JP2001327290A - メタン細菌の検出及び測定方法 - Google Patents

メタン細菌の検出及び測定方法

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JP2001327290A
JP2001327290A JP2000150109A JP2000150109A JP2001327290A JP 2001327290 A JP2001327290 A JP 2001327290A JP 2000150109 A JP2000150109 A JP 2000150109A JP 2000150109 A JP2000150109 A JP 2000150109A JP 2001327290 A JP2001327290 A JP 2001327290A
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Japan
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methane
methane bacteria
polynucleotide
seq
bacteria
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JP2000150109A
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Takeshi Nakamura
中村  剛
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、各種メタン細菌を迅速、特異的、且
つ簡便に検出し、測定する方法を提供する。 【解決手段】上記課題を提供するために、本発明は、各
種メタン細菌に特異的な16SrRNA領域をコードするDNAを
用いて、各種メタン細菌を検出し、測定する方法を提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタン細菌に特異
的なポリヌクレオチドを用いてメタン細菌を迅速、特異
的、且つ簡便に検出し、測定する方法も提供する。
【0002】
【従来の技術】メタン細菌は、有機性廃棄物の処理、リ
サイクルにおいて重要な微生物であり、古くからメタン
発酵に用いられてきた。メタン細菌は、これまでに11種
類が知られており、今後も、産業的に利用価値の高いメ
タン細菌の研究が進み、産業的応用が進むものと考えら
れる。
【0003】これら細菌の応用方法としては、メタンを
生成するバイオリアクター等のプラントへの適用があ
り、とりわけ、酢酸からメタンを生成するメタン細菌
(以下、酢酸利用メタン細菌)と水素からメタンを生成
するメタン細菌(以下、水素利用メタン細菌)が、メタ
ン生成に重要な役割をしていると考えられている。
【0004】メタン細菌を利用したバイオリアクターを
適切に制御するためには、メタン細菌の挙動を追跡する
ことが不可欠であるが、該バイオリアクターの中には、
メタン細菌以外にも様々な微生物が混在しているので、
メタン細菌を特異的に検出することは難しい。
【0005】これまで、特定の微生物を検出あるいは同
定するためには、一般に選択培地による分離や増殖用培
地による増菌、顕微鏡観察や免疫学的な反応性、あるい
は多くの生化学的性状のチェック等、多種多様な分析が
行われていた。これら一連の操作の中には、培養をはじ
めてとして時間のかかるものが多く含まれ、メタン細菌
では通常1ヶ月以上を要し、また操作にも熟練が要求さ
れる。
【0006】迅速な検出を目指すため、メタン細菌が特
有に持つ蛍光物質に着目し、メタン細菌を検出する試み
もあるが(特開昭59-205998)、メタン細菌のそれぞれ
の種類を区別することはできなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
存する上記課題を解決するためになされたものであり、
各種メタン細菌を迅速且つ特異的に検出し、測定する方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、16SrRNAをコードする核酸領域の中でメ
タン細菌に特異的な核酸領域を増幅する工程と、増幅さ
れた前記核酸領域を検出する工程とを具備したメタン細
