JP2008214289A - カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ルテニウム錯体の存在下で、原料化合物であるアルコール類の脱水素反応によりカルボニル化合物を製造する方法において、該ルテニウム錯体が下記一般式(a)で表される有機リン配位子を有するカルボニル化合物の製造方法。
(Ra〜Rdはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数が1〜20である脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、A,Bはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基を表し、Xはヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。)
【選択図】 なし
Description
このような錯体触媒の熱安定性の問題を解決する方法として、リン原子を一つのみ有する単座配位子ではなく、中心金属からの配位子の解離をより抑えることができる2座、あるいはそれ以上の多座配位子等を触媒として用いたジオール類の脱水素反応によるラクトンの製造方法が提案されている(非特許文献1)。しかしながら、本触媒系ではアセトンなどの水素受容体の添加が必要であり、アルコールが副生してしまい、廃棄物の増加が問題となる。
Bull.Chem.Soc.Jpn、1982、1179〜1182 Organometallics、2005、24、2441〜2446
即ち本発明は、ルテニウム錯体の存在下で、原料化合物であるアルコール類の脱水素反応によりカルボニル化合物を製造する方法において、該ルテニウム錯体が下記一般式(a)で表される有機リン配位子を有するカルボニル化合物の製造方法に関する。
また本発明は、前記有機リン配位子が下記一般式(b)で表されるカルボニル化合物の製造方法に関する。
また本発明は、前記アルコール類が多価アルコールであるカルボニル化合物の製造方法に関する。
また本発明は、前記多価アルコールが1,4−ブタンジオールであり、前記カルボニル化合物がγ−ブチロラクトンであるカルボニル化合物の製造方法に関する。
本発明は、アルコール類を原料化合物とし、ルテニウム錯体の存在下でアルコール類を脱水素反応させてカルボニル化合物を製造する方法において、ルテニウム錯体が一般式(a)で表される有機リン配位子を有することを特徴とするものである。
この理由は必ずしも明確ではないが、以下のように推定される。
一般的に、有機リン配位子をもつルテニウム錯体においては、単座配位子を用いた錯体は触媒活性が高く、2座以上の配位子を用いた錯体は触媒活性が低い傾向がある。しかし、本発明者らの検討の結果、ルテニウム錯体に一般式(a)に示すような特定構造の2座ホスフィンを配位子として組み合わせた場合、ルテニウムからの配位子解離が抑制され、且つ、高い脱水素活性を保持することが分かった。これは、一般式(a)においてヘテロ原子を含む2価の連結基Xを存在させることにより、リン原子の結合間距離を長くすること、かつXの持つヘテロ原子の孤立電子対から中心金属(ルテニウム)への相互作用が起こることにより、中心金属からの配位子の解離が抑制され、触媒活性種として安定化し触媒の劣化が抑えられるものと考えられる。また、2座ホスフィンのリン原子の結合間距離を長くすることで触媒活性の高い単座ホスフィンと類似の配位形式に近づくと推定され、加えて、Xの持つヘテロ原子からの電子供与により中心金属の電子密度が高まり、結果として触媒活性を大きく向上させることができると考えられる。
本発明のルテニウム錯体は、下記一般式(a)で表される有機リン配位子を有する。
即ち、Ra〜Rdは脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、これらは置換基を有していてもよく、置換基を含めた炭素数が1〜20である。
また、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく特に限定されないが、例えば、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられる。また、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく特に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられる。置換基は通常、分子量が200程度以下のものを用いる。但し、脂肪族又は芳香族炭化水素基は置換基を有しないことが最も好ましい。 Ra〜Rdは互いに同一であっても異なっていてもよい。
Ra〜Rdとして特に好ましくは置換基を有していてもよいアリール基であり、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基などが挙げられる。
A,Bとして用いうるアルキレン基、シクロアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、tert−ブチレン基、sec−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−へプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロウンデシレン基、シクロドデシレン基などが挙げられる。
またA,Bは、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で置換基を有していてもよい。A、Bがアルキレン基、シクロアルキレン基である場合は、例えば、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられる。A、Bがアリーレン基である場合は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられる。置換基は通常、分子量が200程度以下のものを用いる。但し、A,Bは置換基を有しないことが最も好ましい。
A,Bとしてなかでも好ましくはアリーレン基である。リン原子間にアリーレン基を有することで適度な結合間距離が得られ、かつアリーレン基が塩基性を低下させるため、中心金属へのホスフィンの過剰な配位が抑制され、リン原子の酸化による触媒の失活を減少させることができるからである。
このような有機リン配位子として、具体的には、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジメチルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジエチルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジプロピルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジイソプロピルホスフィノフェニル)エーテル、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジメチルホスフィノ)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジエチルホスフィノ)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジプロピルホスフィノ)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)キサンテン、4,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン、4,6−ビス(ジメチルホスフィノ)フェノキサジン、4,6−ビス(ジエチルホスフィノ)フェノキサジン、4,6−ビス(ジプロピルホスフィノ)フェノキサジン、4,6−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェノキサジン等が挙げられる。
