JP2008200617A - 気体吸着デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】気体吸着材を、長時間保存可能とし、真空機器への適用時における劣化をも抑制する。
【解決手段】気体吸着デバイス1は、CuZSM−5からなる気体吸着材2と、円筒状でポリエチレンテレフタレートからなり気体吸着材2を真空状態で内包し貫通孔ができるまで気体吸着材2が外部の気体を吸着することを防止する容器3と、略C字形の金属製のばねで両端を広げて両端が容器3の円筒状の外周面に容器3の外側から内側への突き刺し力を加えるように付勢して容器3の外に設けられ軟化する前の容器3に対しては容器3を貫通しない程度の力で容器3に突き刺し力を加え続けており所定の温度上昇で軟化した容器3に対しては突き刺し力で容器3を変形させて容器3に貫通孔をあける部材4と、容器3内に設けられ容器3の変形する部分を制限する支持体5とを有し、使用時に加熱する。
【選択図】図1

Description

本発明は、気体吸着材を大気中で保存可能とする気体吸着デバイスに関するものである。
近年、高真空を必要とする工業技術への期待が高まりつつある。例えば、地球温暖化防止の観点から省エネルギーが強く望まれており、家庭用電化製品についても省エネルギー化は緊急の課題となっている。特に、冷蔵庫、冷凍庫、自動販売機等の保温保冷機器では熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性能を有する断熱材が求められている。
一般的な断熱材として、グラスウールなどの繊維材やウレタンフォームなどの発泡体が用いられている。しかし、これらの断熱材の断熱性能を向上するためには断熱材の厚さを増す必要があり、断熱材を充填できる空間に制限があって省スペースや空間の有効利用が必要な場合には適用することができない。
そこで、高性能な断熱材として、真空断熱材が提案されている。これは、スペーサの役割を持つ芯材を、ガスバリア性を有する外被材中に挿入し内部を減圧して封止した断熱体である。
真空断熱材内部の真空度を上げることにより、高性能な断熱性能を得ることができるが、真空断熱材内部に存在する気体には大きく分けて次の3つがある。一つ目は、真空断熱材作製時、排気できずに残存する気体、二つ目は、減圧封止後、芯材や外被材から発生する気体(芯材や外被材に吸着している気体や、芯材の未反応成分が反応することによって発生する反応ガス等)、三つ目は、外被材を通過して外部から侵入してくる気体である。
これらの気体を吸着するため、吸着材を真空断熱材に充填する方法が考案されている。
例えば、真空断熱材内の気体を、Ba−Li合金を用いて吸着するものがある(例えば、特許文献1参照)。真空断熱材内の吸着材が吸着すべき気体のうち、吸着困難な気体のひとつが窒素である。これは、窒素分子が約940kJ/molという大きい結合エネルギーを有する非極性分子であるから、活性化させるのが困難なためである。しかし、Ba−Li合金により窒素を吸着可能とし、真空断熱材内部の真空度を維持するのである。
真空断熱材の性能の更なる向上を目的として、真空断熱材内部の真空度をさらに低下させることや、プラズマディスプレーパネル等の様に、高真空を必要とする機器のためBa−Liより高活性な気体吸着材の実用化が望まれている。
特表平9−512088号公報
しかしながら、特許文献1に記載の上記従来の構成では、活性化のための熱処理を必要とせず、常温下でも窒素吸着可能であり、数分間は空気雰囲気で取扱い可能と記載されているが、気体吸着材を用いる機器を工業的に製造する条件では、取扱い上、より長い許容時間が望ましい。
これは、窒素吸着能力の多くが空気と接触する製造プロセスで消耗することによって、気体吸着材を用いる機器の経時的な性能維持のための吸着能力が乏しくなり、性能劣化や性能ばらつきが大きくなることを防止するためである。真空断熱材等のさらなる高性能化が望まれている中で、機器内部の真空度維持を図るために、吸着材をより安定的に高効率に使いこなすことが大きな課題であった。
気体吸着材の活性の高さ、つまり、大気中に放置された場合に吸着が飽和するまでの時間は、その形態と材料仕様ごとに異なる。例えば、気体吸着材がペレット状であれば、比較的長い時間大気中に放置しても飽和しない。一方、気体吸着材が粉末状であれば、比表面積が大きくなるため、短時間大気中に放置しただけであっても飽和してしまう。
従って、上記の構造ではBa−Liより高活性で、粉末状の気体吸着材を用いた場合は、大気に接触可能な時間が非常に短くなる可能性がある。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、高活性な気体吸着材が粉末状であっても、大気中で長時間保存可能とする気体吸着デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の気体吸着デバイスは、気体吸着材と、熱可塑性素材からなり前記気体吸着材を内包し貫通孔ができるまで前記気体吸着材が外部の気体を吸着することを防止する容器と、軟化する前の前記容器に対しては前記容器を貫通しない程度の力で前記容器に突き刺し力を加え続けており所定の温度上昇で軟化した前記容器に対しては前記突き刺し力で前記容器を変形させて前記容器に貫通孔をあける部材とを有するものである。
