JP2008201800A - 悪液質の予防・治療剤 - Google Patents

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百瀬  祐
Yoshiya Matsutani
悦哉 松谷
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Abstract

【課題】悪液質の予防・治療剤を提供する。
【解決手段】一般式
Figure 2008201800

〔式中、Rはそれぞれ置換されていてもよい炭化水素または複素環基;Yは−CO−、−CH(OH)−または−NR3 −(ただしR3 は置換されていてもよいアルキル基を示す。)で示される基;mは0または1;nは0、1または2;XはCHまたはN;Aは結合手または炭素数1〜7の2価の脂肪族炭化水素基;Qは酸素原子または硫黄原子;R1は水素原子またはアルキル基をそれぞれ示す。環Eはさらに1〜4個の置換基を有していてもよく、該置換基はR1 と結合して環を形成していてもよい。LおよびMはそれぞれ水素原子を示すかあるいは互いに結合して結合手を形成していてもよい。ただし、mおよびnが0;XがCH;Aが結合手;Qが硫黄原子;R1、LおよびMが水素原子;かつ環Eがさらに置換基を有しないとき、Rはジヒドロベンゾピラニル基でない〕で表される化合物またはその塩を含有してなる悪液質の予防・治療剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、悪性腫瘍,結核,糖尿病,血液疾患,内分泌疾患,感染症および後天性免疫不全症候群などの慢性病において発現する悪液質の予防・治療剤に関する。
悪液質は、悪性腫瘍,結核,糖尿病,血液疾患,内分泌疾患,感染症および後天性免疫不全症候群などの慢性病において、進行性の体重減少,貧血,浮腫,食欲不振などを主な症状とする全身性の症候群である(例えばケルンらキャンサーカケクシア“Cancer cachexia”:ジャーナル・オブ・パレンテラル・アンド・エンテラル・ニュートリション“J. Parenteral and Enteral Nutrition”,第12巻,286−298頁(1988年)、アメリカン・ジャーナル・オブ・メディシン“American Journal of Medicine”,85巻,289−291頁(1988年))。従来、悪液質に対しては、栄養補給、内分泌療法などが試みられているが満足のいく治療法は確立していない。特に悪性腫瘍に起因する悪液質においては、悪液質が進行すると既存の抗癌薬治療を行うことができず、治療に重大な支障をきたしている。また、悪液質の症状改善のために栄養補給を行うと、かえって悪性腫瘍の増悪をきたし、患者の生存期間を短縮する場合がある。悪液質は、しばしば悪性腫瘍によって引き起こされるが、この場合抗腫瘍剤を投与すると抗腫瘍効果が得られても、通常はむしろ抗腫瘍剤による副作用が加わり、悪液質は改善しない(Nelsonら、ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー“Journal of Clinical Oncology”,12巻,213−225頁(1994年))。
このような状況下において、悪液質による体重減少などの症状の進行を抑制あるいは改善することができるような悪液質の予防・治療剤を提供することが求められている。
本発明の予防・治療剤は、悪性腫瘍,結核,糖尿病,血液疾患,内分泌疾患,感染症および後天性免疫不全症候群などの慢性病において発現する悪液質の予防・治療剤として用いられる。本発明の予防・治療剤により、前記した慢性病における進行性の体重減少(脂肪組織分解による体重減少および筋肉組織分解による体重減少を含む)、貧血、浮腫、食欲不振などを主な症状とする全身性の症候群が改善される。
本発明は、一般式
Figure 2008201800
〔式中、Rはそれぞれ置換されていてもよい炭化水素または複素環基;Yは−CO−、−CH(OH)−または−NR3−(ただしR3は置換されていてもよいアルキル基を示す。)で示される基;mは0または1;nは0、1または2;XはCHまたはN;Aは結合手または炭素数1〜7の2価の脂肪族炭化水素基;Qは酸素原子または硫黄原子;R1は水素原子またはアルキル基をそれぞれ示す。環Eはさらに1〜4個の置換基を有していてもよく、該置換基はR1と結合して環を形成していてもよい。LおよびMはそれぞれ水素原子を示すかあるいは互いに結合して結合手を形成していてもよい。ただし、mおよびnが0;XがCH;Aが結合手;Qが硫黄原子;R1、LおよびMが水素原子;かつ環Eがさらに置換基を有しないとき、Rはジヒドロベンゾピラニル基でない〕で表される化合物またはその塩を含有してなる悪液質の予防・治療剤に関する。
Rで示される置換されていてもよい炭化水素基における炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、脂環族−脂肪族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基における炭素数は、好ましくは1〜14である。脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基が好ましい。該脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec.−ブチル、t.−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t.−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチルなど炭素数1〜8の飽和脂肪族炭化水素基(例、アルキル基等);例えばエテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、2,4−ヘキサジエニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニル、2,4−ヘキサジイニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、1−オクチニルなど炭素数2〜8の不飽和脂肪族炭化水素基(例、アルケニル基、アルカジエニル基、アルキニル基、アルカジイニル基等)が挙げられる。