菌を特異的に検出する方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、16SrRNAをコードするD
NA領域(以下rDNA領域と称する)の中でメタン細菌に特
異的な領域を用いて、非メタン細菌が混在する試料から
メタン細菌を特異的に検出する方法を提供する。
【0010】該領域は、実施例1に詳述されているごと
く、メタン細菌と非メタン細菌(大腸菌、バチルス、シ
ュードモナス等)のrDNA領域の塩基配列を比較すること
によって、本発明者がメタン細菌に特異的であることを
見出したものである。
【0011】より具体的には、本発明は、配列番号1の
プライマー(以下プライマー1と称する)と配列番号2
のプライマー(以下プライマー2と称する)を用いてメ
タン細菌に特異的なrDNA領域を増幅することにより、非
メタン細菌が混在する試料から全メタン細菌を特異的に
検出する方法を提供する。該プライマー対は、メタン細
菌に特異的な前記rDNA領域の中から、非メタン細菌の対
応する領域と少なくとも3箇所以上のミスマッチが存在
する配列となるように設計したので、メタン細菌に特異
的な前記rDNA領域に選択的にハイブリダイズする。
【0012】該プライマー対を用いてメタン細菌に特異
的なrDNAを増幅するには、典型的には、以下の操作を行
う。
【0013】まず、メタン細菌を検出すべき試料、好ま
しくはメタン発酵槽汚泥から、核酸を抽出する。細菌か
ら核酸を抽出する方法としては、フェノール抽出を含む
任意の公知の方法を使用できるが、汚泥等から核酸を抽
出する場合、単一の微生物から抽出する場合とは異な
り、夾雑物が多く、用いる方法により、抽出効率や純度
に差があるので、渡辺らの方法(Watanabe, K.,: Appli
ed and Environmental Microbiology, (1998) 64, 1203
-1209)を用いるのが好ましい。該方法の概略は、前処
理として、トリポリリン酸ナトリウムを使用したブレン
ダー処理、リゾチーム処理を行った後、SDSを使用して
溶解し、フェノール−クロロホルムを用いて抽出を行う
ものである。
【0014】次に、抽出した核酸を鋳型とし、プライマ
ー1とプライマー2からなるプライマー対を用いて、ポ
リメラーゼ連鎖反応(以下PCR)を実施する。PCRの反応
条件、及びPCR反応液の組成は、周知のものを用いれば
よい。
【0015】続いて、ゲル電気泳動やマイクロアレイを
含む適切な核酸検出手段を用いて、各メタン細菌から抽
出した核酸を検出し、定量する。
【0016】以上の操作は、極めて一般的な操作の概略
を示したものであるから、核酸の抽出法、PCRの修飾法
(nested PCR等)、及び核酸の検出法は、様々な変法を
組み合わせて使用し得る。
【0017】さらに、本発明は、プライマー1と配列番
号3のプライマー(以下プライマー3と称する)のプラ
イマー対を用いて、水素利用メタン細菌に特異的なrDNA
を増幅することにより、非メタン細菌及び/又は水素利
用メタン細菌以外のメタン細菌が混在する試料から水素
利用メタン細菌を特異的に検出する方法を提供する。
【0018】合わせて、本発明は、プライマー1と配列
番号4のプライマー(以下プライマー4と称する)のプ
ライマー対を用いて、酢酸利用メタン細菌に特異的なrD
NAを増幅することにより、非メタン細菌及び/又は酢酸
利用メタン細菌以外のメタン細菌が混在する試料から酢
酸利用メタン細菌を特異的に検出する方法も提供する。
【0019】プライマー3とプライマー4は、メタン細
菌に特異的なrDNA領域中に存在する塩基配列の中から、
それぞれ水素利用メタン細菌及び酢酸利用メタン細菌に
特異的な塩基配列として選択、設計してある。また、プ
ライマー1とプライマー2、プライマー1とプライマー
3、及びプライマー1とプライマー4の各プライマー対
によって増幅される核酸産物の長さは、全て異なるよう
に設計されている。
【0020】従って、これらの各プライマー対を用いれ
ば、それぞれ、種々の微生物が混在する試料の中から全
メタン細菌、水素利用メタン細菌、及び酢酸利用メタン
細菌を特異的に検出することができる。なお、プライマ
ー3及びプライマー4を用いて、それぞれ水素利用メタ