上記構成において、軟化する前の容器には部材が突き刺し力を加えているが、容器の強度と部材の突き刺し力の強さとの関係で、部材が容器に貫通孔をあけるまでには至っておらず、容器は密閉状態を保っており、容器内の気体吸着材は容器外の気体を吸着しておらず吸着力は劣化していない。このため、気体吸着デバイスの不使用時は、気体吸着材を劣化させることなく気体吸着材を収納した気体吸着デバイスを長時間保存できる。
また、気体吸着デバイスを使用する場合は、気体吸着デバイスの温度を所定温度以上に上昇させる。容器の温度を所定温度(容器の軟化温度)以上に上昇させると、容器は熱可塑性素材からなるため温度の上昇とともに軟化して、部材の突き刺し力で容器が変形し、やがて、容器に貫通孔ができ、容器内の気体吸着材が容器外の気体を吸着することができるようになる。
以上のように本発明の気体吸着デバイスでは、容器内の気体吸着材が存在する空間が容器の外側の空間と遮断された状態から容器内の気体吸着材が存在する空間が容器の外側の空間と連通する状態への変化(気体吸着材の密閉解除)が、所定の温度の変化により起きるので、気体吸着材を真空機器に適用する際、温度以外の因子を制御する必要が無く、生産性の向上を図ることが可能である。また、真空機器に適用後に温度を制御することにより気体吸着デバイスの切り替えが可能であるため、真空機器の筐体外部から力を加えるのが不可能な場合であっても切り替え可能である。
ここで、真空機器とは、真空断熱材等のように、内部を真空にすることにより機能を発現する機器のことである。
また、切り替えとは、気体吸着デバイス容器の密閉性が解除され、気体吸着材が容器外部の気体を吸着可能となることである。
気体吸着デバイスの切り替えが温度により行われるため、真空機器への設置時に雰囲気温度の制御をするだけでよく、任意の状況で切り替えが可能である。従って、真空機器筐体が変形せず、外部から力を加えることができない場合であっても切り替え可能である。
また、気体吸着デバイスを真空機器に設置し、真空機器を密閉した後の切り替えが可能である。従って、吸着する必要のない気体、つまり、真空機器外部の気体を吸着することがなく、保存時、真空機器への適用時における気体吸着材の劣化を防ぐことができる。
本発明の請求項1に記載の気体吸着デバイスの発明は、気体吸着材と、熱可塑性素材からなり前記気体吸着材を内包し貫通孔ができるまで前記気体吸着材が外部の気体を吸着することを防止する容器と、軟化する前の前記容器に対しては前記容器を貫通しない程度の力で前記容器に突き刺し力を加え続けており所定の温度上昇で軟化した前記容器に対しては前記突き刺し力で前記容器を変形させて前記容器に貫通孔をあける部材とを有するものである。
上記構成において、軟化する前の容器には部材が突き刺し力を加えているが、容器の強度と部材の突き刺し力の強さとの関係で、部材が容器に貫通孔をあけるまでには至っておらず、容器は密閉状態を保っており、容器内の気体吸着材は容器外の気体を吸着しておらず吸着力は劣化していない。このため、気体吸着デバイスの不使用時は、気体吸着材を劣化させることなく気体吸着材を収納した気体吸着デバイスを長時間保存できる。
また、気体吸着デバイスを使用する場合は、気体吸着デバイスの温度を所定温度以上に上昇させる。容器の温度を所定温度(容器の軟化温度)以上に上昇させると、容器は熱可塑性素材からなるため温度の上昇とともに軟化して、部材の突き刺し力で容器が変形し、やがて、容器に貫通孔ができ、容器内の気体吸着材が容器外の気体を吸着することができるようになる。
以上のように本発明の気体吸着デバイスでは、容器内の気体吸着材が存在する空間が容器の外側の空間と遮断された状態から容器内の気体吸着材が存在する空間が容器の外側の空間と連通する状態への変化(気体吸着材の密閉解除)が、所定の温度の変化により起きるので、気体吸着材を真空機器に適用する際、温度以外の因子を制御する必要が無く、生産性の向上を図ることが可能である。また、真空機器に適用後に温度を制御することにより気体吸着デバイスの切り替えが可能であるため、真空機器の筐体外部から力を加えるのが不可能な場合であっても切り替え可能である。
また、気体吸着デバイスの切り替えが温度により行われるため、真空機器への設置時に雰囲気温度の制御をするだけでよく、任意の状況で切り替えが可能である。従って、真空機器筐体が変形せず、外部から力を加えることができない場合であっても切り替え可能である。
また、気体吸着デバイスを真空機器に設置し、真空機器を密閉した後の切り替えが可能である。従って、吸着する必要のない気体、つまり、真空機器外部の気体を吸着することがなく、保存時、真空機器への適用時における気体吸着材の劣化を防ぐことができる。
気体吸着材が高活性である程、また、比表面積が大きくなる程、取り扱いの条件が厳しくなる。つまり、気体吸着材の活性を維持するために、空気に接触可能な時間が短くなり、また、接触可能な圧力も小さくなる。
従って、このような気体吸着材は、保存時に加えて、真空機器に設置する際の劣化も問題となる。従って、真空機器に気体吸着材を設置する際は、吸着すべき気体が存在する空間、つまり真空機器内部の圧力が、可能な限り低い状態となってから連通させる必要がある。
真空機器の一例として、真空断熱材に気体吸着材を適用する際は、ガスバリア性の外被材中に芯材と気体吸着材を挿入したものをチャンバーに設置後、チャンバーを減圧し、外被材内部を減圧後、外被材の開口部を封止する。
