JP2008212083A - テレフタル酸含有廃水処理において微生物を検出または定量するためのプライマーセット、それを用いた微生物量のモニタリング方法およびメタン発酵効率を評価する方法 - Google Patents

テレフタル酸含有廃水処理において微生物を検出または定量するためのプライマーセット、それを用いた微生物量のモニタリング方法およびメタン発酵効率を評価する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】テレフタル酸含有廃水処理において微生物を検出または定量するためのプライマーセット、それを用いた微生物量のモニタリング方法およびメタン発酵効率を評価する方法を提供すること。
【解決手段】テレフタル酸含有廃水処理において、特定の3種類の微生物を検出または定量するための3組のプライマーセットが提供され、これらのプライマーを用いて、上記微生物の16S rDNA量を測定してモニタリングを行い、メタン発酵効率を評価する。
【選択図】なし

Description

本発明は、テレフタル酸含有廃水処理において微生物を検出または定量するためのプライマーセット、それを用いた微生物量のモニタリング方法およびメタン発酵効率を評価する方法に関する。
現在、テレフタル酸含有廃水は、そのほとんどが好気性微生物を用いて処理されている。循環型社会の構築を目指している現代社会では、省エネルギーでエネルギーの回収や汚泥発生量の低減が可能な嫌気性微生物を用いた処理法で廃水処理されることが望まれる。
しかし、テレフタル酸の嫌気性微生物による分解処理は極めて難しい技術である。分解に関与する微生物が混合微生物集団の中で優占種となるとともに、共生関係でバランスされることが不可欠であり、従って微生物量や微生物間のバランスを測定し、モニタリングすることが望まれる。
例えば、特許文献1は、メタン発酵微生物系の評価のためのヌクレオチドプライマーを用いて、PCR法で特定のメタン生成菌を検出、定量、モニタリング等を行うことを開示している。ここで検出等されるメタン生成菌は、水素資化性メタン生成菌であるMethanobacteriaceae科、Methanoculleus属、Methanogenium属またはMethanospirillaceae科に分類される細菌、あるいは酢酸資化性メタン生成菌であるMethanosarcina属またはMethanosaetaceae科に分類される菌群である。
本発明者らは、以前、テレフタル酸を含む有機性排水の処理方法及び処理装置(反応器)を開発した(特許文献2)。この反応器はテレフタル酸の嫌気的分解を行うが、どのような微生物が分解に関与しているか明らかになっていなかった。また、従来、反応器中の特定微生物量の測定は困難であり、測定したとしても浮遊物質の測定などによる総体的・概略的な測定にとどまり、微生物を用いた反応器にもかかわらず、分解に関与している微生物の情報が無く、微生物量の測定やモニタリングが不可能であった。
特開2006−325581号公報 特開2006−110424号公報
本発明の目的は、テレフタル酸含有廃水を処理している反応器でテレフタル酸の分解において鍵となる微生物を把握し、それらを定量またはモニタリングし、メタン発酵効率を評価し、それらの結果に基づいてテレフタル酸含有廃水の高効率嫌気性メタン発酵を行うことである。
本発明者らは、16S rDNAに基づく分子生物学的手法を用いてテレフタル酸分解の鍵となる3種類の微生物を初めて特定し、それらの微生物の16S rDNAの塩基配列を元に定量的PCR法を用いた鍵となる微生物種定量のためのプライマーセットの開発を行い、それを用いて定量、モニタリングを行い、メタン発酵効率を評価する方法を構築し、本発明を完成した。
本発明の概要は以下のとおりである。
〔1〕テレフタル酸含有廃水処理において、
(1)配列番号1に示される16S rDNA塩基配列または該配列と98%以上の同一性を有する塩基配列を含む核酸を有する微生物、
(2)配列番号2に示される16S rDNA塩基配列または該配列と98%以上の同一性を有する塩基配列を含む核酸を有する微生物、または
(3)配列番号3に示される16S rDNA塩基配列または該配列と98%以上の同一性を有する塩基配列を含む核酸を有する微生物、
を検出または定量するための、下記(a)〜(c)のいずれか1組のオリゴヌクレオチドを含む、プライマーセット:
(a)上記(1)の微生物を検出または定量するための配列番号4に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号5に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(b)上記(2)の微生物を検出または定量するための配列番号6に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号7に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(c)上記(3)の微生物を検出または定量するための配列番号8に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号9に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド。