ン細菌及び酢酸利用メタン細菌の核酸を増幅し、検出す
る方法は、全メタン細菌における操作と同じである。
【0021】本発明は、さらに、それぞれ全メタン細
菌、水素利用メタン細菌、及び酢酸利用メタン細菌に特
異的な塩基配列を有するプローブ2(配列番号2)、プ
ローブ3(配列番号3)、及びプローブ4(配列番号
4)を用いることにより、全メタン細菌、水素利用メタ
ン細菌、及び酢酸利用メタン細菌を可視化して検出する
方法も提供する。
【0022】各種メタン細菌が他の微生物と混在した状
態で存在する試料(メタン発酵槽汚泥等)を用いる場
合、該方法によって各種メタン細菌を特異的に検出する
ためには、試料のVSS濃度が好ましくは200mg/L〜300mg/
Lになるようにホモジナイザー等で分散させることが必
要であるまた、メタン発酵槽汚泥等のように夾雑物が多
く、プローブが非特異的に結合する試料を用いる場合に
は、夾雑物によるバックグラウンドの除去が極めて重要
となる。バックグラウンドの影響は、画像処理によりDA
PI染色結果と比較することで取り除けるが、この為に
も、試料を均一に分散させることが必要である。
【0023】以下、操作について説明する。まずメタン
細菌を固定化する。微生物の固定化には、通常ホルムア
ミドが用いられるが、蛍光in situハイブリダイゼーシ
ョン(以下FISHと称する)を含む蛍光検出法によってプ
ローブを検出する場合は、それ自身蛍光を発するホルム
アミドは不適であり、パラホルムアルデヒドが好適な固
定化物質である。
【0024】メタン細菌を固定化した後、検出制度を向
上させるために、該試料に超音波処理等を施して分散さ
せることが必要である。分散条件は、汚泥の状態によっ
て異なるが、メタン細菌自身が破壊されないように、10
0Wで10〜40分間、あるいは200Wで4〜5分の処理を行うの
が好適である。試料のVSS濃度は、200〜300mg/Lになる
ようにするのが好ましい。
【0025】固定化したメタン細菌に、検出可能な標識
がラベルされたプローブ2〜4をハイブリダイズさせた
後、洗浄し、プローブ2〜4がメタン細菌の染色体DNA
にハイブリダイズしたかどうかを検出する。
【0026】プローブの検出法としては、遺伝子マッピ
ングに頻用されているFISH法が最も好ましい。FISH法を
用いる場合、プローブは、フルオロセインイソチオシア
ネートやテトラメチルローダミンイソチオシアネート
(以下TRITCと称する)等の蛍光物質で標識し、蛍光顕微
鏡によってプローブのハイブリダイゼーションを検出す
る。FISH法以外の方法としては、ドットハイブリダイゼ
ーション法やマイクロアレイ法などを含む核酸検出手段
を用いることができる。
【0027】以上のように、本発明の各方法によれば、
それぞれ全メタン細菌、水素利用メタン細菌、及び酢酸
利用メタン細菌に特異的な塩基配列を用いて、各種メタ
ン細菌を特異的に検出することが可能となる。
【0028】上記記載から明らかなように、本発明の方
法は、核酸配列を用いてメタン細菌を検出する点で従来
の方法とは全く異なる。すなわち、本発明の主題は、核
酸配列の利用によるメタン細菌の迅速特異的な検出に存
するのであって、上記プライマー1〜4、プローブ2〜
4の利用に存するわけではない。
【0029】従って、本発明者が見出したメタン細菌の
rRNA(16SrRNA、23SrRNA、16SrRNAと23SrRNAのスペーサ
ー領域等)をコードするDNAの塩基配列からプライマー
1〜4、及びプローブ2〜4以外の好適なポリヌクレオ
チド、すなわち各種メタン細菌に特異的に見出される塩
基配列をプライマー又はプローブとして選択し、該プラ
イマー又はプローブを用いて、同様の操作で各種メタン
細菌を特異的に検出する方法も本発明に含まれることに
留意しなければならない。
【0030】このような塩基配列は、本発明者によって
特定されたメタン細菌に特異的なrRNAをコードするDNA
の塩基配列に基けば容易に選択することができるであろ
う。
【0031】以下、実施例により、本発明をさらに詳細
に説明する。
【0032】[実施例1]本実施例では、メタン細菌の
rDNA領域と非メタン細菌のrDNA領域を比較することによ
って見出された、メタン細菌に特異的なDNA配列につい
て説明する。
【0033】16SrRNAは、複数のタンパク質とともにrRN
