JP2008208392A - 無電解金めっき液およびそれを用いためっき方法 - Google Patents

無電解金めっき液およびそれを用いためっき方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シアンを含まない金源を用いる無電解金めっき液であって、めっき液の安定性が良好で、かつ金析出が大きく抑制されず、しかも膜物性を損なわないめっき液を提供する。
【解決手段】本発明の無電解金めっき液は、シアンを含まない金源と分解抑制剤とを含有し、分解抑制剤として下記一般式I:
【化1】
Figure 2008208392

一般式I中、Xは硫酸塩基を示し、nは2〜7,000の整数を示す、で表される構造を含有する重合体を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、浴安定性が良好で、かつ金析出が大きく抑制されることなく、所望の膜物性が得られる、無電解金めっき液およびそれを用いためっき方法に関し、特に、プリント配線基板等の電子工業部品に金めっき皮膜を形成する際に使用される無電解金めっき液およびそれを用いためっき方法に関する。
プリント配線基板は、基板上および/または基板内部に金属回路パターンを有し、その回路は主に銅等の電気的な抵抗の低い金属が用いられる。銅露出部はニッケルまたはニッケル合金で被覆し、さらに金で被覆する手法が一般に利用される。ニッケルまたはニッケル合金は、銅の酸化や腐食防止および/または銅と金のマイグレーション防止を目的としたバリアメタルであり、また金皮膜はニッケルまたはニッケル合金の酸化防止、および接点信頼性の確保やはんだ濡れ性の向上等を目的として形成される。このような回路を形成する場合、一般に銅配線パターンを形成した後、ニッケルまたはニッケル合金によるめっきを行い、さらに電解金めっきを行なうか、置換金めっきの後に自己触媒金めっきを行なうか、あるいはニッケルまたはニッケル合金によるめっきの後に厚付置換金めっきを行なう。
自己触媒金めっきは、有害なシアン化合物を含まないめっき液組成が望まれており、近年はノーシアン自己触媒型無電解金めっきが用いられ始めている。しかし、ノーシアン自己触媒型無電解金めっきは、水溶液中で金と安定な錯体を形成するシアン化合物を含まないことから、液を安定に保つことができず、金の粒子が液内または液を入れている容器壁面付近で析出する等の浴分解が起こりやすい。このため、微量の分解抑制剤を添加して液安定性を向上させることが必要となる。
これまでに分解抑制剤に関する様々な提案がなされてきたが、液安定性を保持することが可能となる反面、金析出速度を低下させたり、膜物性を極端に悪化させたりするという問題があった。また、分解抑制剤の添加量が微量であり、使用可能な濃度範囲が極めて狭いため、量産ラインでの管理が困難であった。
分解抑制剤を含有する無電解金めっき液として、特開平6−280039号(特許文献1)には分解抑制剤としてポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンを用いた無電解金めっき液が提案されている。しかし、この無電解金めっき液は、分解抑制剤の添加量が増加すると液安定性が向上するものの、金析出量が極端に低下し、逆に添加量を減少させると液安定性が低下するという欠点を有する。したがって、微小領域での液安定性と金析出量の両方を適正にするため、分解抑制剤の濃度管理が必要となり、量産ラインにおける使用が困難であった。
また、一般にめっき液は種々の添加剤を含有しており、例えば、特開2004−360006号(特許文献2)には、金めっき液への添加剤として水溶性ポリマーやアニオン界面活性剤が記載されている。しかし、これらの添加剤は形成される金メッキ膜の金結晶粒子を微細にする効果や被メッキ物への浸透性を向上させることを目的としたものであり、上記の問題を解決し得る、分解抑制剤としての効果を有する添加剤は知られていない。
特開平6−280039号公報 特開2004−360006号公報
従って本発明の目的は、浴安定性が良好で、金析出が大きく抑制されず、かつ所望の膜物性が得られる無電解金めっき液およびそれを用いためっき方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、硫酸塩基を有するビニル単位を含有する重合体を分解抑制剤として用いることにより、金源としてシアン化合物を用いない場合であっても、金析出速度を大きく抑制せず、所望の膜物性を満たし、しかもめっき液を長時間安定に使用できることを見出した。
すなわち、本発明は、シアンを含まない金源と分解抑制剤とを含有する無電解金めっき液であって、分解抑制剤が下記一般式I:
Figure 2008208392
一般式I中、Xは硫酸塩基を示し、nは2〜7,000の整数を示す、で表される構造を含有する重合体を含む、前記無電解金めっき液に関する。
また本発明は、分解抑制剤としてポリビニル硫酸を含む、前記無電解金めっき液に関する。
さらに本発明は、下地金属上での金析出速度が分解抑制剤無添加時の80〜100%であり、かつ微細部への析出ムラのない、前記無電解金めっき液に関する。
また本発明は、さらに錯化剤および還元剤を含有する、前記無電解金めっき液に関する。
さらに本発明は、シアンを含まない金源が、亜硫酸の金錯塩、チオ硫酸の金錯塩、塩化金酸またはその塩、チオ尿素金錯塩、チオリンゴ酸金錯塩およびヨウ化金酸塩からなる群から選択される、前記無電解金めっき液に関する。
また本発明は、前記無電解金めっき液中に被めっき物を浸漬することにより金めっきを行なう、無電解金めっき方法に関する。
本発明の無電解金めっき液に用いる分解抑制剤は、従来のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の分解抑制剤と異なり、広い濃度範囲でめっき液を安定化し、かつ金の析出速度を大きく抑制せず、微細部おいても析出ムラのないめっきを行なうことができる。また、分解抑制剤を過剰添加となる比較的高濃度で使用しても微細部の析出性が低下せず、金の析出反応が著しく抑制されることもなく、析出速度は分解抑制剤無添加時の好ましくは80〜100%である。このように、本発明では分解抑制剤を広い濃度範囲で使用することができ、量産ラインでの管理が容易である。その上、プリント基板、回路等の金めっきにおいて、微細部析出性に優れ、膜物性の良好な金めっきを行なうことができるため、実用上優れた無電解金めっき液といえる。さらに、シアンを含まない金源を用いても浴分解を起こさず、安定しためっきが可能であることから、置換型無電解金めっき、下地触媒型無電解金めっき、自己触媒型無電解金めっき等に幅広く適用することができる。