脂環族炭化水素基としては、炭素数3〜7の脂環族炭化水素基が好ましい。該脂環族炭化水素基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど炭素数3〜7の飽和脂環族炭化水素基(例、シクロアルキル基等)および1−シクロペンテニル、2−シクロペンテニル、3−シクロペンテニル、1−シクロヘキセニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、1−シクロヘプテニル、2−シクロヘプテニル、3−シクロヘプテニル、2,4−シクロヘプタジエニルなど炭素数5〜7の不飽和脂環族炭化水素基(例、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基等)が挙げられる。
脂環族−脂肪族炭化水素基としては、上記脂環族炭化水素基と脂肪族炭化水素基とが結合したもの(例、シクロアルキル−アルキル基、シクロアルケニル−アルキル基等)のが挙げられ、なかでも炭素数4〜9の脂環族−脂肪族炭化水素基が好ましい。該脂環族−脂肪族炭化水素基としては、例えばシクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンテニルメチル、3−シクロペンテニルメチル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキセニルメチル、3−シクロヘキセニルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピル、シクロヘプチルメチル、シクロヘプチルエチルなどが挙げられる。芳香脂肪族炭化水素基としては、炭素数7〜13の芳香脂肪族炭化水素基(例、アラルキル基、アリール−アルケニル基等)が好ましい。該芳香脂肪族炭化水素基としては、例えばベンジル、フェネチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、1−フェニルプロピルなど炭素数7〜9のフェニルアルキル;α−ナフチルメチル、α−ナフチルエチル、β−ナフチルメチル、β−ナフチルエチルなど炭素数11〜13のナフチルアルキル;スチリル、4−フェニル−1,3−ブタジエニルなど炭素数8〜10のフェニルアルケニル;2−(2−ナフチル)ビニルなど炭素数12〜13のナフチルアルケニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基(例、アリール基等)が好ましい。該芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル、ナフチル(α−ナフチル,β−ナフチル)などが挙げられる。
一般式(I)中、Rで示される置換されていてもよい複素環基における複素環基としては、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する5〜7員の単環式複素環基または縮合複素環基が挙げられる。縮合複素環としては、例えばこのような5〜7員の単環式複素環と、1ないし2個の窒素原子を含む6員環、ベンゼン環または1個の硫黄原子を含む5員環との縮合環が挙げられる。複素環基の具体例としては、例えば2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピラジニル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾ−ル−3−イル、1,2,3−トリアゾ−ル−4−イル、テトラゾ−ル−5−イル、ベンズイミダゾ−ル−2−イル、インド−ル−3−イル、1H−インダゾ−ル−3−イル、1H−ピロロ〔2,3−b〕ピラジン−2−イル、1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−6−イル、1H−イミダゾ〔4,5−b〕ピリジン−2−イル、1H−イミダゾ〔4,5−c〕ピリジン−2−イル、1H−イミダゾ〔4,5−b〕ピラジン−2−イル、ベンゾピラニル等が挙げられる。複素環基は、好ましくはピリジル、オキサゾリルまたはチアゾリル基である。
一般式(I)中、Rで示される炭化水素基および複素環基は、それぞれ置換可能な位置に1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、エステル化されていてもよいカルボキシル基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜15の直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。アルキル基の好適な例としては、炭素数1〜10のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec.−ブチル、t.−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t.−ペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘキシル、ペンチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられる。アルケニル基の好適な例としては、炭素数2〜10のアルケニル基、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。アルキニル基の好適な例としては、炭素数2〜10のアルキニル基、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニルなどが挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜12の飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、例えばシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基などが挙げられる。