JP2008214289A - カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents

カルボニル化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱安定性が高く高活性で容易に合成可能な配位子を有するアルコール類の脱水素触媒を用いた、カルボニル化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】ルテニウム錯体の存在下で、原料化合物であるアルコール類の脱水素反応によりカルボニル化合物を製造する方法において、該ルテニウム錯体が下記一般式(a)で表される有機リン配位子を有するカルボニル化合物の製造方法。
Figure 2008214289

(Ra〜Rdはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数が1〜20である脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、A,Bはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基を表し、Xはヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、ルテニウム錯体の存在下で、アルコール類を脱水素反応によりカルボニル化合物を製造する方法に関する。
特定の遷移金属と特定の有機ホスフィンを組み合わせた触媒の存在下で、アルコール類を脱水素反応によりカルボニル化合物を製造する方法は、これまで既にいくつか提案されてきた。例えば、イリジウム−ジイソプロピルホスフィン錯体、ルテニウム−トリフェニルホスフィン錯体、及びレニウム−トリイソプロピルホスフィン錯体を触媒として、ジオール類を脱水素してラクトン化合物を得る反応が挙げられる。
しかしながら、これらの反応は、いずれも反応液中における錯体触媒の安定性が十分ではなく、錯体触媒の使用可能時間を長く保つことができない。そのため、過剰量の錯体の添加を必要とし、触媒のコストが増加してしまうことから、工業的に有利な反応とはいえない。
このような錯体触媒の熱安定性の問題を解決する方法として、リン原子を一つのみ有する単座配位子ではなく、中心金属からの配位子の解離をより抑えることができる2座、あるいはそれ以上の多座配位子等を触媒として用いたジオール類の脱水素反応によるラクトンの製造方法が提案されている(非特許文献1)。しかしながら、本触媒系ではアセトンなどの水素受容体の添加が必要であり、アルコールが副生してしまい、廃棄物の増加が問題となる。
この水素受容体の添加を必要としない方法として、2座のトリアルキルホスフィンである1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタンを配位子として用いた触媒も提案されているが(非特許文献2)、活性は十分ではなかった。そのため、錯体触媒の熱安定性が高く、より高活性で容易に合成可能な2座配位子を有するアルコール類の脱水素触媒が求められてきた。
Bull.Chem.Soc.Jpn、1982、1179〜1182 Organometallics、2005、24、2441〜2446
上記課題に鑑み、本発明は、熱安定性が高く高活性で容易に合成可能な、アルコール類の脱水素触媒を用いたカルボニル化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の有機リン配位子を有するルテニウム錯体の存在下でアルコール類の脱水素反応を行うことにより上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、ルテニウム錯体の存在下で、原料化合物であるアルコール類の脱水素反応によりカルボニル化合物を製造する方法において、該ルテニウム錯体が下記一般式(a)で表される有機リン配位子を有するカルボニル化合物の製造方法に関する。
Figure 2008214289
(R〜Rはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数が1〜20である脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、A,Bはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基を表し、Xはヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。)
また本発明は、前記ルテニウム錯体及びpKaが2より小さい酸又は該酸の共役塩基の存在下で前記脱水素反応を行うカルボニル化合物の製造方法に関する。
また本発明は、前記有機リン配位子が下記一般式(b)で表されるカルボニル化合物の製造方法に関する。
Figure 2008214289
(R〜Rはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数が1〜20である脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリーロキシ基、又はアミノ基を表し、それぞれ置換基を有していてもよい。)
また本発明は、前記R〜Rがアリール基であるカルボニル化合物の製造方法に関する。
また本発明は、前記アルコール類が多価アルコールであるカルボニル化合物の製造方法に関する。
また本発明は、前記多価アルコールが1,4−ブタンジオールであり、前記カルボニル化合物がγ−ブチロラクトンであるカルボニル化合物の製造方法に関する。