本発明の無電解金めっき液は、シアンを含まない金源と、分解抑制剤とを含有し、必要に応じさらに錯化剤、還元剤等の他の成分を含有してもよい。
シアンを含まない金源は、好ましくは水溶性の金化合物であり、亜硫酸の金錯塩、チオ硫酸の金錯塩、塩化金酸、チオ尿素金錯塩、チオリンゴ酸金錯塩、ヨウ化金酸塩等が挙げられる。チオ尿素金錯塩以外の金源については、いずれもアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム等の塩の形態をとることができる。チオ尿素金錯塩については、過塩素酸、塩酸等の塩の形態をとることができる。
具体的には、亜硫酸の金錯塩として亜硫酸金ナトリウム[NaAu(SO]、亜硫酸金カリウム等、チオ硫酸の金錯塩としてチオ硫酸金ナトリウム[NaAu(S)]、チオ硫酸金カリウム等、塩化金酸の塩として塩化金酸ナトリウム、塩化金酸カリウム等、チオ尿素金錯塩としてチオ尿素金塩酸塩、チオ尿素金過塩素酸塩等、チオリンゴ酸金錯塩としてチオリンゴ酸金ナトリウム、チオリンゴ酸金カリウム等、ヨウ化金酸塩としてヨウ化金酸テトラ−n−ブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの金源は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、金源の濃度は金源の種類に応じて適宜調整してよい。例えば、金源として亜硫酸金塩を用いる場合、その濃度範囲は金濃度として0.001〜0.5mol/Lが好ましく、0.005〜0.1mol/Lがより好ましい。
本発明の無電解金めっき液は、金源としてシアンを含まない金源を主に含有するが、浴安定性の一層の向上等を目的として、シアンを含む金源等のシアン化合物をある程度含有してもよい。
本発明の無電解金めっき液は、分解抑制剤として下記一般式I:
Figure 2008208392
で表される構造を含有する重合体を含む。一般式I中、Xは硫酸塩基を示し、nは2〜7,000、好ましくは10〜7,000、より好ましくは50〜7,000の整数を示す。重合体は上記のビニル硫酸塩の繰り返し単位を含有していれば単独重合体であっても共重合体であってもよい。
本発明に用いる分解抑制剤は上記一般式Iで表される、硫酸塩基(−OSOM)を有するビニル単位を含む重合体からなる。重合体は単独重合体であっても共重合体であってもよい。重合体が共重合体の場合、その種類は特に制限されず、例えば、ブロック共重合体であってもランダム共重合体であってもよく、またグラフト共重合体であってもよい。
分解抑制剤の硫酸塩基は重合体の主鎖に結合している場合に限られず、側鎖に結合していても、主鎖と側鎖の両方に結合していてもよい。硫酸塩基の塩(M)は特に限定されず、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)、アンモニウム等であってよい。
重合体は、分子内に硫酸塩基以外の他の官能基を有していてもよく、またアルキル基、芳香環基等の置換基、ハロゲン等を有していてもよい。他の官能基は特に限定されず、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ニトリル基、アミド基、チオール基、アシルオキシ基、エステル基等が挙げられる。重合体に含まれるアルキル基は、例えば炭素原子数1〜20のアルキル基であり、直鎖状、分枝状または環状のいずれでもよく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。重合体に含まれる芳香環基は、例えば炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、具体的にはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基等が挙げられる。また、重合体に含まれるハロゲンとしては、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられる。
分解抑制剤として用いる重合体が共重合体の場合、例えばビニル硫酸塩と他のビニル化合物とを任意に組み合わせて重合した共重合体が挙げられる。共重合可能なモノマーはビニル化合物であれば特に制限はなく、例えば炭素原子数1〜20の直鎖状、分枝状または環状のアルキル基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミド基、アシルオキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、ニトリル基、チオール基、エステル基、ハロゲン等を有するビニル化合物が挙げられる。共重合可能な他のビニル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸系ビニル化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、ノルボルネン等のオレフィン類;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;スチレンまたはスチレン誘導体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、アリルアルコール等が挙げられる。これらのビニル化合物は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
分解抑制剤として用いる上記重合体は、好ましくは数平均分子量が300〜1,000,000であり、より好ましくは数平均分子量が200,000〜400,000である。
