JP2008208270A - 熱収縮性ポリエステル系フィルム、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、主収縮方向と直交する方向へ引っ張った際の初期破断比率、テトラヒドロフランで表裏を接着させた際の溶剤接着強度、積層したフィルム上に1,3−ジオキソランを滴下させた際の溶剤突抜指数、95℃の温水中で10秒間処理した場合における主収縮方向の温湯熱収縮率、主収縮方向と直交する方向の引裂伝播抵抗比が、それぞれ、所定の範囲となるように調整されている。
【選択図】なし
Description
(1)30℃で85%RHの雰囲気下で672時間以上エージングした後に主収縮方向と直交する方向に引張試験を行った場合に、伸度5%以下で初期破断する比率が25%以下であること
(2)テトラヒドロフランにより表面と裏面とを接着させた後に1時間経過後の溶剤接着強度が2N/15mm幅以上15N/15mm幅以下であること
(3)所定枚数重ねたフィルム上に1,3−ジオキソランを滴下し、しかる後に、その滴下部分上に、所定枚数のフィルムを重ね合わせ、それらのフィルムの積層物を所定時間に亘って所定の圧力で圧縮した後に、1,3−ジオキソランを滴下したフィルムとその下側に位置したフィルムとの接着強度、および、1,3−ジオキソランを滴下したフィルムに重ね合わせたフィルムとその下側に位置したフィルムとの接着強度を測定した場合に、それらの2つの接着強度(以下、溶剤耐浸透指数という)が、いずれも0.2N/15mm以下であること
(4)95℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における主収縮方向の温湯熱収縮率が50%以上80%以下であること
(5)フィルムの主収縮方向と直交する方向の引裂伝播抵抗比が3.5以上6.0以下である
(a)前記フィルム化工程が、IV(極限粘度)の異なる2種以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂を共押出法により複数の押出機から溶融押出しすることにより、IVの低い樹脂からなるコア層と、IVの高い樹脂からなるスキン層とを積層した未延伸積層シートを形成するものであること
(b)前記フィルム化工程が、IVの低い樹脂からなるコア層中の非晶質成分となりうるモノマー成分の比率をIVの高い樹脂からなるスキン層中の非晶質成分となりうるモノマー成分の比率より低く調整したものであること
(c)前記フィルム化工程が、各押出機のホッパに供給する前のポリエステル系樹脂チップの水分率を10ppm以上50ppm以下に調整したものであること
(d)前記フィルム化工程が、各押出機のスクリューを冷却するものであること
(e)前記フィルム化工程が、各押出機の予熱温度を200℃以上270℃以下に調整し、各押出機のコンプレッションゾーンの温度を290℃以上310℃以下に調整したものであること
(f)前記フィルム化工程が、コア層押出し用の押出機の温度を、スキン層押出し用の押出機の温度より高く調整し、その差が5℃以上15℃以下となるようにコントロールしたものであること
なお、本発明における「IVの低い樹脂からなるコア層とIVの高い樹脂からなるスキン層とを積層した未延伸積層シート」とは、コア層形成用樹脂およびスキン層形成用樹脂のIVを測定した場合に、コア層形成用樹脂のIVの測定値よりスキン層形成用樹脂のIVの測定値より高い未延伸積層シートのみを意味するものではなく、コア層、スキン層ともIVの異なる2種類以上の同一の混合樹脂原料によって形成されており、コア層形成用の樹脂原料の内のIVの低いものの比率がコア層形成用の樹脂原料の内のIVの高いものの比率よりも高く、技術常識を考慮した場合にコア層形成用樹脂のIVの測定値よりスキン層形成用樹脂のIVの測定値より高いことが明らかな未延伸積層シートをも含むものである。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) ・・式1
次に、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得るための好ましい製造方法について説明する。ポリエチレンテレフタレートを主原料とする熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ラベルにした場合に、ミシンに沿って引き裂いて開封する際の引き裂き性が良くない。そのような熱収縮性ポリエステル系フィルムの欠点を改善すべく、発明者らが研究開発を行った結果、ポリエチレンテレフタレート系樹脂から熱収縮性フィルムを製造する際に、IVの低いポリエチレンテレフタレート原料(以下、単に低IV−PET原料という)を大量に加えると、上記した引き裂き性を改善し得ることを見い出した。ところが、低IV−PET原料を大量に加えると、溶剤接着性、収縮仕上がり性の悪化や、初期破断率の増加等の好ましくない現象が発生することも明らかとなった。
(1)層構成の調整
(2)コア層およびスキン層における非晶質成分比率の調整
(3)原料チップ中の水分率の調整
(4)押出機のスクリューの冷却
(5)押出機の予熱部およびコンプレッションゾーンの温度の調整
(6)コア層形成用押出機およびスキン層形成用押出機の温度調整
以下、上記した各手段について順次説明する。
本発明のフィルムを得るためには、IVの異なる2種以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂を共押出法により複数の押出機から溶融押出しする際に、フィルムの層構成を、IVの低い樹脂を含むコア層の両面に、IVの高い樹脂を含むスキン層を積層した積層構造にする必要がある。そのような積層構造とすることにより、低IV−PETの本来の良好な溶剤接着性を発現させつつ、高IV−PETの有する良好な収縮仕上がり性、低い初期破断率を同時に発現させることが可能となる。なお、フィルムの層構成は、IVの低い樹脂を含むコア層の両面に、IVの高い樹脂を含むスキン層を積層したものであれば、スキン層が複数の層を積層したものであっても良い。
