JP2008208029A - シリカ - Google Patents

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寛 森
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波奈子 加藤
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Abstract

【課題】 特に触媒担体や吸着剤として好適に使用し得るシリカを提供する。
【解決手段】 シリカのX線透過率をT(%)、シリカの細孔の最頻直径をDmax(nm)とした際、上記のX線透過率Tが、零よりも大きく、且つ、以下の式(I)で示される所定値Fよりも大きいことを特徴とする、シリカ。
F=4.98ln(Dmax)−7.50・・・・・(I)。
上記のシリカは、シリコンアルコキシドを加水分解すると共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシリカヒドロゲルを形成する加水分解・縮合工程と、当該加水分解・縮合工程に引き続きシリカヒドロゲルを熟成することなく水熱処理する物性調節工程とを包含する方法で製造される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シリカに関し、詳しくは、特に触媒担体や吸着剤として好適な、シリカに関する。
シリカは、古くから乾燥剤として広く用いられてきたが、最近ではその用途が触媒担体,分離剤,吸着剤等へと広がっており、こうした用途の広がりに応じて、シリカの性能に対する要求も多様化している。シリカの性能は、シリカの表面積、細孔径、細孔容積、細孔径分布等の物性によって決定されるが、これらの物性はシリカの製造条件によって大きく影響される。
シリカは、SiO・nHOの示性式で表される物質であり、無水ケイ酸と含水ケイ酸の両方を示す。例えば無水ケイ酸としては、石英、トリディマイト、クリストバル石、コーサイト、スティショフ石、石英ガラスなどが挙げられる。そして含水ケイ酸としては、シリカヒドロゾルをゲル化し乾燥させて得られる、いわゆる非晶質の「シリカゲル」以外に、コロイダルシリカ、シリケートオリゴマー、そして有機物等を鋳型として形成された、例えばモービル社製:MCM−41のようなタイプのシリカ(いわゆる、ミセルテンプレート型シリカ)等が挙げられる。また「シリカゲル」の原料としては、水ガラスやアルコキシシラン類が挙げられる。
シリカゲルの一般的な製造方法は、原料として水ガラスを使用する方法とシリコンアルコキシドを使用する方法とに大別される(何れも当業者にとっては周知の方法である)が、シリコンアルコキシドを使用する方法は、原料のシリコンアルコキシドを蒸留などにより精製でき、金属不純物の含有量の少ないシリカゲルを比較的容易に得られる利点がある。
原料としてアルコキシドを使用する方法は、基本的には、触媒の存在下にシリコンアルコキシドを加水分解すると共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシリカヒドロゲルを形成する加水分解・縮合工程と、得られたシリカヒドロゲルを水熱処理する物性調節工程とを包含する方法より成る。
そして、上記の加水分解・縮合工程では、酸(硫酸、塩酸または硝酸)が触媒として使用され、また、上記の物性調節工程(水熱処理)の前には熟成工程が設けられ、斯かる熟成工程により、シリカゲルの強度が高められる等の物性の改善が図られるとされている。斯かる方法は、ゾル−ゲル法と呼ばれて当業者にとっては周知の方法である。
ところで、シリカゲルのマクロ的構造は、周知であり、シリカコロイドの球状粒子が互いに密着した緊密な連続三次元構造を有することが知られているが、そのミクロ的な構造については、未だ十分に解明されていない。
本発明の目的は、ミクロ構造的に従来知られていない新規な構造のシリカを提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ミクロ構造的に高い均質性を有するシリカを得た。シリカのミクロ構造の均質性は、シリカのX線透過率T(%)とシリカの細孔の最頻直径(Dmax)との関係によって評価することが出来る。以下、シリカのミクロ構造の均質性とシリカのX線透過率T(%)との関連について、詳しく説明する。
すなわち、シリカの細孔はシリカコロイドの球状粒子に囲まれて形成されるが、その際、球状粒子を形成するシリカコロイドのクラスターの集合状態に差異が生じる。斯かる差異は、シリカの製造方法に依存して生じ、均質性が高い場合と低い場合(凝集状態)とがある。そして、斯かるクラスターの集合状態の均質性は、シリカのX線透過率によって評価することが出来るが、クラスターの集合状態の均質性は最頻直径(Dmax)に依存するため、上記の評価は一定の最頻直径(Dmax)の条件下で行なう必要がある。
本発明は、上記の知見を基に更に研究を重ねて完成されたものであり、その要旨は、シリカのX線透過率をT(%)、シリカの細孔の最頻直径をDmax(nm:ナノメートル)とした際、上記のX線透過率Tが、零よりも大きく(T>0)、且つ、以下の式(I)で示される所定値Fよりも大きく(T>F)、シリコンアルコキシドを加水分解すると共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシリカヒドロゲルを形成する加水分解・縮合工程と、当該加水分解・縮合工程に引き続きシリカヒドロゲルを、その破壊応力が6MPa以下の状態で水熱処理する物性調節工程とを包含する方法で製造されることを特徴とする、シリカに存する。
