JP2008207488A - 潜像形成および顕色像形成方法、並びに、感熱発色性感圧記録媒体 - Google Patents

潜像形成および顕色像形成方法、並びに、感熱発色性感圧記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】伝達情報の機密保持性に優れ、しかも必要なときには簡便に伝達情報を可視化できる、潜像形成および顕色像形成方法、並びに、その目的に使用する媒体を提供することにある。
【解決手段】電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを加圧破壊し、マイクロカプセルから染料前駆体を放出して染料前駆体の潜像を形成し、加熱下で、潜像を形成する染料前駆体に電子受容性有機顕色剤を反応させて潜像の顕像化を行い、顕色像を形成することを特徴とする潜像形成および顕色像形成方法、並びに、感熱発色性感圧記録媒体。電子受容性有機顕色剤として、常温では電子供与性染料前駆体を実質的に発色させない化合物を使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、筆記圧や、タイプライター、シリアルドットピンプリンター等による圧力を加えることにより伝達情報を潜像として記録し、加熱処理により潜像を容易に顕像化できる潜像形成および顕色像形成方法、並びに、それに使用する感熱発色性感圧記録媒体に関するものである。
筆記圧などの加圧力を利用して情報を記録する媒体として、感圧記録体はよく知られている。かかる感圧記録体は、支持体の片面に電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包したマイクロカプセルを塗工した上用紙と、電子受容性顕色剤を塗工した下用紙とを組み合わせ、筆記圧等によりマイクロカプセルを破壊して、電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤とを接触させて瞬時に呈色反応を起こさせ、筆記した情報を下用紙に複写することができる。また、感圧記録体には、このほかに、支持体の同一面上に電子供与性染料前駆体を内包したマイクロカプセルと電子受容性顕色剤を、混合または積層して塗工した自己発色型感圧記録体も知られている。
従来の感圧記録体においては電子受容性顕色剤として、一般に、酸化珪素や酸化珪素を含む活性粘土鉱物、ノボラック型フェノール樹脂、あるいは、サリチル酸誘導体およびその多価金属塩が使用されており、このような場合には、電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤が接触すると常温下で直ちに呈色し、潜像を形成することはない。
一方、個人情報などの秘密情報を含む書類を送る場合、従来は封書による郵送が一般的であったが、近年、秘密情報が記載された部分を覆い隠すための隠蔽ラベル(隠蔽シール)がよく使われるようになってきた。
このような隠蔽ラベルは、差出人が葉書に記入された秘密情報部分に隠蔽ラベルを貼着して郵送し、受取人が隠蔽ラベルの隠蔽部材を剥がすと秘密情報が見られるようにしたものである。このため、隠蔽ラベルには、再剥離可能な特殊な接着剤を使用したり、複雑な積層構造にする必要があるため、隠蔽ラベルの製造に手間や費用がかかり、また、隠蔽ラベルを多量に貼着あるいは剥離する際に手間がかかるといった問題がある。また、隠蔽ラベルを貼着する際に剥がした剥離紙や、情報を見るために剥離した隠蔽部材の廃棄物処理が必要という問題もある。
隠蔽ラベルの剥離作業を不要にした隠蔽ラベルとして、隠蔽ラベルの隠蔽層を、常温よりも高い所定温度以上で消色する感熱消色インクで形成した隠蔽ラベル(特許文献1参照)や、支持体上に電子供与性染料と電子受容性顕色剤により発色した隠蔽層と消色剤層を積層し、常温より高い温度で加熱して隠蔽層を消色する感熱消色隠蔽材料(特許文献2参照)も提案されている。しかし、これらの隠蔽ラベルにも貼着作業の煩わしさがあり、控を必要とする場合に不便であるといった難点がある。
また、支持体に熱可塑性樹脂を主体とする塗層を設け、塗層中に電子受容性顕色剤を含有させるか、電子供与性有機発色剤と電子受容性顕色剤を含有させた感熱性機密ノーカーボン複写シート(特許文献3参照)も提案されている。しかし、情報記入面を内側に折り重ね、加熱圧着して機密性を持たせる構成であるため、情報を見る際の剥がしやすさと配送途中の機密保持性のバランスを取ることが難しいといった難点がある。
このため、高い機密保持性を有しながら、必要なときに簡便に伝達情報を可視化することができ、しかも従来の隠蔽ラベルのような貼着する手間や隠蔽部材を剥離する手間がかからず、廃棄物を発生することがなくて環境に優しく、その上、媒体が簡素な構成で安価に製造しうる、潜像形成および顕色像形成方法、並びに、そのために使用する媒体の開発が、強く要請されている。
特開2001−054992号公報 特開2006−264277号公報 特開平7−257027号公報
本発明の課題は、伝達情報の機密保持性に優れ、且つ、記入した伝達情報の隠蔽化に特別な操作を必要とせず、しかも必要なときには手間をかけずに簡便に伝達情報を可視化でき、そのうえ廃棄物を生ずることのない、情報の機密化と可視化ができる、潜像形成および顕色像形成方法、並びに、その目的に使用する媒体を提供することにある。
本発明者等は、電子供与性染料前駆体と電子受容性有機顕色剤を用い、感圧記録体と感熱記録体の記録方法を応用して、潜像形成が可能で、しかも必要なときに潜像を顕色化することのできる記録システムについて検討を重ねた。