Aのサブユニットを構成するRNAである。16SrRNAの一次
構造、すなわちヌクレオチド配列は種によって異なるた
め、16SrRNAをコードするDNA(以下、rDNAと称する)の
塩基配列の差異は、微生物を特異的に検出するためのマ
ーカーとして利用されている。
【0034】そこで、本発明者は、メタン細菌を特異的
に検出するためのマーカーとしてrDNAを利用するため
に、メタン細菌のrDNAの塩基配列を調べて、メタン細菌
に特異的な配列を見出した。
【0035】具体的には、DDBJ、Genbank等のデータベ
ースから得られた非メタン細菌(メタン発酵槽に常在す
る大腸菌、バチルス、シュードモナス等)のrDNA領域
と、本発明者によって解析されたメタン細菌のrDNA領域
を基に、遺伝子配列解析プログラムGenetxを用いて、多
重アラインメントにより目的のメタン細菌に特異的な塩
基配列を検索した。
【0036】該検索によって明らかとなったメタン細菌
に特異的なrDNA領域に基づき、非メタン細菌と比較して
少なくとも3箇所以上のミスマッチが存在し、メタン細
菌のrDNA領域のみに結合可能な配列となるように、メタ
ン細菌に特異的な塩基配列を増幅・検出するためのプラ
イマーの設計を行った。該プライマーの設計において
は、全てのメタン細菌、酢酸からメタンを生成する
メタン細菌(酢酸利用メタン細菌)、及び水素からメ
タンを生成するメタン細菌(水素利用メタン細菌)を同
時に検出し、区別することができるように、それぞれ異
なった長さの増幅産物が得られるようにオリゴヌクレオ
チドプライマーを設計した。
【0037】全メタン細菌を検出するために設計したプ
ライマー1(配列番号1、配列番号2)、水素利用メタ
ン細菌を検出するために設計したプライマー2(配列番
号1、配列番号3)、酢酸利用メタン細菌を検出するた
めに設計したプライマー3(配列番号1、配列番号4)
を配列表に示す。プライマー1による増幅産物は591b
p、プライマー2による増幅産物は625bp、プライマー3
による増幅産物は504bpとなるよう設計を行った。
【0038】このようにして設計したオリゴヌクレオチ
ド合成機を用いてプライマーを合成した。
【0039】同様にして、それぞれ、全メタン細菌、酢
酸利用メタン細菌、水素利用メタン細菌に特異的なrDNA
に相補的なプローブ1(配列番号2)、プローブ2(配
列番号3)、及びプローブ3(配列番号4)を設計し、
合成した。
【0040】以上、プライマー1〜3及びプローブ1〜
3は、メタン細菌に特異的なrDNAと対合するので、該プ
ライマーを用いれば、メタン発酵槽中に常在する細菌群
の中からメタン細菌を特異的に検出し、定量することが
可能となる。さらに、プライマー2及び3、並びにプロ
ーブ2及び3は、それぞれ、酢酸利用メタン細菌及び水
素利用メタン細菌に特異的なrDNAと対合するので、該プ
ライマーを用いれば、複数種のメタン細菌が混在するメ
タン細菌群の中から酢酸利用メタン細菌及び水素利用細
菌を特異的に検出し、定量することが可能となる。
【0041】[実施例2]本実施例では、実施例1で設
計・合成したプライマー1及び2を用いたPCR法によっ
て、各種の混合微生物群を含む汚泥の中から、全メタン
細菌を検出した。
【0042】(1)鋳型DNAの抽出 上記渡辺らの方法を用いて、全メタン細菌から鋳型DNA
を抽出した。活性汚泥としては、メタン細菌が存在する
メタン発酵槽汚泥を用い、対照実験には、メタン細菌が
殆ど存在しないと考えられる硝化槽汚泥、脱窒槽汚泥を
用いた。
【0043】(2)特異的プライマーを用いたPCR法に
よる全メタン細菌の特異的検出 (1)で得たDNAを鋳型にして、PCR法により、目的領域
のDNAを増幅した。PCR反応溶液の組成は、鋳型DNA:100
ng、Tris-HCl:100mM(pH 8.4)、MgCl2:2.5mM、dTNP Mi
xture:200μM、Ex Taq:2uniとし、0.5μMになるよう
に、実施例1で作成したプライマー1及びプライマー2
を含むプライマー溶液を加えた。これに滅菌水を加えて
50μLのPCR反応溶液にした。さらに、この反応液の上層
に50μLのミネラルオイル(パーキンエルマー)を加え