本発明のフィルムを得るためには、共押出法により2種以上のポリエステル樹脂によって上記の如く各層を形成する際に、コア層中の非晶質成分となりうるモノマー成分の比率をスキン層中の非晶質成分となりうるモノマー成分の比率より低く調整する必要がある。コア層中の非晶質成分となり得るモノマー成分がスキン層中の非晶質成分となりうるモノマー成分の比率より多いと、溶剤接着加工した後に浸透ブロッキングが起こり易くなるので好ましくない。
本発明のフィルムを得るためには、共押出法により2種以上のポリエステル樹脂によって上記の如く各層を形成する際に、各押出機のホッパに供給する前のポリエステル系樹脂チップの水分率を10ppm以上50ppm以下に調整する必要がある。チップの水分率が50ppmを超えると、得られたフィルムの機械強度が劣るものとなる等の不具合が生じるので好ましくなく、反対に、チップの水分率が10ppmを下回ると、製造時に延伸しにくくなるので好ましくない。
本発明のフィルムを得るためには、共押出法により2種以上のポリエステル樹脂によって上記の如く各層を形成する際に、各押出機のスクリューを冷却する必要がある。そのように各押出機のスクリューを冷却しない場合には、非晶質ポリエステルチップがスクリューフィード部に粘着し正常に押出しできなくなる等の不具合が生じるので好ましくない。
本発明のフィルムを得るためには、共押出法により2種以上のポリエステル樹脂によって上記の如く各層を形成する際に、各押出機の予熱部分の温度を200℃以上270℃以下に調整し、各押出機のコンプレッションゾーンの温度を290℃以上310℃以下に調整する必要がある。各押出機の予熱部分の温度を200℃以上270℃以下にしないと、ポリエステルチップの滑りによる喰い込み不良やスクリューへの粘着等によって正常な押出しができなくなる等の事態が生ずるので好ましくない。また、各押出機のコンプレッションゾーンの温度を290℃以上310℃以下にしないと、未溶融樹脂の吐出や押出機内で熱劣化が進行する等の不具合が生じるので好ましくない。
本発明のフィルムを得るためには、共押出法により2種以上のポリエステル樹脂によって上記の如く各層を形成する際に、コア層押出し用の押出機の温度を、スキン層押出し用の押出機の温度より高く調整し、その差が5℃以上15℃以下となるようにコントロールする必要がある。そのようにコア層の押出温度がスキン層の押出温度より高くなるように調整し、かつ、それらの押出温度の差が5℃以上15℃以下となるようにコントロールしないと、押出モータの負荷が増大する等の不具合が生じて、正常な押出しができなくなるので好ましくない。
フィルムを、クロロホルムD(ユーリソップ社製)とトリフルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1(体積比)で混合した溶媒に溶解させて、試料溶液を調製し、NMR(「GEMINI−200」;Varian社製)を用いて、温度23℃、積算回数64回の測定条件で試料溶液のプロトンのNMRを測定し、プロトンのピーク強度に基づいてフィルムを構成する成分の構成比率を算出した。
試料(チップまたはフィルム)0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶解した後、オストワルド粘度計で30±0.1℃で測定する。極限粘度[η]は、下式(Huggins式)によって求められる。
30℃、相対湿度85%の雰囲気下で28日間(672時間)保管した後の熱収縮性ポリエステル系フィルムの主収縮方向に直交する方向について、JIS K 7127に準じて引張試験を行った。なお、当該引張試験は、試験片長さ200mm、チャック間距離100mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張り速度200mm/分の条件で行い、試験片数は20とした。そして、伸度5%以下で破断した試験片数を計数し、全試験片(20個)に対する百分率(%)を求めて初期破断率(%)とした。
延伸したフィルムに1,3−ジオキソランを塗布して2枚を貼り合わせる(1枚のフィルムの表面と他のフィルムの裏面とを貼り合わせる)ことによってシールを施した。そして、フィルムの貼り合わせから1時間経過した後、シール部をフィルムの主収縮方向に15mmの幅に切り取り、それを(株)ボールドウィン社製 万能引張試験機 STM−50にセットし、引張速度200mm/分の条件で90°ピール試験を行った。そして、そのときの引張強度を溶剤接着強度とした。
フィルムを5cm角で10枚裁断し、ロール巻内面が上になるように5枚積み重ねた。しかる後、重ねたフィルムの一番上の中央部に1,3−ジオキソランを1滴(約18μl)を滴下し、直ちにその上にロール巻内面が上になるように5枚積み重ね、アルミホイルで包んで密封した。そして、2kgの荷重を加えた状態で40℃で24時間保管した後に開封し、溶剤が浸透した枚数を確認した上で、上下それぞれ1枚目と2枚目との接着強度を測定した。しかる後、下記の基準で評価した。
○:接着強度が0.2N/15mm未満
△:接着強度が0.2N/15mm以上0.5N/15mm未満
×:接着強度が0.5N/15mm以上
フイルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、95℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬し、その後、試料の縦および横方向の長さを測定し、下式1に従って熱収縮率(%)を算出した。なお、最も収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ) ・・式1
フィルムを、主収縮方向51mm×直交方向64mmと、主収縮方向64mm×直交方向51mmとの2種類に裁断し、それらの2種類の試料サンプルを引き裂く際の各抵抗値を、東洋精機株式会社製の軽荷重引裂器を用いて測定し、それらの測定値を、それぞれ、直交方向の引裂伝播抵抗値、主収縮方向の引裂伝播抵抗値とした。そして、各測定値から下式2によって引裂伝播抵抗比を算出した。なお、引裂伝播抵抗値の測定は、直交方向、主収縮方向とも5回繰り返して行い、5個の引裂伝播抵抗比の平均値を引裂伝播抵抗比とした。
引裂伝播抵抗比=直交方向の引裂伝播抵抗値÷主収縮方向の引裂伝播抵抗値 ・・式2
加熱炉付き引張試験機(東洋精機株式会社製「テンシロン」)を用いて測定した。熱収縮前のフィルムから、主収縮方向の長さが200mmで、幅が20mmの試料を切り出し、予め90℃に加熱しておいた引張試験機の送風を止め、試料をチャック間距離100mmに設定したチャックに取り付けた後、速やかに加熱炉の扉を閉め、送風(温度90℃、吹き出し速度5m/秒の熱風を、奥、左および右の三方向から供給)を開始して、検出される収縮応力を測定し、測定チャートから最大熱収縮応力値(MPa)を求めた。
熱収縮性フィルムに、予め東洋インキ製造(株)の草・金・白色のインキで3色印刷を施した。そして、印刷したフィルムの両端部をジオキソランで接着することにより、円筒状のラベル(熱収縮性フィルムの主収縮方向を周方向としたラベル)を作成した。しかる後、Fuji Astec Inc製スチームトンネル(型式;SH−1500−L)を用い、通過時間2.5秒、ゾーン温度80℃で、500mlのPETボトル(胴直径 62mm、ネック部の最小直径25mm)に熱収縮させることにより、ラベルを装着した。なお、装着の際には、ネック部においては、直径40mmの部分がラベルの一方の端になるように調整した。収縮後の仕上がり性の評価は目視で行い、基準は下記の通りとした。
◎:シワ,飛び上り、収縮不足の何れも未発生で、かつ色の斑も見られない
○:シワ,飛び上り、または収縮不足が確認できないが、若干、色の斑が見られる
△:飛び上り、収縮不足の何れも未発生だが、ネック部の斑が見られる
×:シワ、飛び上り、収縮不足が発生
予め主収縮方向とは直向する方向にミシン目を入れておいたラベルを、上記した収縮仕上り性の測定条件と同一の条件でPETボトルに装着した。ただし、ミシン目は、長さ1mmの孔を1mm間隔で入れることによって形成し、ラベルの縦方向(高さ方向)に幅22mm、長さ120mmに亘って2本設けた。その後、このボトルに水を500ml充填し、5℃に冷蔵し、冷蔵庫から取り出した直後のボトルのラベルのミシン目を指先で引裂き、縦方向にミシン目に沿って綺麗に裂け、ラベルをボトルから外すことができた本数を数え、全サンプル50本に対する割合(%)を算出した。
コア層形成用の樹脂を単軸の押出機(第一押出機)内にて溶融させるとともに、スキン層形成用の樹脂を単軸の押出機(第二押出機)内にて溶融させ、それらの溶融樹脂を共押出法を利用して三層Tダイ内で積層して押し出し、その後急冷して、スキン層/コア層/スキン層の3層構造からなる175μmの厚みの未延伸フィルムを得た。なお、コア層形成用の樹脂として、ポリエステルA(IV=0.70dl/g):9質量%、ポリエステルB(IV=0.70dl/g):31質量%、ポリエステルC(IV=1.20dl/g):10質量%、ポリエステルD(IV=0.65dl/g):50質量%を混合したポリエステル系樹脂を用いた。また、表裏両方のスキン層形成用の樹脂として、ポリエステルA:15質量%、ポリエステルB:75質量%、ポリエステルC:10質量%を混合したポリエステル系樹脂を用いた。
コア層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルA:16質量%、ポリエステルB:31質量%、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルD:43質量%に変更し、スキン層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルA:8質量%、ポリエステルB:75質量%、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルD:7質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ45μm(スキン層/コア層/スキン層の各厚み:11.25μm/22.5μm/11.25μm)の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。なお、実施例2においても実施例1と同様に、延伸プロセスの各工程におけるフィルムの表面温度の変動は±0.5℃の範囲に収まっていた。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の評価方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