その結果、電子供与性染料前駆体と、電子供与性染料前駆体と共にマイクロカプセル中に内包させる疎水性有機溶媒と、電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性有機顕色剤、特に電子受容性有機顕色剤を、上手く選択すると、安定した潜像を形成することができ、しかも、潜像の可視化が必要な場合には潜像を加熱することで潜像を可視化できることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき完成されたものであって、以下の潜像形成および顕色像形成方法、並びに、感熱発色性感圧記録媒体を提供するものである。
[項1]
電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを加圧破壊し、マイクロカプセルから電子供与性染料前駆体を放出して電子供与性染料前駆体の潜像を形成し、加熱下で、潜像を形成する電子供与性染料前駆体に電子受容性有機顕色剤を反応させて潜像の顕像化を行い、顕色像を形成することを特徴とする潜像形成および顕色像形成方法。
[項2]
電子受容性有機顕色剤として、疎水性有機溶媒と電子供与性染料前駆体の共存下、常温では電子供与性染料前駆体を実質的に発色させない化合物を使用する項1に記載の潜像形成および顕色像形成方法。
[項3]
電子受容性有機顕色剤として、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1−〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、4,4′−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4′−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンおよび下記一般式(1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1種を使用する項1または2に記載の潜像形成および顕色像形成方法。
Figure 2008207488
[項4]
電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを加圧破壊し、マイクロカプセルから電子供与性染料前駆体を放出して電子供与性染料前駆体の潜像を形成し、加熱することで電子受容性有機顕色剤と反応させて潜像を顕像化するために使用する感熱発色性感圧記録媒体であって、電子受容性有機顕色剤が、疎水性有機溶媒と電子供与性染料前駆体の共存下、常温では電子供与性染料前駆体を実質的に発色させない化合物であることを特徴とする感熱発色性感圧記録媒体。
[項5]
電子受容性有機顕色剤が、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1−〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、4,4′−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4′−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンおよび下記一般式(1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1種である項4に記載の感熱発色性感圧記録媒体。
Figure 2008207488
[項6]
感熱発色性感圧記録媒体が、少なくとも、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを含有する層を支持体裏面に形成したシートと、電子受容性有機顕色剤を含有する層を支持体表面に形成したシートとを含む、項4または5に記載の感熱発色性感圧記録媒体。
[項7]
感熱発色性感圧記録媒体が、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルおよび電子受容性有機顕色剤を含有する層を支持体上に形成したシート、または、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを含有する層と、電子受容性有機顕色剤を含有する層を支持体上に積層したシートである、項4または5に記載の感熱発色性感圧記録媒体。
本発明に係る潜像形成および顕色像形成方法、並びに、感熱発色性感圧記録媒体は、一般の感圧記録体と同様に取り扱うことで、記入した情報を高い機密保持性を有した潜像として記録することができ、情報を読み取る時には、潜像が形成された媒体に熱を加えるだけで簡単に潜像を顕像化でき、情報の隠蔽や可視化に際して貼着・剥離といった手間を必要とせず、しかも無駄な廃棄物の発生もないので環境負荷を高めることがないという利点がある。
本発明に係る潜像形成および顕色像形成方法は、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを加圧破壊し、マイクロカプセルから電子供与性染料前駆体を放出して電子供与性染料前駆体の潜像を形成し、加熱下で、潜像を形成する電子供与性染料前駆体に電子受容性有機顕色剤を反応させて潜像の顕像化を行い、顕色像を形成することを特徴とする。
本発明の潜像形成および顕色像形成方法において、より機密保持性に優れた潜像を得るには、電子受容性有機顕色剤として、疎水性有機溶媒と電子供与性染料前駆体の共存下、常温では電子供与性染料前駆体を実質的に発色させない化合物を選択することが重要である。
ちなみに、従来の感圧記録体に使用されている電子受容性顕色剤のうち、ノボラック型フェノール樹脂やサリチル酸誘導体の多価金属塩は、疎水性有機溶媒に対する溶解性が高く、電子供与性染料前駆体を溶解した疎水性有機溶媒と接触すると直ちに電子供与性染料前駆体を発色させ、潜像を形成することができない。
