JP2008212520A - 座体跳ね上げ式椅子 - Google Patents

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Abstract

【課題】座体の上向き停止位置と、ねじりコイルばねの付勢力との両方の調整を行いうるようにするとともに、それらの調整を、脚柱前方の開放空間より容易に行いうるようにする。
【解決手段】脚柱1の内側面に後端部が取付けられた1対のブラケット6、両ブラケット6の前端部に後端部が枢着された、座体を支持する1対の回動ブラケット7と、ブラケット6の収容部18に収容されたねじりコイルばね19とにより、座体支持ユニット8を構成し、ブラケット6における脚柱1よりも前方に突出する部分に、ねじりコイルばね19の一端側の足片19aを、ねじり荷重が大となる方向に押圧可能な、めねじ孔28に螺合された調整ねじ29と、回動ブラケット7に突設したストッパピン41と当接することにより、座体の上向き停止位置を調整可能な、第2のめねじ孔47に螺合された第2の調整ねじ49とを設ける。
【選択図】 図8

Description

本発明は、例えば劇場や各種競技場の観覧席、講義室、ホール等において使用される座体跳ね上げ式の椅子に関する。
この種の座体跳ね上げ式の椅子の中には、不使用時における座体の上向き停止位置を調整しうるようにしたものや、不使用時に座体を自動的に跳ね上げるばねの付勢力を調整しうるようにしたものがある(例えば特許文献1〜3参照)。
実開昭62−182652号公報 特開平11−178669号公報 特開平2006−152544号公報
上記特許文献1に記載されている椅子は、不使用時の座体の上向き停止位置のみを、特許文献2及び3に記載の椅子は、座体を自動的に跳ね上げるねじりコイルばねの付勢力のみを、それぞれ調整可能としたものであるため、それらの両方を調整することはできない。
また、上記特許文献1〜3に記載の椅子は、いずれも、座体を支持している枢軸が、左右の脚体(脚柱)の対向面間に配設され、かつこの枢軸に、ねじりコイルばねが直接嵌合されているため、座体の上向き停止位置調整用と、ねじりコイルばねの付勢力調整用の2つの調整手段を設けることは、スペース的に難しく、しかも、調整手段を操作する作業空間が狭いので、作業性が悪い。
さらに、上記特許文献1に記載されている椅子においては、座体が不使用位置に回動したとき、座体を上向きに付勢するねじりコイルばねと、ストッパに設けた圧縮コイルばねとの付勢力をバランスさせて、座体を上向きの定位置に停止させるようになっているため、双方のばねがへたるなどして、両者の付勢力に少しでも差が生じると、座体の不使用位置での停止位置がずれ、左右方向に並ぶ座体の停止位置が不揃いとなって、見栄えが悪くなる。
特許文献2に記載の椅子は、座体の上向き付勢力を調整する際に、ねじりコイルばねの一端部を、複数設けた係合孔(溝部)から一旦抜き去り、いずれかの係合孔を選択して再係合させなければならないので、その作業が面倒であり、劇場等に多数設置される椅子を個別に調整しようとすると、多くの時間を要する。
さらに、上記特許文献2及び3に記載の椅子におけるねじりコイルばねは、外部に露呈して組み付けられているので、特に、椅子を跳ね上げた際の見栄えが悪い。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、座体の上向き停止位置と、ねじりコイルばねの付勢力との両方の調整を行いうるようにするとともに、それらの調整を、脚柱前方の開放空間より容易に行いうるようにし、かつねじりコイルばねや調整手段が外部に露呈しないようにして、見栄えを向上させうるようにした、座体跳ね上げ式椅子を提供することを目的としている。
