JP7421071B2 - 処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ、検出試薬、検出方法、定量方法、及び処理方法に関する。
コークス炉排水(安水)は物理化学的処理の後、生物学的水処理方法である活性汚泥法によって、排水基準であるCOD(Chemical Oxygen Demand)成分が処理され、放流される。安水中のチオシアン酸[チオシアン酸イオン(SCN)として存在]はCOD成分であるため、処理が求められるが、処理が不安定になりがちである。チオシアン酸イオンの生分解には、硫化カルボニル(COS)を経てチオシアン酸イオンが分解されるCOS経路が知られている。COS経路のチオシアン分解微生物は既に分離されており(特許文献1)、チオシアン分解酵素の遺伝子配列もデータベースに登録されている。
一方、生物学的排水処理では微生物の優占種等の変動などにより、特定物質の除去の不良が問題となっている。活性汚泥法などの生物学的排水処理プロセスを理解、最適化するため、従来、水処理微生物のDNAを解析することで、汚濁成分の分解に関わる遺伝子を定量し、分解に関わる微生物種を定量することなどが行われている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、DNAの解析ではどのような条件で代謝機能が活性化するか評価できず、また、DNAは微生物量を反映しているため、DNAによる解析は、微生物の増殖速度に依存し、明確な変化を得るには数日を要する。それに対し、RNAは数時間で顕著に増減するため、活性を含めた評価を実施するためにはRNAを対象とした解析が望ましい。RNAの発現は微生物の代謝機能を反映していると考えられるため、RNAを対象とした解析により、微生物による代謝活性の状態を評価できる。しかしながら、RNAは一般に遺伝子配列データベースと比較しないと何の機能に関与するものであるか不明であることや、分解が早く扱いが非常に難しいこと等から、実用上の課題も多い。
RNAを対象にした解析は、定量PCR(リアルタイムPCR法)による対象RNAの定量評価、又はマイクロアレイによる解析が行われてきたが、近年開発された次世代シーケンサーにより、RNA配列を大規模に解析することが可能になった。
特許第4672816号公報 特許第5577017号公報
次世代シーケンサーを用いたRNAの解析はRNA-seq(またはメタトランスクリプトーム)と呼ばれ、医学分野で技術が発展している。しかし、該手法を水処理微生物の代謝活性解析に適用しようとすると、微生物のDNA配列のデータベースは乏しく、得られたRNA配列が関与する代謝等の同定が困難であることや、水処理微生物の試料は数千種類の微生物が混在した試料であるため解析が困難であることなどから、RNAの塩基配列解読による発現解析を、水処理微生物の代謝活性解析に適用することは困難である。
また、チオシアン酸イオンの生分解には2つの経路があり、一方はシアン酸イオン(OCN)を経るシアン酸経路にて、もう一方が硫化カルボニル(COS)を経る硫化カルボニル経路にて、チオシアン酸イオンが分解されることが知られていた(図1)。一方、シアン酸経路によりチオシアン分解微生物に関する知見はないため、シアン酸経路のチオシアン分解微生物を定量することが出来ない。
本発明者らは、微生物のRNAの塩基配列の解読による解析手法において、微生物による特定物質の代謝活性の評価をより効果的に実現可能な評価方法を検討した結果、予め飢餓状態で培養した微生物を培養することで得られる微生物試料を用いることで、微生物のRNAの塩基配列の解読による解析手法において、微生物による特定物質の代謝活性の評価をより効果的に実現可能であることを見出した。さらに、この解析方法を用いてRNAの塩基配列を網羅的に解析した結果、微生物によるチオシアン分解活性を短時間で測定できる新規チオシアン酸デヒドロゲナーゼ及び該酵素を用いるチオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性の検出方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
また、チオシアン酸デヒドロゲナーゼを有する微生物を利用して、チオシアンを含有する被処理水を処理可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
[1]以下の(a)~(c)のいずれかのタンパク質であるチオシアン酸デヒドロゲナーゼ。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を含み、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質
(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列と配列同一性が98%以上のアミノ酸配列を含み、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質
[2]以下の(I)~(IV)からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリヌクレオチドを有する検出試薬。
(I)[1]に記載のチオシアン酸デヒドロゲナーゼの遺伝子若しくは該遺伝子産物の塩基配列の部分配列を含むポリヌクレオチド
(II)[1]に記載のチオシアン酸デヒドロゲナーゼの遺伝子若しくは該遺伝子産物の塩基配列と相補的な塩基配列の部分配列を含むポリヌクレオチド
(III)前記(I)の部分配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(IV)前記(II)の部分配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(V)前記(I)の部分配列との配列同一性が98%以上の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(VI)前記(II)の部分配列との配列同一性が98%以上の塩基配列を含むポリヌクレオチド
[3]前記チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を検出可能なプライマー機能を有する組み合わせで、以下の(1)~(6)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリヌクレオチド、及び以下の(7)~(12)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリヌクレオチドを有するプライマーセットを備える、[2]に記載の検出試薬。
(1)配列番号3で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(2)配列番号3で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(3)配列番号5で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(4)配列番号5で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(5)配列番号7で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(6)配列番号7で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(7)配列番号4で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(8)配列番号4で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(9)配列番号6で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(10)配列番号6で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(11)配列番号8で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(12)配列番号8で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
[4][2]又は[3]に記載の検出試薬を用いて、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を検出する方法。
[5][2]又は[3]に記載の検出試薬を用いて、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を定量する方法。
[6]チオシアンと、[1]に記載のチオシアン酸デヒドロゲナーゼと、を含む混合相を形成させ、前記チオシアン酸デヒドロゲナーゼにより前記チオシアンを分解させる処理工程を有する処理方法。
[7]チオシアンを含有する被処理水と、チオシアン酸デヒドロゲナーゼを有する微生物とを含む混合相を形成させ、シアン酸を経由して前記チオシアンを分解する処理工程と、
前記シアン酸を経由して前記チオシアンを分解するシアン酸経路に係る酵素活性を検出する検出工程と、を有する処理方法。
[8]前記シアン酸経路に係る酵素が、チオシアン酸デヒドロゲナーゼである[7]に記載の処理方法。
[9]更に、硫化カルボニルを経由して前記チオシアンを分解する硫化カルボニル経路に係る酵素活性を検出する第二検出工程を有する[7]又は[8]に記載の処理方法。
[10]前記硫化カルボニル経路に係る酵素が、チオシアン酸ヒドロラーゼである[9]に記載の処理方法。