た後、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラー(宝酒
造)により増幅反応を行った。反応条件は、94℃2分の
後、94℃30秒間の変性→55℃、30秒間のプライマーのア
ニーリング→72℃60秒間の合成反応のサイクルを30サイ
クル行った。その後、72℃10分処理した。これらの操作
により、メタン細菌を含む反応系では、配列番号1と2
の組み合わせからの増幅で591bpのDNA断片が増幅させる
ことになる。PCR反応終了後、各々のPCR反応液から10μ
Lを分取し、3%のアガロース[NuSieve 3:1 agarose (FM
C)]ゲル電気泳動を行い、エチジウムブロマイドでDNA
を染色して、増幅されたDNAを確認した。結果を図1に
示す。
【0044】図1に示した電気泳動の各レーンは、左か
ら、 レーン1:DNA分子量マーカー、 レーン2:メタン発酵槽汚泥 レーン3:硝化槽汚泥 レーン4:脱窒槽汚泥 レーン5:DNA分子量マーカー である。
【0045】図1から明らかなように、メタン細菌が存
在するメタン発酵槽汚泥から採取した鋳型DNAを用いてP
CRを行うと、約591bpのDNA断片が増幅された(レーン2
参照)。これに対して、メタン細菌が存在しない硝化槽
汚泥及び脱窒槽汚泥から採取した鋳型DNAを用いてPCRを
行うと、DNA断片の増幅は認められなかった(レーン3
及びレーン4参照)。
【0046】以上の結果から、実施例1で設計、合成し
たプライマー1とプライマー2は、全メタン細菌の塩基
配列を特異的に認識することが明らかになった。さら
に、PCR法を用いて全メタン細菌を迅速、且つ特異的に
検出できることが明らかとなった。また、本実施例の方
法を用いれば、全メタン細菌を定量することも可能であ
る。
【0047】[実施例3]本実施例では、プライマー1と
プライマー3、及びプライマー1とプライマー4を用い
て、水素利用メタン細菌と酢酸利用細菌を区別して検出
する方法について説明する。
【0048】(1)鋳型DNAの抽出 前記渡辺らの方法を用いて、メタン発酵槽汚泥から全メ
タン細菌、水素利用メタン細菌、酢酸利用メタン細菌の
鋳型DNAを抽出した。
【0049】(2)PCR法による各メタン細菌の特異的
検出 実施例2と同じ組成のPCR反応液に、0,5μMになるよう
に、プライマー1とプライマー2、プライマー1とプラ
イマー3、及びプライマー1とプライマー4の各プライ
マー対を含む溶液を添加した。該プライマー対は、それ
ぞれ、全メタン細菌、水素利用メタン細菌、及び酢酸利
用メタン細菌を特異的に検出するために用いた。
【0050】PCR反応の条件は、及び電気泳動の条件
は、実施例2と同じである。
【0051】結果を図2に示す。
【0052】図2に示した電気泳動の各レーンは、左か
ら、 レーン1:DNA分子量マーカー、 レーン2:プライマー1と2による増幅 レーン3:プライマー1と3による増幅 レーン4:プライマー1と4による増幅 レーン5:DNA分子量マーカー である。
【0053】図2から明らかなように、プライマー1と
2の組み合わせでPCR増幅を行うと、約591bpのDNA断片
が増幅された(レーン2参照)。これに対して、プライ
マー1と3の組み合わせ、及びプライマー1と4の組み
合わせでPCR増幅を行うと、それぞれ約625bpのDNA断片
(レーン3参照)、約504bpのDNA断片(レーン4参照)
が増幅された。
【0054】以上の結果から、実施例1で設計、合成し
たプライマー1とプライマー3、及びプライマー1とプ
ライマー4の組み合わせを使用することによって、酢酸
利用メタン細菌と水素利用メタン細菌を区別して検出で
きることが明らかとなった。
【0055】本結果は、各種メタン細菌に特異的なポリ
ヌクレオチドをプライマーとして用いてPCR法を実行す
ることにより、各種メタン細菌を区別して検出し、定量
し得ることを意味している。
【0056】[実施例4]本実施例では、蛍光標識を施
したプローブ1〜3を用いるFISH法(蛍光in situハイ
ブリダイゼーション法)によって、メタン発酵槽から、
全メタン細菌、水素利用メタン細菌、酢酸利用メタン細
菌を検出した。
【0057】(1)蛍光プローブの作製 本実施例では、実施例1で設計、合成した各プローブ1
〜3の5’末端にTRITC、(テトラメチルローダミンイソ