〔2〕テレフタル酸含有廃水処理において、嫌気性メタン発酵微生物系における〔1〕に記載の(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の微生物量をモニタリングする方法であって、上記(a)〜(c)の少なくとも1組のプライマーセットを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、上記微生物の16S rDNA量を測定することを含む、上記方法。
〔3〕上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の嫌気性メタン発酵微生物系における優占状況を調べることを含む、〔2〕に記載の方法。
〔4〕上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の微生物量を経時的にモニタリングすることを含む、〔2〕または〔3〕に記載の方法。
〔5〕テレフタル酸含有廃水処理において、嫌気性メタン発酵微生物系におけるメタン発酵効率を評価する方法であって、〔1〕に記載の(a)〜(c)の少なくとも1組のプライマーセットを用いてPCRを行い、上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の16S rDNA量を測定することにより、該微生物の嫌気性メタン発酵微生物系における優占状況を調べ、これによってメタン発酵効率を評価することを含む、上記方法。
〔6〕上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物が嫌気性メタン発酵微生物系において70%以上優占するとき、メタン発酵効率が良好であると評価する、〔5〕に記載の方法。
なお、本明細書において「実質的に同一の塩基配列」とは、対応する塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上の配列同一性を有する塩基配列をいう。
本発明のプライマーセットを用いれば、テレフタル酸含有廃水において、特定の微生物を検出または定量でき、これらの微生物の量や優占化の変化による廃水の処理の状況を確認できる。それにより微生物量を最適に制御して、メタン発酵を安定的・高効率的に運転することができる。
本発明の第1の態様において、本発明のプライマーセットは、テレフタル酸含有廃水処理において、
(1)配列番号1に示される16S rDNA塩基配列または該配列と98%以上の同一性を有する塩基配列を含む核酸を有する微生物、
(2)配列番号2に示される16S rDNA塩基配列または該配列と98%以上の同一性を有する塩基配列を含む核酸を有する微生物、または
(3)配列番号3に示される16S rDNA塩基配列または該配列と98%以上の同一性を有する塩基配列を含む核酸を有する微生物、
を検出または定量するための、下記(a)〜(c)に記載のいずれか1組のオリゴヌクレオチド:
(a)上記(1)の微生物を検出または定量するための配列番号4に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号5に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(b)上記(2)の微生物を検出または定量するための配列番号6に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号7に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(c)上記(3)の微生物を検出または定量するための配列番号8に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号9に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
を含むことを特徴とする。
上記(1)の微生物の16S rRNAをコードする塩基配列(配列番号1)、上記(2)の微生物の16S rRNAをコードする塩基配列(配列番号2)、上記(3)の微生物の16S rRNAをコードする塩基配列(配列番号3)は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)のデータベースに、それぞれGenBank登録番号AF424769、AF424765、DQ898142で開示されている。
上記(1)〜(3)の微生物は、本発明において初めて、本発明者らが開発した特許文献2に記載の有機性廃水の処理装置(反応器)中の活性炭を含む反応器内溶液から優占種として同定され、その挙動がメタン発酵の指標となりうることが今回明らかになった。
上記(1)〜(3)の微生物の同定は、例えば以下のようにして行うことができる。
反応器内溶液をサンプルとして、リゾチームで溶菌させ、プロテイナーゼKを含む抽出緩衝液中でタンパク質を分解し、RNase Aで処理してRNA分解を行った後、サンプル中のDNAをスピンカラムのシリカメンブレンに吸着させ、洗浄した後、溶出する。
抽出されたtotal DNAを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅する。このPCRでは全菌叢について解析するためにtotal DNAを増幅するので、大部分の原核生物の16S rRNA遺伝子に結合するとされる、ユニバーサルプライマーを用いる。
PCR反応条件は、例えば、2本鎖DNAの熱変性を90〜95℃で30秒〜5分間行い、アニーリングを50〜70℃で30秒〜2分間行い、伸長反応を70〜74℃で1〜5分間行う。任意に、最終伸長反応を伸長反応と同じ温度で5〜15分間行う。熱変性−アニーリング−伸長反応のサイクルを20〜50回行う。