F=4.98ln(Dmax)−7.50・・・・・(I)
このような条件を満足するシリカは、従来のシリカよりもミクロ構造的に高い均質性を有すると判断される。
以上説明した本発明のシリカによれば、そのX線透過率T(%)が、零よりも大きく、且つ、所定値F(=4.98ln(Dmax)−7.50、Dmax:シリカの細孔の最頻直径(nm))よりも大きいので、ミクロ構造的に高度の均質性を有し、したがって、耐熱性、耐水熱性などの点で優れた性能を発揮することが予測され、特に触媒担体や吸着剤として好適に使用することができ、本発明の工業的価値は大きい。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)本発明のシリカの特徴
本発明のシリカは、含水ケイ酸であり、SiO・nHOの示性式で表される。本発明においては、シリカの中でも特に「シリカゲル」やミセルテンプレート型シリカにおいて、その効果が顕著である。
そして、本発明のシリカの最大の特徴は、シリカのX線透過率をT(%)、シリカの細孔の最頻直径をDmax(nm:ナノメートル)とした際、上記のX線透過率T(%)が、零よりも大きく(T>0)、且つ、前記の式(I)で示される所定値Fよりも大きい(T>F)ことにある。
すなわち、本発明のシリカは、球状粒子を形成するシリカコロイドのクラスターの集合状態の均質性が高いことから、ミクロ構造的に高度の均質性を有するものと推定される。本発明において、シリカのX線透過率T(%)は、好ましくは、上記の式(I)の所定値F(=4.98ln(Dmax)−7.50)よりも、通常3%以上大きい値であり(T≧1.03×F)、好ましくは5%以上大きい値である(T≧1.05×F)。
なお、本発明のシリカにおいては、そのX線透過率T(%)の最大値は通常20%程度である。
このように、本発明のシリカは、ミクロ構造的に高度の均質性を有することから、特に、耐熱性、耐水熱性などの点で優れた性能を発揮する。また、製品ロットにおける品質のバラツキがないという特性をも有する。斯かる特性が発揮される理由は必ずしも明らかではないが、次の様に推定される。すなわち、ミクロ構造的に高度の均質性は、加水分解・縮合工程における反応速度(特に縮合反応の速度)が適切であることに起因していると考えられるが、適切な反応速度で加水分解・縮合工程が行われる場合は、例えば反応器内の場所による撹拌速度の変化などによる影響を受けることなく、性質の安定したシリカが形成されるからであると推定される。
なお、上記のX線透過率T(%)は、例えば、理学電気社製RAD−B装置を使用し、CuKα線を線源とする方法で測定することが出来る。この場合、乳鉢でシリカを2分間すりつぶし、セル厚み(光路長)2mm、セル窓材がPET樹脂フィルムの溶液セルに充填して体積減少が無くなるまでタッピングした後、測定時間500秒で透過光強度を測定する。この透過光強度を空セルの透過光強度で規格化して透過率とする。各サンプルについて異なる場所で3回透過率を測定し、3回の平均値を測定値とする。
また、上記の最頻直径(Dmax)は、窒素ガス吸脱着によるBET法で測定した等温脱着曲線から、E. P. Barrett, L. G. Joyner, P. H. Haklenda, J. Amer. Chem. Soc., vol.73, 373 (1951) に記載のBJH法により算出される細孔分布曲線をプロットして求められる。ここで、細孔分布曲線とは、微分細孔容積、すなわち、細孔直径d(nm)に対する微分窒素ガス吸着量(ΔV/Δ(logd)を言う。なお、上記のVは窒素ガス吸着容積を表す。
本発明のシリカは、さらに、その好ましい態様として、従来のゾル−ゲル法によるシリカとは異なった次の<1>〜<5>に記載した特性を備えている。
<1>比表面積と細孔容積とが通常のシリカより大きい。具体的には、細孔容積の値は、通常0.6ml/g以上、好ましくは0.7ml/g以上であり、通常1.6ml/g以下である。比表面積の値は、通常200m/g以上、好ましくは300m/g以上、更に好ましくは400m/g以上、特に好ましくは500m/g以上であり、通常1000m/g以下、好ましくは950m/g以下、更に好ましくは900m/g以下である。これらの細孔容積及び比表面積の値は、窒素ガス吸脱着によるBET法で測定される。
<2>最頻直径(Dmax)が通常のシリカより小さい。最頻直径(Dmax)は、気体や液体の吸着や吸収に影響を与える特性であり、最頻直径(Dmax)が小さいほど吸着や吸収の性能が高い。従って、種々の特性の中でも最頻直径(Dmax)は、特に触媒担体や吸着剤として使用するシリカにとって重要な物性である。具体的に、本発明のシリカの最頻直径(Dmax)は、通常は20nm以下、好ましくは17nm以下、更に好ましくは15nm以下である。下限は特に制限されないが、通常は2nm以上である。
<3>細孔の径が最頻直径(Dmax)の近辺に揃っているといった多孔特性を有する。すなわち、シャープな細孔分布を有する。具体的には、Dmaxの±20%の範囲にある細孔の容積が全細孔容積の通常50%以上、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上である。なお、この上限は特に制限されないが、通常は90%以下である。