分解抑制剤は特に好ましくはポリビニル硫酸である。ポリビニル硫酸の数平均分子量は好ましくは300〜1,000,000であり、より好ましくは200,000〜400,000である。
上記重合体の製造方法は特に制限されず、重合体の種類に応じ、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法等の公知の方法を適宜用いることができる。工業的に容易に実施できるという観点からは、ラジカル重合法またはアニオン重合法が好ましい。
めっき液中の分解抑制剤の濃度は特に限定されないが、例えば分解抑制剤としてポリビニル硫酸塩を用いる場合、その濃度は0.1〜10mg/Lが好ましく、0.5〜5mg/Lがより好ましい。分解抑制剤が少ない場合でもある程度の浴の安定化効果はあるが、実用的な安定性を得るのが難しくなる。
分解抑制剤は上記の分解抑制剤以外に、本発明の目的を損なわない範囲でポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の公知の分解抑制剤を併用できる。しかし、これらの従来の分解抑制剤の中にはポリビニル硫酸塩と比べて金析出を抑制する効果が高く、過剰に添加すると金析出速度が極端に遅くなるものもあるため、選択には注意が必要である。例えば、ポリエチレングリコール#20000を併用する場合、ポリエチレングリコール#20000の濃度は1mg/L以下が好ましく、0.01〜0.1mg/Lがより好ましい。
本発明の無電解金めっき液は、シアンを含まない金源および分解抑制剤以外の成分、例えば錯化剤、pH緩衝剤、還元剤、安定剤等をさらに含有してもよい。還元剤、錯化剤、安定剤等を適切に選択することにより、シアンを含まない金塩を用いる本発明のめっき液の場合であっても、自己触媒作用による金めっきをより効果的に行なうことができる。
錯化剤は、例えば一価または三価の金イオンと錯体形成可能な化合物であり、具体的には亜硫酸、チオ硫酸、亜硫酸またはチオ硫酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)等が挙げられる。これらの錯化剤は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
錯化剤として亜硫酸塩およびチオ硫酸塩を用いる場合、その濃度範囲は、それぞれ0.05〜2.0mol/Lおよび0〜1.0mol/Lが好ましく、0.1〜1.5mol/Lおよび0.01〜0.1mol/Lがより好ましい。亜硫酸塩およびチオ硫酸塩の好ましい組成比(モル比)は、亜硫酸塩:チオ硫酸塩が1:0.01〜0.4である。錯化剤の濃度は金の濃度に依存するが、金イオンに対する安定性および浴の安定性、溶解度、浴の粘度等を考慮して、適宜調整することができる。特にチオ硫酸塩はその還元作用から析出速度が速くなるものの、添加量が多くなると浴の不安定化を引き起こすだけでなく、形成される金めっきの密着性を低下させるため、過剰に用いた場合にはデメリットの方が多くなる。
本発明に用いる還元剤は、金に対して触媒活性があればよく、一般的な還元剤を用いることができる。還元剤の具体例としては、アスコルビン酸ナトリウム等のアスコルビン酸塩、ヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミン塩酸塩、ヒドロキシルアミン硫酸塩等のヒドロキシルアミンの塩類、ヒドロキシルアミン−O−スルホン酸等のヒドロキシルアミン誘導体、ヒドラジン、ジメチルアミンボラン等のアミンボラン化合物、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素化合物、ブドウ糖等の糖類、次亜リン酸塩類等が挙げられる。これらの還元剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。その他、ネルンストの式により、金イオンまたは金錯体より金を還元析出させることが可能と判断される化合物であればいずれを用いてもよいが、他の浴構成成分に対する反応性、浴の安定性等を考慮して使用する。また、これらの還元剤の中にはヒドラジンのように、人体に有害な作用を及ぼし得るものもあるため、使用の際には目的や使用環境に合わせて選択する必要がある。
還元剤の使用量は、還元剤の種類、下地金属の種類等により適宜選択してよい。例えば下地金属が金で、還元剤としてアスコルビン酸塩を用いる場合、還元剤(アスコルビン酸塩)の濃度範囲は0.001〜2.0mol/Lであり、好ましくは0.01〜1.0mol/Lである。還元剤の濃度が低いと、金の析出速度が極端に遅くなり、厚付け用として実用的な速度が得られなくなる。また、還元剤の濃度が高いと浴の不安定化を招くことになるため、添加量を適宜調整することが必要である。
pH緩衝剤としてはリン酸塩、四ホウ酸塩、ホウ酸塩等の塩類が挙げられ、これらの塩類はアルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)等の塩類である。pH緩衝剤の具体例としては、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素一カリウム、リン酸二水素一ナトリウム、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。pH緩衝剤の濃度は、使用する緩衝剤の種類、pH域等に応じて適宜調整してよい。例えば、pH緩衝剤としてリン酸水素二カリウムを使用する場合、その濃度範囲は0.01〜1.0mol/L、好ましくは0.02〜0.5mol/Lである。
pH緩衝剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよいが、使用するpHにより緩衝作用が異なることに注意する必要がある。例えば、pH8.5〜10付近で用いる場合、リン酸緩衝液は四ホウ酸に比べpHが安定しないため、リン酸と四ホウ酸を併用するか、四ホウ酸単独の組成が好ましく、pH7付近で用いる場合は逆にリン酸の方が四ホウ酸よりpHが安定であるため、リン酸緩衝液を優先して使用する。また下地金属種により皮膜の酸化を引き起こし、めっき外観を著しく悪化させる場合もあるため、使用時にはこの点にも注意を払うべきである。