PCR増幅産物をアガロースゲルまたはポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、バンドを切り出してゲルを溶解させ、スピンカラムなどでDNAを抽出・精製し、PCR増幅産物精製サンプルとする。
PCR増幅産物をクローニングするため、ベクター(例えばpCR4、pMW、pBluescript、pBR322、pUC、pDEL系などのプラスミドベクター、M13mpなどのファージベクター、Charomid9系などのコスミドベクター)に、PCR増幅産物をライゲーションさせ、コンピテントセルに形質転換させる。ベクターにはさらにプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどを適宜含めることができる。
形質転換したコンピテントセルを培養してコロニーを形成させ、塩基配列の解読のためのサンプルとする。
塩基配列の解読は、従来法を用いればよく、例えばSanger法、サイクルシークエンス法による自動シークエンサーを利用することができる。自動シークエンサーのシークエンス反応には、プライマーを蛍光標識したDye primer法と、ddNTPを蛍光標識したDye terminator法、さらに基質のdNTPに標識したInternal−label法があるが、いずれの方法でもよい。
解読された塩基配列をNCBI(米国)などが提供しているプログラムを用いて、相同性検索を行い、微生物を同定する。
理論上、上記16S rRNA遺伝子クローニングにより同定された微生物群集中の各微生物種の出現頻度は、反応器内に存在している全細菌の16S rRNA遺伝子中に占める各微生物種の16S rRNA遺伝子の割合を反映しているはずである。このことから同定された微生物群集のうち、特に占有率の高かった微生物種は反応器内において優占化が進み、有機物分解過程において重要な役割を果たしていると考えられる。そこでプライマーを設計・開発し、優占種の微生物を同定する。プライマーの設計・開発手順を図1に示す。
優占種であると予想される微生物の16S rRNA遺伝子に対し特異性を持つ塩基配列を決定し、プライマーを設計する。プライマーを合成し、それを用いてPCRにおけるアニーリング温度を検討し、PCR反応条件を決定する。なお、PCR増幅産物は、電気泳動により確認することが好ましい。
PCRの増幅効率および設計されたプライマーの標的塩基配列への特異性の確認のため、決定したPCR反応条件下で定量的PCR法(例えばSYBRグリーンを利用したリアルタイムPCR法、蛍光プローブ法、競合PCR法)を行い、増幅曲線分析および融解曲線分析を行う。さらに、増幅されたDNAの塩基配列の解読を上記と同様にして行い、優占種である微生物を同定する。
本発明の上記(a)〜(c)のプライマーセットは、上記(1)〜(3)の微生物を検出または定量するために用いることができ、これにより、テレフタル酸含有排水処理の安定的かつ効率的運転のために利用することができる。
配列番号4に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号5に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドは、配列番号1に示される塩基配列においてプライマーとして使用することができる。
配列番号6に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号7に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドは、配列番号2に示される塩基配列においてプライマーとして使用することができる。
配列番号8に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号9に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドは、配列番号3に示される塩基配列においてプライマーとして使用することができる。
また、上記(a)〜(c)のプライマーセットは、単独で使用してもよいし、2つまたは3つ組合せて使用してもよい。
本発明の第2の態様において、本発明の、テレフタル酸含有廃水において嫌気性メタン発酵微生物系における上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の微生物量をモニタリングする方法は、上記(a)〜(c)の少なくとも1組のプライマーセットを用いてPCRを行い、上記微生物の16S rDNA量を測定することを含むことを特徴とする。
16S rDNA量の測定は、反応器内溶液をサンプルとし、上述の手法でDNAを抽出し、上記プライマーセット(配列番号4および5、配列番号6および7、配列番号8および9)を用いて定量的PCR、例えばSYBRグリーンを利用したリアルタイムPCR法、蛍光プローブ法、競合PCR法などで行うことができる。これにより、メタン発酵微生物系における上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の優占状況を調べることができる。