<4>前述のDmax付近に揃っている細孔の絶対量が多い。具体的には、上記のBJH法により算出された最頻直径(Dmax)における微分細孔容積ΔV/Δ(logd)が、通常2ml/g以上、好ましくは3ml/g以上、更に好ましくは5ml/g以上であり、通常20ml/g以下、好ましくは12ml/g以下である(なお、上式において、dは細孔直径(nm)であり、Vは窒素ガス吸着容積である)。
<5>高い熱安定性を有する。具体的には、固体Si−NMRでのQ/Qの値が通常1.3以上、好ましくは1.5以上である。また、上限は特に規定されないが通常10以下である。以下、Q/Qについて説明する。
本発明のシリカは前記の示性式で表されるが、構造的には、Siの四面体の各頂点にOが結合され、これらのOに更にSiが結合してネット状に広がった構造を有する。そして、Si−O−Si−O−の繰り返し単位において、Oの一部が他の成員(例えば−OH、−OCHなど)で置換されているものもあり、一つのSiに注目した場合、下記式(A)に示す様に4個の−OSiを有するSi(Q)、下記式(B)に示す様に3個の−OSiを有するSi(Q)等が存在する(下記式(A)及び(B)では、上記の四面体構造を無視し、Si−Oのネット構造を平面的に表わしている)。
Figure 2008208029
そして、上記Q/Qの値とは、シリカの、−OSiが3個結合したSiと−OSiが4個結合したSiとのモル比を意味し、この値が高い程、シリカの熱安定性が高いことが知られており、ここから本発明のシリカは、熱安定性に極めて優れていることが判る。対して、結晶性のミセルテンプレートシリカは、Q/Qの値が1.3を下回ることが多く、熱安定性、特に水熱安定性が低い。
ところで、シリカは、高温条件や吸水条件下において、触媒担体、分離剤、吸着剤などの用途に使用される場合、耐熱性、耐水熱性などの点で優れていることが要求される。本発明のシリカは、ミクロ構造的に高度の均質性を有し、耐熱性、耐水熱性などの点で優れた性能を発揮することが期待される。従って、本発明のシリカは、触媒担体、分離剤、吸着剤などとして特に高温条件や吸水条件下で使用される用途に好適である。
(2)本発明のシリカの製法
本発明のシリカは、従来のゾル−ゲル法とは異なり、シリコンアルコキシドを加水分解すると共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシリカヒドロゲルを形成する加水分解・縮合工程と、当該加水分解・縮合工程に引き続きシリカヒドロゲルを熟成することなく水熱処理する物性調節工程とを包含する方法で製造される。この場合、本発明においては、加水分解・縮合工程で触媒を使用しなくても何ら問題がないため、加水分解・縮合工程は、触媒の不存在下に行なうのが好ましい。
原料のシリコンアルコキシドとしては、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するトリまたはテトラアルコキシシランが挙げられる。これらの具体例としては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。また、これらのオリゴマーも使用することが出来る。シリコンアルコキシドの好ましい例は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びそれらのオリゴマーである。
上記の様なシリコンアルコキシドは、蒸留により容易に精製し得るので、本願のシリカような高純度のシリカの原料として好適である。シリコンアルコキシド中の金属元素(不純物元素)の総含有率は、通常100ppm以下、好ましくは10ppm以下である。このようなシリコンアルコキシドを使用して製造することにより、本願のシリカを高純度のものとすることができ、具体的には、シリカの金属不純物の含有率は、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。
本発明においては、先ず、加水分解・縮合工程において、触媒の不存在下にシリコンアルコキシドを加水分解すると共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシリカヒドロゲルを形成する。
シリコンアルコキシドの加水分解は、シリコンアルコキシド1モルに対して、通常2モル以上、好ましくは3モル以上、特に好ましくは4モル以上、通常20モル以下、好ましくは10モル以下、特に好ましくは8モル以下の水を用いて行なう。加水分解により、シリカヒドロゾルとアルコールが生成し、生成したシリカヒドロゾルは逐次縮合してシリカヒドロゲルとなる。
また、加水分解反応の温度は、通常室温以上、好ましくは30℃以上、中でも好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上、通常100℃以下、好ましくは90℃以下、中でも好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。この加水分解反応は、加圧下で液相を維持することで、より高い温度で行なうことも可能である。