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)左右の脚柱により、座体を、ほぼ水平をなす使用位置と、前上方を向く不使用位置との間を回動しうるように支持し、かつ付勢手段により、前記座体を、使用位置から不使用位置に自動的に回動させうるようにしてなる座体跳ね上げ式椅子において、前記脚柱よりも前方に突出するようにして、その内側面に後端部が取付けられた1対のブラケットと、両ブラケットにおける前端部の内側面に後端部が枢着された、前記座体後部の両側部を支持する1対の回動ブラケットと、少なくといずれか一方のブラケットと回動ブラケットとの対向面間に設けた収容部に収容された、前記付勢手段としてのねじりコイルばねとにより、座体支持ユニットを構成し、この座体支持ユニットにおける前記脚柱よりも前方に突出する部分に、前記ねじりコイルばねの一端側の足片を、ねじり荷重が大となる方向に押圧可能な付勢力調整手段と、前記ブラケットと回動ブラケットとの対向面のいずれか一方に突設したストッパ部材と当接することにより、前記座体の上向き停止位置を調整可能な停止位置調整手段とを設ける。
(2)上記(1)項において、付勢力調整手段を、ブラケットまたは回動ブラケットに設けられ、それらの外面と、ねじりコイルばねの収容部とに開口するめねじ孔と、このめねじ孔に螺合され、先端により前記ねじりコイルばねの一端側の足片を押圧可能な調整ねじとからなるものとし、停止位置調整手段を、前記ブラケットまたは回動ブラケットにおける前記めねじ孔と離間する位置に設けられ、それらの外面と、ストッパ部材が回動しうるように、ブラケットまたは回動ブラケットに設けられた円弧状の案内凹部の一端部内とに開口する第2のめねじ孔と、この第2のめねじ孔に螺合され、先端に前記ストッパ部材が当接しうる第2の調整ねじとからなるものとする。
(3)上記(2)項において、双方のめねじ孔を、ブラケットまたは回動ブラケットの上部に、上方に開口するようにして設ける。
(4)上記(2)または(3)項において、ブラケットを、内側面が開口するケース状に形成し、このブラケットの前端部内に、ねじりコイルばねの収容部と、案内凹部と、双方のめねじ孔を設け、かつ回動ブラケットの側面に、前記案内凹部に遊嵌されるストッパ部材を突設する。
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、ストッパ部材に、緩衝材を設ける。
(6)上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、脚柱の内側面と、ブラケットの外側面とのいずれか一方に、複数の突部を、かつ他方に、前記突部に嵌合する凹部を設ける。
請求項1記載の発明によれば、脚柱に取付けたブラケットと、それに枢着した座体支持用の回動ブラケットとよりなる座体支持ユニットに、ねじりコイルばねの付勢力調整手段と、座体の上向きの停止位置調整手段との2つの調整手段を設けたことにより、座体の跳ね上げ力と、座体不使用時の上向きの停止位置との両方を調整することができる。
また、付勢力調整手段と停止位置調整手段は、座体支持ユニットにおける脚柱よりも前方に突出する部分に設けられているので、それらを、脚柱の前方の開放空間から容易に操作することができる。
さらに、回動ブラケットは、その後端部がブラケットの前端部に枢着されているので、ブラケット、回動ブラケット、ねじりコイルばね、及び2つの調整手段を予め組付けてユニット化し、ブラケットの後端部を脚柱の内側面に固定するだけでよく、座体支持ユニットの組付作業が能率的となる。
さらにまた、座体支持ユニットは、2つのブラケットを備え、かつそれらの対向面間の収容部に、ねじりコイルばねを収容しているので、このばねの組付けが容易であるとともに、外部に露呈しないので、見栄えがよい。
請求項2記載の発明によれば、双方のめねじ孔に螺合した調整ねじを回動操作するだけで、ねじりコイルばねの付勢力、すなわち座体の跳ね上げ力と、座体不使用時の上向き停止位置とを、容易に微調整することができる。
また、双方の調整ねじは、各めねじ孔内に螺合され、外部に露呈しないので、見栄えがよい。
請求項3記載の発明によれば、双方のめねじ孔は、上方に開口しているので、それらに螺合した調整ねじを、上方から極めて容易に回動操作することができる。
請求項4記載の発明によれば、ブラケットを、内側面が開口するケース状に形成し、その前端部内に、ねじりコイルばねの収容部と、案内凹部と、双方のめねじ孔を設けたことにより、回動ブラケットを、ストッパ部材が突設された、座体を支持するだけの簡単な形状とすることができるとともに、ブラケットは不動であるため、両調整手段の調整作業が容易である。
請求項5記載の発明によれば、ストッパ部材が、第2の調整ねじ、及びそれと反対側の案内凹部の端部に当接して停止した際の衝撃音を、小さくすることができる。