また、経時的に上記(1)〜(3)の微生物の微生物量をモニタリングすれば、その量を確認しながら反応器を運転することができる。上記(1)〜(3)の微生物の16S rDNA濃度が一時低下している時期には、流出テレフタル酸およびCOD濃度も上昇し、メタン生成速度も低下することがわかっている(実施例5参照)。従って、上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の量が減少したときには、廃水の供給量を減らす、一時的に供給を止めるなどの操作により、微生物の良好なバランスを維持することができる。反応器の安定的な高効率運転は、廃水の安定的な処理や効率的なエネルギー回収となり、循環型社会の構築に役立つと考えられる。
本発明の第3の態様において、本発明の、テレフタル酸含有廃水処理において嫌気性メタン発酵微生物系におけるメタン発酵効率を評価する方法は、上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の16S rDNA量を測定することにより、該微生物の嫌気性メタン発酵微生物系における優占状況を調べ、これによってメタン発酵効率を評価することを含むことを特徴とする。
16S rDNA量の測定は、上述のように、反応器内溶液をサンプルとし、上述の手法でDNAを抽出し、上記プライマーセット(配列番号4および5、配列番号6および7、配列番号8および9)を用いて定量的PCR、例えばSYBRグリーンを利用したリアルタイムPCR法、蛍光プローブ法、競合PCR法などで行うことができる。そして、メタン発酵微生物系における上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の優占状況を調べ、メタン発酵効率を評価する。
メタン発酵効率の評価は、上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物が嫌気性メタン発酵微生物系において好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上占有するとき、メタン発酵効率が良好であるとする。70%を下回った場合は、反応器でのメタン発酵効率を向上させるため、上述のように、廃水の供給量を減らす、一時的に供給を止めるなどの操作を行い、負荷率を制御することが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
試薬等の調製
本実施例において、全てのオートクレーブ滅菌操作はTOMY−BS305により120℃、20分間の条件で行った。蒸留水はADVANTEC製蒸留水製造装置GS−500により、超純水はADVANTEC製超純水製造装置CPW−200により製造された比抵抗値18MΩ以上のものを使用した。以下に各試薬について、その調製方法を示す。
(1)滅菌超純水
超純水を清浄なメディウムビンに入れ、オートクレーブ滅菌したものを使用した。
(2)1M Tris−HCl(pH8.0)
超純水200mLに30.3gのTrisを加えてスターラーで溶かし、塩酸(和光、試薬特級)を加えながらpHメーターでpH8.0になるように調整した後、再び超純水を加え250mLまでメスアップした。その後清浄なメディウムビンに移し変え、オートクレーブ後4℃で保存した。
(3)0.5M EDTA(pH8.0)
超純水200mLに46.5gのEDTA(アマシャム)を加え、スターラーで撹拌しながら粒状の水酸化ナトリウム(和光、試薬特級)を約5g加えEDTAを溶解させた。続いて5N水酸化ナトリウムを加えながらpH8.0になるよう調整した後、超純水を加えて250mLまでメスアップした。その後清浄なメディウムビンに移し変え、オートクレーブ後4℃で保存した。
(4)Enzymatic Lysis Buffer
1M Tris−HCl(pH8.0)を200μL、0.5M EDTA(pH8.0)を40μL、Triton X−100(和光、生化学用)を120μL入れ、滅菌超純水を加え10mLにメスアップし、ふたをして激しく混合して均一な溶液とした。
(5)リゾチーム溶液
Enzymatic Lysis Bufferを使用直前に必要量だけ取り、卵白由来リゾチーム(和光、生化学用)を20mg/mLとなるように溶かした。
(6)電気泳動用アガロースゲル
TAE buffer(和光、遺伝子工学研究用)にアガロース(SeaKem GTG Agarose、Cambrex)を2.0%(w/v)となるように加え、電子レンジで加熱した。アガロースが完全に溶けたらスターラーで混合しながら冷却し、ゲルが固まる直前(約45℃)にゲルメーカーに流し込みコームを挿し、その後30分ほど静置した。完全に固まった後、コームを抜きゲルトレイごとTAE中に浸して常温で保存した。
(7)1,000×カナマイシン
カナマイシン硫酸塩(和光、試薬特級)を蒸留水に50mg/mLとなるように溶かし、0.2μmγ線滅菌済フィルターにより濾過滅菌してマイクロチューブに分注した。その後−20℃で保存した。
(8)1,000×X−gal(5−Bromo−4−Chloro−3−Indolyl−β−Galactopyranoside)
N,Nジメチルホルムアミド(和光、試薬特級)にX−gal(和光、試薬特級)を40mg/mLとなるように溶かし、マイクロチューブに分注した。その後アルミホイルで覆い、使用時まで−20℃で遮光保存した。
(9)1,000×IPTG(Isopropyl−Thio−β−D−Galactopyranoside)
IPTG(和光、試薬特級)を超純水に40mg/mLとなるように溶かした後0.2μmγ線滅菌済フィルターで濾過滅菌してマイクロチューブに分注した。−20℃で保存した。
(10)LB寒天培地