シクロアルキル基の好適な例としては、炭素数3〜10のシクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプチル、ビシクロ〔2.2.2〕オクチル、ビシクロ〔3.2.1〕オクチル、ビシクロ〔3.2.2〕ノニル、ビシクロ〔3.3.1〕ノニル、ビシクロ〔4.2.1〕ノニル、ビシクロ〔4.3.1〕デシルなどが挙げられる。シクロアルケニル基の好適な例としては、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、例えば2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イルなどが挙げられる。シクロアルカジエニル基の好適な例としては、炭素数4〜10のシクロアルカジエニル基、例えば2,4−シクロペンタジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサジエン−1−イルなどが挙げられる。アリール基とは、単環式または縮合多環式芳香族炭化水素基を意味し、好適な例としては、炭素数6〜14のアリール基、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニルなどが挙げられ、なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどが好ましい。
芳香族複素環基の好適な例としては、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルなどの、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する5〜7員の芳香族単環式複素環基;例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニルなどの、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する2環性または3環性芳香族縮合複素環基などが挙げられる。
非芳香族複素環基の好適な例としては、例えばオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノなどが挙げられる。ハロゲン原子の例としてはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素があげられ、とりわけフッ素および塩素が好ましい。置換されていてもよいアミノ基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、炭素数1〜13のアシル基(例、炭素数2〜10のアルカノイル基、炭素数7〜13のアリールカルボニル基等)または炭素数6〜12のアリール基等でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基(−NH2基)が挙げられる。置換されたアミノ基としては、例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、ジアリルアミノ、シクロヘキシルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ベンゾイルアミノ、フェニルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ等が挙げられる。置換されていてもよいアシル基におけるアシル基としては、炭素数1〜13のアシル基、具体的にはホルミルの他例えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基または芳香族複素環基(例、チエニル,フリル,ピリジルなど)とカルボニル基とが結合した基などが挙げられる。アシル基の好適な例としては、例えばアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル、クロトニル、2−シクロヘキセンカルボニル、ベンゾイル、ニコチノイルなどが挙げられる。置換されたアシル基における置換基としては、例えば炭素数1〜3のアルキル、例えば炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン(例、塩素,フッ素,臭素など)、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ等が挙げられる。
置換されていてもよいヒドロキシ基において、置換されたヒドロキシ基としては、例えばアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基の好適な例としては、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec.−ブトキシ、t.−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、ノニルオキシ、シクロブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられる。アルケニルオキシ基の好適な例としては、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、例えばアリル(allyl)オキシ、クロチルオキシ、2−ペンテニルオキシ、3−ヘキセニルオキシ、2−シクロペンテニルメトキシ、2−シクロヘキセニルメトキシ等が挙げられる。アラルキルオキシ基の好適な例としては、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、例えばフェニル−C1-4アルキルオキシ(例、ベンジルオキシ、フェネチルオキシなど)等が挙げられる。アシルオキシ基の好適な例としては、炭素数2〜13のアシルオキシ基、さらに好ましくは炭素数2〜4のアルカノイルオキシ(例、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシなど)等が挙げられる。アリールオキシ基の好適な例としては、炭素数6〜14のアリールオキシ基、例えばフェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。該アリールオキシ基は、1ないし2個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えばハロゲン(例、塩素,フッ素,臭素など)等が挙げられる。置換されたアリールオキシ基としては、例えば4−クロロフェノキシ等が挙げられる。