この際、チャンバー内の減圧は真空ポンプにて行われる。常圧領域、つまり真空封止前ではポンプ、吸着材いずれによっても減圧することが可能である。一方、低圧領域、つまり真空封止後の外被材内部には、真空ポンプで減圧しきれなかった気体、真空封止後に外被材を通して侵入する気体、芯材から発生する気体が存在し、これらは気体吸着材のみで吸着が可能である。従って、真空封止後の外被材内部において気体吸着材の能力を十分に発揮するためには、真空封止後に外部に連通することが必要である。
真空機器は、内部に気体吸着材を設置した後は密閉されるため、外部から直接力を加えることにより気体吸着デバイスを切り替えることは困難である。従って、気体吸着材の切り替えは遠隔操作による切り替えが望ましい。遠隔操作による切り替えの手段として、気体吸着デバイスの温度変化により、気体吸着デバイスの密閉を解除する方法が有力である。
真空機器が密閉された後、温度を変化させることにより、内部の気体吸着デバイスの温度をも変化させ、所定の温度に到達することにより切り替えが可能である。温度変化による切り替えの方法としては、本発明では、予め部材で容器に突き刺し力を加えておき、低温状態では容器の強度が勝るため変形しないが、容器の温度上昇により軟化して変形することにより貫通孔を生じさせる方法を採用している。
以上のような方法を用いることにより、気体吸着デバイスに外部から力を加えずに変形させ、密閉性を解除して、吸着能力を発揮することができる。
さらに、真空機器を封止後に切り替えを行うため、気体吸着デバイスに、気体吸着材で吸着困難な気体が存在すると、真空封止後の真空機器内に残ってしまう。従って、気体吸着デバイス内部は予め真空にしておく必要があり、その許容圧力は100Pa以下である。
ここで、容器とは、例えば、球殻のように空間を内外に分断するものである。また、容器はガスバリア性に優れ、ガス透過度が10[cm/m・day・atm]以下であることが好ましく、より望ましくは10[cm/m・day・atm]以下となるものである。
熱可塑性素材とは、温度の上昇により、同一の押圧力によって、より変形しやすくなるものである。これらの条件を満たすものとしては、金属、ガラス、プラスチック等がある。
容器に押圧力(突き刺し力)を加える部材とは、所定の状況に設定することにより、外部からの力を加えることなく、容器に対して定常的に力を加える部材である。これらの手段は、弾性体に変形を加え、変形が戻ろうとする動作を容器により妨げることで、反作用の法則で容器に力が加えられるものである。例えば、有限な広さを有する容器に圧縮した状態で圧縮ばねを封入することがこれに相当する。圧縮ばねは長くなろうとすることで容器に押圧力(突き刺し力)を加える。
本発明での軟化とは、素材の強度が低下して貫通孔が生じうるようになることである。従って、ガラスの軟化温度やプラスチックの軟化温度などは通常定義されている温度と異なる場合がある。従って、軟化する温度は物質により一意的なものではなく、容器に加わる押圧力(突き刺し力)との兼ね合いで決定する。つまり、容器に加えられる押圧力(突き刺し力)が大きい場合は、容器の強度が大きくても変形して貫通孔が生じうるため軟化する温度は通常定義されている温度より低くなる。容器に加えられる力が小さい場合は、容器の軟化温度は、通常定義されている軟化温度に近くなる。
請求項2に記載の気体吸着デバイスの発明は、請求項1に記載の発明において、軟化した状態の前記容器に前記部材が突き刺し力を加えた時に、前記容器が変形する部分を制限して、前記容器に貫通孔ができないように前記容器が変形することを防止する支持体を、前記容器における前記部材による変形を防ぎたい部分の内面に当接または近接するように設けたものである。
温度の上昇により容器が軟化すると、容易に変形するようになる。従って、容器に押圧力(突き刺し力)を加える部材により予め加えられていた力により、容器は変形する。この際、容器は脆性が低くなっているため、部材の押圧力(突き刺し力)に追従して変形し、貫通孔が生じにくい。軟化している容器に貫通孔を生じさせるためには、押圧力(突き刺し力)による変形を容器の狭い部分に集中させることが効果的である。このためには、容器の変形を一部分に担わせるため、変形させる部分の周囲の変形を制限することが必要である。このように、変形させる部分の周囲の変形を制限する部材を支持体と称する。さらに十分な強度とは、部材の押圧力(突き刺し力)に抗してその形状を維持し、容器の変形を制限することが可能な強度である。
このように、容器の変形は、支持体により変形が制限されていない部分に集中するため、この部分の変形率は非常に大きくなり、容器の壁面が破断する。従って、容器には貫通孔が生じ、外部の気体の吸着が可能になる。
ここで、支持体は容器の軟化温度で十分な強度を有し、気体の発生が少ないものであれば特に制限するものではなく、金属、ガラス、セラミックス等の素材を用いることができる。
請求項3に記載の気体吸着デバイスの発明は、請求項1または請求項2に記載の発明における前記容器が、プラスチックからなるものである。