また、活性白土や酸性白土などの活性粘土鉱物は、疎水性有機溶媒には溶解しないものの、電子供与性染料前駆体を溶解した疎水性有機溶媒と接触すると、直ちに電子供与性染料前駆体を発色させ、上記フェノール樹脂やサリチル酸誘導体と同様に、潜像を形成することができない。
以下、本発明の感熱発色性感圧記録媒体に基づいて、詳細に説明する。
本発明に係る感熱発色性感圧記録媒体は、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを加圧破壊し、マイクロカプセルから電子供与性染料前駆体を放出して電子供与性染料前駆体の潜像を形成し、加熱することで電子受容性有機顕色剤と反応させて潜像を顕像化するために使用する感熱発色性感圧記録媒体であって、電子受容性有機顕色剤が、疎水性有機溶媒と電子供与性染料前駆体の共存下、常温では電子供与性染料前駆体を実質的に発色させない化合物であることを特徴とする。
ここで、「電子受容性有機顕色剤が、疎水性有機溶媒と電子供与性染料前駆体の共存下、常温では電子供与性染料前駆体を実質的に発色させない化合物」とは、電子受容性有機顕色剤が、疎水性有機溶媒に溶解しない(従って、顕色像を形成しない)か、あるいは、僅かに溶解しても感熱発色性感圧記録媒体において、常温(20±15℃)では、目視で顕色像として認識できない程度の濃度(反射光学濃度が0.07以下)でしか発色像を形成しない化合物を指す。このような化合物であれば、機密保持性に優れた潜像を形成することができる。
上記反射光学濃度は、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを含有する塗工層を設けたシートと、電子受容性有機顕色剤を含有する塗工層を設けたシートとを、両塗工層が相対するように重ねて600kg/cm2の圧力で2秒間加圧した後、1時間放置したあとで測定した反射光学濃度(グレタグマクベス社製、マクベス濃度計RD918、ビジュアルモードにて測定)である。
本発明の感熱発色性感圧記録媒体における電子受容性有機顕色剤は、実際に使用する電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を用いて感熱発色性感圧記録媒体を試作し、潜像を形成しうるかどうかを判定して選択するのが望ましいが、この方法は極めて煩雑である。
そこで、本発明者らは、各種の電子受容性有機顕色剤のうち、どのような化合物が潜像を形成しうるかを簡便に判定する方法について検討を重ねた。その結果、下記の方法に従って、電子供与性染料前駆体の疎水性有機溶媒溶液と、評価する電子受容性有機顕色剤の粉体とを混合し、その上澄み液の吸光度が0.6以下の化合物であれば、実際に感熱発色性感圧記録媒体を作成し、マイクロカプセルを加圧破壊して潜像を形成したときの反射光学濃度を0.07以下にすることができ、この反射光学濃度以下であれば視認することができず、潜像として扱えることを見出した。
即ち、疎水性有機溶媒100gに電子供与性染料前駆体を2g溶解させた溶液10gに、電子受容性有機顕色剤60mgを25℃下で混合攪拌したのち2日間静置し、上澄み液をフィルターで濾過して得た濾液の吸光度を分光光度計で測定し、吸光度の値が0.6以下の化合物を選択する方法である。
ここで使用する疎水性有機溶媒としては、溶解能の大きな、例えば新日本石油株式会社から「日石ハイゾールSAS296」として市販されているような、フェニルキシリルエタンを主成分とする疎水性有機溶媒を使用すると、電子受容性有機顕色剤の顕色能の差が強調され、不適当な電子受容性有機顕色剤が選択されることがないため好ましい。
また、測定する吸光度の波長は、使用する電子供与性染料前駆体の発色色調を特徴付ける波長を選択すればよく、例えば、OCR適性を有する電子供与性染料前駆体の場合には660nmを、青発色性の電子供与性染料前駆体の場合には600nmを、黒発色性の電子供与性染料前駆体の場合には590nmを、赤発色性の電子供与性染料前駆体の場合には530nmを、それぞれ吸光度測定の波長とすればよい。
なお、上澄み液を濾過する際のフィルターは、未溶解の電子受容性有機顕色剤が除去できればどのようなものでもよく、例えば、通常の分析で使用される濾紙、グラスフィルター、シリンジフィルター等を使用することができる。なお、本発明では、ワットマンジャパン株式会社製のGD/Xシリンジフィルタ(ポアサイズ0.2μm)を使用した。また、分光光度計は、紫外・可視・近赤外分光光度計 UV−3100PC(島津製作所製)を使用した。
電子供与性染料前駆体の一例として、OCR適性を有する電子供与性染料前駆体の一つである3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリドを用い、疎水性有機溶媒として「日石ハイゾールSAS296」を使用し、上記の方法に従って、各種の電子受容性有機顕色剤について660nmにおける吸光度を測定した結果を表1に示す。なお、表1には、参考例として、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛塩の吸光度も併記した。
Figure 2008207488
前記の如く、吸光度が0.6以下である電子受容性有機顕色剤を使用すれば、感熱発色性感圧記録媒体に潜像を形成したときに、潜像の反射光学濃度を0.07以下とすることができる。