置換されていてもよいチオール基において、置換されたチオール基としては、例えばアルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アラルキルチオ基、アシルチオ基などが挙げられる。アルキルチオ基の好適な例としては、炭素数1〜10のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec.−ブチルチオ、t.−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、ノニルチオ等が挙げられる。シクロアルキルチオ基の好適な例としては、炭素数3〜10のシクロアルキルチオ基、例えばシクロブチルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ等が挙げられる。アラルキルチオ基の好適な例としては、炭素数7〜10のアラルキルチオ基、例えばフェニル−C1-4アルキルチオ(例、ベンジルチオ、フェネチルチオなど)等が挙げられる。アシルチオ基の好適な例としては、炭素数2〜13のアシルチオ基、さらに好ましくは炭素数2〜4のアルカノイルチオ基(例、アセチルチオ、プロピオニルチオ、ブチリルチオ、イソブチリルチオなど)等が挙げられる。
エステル化されていてもよいカルボキシル基としては、例えばアルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基の好適な例としては、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル,エトキシカルボニル,プロポキシカルボニル,ブトキシカルボニル等が挙げられる。アラルキルオキシカルボニル基の好適な例としては、炭素数8〜10のアラルキルオキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。アリールオキシカルボニル基の好適な例としては、炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基、例えばフェノキシカルボニル,p−トリルオキシカルボニル等が挙げられる。Rで示される炭化水素基および複素環基における置換基は、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、芳香族複素環基、炭素数6〜14のアリール基であり、さらに好ましくはC1-3アルキル,フリル,チエニル,フェニル,ナフチルである。
一般式(I)中、Rで示される炭化水素基および複素環基上の置換基は、それらが脂環式炭化水素基,アリール基,芳香族複素環基または非芳香族複素環基であるときはさらにそれぞれ適当な置換基を1個以上、好ましくは1〜3個有していてもよく、このような置換基としては、例えば炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基(例、フェニル,ナフチルなど)、芳香族複素環基(例、チエニル,フリル,ピリジル,オキサゾリル,チアゾリルなど)、非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフリル,モルホリノ,チオモルホリノ,ピペリジノ,ピロリジノ,ピペラジノなど)、炭素数7〜9のアラルキル基、アミノ基、N−モノ(C1-4)アルキルアミノ基、N,N−ジ(C1-4)アルキルアミノ基、炭素数2〜8のアシルアミノ基(例、アセチルアミノ,プロピオニルアミノ,ベンゾイルアミノなど)、アミジノ基、炭素数2〜8のアシル基(例、炭素数2〜8のアルカノイル基など)、カルバモイル基、N−モノ(C1-4)アルキルカルバモイル基、N,N−ジ(C1-4)アルキルカルバモイル基、スルファモイル基、N−モノ(C1-4)アルキルスルファモイル基、N,N−ジ(C1-4)アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニルオキシ基、炭素数3〜7のシクロアルキルオキシ基、炭素数7〜9のアラルキルオキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基(例、フェニルオキシ,ナフチルオキシなど)、メルカプト基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数7〜9のアラルキルチオ基、炭素数6〜14のアリールチオ基(例、フェニルチオ,ナフチルチオなど)、スルホ基、シアノ基、アジド基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)などが挙げられる。一般式(I)中、Rは、好ましくは置換されていてもよい複素環基である。Rは、さらに好ましくはC1-3アルキル,フリル,チエニル,フェニルおよびナフチルから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいピリジル,オキサゾリルまたはチアゾリル基である。