請求項6記載の発明によれば、脚柱にブラケットを取付ける際の位置決めが容易となるとともに、前方に突出するようにして脚柱に取付けたブラケットの後端部に作用する下向きの回転モーメントを、突部と凹部とにより受けることができるので、ブラケットの後端部の脚柱に対する取付強度を大とすることができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した座体跳ね上げ式の連結椅子の使用状態の斜視図、図2は、同じく、座体が跳ね上がった不使用状態の斜視図、図3は、同じく、拡大側面図である。
連結椅子は、床面にアンカボルト等により所定間隔おきに固定された左右複数(実施形態では4本)の脚柱1における互いに隣接するものの間に、複数(3個)の単体椅子2を取付けて構成されている。
各脚柱1は、例えばアルミニウム合金により、上部が後傾するように成形され、その上端には、上面にクッション材よりなる肘当て3が取付けられた肘掛け4が、前向きに一体的に連設されている。
各単体椅子2は、互いに隣接する脚柱1の後端部の対向面(内側面)に、若干後傾させて下半部が固定された背凭れ5と、両脚柱1の中間部の内側面に固着された前方を向く左右1対のブラケット6及びそれらの前端部に後端部が枢着された左右1対の回動ブラケット7とを備える座体支持ユニット8により、上向きに回動可能に後端部の左右両側部が支持された座体9とからなっている。
図4〜図7は、座体支持ユニット8の詳細を示す斜視図で、図4と図5は、脚柱1に座体支持ユニット8を取付ける前の状態を、それぞれ左右反対方向より見た分解斜視図、図6と図7は、脚柱1に座体支持ユニット8を取付けた後の状態を左右反対方向より見た斜視図である。なお、各単体椅子2の座体9を支持している左右の脚柱1及び左右1対の座体支持ユニット8は、左右勝手違いで、同一構造であるため、以下の説明は、正面視左側の1個の脚柱1及びその内側面に取り付けられる座体支持ユニット8についてのみ行い、他のものの詳細な説明は省略する。
図4及び図5に示すように、ブラケット6は、例えばアルミニウム合金等のダイカスト製品であり、前後方向を向く側壁10と、その外周縁に内向きに連設された、前面が円弧面をなす周壁11とにより、内側方に開口するケース状に形成されている。周壁11により囲まれた側壁10の後側の内面には、補強用の複数のリブ12と突部13が突設されている。
図10の断面図にも示すように、側壁10の前部側の内側面には、内側方に開口する軸孔14を有する筒部15が、左右方向内向きに突設されている。
また、側壁10の前部側の内側面には、筒部15を囲むようにして、厚肉部16が形成され、この厚肉部16には、筒部15を中心とする円弧状の1対の案内凹部17、17が、筒部15を挟んで対向するように形成されている(図8参照)。この両案内凹部17は、詳細は後述するが、座体9の上下方向の回動範囲を規制するものである。筒部15と厚肉部16との間には、ねじりコイルばね19が遊嵌される収容部としての嵌合溝18が形成されている。
図5に示すように、ブラケット6の側壁10の外側面には、筒部15と同心をなす円形凹部20が形成され、この円形凹部20内の側壁10には、回動ブラケット7取付用のボルト21と、円筒形スペーサ22とが嵌合される通孔23が、筒部15と同心をなして軸孔14と連通するように穿設されている。
24は、円形凹部20に対する円形カバーで、その内側面に突設された3個の係合片25を、円形凹部20内の側壁10に穿設された3個の係合孔26に嵌合することにより、円形凹部20に止着されるようになっている(図10参照)。
ねじりコイルばね19の一端側(外側端側)の足片19aは、円形凹部20内の側壁10に穿設された、上下方向を向いて円弧状をなす掛止長孔27に、上下に移動可能に嵌合して掛止され(図11参照)、同じく他端側(内側端側)の足片19bは、回動ブラケット7に設けられた後記する掛止孔43に掛止されるようになっている。
ブラケット6の前後方向の中間部には、掛止長孔27の上方の厚肉部16と周壁11を貫通する上下方向を向くめねじ孔28が、掛止長孔27の上端と連通するようにして穿設され、このめねじ孔28には、上面に六角孔(図示略)を有する調整ねじ29が、その下端がねじりコイルばね19の足片19aの上面と当接しうるように螺合されている(図11参照)。