[11]チオシアンを含有する被処理水と、[1]に記載のチオシアン酸デヒドロゲナーゼを有する微生物とを含む混合相を形成させ、前記チオシアンを分解する処理工程を有する処理方法と、
前記チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を検出する検出工程と、を有する処理方法。
[12][2]又は[3]に記載の検出試薬を用いて前記チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を検出する検出工程を有する、[11]に記載の処理方法。
[13]前記チオシアンを含有する被処理水が、コークス炉から排出された安水である[8]~[12]のいずれか一つに記載の処理方法。
本発明のチオシアン酸デヒドロゲナーゼによれば、チオシアンの分解が可能である。
本発明の検出試薬によれば、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性の検出が可能である。
本発明の検出方法によれば、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性の検出が可能である。
本発明の処理方法によれば、チオシアンの分解が可能である。
本発明の処理方法によれば、被処理水がチオシアンを含有する場合、チオシアン酸デヒドロゲナーゼを有する微生物を利用して、チオシアンを含有する被処理水を処理可能である。
チオシアンの分解に関与する反応経路を説明する図である。 実施例で用いた生物処理装置の構成を示す模式図である。 実施例において、各サンプルについて、Phenol monooxygenase遺伝子の発現量を、Real-time reverse transcription-PCRにより定量した結果を示すグラフである。 実施例において、RNA-seqに供するRNA試料に対し、rRNAを除去した結果を示す図である。 実施例において、RNA-seq用のライブラリ調製を行い、cDNAにアダプター、及びインデックスの付加を行った結果を示す図である。 実施例において、「フェノール+アンモニア」条件の本培養と「チオシアン+アンモニア」条件の本培養とで、得られた微生物試料から解読された塩基配列の検出頻度(TPM値)をプロットした結果を示すグラフである。 実施例において、「フェノール+アンモニア」条件の本培養と「チオシアン+アンモニア」条件の本培養とで、得られた微生物試料から解読された塩基配列の検出頻度(FPKM値)をプロットした結果を示すグラフである。 実施例において設計したプライマーセットを使用して得られた検量線である。 実施例において設計したプライマーセットを使用して得られた検量線である。 実施例において設計したプライマーセットを使用して得られた検量線である。 実施例において、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現量の定量結果を示すグラフである。
本明細書においては、図1に示すようなチオシアン酸イオンの分解について、チオシアン酸イオン(SCN)のことを、単に「チオシアン」ということがあり、シアン酸イオン(OCN)のことを、単に「シアン酸」ということがある。
本実施形態のチオシアン酸デヒドロゲナーゼは、下記の評価方法により、微生物試料についてチオシアンを分解する活性を定量評価し、該微生物試料より単離することができる。
≪微生物による特定物質の代謝活性を定量評価する評価方法≫
<第一実施形態>
本実施形態の評価方法は、培養工程、解読工程、及び評価工程を含む。また、上記各工程に加えて、さらに確認工程を含んでもよい。以下、実施形態に係る各工程について詳細に説明する。
(培養工程)
培養工程は、1種類以上の微生物を特定物質の飢餓状態で飢餓培養し、その後前記微生物を、特定物質を代謝可能な条件で本培養することで得られる微生物試料を用意する工程である。
本実施形態では、前記1種類以上の微生物が、生物学的排水処理に使用される微生物である場合について説明する。
生物学的排水処理で処理される被処理水には、当該微生物の処理対象の特定物質が含まれており、生物学的排水処理の目的は、その特定物質の処理にある。
被処理水としては、例えば、コークス工場から排出されたコークス排水が挙げられる。
被処理水は、アンモニア、フェノール、チオシアン、およびチオ硫酸からなる群から選ばれるいずれか一以上を含むものであってよい。
前記1種類以上の微生物は、生物学的排水処理が行われる処理槽からサンプリングして得ることができる。処理槽では、生物学的排水処理に使用される微生物が生育している。後述の実施例の場合では、図2の処理槽中のスポンジ担体21から得られた微生物が挙げられる。処理槽中の活性汚泥から得られた微生物を用いてもよい。さらに処理後に固液分離される沈殿汚泥や再び処理槽に返送される返送汚泥から得られた微生物を用いてもよい。
生物学的排水処理に使用される微生物は、2種類以上の複数の種類の微生物から構成されてよい。つまり、生物学的排水処理に使用される微生物は、2種類以上の微生物群が含まれてよい。本明細書において「微生物群」とはある形質又は遺伝子型に基づいて分類された微生物集団を指し、例えば属、種、亜種が挙げられ、これらに限定されない。当該遺伝子型としては単に微生物のゲノムの塩基配列も含むものとする。
処理槽中に含まれる微生物群の数は、一例として、100種類以上100万種類以下であってもよく、1000種類以上1万種類以下であってもよい。
微生物が「生物学的排水処理に使用される微生物」であるというのは、「生物学的排水処理に使用される微生物群と同じ種類の微生物群」であることの意味であってよい。
本実施形態における生物学的排水処理に使用される微生物としては、例えば、アンモニアを酸化し亜硝酸を生成する微生物、フェノールを分解する微生物、チオシアンを分解する微生物、及びチオ硫酸を分解する微生物等を挙げることができる。
アンモニアを酸化し亜硝酸を生成する微生物としては、アンモニア酸化細菌(ammonia-oxidizing bacteria)やアンモニア酸化古細菌(ammonia-oxidizing archaea)が挙げられる。チオ硫酸を分解する微生物としては、チオバシラス・チオパルス(Thiobacillus Thioparus)などが挙げられる。
・飢餓培養
本実施形態の評価方法では、まず、得られた微生物を特定物質の飢餓状態で飢餓培養する。なお、この特定物質の代謝活性が、後の評価工程における評価対象となる。この評価結果は、生物学的排水処理の処理における、微生物の特定物質の処理能力の評価につながる。
特定物質としては、微生物が直接的又は間接的に処理することのできるものであれば特に限定されるものではない。例えば、特定物質としては、アンモニア、フェノール、チオシアン、及びチオ硫酸等を挙げることができる。
「微生物を特定物質の飢餓状態で飢餓培養する」とは、微生物において特定物質の代謝経路が停止又は活性低下する条件で微生物を培養することをいう。係る条件を満たす飢餓培養に用いられる培地としては、特定物質を含まない培地や、特定物質を少量含む培地等があげられる。少量とは、微生物において特定物質の代謝経路が停止又は活性低下する程度の量とする。代謝経路が停止又は活性低下したことは、例えば、培地及び微生物を含む培養系において、特定物質の代謝産物の増加が停止したこと、又は特定物質の代謝産物の増加率が低下したこと等により判断できる。
本明細書において、微生物の「培養」とは生体内以外の環境で微生物を生育させることをいい、それに用いられる「培地」とは、微生物を培養可能なものであれば特に制限されない。
特定物質を含まない培地は、微生物を培養可能であり且つ特定物質を含まないものであれば特に制限されず、公知の微生物培養用培地、バッファー等を用いることができる。培地形態は特に制限されず、液体状、固体状、ゲル状等の形態が挙げられる。
後述の本培養における代謝活性状態との比較を容易にするため、飢餓培養に用いられる培地と、本培養に用いられる培地とは、特定物質以外の成分の組成を共通の組成とすることが推奨される。
・本培養
次いで、飢餓培養された微生物を、特定物質を代謝可能な条件で本培養する。
「微生物を特定物質を代謝可能な条件で本培養する」とは、微生物において特定物質の代謝経路が活性化した条件で微生物を培養することをいう。係る条件を満たす本培養に用いられる培地としては、特定物質を十分量含む培地等があげられる。十分量とは、微生物において特定物質の代謝経路が活性化する程度の量とする。代謝経路が活性化したことは、例えば、培地及び微生物を含む培養系において、特定物質の代謝産物の増加又は分解による特定物質の減少が確認されたこと等により判断できる。
特定物質を含む培地は、微生物を培養可能であり且つ特定物質を含むものであれば特に制限されず、公知の微生物培養用培地、バッファー等を用いることができる。培地形態は特に制限されず、液体状、固体状、ゲル状等の形態が挙げられる。
既述の飢餓培養における代謝活性状態との比較を容易にするため、本培養に用いられる培地と、飢餓培養に用いられる培地とは、特定物質以外の成分の組成を共通の組成とすることが推奨される。
このようにして、飢餓培養及び本培養を行うことで、後の解読工程に供される微生物試料を得ることができる。
(解読工程)
解読工程は、前記培養工程で得られた微生物試料中のRNAの塩基配列を解読する工程である。
解読工程は、例えば、以下の工程を含むことができる。以下の工程A~Cはこの順に行うことができる。
工程A:前記培養工程で得られた微生物試料中のRNAを抽出しRNA試料を得る工程、
工程B:前記RNA試料から逆転写によってcDNAを生成する工程、
工程C:前記生成されたcDNAの塩基配列を解読する工程。
RNAの抽出およびcDNAの生成の方法は公知であり、当該技術分野で通常用いられている方法を適宜採用して、実施することが可能である。