一般式(I)中、Yは、−CO−,−CH(OH)−または−NR3−を示すが、−CH(OH)−または−NR3−が好ましく、さらに好ましくは−CH(OH)−である。ここにおいて、R3で示される置換されていてもよいアルキル基におけるアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、例えばメチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec.−ブチル,t.−ブチルなどが挙げられる。また、置換基としては、例えばハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素),炭素数1〜4のアルコキシ基(例、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,ブトキシ,イソブトキシ,sec.−ブトキシ,t.−ブトキシなど),ヒドロキシ基,ニトロ基,炭素数1〜4のアシル基(例、ホルミル,アセチル,プロピオニルなど)などが挙げられる。nは、0,1または2を示し、好ましくは0または1である。Xは、CHまたはNを示し、好ましくはCHである。
一般式(I)中、Aは、結合手または炭素数1〜7の2価の脂肪族炭化水素基を示す。該脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分枝状のいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれでもよい。その具体例としては、例えば−CH2−,−CH(CH3)−,−(CH22−,−CH(C25)−,−(CH23−,−(CH24−,−(CH25−,−(CH26−,−(CH27−の飽和のもの、例えば−CH=CH−,−C(CH3)=CH−,−CH=CH−CH2−,−C(C25)=CH−,−CH2−CH=CH−CH2−,−CH2−CH2−CH=CH−CH2−,−CH=CH−CH=CH−CH2−,−CH=CH−CH=CH−CH=CH−CH2−などの不飽和のものが挙げられる。Aは、好ましくは結合手または炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基は、さらに飽和であることが好ましい。Aは、さらに好ましくは結合手、−CH2−または−(CH22−であり、特に好ましくは結合手または−(CH22−である。R1で示されるアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、例えばメチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec.−ブチル,t.−ブチルなどが挙げられる。R1は、好ましくは水素原子である。
一般式(I)中、部分構造式
Figure 2008201800
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕である。また、環Eは、置換可能な任意の位置に、さらに1ないし4個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、アルキル基、置換されていてもよいヒドロキシ基,ハロゲン原子,置換されていてもよいアシル基,ニトロ基,および置換されていてもよいアミノ基が挙げられる。これらは、いずれもRで示される炭化水素基および複素環基の置換基として述べたものと同様のものが用いられる。
環E、すなわち部分構造式
Figure 2008201800
〔式中、R2は、水素原子,アルキル基,置換されていてもよいヒドロキシ基,ハロゲン原子,置換されていてもよいアシル基,ニトロ基または置換されていてもよいアミノ基を示す。〕である。R2で示されるアルキル基,置換されていてもよいヒドロキシ基,ハロゲン原子,置換されていてもよいアシル基,および置換されていてもよいアミノ基としては、いずれもRで示される炭化水素基および複素環基の置換基として述べたものと同様のものが挙げられる。R2は、好ましくは水素原子、置換されていてもよいヒドロキシ基またはハロゲン原子である。R2は、さらに好ましくは水素原子または置換されていてもよいヒドロキシ基であり、特に好ましくは水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である。
LおよびMは、水素原子あるいは互いに結合して結合手を示すが、好ましくは水素原子である。一般式(I)において、LとMが互いに結合して結合手を形成する化合物:
Figure 2008201800
[式中、各記号は前記と同意義である。]には、アゾリジンジオン環の5位の二重結合に関し、(E)体および(Z)体が存在する。
また、LおよびMがそれぞれ水素原子を示す化合物:
Figure 2008201800
[式中、各記号は前記と同意義である。]には、アゾリジンジオン環の5位の不斉炭素による(R)−体および(S)−体の光学異性体が存在し、該化合物は、これら(R)−体および(S)−体の光学活性体およびラセミ体を含む。本発明において、一般式(I)中、mおよびnが0;XがCH;Aが結合手;Qが硫黄原子;R1、LおよびMが水素原子;かつ環Eがさらに置換基を有しないとき、Rはジヒドロベンゾピラニル基でない。
一般式(I)で表される化合物の好ましい例としては、例えば、RがC1-3アルキル,フリル,チエニル,フェニルおよびナフチルから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいピリジル,オキサゾリルまたはチアゾリル基;Yが−CH(OH)−;nが0または1;XがCH;Aが結合手または−(CH22−;R1が水素原子;環Eすなわち部分構造式
Figure 2008201800
かつR2が水素原子またはC1-4アルコキシ基;LおよびMが水素原子である化合物が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば以下に示す化合物(1)〜(7)が挙げられる。