また、加水分解時には必要に応じて、水と相溶性のあるアルコール類等の溶媒の存在下で行なっても良い。具体的には、炭素数1〜3の低級アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルセロルブ、エチルセロルブ、メチルエチルケトン、その他の水と任意に混合できる有機溶媒を任意に用いることができるが、中でも強い酸性や塩基性を示さないものが、均一なシリカヒドロゲルを生成できる理由から好ましい。
これらの溶媒を使用しない場合、本発明のシリカの製造のためには、特に加水分解の際の攪拌速度が重要である。すなわち、シリコンアルコキシドと加水分解用の水は初期には分液しているため、攪拌によりエマルジョン化し、反応を促進させる。
係る条件を満足しない場合には、本発明のシリカを得るのが困難になる。なお、加水分解によりアルコールが生成して液が均一液となり、発熱が収まった後には、均一なヒドロゲルを形成させるために攪拌を停止することが好ましい。
結晶性を示すシリカは、水中熱安定性に乏しくなる傾向にあり、シリカ中に細孔を形成するのに用いられる界面活性剤等のテンプレートの存在下でシリコンアルコキシドを加水分解すると、シリカは容易に結晶構造を含むものとなる。従って、本発明においては、界面活性剤等のテンプレートの非存在下で、すなわち、これらがテンプレートとしての機能を発揮するほどの量は存在しない条件下で加水分解するのが好ましい。
加水分解の反応時間は、反応液組成(シリコンアルコキシドの種類や、水とのモル比)並びに反応温度に依存し、ゲル化するまでの時間が異なるので、一概には規定されないが、シリカヒドロゲルの破壊応力が6MPaを超えない時間である。なお、反応系に触媒として、酸、アルカリ、塩類などを添加することで加水分解を促進させることができる。しかしながら、かかる添加物の使用は、生成したヒドロゲルの熟成を引き起こすことになるので、本発明のシリカの製造においてはあまり好ましくない。
上記のシリコンアルコキシドの加水分解反応では、シリコンアルコキシドが加水分解してシリケートが生成するが、引き続いて該シリケートの縮合反応が起こり、反応液の粘度が上昇し、最終的にゲル化してシリカヒドロゲルとなる。
次いで、本発明では、物性調節工程として、上記の加水分解・縮合工程に引き続きシリカヒドロゲルを実質的に熟成することなく水熱処理する。すなわち、熟成によりシリカヒドロゲルの硬さは上昇するが、本発明にかかる上記物性調節工程では、上記の加水分解・縮合工程に引続き、直ちに水熱処理するのである。
シリコンアルコキシドを加水分解すると、軟弱なシリカヒドロゲルが生成し、従来のゾル−ゲル法では、この軟弱なシリカヒドロゲルを安定して熟成させたり、乾燥したりしてから水熱処理するが、このような方法では、最終的に細孔特性の制御された、本発明で規定する物性範囲のシリカを製造することは困難である。
上記にある、加水分解により生成したシリカのヒドロゲルを、実質的に熟成することなく、直ちに水熱処理を行なうということは、シリカのヒドロゲルが生成した直後の軟弱な状態が維持されたままで、次の、水熱処理に供するようにするということを意味する。
具体的には、シリカヒドロゲルが生成した時点から、一般的には10時間以内に水熱処理することが好ましく、中でも8時間以内、更には6時間以内、特に4時間以内にシリカヒドロゲルを水熱処理することが好ましい。
また工業用プラント等に於いては、大量に生成したシリカヒドロゲルを一旦サイロ等に貯蔵し、その後水熱処理を行う場合が考えられる。この様な場合、シリカヒドロゲルは、シリカヒドロゲルが生成してから水熱処理に供されるまでの時間、いわゆる放置時間が、上述の範囲を超える場合が考えられる。この様な場合には、熟成が実質的に生じないように、サイロ内での静置中に、例えばシリカヒドロゲル中の液体成分が乾燥しないようにすればよい。
具体的には例えば、サイロ内を密閉したり、湿度を調節すればよい。また、水やその他の溶媒にシリカヒドロゲルを浸した状態で、シリカヒドロゲルを静置してもよい。
静置の際の温度はできるだけ低くすることが好ましく、例えば50℃以下、中でも35℃以下、特に30℃以下で静置することが好ましい。また熟成が実質的に生じないようにする別の方法としては、シリカヒドロゲル中のシリカ濃度が低くなるように、予め原料組成を制御してシリカヒドロゲルを調製する方法が挙げられる。
シリカヒドロゲルを実質的に熟成せずに水熱処理することにより奏する効果と、この効果が得られる理由を考察すると、以下のことが考えられる。
つまり、シリカヒドロゲルを熟成させると、−Si−O−Si−結合によるマクロ的網目構造が、シリカヒドロゲル全体に形成されると考えられる。この網目構造がシリカヒドロゲル全体に有ることで、水熱処理の際、この網目構造が障害となり、メソポーラスの形成が困難となることが考えられる。よって本発明では、シリカヒドロゲルを熟成することなく、水熱処理を行うことが重要である。
なお、シリカヒドロゲル中のシリカ濃度が低くなるように、予め原料組成を制御して得られたシリカヒドロゲルは、静置中に生ずるシリカヒドロゲルにおける架橋の進行を抑制できる。その為、シリカヒドロゲルが熟成しないと考える。
シリコンアルコキシドの加水分解反応系に酸、アルカリ、塩類等を添加すること、または該加水分解反応の温度を厳しくし過ぎることなどは、ヒドロゲルの熟成を進行させるため好ましくない。また、加水分解後の後処理における水洗、乾燥、放置などにおいて、必要以上に温度や時間をかけるべきではない。