本発明においては、電子受容性有機顕色剤として、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1−〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、4,4′−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4′−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンおよび下記一般式(1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1種を使用すると、機密保持性に優れた潜像を形成することができるため、好ましい。
Figure 2008207488
本発明の感熱発色性感圧記録媒体においては、機密性の高い潜像が形成できることと、かかる潜像を常温以上の温度に加熱することで、潜像を顕像化(可視化)できることが必要である。
潜像の顕像化においては、あまり低い温度で顕像化できると、感熱発色性感圧記録媒体の取り扱い中に不用意に顕像化されて、伝達情報の機密保持ができなくなる虞があるため、90℃以上の温度で加熱したときに、潜像が顕像化されることが望ましい。
一方、潜像が顕像化される温度(顕像化温度)が高い場合には、後述の増感剤を使用することで顕像化温度を適当な範囲に下げることができるが、あまり顕像化温度が高過ぎると、多量の増感剤を使用する必要があり、またそれによる弊害を生ずる虞もあるため、顕像化温度は200℃以下が好ましい。
また、顕像化後の画像の反射光学濃度が0.1程度では情報が判読しづらいため、実用的には、顕色化後の画像の反射光学濃度は0.2以上であることが好ましい。
このような理由から、本発明の感熱発色性感圧記録媒体では、顕像化後の画像の反射光学濃度が0.2以上となる顕像化温度が90〜200℃の範囲であることが望ましい。
上記の顕像化温度は、電子受容性有機顕色剤を含む塗工層を設けたシートと、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを含む塗工層を設けたシートとを、塗工面が対向するように重ね、600kg/cm2の圧力で2秒間加圧して潜像を形成し、潜像が形成されたシートを、熱傾斜試験機の熱板に圧力1kg/cm2で5秒間押し当てて潜像を顕色化し、反射光学濃度(グレタグマクベス社製、マクベス濃度計RD918、ビジュアルモードにて測定)が0.2となる温度を測定することで得られる。
本発明の感熱発色性感圧記録媒体においては、媒体の取り扱い過程における機密保持の点から、形成された潜像が70℃程度の高温環境下に長時間曝されても顕像化せず、潜像の熱安定性に優れていることが望ましい。
前記の電子受容性有機顕色剤を使用した感熱発色性感圧記録媒体は、潜像形成能力は勿論のこと、潜像の熱安定性、顕像化温度の何れにおいても良好な特性を発揮するものである。
本発明の感熱発色性感圧記録媒体に使用する電子供与性染料前駆体は、公知の各種染料前駆体を使用することができ、具体的には例えば下記の電子供与性染料前駆体を挙げることができる。なお、これらの電子供与性染料前駆体は、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドなどの青発色性染料前駆体。
3−〔2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−〔p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3′−(6′−ジメチルアミノ)フタリドなどのOCR適性を有する染料前駆体。
3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどの黒発色性染料前駆体。
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオランなどの赤発色性染料前駆体。
本発明において、上記電子供与性染料前駆体は、疎水性有機溶媒に溶解され、マイクロカプセル中に内包される。
かかる疎水性有機溶媒としては、高沸点の有機溶媒が好ましく、例えば、綿実油、大豆系脂肪酸メチルエステル、水素化ターフェニル、水素化ターフェニル誘導体、アルキルビフェニル、アルキルナフタレン、ジアリールアルカン、フェニルキシリルエタン、パラフィン、ナフテン油、フタル酸エステルなどの二塩基酸エステル等の天然または合成の疎水性有機溶媒が挙げられ、これらの少なくとも1種が使用される。
マイクロカプセル中に内包される電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒の比率は、通常、染料前駆体100質量部に対して、600〜3500質量部程度の疎水性有機溶媒を使用するのが好ましい。
本発明において、マイクロカプセルの壁膜材の種類については特に制限はなく、例えばアミノアルデヒド樹脂、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等の合成高分子系の材料、ゼラチン等の天然系材料のいずれも使用することができる。
アミノアルデヒド樹脂壁膜カプセルは、例えば尿素、チオ尿素、アルキル尿素、エチレン尿素、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、グアニジン、ビウレット、シアナミド等の少なくとも1種のアミン類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、グルタールアルデヒド、グリオキザール、フルフラール等の少なくとも1種のアルデヒド類、或いはそれらを縮合して得られる初期縮合物等を使用したin−situ重合法によって製造される。
この場合、電子供与性染料前駆体を疎水性有機溶媒に溶解した油性液は、エチレン−無水マレイン酸共重合体塩等の水溶性高分子を溶解した水性媒体中に乳化分散し、得られた乳化分散液中に壁膜剤を添加し、pHを調節した後、攪拌下で加温して重合を進めてマイクロカプセル分散液が調製される。