コア層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルB:31質量%、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルD:50質量%、ポリエステルF(IV=0.60dl/g):9質量%に変更し、スキン層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルB:75質量%、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルF:15質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ45μm(スキン層/コア層/スキン層の各厚み:11.25μm/22.5μm/11.25μm)の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。なお、実施例3においても実施例1と同様に、延伸プロセスの各工程におけるフィルムの表面温度の変動は±0.5℃の範囲に収まっていた。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の評価方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
コア層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルA:9質量%、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルD:50質量%、ポリエステルE(IV=0.70dl/g):31質量%に変更し、スキン層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルA:15質量%、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルE:75質量%に変更し、延伸温度を83℃に変更し、熱処理温度を80℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ45μm(スキン層/コア層/スキン層の各厚み:11.25μm/22.5μm/11.25μm)の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。なお、実施例4においても実施例1と同様に、延伸プロセスの各工程におけるフィルムの表面温度の変動は±0.5℃の範囲に収まっていた。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の評価方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
コア層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルB:55質量%、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルD:35質量%に変更し、スキン層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルA:35質量%、ポリエステルB:55質量%、ポリエステルC:10質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ45μm(スキン層/コア層/スキン層の各厚み:11.25μm/22.5μm/11.25μm)の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。なお、比較例1においても実施例1と同様に、延伸プロセスの各工程におけるフィルムの表面温度の変動は±0.5℃の範囲に収まっていた。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の評価方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
コア層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルB:30質量%、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルD:60質量%に変更し、スキン層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルB:90質量%、ポリエステルC:10質量%に変更し、熱処理温度を81℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ45μm(スキン層/コア層/スキン層の各厚み:11.25μm/22.5μm/11.25μm)の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。なお、比較例2においても実施例1と同様に、延伸プロセスの各工程におけるフィルムの表面温度の変動は±0.5℃の範囲に収まっていた。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の評価方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
コア層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルD:15質量%、ポリエステルE:75質量%に変更し、スキン層を形成するポリエステル系樹脂の混合比率を、ポリエステルA:15質量%、ポリエステルC:10質量%、ポリエステルE:75質量%に変更し、延伸温度を85℃に変更し、熱処理温度を81℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ45μm(スキン層/コア層/スキン層の各厚み:11.25μm/22.5μm/11.25μm)の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。なお、比較例2においても実施例1と同様に、延伸プロセスの各工程におけるフィルムの表面温度の変動は±0.5℃の範囲に収まっていた。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の評価方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