必要量の超純水にLB Broth Base(Invitrogen)を20g/L、LB Agar(Invitrogen)を32g/Lとなるように加えオートクレーブ滅菌して溶かした後、スターラーにより攪拌しながら室温で冷却した。60℃程度まで温度が下がった時点で1,000×カナマイシン、1,000×X−gal、1,000×IPTG溶液をカナマイシン、X−gal、IPTGの最終濃度がそれぞれ50μg/mL、40μg/mL、40μg/mLとなるように加え攪拌した。これを滅菌済ペトリ皿に1枚あたり約10mLずつ注いでいき、固まってからASパックで包み4℃で保存した。
(11)各種プライマー
16S rRNAクローニング過程、プライマー設計・開発およびリアルタイムPCRで使用したプライマーは全てSIGMA GENOSYSに依頼して合成されたもので、乾燥出荷品を滅菌超純水に溶解して使用した。
total DNAの抽出および16S rRNA遺伝子クローニング
サンプリングは反応器(特許文献2に記載)上部のサンプリング口からオートクレーブ滅菌したテフロンチューブを挿入し、滅菌済シリンジにより無菌的に活性炭を含む反応器内溶液を吸引することで行った。
a)サンプルからのtotal DNA抽出
DNAの抽出にはQIAGENのDNeasy Tissue Kitを使用し、おおむねキット付属のプロトコルに従った。
(i)溶菌およびタンパク質の分解
まずサンプル1mLを1.5mLマイクロチューブに採取し、10,000gで10分間遠心した。上澄み液を捨て、残った活性炭に直前に調製したリゾチーム溶液180μLを加え、よく混和した後37℃で1時間インキュベートし溶菌させた。その後Proteinase K 25μLおよびキット付属のAL buffer 200μLを順に加え混和し、さらに70℃で1時間インキュベートした。
(ii)RNAの分解
100mg/mL RNase A(QIAGEN)を4μL添加し、室温で2分間静置することでRNAを分解した。
(iii)Silica MembraneへのDNA吸着
99.5%エタノール(和光、試薬特級)200μLを加えよく混和した後、全内容物をキット添え付けのSpin Column(以下カラム)のSilica Membrane上に添加し、10,000gで3分間遠心した。全添加液が通過した後、濾液を捨て、カラムをキット添え付けの新しいcollection tubeにセットし直した。
(iv)DNAの洗浄
カラムにAW1 buffer 500μLを加え、6,000gで1分間遠心し濾液を捨てた後、再びカラムを新しいcollection tubeにセットし直した。続いてカラムにAW2 buffer 500μLを加え、20,000gで3分間の遠心を行った後、カラムを新しい1.5mLマイクロチューブに移し変えた。
(v)DNAの回収
カラムに滅菌超純水100μLを加え、1分間静置した後6,000gで1分間遠心するという作業を2回繰り返した。カラムを捨て、濾液約200μLをtotal DNA抽出サンプルとした。DNAサンプルは−20℃以下の冷凍庫で保存し、次回使用時には室温で解凍して用いた。
b)PCRによる16S rRNA遺伝子の増幅および精製
抽出されたtotal DNAから、16S rRNA遺伝子領域を増幅するため、PCR(Polymerase Chain Reaction)を行った。以下にその手順を示す。
(i)PCR
ここでは全菌叢解析が目的のため、ユニバーサルプライマーUNIV519F(配列番号10)およびUNIV1406R(配列番号11)を使用した。
反応液は、表1のとおり調製し、表2に示す反応条件にてPCRを行った。酵素液はPremix Taq(TaKaRa、Ex Taq version)を使用した。サーマルサイクラーにはMJ Research PTC−200 Gradient Cyclerを用いた。
Figure 2008212083
Figure 2008212083
(ii)電気泳動
PCR増幅産物は電気泳動により確認した。PCR反応液およびサイズマーカー100bp DNA Ladder(TaKaRa)に×5Loading Buffer(TaKaRa)を加え、電気泳動用ゲルにアプライした。電気泳動は135Vで30〜40分行い、その後1μgエチジウムブロマイド(和光、試薬特級)/mL TAE溶液に約30分浸漬させた後、トランスイルミネーター(フナコシ製)によりUV光を照射し観察した。サイズマーカーと比較対照することで増幅産物の長さおよび濃度を確認した。
(iii)ゲルからの増幅産物精製
QIAquick gel extraction kit(QIAGEN)を用いてPCR増幅産物の精製を行った。精製手順はおおむねキット付属の説明書に従った。
まずトランスイルミネーターによりUVを照射しながらγ線滅菌済のメスにより増幅産物と思われるバンドを切り出し、マイクロチューブに移した。切り出したゲル断片の3倍重量のBuffer QGを加え、ボルテックスミキサーにより混和しながら50℃で約10分インキュベートした。ゲルが完全に溶解したら溶液の色が黄色であることを視認し、適切なpH範囲にあることを確認した。この溶液を全量QIAquick spin columnに添加し、13,000rpmで1分間遠心し、濾液を除去した。次にBuffer PE 750μLをカラムに加え、室温で2分静置してから13,000rpmで1分間遠心した。カラムを新しいマイクロチューブに移し、滅菌超純水30μLを加え13,000rpmで1分間遠心し、流出液をPCR増幅産物精製サンプルとした。
c)TAクローニングによる16S rRNA遺伝子の単離