ポリウレタン樹脂やポリウレア樹脂壁膜カプセルは、例えば多価イソシアネートと水、多価イソシアネートとポリオール、イソチオシアネートと水、イソチオシアネートとポリオール、多価イソシアネートとポリアミン、イソチオシアネートとポリアミン等を使用した界面重合法によって製造される。また、ポリアミド樹脂壁膜カプセルは、例えば酸クロライドとアミン等の界面重合法によって製造される。
この場合、イソシアネート類や酸クロライドは、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を含む油性液中に溶解し、これらを含む油性液をポリビニルアルコール等の水溶性高分子を溶解した水性媒体中に乳化分散し、必要に応じてアミン類を添加し、攪拌下で加温して重合を進めてマイクロカプセル分散液が調製される。
ゼラチンカプセルは両性高分子であるゼラチンと、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース等のアニオン性高分子を用いたコアセルベーション法により製造される。
この場合は、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を含む油性液をゼラチン水溶液中に乳化分散し、この乳化分散液にアラビアゴム等のアニオン性高分子を混合し、温水で希釈し、pH調節してコアセルベーションを進行させ、冷却後、ホルマリン等で硬化した後、pH調節してマイクロカプセル分散液が調製される。
マイクロカプセルの平均粒子径についても特に制限はなく、平均粒子径としては、1〜15μmが好ましく、更に好ましくは2〜10μmである。
なお、マイクロカプセル中には、必要に応じて、紫外線吸収剤等の各種助剤を内包させることもできる。
本発明の感熱発色性感圧記録媒体は、(1)電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを含有する層を支持体裏面に形成したシートと、電子受容性有機顕色剤を含有する層を支持体表面に形成したシートで構成されるか、(2)電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルおよび電子受容性有機顕色剤を含有する層を支持体上に形成したシートで構成されるか、または、(3)電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを含有する層と、電子受容性有機顕色剤を含有する層を支持体上に積層したシートで構成される。
なお、本発明では、便宜上、(1)のタイプを転写タイプ、(2)のタイプを1液型自己発色タイプ、(3)のタイプを2液型自己発色タイプと称することがある。
マイクロカプセルを含有する層を形成するための塗工液は、前記マイクロカプセル(マイクロカプセル分散液)に、ポリビニルアルコール類、澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ラテックス類等の接着剤の他、パルプ粉末、生澱粉粉末等のスチルト剤等の各種助剤が適宜配合されて調製される。
接着剤はマイクロカプセル100質量部に対して、一般に、15〜35質量部程度の割合で配合され、スチルト剤はマイクロカプセル100質量部に対して、10〜30質量部程度の割合で配合される。
転写タイプにおけるマイクロカプセルを含有する塗工液の塗布量は、電子供与性染料前駆体の塗布量が0.05〜0.25g/m2程度となるように調節するのが望ましい。
また、電子受容性有機顕色剤を含有する層を形成するための塗工液は、前記電子受容性有機顕色剤に、接着剤、顔料、必要に応じて、顕像の保存性を高める目的で使用する保存性改良剤、顕像化温度を適当な温度範囲に調節する目的で使用する増感剤、各種助剤などが配合されて調製される。
その際、電子受容性有機顕色剤は、部分鹸化ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの保護コロイド剤を溶解した水溶液中に分散し、湿式粉砕して平均粒子径が0.2〜3.0μm程度、好ましくは1.0〜2.5μm程度となるように微細化して使用するのが望ましい。
電子受容性有機顕色剤を含有する塗工液に使用される接着剤としては、例えば部分鹸化または完全鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン等の水溶性接着剤、並びに酢酸ビニル系ラテックス、ウレタン系ラテックス、アクリル系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス等が挙げられる。
また、顔料としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の無機顔料が挙げられる。