本発明に係わる有機リン配位子は容易に合成し得、またこの有機リン配位子を有するルテニウム錯体は熱安定性が高く、アルコール類の脱水素触媒として高活性である利点がある。従って、本ルテニウム錯体の存在下でアルコール類の脱水素反応を行うと、高効率で長時間、安定的にカルボニル化合物を製造できる利点がある。また、単座配位子を有するルテニウム錯体を用いる場合に比べて、製造コストを削減できる利点がある。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されない。以下、その詳細について説明する。
本発明は、アルコール類を原料化合物とし、ルテニウム錯体の存在下でアルコール類を脱水素反応させてカルボニル化合物を製造する方法において、ルテニウム錯体が一般式(a)で表される有機リン配位子を有することを特徴とするものである。
本発明の製造方法によれば、脱水素反応中の錯体の安定性が高く、このため高効率で長時間、安定的にアルコール類からカルボニル化合物を製造することができる。
この理由は必ずしも明確ではないが、以下のように推定される。
一般的に、有機リン配位子をもつルテニウム錯体においては、単座配位子を用いた錯体は触媒活性が高く、2座以上の配位子を用いた錯体は触媒活性が低い傾向がある。しかし、本発明者らの検討の結果、ルテニウム錯体に一般式(a)に示すような特定構造の2座ホスフィンを配位子として組み合わせた場合、ルテニウムからの配位子解離が抑制され、且つ、高い脱水素活性を保持することが分かった。これは、一般式(a)においてヘテロ原子を含む2価の連結基Xを存在させることにより、リン原子の結合間距離を長くすること、かつXの持つヘテロ原子の孤立電子対から中心金属(ルテニウム)への相互作用が起こることにより、中心金属からの配位子の解離が抑制され、触媒活性種として安定化し触媒の劣化が抑えられるものと考えられる。また、2座ホスフィンのリン原子の結合間距離を長くすることで触媒活性の高い単座ホスフィンと類似の配位形式に近づくと推定され、加えて、Xの持つヘテロ原子からの電子供与により中心金属の電子密度が高まり、結果として触媒活性を大きく向上させることができると考えられる。
このため、本発明に係わるルテニウム錯体は、アルコール類の脱水素反応を行い、カルボニル化合物を製造する方法において、従来困難であった低触媒劣化と高触媒活性との両立を達成しうる優れた錯体であると考えられる。
本発明のルテニウム錯体は、下記一般式(a)で表される有機リン配位子を有する。
Figure 2008214289
一般式(a)中、R〜Rはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数が1〜20である脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、A,Bはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基を表し、Xはヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。
即ち、R〜Rは脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、これらは置換基を有していてもよく、置換基を含めた炭素数が1〜20である。
脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基等が挙げられるが、好ましくはアルキル基又はシクロアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基として好ましくはアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。なかでもフェニル基が好ましい。
また、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく特に限定されないが、例えば、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられる。また、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく特に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられる。置換基は通常、分子量が200程度以下のものを用いる。但し、脂肪族又は芳香族炭化水素基は置換基を有しないことが最も好ましい。 R〜Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。
これら脂肪族又は芳香族炭化水素基のなかでも好ましくは芳香族炭化水素基である。リン原子上に芳香族炭化水素基を有することで立体障害が発生し、かつ芳香族炭化水素が塩基性を低下させるため、中心金属へのホスフィンの過剰な配位が抑制され、リン原子の酸化による触媒の失活を減少させることができるからである。
〜Rとして特に好ましくは置換基を有していてもよいアリール基であり、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基などが挙げられる。
一般式(a)中、A、Bはそれぞれ独立してアルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基を表す。これらは更に置換基を有していてもよい。
A,Bとして用いうるアルキレン基、シクロアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、tert−ブチレン基、sec−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−へプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロウンデシレン基、シクロドデシレン基などが挙げられる。
A,Bとして用いうるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。なかでもフェニレン基が好ましい。