図4及び図8の拡大図に示すように、ブラケット6の後部には、左右方向を向く3個の取付孔30が貫設され、また、脚柱1の中間部の内側面における前部寄りに突設された3個の内向突部31には、内方に開口するめねじ孔32が、各取付孔30と整合するようにして形成されている。
図5に示すように、上下の取付孔30間の側壁10には、上下2個の位置決め孔33、33が穿設され、両位置決め孔33は、図4に示すように、脚柱1の内側面に突設された上下2個の位置決め突部34、34に嵌合して位置決めされるようになっている。
このように、位置決め突部34に位置決め孔33を嵌合すると、単に位置決めが容易となるだけでなく、ブラケット6の後端部に作用する下向きの回転モーメントを、位置決め突部34と位置決め孔33により受けることができるので、座体支持ユニット8の後端部の脚柱1に対する取付強度を大とすることができる。なお、上記とは反対に、ブラケット6側に位置決め突部を、脚柱1側に位置決め孔を設けてもよい。
脚柱1の中間部における前端部の側縁には、ブラケット6の外側端部を嵌合して上下方向の位置決めを行うための切欠き凹部1aが形成されている。
図5に示すように、脚柱1の共通化を図るために、上記めねじ孔32と位置決め突部34は、各脚柱1の左右両側面に設けられており、最外方に配置される脚柱1におけるめねじ孔32や位置決め突部34等については、図示しないカバーにより体裁よく覆ってある。
位置決め突部34に位置決め孔33を嵌合したのち、各取付孔30に内側方より挿入したボルト35の先端部を、各めねじ孔32に螺合して締め付けることにより、ブラケット6は、脚柱1の中間部内側面に、前半部を脚柱1の前方に突出した状態で固着されている。
図4、図5及び図10に示すように、上述した回動ブラケット7は、座体9の後端部の左右両側部下面に固定される内向水平片36と、その外側端より起立する、上下寸法が後方に向かって漸次大とされた上向片37とを備える鋼板製のものよりなり、上向片37の後端部には、大径孔38と、互いに対向する2個の小径孔39、39とが、外周縁部同士が互いに連続するようにして穿設されている。
上向片37の後端部の内側面には、左右方向外向きの枢軸40と、この枢軸40を挟んで径方向に互いに対向する外向きの1対のストッパピン41、41とが、外側面に溶接された金属製の補強板42を、枢軸40を大径孔38の中心に位置させるとともに、両ストッパピン41を小径孔39に挿通させて、溶接により固着されている。補強板42には、ねじりコイルばね19の内側端側の足片19bを掛止するための掛止孔43が穿設されている。
なお、上記掛止孔43とブラケット6に設けた掛止長孔27及びねじりコイルばね19における両足片19a、19bとの位置関係は、回動ブラケット7又はこれに取付けられた座体9を水平方向に回動させたとき、ねじりコイルばね19にねじり荷重が加わり、このねじり荷重による上向き付勢力により、座体9が自動的に跳ね上げられるように設定されている。
枢軸40の中心には、上記ボルト21を螺合しうる、外側方に開口するめねじ孔44が形成されている。
両ストッパピン41には、ゴム等よりなる円筒形の緩衝材45が圧嵌されている。
ブラケット6に回動ブラケット7を取付けるには、まずブラケット6の内側面に形成された嵌合溝18に、ねじりコイルばね19を収容し、その外側端側の足片19aを、ブラケット6の側壁10の掛止長孔27に遊嵌する。
ついで、回動ブラケット7の掛止孔43に、ねじりコイルばね19の内側端側の足片19bを嵌合したのち、図8及び図10に示すように、ブラケット6の筒部15の軸孔14に圧嵌された鍔付きブッシュ46に、回動ブラケット7の枢軸40を、1対のストッパピン41、41が、ブラケット6の1対の案内凹部17、17内に位置するようにして、回動可能に嵌合する。なお、回動ブラケット7の掛止孔43に、ねじりコイルばね19の足片19bを嵌合して掛止する作業は、ねじりコイルばね19を無負荷状態として、すなわち、回動ブラケット7を斜め上向きに回動させた状態で行えば、作業をし易い。