なお、ここで例示するように、本実施形態ではRNAからcDNAを生成しcDNAの塩基配列を解読することも、RNAの塩基配列を解読することに該当するものとする。つまり、RNAの塩基配列に対応する配列を有する核酸の塩基配列を解読することも、RNAの塩基配列を解読することに該当するものとする。
抽出されたRNAには、微生物試料中の微生物のRNAが含まれている。得られたRNAの塩基配列は網羅的に解読してもよく、一部のみを解読してもよい。「網羅的」とは、解読対象の配列部分を予め特定しないことを意味する。
解読するRNAの種類は、mRNA、ncRNA、rRNA及びそれらの前駆体並びに誘導体が挙げられる。ncRNAとしては、snRNA、miRNA等が挙げられる。
塩基配列の解読は、公知の方法により行うことができる。塩基配列の解読にはシーケンサーを用いることができる。
本実施形態の評価方法は、非常に多くの微生物群を含む微生物試料に対して好適に用いられる。そのため、前記塩基配列の解読に、次世代シーケンサーを用いることが好ましい。次世代シーケンサーとしては、DNAポリメラーゼ等による逐次的DNA合成反応を利用したものが代表的である。前記塩基配列の解読に用いるシーケンサープラットフォームとして、454、Illumina、SOLiD、Ion torrent、PacBioが挙げられる。
(確認工程)
実施形態の評価方法は、第1の確認工程を更に含んでもよい。第1の確認工程は、微生物試料について、特定物質の代謝に関わる既知のRNAの検出を指標にして、前記微生物試料の品質確認を行う工程である。
なお、第1の確認工程は、その前段階として、例えば上記の工程A~Bを行うことができ、得られたcDNAの検出を指標にして、RNA試料の品質確認を行ってもよい。この場合の第1の確認工程は、RNA試料における、特定物質の代謝に関わる既知のRNAの検出を指標にして、RNA試料の品質確認を行う工程であってよい。
第1の確認工程は、解読工程の前に行われることが好ましい。第1の確認工程により、微生物試料又はRNA試料における特定物質の代謝活性の状態の一部の情報を、参考情報として予備的に把握することができる。例えば、微生物試料又はRNA試料から、特定物質の代謝に関わる既知のRNAが検出されたかを確認する。また、既知のRNAがどの程度検出されたかを確認してもよい。特定物質の代謝に関わる既知のRNAが検出されたのであれば、当該試料の微生物では特定物質の代謝が活性化されていると判断でき、当該試料について解読工程及び評価工程を行えば、特定物質の代謝の評価結果が得られるはずである。
RNAの検出の方法は公知であり、当該技術分野で通常用いられている方法を適宜採用して、実施することが可能である。第1の確認工程では、RNAの配列を解読しなくともよい。第1の確認工程で用いられるRNAの検出方法としては、例えば、RT-PCR法、ノーザンブロット法、ドットブロット法などが挙げられ、なかでもRT-PCR法が好ましい。RT-PCRは、リアルタイムRT-PCR法を用いてもよい。
検出するRNAとしては、mRNA、ncRNA、rRNA、tRNA及びそれらの前駆体並びに誘導体が挙げられる。ncRNAとしては、snRNA、miRNA等が挙げられる。これらのなかでは、mRNAが好ましい。特定物質の代謝に関わる既知のRNAとは、特定物質の代謝に関わることが知られている遺伝子産物のRNAを例示できる。遺伝子は、特定物質の代謝に関わる既知の酵素をコードする遺伝子を例示できる。
実施形態の評価方法は、第2の確認工程を更に含んでもよい。第2の確認工程は、RNA試料のRNAの純度を指標にして、前記RNA試料の品質確認を行う工程である。
第2の確認工程は、解読工程の前に行われることが好ましい。例えば、RNA試料中に含まれる核酸量に対するRNA量を確認することでRNAの純度を求めてもよく、残存するDNA量を確認してもよい。また、PCR等を利用して特定の配列について確認することもできる。RNA試料中に高純度でRNAが含まれているか、残存するDNAが少ないことを確認できれば、高純度でRNAを含む高品質のRNA試料が得られたと判断できる。
RNAとDNAとを区別して検出する方法は公知であり、当該技術分野で通常用いられている方法を適宜採用して、実施することが可能である。第2の確認工程でも、RNAの配列を解読しなくともよい。確認工程で用いられるRNAの検出方法としては、例えば、RNA及びDNAの染色測定、吸光度測定、各種のPCR法によるDNAの増幅などの方法が例示できる。
上記第1の確認工程及び第2の確認工程(以下、まとめて確認工程と記す。)は、どちらか一方のみ行ってもよく、両方を行ってもよい。
確認工程を行うことにより、微生物試料又はRNA試料が、解読工程で解読されて特定物質の代謝活性を評価されるに値する品質かどうか確認できる。
確認工程においてRNAの配列を解読せずにRNAの発現解析を行い、解読工程においてRNAの配列を解読してRNAの発現解析を行うことで、効率よく微生物による特定物質の代謝活性の評価を行うことができる。
(評価工程)
評価工程は、前記解読された塩基配列の検出頻度を指標にして、微生物による前記特定物質の代謝活性を評価する工程である。
解読工程によって解読されたRNAの塩基配列には、本培養時に存在していたRNAの塩基配列が解読されている。そこには、特定物質の代謝に関与するRNAの塩基配列も含まれている。
特定物質の代謝に関与するRNAとしては、上記の確認工程で検出するRNAとして例示したものが挙げられる。特定物質の代謝に関与するRNAとは、特定物質の代謝に関わる遺伝子産物のRNAを例示できる。遺伝子は、特定物質の代謝に関わる酵素をコードする遺伝子を例示できる。
代謝活性を評価することは、解読されたRNAが関与する代謝の反応の活性化状況を値化することで行われる。
塩基配列の検出頻度とは、解読された全塩基配列中に確認されたRNAの塩基配列ごとのリード数の相対数又は絶対数である。特定物質の代謝に関与するRNAの塩基配列の検出頻度が高いほど、特定物質の代謝経路に関与するRNAの発現量が高く、微生物による特定物質の代謝活性が高いと評価できる。また逆に、特定物質の代謝に関与するRNAの塩基配列の検出頻度が低いほど、特定物質の代謝経路に関与するRNAの発現量が低く、微生物による特定物質の代謝活性が低いと評価できる。特定物質の代謝に関与するRNAの塩基配列が検出されなければ、微生物による特定物質の代謝活性が無い又は著しく低いと評価できる。
例えば、解読されたRNAの塩基配列に、物質Aの代謝に関与する遺伝子AのRNAの塩基配列が100リード含まれ、物質Bの代謝に関与する遺伝子BのRNAの塩基配列が10000リード含まれているとする。この場合、微生物試料中では、物質Aと物質Bの代謝活性があり、物質Aよりも物質Bの代謝活性が向上されていると評価できる。
ここでいう微生物による特定物質の代謝活性とは、微生物試料に含まれる微生物全体の代謝活性の評価であってよい。RNAの塩基配列から微生物群が特定できるのであれば、微生物試料に含まれる特定の微生物群のみの代謝活性の評価であってよい。
前記特定物質の代謝は、アンモニアを酸化し亜硝酸を生成する反応、フェノールを分解する反応、チオシアンを分解する反応、およびチオ硫酸を分解する反応等が挙げられる。
データベースの登録されているDNA又はRNAの塩基配列の機能に関する注釈情報を利用して、特定物質の代謝に関与するRNAの塩基配列を分類して用いることができる。同様の手法で、上記の反応に関与する代謝に関与するRNAの塩基配列も分類して用いることができる。
アンモニアを酸化し亜硝酸を生成する反応に関与する遺伝子としては、アンモニアモノオキシゲナーゼ(ammonia monooxygenase)をコードする遺伝子等が挙げられる。フェノールを分解する反応に関与する遺伝子としては、フェノールモノオキシゲナーゼ(phenol monooxygenase)をコードする遺伝子等が挙げられる。チオシアンを分解する反応に関与する遺伝子としては、チオシアン酸ヒドロラーゼ(thiocyanate hydrolase)をコードする遺伝子、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ(thiocyanate dehydrogenase)をコードする遺伝子等が挙げられる。チオ硫酸を分解する反応に関与する遺伝子としては、チオ硫酸デヒドロゲナーゼ(thiosulfate dehydrogenase)をコードする遺伝子等が挙げられる。
塩基配列の検出頻度を常法により補正することで、活性の定量的な評価をすることも可能である。例えば、補正後の補正値としては、TPM値、FPKM値等が挙げられる。TPM値、FPKM値は、解読された全リード数に対し、該当配列の発現量(検出量)に所定の補正をして算出された値とされる。
以上のように、実施形態の評価方法においては、微生物を前記特定物質の飢餓状態で飢餓培養し、その後、前記微生物を特定物質を代謝可能な条件で本培養することで得られる微生物試料中の、RNA塩基配列を解読し、解読された塩基配列の検出頻度を指標にして、微生物による前記特定物質の代謝活性を評価する。
従来、生物学的排水処理に係る微生物の解析を行う場合、微生物の種類が多様で、得られる塩基配列の種類も膨大となる、そのため、解読された塩基配列を用いてRNAの発現解析を試みても、十分な精度が得られなかった。
それに対して、本実施形態の評価方法では、微生物を飢餓培養して特定物質の代謝を一旦低下させ、その後の本培養にて代謝を再び活性化させることで、特定物質の代謝活性が明確な微生物試料を調製可能となる。そのため、塩基配列の検出頻度からRNAの発現解析を行う場合であっても、特定物質の代謝活性の評価を精度よく実現可能である。