PCR増幅産物中の16S rRNA遺伝子のクローニングはTOPO TA Cloning for Sequencing kit(Invitrogen)のプロトコルに従い、ベクターはpCR4−TOPO vector、コンピテントセルはOne Shot TOP10 competent E.coliを使用した。
(i)PCR増幅産物とベクターのライゲーション
まずND−1000 Spectrophotometer(NanoDrop)によりPCR増幅産物精製サンプル中のDNA濃度を測定し、マイクロチューブにPCR増幅産物DNA量が約20ngになるように加え、続いてsalt solution 1μLおよび滅菌超純水を加え全量を5μLに調製した後、ベクター1μLを加え、軽く混和し室温で25分静置した。
(ii)トランスフォーメーション
ライゲーション溶液2μLをコンピテントセルチューブに加え、穏やかに混和後氷上で約15分インキュベートした。続いてコンピテントセルチューブを42℃で30秒インキュベートした後、直ちに氷上に戻した。そこにキット備え付けのS.O.C medium250μLを加え37℃、200rpmでおよそ1時間振とう培養した。
(iii)選択培養
あらかじめ37℃にインキュベートしておいたLB寒天培地1枚あたりにつき、培養の終わったコンピテントセル溶液30〜50μLを滅菌済コンラージ棒を用いて撒き、37℃で一晩培養した。形成された白色コロニー中の大腸菌にはPCR増幅産物をインサートにもつベクターが正しくトランスフォーメーションされていると見なし、塩基配列の解読作業に供した。
d)塩基配列の解読(シークエンシング)
塩基配列の解読作業は、タカラバイオ株式会社ドラゴンジェノミクスセンターにて以下のよう行った。
コロニーが形成されたペトリ皿から白コロニーをランダムに選びRCA(Rolling Cycle Amplification)法によりシークエンス用テンプレートを調製した。調製したテンプレートDNAを鋳型としてUNIV519F(配列番号10)を用いてDye Terminator法によりシークエンス反応を行った。シークエンス反応産物はゲル濾過法または核酸結合ビーズを用いて精製し、キャピラリー型シークエンサを用いてシークエンス解析を実施した。シーケンスデータは機器付属のベースコーラを用いて波形データに変換した。得られた波形データについてPhred(Codon Code Inc, ver.0.020425.c)によりベースコールを行った後、各塩基のPhred Quality値を算出した。Phred Quality値が15以上である塩基が300塩基以上のリードを有効とした。その後、Phred によりベースコールを行ったデータについてPFP(Paracel Filtering Package、パラセル社)によりphred quality値が15未満の両端低クオリティ塩基のマスキングおよびベクター配列の除去作業を行った。
e)相同性検索および微生物同定
最後に解読された塩基配列をデータベース中のエントリーと比較することで相同性検索を行い、その塩基配列がどの微生物のものであるかを同定した。相同性検索にはNCBIが提供しているウェブプログラムblastn(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/)を使用し、検索データベースはGenBank Non−redundantを使用した。
優占種の同定および定量用プライマーの開発
嫌気性メタン発酵微生物系における優占種を同定し、これらの微生物種の量的変化をモニタリングし、その結果を反応器の運転状況と照合することでその微生物指標の有用性を調査するため、リアルタイムPCRを用いてそのDNA量を定量するためのプライマーを設計・開発した。
まず、定量の対象となる微生物の16S rRNA遺伝子に対し特異性をもつ塩基配列を決定することでプライマーを設計し、SIGMA GENOSYS社へ依頼して合成した。次にPCRの反応条件におけるアニーリング温度の最適値を決定するため、合成されたプライマーを用いて種々のアニーリング温度でPCRを行った。続いてPCRの増幅効率および設計されたプライマーの標的塩基配列への特異性の確認のため、増幅曲線分析および融解曲線分析を試みた。さらに設計されたプライマーを用いて増幅されたDNAの塩基配列を解読することで、目標塩基配列が正しく増幅されていることを確かめた。
a)プライマーの設計
プライマーの設計は複数のウェブプログラムを利用して行った。それらの手順およびURLを図2に示す。
プライマー候補配列の選出にはprimer3を利用した。その際デフォルトの設定に対し、プライマーの配列長を18〜25bp、Tmを60.0〜65.0、GC含量40.0〜60.0%、また増幅産物の配列長が100〜300bpになるように条件を加えた。選出されたプライマー候補配列を用いてblastnにより相同性検索を行い、標的配列に対する特異性を確認した。最後にgene−walkerを用いて、プライマー候補配列自身が二次構造あるいはダイマーを形成しPCRの反応効率に悪影響を及ぼす可能性が低いことを確認した。
b)PCRにおけるアニーリング温度の最適化
標的塩基配列が最も効率的に増幅されるアニーリング温度を決定するため、設計したプライマーを用いてPCRを行った。反応液は表3に示す組成で調製した。サーマルサイクラーはMJ Research PTC−200 Gradient Cyclerを使用し、反応条件は表4に示したとおりで、温度勾配機能を用いてアニーリング温度を46.0〜70.0℃に設定した。酵素液はPremix Taq(TaKaRa、Ex Taq version)を使用した。