pH調整剤は、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、または他の成分に影響を与えない範囲でNROH(R:水素またはアルキル)等のアンモニア、テトラメチルアミンヒドロキサイド等のアミン類を使用してもよい。例えば、緩衝液としてリン酸緩衝液を用いる場合、リン酸と水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、場合によってさらに硫酸を加えることにより調製するのが好ましい。
本発明の無電解金めっき液は、結晶粒形調整剤、光沢剤等のその他の添加剤を適切な濃度範囲で使用することができる。その他の添加剤は特に制限されず、例えば従来から使用されている添加剤を使用することができる。具体的にはポリエチレングリコール等の結晶粒形調整剤、タリウム、銅、アンチモン、鉛等の光沢剤等が挙げられる。これらの添加剤以外でも上記の条件を満たす添加剤であれば使用可能である。
金めっきを施す下地金属としては金、ニッケル、パラジウム、白金、銀、コバルト、これらの金属の合金、およびこれらの金属とリン、ホウ素等の非金属元素との合金等が挙げられる。
本発明に用いる無電解金めっき液のpHは6.5以上が好ましく、還元剤の作用が強くなり過ぎない程度に調整する観点から6.5〜10がより好ましく、7.0〜9.0がさらに好ましい。
本発明の無電解金めっき液の使用温度は、還元剤の種類等にもよるが、好ましくは30〜90℃、より好ましくは40〜70℃である。
本発明の無電解金めっき方法は、好ましくは液温30〜90℃の上記めっき液中に、下地金属を有する被めっき物を所望の析出膜厚が得られるまで浸漬処理する。従って浸漬時間は特に限定されないが、通常5分〜100時間である。例えば、被めっき物を60℃のめっき液中に1時間浸漬することにより金めっきすることができる。
本発明のめっき方法における金析出速度は、分解抑制剤無添加時の80〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましい。
本発明を以下の実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
本発明の無電解金めっき液によって得られた金皮膜について、膜厚、外観、密着性およびめっき液の安定性を評価した。膜厚はSII製蛍光X線膜厚計により測定した。外観は目視およびFE−SEMにより観察し、平面上での析出状態と一辺または直径3mm以下の微細部析出状態を評価した。密着性はワイヤーボンディング試験により評価した。めっき素地には銅板とプリント配線基板を用い、これに以下の手順でNi−P合金めっきを行い、金めっき試験に用いた。めっき液の安定性は、めっき液を62℃または82℃の湯浴中で間接的に加熱し、パーティクルカウンターを使用して微粒子発生状態を観察し、微粒子発生までの時間により評価した。なお、以下の実施例1〜6ではアクロス社製の平均分子量350,000のポリビニル硫酸カリウムを使用し、実施例7では和光純薬工業(株)製のポリビニル硫酸カリウム((CKOS=162.21)、n≒1500)を使用した。
下記表1及び2における判定基準を以下に示す。
60℃安定性
○:加温150時間以上で微粒子発生なし
×:加温150時間未満で微粒子発生
80℃安定性
○:加温10時間以上微粒子発生なし
△:加温10時間以内に微粒子発生、ただし沈殿物はなし
×:加温10時間以内に微粒子、沈殿物ともに発生
微細部外観
○:明黄色半光沢、ムラのない均一な外観
×:微細部に析出ムラまたは未析出発生
ワイヤーボンディング性
○:密着不良なし
×:密着不良発生
参考例
被めっき物の前処理
ICPクリーンS−135K(奥野製薬工業(株)製)を用い、45℃で
5分間銅板を脱脂処理した後、過硫酸ナトリウム 150g/Lおよび98%硫酸5mL/Lを含有するエッチング液により1分間処理し、次いで98%硫酸100mL/L溶液中に30秒間および30%塩酸100mL/L溶液中に30秒間浸漬した。次に、ICPアクセラ(奥野製薬工業(株)製)により30秒間処理してPd触媒化し、ICPニコロンGM
(P含量6〜8%、約3μm、奥野製薬工業(株)製)を用い、80℃で20〜30分間無電解Ni−Pめっきした後、フラッシュゴールド2000(奥野製薬工業(株)製)を用い、80℃で5分間置換金めっきを施した。
実施例1
精製水中に下記表1のNo.1に示す成分を加え、均一に撹拌した後、pHを8.0に調整して実施例1の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記実施例1のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間または1時間浸漬して無電解金めっきを施し、30分間で厚さ0.5μm、1時間で厚さ0.96μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜にムラの発生はなく、FE−SEMを用いた観察により金結晶が均一に析出している様子を確認した。同様に配線パターン付きのテスト基板へめっきしたところ、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜が得られ、ワイヤーボンディング性にも優れていることを確認した。さらに80℃の無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、80℃で10時間以上経過しても金微粒子は発生せず、良好な安定性を示した。結果を表1に示す。
Figure 2008208392
実施例2