真空機器は構成要素の強度により、大気圧に抗してその形状を維持している。このため、真空機器の一部分が軟化温度より高くなると、大気圧により変形してしまう。従って、容器の軟化温度は、真空機器の構成要素の軟化温度より低いことが必須である。プラスチックは、金属、硝子等の熱可塑性材料に比較して著しく軟化温度が低いため、真空機器の構成要素より軟化温度が低くなることは容易である。従って、容器をプラスチックとすることで、真空機器の構成の自由度を向上することができる。
請求項4に記載の気体吸着デバイスの発明は、請求項3に記載の発明における前記容器が、ポリエチレンテレフタレートからなるものである。
ポリエチレンテレフタレートは、プラスチックの中でも特に軟化温度が低いため、より低温で容器に貫通孔を生じさせることができる。また、ガスバリア性が高いため、より薄い厚さでガス透過度を10[cm/m・day・atm]以下あるいは10[cm/m・day・atm]以下とすることが可能である。従って、容器の低コスト化、小型化が可能である。さらに、熱可塑性樹脂の中でも特に汎用性が高いため、より信頼性の高い容器を得ることが可能である。
請求項5に記載の気体吸着デバイスの発明は、請求項3に記載の発明における前記容器が、ポリエチレンからなるものである。
気体吸着材は、一般に水との親和性が高い。従って、容器内部の気体が水分を多く含む場合、水を吸着することにより気体を吸着できる量が低下してしまう。気体を選択的に吸着するためには、気体吸着材の周囲を水分吸着材で被い、気体吸着材に到達する気体に含まれる水の量を低減させる等の措置が必要となる。
一方、容器内部の気体に含まれる水分が少ない場合、特別の措置を施す必要がない。
ここで、ポリエチレンは熱可塑性樹脂の中では水分の透過度が小さいため容器内部への水分の侵入を抑制して、容器内部の水分の量を低減させることができる。
従って、気体吸着材の周囲を水分吸着材で被う必要がなく、気体吸着デバイス作製のコストを低減することができる。
請求項6に記載の気体吸着デバイスの発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記部材の少なくとも一部が、金属からなるものである。
容器に貫通孔が生じる温度は、真空機器に加わる温度を低減するため、可能な限り低くすることが望ましい。このために、容器の単位面積あたりに加わる力を大きくし、容器の軟化の程度が少くても貫通孔が生じるようにすることが望ましい。
容器の単位面積に加わる力を大きくすることは、容器に押圧力(突き刺し力)を加える部材と、容器の接触面積を小さくすることで達成される。容器に押圧力(突き刺し力)を加える部材と、容器の接触面積を小さくするには、部材が容器と接触する部分を鋭利な形状とすればよい。
この際、部材が容器と接触する部分の軟化温度が、容器の軟化温度より低いか同等の場合、容器の軟化温度では、その鋭利性が失われてしまう。従って、部材が容器と接触する部分の軟化温度は容器の軟化温度より著しく高いことが求められる。金属はプラスチックより軟化温度が著しく高いため、以上のような条件を満たすことができる。
本発明で使用可能な金属としては、鉄、銅、アルミニウム等、通常、構造体として用いられるものを用いることが望ましい。また、単独の金属ではなく、ステンレス、ジュラルミン等、構造体として用いることができる合金を用いても良い。
請求項7に記載の気体吸着デバイスの発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記部材の少なくとも一部が、ばねになっているものである。
部材が容器に押圧力(突き刺し力)を加え続けるためには、その一部を弾性体で構成し、力を加えその力が開放されようとする作用で容器に力を加える現象が利用できる。クリップで物体を挟む事等がこれに該当する。
弾性体がばねであることにより、容器に加える力を容易に制御できる。
請求項8に記載の気体吸着デバイスの発明は、請求項6または請求項7に記載の発明における前記部材が、容器に内設されているものである。
真空機器内部に十分な空間が確保できない場合、気体吸着デバイスは可能な限り小型化することが求められる。容器に押圧力(突き刺し力)を加える部材を容器に内包することにより、気体吸着デバイスを小型化することができる。さらに、容器に対して内側から押圧力(突き刺し力)を加えるため、部材を容器に固定することが容易であり、構造を簡素化することができ、コストを低減することができる。
簡素化した構造および、押圧力(突き刺し力)を加える手法の一例としては、ばねの部材を、縮めた状態で容器に封入することがあげられる。ばねは、伸びようとする力を容器に加え続けるため、容器の温度が上昇することにより軟化して、容器に貫通孔が生じる。
請求項9に記載の気体吸着デバイスの発明は、請求項6または請求項7に記載の発明における前記部材が、容器に外設されているものである。
容器に押圧力(突き刺し力)を加える部材が容器に外設されているため容器に加わる押圧力(突き刺し力)は容器の外側から内側へ作用することになる。従って、容器の外側が変形困難な物体で満たされているために容器の内側から外側への押圧力(突き刺し力)により貫通孔を生じさせることが困難な場合であっても容易に貫通孔を生じさせることができる。
請求項10に記載の気体吸着デバイスの発明は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の発明における気体吸着材が、CuZSM−5からなるものである。
