JP2006296336A - 汚泥分解菌用プライマーおよびプライマーを用いた検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汚泥処理中に検出される各種汚泥分解菌を特異的に固定できるプライマーを合成し、このプライマーを用いて菌を迅速、簡便に固定・解析する方法を提供する。
【解決手段】上記課題は、特定な配列番号の塩基配列または該塩基配列に相補的な配列を有する汚泥分解菌検出用プライマーおよびプローブとこれを用いた汚泥分解菌の検出方法によって解決される。
【選択図】図1

Description

本発明は、微生物による汚泥処理において、汚泥分解菌の同定に有用なDNAプライマー、プローブ、およびこれを用いた汚泥分解菌の検出、同定、定量、解析方法に関する。
有機性汚水の活性汚泥法などによる生物処理工程からは大量の汚泥が発生しており、汚泥の処理が処理場の最大の課題になっている。これらの課題を解決するために、本発明者らは汚泥をアルカリ処理した後直ちに嫌気、無酸素または微好気条件下で生物学的に可溶化する汚泥の処理方法を出願している(特許文献1)。また、本発明者らは下水処理場から採取した汚泥から汚泥を分解する能力のある微生物の分離に成功し、これらの微生物が汚泥を効率よく分解することを確認している(特許文献2)。
この生物処理による汚泥の処理方法では、汚泥分解菌を如何に適正な条件で働かせ、汚泥の処理効率を向上させるかがポイントとなる。これまで、汚泥分解菌種の同定、また汚泥処理時の微生物相の解析を目的に、対象となる汚泥を嫌気条件下で培養を行ってきたが、この培養には数日から数週間の時間を必要とし、また、人口培養基では生育できない微生物があるため、分離した微生物以外の種類の微生物が実際の汚泥処理で優先になっている可能性も示唆されている。
最近では、有機性廃棄物・廃水等の環境試料の診断や管理等のために、その中に存在する微生物群に由来する遺伝子を調べる微生物群集構造解析が有力視されるようになった。メタン発酵ではメタン生成細菌検出方法(特許文献3)、活性汚泥分離膜の目詰まり防止には原因細菌の検出方法(特許文献4)などが報告されている。
特開2001−347296号公報 特開2003−62599号公報 特開2004−261124号公報 特開2005−82号公報
しかしながら、汚泥の生物処理において汚泥を分解する能力をもつ微生物を特異的に検出する方法は存在せず、汚泥分解菌の同定、検出は培養法に頼らざるを得なかった。
本発明の目的は、汚泥処理中に検出される各種の汚泥分解菌を特異的に同定できるプライマーを合成し、このプライマーを用いて菌を迅速、簡便に同定・解析する方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、汚泥分解菌がどの程度増殖しているかを迅速に把握し、処理施設の運転管理が格段に容易になり、自動化、システム化が可能になる汚泥分解菌の定量化方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を進め、下水汚泥の可溶化を目的としたアルカリ前処理後の微生物処理において、汚泥分解に寄与する微生物の同定を遺伝子レベルで実施した。解析する遺伝子のターゲットは、微生物の系統分類の指標として信頼性が高い16SrRNA遺伝子とし、また、同定・解析にはPCR(Polymerase Chain Reaction)法等の手段が必要となるため、RNAではなくDNAをターゲットとした。下水処理場に設置した汚泥可溶化システムの生物処理槽とアルカリ前処理槽の微生物相を16SrDNAをターゲットとするPCR−DGGE(Denaturing Gradient Gel Electrophoresis)法で比較すると、大きく異なることがわかった。このため、DGGEで分離したバンドのうち、生物処理槽に特異的なバンドからDNA回収し、その塩基配列を決定した。その塩基配列はバクテロイデス属(Bacteroides.sp)の微生物1種(Bac1A)、ならびにクロストリジウム属(Clostridium.sp)の微生物3種(CloF,CloG,CloH)であることが確認された。Bacteroides.sp、Clostridium.spについては、汚泥の主成分であるタンパク質を分解する酵素(プロテアーゼ)を産出することが分かっており、これらの事実から、この4種の微生物は、汚泥を分解、可溶化する能力を有し、かつ可溶化汚泥を基質として増殖することのできる微生物である。