有機リン配位子としてより好ましくは、下記一般式(b)で表されるものである。
一般式(b)中、Ra〜Rdは一般式(a)で挙げたものと同様のものを用いることができる。
R1〜R8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基として、及びアルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリーロキシ基のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基部分としては、Ra〜Rdと同様のものを用いることができる。
なお、本発明では、通常1種類の有機リン配位子を用いるが、2種以上の有機リン配位子を併用することもできる。また必要に応じ、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、他の配位子を併用してもよい。
ルテニウム化合物としては、例えば、酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩、錯化合物等が挙げられる。具体的には、二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、沃化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセナト)ルテニウム、ビス(2−メチルアリル)(1、5−シクロオクタジエン)ルテニウム、テトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロロルテニウム、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ルテニウム、ジメチルブタジエンアセチルアセトナトルテニウム、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ルテニウム、ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウム、テトラカルボニウムルテニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモトリカルボニウムルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリドルテニウム、テトラ(トリフェニルホスフィン)ジヒドリドルテニウム、テトラ(メチルホスフィン)ジヒドリドルテニウム、ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)トリカルボニルルテニウム、テトラヒドリドドデカカルボニルテトラルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドトリルテニウム酸テトラフェニルフォスフォニウム等が挙げられる。これらの化合物は、市販されているものを用いてもよく、また、公知の方法により合成してもよい。
本発明のカルボニル化合物の製造方法において、反応溶液中のルテニウム錯体の濃度は、ルテニウム金属換算濃度として10重量ppm以上が好ましい。脱水素反応の反応速度を高めることができ、反応器のサイズを小さくすることができる。より好ましくは100重量ppm以上である。但し、ルテニウム金属換算濃度は100000重量ppm以下が好ましい。濃度が高すぎると反応速度も高くならず、触媒コストが増大するおそれがある。より好ましくは3000重量ppm以下である。なお、ルテニウム金属換算濃度は、ルテニウム源となる金属ルテニウム又はルテニウム化合物の仕込み量から算出することもできる。反応は通常は均一触媒反応として進行する。
ルテニウム錯体を予め調製する方法としては、例えば、水素雰囲気下、又は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、ルテニウム化合物と有機リン配位子とを、溶媒中又は溶媒非存在下で撹拌する方法がある。好ましくは水素雰囲気下である。圧力は常圧下でも加圧下でもよい。通常0.1MPa以上であり、好ましくは0.2MPa以上であり、通常5MPa以下であり、好ましくは0.9MPa以下である。撹拌温度は、通常20℃以上である。錯体調製を促進するためである。好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上である。また通常、350℃以下である。錯体の熱分解の進行を抑え調製を迅速に進めるためである。好ましくは250℃以下、より好ましくは220℃以下である。このように調製した錯体あるいは錯体溶液を、反応の原料化合物を入れた反応容器に添加することで、目的の脱水素反応を進行させることができる。
本発明のカルボニル化合物の製造方法においては、ルテニウム錯体及びpKaが2より小さい酸又はpKaが2より小さい酸の共役塩基の存在下で前記脱水素反応を行うことが好ましい。即ち、ルテニウム錯体に、pKaが2よりも小さい酸の共役塩基を助触媒として共存させることが好ましい。このような助触媒を共存させることにより、ルテニウム上に空の配位座を有するカチオン性錯体を発生させることができる。カチオン性錯体化の利点としては、触媒の安定化や触媒活性の向上等が挙げられる。
原料化合物であるアルコール類は、脱水素反応によりカルボニル化合物となりうる1価又は多価アルコールであればよく、特に限定されない。このようなアルコール類には、1級又は2級アルコール;鎖状(直鎖又は分岐)又は環状アルコール;飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコール又は芳香族アルコールなどがあり、いずれも使用することができる。このうち、炭素数1〜50のものが好ましく、炭素数1〜10のものがより好ましい。また、これらのアルコール類は、反応に悪影響を与えない範囲でアミノ基、スルフィド基、エーテル基、等のヘテロ元素を含む置換基を有していてもよい。
多価アルコールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,4−ペンタンジオール等の鎖状脂肪族アルコール;1,2−シクロヘキシルジメチロール、1,3−シクロヘキシルジメチロール、1−ヒドロキシメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシブチルシクロヘキサン等の環状脂肪族アルコール;1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1−ヒドロキシメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシブチルベンゼン、1,2−ベンジルジメチロール、1,3−ベンジルジメチロール等の芳香族アルコールなどが挙げられる。なかでも、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール等の炭素数4以上のものが、環化により5員環以上の環を形成しやすく、反応成績が良好となりやすく好ましい。