ヒドロゲルの熟成状態を具体的に確認する手段としては、後述の実施例に示すような方法で測定したヒドロゲルの硬度を参考にすることができる。即ち、破壊応力が、通常6MPa以下、好ましくは3MPa以下、更に好ましくは2MPa以下の柔らかい状態のヒドロゲルを水熱処理することで、本発明で規定する物性範囲のシリカを得ることができる。
この水熱処理の条件としては、水の状態が液体、気体のいずれでもよく、溶媒や他の気体によって希釈されていてもよいが、好ましくは液体の水をシリカのヒドロゲルに加えてスラリー状として行なう。使用する水の量は、シリカのヒドロゲルに対して、通常0.1重量倍以上、好ましくは0.5重量倍以上、特に好ましくは1重量倍以上、また、通常10重量倍以下、好ましくは5重量倍以下、特に好ましくは3重量倍以下である。水熱処理の温度は、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常250℃以下、好ましくは200℃以下である。また、水熱処理の時間は、通常0.1時間以上、好ましくは1時間以上、また、通常100時間以下、好ましくは10時間以下である。
なお、水熱処理に使用される水には低級アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノールや、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルスルホキシド(DMSO)、その他の有機溶媒などが含まれてもよい。また、メンブランリアクターなどを作る目的で、シリカを膜状あるいは層状に粒子、基板、あるいは管などの基体上に形成させた材料の場合にも、この水熱処理方法は適用される。なお、加水分解反応の反応器を用い、続けて温度条件変更により水熱処理を行なうことも可能であるが、加水分解反応とその後の水熱処理では最適条件が通常は異なっているため、この方法で本発明のシリカを得ることは一般的には難しい。
以上の水熱処理条件において温度を高くすると、得られるシリカの細孔径、細孔容積が大きくなる傾向がある。水熱処理温度としては、100〜200℃の範囲であることが好ましい。また、処理時間とともに、得られるシリカの比表面積は、一度極大に達した後、緩やかに減少する傾向がある。以上の傾向を踏まえて、所望の物性値に応じて条件を適宜選択する必要があるが、水熱処理は、シリカの物性を変化させる目的なので、通常、前記の加水分解の反応条件より高温条件とすることが好ましい。
水熱処理の温度、時間を上記範囲外に設定すると本発明のシリカを得ることが困難となる。例えば、水熱処理の温度が高すぎると、シリカの細孔径、細孔容積が大きくなりすぎ、また、細孔分布も広がる。逆に、水熱処理の温度が低過ぎると、生成するシリカは、架橋度が低く、熱安定性に乏しくなり、細孔分布にピークが発現しなくなったり、前述した固体Si−NMRにおけるQ/Q値が極端に小さくなったりする。
なお、水熱処理をアンモニア水中で行なうと、純水中で行なう場合よりも低温で同様の効果が得られる。また、アンモニア水中で水熱処理すると、純水中で処理する場合と比較して、最終的に得られるシリカゲルは一般に疎水性となるが、通常30℃以上、好ましくは40℃以上、また、通常250℃以下、好ましくは200℃以下という比較的高温で水熱処理すると、特に疎水性が高くなる。ここでのアンモニア水のアンモニア濃度としては、好ましくは0.001%以上、特に好ましくは0.005%以上、または、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
ここで、X線透過率Tが前記の式(I)で示される所定値F(=4.98ln(Dmax)−7.50)よりも大きい値(好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上大きい値)のシリカ(ミクロ構造的な均質性に優れるシリカ)の製造のためには、特に、水熱処理の際、反応系内の温度が5時間以内に目的温度に達する様に、速い昇温速度条件、具体的には槽に充填して処理される場合、昇温開始から目標温度到達までの平均昇温速度が0.1〜100℃/min、中でも0.1〜30℃/min、特に0.2〜10℃/minを採用するのが好ましい。熱交換器などを利用した昇温方法、あらかじめ作っておいた熱水を仕込む方法なども昇温速度を短縮することができて、好ましい。また昇温速度が上記範囲ならば、段階的に昇温を行ってもよい。
反応系内の温度が目的温度に達するまでに長時間を要した場合は、昇温中にシリカヒドロゲルの熟成が進み、ミクロ構造的な均質性が低下する恐れがある。上記の目的温度に達するまでの昇温時間は、好ましくは4時間以内、更に好ましくは3時間以内である。昇温時間の短縮化のため、水熱処理に使用する水を予熱することも出来る。
さて、水熱処理されたシリカヒドロゲルは、通常40℃以上、好ましくは60℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは120℃以下で乾燥する。乾燥方法は特に限定されるものではなく、バッチ式でも連続式でもよく、且つ、常圧でも減圧下でも乾燥することができる。必要に応じ、原料のシリコンアルコキシドに由来する炭素分が含まれている場合には、通常400〜600℃で焼成除去することができる。また、表面状態をコントロールするため、最高900℃の温度で焼成することもある。更に、必要に応じて粉砕、分級することで、最終的に目的としていた本発明のシリカを得る。