チオシアネート)を標識した。
【0058】(2)FISH法 本実施例では、それ自身蛍光を発しない4%パラホルムア
ルデヒド溶液を用いて、4℃で5時間の処理を行ってメタ
ン細菌を固定した。
【0059】この試料を測定時に超音波処理し、分散さ
せることが必要であるが、超音波処理を強くしすぎる
と、メタン細菌自身が分解されてしまい、検出できなく
なるので、試料のVSS濃度を200〜300mg/L程度にし、100
Wで10〜40分間、あるいは、200Wで、4〜5分間程度の処
理を行うことが好適である。
【0060】プローブとのハイブリダイゼーションは、
46℃で3時間行い、洗浄は48℃で20分間行った。ハイブ
リダイゼーションに用いた溶液の組成は、塩化ナトリウ
ム5.26g、5% SDS 0.2mL、1M Tris-HCl(pH7.2)2mL、ホル
ムアミド30mLを蒸留水に溶かした物を100mLにして用い
た。その後、全ての微生物を検出するため、DAPIによる
染色を行った。ハイブリダイゼーション、DAPI染色を行
ったサンプルは、落射蛍光顕微鏡によって観察し、写真
撮影を行った。この後、蛍光物質による検出結果と、DA
PI染色結果とを画像処理などにより比較し、蛍光物質に
より検出されたもののうち、DAPIで染色されていない物
を夾雑物であると判断することにより、メタン発酵槽汚
泥等のように夾雑物が多く、プローブが非特異的に結合
する試料を用いる場合においても、目的のメタン細菌の
みを検出することが可能となった。
【0061】図3に、TRITCを用いたFISH法の結果を示
す。
【0062】左側の各レーン(a)〜(c)はDAPI染色による
全微生物の染色、右側の各レーンはプローブ1による全
メタン細菌の検出(d)、プローブ2による水素利用メタ
ン細菌の検出(e)、プローブ3による酢酸利用メタン
細菌(f)を表している。
【0063】全メタン細菌は、水素利用メタン細菌と酢
酸利用メタン細菌を合わせたものであるため、プローブ
1を用いたときの発光数が最も多く、全微生物のうち相
当数を占めている((a)及び(d)参照)。
【0064】これに対して、プローブ2及びプローブ3
は、それぞれ水素利用メタン細菌と酢酸利用メタン細菌
を特異的に検出するので、これらのプローブによって検
出される細菌数が全菌数に占める割合は、プローブ1を
用いた場合に比して小さい。
【0065】本実施例によって、プローブ1〜3を使用
することにより、それぞれ全メタン細菌、水素利用メタ
ン細菌、及び酢酸利用メタン細菌を直接可視化し、これ
らの細菌を特異的に検出し、測定できることが明らかと
なった。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、迅速、特異的且つ簡便
に各種メタン細菌を検出し、測定することができる。
【0067】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Mitsubishi Heavy Industries <120> Method for specific detection of methane bacteria <130> <140> <141> <160> 4 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 20 <212> DNA <213> Methane bacteria. <220> <222> 14 <223> i <400> 1 tcgcgcctgc tgcnccccgt 20 <210> 2 <211> 20 <212> DNA <213> Methane bacteria. <400> 2 gtgctccccc gccaattcct 20 <210> 3 <211> 22 <212> DNA <213> Methano bacteria. <400> 3 cttgtctcag gttccatctc cg 22 <210> 4 <211> 23 <212> DNA <213> Methanosarcinaceae <400> 4 tcgcaccgtg gccgacacct agc 23
【図面の簡単な説明】
【図1】PCR法を用いた全メタン細菌の検出を示す電気
泳動写真。
【図2】PCR法を用いた各種メタン細菌の検出を示す電