使用する溶媒としては、原料アルコール類及び生成するカルボニル化合物を溶解しうるもので反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、ジオキサン等のエーテル類(ポリエーテル類を含む);酢酸メチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボン酸アミド;ヘキサメチルリン酸トリアミド等の他のアミド化合物;N,N−ジメチルイミダゾール等の尿素類;ジメチルスルホン等のスルホン酸;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;γ−ブチロラクトン、カプロラクトン等のラクトン類;ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類等が挙げられる。なかでも好ましくは、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等のポリエーテル類である。
また、反応は常圧下、減圧下、加圧下のいずれでも行うことができ、逆反応である水素化反応を抑制し、反応をより迅速に進行させるにはより低圧が好ましい。このため通常10MPa以下であり、好ましくは1MPa以下であり、より好ましくは0.5MPa以下であり、特に好ましくは0.3MPa以下である。また反応成分を液体に保ち反応を進行しやすくするためには、圧力は通常0.0001MPa以上であり、好ましくは0.01MPa以上であり、より好ましくは0.03MPa以上であり、特に好ましくは0.08MPa以上である。
本発明の製造方法によれば、高効率・高選択率で安定的にアルコールの脱水素反応を進行させることができるため、反応系に水素受容体を存在させる必要は必ずしもないが、所望により存在させても差し支えない。水素受容体として、例えば、アセトン、ジフェニルアセチレン、ビニルメチルケトン、ベンザルアセトン、エチルメチルケトン、パラベンソキノン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、塩化ビニル、ベンゾニトリル、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのカルボニル、アルケン又はアルキン化合物などが挙げられる。
なお、実施例でのルテニウム錯体は、ルテニウム化合物と有機リン化合物を反応開始時に反応系内で生成させたものを使用した。転化率、収率及び(選択率)は、内部標準法を用いたガスクロマトグラフィーにより反応液を分析して求めた。
<実施例1>
30mL容のガラス製フラスコ中にテトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロロルテニウム13mg、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル30mg及び1,4−ブタンジオール2.5g、トリグライム2.5gを投入し、窒素ガスの存在下、0.1MPa、203℃で10時間加熱した。このとき、反応溶液中のルテニウム(Ru)の金属換算濃度は550重量ppm、Ru金属原子1原子に対するリン原子の割合は4.0モル当量(Ru金属原子1原子に対する有機リン配位子の割合が2.0モル当量)であった。得られた反応液を分析した結果、1,4−ブタンジオールの転化率は100モル%、γ−ブチロラクトンの収率は89モル%であった。
30mL容のガラス製フラスコ中にビス(2−メチルアリル)(1、5−シクロオクタジエン)ルテニウム9mg、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル30mg、パラトルエンスルホン酸10mg及び1,4−ブタンジオール2.5g、トリグライム2.5gを投入し、窒素ガスの存在下、0.1MPa、203℃で7時間加熱した。このとき、反応溶液中のルテニウム(Ru)の金属換算濃度は560重量ppm、Ru金属原子1原子に対するリン原子の割合は3.9モル当量であった。得られた反応液を分析した結果、1,4−ブタンジオールの転化率は100モル%、γ−ブチロラクトンの収率は83モル%であった。
30mL容のガラス製フラスコ中にテトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロロルテニウム14mg、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン23mg及び1,4−ブタンジオール2.5g、トリグライム2.5gを投入し、窒素ガスの存在下、0.1MPa、203℃で10時間加熱した。このとき、反応溶液中のルテニウム(Ru)の金属換算濃度は580重量ppm、Ru金属原子1原子に対するリン原子の割合は4.0モル当量であった。得られた反応液を分析した結果、1,4−ブタンジオールの転化率は39モル%、γ−ブチロラクトンの収率は2モル%であった。
30mL容のガラス製フラスコ中にテトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロロルテニウム13mg、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル35mg及び1,4−ブタンジオール2.5g、トリグライム2.5gを投入し、窒素ガスの存在下、0.1MPa、203℃で10時間加熱した。このとき、反応溶液中のルテニウム(Ru)の金属換算濃度は550重量ppm、Ru金属原子1原子に対するリン原子の割合は4.2モル当量であった。得られた反応液を分析した結果、1,4−ブタンジオールの転化率は30モル%、γ−ブチロラクトンの収率は0.2モル%であった。
30mL容のガラス製フラスコ中にビス(2−メチルアリル)(1、5−シクロオクタジエン)ルテニウム9mg、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン23mg、パラトルエンスルホン酸11mg及び1,4−ブタンジオール2.5g、トリグライム2.5gを投入し、窒素ガスの存在下、0.1MPa、203℃で7時間加熱した。このとき、反応溶液中のルテニウム(Ru)の金属換算濃度は560重量ppm、Ru金属原子1原子に対するリン原子の割合は4.1モル当量であった。得られた反応液を分析した結果、1,4−ブタンジオールの転化率は93モル%、γ−ブチロラクトンの収率は19モル%であった。
以上の結果をまとめて表1に示す。
Claims (6)
- 前記ルテニウム錯体及びpKaが2より小さい酸又は該酸の共役塩基の存在下で前記脱水素反応を行うことを特徴とする請求項1に記載のカルボニル化合物の製造方法。
- 前記Ra〜Rdがアリール基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
- 前記アルコール類が多価アルコールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
- 前記多価アルコールが1,4−ブタンジオールであり、前記カルボニル化合物がγ−ブチロラクトンであることを特徴とする請求項5に記載のカルボニル化合物の製造方法。
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