また、本実施形態の評価方法は、上記のとおり、特定物質の代謝活性が明確な微生物試料を調製可能であるため、RNAの塩基配列の解読が網羅的な解読である場合に好適である。網羅的に解読され、膨大な量解読された塩基配列を用いてRNAの発現解析を行う場合あっても、特定物質の代謝活性の評価を精度よく実現可能である。
<第二実施形態>
本実施形態の評価方法は、上記の第一実施形態の評価方法において、前記培養工程が、1種類以上の微生物を前記特定物質の飢餓状態で飢餓培養し、その後前記微生物を、特定物質を代謝可能な第1の条件で本培養することで得られる第1の微生物試料と、特定物質を代謝可能な第2の条件で本培養することで得られる第2の微生物試料と、を用意する工程である方法である。
本実施形態の評価方法も、上記第一実施形態の評価方法と同じく、培養工程、解読工程、及び評価工程を含み、上記各工程に加えて、さらに確認工程を含んでもよい。培養工程、解読工程、評価工程、及び確認工程について、上記第一実施形態の評価方法と共通する内容について説明を省略する。
本実施形態における培養工程では、飢餓培養に続く本培養において、互いに条件の異なる第1の条件および第2の条件でそれぞれについて培養を行う。例えば、第1の条件として、特定物質としてチオシアン酸ナトリウムおよび塩化アンモニウムを含み、フェノールを含まない培地での培養とし、第2の条件として、特定物質としてフェノール及び塩化アンモニウムを含み、チオシアン酸ナトリウムを含まない培地での培養とする培養工程が挙げられる。
異なる条件とは、上記のように培地における特定物質の含有量の違いのほか、温度条件や曝気条件などのその他の培養条件であってよい。
解読工程及び評価工程では、第1の微生物試料と、第2の微生物試料のそれぞれに対して解読及び評価を行うことができる。更に、第1の微生物試料と、第2の微生物試料のそれぞれに対して得られた評価結果を比較できる。
以上のように、実施形態の評価方法においては、微生物を前記特定物質の飢餓状態で飢餓培養し、その後、前記微生物を特定物質を代謝可能な条件で本培養することで得られる微生物試料中の、RNA塩基配列を解読し、解読された塩基配列の検出頻度を指標にして、微生物による前記特定物質の代謝活性を評価する。
従来の方法では、異なる複数の水処理リアクターを運転し、それぞれの微生物試料から抽出したRNAを比較することを試みるような場合、以下のような問題により、十分な精度が得られなかった。1)リアクター間の条件のバイアスが大きくならないように、複数のリアクターを安定して運転することは困難。2)複数のリアクターで運転すると異なる微生物が優占するので比較が困難。
それに対して、本実施形態の評価方法では、微生物を飢餓培養して特定物質の代謝を一旦低下させ、その後の本培養にて代謝を再び活性化させることで、異なる条件間で特定物質の代謝活性の違いが明確な微生物試料を調製可能となる。加えて、飢餓培養ではリアクター間のバイアスも小さくできる。加えて、リアクターは通常数週~数か月間運転するが、本実施形態での培養は数時間で完了する。そのため、異なる培養条件のもと取得されたサンプル間の、塩基配列の検出頻度からRNAの発現解析を行う場合であっても、条件間での特定物質の代謝活性の比較評価を精度よく実現可能である。
上記の≪微生物による特定物質の代謝活性を定量評価する評価方法≫により、微生物試料から、本実施形態のチオシアン酸デヒドロゲナーゼを単離することができる。以下、本実施形態のチオシアン酸デヒドロゲナーゼについて説明する。
≪チオシアン酸デヒドロゲナーゼ≫
本実施形態のチオシアン酸デヒドロゲナーゼ(thiocyanate dehydrogenase、以下、TcDHともいう)は、以下の(a)~(c)のいずれかのタンパク質である。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を含み、TcDH活性を有するタンパク質
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、TcDH活性を有するタンパク質
(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列と配列同一性が98%以上のアミノ酸配列を含み、TcDH活性を有するタンパク質
前記(a)において、配列番号1に記載のアミノ酸配列は、後述の実施例で取得されたTcDHのアミノ酸配列である。配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸としては、配列番号2で表される塩基配列からなる核酸が挙げられる。
本実施形態のTcDHは、TcDH活性を有するタンパク質である限りにおいて、配列番号1で表されるアミノ酸配列に対して変異を有するものであってよく、前記(b)のタンパク質、及び(c)のタンパク質であってもよい。
前記(b)のタンパク質において、1又は数個とは、例えば、1~30個であってもよく、1~20個であってもよく、1~10個であってもよく、1~5個であってもよく、1~4個であってもよく、1~3個であってもよく、1~2個であってもよい。
前記(c)のタンパク質において、アミノ酸配列の配列同一性は98%以上であってもよく、99%以上であってもよい。アミノ酸配列の配列同一性は、GenBankデータベース上で提供されるBLAST検索により求めることができる。
(a)~(c)のいずれかのタンパク質は、TcDH活性を有する。本発明のTcDH活性とは、図1に示す通り、OCN経路で、チオシアンをシアン酸と元素硫黄(S)に分解する活性であってよい。TcDHの候補タンパク質がTcDH活性を有することは、当該候補タンパク質の機能を解析することにより判断でき、例えば、本来はチオシアン分解能を有していない微生物に、TcDHの候補タンパク質の遺伝子を導入し、TcDHの候補タンパク質を発現させる。そして、当該微生物がチオシアン分解能を獲得した場合、当該候補タンパク質はTcDHであると判断できる。
本実施形態のTcDHは、配列番号1で表されるアミノ酸配列に基づいて化学的に合成してもよく、また、当該TcDHをコードする遺伝子を用いて、公知のタンパク質発現系によって製造することができる。また、配列番号1で表されるアミノ酸配列に対して変異を有するTcDHは、配列番号1で表されるアミノ酸配列基づき、公知のアミノ酸変異を導入する遺伝子組換え技術を用いて製造することもできる。
当該実施形態に係るTcDHは、チオシアンの分解に使用することができ、排水処理や物質製造など種々の反応に用いることができる。
≪検出試薬≫
以下、実施形態の検出試薬について説明する。
実施形態の検出試薬は、(I)~(VI)からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。
(I)本発明に係るTcDHの遺伝子若しくは該遺伝子産物の塩基配列の部分配列を含むポリヌクレオチド
(II)本発明に係るTcDHの遺伝子若しくは該遺伝子産物の塩基配列と相補的な塩基配列の部分配列を含むポリヌクレオチド
(III)前記(I)の部分配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(IV)前記(II)の部分配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(V)前記(I)の部分配列との配列同一性が98%以上の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(VI)前記(II)の部分配列との配列同一性が98%以上の塩基配列を含むポリヌクレオチド
本明細書における「遺伝子」とは、ゲノム上のTcDHの転写産物に対応するタンパク質コード領域の他に、イントロン、非翻訳領域、及び隣接した転写調節領域を含んでもよい。隣接した転写調節領域としては、プロモーターが挙げられる。ここでのTcDHの「遺伝子産物」としては、mRNA、mRNA前駆体が挙げられる。
実施形態の検出試薬におけるTcDHの遺伝子とは、上記(a)~(c)のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子である。
実施形態の検出試薬において、前記(I)の部分配列とは、本発明に係るTcDHの遺伝子若しくは該遺伝子産物の塩基配列の全部は含まない、前記塩基配列の任意の連続する一部の塩基配列であって、後述するプローブ又はプライマーとして使用可能な長さを有する。
実施形態の検出試薬において、前記(II)の部分配列とは、本発明のTcDH遺伝子若しくは該遺伝子産物の塩基配列と相補的な塩基配列の全部は含まない、前記塩基配列の任意の連続する一部の塩基配列であって、後述するプローブ又はプライマーとして使用可能な長さを有する。
実施形態の検出試薬において、前記(I)と(II)のポリヌクレオチドは、TcDHの遺伝子若しくは該遺伝子産物の塩基配列の部分配列、又は該部分配列と相補的な配列を含んでいるので、前記TcDHの遺伝子若しくは該遺伝子産物とハイブリダイズすることで、これらの存在を検出できる。
ポリヌクレオチド同士のハイブリダイズは、完全に相補的な配列同士でなくとも生じることが知られている。そのため、前記(I)又は(II)のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする限りにおいて、ポリヌクレオチドは変異を有するものであってよい。実施形態の検出試薬が含んでもよいポリヌクレオチドとしては、例えば、前記(III)~(VI)のポリヌクレオチドが挙げられる。