CuZSM−5は非常に高活性であるため、使用前の空気との接触は僅かでも避けるべきである。真空機器に設置後に容器の温度を上昇させることにより、真空機器への設置過程における空気への接触を防ぐことができる。
以上のように、温度の上昇により軟化した容器に、予め加わっていた押圧力(突き刺し力)により貫通孔を生じさせ、密閉性を解除することにより、容器内の気体吸着材が、容器外の気体を吸着することができるようになる。
さらに、プラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンの他、ナイロン、ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート等を用いることができ、それぞれのプラスチックにおいて分子量の適正化や、添加剤により軟化温度をコントロールし、切り替え温度を変化するものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。また、真空機器の一例として真空断熱材をあげる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における気体吸着デバイスの切り替え前の側面図、図2は、同実施の形態1における気体吸着デバイスの切り替え前の断面図、図3は、同実施の形態1における気体吸着デバイスの切り替え後の断面図である。
図1から図3に示すように、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、CuZSM−5からなる気体吸着材2と、両端が塞がれた円筒状で熱可塑性素材であるポリエチレンテレフタレートからなり気体吸着材2を真空状態で内包し貫通孔ができるまで気体吸着材2が外部の気体を吸着することを防止する容器3と、略C字形の金属製のばねで両端を広げて両端が容器3の円筒状の外周面に容器3の外側から内側への押圧力(突き刺し力)を加えるように付勢して容器3の外に設けられ軟化する前の容器3に対しては容器3を貫通しない程度の力で容器3に突き刺し力を加え続けており所定の温度上昇で軟化した容器3に対しては突き刺し力で容器3を変形させて容器3に貫通孔をあける部材4と、軟化した状態の容器3に部材4が突き刺し力を加えた時に、容器3が変形する部分を制限して、容器3に貫通孔ができないように容器3が変形することを防止する金属製で側壁面の一部に孔をあけた円筒状の支持体5とを有し、支持体5を、支持体5の孔が略C字形の部材の先端が尖った一端と重なるように容器3における部材4による変形を防ぎたい部分の内面に当接または近接するように設けたものである。
図4は、同実施の形態1の気体吸着デバイスを内包した真空断熱材の概略断面図である。
図4に示すように、真空断熱材6は、気体吸着デバイス1とガラス繊維からなる芯材7とを、プラスチックラミネートフィルムの3方をシールして袋状とした外被材8内に入れて、減圧下で、袋状の外被材8の開口部をシールしたものである。
以上のように構成された本実施の形態の気体吸着デバイス1について、以下、気体吸着デバイス1の動作、作用を説明する。
最初は、気体吸着材2は、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート)製の容器3で形成される閉空間に真空封止されている。また、気体吸着デバイス1の保存は、室温付近の温度で保存する。容器3には部材4における先端が尖った一端が突き刺し力を加えているが、気体吸着デバイス1が室温付近の温度で保存されているために容器3は軟化しておらず、容器3の強度と部材4の突き刺し力の強さとの関係で、部材4が容器3に貫通孔をあけるまでには至っておらず、容器3は密閉状態を保っており、容器3内の気体吸着材2は容器3外の気体を吸着しておらず吸着力は劣化していない。このため、気体吸着デバイス1の不使用時は、気体吸着デバイス1を長時間大気中に放置しても、気体吸着材2は容器3外の気体に触れず気体吸着材2を劣化せず、気体吸着材2を収納した気体吸着デバイス1を長時間大気中で保存できる。
気体吸着デバイス1を芯材7と共に外被材8内に減圧封止した後、真空断熱材6を加熱すると、外被材8、芯材7を介して気体吸着デバイス1に熱が伝わり容器3の温度も上昇する。そして、容器3の温度を所定温度(容器3が軟化する温度)以上に上昇させると、容器3は熱可塑性素材(熱可塑性プラスチック)からなるため温度の上昇とともに軟化して、部材4の突き刺し力で容器3が変形するが、支持体5により容器3の変形可能な箇所は制限されるため、容器3の変形は略C字形の部材4の一端の突起部が容器3に押圧力(突き刺し力)を加える部分およびその近辺に集中する。やがて、容器3の変形する部分の変形率が大きくなって容器3に貫通孔ができ、容器3内の気体吸着材2が容器3外の外被材8内の気体を吸着することができるようになる。
以上のような機構により、保存時、真空断熱材6への適用時のいずれの場合においても、気体吸着材2が劣化することなく、真空断熱材6に適用することができ、内圧の低減および長期間にわたる真空度の維持が可能となる。
本実施の形態の気体吸着デバイス1は、気体吸着材2と、熱可塑性素材からなり気体吸着材2を内包し貫通孔ができるまで気体吸着材2が外部の気体を吸着することを防止する容器3と、軟化する前の容器3に対しては容器3を貫通しない程度の力で容器3に突き刺し力を加え続けており所定の温度上昇で軟化した容器3に対しては突き刺し力で容器3を変形させて容器3に貫通孔をあける部材4とを有するものである。