保存性改良剤としては、例えば4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,4−ジ(tert−ブチル)−3−メチルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(5−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール類;4−(2−メチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4′−(2,3−グリシジルオキシ)ジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン系エポキシ化合物類;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、ステアリン酸メチレンビスアミド、ステアリン酸エチレンビスアミド、p−ベンジルビフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1−(2−メチルフェノキシ)−2−(4−メトキシフェノキシ)エタン、ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、ベンジル−4−メチルチオフェニルエーテル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチル−ベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステル、テレフタル酸ジブチルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル、1−ヒドロキシナフトエ酸フェニルエステル、ベンジル−4−メチルチオフェニルエーテル等が挙げられる。
また、助剤としては、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステル・ナトリウム塩、脂肪酸金属塩等の界面活性剤、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、グリオキザール、ホルマリン、グリシン、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、ジメチロール尿素、アルキルケテンダイマー、ジアルデヒド澱粉、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、ケトン−アルデヒド樹脂、硼砂、硼酸、炭酸ジルコニウムアンモニウム、エポキシ系化合物等の耐水化剤、その他消泡剤、蛍光染料、着色染料等が挙げられる。
転写タイプにおける電子受容性有機顕色剤を含有する塗工液の塗工量は、電子受容性有機顕色剤が0.2〜2.0g/m2となるように調節するのが好ましい。塗工層中の電子受容性有機顕色剤と無機顔料の割合は、電子受容性有機顕色剤100質量部に対して、無機顔料100〜1500質量部程度が好ましい。また、塗工層中の電子受容性有機顕色剤と接着剤の割合は、電子受容性有機顕色剤100質量部に対して、接着剤20〜300質量部程度が好ましい。
1液型自己発色タイプまたは2液型自己発色タイプの感熱発色性感圧記録媒体における電子供与性染料前駆体および電子受容性有機顕色剤の塗布量は、転写タイプの感熱発色性感圧記録体において記載した範囲内で調節すればよい。
また、自己発色タイプの感圧発色性記録媒体を製造する際の塗工液におけるマイクロカプセル、スチルト剤、電子受容性有機顕色剤および顔料の割合は、通常の感圧記録体と同様の配合比率から適宜選択すればよい。
本発明に使用する支持体としては、特に限定されず、紙、合成紙、フィルム等を使用することができるが、一般には紙が使用される。かかる紙としては、必要に応じて古紙パルプを配合し、酸性抄紙、或いは中性抄紙して製造された紙、更には、これらの紙の表面に顔料塗工層を形成した紙等を使用することができる。
また、支持体の坪量についても特に限定されず、一般には、40〜400g/m2程度のものが使用される。
また、マイクロカプセル含有層を形成するための塗工液、電子受容性有機顕色剤含有層を形成するための塗工液、および、マイクロカプセルと電子受容性有機顕色剤を含有する層を形成するための塗工塗液の塗布方法については、特に限定されるものではなく、エアナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、リップコーター等の公知の塗布装置を備えたオンマシンまたはオフマシンコーターから適宜選択することができる。
また、マイクロカプセル含有層を形成する場合には、マイクロカプセル分散液からマイクロカプセルを分離し、インク化した後、印刷方式で支持体上にマイクロカプセル含有層を形成することもできる。
さらに、電子受容性有機顕色剤を含有する層を形成したシートは、必要に応じて、スーパーカレンダー等による平滑化処理を施してもよい。
本発明における転写タイプの感熱発色性感圧記録媒体は、少なくとも、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを含有する層を支持体裏面に形成したシートと、電子受容性有機顕色剤を含有する層を支持体表面に形成したシートで構成されるが、必要に応じて、上記シート間に、支持体表面に電子受容性有機顕色剤を含有する層を形成し、支持体裏面にマイクロカプセルを含有する層を形成したシートを1枚以上挿入した形態とすることもできる。
このような3枚以上のシート構成にする場合には、いずれかの層に使用する電子受容性有機顕色剤を、潜像を形成しない通常の顕色剤とすることもできる。
転写タイプの感熱発色性感圧記録媒体の場合には、最上のシートとなる、裏面にマイクロカプセルを含有する層を形成したシートを、記入した情報の控え用シートとすることができる。
また、自己発色タイプの感熱発色性感圧記録媒体の場合には、その上に上質紙をセットしておけば、上質紙を記入した情報の控え用シートとすることができる。
本発明の感熱発色性感圧記録媒体には、各種の文字情報や図柄や広告などを印刷することができる。また、必要に応じて、伝達情報の潜像が形成される部分には、地紋印刷を施しておくこともできる。
本発明の潜像形成方法および感熱発色性感圧記録媒体において、潜像形成は、ボールペン等の筆記具による筆記圧や、タイプライター、シリアルドットピンプリンター等による印字圧によって、電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを加圧破壊することによって達成される。