上記において、「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、Molecular Cloning-A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION(Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載の方法が挙げられる。例えば、5×SSC(20×SSCの組成:3M 塩化ナトリウム,0.3M クエン酸溶液,pH7.0)、0.1重量% N-ラウロイルサルコシン、0.02重量%のSDS、2重量%の核酸ハイブルダイゼーション用ブロッキング試薬、及び50%フォルムアミドから成るハイブリダイゼーションバッファー中で、55℃以上70℃以下で数時間から一晩インキュベーションを行うことによりハイブリダイズさせる条件を挙げることができる。なお、インキュベーション後の洗浄の際に用いる洗浄バッファーとしては、好ましくは0.1重量%SDS含有1×SSC溶液、より好ましくは0.1重量%SDS含有0.1×SSC溶液である。
前記(III)及び(IV)の配列において、1又は複数個とは、例えば、1~30個であってもよく、1~20個であってもよく、1~10個であってもよく、1~5個であってもよく、1~4個であってもよく、1~3個であってもよく、1~2個であってもよい。
前記(V)及び(VI)の配列において、塩基配列の配列同一性は98%以上であってもよく、99%以上であってもよい。塩基配列の配列同一性は、GenBankデータベース上で提供されるBLAST検索により求めることができる。
実施形態の検出試薬に含まれるポリヌクレオチドは、プライマー又はプローブとして使用することができる。実施形態の検出試薬に含まれるポリヌクレオチドの長さは、プライマー又はプローブとして使用可能な長さであればよく、用途により適切な長さを適宜選択できる。検出試薬がプローブである場合、プローブの長さは、例えば、10~500塩基であってよく、20~200塩基であってよく、50~100塩基であってよい。検出試薬がプライマーである場合、プライマーの長さは、例えば、10~40塩基であってよく、18~35塩基であってよく、20~25塩基であってよい。当該ポリヌクレオチドは、当該ポリヌクレオチドの塩基配列に基づき、化学的合成又は公知の遺伝子組換え技術により製造することができる。
実施形態の検出試薬がプライマーである場合、実施形態の検出試薬は、前記(I)、(III)、及び(V)からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリヌクレオチドと、前記(II)、(IV)、及び(VI)からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリヌクレオチドとを含んでいてもよい。
実施形態の検出試薬に含まれるポリヌクレオチドは、DNAが好ましく、DNAと同様の機能を有するものであれば、PNA(ペプチド核酸)やLNA(Locked Nucleic Acid)等の人工核酸を含むものであってもよい。
<プライマーセット>
実施形態の検出試薬は、前記TcDH活性を検出可能なプライマー機能を有する組み合わせで、以下の(1)~(6)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリヌクレオチド、及び以下の(7)~(12)からなる群から選ばれるすくなくとも一種のポリヌクレオチドを有するプライマーセットを備えていてもよい。
(1)配列番号3で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(2)配列番号3で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(3)配列番号5で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(4)配列番号5で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(5)配列番号7で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(6)配列番号7で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(7)配列番号4で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(8)配列番号4で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(9)配列番号6で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(10)配列番号6で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
(11)配列番号8で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(12)配列番号8で表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド
配列番号3~8で表される塩基配列は、配列番号2で表される塩基配列の部分配列、又は当該部分配列と相補的な配列である。これら(1)~(12)のポリヌクレオチドの組み合わせによれば、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むTcDHのチオシアン分解活性を検出可能である。
検出試薬が備えるポリヌクレオチドの、好ましい組み合わせとしては、
(1)及び/又は(2)のポリヌクレオチドと、(7)及び/又は(8)のポリヌクレオチドとの組み合わせ、
(3)及び/又は(4)のポリヌクレオチドと、(9)及び/又は(10)のポリヌクレオチドとの組み合わせ、
(5)及び/又は(6)のポリヌクレオチドと、(11)及び/又は(12)のポリヌクレオチドとの組み合わせ、を例示できる。
前記(2)、(4)、(6)、(8)、(10)及び(12)のポリヌクレオチドにおいて、1又は複数個とは、例えば、1~5個であってもよく、1~4個であってもよく、1~3個であってもよく、1~2個であってもよい。また、これらポリヌクレオチドの3’末端から2塩基には塩基の欠失、置換及び付加が存在しないことが好ましい。
当該実施形態に係る検出試薬によれば、TcDH活性を精度よく検出することができる。
≪検出方法≫
実施形態の検出方法は、上記実施形態の検出試薬を用いて、TcDH活性を検出する方法である。
実施形態の検出試薬に含まれるポリヌクレオチドは、プライマー又はプローブとして使用することができる。プライマー又はプローブを用いたTcDH活性の検出方法は、特に制限されず、各種方法に適用可能である。例えば、PCR法、RT-PCR法、マイクロアレイ、シーケンス解析等の各種方法が挙げられる。
実施形態の検出方法は、分析対象物からRNAを抽出する工程と、前記RNAを鋳型としてcDNAを合成する工程と、上記実施形態のプライマーセットを用いて、前記cDNAの増幅反応を行う工程と、前記増幅反応により増幅された増幅産物の検出によりTcDH活性を検出する工程、とを有する。上記cDNAの合成工程と、cDNAの増幅工程と、TcDH活性の検出工程は、PrimeScriptTM One Step RT-PCR Kit Ver.2等のキット等を用いて同時に実施することもできる。
増幅反応としては、PCR法が挙げられる。増幅産物の検出は、例えば、アガロースゲル電気泳動等により、増幅産物を観察することにより行ってもよい。また、SYBRグリーン等のインターカレーター色素の存在下でPCRを行い、インターカレーター色素の蛍光を検出することにより行ってもよい。
本実施形態に係る検出方法により、前記TcDH活性が検出された場合には、前記分析対象物にTcDHが存在すると判定できる。また、前記分析対象物にTcDH活性が存在するとの判定により、前記分析対象物にTcDHの遺伝子を有する微生物が存在すると判断することも可能となる。
≪定量方法≫
実施形態の定量方法は、上記実施形態の検出試薬を用いて、TcDH遺伝子の発現量を定量する方法である。
実施形態の定量方法は、分析対象物からRNAを抽出する工程と、前記RNAを鋳型としてcDNAを合成する工程と、上記実施形態のプライマーセットを用いて、前記cDNAの増幅反応を行う工程と、前記増幅反応により増幅された増幅産物の定量により、TcDHの発現量を定量する工程とを有する。上記cDNAの合成工程と、cDNAの増幅工程と、TcDHの発現量を定量する工程は、One Step TB GreenTM PrimeScriptTM PLUS RT-PCR Kit (Perfect Real Time)等のキット等を用いて同時に実施することもできる。
TcDH遺伝子の発現量の定量は、例えば、増幅産物に対応する遺伝子のコピー数と、蛍光強度の相関関係を利用した検量線を予め用意することにより、蛍光強度からTcDH遺伝子のコピー数を定量することにより実施できる。
当該実施形態に係る定量方法によれば、前記増幅産物を定量することで、前記分析対象物に含まれるTcDH遺伝子のコピー数を定量できる。また、前記分析対象物におけるTcDH遺伝子のコピー数から、前記分析対象物に存在するTcDHの量を定量することも可能となる。
≪処理方法≫
<第1実施形態>
本実施形態の処理方法は、チオシアンと、上記実施形態のTcDHと、を含む混合相を形成させ、前記TcDHにより前記チオシアンを分解させる処理工程を有する。上記実施形態のTcDHは、チオシアン分解活性を有するので、チオシアンとTcDHが反応し、チオシアンがシアン酸と元素硫黄に分解される。
チオシアンとしては、チオシアン酸塩であってもよく、チオシアン酸イオンであってもよい。チオシアン酸塩としては、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム等が挙げられる。