上記構成において、軟化する前の容器3には部材4が突き刺し力を加えているが、容器3の強度と部材4の突き刺し力の強さとの関係で、部材4が容器3に貫通孔をあけるまでには至っておらず、容器3は密閉状態を保っており、容器3内の気体吸着材2は容器3外の気体を吸着しておらず吸着力は劣化していない。このため、気体吸着デバイス1の不使用時は、気体吸着材2を劣化させることなく気体吸着材2を収納した気体吸着デバイス1を長時間保存できる。
また、気体吸着デバイス1を使用する場合は、気体吸着デバイス1の温度を所定温度以上に上昇させる。容器3の温度を所定温度(容器の軟化温度)以上に上昇させると、容器3は熱可塑性素材からなるため温度の上昇とともに軟化して、部材4の突き刺し力で容器3が変形し、やがて、容器3に貫通孔ができ、容器3内の気体吸着材2が容器3外の気体を吸着することができるようになる。
以上のように本実施の形態の気体吸着デバイス1では、容器3内の気体吸着材2が存在する空間が容器2の外側の空間と遮断された状態から容器3内の気体吸着材2が存在する空間が容器3の外側の空間と連通する状態への変化(気体吸着材2の密閉解除)が、所定の温度の変化により起きるので、気体吸着材2を真空機器6に適用する際、温度以外の因子を制御する必要が無く、生産性の向上を図ることが可能である。また、真空機器6に適用後に温度を制御することにより気体吸着デバイス1の切り替えが可能であるため、真空機器6の筐体外部から力を加えるのが不可能な場合であっても切り替え可能である。
本実施の形態の気体吸着デバイス1では、気体吸着デバイス1の切り替えが温度により行われるため、真空機器6への設置時に雰囲気温度の制御をするだけでよく、任意の状況で切り替えが可能である。従って、真空機器6筐体が変形せず、外部から力を加えることができない場合であっても切り替え可能である。
また、気体吸着デバイス1を真空機器6に設置し、真空機器6を密閉した後の切り替えが可能である。従って、吸着する必要のない気体、つまり、真空機器6外部の気体を吸着することがなく、保存時、真空機器6への適用時における気体吸着材の劣化を防ぐことができる。
気体吸着材2が高活性である程、また、比表面積が大きくなる程、取り扱いの条件が厳しくなる。つまり、気体吸着材2の活性を維持するために、空気に接触可能な時間が短くなり、また、接触可能な圧力も小さくなる。
従って、このような気体吸着材2は、保存時に加えて、真空機器6に設置する際の劣化も問題となる。従って、真空機器6に気体吸着材2を設置する際は、吸着すべき気体が存在する空間、つまり真空機器6内部の圧力が、可能な限り低い状態となってから連通させる必要がある。
真空機器6の一例として、真空断熱材6に気体吸着材2を適用する際は、ガスバリア性の外被材8中に芯材7と気体吸着材2を挿入したものをチャンバーに設置後、チャンバーを減圧し、外被材8内部を減圧後、外被材8の開口部を封止する。
この際、チャンバー内の減圧は真空ポンプにて行われる。常圧領域、つまり真空封止前ではポンプ、気体吸着材2いずれによっても減圧することが可能である。一方、低圧領域、つまり真空封止後の外被材8内部には、真空ポンプで減圧しきれなかった気体、真空封止後に外被材を通して侵入する気体、芯材7から発生する気体が存在し、これらは気体吸着材2のみで吸着が可能である。従って、真空封止後の外被材8内部において気体吸着材2の能力を十分に発揮するためには、真空封止後に外部に連通することが必要である。
真空機器6は、内部に気体吸着材2を設置した後は密閉されるため、外部から直接力を加えることにより気体吸着デバイス1を切り替えることは困難である。従って、気体吸着材1の切り替えは遠隔操作による切り替えが望ましい。遠隔操作による切り替えの手段として、気体吸着デバイス1の温度変化により、気体吸着デバイス1の密閉を解除する方法が有力である。
真空機器6が密閉された後、温度を変化させることにより、内部の気体吸着デバイス1の温度をも変化させ、所定の温度に到達することにより切り替えが可能である。温度変化による切り替えの方法としては、本実施の形態では、予め部材4で容器3に突き刺し力を加えておき、低温状態では容器3の強度が勝るため変形しないが、容器3の温度上昇により軟化して変形することにより貫通孔を生じさせる方法を採用している。
以上のような方法を用いることにより、気体吸着デバイス1に外部から力を加えずに変形させ、密閉性を解除して、吸着能力を発揮することができる。
さらに、真空機器6を封止後に切り替えを行うため、気体吸着デバイス1に、気体吸着材2で吸着困難な気体が存在すると、真空封止後の真空機器6内に残ってしまう。従って、気体吸着デバイス1内部は予め真空にしておく必要があり、その許容圧力は100Pa以下である。
また、容器3はガスバリア性に優れ、ガス透過度が10[cm/m・day・atm]以下であることが好ましく、より望ましくは10[cm/m・day・atm]以下となるものである。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、軟化した状態の容器3に部材4が突き刺し力を加えた時に、容器3が変形する部分を制限して、容器3に貫通孔ができないように容器3が変形することを防止する支持体5を、容器3における部材4による変形を防ぎたい部分の内面に当接または近接するように設けたものである。