ついで、ブラケット6の側壁10の通孔23に、スペーサ22とボルト21を順に嵌合し、ボルト21の先端部を、枢軸40のめねじ孔44に螺合して締め付ける。この際、スペーサ22の先端が枢軸40の端面に当接し、ボルト21の締付力がブラケット6と回動ブラケット7に直接加わらないので、回動ブラケット7は、ブラケット6に対し、筒部15を中心として支障なく回動することができる。ボルト21の頭部は、側壁10の円形凹部20に止着した円形カバー24により、目隠しされる。
図6及び図7は、脚柱1への座体支持ユニット8の取付け終了状態を示し、最後に、左右の回動ブラケット7における内向水平片36に座体9を取付ければよい。なお、図6及び図7では、便宜上、回動ブラケット7を下向きに回動させた状態を示しているが、実際には、図8の2点鎖線のように、ねじりコイルばね19の上向き付勢力により、回動ブラケット7は斜め前上方を向く不使用位置となる。
図8及び図9に示すように、回動ブラケット7が上下方向に回動すると、それに設けた1対のストッパピン41、41が、ブラケット6の1対の案内凹部17、17内を回動するが、回動ブラケット7の不使用位置での停止位置を、次のようにして調整することができる。
図8に示すように、ブラケット6の後部側の案内凹部17の直下には、下端面と、案内凹部17の下端、すなわちストッパピン41が座体9の起立方向に回動する側の一端部に向かって開口する上下方向を向く第2のめねじ孔47が設けられ、この第2のめねじ孔47には、上端面に小径突部48を有するとともに、下端面に六角孔(図示略)を有する第2の調整ねじ49が螺合されている。
第2の調整ねじ49の小径突部48の上端には、ストッパピン41に嵌合された緩衝材45の下面が当接するようになっている。従って、第2の調整ねじ49の案内凹部17内への突出量を変えることにより、回動ブラケット7の不使用位置での停止位置を調整することができる。
このように、回動ブラケット7の不使用位置での停止位置を調節可能とすると、特に連結椅子において、各部材に組付誤差等が生じても、左右方向に並ぶ全ての座体9の不使用時における上向き位置を、定位置に揃えることができ、見栄えがよくなる。なお、上記第2のめねじ孔47は、目立つのを防止するために、ブラケット6の下方に設けてあるが、それを、前部の案内凹部17の直上に設けて、前部のストッパピン41の上端が調整ねじの下端に当接するようにしてもよい。
図9に示すように、回動ブラケット7を、ほぼ水平をなす位置まで回動させると、その両ストッパピン41に嵌合した緩衝材45が、各案内凹部17における回転方向(反時計方向)の一端面と当接することにより、回動ブラケット7及びそれに取付けられた座体9は、使用位置で停止させられる。
一方、回動ブラケット7及びそれに取付けた座体9の跳ね上げ力を、次のようにして調節することができる。
図11に示すように、ブラケット6に設けた上下方向を向く掛止長孔27には、ねじりコイルばね19の一端側の足片19aが、上下動可能に遊嵌され、かつ掛止長孔27の直上に形成された上下方向を向くめねじ孔28には、調整ねじ29が、その下端が足片19aの上端と当接するように螺合されているため、調整ねじ29を下方にねじ込むと、足片19aは下方に押圧させられる。
これにより、ねじりコイルばね19の初期ねじり荷重が大となり、回動ブラケット7の上向き付勢力が大きくなることにより、座体9の跳ね上げ力も大となる。
従って、長期間の使用により、ねじりコイルばね19にへたりが生じた際等に、そのねじり荷重を大として、座体9の跳ね上げ力を最適に調節することができる。
なお、ねじりコイルばね19の足片19aを掛止する掛止長孔27及びそれと連通するめねじ孔28の位置は、上記めねじ孔47と干渉しない位置であれば、ブラケット6の前端部のどの位置に設けてもよく、この際には、その位置に対応して、足片19aの円周方向の位置を変えればよい。
また、上記とは反対に、他方の足片19bを掛止している回動ブラケット7側の掛止孔43を長孔とし、この長孔に嵌合した足片19bを、上記の要領で押圧するようにすることもできる。この際には、上記と同様のめねじ孔28が設けられるように、少なくとも掛止孔43を設けた部分の回動ブラケット7の板厚を大とすればよい。
上記両めねじ孔28、47は、調整後又は調整が不要なときには、キャップ等で塞いでおくのがよい。