本発明者が決定した塩基配列をデータベース(DDBJ、Genbank等)に記載の塩基配列と比較・検討することにより、汚泥分解菌(Bac1A、CloF、CloG、CloH)に特異的な配列番号1−8の塩基配列を得た。プライマーの設計の際には、同定の対象となる菌とその近縁の菌の配列をアライメントした。その結果、Bac1Aでは可変領域3と可変領域4、CloFでは可変領域4と可変領域5、CloGでは可変領域3と可変領域4、CloHでは可変領域3と可変領域4で特徴的な配列があったので、この領域をターゲットとしてPCRプライマーを設計した。
そして、これらのプライマーが、各種の汚泥分解菌を特異的に同定できることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の配列番号1−8のいずれかの塩基配列または該塩基配列に相補的な配列を有する汚泥分解菌検出用プライマーおよびプローブ
配列番号1 5’−TGGCTTTTTGCATGTACCTT−3’
配列番号2 5’−CAAACTTTCACCGCCGACTT−3’
配列番号3 5’−CAGCTCAACTGTGGTAAGCATT−3’
配列番号4 5’−GAGGTTTGACCCCCAACAC−3’
配列番号5 5’−CAGGGATGATAATGACAGTACC−3’
配列番号6 5’−AGATACCCAGTTTGGAATGC−3’
配列番号7 5’−CCTATGGGAAGATAATGACGGT−3’
配列番号8 5’−TCAGAGGCTTACTACGGTTGAG−3’
と、該プライマーを用いてPCR法で、あるいはこれをプローグに用いてFISH(Fluorescent In Situ Hybridization)法で汚泥分解微生物を検出する方法に関するものである。
汚泥処理中に検出される各種の汚泥分解菌を培養、単離、同定することなしに、混合微生物系の中で検出し、さらに汚泥処理の管理指標の状態を推測することができる。
また、環境試料からのDNA抽出ならびに分離・解析は約1日で完了するため、混合微生物系の状態ならびに管理指標の状態を迅速に推測することができる。さらに自動化、システム化により処理施設の運転管理が格段に容易になる。
本発明方法を汚泥処理プロセスに適用することにより、プロセスに障害が起きる前に微生物群集の状態は変化しているので、この状態の変化を検出することにより、微生物群集が悪い状態に変化しているか否かを早い時期に判断することができる。
本発明のプライマーとプローブはいずれも汚泥分解菌検出用のものであって、下記の配列番号1−8のいずれかの塩基配列あるいは該塩基配列のいずれかに相補的な配列よりなっている。
配列番号1 5’−TGGCTTTTTGCATGTACCTT−3’
配列番号2 5’−CAAACTTTCACCGCCGACTT−3’
配列番号3 5’−CAGCTCAACTGTGGTAAGCATT−3’
配列番号4 5’−GAGGTTTGACCCCCAACAC−3’
配列番号5 5’−CAGGGATGATAATGACAGTACC−3’
配列番号6 5’−AGATACCCAGTTTGGAATGC−3’
配列番号7 5’−CCTATGGGAAGATAATGACGGT−3’
配列番号8 5’−TCAGAGGCTTACTACGGTTGAG−3’
また、これらのオリゴヌクレオチドの長さはプライマーによって異なっており、19−22bpとなっている。これらは操作上最も好適な長さであるが、使用に際しては、各々の16SrDNA中において、該オリゴヌクレオチドに隣接する数〜十数bpの塩基配列を増幅させてもよい。
上記配列番号1−8は、PCR法に使用されるプライマーまたはFISH法に使用されるプローブは、所定のPCRまたはFISH条件下で汚泥中の汚泥分解菌由来の16SrDNA遺伝子にハイブリダイズができるが、それと同一の条件下では真正細菌および非汚泥分解菌由来の16SrDNA遺伝子にハイブリダイズできないような塩基配列を有するように設計され、汚泥分解菌に対し特異性を有する。
PCRに使用されるプライマーまたはFISHに使用されるプローブは、汚泥分解菌の16SrDNA鎖とは相補性があるためにハイブリダイズするが、他の微生物の16SrDNAとは相補性がないため原理上ハイブリダイズできない。
このようにして得られた配列番号1および2記載の塩基配列は汚泥分解菌バクテロイデスBac1Aに特異的なオリゴヌクレオチドであり、プライマーとして両者を組み合わせて使用することが好ましい。また、配列番号3および4記載の塩基配列は汚泥分解菌クロストリジウムCloFに特異的なオリゴヌクレオチドであり、プライマーとして両者を組み合わせて使用することが好ましい。また、配列番号5および6記載の塩基配列は汚泥分解菌クロストリジウムCloGに特異的なオリゴヌクレオチドであり、プライマーとして両者を組み合わせて使用することが好ましい。配列番号7および8記載の塩基配列は汚泥分解菌クロストリジウムCloHに特異的なオリゴヌクレオチドであり、プライマーとして両者を組み合わせて使用することが好ましい。ただし、汚泥分解菌検出用プライマーは、上記の組み合わせに限定されているわけではない。