本実施形態の処理方法によれば、本発明に係るTcDHを用いることで、チオシアンの分解が可能である。
<第2実施形態>
(処理工程)
本実施形態の処理方法は、チオシアンを含有する被処理水と、TcDHを有する微生物とを含む混合相を形成させ、前記チオシアンをシアン酸に分解する処理工程を有する。
チオシアンを含有する被処理水としては、各種工場排水が挙げられ、コークス炉から排出された安水が好ましい。
チオシアンを含有する被処理水と、TcDHを有する微生物とを混合させ、これらを含む混合相を形成させる。例えば、TcDHを有する微生物を含んだ活性汚泥が溜められた処理槽に、チオシアンを含有する被処理水を導入すると、前記混合相が形成される。
被処理水に含まれるチオシアンとしては、チオシアン酸塩であってもよく、チオシアン酸イオンであってもよい。チオシアン酸塩としては、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム等が挙げられる。
処理工程は、嫌気的条件下で行われてもよいが、好気的条件下で行われることが好ましい。
(検出工程)
本実施形態の処理方法は、前記チオシアンをシアン酸に分解するシアン酸経路に係る酵素活性を検出する検出工程を有する。
チオシアンの分解には、図1に示すとおり、シアン酸を経由してチオシアンを分解するシアン酸経路と、硫化カルボニルを経由してチオシアンを分解する硫化カルボニル経路と、がある。
シアン酸経路は、図1に示すとおり、チオシアンが、シアン酸及び元素硫黄に分解される経路である。シアン酸経路に係る酵素としては、当該経路に係る反応に関与する酵素が挙げられ、未知の酵素であってもよく、TcDHが好ましい。
本実施形態の処理方法におけるTcDHは、チオシアン分解酵素活性を有する。TcDH活性とは、チオシアンを分解する活性であり、図1に示す通り、チオシアンを、シアン酸と元素硫黄へと分解する活性であってよい。
TcDHとしては、例えば上記≪チオシアン酸デヒドロゲナーゼ≫で例示したものが挙げられる。TcDH活性の検出には、上記実施形態の検出試薬を用いてもよく、例えば<検出方法・定量方法>で例示した方法により実施することができる。
なお、本実施形態の検出工程では、酵素活性として、タンパク質を検出してもよい。タンパク質の検出方法としては、例えば、ELISA、ウエスタンブロット等の種々の方法が採用できる。
本実施形態の処理方法は、検出工程として、更に、硫化カルボニルを経由して前記チオシアンを分解する硫化カルボニル経路に係る酵素活性を検出する第二検出工程を有してもよい。
硫化カルボニル経路は、図1に示すとおり、チオシアンが、硫化カルボニルを経由して二酸化炭素と硫化水素へと分解される経路である。硫化カルボニル経路に係る酵素としては、当該経路に係る反応に関与する酵素が挙げられ、未知の酵素であってもよく、硫化カルボニル分解酵素であってもよく、チオシアン酸ヒドロラーゼであってもよい。
実施形態の処理方法におけるチオシアン酸ヒドロラーゼは、チオシアン分解活性を有する。チオシアン酸ヒドロラーゼは「EC 3.5.5.8」が付与されている。チオシアン酸ヒドロラーゼ活性とは、チオシアン又はチオシアン酸イオンを加水分解する活性であり、図1に示す通り、チオシアン又はチオシアン酸イオンを、硫化カルボニルへと分解する活性であってよい。
チオシアン酸ヒドロラーゼの候補タンパク質がチオシアン分解活性を有することは、当該候補タンパク質の機能を解析することにより判断できる。例えば、本来はチオシアン分解能を有していない微生物に、チオシアン酸ヒドロラーゼの候補タンパク質の遺伝子を導入し、チオシアン酸ヒドロラーゼの候補タンパク質を発現させる。そして、当該微生物がチオシアン分解能を獲得した場合、当該候補タンパク質はチオシアン酸ヒドロラーゼであると判断できる。
酵素活性の検出対象は、前記混合相であってよく、前記混合相からサンプリングして得られたサンプルであってよい。サンプルからの核酸又はタンパク質の抽出方法は公知の方法により行うことができる。サンプリングは、処理工程の開始前や終了後に行ってもよいが、処理工程での処理状況を把握するとの観点から、処理工程の途中で行うことが好ましい。
検出工程は、処理工程と別々に行ってもよく、同時に行ってもよい。検出工程は、処理工程において経時的に行ってもよい。
当該実施形態に係る処理方法によれば、TcDH活性を検出する検出工程を有することで、処理水に含まれる微生物のTcDHの発現や活性化状況を把握することが可能となる。また、処理水におけるシアン酸経路でチオシアンを分解する微生物の存在や量を把握することが可能となる。
従来、チオシアンを含む排水の処理において、硫化カルボニル経路でチオシアンを分解する微生物が分離されていたため、当該微生物に関する情報を得ることで、チオシアンの処理状況を把握や制御が試みられてきた。
今回、発明者らは、チオシアンを含む排水の処理において、シアン酸経路によるチオシアンの分解が生じていることを見出した。さらにシアン酸経路が硫化カルボニル経路よりも、優勢となり得ることを見出した。
当該実施形態に係る処理方法によれば、処理水に含まれる微生物のシアン酸経路の存在や活性化状況、シアン酸経路でチオシアンを分解する微生物の存在や量をモニタリングすることができるので、シアン酸経路によるチオシアンの処理が向上するよう処理条件をコントロールでき、シアン酸経路によるチオシアンの処理効率を向上させることができる。
硫化カルボニルは温室効果ガスのため、硫化カルボニルの発生を抑えつつチオシアンを分解することが望ましい。
当該実施形態に係る処理方法によれば、シアン酸経路に係るモニタリングに加え、処理水に含まれる微生物の硫化カルボニル経路の存在や活性化状況、硫化カルボニル経路でチオシアンを分解する微生物の存在や量をモニタリングすることで、例えば、硫化カルボニル経路よりも、シアン酸経路によるチオシアンの処理が向上するよう処理条件をコントロールでき、硫化カルボニルの発生を制御しつつ、チオシアンの処理を行うことができる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
<試料準備工程>生物学的排水処理プロセスの運転、水質分析、分解速度算出および微生物試料の採取
先ず、本発明に用いる1種類以上の微生物を含む試験体を以下によって準備した。
特開2016-112556号公報に記載の方法に沿って微生物サンプルを得て、工業用水と自然海水とを体積比2:3で混合して得られた溶媒中に、表1に示す溶質を表1に示す濃度で溶解し、人工排水(被処理水)を調製した。
Figure 0007421071000001
また、図2に示すように、1つの槽内で生物処理領域20aと沈降領域20bとが隔壁23により互いに隔てられていると共にこの隔壁23の下方で互いに連通する構造を有する一体型の生物処理装置20(処理槽)を用意した。また、ポリ瓶に10mm×10mm×10mmの大きさのスポンジ担体〔流動担体(関東イノアック製AQ-1)〕と微生物植種源として高濃度の活性汚泥を投入し、手でよく揉み、一晩蓋をして浸け置くことで、微生物をスポンジ担体に付着させた。
このようにして準備されたスポンジ担体21と活性汚泥を生物処理装置20の生物処理領域20a内にスポンジ担体21の体積比が20体積%となるように投入し、生物処理装置20を準備した。
このようにして準備された生物処理装置20内にそれぞれ上記の被処理水24を流入させ、スポンジ担体21に微生物を定着させる微生物馴致処理(第1段処理)時には、被処理水24の水理学的滞留時間が24時間となるように流入させた。また、各生物処理装置20内の被処理水24に空気曝気22を行って好気性流動床を形成させ、微生物の馴致を行った。また、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5付近に調整しながら処理を行った。
この生物学的処理の運転開始後、すぐにチオシアン酸イオンの除去が認められ、その後チオシアン酸イオンの除去率が99%以上で安定したため、18日目で微生物馴致処理(第1段処理)を終了した。この微生物馴致処理(第1段処理)の期間、被処理水中のアンモニアの22%以上が亜硝酸イオンに酸化された。
この微生物馴致処理(第1段処理)の終了後、各生物処理装置20の生物処理領域20a内の処理水についてチオシアン酸イオン濃度と亜硝酸イオン濃度とを測定してチオシアン酸イオン及び亜硝酸イオンのモニタリングを行なった。且つ、各生物処理装置20の生物処理領域20a内の処理水のpHを測定してpH値のモニタリング行いながら、運転開始後19日目より領域内の水理学的滞留時間が18時間となるように被処理水24の流入量を増やし(第2段処理)、次に、運転開始後39日目より領域内の水理学的滞留時間が12時間となるように被処理水24の流入量を更に増やし(第3段処理)、更に、運転開始後46日目より領域内の水理学的滞留時間が8時間となるように被処理水24の流入量を更に増やした(第4段処理)。その後、74日目より領域内の水理学的滞留時間が10時間となるように被処理水24の流入量を減らし(第5段処理)、更に96日目より領域内の水理学的滞留時間が24時間となるように被処理水24の流入量を減らし(第6段処理)、最終的に164日目まで運転を継続した。
この間、第2段処理において領域内の水理学的滞留時間を18時間に短縮したことにより、チオシアン酸イオンの除去率を高い値に維持しつつ、亜硝酸イオンの生成の減少傾向が観察され始め、更に領域内の水理学的滞留時間を12時間に短縮することにより、チオシアン酸イオンの除去率を高い値に維持しつつ、亜硝酸イオンの生成を更に抑制することができた。
しかしながら、更に、第4段処理において領域内の水理学的滞留時間を8時間に短縮した場合には、亜硝酸イオンの生成をほぼ完全に抑制しながらも、しばらく継続するとチオシアン酸イオンの除去率が低下した。