以上説明したように、上記実施形態の跳ね上げ式椅子においては、脚柱1に後端部が固定されたブラケット6にねじりコイルばね19を収容し、その一端側の足片19aを、ブラケット6のめねじ孔28に螺合した調整ねじ29により押圧するだけで、ねじりコイルばね19の付勢力、すなわち座体9の跳ね上げ力を簡単に調整することができる。
しかも、めねじ孔28は、ブラケット6における脚柱1よりも前方に突出している部分の上部に、上方に開口させて設けられているので、脚柱1の前上方の開放空間より、調整ねじ29を、極めて楽な姿勢で回動操作でき、座体9の跳ね上げ力の調整作業を容易に行うことができる。
また、ねじりコイルばね19は、両ブラケット6、7により完全に隠蔽され、外部に露呈していないので、見栄えが向上する。
回動ブラケット7及びそれにより支持された座体9の不使用位置での上向き停止位置を、ブラケット6の第2のめねじ孔47に螺合した第2の調整ねじ49を回動操作するだけで、容易に、かつ正確に調整することができ、劇場等に多数設置される連結椅子における左右方向に並ぶ全ての座体9を、定位置に見栄えよく揃えることができる。
また、第2のめねじ孔47は、上記と同様、ブラケット6における脚柱1よりも前方に突出している部分に設けられているので、脚柱1の前下方の開放空間を利用して、第2の調整ねじ49を回動操作でき、座体9の上向き停止位置の調整作業を容易に行うことができる。
座体支持ユニット8を、ブラケット6と、それに枢着された回動ブラケット7と、両ブラケット6、7間に収容されたねじりコイルばね19とよりなるものとし、かつ座体9の枢軸40が、脚柱1より前方に位置するように、ブラケット6の前端部に回動ブラケット7の後端部を枢着し、ブラケット6の後端部を、脚注1の内側面に固定するようにしているため、両ブラケット6、7及びねじりコイルばね19等を予め組み付け、座体支持ユニット8をユニット化した状態で、脚柱1に簡単に取付けることができ、組付作業が能率的となる。
なお、上記実施形態では、回動ブラケット7側に、枢軸40とストッパピン41及びねじりコイルばね19の嵌合溝18を、ブラケット6側に、枢軸40が嵌合される筒部15と、ストッパピン41の案内凹部17を、ぞれぞれ設けているが、これとは反対に、ブラケット6側に、枢軸、ストッパピン及び嵌合溝を、回動ブラケット7側に、筒部と案内凹部を、それぞれ設けることもある。
この際には、回動ブラケット7の上向片37を、外側面が開口するケース状とするとともに、ブラケット6を板状とすればよい。
また、回動ブラケット7を省略して実施することも可能であり、この際には、座体9の側面に、枢軸40とストッパピン41を直接突設すればよい。
さらに、上記実施形態では、ストッパピン41を1対設け、これらを、対向する1対の案内凹部17に遊嵌しているが、第2の調整ねじ49と当接する側のストッパピン41及びその案内凹部17のみとし、他方のストッパピン41とその案内凹部17を省略することもある。
上記実施形態においては、調整ねじ29が螺合されるめねじ孔28を、掛止長孔27に向かって開口するように設けているが、ねじりコイルばね19が収容される嵌合溝(収容部)18に開口し、この嵌合溝18内において、ねじりコイルばね19の足片19aを、上方より調整ねじ29をもって押圧するようにしてもよい。この際には、調整ねじ29の下面に、足片19aが嵌合される上向きの凹溝等を設け、調整ねじ29の下面と足片19aとの当接部の位置ずれを防止するようにするのがよい。
上記実施形態では、後部側のストッパピン41を、第2の調整ねじ49の上端と当接させて、座体9を不使用位置に停止させているが、ブラケット6における前部側のストッパピン41の案内凹部17の上方に、第2のめねじ孔47を、ほぼ上下方向を向くように設け、この第2のめねじ孔47に螺合した第2の調整ねじ49の下端に、前部側のストッパピン41の上面を当接させて、座体9を不使用位置に停止させるようにしてもよい。このようにすると、双方のめねじ孔28、47が上方に開口するので、調整ねじ29、49の回動操作が容易となる。
上記実施形態では、左右の座体支持ユニット8の両方に、ねじりコイルばね19や座体9の跳ね上げ力、及び上向き停止位置を調整するめねじ孔28、47を設けたが、それらを、いずれか一方のみに設けることもある。