実施例1と同様の単軸押出機によって内層および外層を共押出しする際に、第一押出機および第二押出機の予熱部分の温度、コンプレッションゾーンの温度を、それぞれ280℃,285℃に変更し、コア層押出温度、スキン層押出温度を、いずれも275℃に変更した。そして、実施例1と同様のポリエステル系樹脂を、スクリューの冷却をすることなく溶融押出ししようと試みたが、正常な溶融押出しをすることができず、延伸可能な未延伸フィルムを得ることができなかった。
表4から、各実施例のフィルムは、ミシン目開封性、溶剤接着性とも非常に良好であることことが分かる。加えて、各実施例のフィルムは、良好な耐溶剤突き抜け性を発現する(溶剤耐浸透指数が良好)ことが分かる。これに対して、各比較例のフィルムは、ミシン目開封性が不良であったり、溶剤接着性が不良であったり、耐溶剤突き抜け性が不良(溶剤耐浸透指数が不良)であったりすることが分かる。
Claims (4)
- エチレンテレフタレートを主たる構成成分としており全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を15モル%以上含有しているポリエステル系樹脂からなる熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、
厚みが25μm以上60μm以下であり、下記要件(1)〜(5)を満たすことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
(1)30℃で85%RHの雰囲気下で672時間以上エージングした後に主収縮方向と直交する方向に引張試験を行った場合に、伸度5%以下で初期破断する比率が25%以下であること
(2)テトラヒドロフランにより表面と裏面とを接着させた後に1時間経過後の溶剤接着強度が2N/15mm幅以上15N/15mm幅以下であること
(3)所定枚数重ねたフィルム上に1,3−ジオキソランを滴下し、しかる後に、その滴下部分上に、所定枚数のフィルムを重ね合わせ、それらのフィルムの積層物を所定時間に亘って所定の圧力で圧縮した後に、1,3−ジオキソランを滴下したフィルムとその下側に位置したフィルムとの接着強度、および、1,3−ジオキソランを滴下したフィルムに重ね合わせたフィルムとその下側に位置したフィルムとの接着強度を測定した場合に、それらの2つの接着強度が、いずれも0.2N/15mm以下であること
(4)95℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における主収縮方向の温湯熱収縮率が50%以上80%以下であること
(5)フィルムの主収縮方向と直交する方向の引裂伝播抵抗比が3.5以上6.0以下であること - 全ポリステル樹脂成分中における非晶質成分となりうるモノマーの主成分が、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸の内のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1、または請求項2に記載されたポリエステル系樹脂フィルムを製造するための製造方法であって、
ポリエステル系樹脂原料を押出機から溶融押出しすることにより未延伸シートを形成するフィルム化工程と、
そのフィルム化工程で得られる未延伸シートを少なくとも横方向に延伸する延伸工程とを含んでおり、
下記要件(a)〜(f)を満たすことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
(a)前記フィルム化工程が、IVの異なる2種以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂を共押出法により複数の押出機から溶融押出しすることにより、IVの低い樹脂からなるコア層と、IVの高い樹脂からなるスキン層とを積層した未延伸積層シートを形成するものであること
(b)前記フィルム化工程が、IVの低い樹脂からなるコア層中の非晶質成分となりうるモノマー成分の比率をIVの高い樹脂からなるスキン層中の非晶質成分となりうるモノマー成分の比率より低く調整したものであること
(c)前記フィルム化工程が、各押出機のホッパに供給する前のポリエステル系樹脂チップの水分率を10ppm以上50ppm以下に調整したものであること
(d)前記フィルム化工程が、各押出機のスクリューを冷却するものであること
(e)前記フィルム化工程が、各押出機の予熱温度を200℃以上270℃以下に調整し、各押出機のコンプレッションゾーンの温度を290℃以上310℃以下に調整したものであること
(f)前記フィルム化工程が、コア層押出し用の押出機の温度を、スキン層押出し用の押出機の温度より高く調整し、その差が5℃以上15℃以下となるようにコントロールしたものであること - ポリエステル系樹脂原料が、2種類以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂からなるものであり、それらの各原料のIVの内の最大のものと最小のものとの差が0.04dl/g以上0.13dl/g以下に調整されていることを特徴とする請求項3に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
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