温度の上昇により容器3が軟化すると、容易に変形するようになる。従って、容器3に押圧力(突き刺し力)を加える部材4により予め加えられていた力により、容器3は変形する。この際、容器3は脆性が低くなっているため、部材4の押圧力(突き刺し力)に追従して変形し、貫通孔が生じにくい。軟化している容器3に貫通孔を生じさせるためには、押圧力(突き刺し力)による変形を容器3の狭い部分に集中させることが効果的である。このためには、容器3の変形を一部分に担わせるため、変形させる部分の周囲の変形を制限することが必要である。そこで、変形させる部分の周囲の変形を支持体4により制限する。
このように、容器3の変形は、支持体4により変形が制限されていない部分に集中するため、この部分の変形率は非常に大きくなり、容器3の壁面が破断する。従って、容器3には貫通孔が生じ、外部の気体の吸着が可能になる。
ここで、支持体4は容器3の軟化温度で十分な強度を有し、気体の発生が少ないものである必要があり、本実施の形態では金属製であるが、ガラス、セラミックス等の素材を用いることもできる。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、容器3が、プラスチックからなる。
真空機器6は構成要素の強度により、大気圧に抗してその形状を維持している。このため、真空機器6の一部分が軟化温度より高くなると、大気圧により変形してしまう。従って、容器3の軟化温度は、真空機器6の構成要素の軟化温度より低いことが必須である。プラスチックは、金属、硝子等の熱可塑性材料に比較して著しく軟化温度が低いため、真空機器6の構成要素より軟化温度が低くなることは容易である。従って、容器3をプラスチックとすることで、真空機器6の構成の自由度を向上することができる。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、容器3が、ポリエチレンテレフタレートからなるものである。
ポリエチレンテレフタレートは、プラスチックの中でも特に軟化温度が低いため、より低温で容器3に貫通孔を生じさせることができる。また、ガスバリア性が高いため、より薄い厚さでガス透過度を10[cm/m・day・atm]以下あるいは10[cm/m・day・atm]以下とすることが可能である。従って、容器3の低コスト化、小型化が可能である。さらに、熱可塑性樹脂の中でも特に汎用性が高いため、より信頼性の高い容器3を得ることが可能である。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、部材4の少なくとも一部が、金属からなるものである。
容器3に貫通孔が生じる温度は、真空機器6に加わる温度を低減するため、可能な限り低くすることが望ましい。このために、容器3の単位面積あたりに加わる力を大きくし、容器3の軟化の程度が少くても貫通孔が生じるようにすることが望ましい。
容器3の単位面積に加わる力を大きくすることは、容器3に押圧力(突き刺し力)を加える部材4と、容器3の接触面積を小さくすることで達成される。容器3に押圧力(突き刺し力)を加える部材4と、容器3の接触面積を小さくするには、部材4が容器3と接触する部分を鋭利な(先端が尖った)形状とすればよい。
この際、部材4が容器3と接触する部分の軟化温度が、容器3の軟化温度より低いか同等の場合、容器3の軟化温度では、その鋭利性が失われてしまう。従って、部材4が容器3と接触する部分の軟化温度は容器3の軟化温度より著しく高いことが求められる。金属はプラスチックより軟化温度が著しく高いため、以上のような条件を満たすことができる。
部材4に使用可能な金属としては、鉄、銅、アルミニウム等、通常、構造体として用いられるものを用いることが望ましい。また、単独の金属ではなく、ステンレス、ジュラルミン等、構造体として用いることができる合金を用いても良い。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、部材4の少なくとも一部が、ばねになっているものである。
部材4が容器3に押圧力(突き刺し力)を加え続けるためには、その一部を弾性体で構成し、力を加えその力が開放されようとする作用で容器3に力を加える現象が利用できる。弾性体がばねであることにより、容器3に加える力を容易に制御できる。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、部材4が、容器3に外設されている(容器3の外側に設けられている)ものである。
容器3に押圧力(突き刺し力)を加える部材4が容器3に外設されているため容器3に加わる押圧力(突き刺し力)は容器3の外側から内側へ作用することになる。従って、容器3の外側が変形困難な物体で満たされているために容器3の内側から外側への押圧力(突き刺し力)により貫通孔を生じさせることが困難な場合であっても容易に貫通孔を生じさせることができる。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、気体吸着材2が、CuZSM−5からなるものである。