またA,Bは、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で置換基を有していてもよい。A、Bがアルキレン基、シクロアルキレン基である場合は、例えば、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられる。A、Bがアリーレン基である場合は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられる。置換基は通常、分子量が200程度以下のものを用いる。但し、A,Bは置換基を有しないことが最も好ましい。
A,Bは同一であっても異なっていてもよい。
A,Bとしてなかでも好ましくはアリーレン基である。リン原子間にアリーレン基を有することで適度な結合間距離が得られ、かつアリーレン基が塩基性を低下させるため、中心金属へのホスフィンの過剰な配位が抑制され、リン原子の酸化による触媒の失活を減少させることができるからである。
A,Bとして特に好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基であり、例えば、フェニレン基、2−メチルフェニレン基、3−メチルフェニレン基、4−メチルフェニレン基、2,3‐ジメチルフェニレン基、2,4‐ジメチルフェニレン基、2,5−ジメチルフェニレン基、2,6−ジメチルフェニレン基、2−エチルフェニレン基、2−イソプロピルフェニレン基、2‐t‐ブチルフェニレン基、2,4−ジ−t−ブチルフェニレン基などが挙げられる。
一般式(a)中、Xはヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。好ましくは−O−、−S−、−NH−のいずれかである。配位子の調製がしやすい利点がある。なかでも好ましくは−O−である。
このような有機リン配位子として、具体的には、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジメチルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジエチルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジプロピルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジイソプロピルホスフィノフェニル)エーテル、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジメチルホスフィノ)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジエチルホスフィノ)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジプロピルホスフィノ)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)キサンテン、4,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン、4,6−ビス(ジメチルホスフィノ)フェノキサジン、4,6−ビス(ジエチルホスフィノ)フェノキサジン、4,6−ビス(ジプロピルホスフィノ)フェノキサジン、4,6−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェノキサジン等が挙げられる。
特に好ましくはビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジメチルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジエチルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジプロピルホスフィノフェニル)エーテル、ビス(2−ジイソプロピルホスフィノフェニル)エーテルである。
有機リン配位子としてより好ましくは、下記一般式(b)で表されるものである。
Figure 2008214289
一般式(b)中、R〜Rはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数が1〜20である脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリーロキシ基、又はアミノ基を表し、それぞれ置換基を有していてもよい。
一般式(b)中、R〜Rは一般式(a)で挙げたものと同様のものを用いることができる。
〜Rは、それぞれ独立して水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリーロキシ基、又はアミノ基を表し、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、それぞれ置換基を有していてもよい。好ましくは、R〜Rは、置換基を含めた炭素数が1〜20である。
〜Rのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基として、及びアルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリーロキシ基のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基部分としては、Ra〜Rdと同様のものを用いることができる。
〜Rの有しうる置換基も前記R〜Rと同様である。あるいは、RとR、又はRとRがそれぞれ結合して環状構造を形成していてもよい。
なお、本発明では、通常1種類の有機リン配位子を用いるが、2種以上の有機リン配位子を併用することもできる。また必要に応じ、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、他の配位子を併用してもよい。