本検出法に使用可能なプライマーには、塩基長やPCR条件等に依存して、上に列記した塩基配列と実質的に相同な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対も含まれる。
これらのプライマーは、下水処理場に設置されている、余剰汚泥を生物学的に可溶化する槽内の微生物から取得することができる。このような、余剰汚泥を生物学的に可溶化する槽の例として、特開2001−347296号公報に開示されている汚泥処理装置の生物学的可溶化槽を挙げることができる。この装置は、基本的にアルカリ処理槽と生物学的可溶化槽よりなっており、アルカリ処理槽では、汚水の生物処理工程から引抜いた汚泥に水酸化ナトリウムなどのアルカリを加えて攪拌することにより、汚泥を構成する種々の微生物細胞構成成分などが生物学的分解を受けやすい形に改質する。生物学的可溶化槽は、このアルカリ処理された汚泥を嫌気条件(無酸素あるいは微好気条件も含む。)下で汚泥可溶化菌の作用によってさらに可溶化を進行させる。この汚泥可溶化菌は、下水処理場から採取した余剰汚泥を嫌気条件におくことによって余剰汚泥のなかから増殖し得られたものである。
本発明のプライマーは、上記の生物学的可溶化槽内の微生物に限らず、汚泥を分解する能力を有する如何なる微生物から取得したものであってもよい。本発明は、上記塩基配列を用いて可溶化汚泥等の微生物反応系環境試料中の汚泥分解菌に由来する16SrDNA遺伝子の存在をPCR法、FISH法を介して選択的に検出することによる汚泥分解菌を検出することができる。
すなわち、上記のように本発明のプライマーを使用すると、汚泥分解菌が存在する試料では所望の該酸増幅が起こるが、汚泥分解菌が存在しない試料では有意な核酸増幅は起こらない。従って、期待される核酸が増幅されるか否かを調べるだけで、環境試料中に存在する汚泥分解菌の検出が可能になる。PCRでの増幅産物が目的の核酸断片であることを確認するためには、増幅産物の電気泳動をおこなってもよいし、使用されたプライマー間の核酸領域に相補的なDNAプローブ等を使用してもよい。
また、増幅された目的核酸の量は、環境試料中に生息していた汚泥分解菌の菌数(あるいはその16SrDNA遺伝子コピー数が加味されて)と相関する。すなわち、増幅産物の電気泳動により得られる目的産物のバンドを太さ、あるいはRT−PCR(real time−PCR)法等による定量容易な検出法に基づき、汚泥分解菌数を知ることができる。
PCR法では、鋳型となるDNA2本鎖(ここでは汚泥から抽出したDNA)を加熱して1本鎖にする。次に、増殖したい特定部位のDNA鎖(ここでは汚泥分解菌16SrDNA特異的領域)の両端に相補的な2種類のオリゴヌクレトチドプライマーを反応系に過剰に加えた状態で温度を下げると、プライマーがDNA鎖の相補的な部位と2本鎖を形成する。この状態でDNA構成基質のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)とDNAポリメラーゼを作用させると、ポリメラーゼはプライマー部位からDNA相補鎖を合成していく。1回の合成反応で生成したDNAは次の反応の鋳型になるため、その名称の通り連鎖反応的にDNAが合成され、20〜30サイクルの反応後には莫大な数のDNA分子が得られ、増幅したい特定部分(この場合は汚泥分解菌特異的領域)の検出・定量が可能になる。
FISH法では、微生物の遺伝子配列に基づいて作成された、種に特異的な遺伝子プローブを用いて、特定種を検出する蛍光in situハイブリダイゼーション法である。特定種に特異的なプローブの蛍光色素を結合させ、複合微生物群のサンプルに混合することによって、特定菌のみに結合したプローブから蛍光は発せられ、特定部位を有する微生物を直接可視化する。その結果、特定菌の検出・定量が可能になる。
また、配列番号1−8は汚泥分解菌由来の16SrDNA遺伝子にハイブリダイズできるが、それと同一の条件下では真正細菌および非汚泥分解由来の16SrDNA遺伝子にハイブリダイズできないため、FISH法のプローブとしても使用できる。
1.汚泥分解菌の16SrDNAでの同定
下水処理場に設置した汚泥可溶化システムの生物処理槽とアルカリ前処理槽の汚泥中の微生物相を解析した。
(ア)DNAの抽出