(3)本発明のシリカの用途
本発明のシリカは、従来からのシリカの用途の他、いかなる用途においても利用することができる。このうち従来の用途としては、以下のようなものが挙げられる。
例えば、産業用設備で製品の製造及び処理に用いられる用途分野においては、各種触媒及び触媒担体(酸塩基触媒、光触媒、貴金属触媒等)、廃水・廃油処理剤、臭気処理剤、ガス分離剤、工業用乾燥剤、バイオリアクター、バイオセパレーター、メンブランリアクター等の用途が挙げられる。建材用途では、調湿剤、防音・吸音材、耐火物、断熱材等の用途が挙げられる。また、空調分野の用途では、デシカント空調機用調湿剤、ヒートポンプ用蓄熱剤等が挙げられる。塗料・インク用途分野においては、艶消し剤、粘度調整剤、色度調整剤、沈降防止剤、消泡剤、インク裏抜け防止剤、スタンピングホイル用、壁紙用等の用途が挙げられる。樹脂用添加剤用途分野においては、フィルム用アンチブロッキング剤(ポリオレフィンフィルム等)、プレートアウト防止剤、シリコーン樹脂用補強剤、ゴム用補強剤(タイヤ用・一般ゴム用等)、流動性改良材、パウダー状樹脂の固結防止剤、印刷適性改良剤、合成皮革やコーティングフィルム用の艶消し剤、接着剤・粘着テープ用充填剤、透光性調整剤、防眩性調整剤、多孔性ポリマーシート用フィラー等の用途が挙げられる。また、製紙用途分野においては、感熱紙用フィラー(カス付着防止剤等)、インクジェット紙画像向上用フィラー(インク吸収剤等)、ジアゾ感光紙用フィラー(感光濃度向上剤等)、トレーシングペーパー用筆記性改良剤、コート紙用フィラー(筆記性、インク吸収性、アンチブロッキング性改良剤等)、静電記録用フィラー等の用途が挙げられる。食品用途分野においては、ビール用濾過助剤、醤油・清酒・ワイン等発酵製品のおり下げ剤、各種発酵飲料の安定化剤(混濁因子タンパクや酵母の除去等)、食品添加剤、粉末食品の固結防止剤等の用途が挙げられる。医農薬分野においては、薬品等の打錠助剤、粉砕助剤、分散・医薬用担体(分散・徐放・デリバリー性改善等)、農薬用担体(油状農薬キャリア・水和分散性改善、徐放・デリバリー性改善等)、医薬用添加剤(固結防止剤・粉粒性改良剤等)・農薬用添加剤(固結防止剤・沈降防止剤等)等が挙げられる。分離材料分野では、クロマトグラフィー用充填剤、分離剤、フラーレン分離剤、吸着剤(タンパク質・色素・臭等)、脱湿剤等の用途が挙げられる。農業用分野では、飼料用添加剤、肥料用添加剤が挙げられる。さらにその他の用途として、生活関連分野では、調湿剤、乾燥剤、化粧品添加剤、抗菌剤、消臭・脱臭・芳香剤、洗剤用添加剤(界面活性剤粉末化等)、研磨剤(歯磨き用等)、粉末消火剤(粉粒性改良剤・固結防止剤等)、消泡剤、バッテリーセパレーター等が挙げられる。
特に、本発明のシリカは、同等の細孔径を持つ従来のシリカと比較して細孔容積及び比表面積が大きいため、高い吸着・吸収容量を有し、精密な細孔制御も可能である。従って、上に挙げた用途の中でも、特に優れた耐熱性や耐水熱性が要求されるとともに、制御された細孔特性や、長期にわたって物性変化の少ないことが要求される分野において、好適に用いることができる。
また、本発明のシリカは、50μm以下の粒径が要求され、精密に制御された細孔特性と安定した物性が要求される分野においても、好適に使用される。一般的に、シリカを平均粒径50μm以下にすると、単位重量当たりの外表面積が増加し、且つ粒界にも各種物質を吸着・吸収することができるようになるため、吸着・吸収性能が更に高くなる。すなわち、本発明のシリカの粒径を小さくすることによって、本発明のシリカが既に持つ高細孔容積、高比表面積、シャープな細孔分布、高純度で物性変化が少ない等の各種の特徴を発展させ、更に吸着・吸収性に優れたシリカとすることができる。
本発明のシリカをこうした分野に使用する場合、平均粒径はその分野で要求される値に応じて調整すればよいが、通常50μm以下、好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下として使用される。下限としては特に制限は無いが、好ましくは0.1μm以上である。このように粒径の小さなシリカの用途としては、各種吸着剤、樹脂用充填剤、インクジェット紙用インク吸収剤、フィルム用アンチブロッキング剤、飲料用濾過助剤、各種触媒担体など様々なものがある。例えば、平均粒径5μm以下の本発明のシリカはインク吸収速度が速く、吸油性能が高いためインクジェット紙用吸収剤として有用である。
一方、本発明のシリカは、平均粒径を大きくしても好ましい。平均粒径を大きくすることによって、本発明のシリカは、上述した高比表面積、高細孔容積、細孔分布がシャープ、高純度で物性変化が少ない等の特徴と、大きな粒子特有の特徴とを併せ持つことになり、その双方を要求される分野において極めて有用となる。例えば、平均粒径が大きなシリカは、光の散乱が小さくなり、光学用途のガラス体として用いることが可能になる。