本発明におけるルテニウム錯体の調製方法は特に限定されない。調製の際には、金属ルテニウム及びルテニウム化合物のいずれも用いることができる。
ルテニウム化合物としては、例えば、酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩、錯化合物等が挙げられる。具体的には、二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、沃化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセナト)ルテニウム、ビス(2−メチルアリル)(1、5−シクロオクタジエン)ルテニウム、テトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロロルテニウム、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ルテニウム、ジメチルブタジエンアセチルアセトナトルテニウム、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ルテニウム、ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウム、テトラカルボニウムルテニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモトリカルボニウムルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリドルテニウム、テトラ(トリフェニルホスフィン)ジヒドリドルテニウム、テトラ(メチルホスフィン)ジヒドリドルテニウム、ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)トリカルボニルルテニウム、テトラヒドリドドデカカルボニルテトラルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドトリルテニウム酸テトラフェニルフォスフォニウム等が挙げられる。これらの化合物は、市販されているものを用いてもよく、また、公知の方法により合成してもよい。
なかでも錯化合物が好ましく、特に好ましくは、トリス(アセチルアセナト)ルテニウム、ビス(2−メチルアリル)(1、5−シクロオクタジエン)ルテニウム、テトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロロルテニウムである。
本発明のカルボニル化合物の製造方法において、反応溶液中のルテニウム錯体の濃度は、ルテニウム金属換算濃度として10重量ppm以上が好ましい。脱水素反応の反応速度を高めることができ、反応器のサイズを小さくすることができる。より好ましくは100重量ppm以上である。但し、ルテニウム金属換算濃度は100000重量ppm以下が好ましい。濃度が高すぎると反応速度も高くならず、触媒コストが増大するおそれがある。より好ましくは3000重量ppm以下である。なお、ルテニウム金属換算濃度は、ルテニウム源となる金属ルテニウム又はルテニウム化合物の仕込み量から算出することもできる。反応は通常は均一触媒反応として進行する。
ルテニウムに対する有機リン配位子の配合量は、ルテニウム金属1モルに対して通常0.1モル当量以上となるようにする。有機リン配位子の量がこれより多いほど錯体の触媒活性が高まる傾向にある。好ましくは1モル当量以上、更に好ましくは2モル当量以上である。また、通常は1000モル当量以下とする。あまり多くても触媒活性はそれ以上高まらずコストがかかるためである。好ましくは100モル当量以下、さらに好ましくは20モル当量以下とする。
本発明の製造方法においては、金属ルテニウム又はルテニウム化合物や有機リン配位子からルテニウム錯体を予め調製した後、脱水素反応系内に添加して反応を行ってもよい。或いは、金属ルテニウム又はルテニウム化合物や有機リン配位子を、脱水素反応を行う反応系内に存在させ、反応系内でルテニウム錯体を生成させてもよい。
ルテニウム錯体を予め調製する方法としては、例えば、水素雰囲気下、又は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、ルテニウム化合物と有機リン配位子とを、溶媒中又は溶媒非存在下で撹拌する方法がある。好ましくは水素雰囲気下である。圧力は常圧下でも加圧下でもよい。通常0.1MPa以上であり、好ましくは0.2MPa以上であり、通常5MPa以下であり、好ましくは0.9MPa以下である。撹拌温度は、通常20℃以上である。錯体調製を促進するためである。好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上である。また通常、350℃以下である。錯体の熱分解の進行を抑え調製を迅速に進めるためである。好ましくは250℃以下、より好ましくは220℃以下である。このように調製した錯体あるいは錯体溶液を、反応の原料化合物を入れた反応容器に添加することで、目的の脱水素反応を進行させることができる。
脱水素反応の直前に反応容器内で錯体を調製する場合も、上述のような条件で錯体を調製すればよく、調製後に反応の原料化合物を加えることで、目的の脱水素反応を進行させることができる。
本発明のカルボニル化合物の製造方法においては、ルテニウム錯体及びpKaが2より小さい酸又はpKaが2より小さい酸の共役塩基の存在下で前記脱水素反応を行うことが好ましい。即ち、ルテニウム錯体に、pKaが2よりも小さい酸の共役塩基を助触媒として共存させることが好ましい。このような助触媒を共存させることにより、ルテニウム上に空の配位座を有するカチオン性錯体を発生させることができる。カチオン性錯体化の利点としては、触媒の安定化や触媒活性の向上等が挙げられる。