(1)5−〔4−〔2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ〕ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオン,(2)5−〔4−〔2−ヒドロキシ−2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ〕ベンジル〕−2,4−チアゾリジンジオン,(3)(R)−(+)−5−〔3−〔4−〔2−(2−フリル)−5−メチル−4−オキサゾリルメトキシ〕−3−メトキシフェニル〕プロピル〕−2,4−オキサゾリジンジオン,(4)(S)−(−)−5−〔3−〔4−〔2−(2−フリル)−5−メチル−4−オキサゾリルメトキシ〕−3−メトキシフェニル〕プロピル〕−2,4−オキサゾリジンジオン,(5)5−〔3−〔3−フルオロ−4−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)フェニル〕プロピル〕−2,4−オキサゾリジンジオン,(6)5−〔5−〔3−メトキシ−4−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)フェニル〕ペンチル〕−2,4−オキサゾリジンジオン,(7)5−〔3−〔3,5−ジメトキシ−4−〔2−〔(E)−スチリル〕−4−オキサゾリルメトキシ〕フェニル〕プロピル〕−2,4−オキサゾリジンジオンなどが挙げられる(これらの化合物を、以下、単に化合物(1)、化合物(2)などと略記することがある)。これらのうち、化合物(1)〜(3),(5)および(6)が好ましく、特に化合物(1)〜(3)が好ましい。
本発明の化合物(I)の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。上記した塩の中でもナトリウム塩、カリウム塩が最も好ましい。
本発明の化合物(I)またはその塩は、例えば特開昭55−22636(EP−A−8203)、特開昭60−208980(EP−A−155845)、特開昭61−286376(EP−A−208420)、特開昭61−085372(EP−A−177353)、特開昭61−267580(EP−A−193256)、特開平5−86057(WO−A−9218501)、特開平7−82269(EP−A−605228)、特開平7−101945(EP−A−612743)、EP−A−643050およびEP−A−710659(特願平7−284106)等に記載の方法あるいはそれに準ずる方法により製造することができる。
本発明の化合物(I)またはその塩(以下、単に本発明化合物と略記する)は、悪液質の改善作用、すなわち悪性腫瘍,結核,糖尿病,血液疾患,内分泌疾患,感染症および後天性免疫不全症候群などの慢性病において発現する進行性の体重減少(脂肪組織分解による体重減少および筋肉組織分解による体重減少を含む)、貧血、浮腫、食欲不振などを主な症状とする全身性の症候群を改善する作用を有する。また、本発明化合物の毒性は低い。本発明の予防・治療剤は、哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)における悪液質の予防・治療剤あるいは栄養失調の治療剤などとして用いられる。ここにおいて、悪液質としては、例えば癌性悪液質、結核性悪液質、糖尿病性悪液質、血液疾患性悪液質、内分泌疾患性悪液質、感染症性悪液質または後天性免疫不全症候群による悪液質が挙げられる。本発明の予防・治療剤は悪液質の中でも、悪性腫瘍、特に固形癌に起因するものに好ましく用いられる。
本発明の予防・治療剤は、本発明化合物をそのまま用いてもよいが、通常本発明化合物と自体公知の薬理学的に許容される担体などとを混合して得られる医薬組成物として用いられる。ここにおいて、薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。結合剤の好適な例としては、例えば結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、トレハロース、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。崩壊剤の好適な例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、トリカプリリンなどが挙げられる。溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどが挙げられる。緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
上記医薬組成物は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。また、医薬組成物の剤形としては、例えば錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、シロップ剤等の経口剤;および注射剤、坐剤、ペレット、点滴剤等の非経口剤が挙げられ、これらはそれぞれ経口的あるいは非経口的に安全に投与できる。本発明の予防・治療剤の投与量は、投与対象、投与ルート、症状などによっても異なるが、例えば成人の悪液質患者に対して経口投与する場合、有効成分である本発明化合物を通常1回量として約0.1mg/kg〜約30mg/kg、好ましくは約2mg/kg〜約20mg/kg投与することが好ましく、この量を1日1〜3回投与するのが望ましい。
本発明の予防・治療剤は、他の化学療法剤または免疫療法剤などの薬剤と同時に同一対象に投与することができ、また時間差をおいて同一対象に投与することもできる。これらの薬剤の投与量は、それぞれ臨床上用いられる用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の予防・治療剤と他の薬剤との配合比は、投与対象、投与対象の年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせ等により、適宜選択することができる。化学療法剤としては、例えばアルキル化剤(例えば、サイクロフォスファミド、イフォスファミド)、代謝拮抗剤(例えば、メソトレキセート、5−フルオロウラシル)、抗癌性抗生物質(例えば、マイトマイシン、アドリアマイシン)、植物由来抗癌剤(例えば、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポキシドなどが挙げられる。なかでも5−フルオロウラシル誘導体であるフルツロンあるいはネオフルツロンなどが好ましい。免疫療法剤としては、例えば微生物または細菌成分(例えば、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール)、免疫増強活性のある多糖類(例えば、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例えば、インターフェロン、インターロイキン(IL))、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン)などが挙げられ、中でもIL−1、IL−2、IL−12などが好ましい。