本発明を適用した連結椅子における座体使用時の斜視図である。 同じく、座体不使用時の斜視図である。 同じく、拡大側面図である。 脚柱への座体支持ユニット取付け前の状態を右方より見た分解斜視図である。 同じく、左方より見た分解斜視図である。 脚柱への座体支持ユニット取付け後の状態を右方より見た斜視図である。 同じく、左方より見た斜視図である。 回動ブラケットを不使用位置としたときの要部の拡大内側面図である。 同じく、使用位置としたときの要部の拡大内側面図である。 図9のX-X線拡大横断平面図である。 同じく、XI-XI線拡大縦断側面図である。
符号の説明
1 脚柱
1a 切欠き凹部
2 単体椅子
3 肘当て
4 肘掛け
5 背凭れ
6 ブラケット
7 回動ブラケット
8 座体支持ユニット
9 座体
10 側壁
11 周壁
12 リブ
13 突部
14 軸孔
15 筒部
16 厚肉部
17 案内凹部
18 嵌合溝(収容部)
19 ねじりコイルばね
19a 足片
19b 足片
20 円形凹部
21 ボルト
22 スペーサ
23 通孔
24 円形カバー
25 係合片
26 係合孔
27 掛止長孔
28 めねじ孔
29 調整ねじ
30 取付孔
31 内向突部
32 めねじ孔
33 位置決め孔(凹部)
34 位置決め突部(突部)
35 ボルト
36 内向水平片
37 上向片
38 大径孔
39 小径孔
40 枢軸
41 ストッパピン(ストッパ部材)
42 補強板
43 掛止孔
44 めねじ孔
45 緩衝材
46 鍔付きブッシュ
47 第2のめねじ孔
48 小径突部
49 第2の調整ねじ

Claims (6)

  1. 左右の脚柱により、座体を、ほぼ水平をなす使用位置と、前上方を向く不使用位置との間を回動しうるように支持し、かつ付勢手段により、前記座体を、使用位置から不使用位置に自動的に回動させうるようにしてなる座体跳ね上げ式椅子において、
    前記脚柱よりも前方に突出するようにして、その内側面に後端部が取付けられた1対のブラケットと、両ブラケットにおける前端部の内側面に後端部が枢着された、前記座体後部の両側部を支持する1対の回動ブラケットと、少なくともいずれか一方のブラケットと回動ブラケットとの対向面間に設けた収容部に収容された、前記付勢手段としてのねじりコイルばねとにより、座体支持ユニットを構成し、この座体支持ユニットにおける前記脚柱よりも前方に突出する部分に、前記ねじりコイルばねの一端側の足片を、ねじり荷重が大となる方向に押圧可能な付勢力調整手段と、前記ブラケットと回動ブラケットとの対向面のいずれか一方に突設したストッパ部材と当接することにより、前記座体の上向き停止位置を調整可能な停止位置調整手段とを設けたことを特徴とする座体跳ね上げ式椅子。
  2. 付勢力調整手段を、ブラケットまたは回動ブラケットに設けられ、それらの外面と、ねじりコイルばねの収容部とに開口するめねじ孔と、このめねじ孔に螺合され、先端により前記ねじりコイルばねの一端側の足片を押圧可能な調整ねじとからなるものとし、停止位置調整手段を、前記ブラケットまたは回動ブラケットにおける前記めねじ孔と離間する位置に設けられ、それらの外面と、ストッパ部材が回動しうるように、ブラケットまたは回動ブラケットに設けられた円弧状の案内凹部の一端部内とに開口する第2のめねじ孔と、この第2のめねじ孔に螺合され、先端に前記ストッパ部材が当接しうる第2の調整ねじとからなるものとした請求項1記載の座体跳ね上げ式椅子。
  3. 双方のめねじ孔を、ブラケットまたは回動ブラケットの上部に、上方に開口するようにして設けてなる請求項2記載の座体跳ね上げ式椅子。
  4. ブラケットを、内側面が開口するケース状に形成し、このブラケットの前端部内に、ねじりコイルばねの収容部と、案内凹部と、双方のめねじ孔を設け、かつ回動ブラケットの側面に、前記案内凹部に遊嵌されるストッパ部材を突設してなる請求項2または3記載の座体跳ね上げ式椅子。
  5. ストッパ部材に、緩衝材を設けてなる請求項1〜4のいずれかに記載の座体跳ね上げ式椅子。
  6. 脚柱の内側面と、ブラケットの外側面とのいずれか一方に、複数の突部を、かつ他方に、前記突部に嵌合する凹部を設けてなる請求項1〜5のいずれかに記載の座体跳ね上げ式椅子。
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