精製水中に表1のNo.2に示す成分を加え、均一に撹拌した後、pHを8.0に調整して実施例2の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記実施例2のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間または1時間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、30分間で厚さ0.49μm、1時間で厚さ0.9μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜はムラのない均一な外観であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきし、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜を得た。さらに60℃および80℃の無負荷撹拌条件でそれぞれめっき液の安定性を評価したところ、60℃で150時間以上、80℃で10時間以上経過しても金微粒子が発生せず良好な安定性を示した。ポリビニル硫酸カリウムの添加量を増量しても析出性を低下せずに高い安定化効果を得ることができた。結果を表1に示す。
実施例3
精製水中に表1のNo.3に示す成分を加え、均一に撹拌した後、pHを8.0に調整して実施例3の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記実施例3のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間または1時間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、30分間で厚さ0.49μm、1時間で厚さ0.97μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜はムラのない均一な外観であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきしたところ、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜を得た。さらに60℃および80℃の無負荷撹拌条件でそれぞれめっき液の安定性を評価したところ、60℃で150時間以上、80℃で10時間以上経過しても金微粒子が発生せず良好な安定性を示した。ポリビニル硫酸カリウムの添加量を減量しても、析出速度および外観を低下させずに高い安定化効果を得ることができた。結果を表1に示す。
実施例4
精製水中に表1のNo.4に示す成分を加え、均一に撹拌した後、pHを8.0に調整して実施例4の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記実施例4のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間または1時間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、30分間で厚さ0.5μm、1時間で厚さ0.89μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜はムラのない均一な外観であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきし、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜を得た。また、ワイヤーボンディング性も良好であった。さらに60℃および80℃の無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、60℃で150時間以上、80℃で10時間以上経過しても金微粒子が発生せず良好な安定性を示した。ポリビニル硫酸カリウムの添加量を増量しても析出速度および外観を低下させずに高い安定化効果を得ることができた。なお、ポリビニル硫酸カリウムに0.1mg/Lのポリエチレングリコール#20000を併用したことによる明確な析出速度の低下は起きなかった。結果を表1に示す。
実施例5
精製水中に表1のNo.5に示す成分を加え、均一に撹拌した後、pHを8.0に調整して実施例5の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記実施例5のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間または1時間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、30分間で厚さ0.5μm、1時間で厚さ0.91μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜はムラのない均一な外観であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきし、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜を得た。また、ワイヤーボンディング性も良好だった。さらに60℃および80℃の無負荷撹拌条件でそれぞれめっき液の安定性を評価したところ、60℃で150時間以上、80℃で10時間以上経過しても金微粒子が発生せず良好な安定性を示した。なお、ポリビニル硫酸カリウムに0.5mg/Lのポリエチレングリコール#20000を併用したことによる明確な析出速度の低下は起きなかった。結果を表1に示す。
実施例6
精製水中に表1のNo.6に示す成分を加え、均一に撹拌した後、pHを8.0に調整して実施例6の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記実施例6のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間または1時間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、30分間で厚さ0.51μm、1時間で厚さ0.95μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜はムラのない均一な外観であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきし、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜を得た。また、ワイヤーボンディング性も良好だった。さらに60℃および80℃の無負荷撹拌条件でそれぞれめっき液の安定性を評価したところ、60℃で150時間以上、80℃で10時間以上経過しても金微粒子は発生せず良好な安定性を示した。なお、ポリビニル硫酸カリウムに0.05mg/Lのポリエチレングリコール#20000を併用したことによる明確な析出速度の低下は起きなかった。結果を表1に示す。