具体的には、本発明のシリカは、500μm以上の粒径が要求され、精密に制御された細孔特性と安定した物性が要求される分野においても、好適に使用される。本発明のシリカをこうした分野に使用する場合、平均粒径はその分野で要求される値に応じて調整すればよいが、通常500μm以上、好ましくは5mm以上として使用される。また、上限としては特に制限は無いが、好ましくは5cm以下である。例えば、平均粒径500μm以上の本発明のシリカは、制御されたナノ細孔を有するため、この細孔を利用して光学的に有用な色素、金属、光触媒、フォトクロミック化合物、その他の光機能性材料を細孔径に応じた一定の大きさで担持することができ、機能性光学材料として有用である。一般に、平均粒径の大きい粒子を、粗大な割れを生じることなくして製造することは難しいが、本発明のシリカは均質な構造を持ち、水熱処理等の体積変化を伴う処理によっても粗大な割れが生じることが少なく、制御された細孔特性を有し、かつ比較的平均粒径の大きな製品を得ることが可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において使用した評価方法は次の通りである。
(1)シリカ分析方法
(1−1) シリカヒドロゲルの硬度測定:
プローブ(直径5mmのステンレス製丸棒)が装着されたデジタルフォースゲージ(株式会社エイ・アンド・ディー社製、型式:AD−4935)を使用して測定した。すなわち、容器中に保持されたシリカヒドロゲル中にプローブを徐々に押し込み、シリカヒドロゲルが圧縮されて破壊される迄の間に示される最大の応力値(破壊応力)を測定し、シリカヒドロゲルの硬度とした。
(1−2)シリカの細孔容積および比表面積:
カンタクローム社製「AS−1」にてBET窒素吸着等温線を測定し、細孔容積および比表面積を求めた。細孔容積は相対圧P/P=0.98のときの値を採用した。また、比表面積は、P/P=0.1,0.2,0.3の3点の窒素吸着量よりBET多点法を使用して算出した。
(1−3)シリカのDmaxにおける微分細孔容積:
上述したBJH法により細孔分布曲線及び最頻直径(Dmax)における微分細孔容積を求めた。測定する相対圧の各点の間隔は0.025とした。
(1−4)固体Si−NMR(Q /Q 値):
Bruker社製固体NMR装置(「MSL300」)を使用し、共鳴周波数59.2MHz(7.05テスラ)、7mmのサンプルチューブを使用し、CP/MAS(Cross Polarization / Magic Angle Spinning)プローブの条件で測定した。具体的な測定条件を下の表1に示す。
Figure 2008208029
測定データの解析(Q,Qピーク位置の決定)は、ピーク分割によって各ピークを抽出する方法で行なう。具体的には、ガウス関数を使用した波形分離解析を行なう。この解析には、サーモガラテック(Thermogalatic)社製の波形処理ソフト「GRAMS386」を使用することが出来る。この様にピーク分割により求めたQ,Qの各ピーク面積を用い、その比(Q/Q)を求めた。
(1−5)金属不純物の含有量:
試料2.5gにフッ酸を加えて加熱し、乾涸させた後、水を加えて50mlとした。この水溶液について誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP分析)を行った。なお、ナトリウム及びカリウムはフレーム炎光法で分析した。
(1−6)シリカのX線透過率:
理学電気社製RAD−B装置を使用し、上述した方法により測定した。
(1−7)シリカの耐熱性試験:
試料5gを石英ビーカーに入れ、電気炉中、空気雰囲気下にて200℃/時間(hr)で1000℃まで昇温させて1時間保持した後、直ちにビーカーを室温に取り出し、放冷した。この試料につきBET法で比表面積を測定した。
(1−8)シリカの水中熱安定性試験:
試料に純水を加えて40重量%のスラリーを調製した。容積60mlのステンレススチール製のミクロボンベにスラリー約40mlを入れて密封し、280±1℃のオイルバス中に3日間浸漬した。ミクロボンベからスラリーの一部を抜出し、5A濾紙で濾過した。回収した濾滓を100℃で5時間真空乾燥した。この試料について比表面積を測定した。
実施例1:
上部に大気開放の水冷コンデンサが具備された5Lセパラブルフラスコ(ジャケット付き)に、純水1000gを仕込んだ。攪拌翼先端速度2.5m/s(秒)で撹拌しながら、これにテトラメトキシシラン1400gを3分間かけて仕込んだ。水/テトラメトキシシランのモル比は約6である。セパラブルフラスコのジャケットには50℃の温水を通水した。引き続き撹拌を継続し、内容物が沸点に到達した時点で、撹拌を停止した。引き続き、約0.5時間、ジャケットに50℃の温水を通水して生成したゾルをゲル化させた。得られたゲルの硬度は1.5MPaであった。
その後、速やかにゲルを取り出し、目開き600ミクロンのナイロン製網を通してゲルを粉砕し、粉体状のウェットゲル(シリカヒドロゲル)を得た。このヒドロゲル450gと純水450gを1Lのガラス製オートクレーブに仕込み、3℃/min.の速度で130℃まで昇温し、同温度に3時間保持して水熱処理を行なった。その後、No.5A濾紙で濾過し、濾滓を水洗することなく100℃で恒量となるまで減圧乾燥した。得られたシリカの金属不純物濃度の測定結果は、ナトリウム0.2ppm、カリウム0.1ppm、カルシウム0.2ppmで、マグネシウム、アルミニウム、チタン及びジルコニウムは検出されなかった。その他の諸物性を表2及び表3に示す。
また、本発明のシリカの品質のバラツキを確認するため、上記と同一条件によるシリカの製造を更に2回繰り返して行ない、各シリカの細孔容積を測定し、合計3ロットの測定結果を表4に纏めて示した。
実施例2:
実施例1において、3℃/min.の速度で150℃まで昇温し、同温度に3時間保持して水熱処理を行なった以外は、実施例1と同様にしてシリカを得た。物性測定の結果を表2及び表3に示す。