pKaが2よりも小さい酸の共役塩基を与える化合物としては、通常pKaが2よりも小さいブレンステッド酸又はその塩を用いることができる。例えば、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、ヘキサフルオロリン酸、フルオロスルホン酸等の無機塩;トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ドデシルスルホン酸、オクタデシルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の有機酸;これら無機塩や有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、銀塩などが挙げられる。また、これらの酸の共役塩基を与え得る化合物、例えば酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル、酸アミドなどを用いることもできる。特に好ましくは有機酸又はその塩であり、なかでも好ましくはスルホン酸類又はその塩であり、特に好ましくはパラトルエンスルホン酸又はその塩である。
これらpKaが2よりも小さな酸の共役塩基を与える化合物は、ルテニウム金属に対して通常0.1倍モル以上となるよう用いる。触媒を安定化させ触媒活性を向上させるためである。好ましくは0.5倍モル以上とする。また、この化合物はルテニウム金属に対して通常100倍モル以下となるように用いる。脱水反応などの副反応を抑制し、反応選択率を向上させる効果がある。好ましくは10倍モル以下とする。
次に本発明のアルコール類の脱水素反応によるカルボニル化合物の製造方法について説明する。
原料化合物であるアルコール類は、脱水素反応によりカルボニル化合物となりうる1価又は多価アルコールであればよく、特に限定されない。このようなアルコール類には、1級又は2級アルコール;鎖状(直鎖又は分岐)又は環状アルコール;飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコール又は芳香族アルコールなどがあり、いずれも使用することができる。このうち、炭素数1〜50のものが好ましく、炭素数1〜10のものがより好ましい。また、これらのアルコール類は、反応に悪影響を与えない範囲でアミノ基、スルフィド基、エーテル基、等のヘテロ元素を含む置換基を有していてもよい。
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール等の1級の飽和アルコール;2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノール等の2級の飽和アルコール;シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、シクロノナノール、シクロデカノール、等の環状アルコール;アリルアルコール、1−ブテノール、1−ペンテノール、1−ヘキセノール、1−ヘプテノール、1−オクテノール、1−ノネノール、1−デセノール等の1級の不飽和脂肪族アルコール;2−ブテノール、2−ペンテノール、2−ヘキセノール、3−ヘキセノール、2−ヘプテノール、3−ヘプテノール、2−オクテノール、3−オクテノール、4−オクテノール、2−ノネノール、3−ノネノール、4−ノネノール、2−デセノール、3−デセノール、4−デセノール、5−デセノール等の2級の不飽和脂肪族アルコール;フェネチルアルコール、2−フェネチルアルコール等の芳香族アルコール;メタノールアミン、エタノールアミン等のアミノアルコールなどが挙げられる。なお、不飽和脂肪族アルコールの場合、不飽和結合の位置は任意である。
なかでもシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール等の炭素数6以上の環状アルコールは、エステルオリゴマーなどの高沸点副生物が生成しにくいため反応成績が良好となりやすく好ましい。
多価アルコールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,4−ペンタンジオール等の鎖状脂肪族アルコール;1,2−シクロヘキシルジメチロール、1,3−シクロヘキシルジメチロール、1−ヒドロキシメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシブチルシクロヘキサン等の環状脂肪族アルコール;1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1−ヒドロキシメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシブチルベンゼン、1,2−ベンジルジメチロール、1,3−ベンジルジメチロール等の芳香族アルコールなどが挙げられる。なかでも、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール等の炭素数4以上のものが、環化により5員環以上の環を形成しやすく、反応成績が良好となりやすく好ましい。
アルコール類として、好ましくは多価アルコールである。特に2価アルコールの使用が好ましく、2価の鎖状脂肪族アルコールがより好ましく、2価の鎖状飽和アルコールが更に好ましい。また炭素数4〜10のものがより好ましい。最も好ましいのは1,4−ブタンジオールである。2価アルコールでは、本発明の製造方法により、分子内環化反応が進行し、カルボニル化合物として有用なラクトン類を生成しうる利点がある。なかでも2価の鎖状脂肪族アルコールが反応しやすく好ましい。特に、1,4−ブタンジオールは反応により安定な5員環を形成するため反応成績が良好で、かつラクトン類としても用途が広く特に有用なγ−ブチロラクトンを得る事ができ、好ましい。