また、形成された潜像の顕像化は、潜像が形成されたシートを、常温以上、好ましくは90℃以上に加熱することによって達成される。その際の加熱手段には特に限定はなく、例えば熱ロール、熱スタンプ、熱風を利用した加熱装置などが利用できる。加熱時間に限定はなく、電子受容性有機顕色剤が疎水性有機溶媒と電子供与性染料前駆体の共存下で溶解するのに十分な熱エネルギーを潜像部に与えることができればよい。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
なお、マイクロカプセル及び電子受容性有機顕色剤の平均粒子径は、レーザー光回折型粒度分布計SALD2000(島津製作所社製)を用いて測定した。
また、以下の実施例および比較例では、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを含有する層を裏面に形成したシートを「上用紙」と表示し、電子受容性有機顕色剤を含有する層を表面に形成したシートを「下用シート」と表示する。
実施例1
(1)マイクロカプセル分散液Aの調製
電子供与性染料前駆体として、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド7.5部を、フェニルキシリルエタンを主成分とする疎水性有機溶媒(日石ハイゾールSAS296、新日本石油社製)100部に120℃で溶解し、25℃に冷却後、ビュウレット結合を有するヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(デスモジュールN3200、住化バイエルウレタン社製)4部、ポリメリックMDI(スミジュール44V20、住化バイエルウレタン社製)2部とを溶解して油性液を得た。この油性液をポリビニルアルコール(PVA217EE、クラレ社製)の3%水溶液80部中にホモジナイザーを用いて乳化し、平均粒子径6μmの分散液を得た。この乳化物に多価アミン化合物〔jERキュア(登録商標)T、ジャパンエポキシレジン社製〕1部を水5部に溶解した水溶液を加えて均一化した。この乳化分散液を緩やかに撹拌しながら90℃に昇温し、5時間の重合反応を行った後、室温まで温度を下げ、平均粒子径6μmの電子供与性染料前駆体含有マイクロカプセル分散液を調製した。得られたマイクロカプセル分散液を水で希釈し、固形分濃度30%のマイクロカプセル分散液Aを得た。
(2)上用紙の作成
マイクロカプセル分散液A100部(固形分)に小麦澱粉粒子20部、カルボキシ変性SBRラテックス25部(固形分換算)を加えて撹拌し、上用紙用塗工液を調製した。40g/m2の上質紙上に、この上用紙用工塗液を乾燥塗布量が3.0g/m2となるように塗布乾燥して上用紙を得た。
(3)下用紙の作成
電子受容性有機顕色剤として下記一般式(1)で表される化合物40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度90%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、縦型サンドミル(アイメックス社製)を用いて、平均粒子径が1.5μmとなるように粉砕・分散し、電子受容性有機顕色剤の分散液を得た。
Figure 2008207488
軽質炭酸カルシウム40部、カオリン12部、上記電子受容性有機顕色剤分散液30部(固形分換算)、水150部を混合、分散させた後、接着剤としてポリビニルアルコール(PVA−110、クラレ社製)の10%水溶液50部、カルボキシ変性SBRラテックス〔スマーテックス(登録商標)SN−307、日本エイアンドエル社製〕8部(固形分換算)を添加し、下用紙用塗工液を調製した。40g/mの上質紙上に、この下用紙用塗工液を乾燥塗布量が6g/m2となるように塗布乾燥して、下用紙を得た。
実施例2
実施例1の下用紙の作成において、電子受容性有機顕色剤として、上記一般式(1)で表される化合物の代わりに、4,4′−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンを使用した以外は実施例1と同様にして下用紙を得た。
実施例3
実施例1の下用紙の作成において、電子受容性有機顕色剤として、上記一般式(1)で表される化合物の代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを使用した以外は実施例1と同様にして下用紙を得た。
実施例4
実施例1の下用紙の作成において、電子受容性有機顕色剤として、上記一般式(1)で表される化合物の代わりに、1−〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンを使用した以外は実施例1と同様にして下用紙を得た。
実施例5
実施例1の下用紙の作成において、電子受容性有機顕色剤として、上記一般式(1)で表される化合物の代わりに、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンを使用した以外は実施例1と同様にして下用紙を得た。
実施例6
実施例1の下用紙の作成において、電子受容性有機顕色剤として、上記一般式(1)で表される化合物の代わりに、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホンを使用した以外は実施例1と同様にして下用紙を得た。
比較例1
実施例1の下用紙の作成において、電子受容性有機顕色剤として、上記一般式(1)で表される化合物の代わりに、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の亜鉛塩を使用した以外は実施例1と同様にして下用紙を得た。