Figure 2008212083
Figure 2008212083
PCR増幅産物は電気泳動により確認した。PCR反応液およびサイズマーカー100bp DNA Ladder(TaKaRa)に×5Loading Buffer(TaKaRa)を加え、電気泳動用ゲルにアプライした。電気泳動は135Vで30〜40分行い、その後1μgエチジウムブロマイド(和光、試薬特級)/mL TAE溶液に約30分浸漬させた後、トランスイルミネーター(フナコシ製)によりUV光を照射し観察した。サイズマーカーと比較対照することで増幅産物の長さおよび濃度を確認した。
c)増幅曲線分析および融解曲線分析
最適化されたアニーリング温度で実際にリアルタイムPCRを行い、その増幅曲線からPCRが一定の反応効率で行われていること、融解曲線から単一の塩基配列が増幅されていることを確認した。
リアルタイムPCRはLight Cyclerおよび専用の20μLガラスキャピラリー(Roche)を用いて行い、2本鎖DNA検出のための蛍光物質および酵素液にはFast Start DNA Master Plus SYBR Green I(Roche)を使用した。増幅曲線分析および融解曲線分析におけるPCR反応液組成を表5に、反応条件を表6に示す。
Figure 2008212083
Figure 2008212083
なお、アニーリング温度は、(a)、(b)および(c)のプライマーセットのいずれにおいても60℃とした。
d)設計プライマーによる増幅産物の塩基配列解読
設計プライマーによりPCRを行った反応液を用いて、実施例2と同様の方法で電気泳動およびゲルからの増幅産物精製を行い、タカラバイオ株式会社ドラゴンジェノミクスセンターに依頼し精製されたDNAの塩基配列を解読した。解読された塩基配列はDDBJ(DNA Data Bank of Japan)の提供しているウェブプログラムClustal W (http://www.ddbj.nig.ac.jp/search/clustalw−j.html)により標的塩基配列とアラインメントを行い、その相同性を確認した。
上記方法により同定された優占種は、NCBIのデータベースにGenBank登録番号AF424769で開示される16S rRNAをコードする塩基配列(配列番号1)を有する微生物(1)、GenBank登録番号AF424765で開示される16S rRNAをコードする塩基配列(配列番号2)を有する微生物(2)、GenBank登録番号DQ898142で開示される16S rRNAをコードする塩基配列(配列番号3)を有する微生物(3)、であることが明らかとなった。
優占微生物種および全細菌の16S rRNA遺伝子の定量
設計・開発されたプライマー(配列番号4〜9)を使用し、total DNA抽出サンプル中に存在する優占微生物種の16S rRNA遺伝子(16S rDNA)の定量を行った。以下にその定量方法を示す。
a)外部標準物質の作製
まず定量の際に増幅サンプルとの蛍光強度を比較し、濃度を算出するための外部標準物質を作製する。外部標準物質は各プライマーセットごとに作製する必要があり、設計・開発した各プライマーセットおよびユニバーサルプライマーセットUNIV519F(配列番号10)およびUNIV1406R(配列番号11)に対して作製した。
設計・開発した各プライマーセットおよびユニバーサルプライマーセットUNIV519FおよびUNIV1406Rを使用し、まず表5および表6に示したものと同様の組成および反応条件でリアルタイムPCRを行い、蛍光強度が100前後まで増加した時点で反応を停止させた。次に回収したPCR反応液に対して実施例2と同様の方法で電気泳動およびゲルからの増幅産物精製を行った。このゲルからの精製サンプルを新たなDNAサンプルとして再び表5の組成でリアルタイムPCRを行い、蛍光強度が100前後まで増加した時点で反応を停止させた。PCR反応液を回収し、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)のプロトコルに従い増幅産物の精製を行った。この精製作業内容はPCR反応液に5倍量のBuffer PBを加えて混和してからスピンカラムに添加し、以降の手順は実施例2のゲルからの増幅産物精製と同様に行った。精製されたDNA溶液中のDNA濃度はND−1000 Spectrophotometer(NanoDrop)により測定した。滅菌超純水を溶媒として10倍濃度間隔で精製DNAサンプルの希釈系列を作製し、リアルタイムPCRの外部標準物質に使用した。
b)優占微生物種および全細菌の16S rRNA遺伝子の定量
設計・開発した各プライマーセットおよびユニバーサルプライマーセットUNIV519F(配列番号10)およびUNIV1406R(配列番号11)を使用し、各プライマーセットおよびtotal DNA抽出サンプルに対して表5および表6と同様の反応液組成・反応条件にてリアルタイムPCRを行い、外部標準物質の増幅曲線をもとに作成された検量線との比較によりtotal DNAサンプル中の上記(1)〜(3)の微生物の16S rDNA濃度を測定した。
なお、測定されたサンプル中のDNA濃度の単位をコピー数[copies/L]として表すために、以下の式1を使用した。
Figure 2008212083
