置1Aは排気通過部2を通過した排気と熱回収室3を流れる冷却水との間で熱交換が行われ、熱交換後の冷却水は冷却水路102を通じて内燃機関の各部へ導かれる。
排気通過部2の内部には内管4が排気通過部2の入口2aから出口2bに向かう方向に延びるようにして設けられ、排気通過部2は内管4によって内側通路5とその内側通路5の外側に位置する外側通路6とに区分される。図示の形態では外側通路6が内側通路5を取り囲むように配置されている(図2参照)。
排気通過部2には排気の通過状態を切り替えるための開閉弁7が設けられる。開閉弁7は内管4の下流側の端部に設けられて内側通路5を開閉する。図1の想像線で示すように開閉弁7にて内側通路5が開かれた場合には排気は内側通路5と外側通路6とを通過する。一方、内側通路5が開閉弁7にて閉じられた場合は排気が外側通路6のみを通るため、図に矢印線で示すように、外側通路6を通過する排気の流量が増えるため熱回収室3内の冷却水との熱交換が促進される。
熱回収室3には冷却水路102を流れる冷却水が流入する入口部3aと、冷却水が流出する出口部3bとがそれぞれ設けられる。入口部3aと出口部3bとはそれぞれ熱回収室3に設けられる流通空間8に連通する。また、熱回収室3にはその内部を排気通過部2の中心線方向に移動する移動部材としてのシールリング9が設けられる。シールリング9は熱回収室3を流通空間8と密封空間10とに仕切るように配置される。シールリング9が熱回収室3内を移動することによって流通空間8の容積が変化する。シールリング9は流通空間8の容積が最大となる図1に示す熱交換位置から、その容積が最小となる図3に示す熱交換制限位置までの間で移動できる。図3の熱交換制限位置にシールリング9が移動すると、流通空間8から冷却水が排除されかつ入口部3aと出口部3bとがそれぞれ塞がれる。つまり、この形態では熱交換制限位置にシールリング9が移動すると、流通空間8の容積は0となる。
図4はシールリング9の詳細を説明する平面図である。この図に示すように、シールリング9はその内周縁9aと外周縁9bとが熱回収室3の内壁よりも柔らかな合成樹脂等のシール材料で構成されていて、これにより、シールリング9と熱回収室3の内壁との間で密着が保持されて流通空間8から密封空間10への冷却水の漏れが防止されている。
排気熱回収装置1Aにはシールリング9を移動させるために流体駆動装置11が設けられる。流体駆動装置11は本発明に係る駆動手段として機能する。流体駆動装置11は密封空間10に封入される作動流体12を備える。作動流体12は排気通過部2を流れる排気との間で熱交換が可能であり、その熱交換によって体積が変化する。即ち、作動流体12へ熱が移動した場合は、温度が上昇して作動流体12の体積が増加する。なお、作動流体12の構成材料は、シールリング9を図1の熱交換位置から図3の熱交換制限位置までの間で冷却水の温度変化に連動して適切に移動できるように、適宜選択される。例えば、作動流体12の構成材料として水を選択できる。その場合には、水の沸点を境にした体積の膨張を利用してシールリング9を熱交換位置から熱交換制限位置へ移動させることができる。
シールリング9の移動タイミングは、水と他の液体とを混合した混合液を作動流体12として用い、水と他の液体との配分を調整して変化させることもできる。また、水に他の物質を溶かした水溶液を作動流体12として用い、他の物質の濃度を調整してシールリン津9の移動タイミングを変化させることもできる。図5は内燃機関の水温の変化に対するシールリング9の位置変化の一例を示している。図5に示すように、水温Twが上昇するとその上昇に伴って排気温度が上昇して、排気から作動流体12への熱移動量が増えるため、水温TwがTw1の時に作動流体12の一部が液体から気体に変化する。それにより、作動流体12の体積が増加してシールリング9は熱交換制限位置の側へ移動をはじめる。更に、水温Twが上昇すると作動流体12の気体の割合が増えてゆき、Tw2の時に完全に作動流体12が気体に変化してシールリング9が熱交換制限位置に移動する。作動流体12の組成及びその量は、排気熱回収装置1Aによる熱回収を制限すべき温度が温度Tw2となるように調整されている。なお、図示のように液体から気体への相変化を伴う材料を作動流体12として選択することは必須ではなく、例えば作動流体12として各種の気体を密封空間10に封入することもできる。
(第2の形態)
次に、図6〜図8を参照して第2の形態を説明する。図6及び図7は第2の形態に係る排気熱回収装置を示し、図6はシールリングが熱交換位置にある状態を、図7はシールリングが熱交換制限状態にある状態をそれぞれ示している。以下、第1の形態と共通する構成は同一の符号を図面に付して説明を省略する。図6及び図7に示すように、第2の形態に係る排気熱回収装置1Bは、シールリング9を駆動するために、駆動手段としての電動駆動装置15を備えている。電動駆動装置15の駆動により、シールリング9は第1の形態と同様に、図6の熱交換位置から図7の熱交換制限位置までの範囲内で移動できる。電動駆動装置15は電力を動力源とする電動アクチュエータ16とその運動をシールリング9に伝達する伝達機構17とを備えている。電動アクチュエータ16は直線運動を発生させるものでも回転運動を発生させるものでもよい。伝達機構17は電動アクチュエータ16の運動をシールリング9の直線運動へ変換できるリンク機構等の周知の機構でよい。