このように、チオシアン酸イオンの除去率が目標値を超えて上昇してしまったため、第5段処理においては、水理学的滞留時間を第4段処理の条件(水理学的滞留時間が12時間)に近い10時間に戻して生物学的処理を行った。その結果、チオシアン酸イオンの除去率を94%以上に維持しつつ、亜硝酸イオンの生成をほぼ完全に抑制することができた。
そこで更に、第6段処理においては、水理学的滞留時間を24時間に延長したところ、チオシアン酸イオンの除去率を高い値に維持しながらも、更に驚くべきことには、その後76日間にも亘って、亜硝酸イオンの生成をほぼ完全に抑制することができた。
〔実施例2〕
<工程1>
1)飢餓培養工程
前記試料準備工程で運転した、運転123日目の生物処理装置20より、微生物が付着したスポンジ担体を採取した。採取したスポンジ担体を使って飢餓培養を実施した。
2本のプラスチックボトルに、対象とする代謝に関わる特定物質(チオシアン、フェノール)およびアンモニアが含まれない無機塩培地[炭酸水素ナトリウム650 mg/L、燐酸水素二ナトリウム29.2 mg/Lを工業用水(工水)と自然海水を体積比2:3で混合した溶媒に溶解]を200mLずつ投入した。各プラスチックボトルに、採取したスポンジ担体6個を投入し、ボトルを7時間、125rpmで回転振盪培養した。
2)本培養工程
飢餓培養工程後、1本のプラスチックボトルには、90mgSCN/Lになるようチオシアン酸ナトリウムと、終濃度が400mgN/Lになるよう塩化アンモニウムと、をそれぞれ添加した(チオシアン+アンモニア)。もう1本のプラスチックボトルには終濃度が50mg/Lになるようフェノールと、終濃度が400mgN/Lになるよう塩化アンモニウムと、をそれぞれ添加した(フェノール+アンモニア)。
添加後に培養前の水質分析用試料を採取し、その後17時間振盪培養した。
培養前後のチオシアン酸イオン、フェノール、アンモニアイオン、亜硝酸イオンおよび硝酸イオン濃度を測定した結果、表2に示すように、チオシアンまたはフェノールが培養期間中に分解されていることが確認された。
Figure 0007421071000002
<工程2>RNAの抽出
工程1の本培養後に採取したスポンジ担体をハサミで4分割した。分割した破片2つずつをビーズ充填チューブ(Lysing MatrixE、MP-Biomedicals社)にそれぞれ投入し、RNAを抽出した。各条件6個のスポンジ担体を培養したため、チューブは各条件12本ずつ用意した。
ビーズ充填チューブにRNeasy Mini kit(QIAGEN社)付属のBuffer RLTを1mLと1M DTT (dithiothreitol、 Sigma-Aldrich社)を40μL投入し、bead beaterを用いて最大速度、60秒間で振盪し、菌体をビーズ破砕した。チューブを13,000gで2分間遠心分離し、上澄み700μLを新しいチューブ移した。13,000gで3分間遠心分離し、上澄み350μLをRNeasy Mini kit付属のカラムチューブに移し、当該キット説明書に従い、RNAを精製した。DNaseI処理も説明書に従い実施し、試料中のDNAを除去した。
RNA精製後、チューブ4本分のRNA試料をチューブ1本にまとめた。各チューブの試料量は約400μLとなるが、300μLは別のチューブに移した。
<工程3>抽出RNAの品質確認(総RNA量および既知遺伝子発現量の定量)
工程2で抽出した試料の一部をQubit(登録商標) RNA HS Assay KitおよびQubit dsDNA HS Assay Kit(ライフテクノロジー社)と反応させた後、蛍光光度計(Qubit 2.0 Fluorometer、ライフテクノロジー社)によりDNAおよびRNA濃度をそれぞれ測定した。その結果、表3に示すように、RNA量に対してDNA量が少なく、DNA除去およびRNA抽出に成功したことが確認できた。
Figure 0007421071000003
<工程4>
続いて、RNA試料から逆転写反応によりcDNAを合成した。cDNAの合成はPrimeScript RT reagent Kit (Perfect Real Time)(タカラバイオ社)および同キットにあるrandom 6merを用いて、説明書に従い実施した。
合成したcDNAおよびRNA試料はリアルタイムPCRを用いて、細菌の16S rRNA遺伝子を定量した。加えて、10から10コピーになるよう調製した細菌の16S rRNA遺伝子を検量線試料として定量した。リアルタイムPCR法反応試薬はSYBR Premix Ex Taq II (Tli RNaseH Plus)(タカラバイオ)を、リアルタイムPCR装置はThermal Cycler Dice(登録商標) Real Time System II MRQ(タカラバイオ)を用いた。表4に示すプライマーセット(Fierer et al., Applied and Environmental Microbiology. 2005. 71(7). 4117-4120)を用いて、PCR反応条件は95℃30秒のホットスタート反応の後、95℃5秒、53℃20秒、72℃20秒の反応を45サイクル繰り返した。検量線試料の結果から、合成したcDNAおよびRNA試料中の細菌の16S rRNA遺伝子コピー数を算出した。RNA試料中には除去しきれなかったDNAが定量され、cDNA試料中にはRNAが逆転写されたcDNA及び除去しきれなかったDNAが定量される。
RNA試料中の16S rRNA遺伝子のコピー数をcDNA試料中の16S rRNA遺伝子のコピー数で除すことで、RNA抽出時に残存したDNA量を計算した結果、上記表3に示したように、残存したDNA量はRNAより合成したcDNAの0.08%未満であり、ここでもDNA除去およびRNA抽出に成功したことが確認できた。
Figure 0007421071000004
<工程5>
上記合成したcDNAを用いて、フェノール分解に関わるPhenol monooxygenase遺伝子を定量した。表5に示すプライマーセット(Brett R et al., Appl. Environ. Microbiol. 2003, 69, 3350-3358.)を用いて、PCR反応条件は95℃30秒のホットスタート反応の後、95℃5秒、49℃20秒、72℃20秒の反応を45サイクル繰り返した。プライマーセットおよび反応条件を除いて上記細菌の16S rRNA遺伝子の定量と同じ条件とした。
Figure 0007421071000005
図3に示す通り、フェノールを添加して培養した試料のPhenol monooxygenase遺伝子発現量は、チオシアンを添加して培養した試料よりも5.1倍高く、フェノールを添加した培養では当該遺伝子が活性化されていることが確認できた。これにより、培養によりフェノール分解またはチオシアン分解に関わる活性が高まっていることが想定され、抽出したRNA試料がメタトランスクリプトーム解析に必要な品質であることが確認できた。
<工程6>メタトランスクリプトーム解析
工程2で抽出し、工程3~5で品質確認したRNAについて、メタトランスクリプトーム解析を実施した。メタトランスクリプトーム解析では、複数種の混合微生物において発現しているRNAを網羅的に定量測定した。解析操作の概要は、次の通りである。
1)抽出したRNA(total RNA)からrRNA(リボソームRNA)を除去
rRNAはtotal RNA中の大多数を占めるが、環境変化に応じた遺伝子発現変化の情報に乏しいため、あらかじめ除去することで有効なデータ量を増やす狙いがある。
Ribo-ZeroTM Magnetic Kit(イルミナ株式会社)を用い、rRNAを除去した。除去前後のサンプルをキャピラリー電気泳動によって検討した結果、図4に示すように、rRNA除去後ではrRNAの主要なピークである18S rRNA、28S rRNAのどちらも検出されず、rRNAの除去が良好に行われたものと判断出来る結果が得られた。
2)RNA-seq用のライブラリ調製
rRNA除去後のRNAサンプルを、94℃、3分間処理し所定の長さに断片化した後、SMARTer Universal Low Input RNA Kit for Sequencing(タカラバイオ)を用いて二本鎖cDNAの合成及び増幅を行った。
増幅反応によって得られたcDNA 10ngを用い、アダプター、及びインデックスの付加を行った。キットとして、DNA SMART ChIP-Seq Kit(タカラバイオ)を用いた。その結果、図5に示すように、アダプター、インデックス分塩基配列が長くなったライブラリを得た。
3)次世代シーケンサーによるシーケンスデータの取得
作製したライブラリを2サンプル混合(別々のインデックスを付加しているのでデータ解析時に区別可能)し、Miseq Reagent Kit v3 150 cycles(イルミナ)を用いて、Miseqによってシーケンスした。チオシアン+アンモニア群は約1860万リード、フェノール+アンモニア群は約2430万リード得られた。このデータを基本データとして、メタトランスクリプトームのデータ解析を行うこととした。
4)シーケンスデータの品質チェック
シーケンスデータはfastq形式のファイルとしてシーケンサーから排出した。FastQCプログラムを用いてシーケンスデータの品質チェックを行い、cutadaptプログラムを用いてアダプター配列を除去し、quality valueが20未満のもの、リード長が30塩基未満のものを除去した。
5)de novoアセンブル
次に、除去処理を経て得られたシーケンスデータを用い、trinityプログラムによってリード配列をde novo アセンブルし、Contig(シーケンスによって得られる短いDNA配列断片であるリード配列を重ね合わせ得られるコンセンサス配列)を作成した。11612個のContigリストが得られた。