ここで、CはND−1000 Spectrophotometer(NanoDrop)により測定したDNAの重量濃度[ng/μL]であり、LはPCR増幅断片の配列長[bp]を、MWは1bpあたりの平均分子量[=331g DNA/mol/bp]7)を、Aはアボガドロ数[=6.02×1023/mol]をそれぞれ表す。さらに、算出したDNA濃度[copies/μL]の値にtotal DNA抽出量[μL]を乗じ抽出総量を求めた後、total DNA抽出に供した活性炭重量で除することで単位重量活性炭あたりのDNA濃度[copies/gAC](ACは活性炭)に変換し解析を行った。
反応器におけるテレフタル酸含有廃水の処理とモニタリング
10Lの反応器でテレフタル酸含有合成廃水を対象に連続処理を行った。上記(1)、(2)および(3)の微生物に対するそれぞれの16S rDNAの定量は、実施例4に従って、運転が安定してきた約850日目から始め、約1,250日目まで約1年間にわたって実施した(表7参照)。
Figure 2008212083
表中、OTUは、操作的分類単位を示す。
図3に、16S rDNA濃度の経時変化を示す。図中、OLRは有機物負荷率を示す。一時、16S rDNA濃度の低下が観測されたが、その後基質負荷の増加に伴い微生物量も増加傾向であることが分かった。
図4に、流出テレフタル酸およびCOD濃度ならびにメタン生成速度の変化を示す。図3で16SrDNA濃度が一時低下している時期には、流出テレフタル酸およびCOD濃度も上昇し、メタン生成速度も低下していることが分かった。
以上から、今まで機能が知られていなかった上記(1)〜(3)の微生物が本発明において初めて特定され、これらの微生物が鍵となって、テレフタル酸含有廃水の嫌気性メタン発酵が行われていることが明らかとなった。
本発明は、テレフタル酸含有廃水の嫌気性メタン発酵システムの安定的・効率的運転に応用することができる。
プライマーの設計・開発の手順を示す。 プライマー設計の手順および利用したウェブプラグラムを示す。 基質負荷率と16S rDNA濃度の経時変化を示す。 流出テレフタル酸、COD濃度およびメタンガス生成速度の経時変化を示す。

Claims (6)

  1. テレフタル酸含有廃水処理において、
    (1)配列番号1に示される16S rDNA塩基配列または該配列と98%以上の同一性を有する塩基配列を含む核酸を有する微生物、
    (2)配列番号2に示される16S rDNA塩基配列または該配列と98%以上の同一性を有する塩基配列を含む核酸を有する微生物、または
    (3)配列番号3に示される16S rDNA塩基配列または該配列と98%以上の同一性を有する塩基配列を含む核酸を有する微生物、
    を検出または定量するための、下記(a)〜(c)のいずれか1組のオリゴヌクレオチドを含む、プライマーセット:
    (a)上記(1)の微生物を検出または定量するための配列番号4に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号5に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (b)上記(2)の微生物を検出または定量するための配列番号6に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号7に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (c)上記(3)の微生物を検出または定量するための配列番号8に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号9に示される塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド。
  2. テレフタル酸含有廃水処理において、嫌気性メタン発酵微生物系における請求項1に記載の(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の微生物量をモニタリングする方法であって、上記(a)〜(c)の少なくとも1組のプライマーセットを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、上記微生物の16S rDNA量を測定することを含む、上記方法。
  3. 上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の嫌気性メタン発酵微生物系における優占状況を調べることを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の微生物量を経時的にモニタリングすることを含む、請求項2または3に記載の方法。
  5. テレフタル酸含有廃水処理において、嫌気性メタン発酵微生物系におけるメタン発酵効率を評価する方法であって、請求項1に記載の(a)〜(c)の少なくとも1組のプライマーセットを用いてPCRを行い、上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物の16S rDNA量を測定することにより、該微生物の嫌気性メタン発酵微生物系における優占状況を調べ、これによってメタン発酵効率を評価することを含む、上記方法。
  6. 上記(1)〜(3)の少なくとも1種類の微生物が嫌気性メタン発酵微生物系において70%以上優占するとき、メタン発酵効率が良好であると評価する、請求項5に記載の方法。
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