実施例7
精製水中に表1のNo.7に示す成分を加え、均一に撹拌した後、pH8.0に調整して実施例7の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記実施例1のめっき液中に60℃で撹拌しながら1時間浸漬して無電解めっきを施し、厚さ0.91μmの明黄色半光沢金膜を得た。得られた皮膜にムラの発生はなく、FE−SEMを用いた観察により金結晶が均一に析出している様子を確認した。同様に配線パターン付きのテスト基板へめっきしたところ、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜が得られ、ワイヤーボンディング性にも優れていることを確認した。さらに60℃および80℃の無負荷撹拌条件でそれぞれめっき液の安定性を評価したところ、60℃で150時間以上、80℃で10時間以上経過しても金微粒子が発生せず良好な安定性を示した。平均分子量の異なるポリビニル硫酸カリウムを使用しても析出性を低下せずに高い安定効果をえることができた。結果を表1に示す。
上記のとおり、実施例1〜7の無電解金めっき液は分解抑制剤としてポリビニル硫酸カリウムを含有するため、金の析出速度抑制作用が低く、かつめっき液の安定化効果が高い。しかも適量のポリエチレングリコールを添加することにより析出速度を低下させずにめっき液を一層安定化させることができる。実施例4、5および6は、ポリビニル硫酸カリウムとポリエチレングリコール#20000を併用しためっき液を示すが、いずれのめっき液においてもポリエチレングリコール#20000を添加することによって析出速度が低下することがなく、良好な浴安定化効果が得られることを確認している。ポリエチレングリコールは平均分子量の違いにより、安定性および析出速度への効果が著しく異なるため、使用量には十分注意を払う必要があるが、適用範囲が狭く、単独では使用が容易でない添加剤であっても、濃度範囲を適度に設定してポリビニル硫酸カリウムと併用することにより、析出速度を大きく抑制せずに高い安定化効果が得られ、さらに添加剤の種類によっては相乗効果を得ることができる。
比較例1
下記表2のNo.1に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例1の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例1のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、厚さ0.51μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜はムラのない均一な外観であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきし、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜を得た。また、60℃および80℃の無負荷撹拌条件でそれぞれめっき液の安定性を評価した結果、60℃で100時間、80℃で1時間以内に金微粒子が発生した。このように、ポリビニル硫酸カリウムを添加しない比較例1のめっき液では、安定性が著しく低下した。
Figure 2008208392
比較例2
表2のNo.2に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例2の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例2のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、明黄色半光沢金皮膜を得たが、金の析出速度が著しく低く、膜厚が0.06〜0.44μmで、析出ムラが発生し、外観が不均一であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきしたところ、微細部に析出ムラまたは未析出部が発生した。80℃の無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、9時間以内に金微粒子が発生した。このように、ポリエチレングリコール#1540はめっき液の安定化効果が低く、析出速度を著しく低下させる量を添加しても十分な安定性が得られず、ポリビニル硫酸カリウムを含有する実施例のめっき液より明らかに劣っていた。
比較例3
表2のNo.3に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例3の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例3のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、金の析出速度が著しく低く、得られた金皮膜は厚さが0.06μmで、外観が不均一であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきしたところ、微細部に析出ムラが発生した。さらに80℃の無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、2.5時間以内に金微粒子が発生した。このようにポリエチレングリコール#4000はめっき液の安定化効果が低く、析出速度を著しく低下させる量のポリエチレングリコール#4000を添加しても十分な安定性が得られず、ポリビニル硫酸カリウムを含有する実施例のめっき液より明らかに劣っていた。
比較例4