下水汚泥(約5000ppm)10mLに50mMトリポリリン酸ナトリウム1mLを添加し、5000rpmで2分間ホモジナイズする。1.5mLを別のチューブに移し、遠心し上清を捨てる。0.25mLの細胞懸濁溶液(10mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、0.35Mシュクロース、20mg/mLリゾチーム)に再懸濁し、37℃で10分間保温する。細胞溶解溶液(100mM Tris−HCl(pH8.0)、20mM EDTA、0.3M NaCl、2%(w/v)SDS、2%(w/v)2−メルカプトエタノール)0.375mL添加し、55℃で30分間保温する。フェノール−クロロフォルム抽出後、2−プロパノール沈殿でDNAを回収後、200μLの10mM Tris‐HCl(pH8.0)‐1mM EDTA(pH8.0)(TE)に再溶解させ、鋳型DNA溶液とした。
(イ)PCR反応
下水汚水中の全微生物はスモールサブユニットリボゾーム(16SrRNA)遺伝子の共通領域をターゲットしたPCR反応で検出した。(16SrDNA)を標的とした。増幅位置は16SrDNA(塩基配列の長さ1541塩基)の全微生物に共通して保存性の高い部分である341から926とし、真正細菌用のプライマーとして、それぞれDNA合成機で合成したGC−341F:5’−GCクランプ−CCTACGGGAGGCAGCAG−3’と907R:5’−CCGTCAATTCCTTT[A/G]AGTTT−3を用いた。
反応液総量を100μLとし、10mM Tris−HCL(pH8.4)、50mM KCl、1.5mM MgC、200μM dNTP混合物に各々0.25μM上記プライマー、1.5U Taq DNAポリメラーゼ(TaKaRa)10ng鋳型DNA(1項で得られたもの)を含む反応液でDNAサーマルサイクラーによりGC341F−907RのPCR条件は94℃2分を2サイクル、94℃30秒、58℃40秒、72℃1分を28サイクル、72℃9分を1サイクル行った。
(ウ)DGGEによる分離
上記で得られたPCR産物はDNA変性剤の濃度が30%から50%の勾配を持つPCR−DGGE法で分離した。用いた100%DNA変性剤は7M尿素と40%ホルムアミドの混合物である。本実験では30%−50%勾配のゲルを6%アクリルアミド:N,N’‐メチレンビスアクリルアミド (37.5:1)で作成した。電気泳動はBio−Rad社のDCodeシステムを使い、0.5xTAEバッファーで200V、60℃、4時間泳動分離した。
(エ)生物処理槽特異的微生物バンドの同定
DGGEの泳動パターン
DGGEで分離したDNAはエチジウムブロマイドで染色後、UV照射で検出し、各処理機に特異的なバンドを検出した。生物処理槽に特異的な4本バンド4本Bac1A、CloF、CloG、CloHをゲルより切り出し、水で数回洗浄後、PCR反応液を添加しPCR増幅し、塩基配列をジーンアナライザーで決定した。
表1に示す配列番号1〜8の8つの塩基配列を決定した
Figure 2006296336
得られた泳動パターンを図1に示す。
2.プライマーの設計および合成
データベースより得られた細菌の16srRNA遺伝子配列を基に、プライマーの設計を行った。
データベースclustalWで解析した汚泥分解菌Bac1A、CloF、CloG、CloHの4種について汚泥分解菌特異的プライマーを設計した。初めに、4種の汚泥分解菌の16s‐rDNA(341‐907)の保存領域と可変領域を大腸菌(Escherichia coli)の配列との比較より決定し、各汚泥分解菌に特異的領域を決定した。次に、Primer analysis software Oligo(Molecular Biology Insight)を用いて、正方向ならびに逆方向の2種類の汚泥分解菌特異的プライマーの組み合わせを設計した。
こうして設計した塩基配列に従い、DNA合成機を用いてプライマー合成した。
3.プライマー特異性の確認
上記のプライマーが実際に特異性を有しているかを確認するために、下水処理場から余剰汚泥、汚泥可溶化装置アルカリ処理槽内汚泥、汚泥可溶化装置生物処理槽内汚泥を採取して、プライマーとの反応性を検討した。
(ア)DNAの抽出
下水汚泥(約5000ppm)10mLに50mMトリポリリン酸ナトリウム1mLを添加し、5,000rpmで2分間ホモジナイズする。1.5mLを別のチューブに移し、遠心し上清を捨てる。0.25mLの細胞懸濁溶液(10mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、0.35Mシュクロース、20mg/mLリゾチーム)に再懸濁し、37℃で10分間保温する。細胞溶解溶液(100mM Tris−HCl(pH8.0)、20mM EDTA、0.3M NaCl、2%(w/v)SDS、2%(w/v)2−メルカプトエタノール)0.375mL添加し、55℃で30分間保温する。フェノール−クロロフォルム抽出後、2−プロパノール沈殿でDNAを回収後、200μLのTEに再溶解させ、鋳型DNA溶液とした。