電動駆動装置15の制御は制御装置20にて実施される。制御装置20はマイクロプロセッサ及びその動作に必要なROM、RAM等の周辺装置を内蔵するコンピュータとして構成されていて、ROMに格納された各種プログラムを実行することにより電動駆動装置15の動作を制御する。なお、制御装置20は、内燃機関の運転状態を制御するコンピュータであるエンジンコントロールユニットと兼用させてもよい。制御装置20には内燃機関に設けられた水温センサ(不図示)からの冷却水の水温Twに対応する信号が入力される。
図8は制御装置20が行う制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。図8の制御ルーチンは内燃機関の始動に応じて開始され、所定間隔で繰り返し実行される。制御装置20は、まずステップS1において水温Twが閾値Xよりも低いか否かを判定し、水温Twが閾値Xよりも低い場合はステップS2に進み、そうでない場合はステップS4に進む。ステップS2では、制御装置20はシールリング9が熱交換位置に移動するように電動駆動装置15を制御する。これにより、流通空間8の容積が最大となって冷却水と排気との熱交換が促進される。一方、ステップS4では、制御装置20はシールリング9が熱交換制限位置に移動するように電動駆動装置15を制御する。これにより、冷却水が流通空間8から排除されるため排気からの熱回収が制限される。
ステップS3では水温Twが閾値X以上であるか否かを判定し、水温Twが閾値X以上になるまでの間、ステップS2の処理が繰り返されてシールリング9が熱交換位置に保持される。ステップS5では水温Twが目標値Yと等しいか又はそれよりも高いか否かを判定し、水温Twが目標値Yと等しい場合又はそれよりも高い場合はステップS4の処理が繰り返されてシールリング9が熱交換制限位置に保持される。目標値Yは閾値Xと等しくてもよいし異なっていてもよい。水温Twが目標値Yよりも低い場合はステップS6に進み、制御装置20はシールリング9が熱交換制限位置から熱交換位置の側へ所定量移動するように電動駆動装置15を制御する。そして、今回のルーチンを終了する。
図8の制御ルーチンによれば、水温Twの変化に連動させてシールリング9を移動できるので、水温Twに応じて冷却水と排気との熱交換の状態を変化させることができる。
本発明は以上の各形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の形態にて実施できる。上記の各形態のように、排気通過部2を内管4にて内側通路5と外側通路6とに区分し、かつ内管4に設けられた開閉弁7にて内側通路5を開閉して排気の通過状態を切り替えることは必須の構成ではない。そこで、例えば排気通過部2を単一の通路で構成して排気の通過状態を変更不能としてもよい。
また、上記の各形態では熱交換制限位置で冷却水を流通空間8から完全に排除しているが、シールリング9にて流通空間8の容積を最大から最小までの間で変化させることができればよい。つまり、熱交換制限位置において冷却水が流通空間8内にある程度残る形態で本発明を実施することもできる。
本発明の排気熱回収装置の一形態を示した図。 図1のII−II線に沿った断面図。 図1の排気熱回収装置のシールリングが熱交換制限位置に移動した状態を示した図。 シールリングの詳細図。 内燃機関の水温変化に対するシールリングの位置変化の一例を示した図。 第2の形態に係る排気熱回収装置を示した図。 図6の排気熱回収装置のシールリングが熱交換制限位置に移動した状態を示した図。 制御装置が実行する制御ルーチンの一例を示したフローチャート。
符号の説明
1A、1B 排気熱回収装置
2 排気通過部
3 熱回収室
3a 入口部
3b 出口部
8 流通空間
9 シールリング(移動部材)
10 密封空間
11 流体駆動装置(駆動手段)
12 作動流体
15 電動駆動装置(駆動手段)

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気が通過する排気通過部の外周に、前記内燃機関の冷却水が流れる熱回収室が配置され、前記排気通過部を通過する排気と前記熱回収室を流れる冷却水との間で熱交換を行う内燃機関の排気熱回収装置において、
    前記熱回収室には、冷却水が流入する入口部と、冷却水が流出する出口部と、前記入口部及び前記出口部のそれぞれに連通して冷却水が流れる流通空間と、前記流通空間の容積を変化させることができるように前記熱回収室内を移動する移動部材とが設けられていることを特徴とする内燃機関の排気熱回収装置。
  2. 前記流通空間の容積が最大となる熱交換位置から前記流通空間の容積が最小となる熱交換制限位置までの間で前記移動部材を駆動する駆動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気熱回収装置。
  3. 前記移動部材は前記熱回収室を前記流通空間と密閉空間とに仕切るようにして前記熱回収室内を移動可能な状態で配置されており、
    前記駆動手段は、前記排気通過部を通過する排気と熱交換可能な状態で前記密閉空間に封入され、かつその熱交換によって体積が変化する作動流体を備えることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気熱回収装置。
  4. 前記熱交換制限位置は、前記移動部材にて前記流通空間内から冷却水が排除され、かつ前記入口部と前記出口部とが閉鎖される位置に設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の排気熱回収装置。
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