表2のNo.4に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例4の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例4のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、厚さ0.5μmの明黄色半光沢金皮膜が得られ、得られた皮膜はムラのない均一な外観であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきし、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜を得た。しかし、80℃の無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、2時間以内に金の微粒子が発生した。このようにポリエチレングリコール#20000を析出速度が抑制されない範囲で添加しても、十分な安定性は得られなかった。このように、ポリビニル硫酸カリウムと併用する実施例4のめっき液と異なり、ポリエチレングリコール#20000を単独で使用した比較例4のめっき液ではめっき液の安定性が著しく低下した。
比較例5
表2のNo.5に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例5の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例5のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、厚さ0.5μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はムラのない均一な外観であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきしたところ、微細部に若干の析出ムラが発生した。さらに80℃の無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、10時間以上経過しても金微粒子は発生せず、良好な安定性を示したが、このようにポリエチレングリコール#20000を析出速度が抑制されず、安定化効果が得られる範囲で添加しても、微細部の外観は低下した。
比較例6
表2のNo.6に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例6の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例6のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、厚さ0.4μmの明黄色半光沢金皮膜が得られたが、析出ムラが発生した。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきしたところ、微細部に析出ムラが発生した。一方、80℃無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、10時間以上経過しても金微粒子は発生せず、良好な安定性を示した。
比較例4、5および6より、ポリエチレングリコール#20000の量は、めっき液を安定化させるためには0.1ppmより多くする必要があり、析出速度を抑制させないためには5ppmより少なくする必要があり、微細部析出を低下させないためには0.1ppm以下にする必要がある。このように、ポリエチレングリコール#20000の適用範囲はポリビニル硫酸カリウムより明らかに狭い。
比較例7
表2のNo.7に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例7の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例7のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、厚さ0.51μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜はムラのない均一な外観であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきし、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜を得た。また、ワイヤーボンディング性も良好だった。しかし、80℃の無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、2時間以内に金微粒子が発生した。このようにポリビニルアルコール#500を析出速度を抑制しない範囲で添加しても、十分な安定性は得られなかった。
比較例8
表2のNo.8に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例8の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例8のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、厚さ0.35μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜はムラのない均一な外観であったが、著しい析出速度の低下が確認された。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきしたところ、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜を得た。また、ワイヤーボンディング性も良好だった。さらに80℃の無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、10時間以上経過しても金微粒子は発生せず、良好な安定性を示した。
比較例7および8より、ポリビニルアルコール#500の量は、めっき液を安定化するためには0.1ppmより多くする必要があり、金の析出速度を抑制しないためには0.5ppmより少なくする必要がある。このように、ポリビニルアルコール#500の適用範囲はポリビニル硫酸カリウムより明らかに狭い。