実施例3:
実施例1において、3℃/min.の速度で200℃まで昇温し、同温度に3時間保持して水熱処理を行なった以外は、実施例1と同様にしてシリカを得た。物性測定の結果を表2及び表3に示す。
実施例4:
実施例1において、0.1℃/min.の速度で130℃まで昇温し、同温度に3時間保持して水熱処理を行なった以外は、実施例1と同様にしてシリカを得た。物性測定の結果を表2及び表3に示す。
比較例1及び2
本発明のシリカと通常の市販シリカとの比較のため、通常のシリカとして、富士シリシア化学(株)製の触媒担体用シリカ「CARIACT Gシリーズ」の「G−6」及び「G−10」(破砕状)を使用し、それぞれ、比較例1及び2とした。これらのシリカの金属不純物濃度の測定結果は、ナトリウム170ppm、マグネシウム31ppm、アルミニウム15ppm、カリウム23ppm、カルシウム160ppm、チタン260ppm、ジルコニウム44ppmであった。その他の諸物性を表2及び表3に示す。
また、シリカの品質のバラツキを確認するため、合計3ロットの細孔容積を測定し、その結果を表4に纏めて示した。
Figure 2008208029
Figure 2008208029
Figure 2008208029

Claims (16)

  1. シリカのX線透過率をT(%)、シリカの細孔の最頻直径をDmax(nm)とした際、上記のX線透過率Tが、零よりも大きく、且つ、以下の式(I)で示される所定値Fよりも大きく、
    シリコンアルコキシドを加水分解すると共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシリカヒドロゲルを形成する加水分解・縮合工程と、当該加水分解・縮合工程に引き続きシリカヒドロゲルを、その破壊応力が6MPa以下の状態で水熱処理する物性調節工程とを包含する方法で製造される
    ことを特徴とする、シリカ。
    F=4.98ln(Dmax)−7.50・・・・・(I)
  2. 上記のX線透過率Tが、上記の所定値Fよりも3%以上大きい
    ことを特徴とする、請求項1記載のシリカ。
  3. 上記のX線透過率Tが、上記の所定値Fよりも5%以上大きい
    ことを特徴とする、請求項2記載のシリカ。
  4. 比表面積が200〜1000m2/gである
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のシリカ。
  5. 比表面積が300〜900m2/gである
    ことを特徴とする、請求項4記載のシリカ。
  6. 細孔容積が0.6〜1.6ml/gである
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載のシリカ。
  7. 細孔容積が0.7〜1.6ml/gである
    ことを特徴とする、請求項6記載のシリカ。
  8. 最頻直径(Dmax)が20nm以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載のシリカ。
  9. 最頻直径(Dmax)の±20%の範囲にある細孔の容積が全細孔容積の50%以上である
    ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載のシリカ。
  10. 最頻直径(Dmax)の±20%の範囲にある細孔の容積が全細孔容積の60%以上である
    ことを特徴とする、請求項9記載のシリカ。
  11. 金属不純物の総含有率が50ppm以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜10の何れか一項に記載のシリカ。
  12. 最頻直径(Dmax)における微分細孔容積が2〜20ml/gである
    ことを特徴とする、請求項1〜11の何れか一項に記載のシリカ。
  13. 固体Si−NMRでのQ4/Q3の値が1.3以上である
    ことを特徴とする、請求項1〜12の何れか一項に記載のシリカ。
  14. 加水分解・縮合工程が触媒の不存在下に行なわれる
    ことを特徴とする、請求項1〜13の何れか一項に記載のシリカ。
  15. 前記の水熱処理を、平均昇温速度が0.1〜100℃/minで行なう
    ことを特徴とする、請求項1〜14の何れか一項に記載のシリカ。
  16. シリカのX線透過率をT(%)、シリカの細孔の最頻直径をDmax(nm)とした際、上記のX線透過率Tが、零よりも大きく、且つ、以下の式(I)で示される所定値Fよりも大きいシリカを製造する方法であって、
    触媒の不存在下で、シリコンアルコキシドを加水分解すると共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシリカヒドロゲルを形成する加水分解・縮合工程と、
    該加水分解・縮合工程に引き続きシリカヒドロゲルを熟成することなく、その破壊応力が6MPa以下の状態で、平均昇温速度が0.1〜100℃/minで水熱処理する物性調節工程とを有する
    ことを特徴とする、シリカの製造方法。
    F=4.98ln(Dmax)−7.50・・・・・(I)
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