さらに、動物モデルや臨床で悪液質改善作用が認められている薬剤、すなわち、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、インドメタシン)〔キャンサー・リサーチ(Cancer Reseach)、第49巻、5935〜5939頁、1989年〕、プロゲステロン誘導体(例えば、メゲステロールアセテート)〔ジャーナル・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)、第12巻、213〜225頁、1994年〕、糖質ステロイド(例えば、デキサメサゾン)、メトクロプラミド系薬剤、テトラヒドロカンナビノール系薬剤(文献はいずれも上記と同様)、脂肪代謝改善剤(例えば、エイコサペンタエン酸)〔ブリティシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)、第68巻、314〜318頁、1993年〕、成長ホルモン、IGF−1、あるいは悪液質を誘導する因子であるTNF−α、LIF、IL−6、オンコスタチンMに対する抗体なども本発明の予防・治療剤と併用することができる。
本発明化合物は、利尿剤と組み合わせて用いることもできる。この際、本発明化合物および利尿剤の投与時期は限定されず、これらを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。利尿剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と利尿剤との配合比は、投与対象、投与対象の年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、利尿剤を通常約0.01〜約100重量部、好ましくは約0.1〜約20重量部用いればよい。なお、利尿剤としては、例えばキサンチン誘導体製剤(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン等)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド等)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン等)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド等)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド等)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
本発明化合物中、とりわけ一般式(I)においてAが炭素数1〜7の2価の脂肪族炭化水素基である化合物またはその塩は、アテローム性動脈硬化症の予防・治療作用、食低下に伴う障害(例、神経性食欲不振)および過食に伴う障害(例、肥満、病的飢餓)を患っている対象における食欲および食物摂取の調整作用も有する。したがって、このような化合物またはその塩は、そのまま、あるいは前記と同様の医薬組成物とすることにより、アテローム性動脈硬化症の予防・治療剤、または食欲および食物摂取を調整するための医薬として用いることができる。なお、該予防・治療剤および医薬の投与対象、剤形、投与量等については、前記した本発明の予防・治療剤に準じればよい。
また、本発明化合物中、一般式(I)においてAが炭素数1〜7の2価の脂肪族炭化水素基である化合物またはその塩は、耐糖障害の治療作用、すなわち、絶食時のインスリン値を低下させ、インスリン感受性を改善し、耐糖能を正常化する作用も有する。該化合物またはその塩は、このような作用に基づいて、耐糖障害の治療作用非インスリン依存性糖尿病の発症を防止または遅延させることができる。このような化合物またはその塩は、そのまま、あるいは前記と同様の医薬組成物とすることにより、耐糖障害の治療剤として用いることができる。なお、該治療剤の投与対象、剤形、投与量等については、前記した本発明の予防・治療剤に準じればよい。
以下、実施例及び試験例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1(カプセルの製造)
1)化合物(2) 100mg
2)微粉末セルロース 30mg
3)ラクトース 37mg
4)ステアリン酸マグネシウム 3mg
計170mg
1),2),3)および4)を混合してゼラチンカプセルに充填した。

実施例2(軟カプセルの製造)
1)化合物(2) 50mg
2)トウモロコシ油 100mg
計150mg
常法により、1)と2)を混合してソフトカプセルに充填した。

実施例3(錠剤の製造)
1)化合物(2) 100 mg
2)ラクトース 34 mg
3)トウモロコシ澱粉 10.6mg
4)トウモロコシ澱粉(のり状) 5 mg
5)ステアリン酸マグネシウム 0.4mg
6)カルボキシメチルセルロースカルシウム 20 mg
計170 mg
常法にしたがって、1)〜6)を混合して錠剤機により打錠した。
試験例1(脂肪分解抑制作用)