比較例9
表2のNo.9に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例9の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例9のめっき液中に60℃で撹拌しながら30分間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、厚さ0.43μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜は外観に若干ムラがあり、析出速度の低下が認められた。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきしたところ、明黄色半光沢で微細部に析出ムラのある金皮膜を得た。また、80℃の無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、10時間以上経過しても金微粒子は発生せず、良好な安定性を示した。このように、ポリビニルアルコール#2000を用いる場合、添加量を1ppmよりも多くすると金の析出が不良となるため、その適用範囲はポリビニル硫酸カリウムよりも明らかに狭い。
比較例10
表2のNo.10に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例10の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例10のめっき液中に60℃で撹拌しながら1時間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、厚さ0.5μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜はムラのない均一な外観であった。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきし、明黄色半光沢で微細部にもムラのない金皮膜を得た。さらに80℃の無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、10時間以上経過しても目視可能な金微粒子発生は認められなかったが、パーティクルカウンターにより微粒子の発生を確認した。このことから、ポリビニルピロリドン(K=30)の安定化効果はポリビニル硫酸カリウムよりも劣っているといえる。
比較例11
表2のNo.11に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例11の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例11のめっき液中に60℃で撹拌しながら1時間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、厚さ0.40μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜は析出ムラがあり、析出速度の低下が認められた。同様に配線パターン付きのテスト基板にもめっきしたところ、明黄色半光沢で微細部に析出ムラのある金皮膜を得た。また、80℃無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、10時間以上経過しても金微粒子は発生せず、良好な安定性を示した。このように、添加量を2ppmよりも多くすると金の析出が不良となるため、その適用範囲はポリビニル硫酸カリウムよりも明らかに狭い。
比較例12
表2のNo.12に示す成分を加えた以外、実施例1と同様にして比較例12の無電解金めっき液を調製した。次に、参考例の手順に従い、銅板上に前処理を施した被めっき物を、上記比較例12のめっき液中に60℃で撹拌しながら1時間浸漬して無電解金めっきを施した。その結果、厚さ0.37μmの明黄色半光沢金皮膜を得た。得られた皮膜はムラのない均一な外観であったが、著しい析出速度の低下が確認された。同様に配線パターン付きのテスト基板にめっきしたところ、微細部に析出ムラが発生した。さらに80℃の無負荷撹拌条件でめっき液の安定性を評価したところ、2時間以内に金微粒子が発生した。
比較例10〜12より、ポリビニルピロリドン(K=30)は明らかにポリビニル硫酸カリウムよりも適用範囲が狭く、微細部外観または安定化効果が劣っている。また、建浴時の白濁から溶解度もポリビニル硫酸カリウムより劣っており、この点でも明らかにポリビニル硫酸カリウムのほうが優れている。

Claims (6)

  1. シアンを含まない金源と分解抑制剤とを含有する無電解金めっき液であって、分解抑制剤として下記一般式I:
    Figure 2008208392
    一般式I中、Xは硫酸塩基を示し、nは2〜7,000の整数を示す、で表される構造を含有する重合体を含む、前記無電解金めっき液。
  2. 分解抑制剤としてポリビニル硫酸を含む、請求項1に記載の無電解金めっき液。
  3. 下地金属上での金析出速度が分解抑制剤無添加時の80〜100%であり、かつ微細部への析出ムラのない、請求項1または2に記載の無電解金めっき液。
  4. さらに錯化剤および還元剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の無電解金めっき液。
  5. シアンを含まない金源が、亜硫酸の金錯塩、チオ硫酸の金錯塩、塩化金酸またはその塩、チオ尿素金錯塩、チオリンゴ酸金錯塩およびヨウ化金酸塩からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の無電解金めっき液。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の無電解金めっき液中に被めっき物を浸漬することにより金めっきを行なう、無電解金めっき方法。
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