原料化合物であるアルコール類及び生成するカルボニル化合物が液体である場合は、溶媒は必ずしも必要としないが、反応系内の触媒成分を含む各成分を均一相に保持するために存在させることが望ましい。また原料化合物や生成するカルボニル化合物が固体の場合も溶媒の使用が好ましい。
使用する溶媒としては、原料アルコール類及び生成するカルボニル化合物を溶解しうるもので反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、ジオキサン等のエーテル類(ポリエーテル類を含む);酢酸メチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボン酸アミド;ヘキサメチルリン酸トリアミド等の他のアミド化合物;N,N−ジメチルイミダゾール等の尿素類;ジメチルスルホン等のスルホン酸;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;γ−ブチロラクトン、カプロラクトン等のラクトン類;ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類等が挙げられる。なかでも好ましくは、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等のポリエーテル類である。
脱水素反応によるカルボニル化合物の製造を行う際の温度は、通常20℃以上である。反応速度を上げ生産性を高めることが出来る。好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上である。一方、錯体の劣化を抑えるために通常は350℃以下の温度で反応させる。好ましくは250℃以下、更に好ましくは220℃以下であるまた、反応時間は通常、1〜24時間であり、好ましくは2〜15時間である。
脱水素反応は、例えば、大気、水素ガス;二酸化炭素ガス;メタン、エタン、ブタン等の炭化水素ガス;窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの存在下で行うことができる。脱水素反応を促進させるためには、生成する水素の放出を行いながら反応を実施するのが好ましい。例えば、系を開放系として、生成する水素を抜き出しながら反応させる。
また、反応は常圧下、減圧下、加圧下のいずれでも行うことができ、逆反応である水素化反応を抑制し、反応をより迅速に進行させるにはより低圧が好ましい。このため通常10MPa以下であり、好ましくは1MPa以下であり、より好ましくは0.5MPa以下であり、特に好ましくは0.3MPa以下である。また反応成分を液体に保ち反応を進行しやすくするためには、圧力は通常0.0001MPa以上であり、好ましくは0.01MPa以上であり、より好ましくは0.03MPa以上であり、特に好ましくは0.08MPa以上である。
なお、脱水素反応、水素化反応ともに回分方式及び連続方式のいずれでも実施することができる。
本発明の製造方法によれば、高効率・高選択率で安定的にアルコールの脱水素反応を進行させることができるため、反応系に水素受容体を存在させる必要は必ずしもないが、所望により存在させても差し支えない。水素受容体として、例えば、アセトン、ジフェニルアセチレン、ビニルメチルケトン、ベンザルアセトン、エチルメチルケトン、パラベンソキノン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、塩化ビニル、ベンゾニトリル、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのカルボニル、アルケン又はアルキン化合物などが挙げられる。
本発明の製造方法によれば、原料化合物であるアルコール類に対応したカルボニル化合物が高収率かつ高選択率で得られる。例えば、ホルムアルデヒド、エタナール、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール等のアルデヒド類、2−プロパノン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、アセチルアセトン等のジケトン類、ギ酸エチル、酢酸エチル等のエステル類、γ−ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類を得ることができる。なかでもγ−ブチロラクトンの製造に適する。特に本発明によれば1,4−ブタンジオールの脱水素反応によるγ−ブチロラクトンの製造を高収率かつ高選択率で行うことができ、例えば90モル%以上の1,4−ブタンジオール転化率や、80モル%以上のγ−ブチロラクトンの収率を挙げることも可能である。
また、本発明によって得られるカルボニル化合物、特にラクトン化合物は、アルキルアミン類と反応させて、ピロリドン類を製造することができる。例えば、γ−ブチロラクトンとメチルアミンとを反応させて、N−メチルピロリドンを製造し、洗浄剤、溶剤等として工業的に広く用いることができる。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例でのルテニウム錯体は、ルテニウム化合物と有機リン化合物を反応開始時に反応系内で生成させたものを使用した。転化率、収率及び(選択率)は、内部標準法を用いたガスクロマトグラフィーにより反応液を分析して求めた。
<実施例1>
30mL容のガラス製フラスコ中にテトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロロルテニウム13mg、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル30mg及び1,4−ブタンジオール2.5g、トリグライム2.5gを投入し、窒素ガスの存在下、0.1MPa、203℃で10時間加熱した。このとき、反応溶液中のルテニウム(Ru)の金属換算濃度は550重量ppm、Ru金属原子1原子に対するリン原子の割合は4.0モル当量(Ru金属原子1原子に対する有機リン配位子の割合が2.0モル当量)であった。得られた反応液を分析した結果、1,4−ブタンジオールの転化率は100モル%、γ−ブチロラクトンの収率は89モル%であった。