6)発現解析
得られたContigリストをリファレンスRNAリストとして用い、各Contigの定量化を行うために、シーケンスデータをContigリストに対してマッピングした。マッピングにはBowtieプログラムを用いた。
チオシアン+アンモニア群、及びフェノール+アンモニア群について、TPM値、FPKM値を算出した。
図6に示した通り、TPM値を比較した結果、チオシアン+アンモニアでより高い値を示したContigまたはその逆のContigが確認され、チオシアンまたはフェノール分解によって発現した遺伝子、すなわち活性化した代謝が検出された。
また、図7に示した通り、FPKM値を比較した結果、TPM値同様に、チオシアン+アンモニアでより高い値を示したContigまたはその逆のContigが確認され、チオシアンまたはフェノール分解によって発現した遺伝子、すなわち活性化した代謝が検出された。さらに、チオシアン分解に関わるthiocyanate hydrolase遺伝子はCOGデータベースにないため、追加してFPKM値を比較した結果(図中の×がthiocyanate hydrolase遺伝子)、チオシアン+アンモニアでフェノール+アンモニアよりも高い値を示し、やはりチオシアン分解に伴いthiocyanate hydrolase遺伝子が発現し、チオシアン分解代謝活性が高まっていることが知見された。
〔実施例3〕
(1)チオシアン分解に係る遺伝子候補配列が存在するContigの選択及び相同性探索
実施例2の6)でチオシアン+アンモニア培養で高い値を示したContigの塩基配列をBlastXを用いて、塩基配列をアミノ酸配列に変換し、Emsembl bacteriaのデータベースに対して相同性検索を実施し、相同性の高い遺伝子の対応付けを行った。その結果から、thiocyanate dehydrogenaseを遺伝子名称にするContigを抽出したところ、2つのContigが得られた。このうちの一つがthiocyanate dehydrogenaseとの相同性(identity)が90%と高く、発現も高かった。ただし、相同性は100%未満であり、新規な配列であると判断できた。このContigのthiocyanate dehydrogenase(TcDH)の相同領域の塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号2、配列番号1に示す。
(2)TcDHの遺伝子を定量するためのプライマーの設計
定量PCR法(リアルタイムPCR法)により(1)で得られたTcDH遺伝子のみを特異的に定量するため、該TcDHの遺伝子配列に対して、プライマーを設計した。プライマーの設計にはPrimer-BLASTを使用し、塩基配列データベースBLASTで検索することで特異性を確認した。
この結果、表6に示す3組のプライマーセットが設計できた。
Figure 0007421071000006
(3)培養試験
前記実施例1の工程1と同様の操作により、微生物が付着したスポンジ担体を培養した。
(4)RNA抽出およびcDNA合成
前記実施例1の工程2~4と同様の操作により、RNA抽出及びcDNA合成を実施した。
(5)検量線DNAの調製
(4)で合成したcDNAからTcDH遺伝子を定量するため、検量線DNAを調製した。チオシアン分解微生物が付着したスポンジ担体よりDNAをFastDNA SPIN Kit for Soil(MP-Biomedicals社)を用いて抽出した。抽出したDNA試料は上記(2)に示したプライマーを用いたPCR反応によりTcDH部分のみを増幅した。PCR反応はTaKaRa Ex Taq Hot Start Version(タカラバイオ社)を用いた。各試薬、プライマーの量は当該製品の説明書に従った。PCR反応は94℃30秒、60℃30秒、72℃60秒の反応を30サイクル繰り返した。
反応後のPCR産物はQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社)により酵素などを除去することで試料を精製した。精製後のPCR産物の一部をQubit(登録商標)dsDNA BR Assay Kit(ライフテクノロジー社)と反応させた後、蛍光光度計(Qubit 2.0 Fluorometer、ライフテクノロジー社)によりDNA濃度を測定した。定量PCR法ではDNA断片の断片数(コピー数)を基に定量評価するため、下記式1に従い、コピー数に変換した。式中6.02×1023はアボガドロ定数で660は2本鎖DNAの塩基長1あたりの平均分子量である。測定後PCR産物を超純水で適宜希釈して検量線用DNAとした。
Figure 0007421071000007
(6)定量PCR法による定量法確立
調製した検量線DNAおよびRNAより合成したcDNAの定量は定量(リアルタイム)PCR法を適用し、反応試薬はSYBR Premix Ex Taq II (Tli RNaseH Plus)(タカラバイオ)を、リアルタイムPCR装置はThermal Cycler Dice(登録商標)Real Time System II MRQ(タカラバイオ)を用いた。DNA試料の調製や、反応試薬、プライマーおよびDNA試料濃度等の条件詳細はタカラバイオ社の反応試薬にあるプロトコルに従った。PCR反応条件は95℃5秒、60℃30秒の反応を45サイクル繰り返した。
各プライマーセットを用いて検量線DNAおよび陰性対照(DNAを含まない純水)を定量し、その定量性を評価した。定量性は、1)検量線が良好な直線性であること 2)最低濃度の検量線DNAの定量値が陰性対照よりも10倍以上高い値を示すこと 3)PCR反応1サイクルでのDNAの増幅量が理論的な増幅量である2倍に近いこと、の3つの判断基準から評価した。
上記(2)に示した各プライマーにより検量線サンプルおよび陰性対照を定量し、検量線を作成した。この結果、図8~10に示した通りいずれのプライマーでも良好な直線性且つ、陰性対照よりも10倍以上高いコピー数となり、いずれのプライマーでもTcDHを定量できることが確認できた。
(7)活性評価(TcDH遺伝子の発現量の変化)
合成したcDNAのTcDH遺伝子の発現量を、プライマーセットとして、TcDH2FとTcDH2Rの組み合わせを用いて定量した。合成したcDNAから定量したTcDH遺伝子の発現量を図11に示す。TcDH遺伝子の発現はチオシアンを添加して培養した試料(チオシアン)の方が高く、フェノールを添加した培養(フェノール)に比べ25倍高かった。すなわち、チオシアンを分解するためにTcDH遺伝子が多く発現、即ち、DNAからRNAが多く転写されており、今回確立した定量方法によってチオシアン分解活性を評価できることが示された。なお、プライマーセットをTcDH5FとTcDH5Rの組み合わせ、及びTcDH9FとTcDH9Rの組み合わせを用いても上記と同様の結果が得られた。
20…生物処理装置、20a…生物処理領域、20b…沈降領域、21…スポンジ担体、22…空気曝気、23…隔壁、24…被処理水、25…生物処理装置で処理された処理水

Claims (4)

  1. チオシアンを含有する被処理水と、以下の(a)~(c)のいずれかのタンパク質であるチオシアン酸デヒドロゲナーゼを有する微生物とを含む混合相を形成させ、前記チオシアンを分解する処理工程を有し、
    前記チオシアンを含有する被処理水が、コークス炉から排出された安水である、
    ことを特徴とする処理方法。
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を含み、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1~3個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質
    (c)配列番号1で表されるアミノ酸配列と配列同一性が98%以上のアミノ酸配列を含み、チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質
  2. 前記チオシアン酸デヒドロゲナーゼ活性を検出可能なプライマー機能を有する組み合わせで、以下の(1)~(3)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリヌクレオチドを有するプライマーセットを備える検出試薬を用いて前記チオシアン酸デヒドロゲナーゼを検出する検出工程を有する、請求項1に記載の処理方法。
    (1)配列番号3で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、及び配列番号4で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
    (2)配列番号5で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、及び配列番号6で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
    (3)配列番号7で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、及び配列番号8で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
  3. 更に、硫化カルボニルを経由して前記チオシアンを分解する硫化カルボニル経路に係る酵素活性を検出する第二検出工程を有する請求項2に記載の処理方法。
  4. 前記硫化カルボニル経路に係る酵素が、チオシアン酸ヒドロラーゼである請求項3に記載の処理方法。
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