気泳動写真。
【図3】FISH法による各種メタン細菌の検出を示すFISH
の顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:01) C12R 1:01)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の群: 配列番号1のポリヌクレオチド、 配列番号2のポリヌクレオチド、 配列番号3のポリヌクレオチド、 配列番号4のポリヌクレオチド から選択されるポリヌクレオチドのプライマーとしての
    使用。
  2. 【請求項2】 以下の群: 配列番号1のポリヌクレオチド、 配列番号2のポリヌクレオチド、 配列番号3のポリヌクレオチド、 配列番号4のポリヌクレオチド から選択されるポリヌクレオチドのプローブとしての使
    用。
  3. 【請求項3】 16SrRNAをコードする核酸領域の中でメ
    タン細菌に特異的な核酸領域を増幅する工程と、 増幅された前記核酸領域を検出する工程とを具備したメ
    タン細菌を特異的に検出する方法。
  4. 【請求項4】配列番号1の塩基配列を含むポリヌクレオ
    チドと配列番号2の塩基配列を含むポリヌクレオチドか
    らなるプライマー対を用いて、全メタン細菌に特異的な
    核酸領域を増幅する工程と、 増幅された前記核酸領域を検出する工程とを具備した全
    メタン細菌を特異的に検出する方法。
  5. 【請求項5】 配列番号1の塩基配列を含むポリヌクレ
    オチドと配列番号3の塩基配列を含むポリヌクレオチド
    からなるプライマー対を用いて、水素利用メタン細菌に
    特異的な核酸領域を増幅する工程と、 増幅された前記核酸領域を検出する工程とを具備した酢
    酸利用メタン細菌を特異的に検出する方法。
  6. 【請求項6】 配列番号1の塩基配列を含むポリヌクレ
    オチドと配列番号4の塩基配列を含むポリヌクレオチド
    からなるプライマー対を用いて、酢酸利用メタン細菌に
    特異的な核酸領域を増幅する工程と、 増幅された前記核酸領域を検出する工程とを具備した酢
    酸利用メタン細菌を特異的に検出する方法。
  7. 【請求項7】 16SrRNAをコードする核酸領域の中でメ
    タン細菌に特異的な核酸領域をメタン細菌にハイブリダ
    イズさせる工程と、 ハイブリダイズした前記核酸領域とを検出する工程とを
    具備したメタン細菌を検出する方法。
  8. 【請求項8】 全メタン細菌に配列番号2のポリヌクレ
    オチドをハイブリダイズさせる工程と、 ハイブリダイズした前記ポリヌクレオチドを検出する工
    程とを具備した全メタン細菌を特異的に検出する方法。
  9. 【請求項9】 水素利用メタン細菌に配列番号3のポリ
    ヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程と、 ハイブリダイズした前記ポリヌクレオチドを検出する工
    程とを具備した全メタン細菌を特異的に検出する方法。
  10. 【請求項10】 酢酸利用メタン細菌に配列番号4のポ
    リヌクレオチドをハイブリダイズさせる工程と、 ハイブリダイズした前記ポリヌクレオチドを検出する工
    程とを具備した酢酸利用メタン細菌を特異的に検出する
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003260490A (ja) * 2002-03-13 2003-09-16 Japanese Research & Development Association For Environment-Friendly Processing In Food Industry 油脂含有汚濁物質の嫌気性処理方法
JP2005245287A (ja) * 2004-03-03 2005-09-15 Ebara Corp メタン発酵微生物系の診断方法およびプライマー
JP2007068431A (ja) * 2005-09-05 2007-03-22 Oji Paper Co Ltd 細菌叢の解析方法およびキット

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