(イ)PCR反応
反応液総量を100μLとし、10mM Tris−HCL(pH8.4)、50mM KCl、1.5mM MgCl、200μMdNTP混合物に各々0.5μM前記プライマー、1.5U Taq DNAポリメラーゼ、10ng上記鋳型DNAを含む反応液でDNAサーマルサイクラーによるPCR反応を行なった。条件は表2の通りである。
Figure 2006296336
(ウ)プライマー特異性の検討
PCR反応で得られたPCR産物を電気泳動し、バンドの有無によってプライマーと各種汚泥のDNAとの結合能を確認することにより、プライマーの特異性を判定した。1.5%アガロースで100V、25分電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色後、UVランプ下でバンドを確認した。得られた泳動パターンを図2に示す。その結果、生物処理槽にはバンドが確認された。余剰汚泥、アルカリ処理槽では確認されなかった。
4.汚泥分解菌特異的プライマーでの定量
(ア)DNAの抽出
下水汚泥(約5000ppm)10mLに50mMトリポリリン酸ナトリウム1mLを添加し、5,000rpmで2分間ホモジナイズする。1.5mLを別のチューブに移し、遠心し上清を捨てる。0.25mLの細胞懸濁溶液(10mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、0.35Mシュクロース、20mg/mLリゾチーム)に再懸濁し、37℃で10分間保温する。細胞溶解溶液(100mM Tris−HCl(pH8.0)、20mM EDTA、0.3M NaCl、2%(w/v)SDS、2%(w/v)2−メルカプトエタノール)0.375mL添加し、55℃で30分間保温する。フェノール−クロロフォルム抽出後、2−プロパノール沈殿でDNAを回収後、200μLのTEに再溶解させ、鋳型DNA溶液とした。
(イ)リアルタイムPCR反応
反応液総量を100μLとし、10mM Tris−HCL(pH8.4),50mM KCl、3mM MgCl、300μM dNTP混合物に各々125nM前記プライマー、5U Taq DNAポリメラーゼ、10ng上記鋳型DNAを含む反応液でリアルタイムPCR反応を行なった。条件は表3の通りである。
Figure 2006296336
配列番号1と配列番号2の組み合わせで、汚泥可溶化装置生物処理槽内の汚泥分解菌の量を定量モニタリングした。
得られた結果を図3に示す。
本発明により、汚水処理現場における余剰汚泥を安定して可溶化処理できる。
本発明の実施例で下水汚泥から抽出したDNAをPCR反応させた産物をDGGEで電気流動させたパターンである。 図1のパターンで得られた生物処理槽に特異的なバンドの塩基配列に従って合成したプライマーの特異性を調べた泳動パターンである。 このプライマーを用いてPCR反応させて調べた汚泥分解菌の安定性を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 下記の配列番号1−8のいずれかの塩基配列または該塩基配列に相補的な配列を有する汚泥分解菌検出用プライマーおよびプローブ
    配列番号1 5’−TGGCTTTTTGCATGTACCTT−3’
    配列番号2 5’−CAAACTTTCACCGCCGACTT−3’
    配列番号3 5’−CAGCTCAACTGTGGTAAGCATT−3’
    配列番号4 5’−GAGGTTTGACCCCCAACAC−3’
    配列番号5 5’−CAGGGATGATAATGACAGTACC−3’
    配列番号6 5’−AGATACCCAGTTTGGAATGC−3’
    配列番号7 5’−CCTATGGGAAGATAATGACGGT−3’
    配列番号8 5’−TCAGAGGCTTACTACGGTTGAG−3’
  2. 配列番号1と2、3と4、5と6または7と8のいずれかの塩基配列の組合せまたは該塩基配列の組合せに相補的な配列を有する汚泥分解菌用プライマー
  3. 請求項1または2記載のプライマーをPCR法(Polymerase Chain Reaction)において使用することを特徴とする汚泥分解菌の検出方法
  4. 請求項1記載のプローブをFISH法(Fluorescent In Situ Hybridization)において使用することを特徴とする汚泥分解菌の検出方法
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