<感熱発色性感圧記録媒体の評価>
上記で得た上用紙と下用紙を用い、以下の項目について評価し、その結果を表2に示した。
(潜像形成能)
上記で得た上用紙と下用紙とを両塗工層が相対するように重ねて600kg/cm2の圧力で2秒間加圧した後、1時間放置したのち、各下用紙に形成された潜像の反射光学濃度(マクベス濃度計RD918、グレタグマクベス社製、ビジュアルモードにて測定)を測定した。
(潜像の熱安定性)
上記潜像形成能の評価と同様にして潜像を形成した各下用紙を、75℃の環境下に24時間放置した後、再度、潜像部の反射光学濃度(マクベス濃度計RD918、グレタグマクベス社製、ビジュアルモードにて測定)にて測定した。
(顕像化温度)
上記潜像形成能の評価と同様にして潜像を形成した各下用紙を、熱傾斜試験機(TYPE HG−100、東洋精機社製)を用い、潜像部を熱板に1kg/cm2の圧力で5秒間押し当て、顕像の反射光学濃度(マクベス濃度計RD918、グレタグマクベス社製、ビジュアルモードにて測定)が0.20となる温度を測定した。
(顕像形成能)
上記潜像形成能の評価と同様にして潜像を形成した各下用紙を、熱傾斜試験機(TYPE HG−100、東洋精機社製)を用い、潜像部を170℃の熱板に1kg/cm2の圧力で5秒間押しつけて、顕像化処理を行った。得られた顕像部の反射光学濃度(マクベス濃度計RD918、グレタグマクベス社製、ビジュアルモードにて測定)を測定した。
Figure 2008207488
表2の結果から明らかなように、本発明の感熱発色性感圧記録媒体は、潜像形成能、潜像の熱安定性、顕像化温度および顕像形成能に優れており、簡便な方法で、伝達情報の機密化と可視化ができ、隠蔽ラベルに代わる記録システムとして適用できる。

Claims (7)

  1. 電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを加圧破壊し、マイクロカプセルから電子供与性染料前駆体を放出して電子供与性染料前駆体の潜像を形成し、加熱下で、潜像を形成する電子供与性染料前駆体に電子受容性有機顕色剤を反応させて潜像の顕像化を行い、顕色像を形成することを特徴とする潜像形成および顕色像形成方法。
  2. 電子受容性有機顕色剤として、疎水性有機溶媒と電子供与性染料前駆体の共存下、常温では電子供与性染料前駆体を実質的に発色させない化合物を使用する請求項1に記載の潜像形成および顕色像形成方法。
  3. 電子受容性有機顕色剤として、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1−〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、4,4′−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4′−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンおよび下記一般式(1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1種を使用する請求項1または2に記載の潜像形成および顕色像形成方法。
    Figure 2008207488
  4. 電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを加圧破壊し、マイクロカプセルから電子供与性染料前駆体を放出して電子供与性染料前駆体の潜像を形成し、加熱することで電子受容性有機顕色剤と反応させて潜像を顕像化するために使用する感熱発色性感圧記録媒体であって、電子受容性有機顕色剤が、疎水性有機溶媒と電子供与性染料前駆体の共存下、常温では電子供与性染料前駆体を実質的に発色させない化合物であることを特徴とする感熱発色性感圧記録媒体。
  5. 電子受容性有機顕色剤が、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1−〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、4,4′−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4′−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンおよび下記一般式(1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1種である請求項4に記載の感熱発色性感圧記録媒体。
    Figure 2008207488
  6. 感熱発色性感圧記録媒体が、少なくとも、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを含有する層を支持体裏面に形成したシートと、電子受容性有機顕色剤を含有する層を支持体表面に形成したシートとを含む、請求項4または5に記載の感熱発色性感圧記録媒体。
  7. 感熱発色性感圧記録媒体が、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルおよび電子受容性有機顕色剤を含有する層を支持体上に形成したシート、または、電子供与性染料前駆体と疎水性有機溶媒を内包するマイクロカプセルを含有する層と、電子受容性有機顕色剤を含有する層を支持体上に積層したシートである、請求項4または5に記載の感熱発色性感圧記録媒体。
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