<実施例2>
30mL容のガラス製フラスコ中にビス(2−メチルアリル)(1、5−シクロオクタジエン)ルテニウム9mg、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル30mg、パラトルエンスルホン酸10mg及び1,4−ブタンジオール2.5g、トリグライム2.5gを投入し、窒素ガスの存在下、0.1MPa、203℃で7時間加熱した。このとき、反応溶液中のルテニウム(Ru)の金属換算濃度は560重量ppm、Ru金属原子1原子に対するリン原子の割合は3.9モル当量であった。得られた反応液を分析した結果、1,4−ブタンジオールの転化率は100モル%、γ−ブチロラクトンの収率は83モル%であった。
<比較例1>
30mL容のガラス製フラスコ中にテトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロロルテニウム14mg、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン23mg及び1,4−ブタンジオール2.5g、トリグライム2.5gを投入し、窒素ガスの存在下、0.1MPa、203℃で10時間加熱した。このとき、反応溶液中のルテニウム(Ru)の金属換算濃度は580重量ppm、Ru金属原子1原子に対するリン原子の割合は4.0モル当量であった。得られた反応液を分析した結果、1,4−ブタンジオールの転化率は39モル%、γ−ブチロラクトンの収率は2モル%であった。
<比較例2>
30mL容のガラス製フラスコ中にテトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロロルテニウム13mg、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル35mg及び1,4−ブタンジオール2.5g、トリグライム2.5gを投入し、窒素ガスの存在下、0.1MPa、203℃で10時間加熱した。このとき、反応溶液中のルテニウム(Ru)の金属換算濃度は550重量ppm、Ru金属原子1原子に対するリン原子の割合は4.2モル当量であった。得られた反応液を分析した結果、1,4−ブタンジオールの転化率は30モル%、γ−ブチロラクトンの収率は0.2モル%であった。
<比較例3>
30mL容のガラス製フラスコ中にビス(2−メチルアリル)(1、5−シクロオクタジエン)ルテニウム9mg、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン23mg、パラトルエンスルホン酸11mg及び1,4−ブタンジオール2.5g、トリグライム2.5gを投入し、窒素ガスの存在下、0.1MPa、203℃で7時間加熱した。このとき、反応溶液中のルテニウム(Ru)の金属換算濃度は560重量ppm、Ru金属原子1原子に対するリン原子の割合は4.1モル当量であった。得られた反応液を分析した結果、1,4−ブタンジオールの転化率は93モル%、γ−ブチロラクトンの収率は19モル%であった。
以上の結果をまとめて表1に示す。
Figure 2008214289
以上より、実施例1,2では1,4−ブタンジオールの転化率及びγ−ブチロラクトンの収率のいずれも高く反応成績が良いのに対して、比較例1〜3では反応成績が劣ることがわかる。

Claims (6)

  1. ルテニウム錯体の存在下で、原料化合物であるアルコール類の脱水素反応によりカルボニル化合物を製造する方法において、該ルテニウム錯体が下記一般式(a)で表される有機リン配位子を有することを特徴とするカルボニル化合物の製造方法。
    Figure 2008214289
    (R〜Rはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数が1〜20である脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、A,Bはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基を表し、Xはヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。)
  2. 前記ルテニウム錯体及びpKaが2より小さい酸又は該酸の共役塩基の存在下で前記脱水素反応を行うことを特徴とする請求項1に記載のカルボニル化合物の製造方法。
  3. 前記有機リン配位子が下記一般式(b)で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載のカルボニル化合物の製造方法。
    Figure 2008214289

    (R〜Rはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数が1〜20である脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリーロキシ基、又はアミノ基を表し、それぞれ置換基を有していてもよい。)
  4. 前記R〜Rがアリール基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
  5. 前記アルコール類が多価アルコールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
  6. 前記多価アルコールが1,4−ブタンジオールであり、前記カルボニル化合物がγ−ブチロラクトンであることを特徴とする請求項5に記載のカルボニル化合物の製造方法。
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