グリーンら〔エンドクリノロジー(Endocrinology),134巻,2581〜2588頁(1994年)〕の方法に従い、ラット副睾丸脂肪組織を用いて、脂肪細胞からのグリセロール遊離量を測定し、本発明化合物の脂肪分解抑制作用を評価した。すなわち、ラット副睾丸脂肪組織を取り出し、ハサミで細切し、コラゲナーゼを含むリン酸緩衝液中で1時間振盪して脂肪細胞に解離した。ついで脂肪細胞の培養液にIL−1β(ファーミンゲン(Pharmingen)社製、PM-19101V)10ng/mlを加え、処理群には、ジメチルホルムアミドに溶解した化合物(2)を濃度を変えて加えた。24時間後に培養上清を採取し、グリセロール量を測定キット(シグマ社製、337−A)を用いて測定した。対照群のグリセロール遊離量に対する化合物(2)添加群のグリセロール遊離量の比を抑制率として求め、50%抑制の得られる化合物濃度IC50値を計算した。化合物(2)の脂肪分解抑制濃度IC50値は4nMであった。
試験例2(担癌マウスの体重減少の抑制作用)
癌性悪液質の症状をよく再現できる系として知られているマウス結腸癌colon26(田中ら、キャンサー・リサーチ(Cancer Research),50巻,4528〜4532頁(1990年))を用い、脂肪組織分解および体重減少に対する本発明化合物の抑制作用を評価した。すなわち、4週齢のマウスCDF1の皮下に1×106個のcolon26細胞を移植した。移植後14日目に腫瘍サイズに基づきマウスを群分けし、一群には、投与量が1.0mg/kgになるように、化合物(2)の5%(w/v)アラビアゴム懸濁液を、他の一群には対照として5%(w/v)アラビアゴム懸濁液を、それぞれ一日一回7日間、経口投与した。また、一群にはcolon26細胞を移植せず、これを正常群とした。移植後14日後、18日後および21日後にマウスの体重を測定し、移植後22日後にマウスを解剖し、副睾丸脂肪組織を取り出してその重量を測定した。マウスの体重変化および脂肪組織重量を、それぞれ〔表1〕および〔表2〕に示す。
Figure 2008201800
Figure 2008201800
〔表1〕および〔表2〕から明らかなように、本発明化合物は、マウス結腸癌colon26の移植による癌悪液質の症状である脂肪組織分解および体重減少を抑制し、悪液質の治療剤として有用であることが示された。
比較例
試験例1と同様にして、インドメタシンの脂肪分解抑制作用を評価したところ、インドメタシンの脂肪分解抑制濃度IC50値は10mM以上であった。

Claims (12)

  1. 一般式
    Figure 2008201800
    〔式中、
    Rは、それぞれ置換されていてもよい炭化水素または複素環基;
    Yは、−CO−、−CH(OH)−または−NR3−(ここで、R3は、置換されていてもよいアルキル基を示す。)で示される基;
    mは、0または1;
    nは、0、1または2;
    Xは、CHまたはN;
    Aは、結合手または炭素数1〜7の2価の脂肪族炭化水素基;
    Qは、酸素原子または硫黄原子;
    1は、水素原子またはアルキル基
    をそれぞれ示す。
    環Eは、さらに1〜4個の置換基を有していてもよく、該置換基は、R1と結合して環を形成していてもよい。
    LおよびMは、それぞれ、水素原子を示すか、あるいは互いに結合して結合手を形成していてもよい。
    ただし、mおよびnが0;XがCH;Aが結合手;Qが硫黄原子;R1、LおよびMが水素原子;かつ環Eがさらに置換基を有しないとき、Rはジヒドロベンゾピラニル基でない〕
    で表される化合物(ただし、5−[4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル]−2,4−チアゾリジンジオンおよび5−[4−[2−ヒドロキシ−2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]ベンジル]−2,4−チアゾリジンジオンを除く)またはその塩を含有してなる、悪液質の予防・治療剤。
  2. Rで示される複素環基が、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する5〜7員の単環式複素環基または縮合複素環基である、請求項1記載の予防・治療剤。
  3. Rが、置換されていてもよい複素環基である、請求項1記載の予防・治療剤。
  4. 複素環基が、ピリジル、オキサゾリルまたはチアゾリル基である、請求項3記載の予防・治療剤。
  5. 部分構造式
    Figure 2008201800
    である、請求項1記載の予防・治療剤。
  6. nが0または1である、請求項1記載の予防・治療剤。
  7. XがCHである、請求項1記載の予防・治療剤。
  8. Aが結合手または炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基である、請求項1記載の予防・治療剤。
  9. 1が水素原子である、請求項1記載の予防・治療剤。
  10. LおよびMが水素原子である、請求項1記載の予防・治療剤。
  11. 化合物が、
    5−〔3−〔3−フルオロ−4−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)フェニル〕プロピル〕−2,4−オキサゾリジンジオン;
    5−〔5−〔3−メトキシ−4−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)フェニル〕ペンチル〕−2,4−オキサゾリジンジオン;または
    (R)−(+)−5−[3−[4−[2−(2−フリル)−5−メチル−4−オキサゾリルメトキシ]−3−メトキシフェニル]プロピル]−2,4−オキサゾリジンジオン
    である、請求項1記載の予防・治療剤。
  12. 悪液質が癌性悪液質、結核性悪液質、糖尿病性悪液質、血液疾患性悪液質、内分泌疾患性悪液質、感染症性悪液質または後天性免疫不全症候群による悪液質である請求項1記載の予防・治療剤。
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