CuZSM−5は非常に高活性であるため、使用前の空気との接触は僅かでも避けるべきである。真空機器6に設置後に容器3の温度を上昇させることにより、真空機器6への設置過程における空気への接触を防ぐことができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における気体吸着デバイスの切り替え前の側面図、図6は、同実施の形態2における気体吸着デバイスの切り替え後の側面図である。
図5、図6に示すように、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、CuZSM−5からなる気体吸着材2と、両端が塞がれた円筒状で熱可塑性素材であるポリエチレンからなり気体吸着材2を真空状態で内包し貫通孔ができるまで気体吸着材2が外部の気体を吸着することを防止する容器3と、一端の先端が先が尖った突起部になっている金属製のコイルばねで長さ方向に圧縮されて両端が容器3の円筒状の内周面に容器3の内側から外側への押圧力(突き刺し力)を加えるように付勢して容器3の内側に円筒状の内周面の径方向に設けられ軟化する前の容器3に対しては容器3を貫通しない程度の力で容器3に突き刺し力を加え続けており所定の温度上昇で軟化した容器3に対しては突き刺し力で容器3を変形させて容器3に貫通孔をあける部材4と、容器3よりも径が大きい一方が開口した有底円筒状で容器3を収納し部材4の先端が先が尖った突起部になっている一端側の円筒状の内周面は容器3の円筒状の外周面と所定の間隔をあけ部材4の他端側の円筒状の内周面は容器3の円筒状の外周面と密着するように配置され部材4の他端が容器3を変形させるのを防止し部材4の先が尖った突起部が容器3を内側から突き破った場合に部材4の先が尖った突起部が気体吸着デバイス1の外側の物を傷つけないように保護する金属製の保護材9とを有する。
以上のように構成された本実施の形態の気体吸着デバイス1について、以下、気体吸着デバイス1の動作、作用を説明する。
なお、本実施の形態における真空断熱材6の作製方法等は実施の形態1と同様である。
最初は、気体吸着材2は、プラスチック(ポリエチレン)製の容器3で形成される閉空間に真空封止されている。また、気体吸着デバイス1の保存は、室温付近の温度で保存する。容器3には部材4における先端が尖った突起部を有する一端が突き刺し力を加えているが、気体吸着デバイス1が室温付近の温度で保存されているために容器3は軟化しておらず、容器3の強度と部材4の突き刺し力の強さとの関係で、部材4が容器3に貫通孔をあけるまでには至っておらず、容器3は密閉状態を保っており、容器3内の気体吸着材2は容器3外の気体を吸着しておらず吸着力は劣化していない。このため、気体吸着デバイス1の不使用時は、気体吸着デバイス1を長時間大気中に放置しても、気体吸着材2は容器3外の気体に触れず気体吸着材2を劣化せず、気体吸着材2を収納した気体吸着デバイス1を長時間大気中で保存できる。
気体吸着デバイス1を芯材7と共に外被材8内に減圧封止した後、真空断熱材6を加熱すると、外被材8、芯材7を介して気体吸着デバイス1に熱が伝わり容器3の温度も上昇する。そして、容器3の温度を所定温度(容器3が軟化する温度)以上に上昇させると、容器3は熱可塑性素材(熱可塑性プラスチック)からなるため温度の上昇とともに軟化して、部材4の突き刺し力で容器3が変形するが、保護材9により容器3の変形する箇所は部材4の尖った突起部が突き刺し力を加えている箇所に制限される。やがて、容器3の変形する部分の変形率が大きくなって容器3に貫通孔ができ、容器3内の気体吸着材2が容器3外の外被材8内の気体を吸着することができるようになる。このとき、部材4の先が尖った突起部が容器3を内側から突き破るが、容器3の外側の金属製の保護材9を突き破ることはできず、部材4の先が尖った突起部が気体吸着デバイス1の外側の外被材8を損傷させることはない。
以上のような機構により、保存時、真空断熱材6への適用時のいずれの場合においても、気体吸着材2が劣化することなく、真空断熱材6に適用することができ、内圧の低減および長期間にわたる真空度の維持が可能となる。
本実施の形態の気体吸着デバイス1は、気体吸着材2と、熱可塑性素材からなり気体吸着材2を内包し貫通孔ができるまで気体吸着材2が外部の気体を吸着することを防止する容器3と、軟化する前の容器3に対しては容器3を貫通しない程度の力で容器3に突き刺し力を加え続けており所定の温度上昇で軟化した容器3に対しては突き刺し力で容器3を変形させて容器3に貫通孔をあける部材4とを有するものである。
上記構成において、軟化する前の容器3には部材4が突き刺し力を加えているが、容器3の強度と部材4の突き刺し力の強さとの関係で、部材4が容器3に貫通孔をあけるまでには至っておらず、容器3は密閉状態を保っており、容器3内の気体吸着材2は容器3外の気体を吸着しておらず吸着力は劣化していない。このため、気体吸着デバイス1の不使用時は、気体吸着材2を劣化させることなく気体吸着材2を収納した気体吸着デバイス1を長時間保存できる。
また、気体吸着デバイス1を使用する場合は、気体吸着デバイス1の温度を所定温度以上に上昇させる。容器3の温度を所定温度(容器の軟化温度)以上に上昇させると、容器3は熱可塑性素材からなるため温度の上昇とともに軟化して、部材4の突き刺し力で容器3が変形し、やがて、容器3に貫通孔ができ、容器3内の気体吸着材2が容器3外の気体を吸着することができるようになる。
以上のように本実施の形態の気体吸着デバイス1では、容器3内の気体吸着材2が存在する空間が容器2の外側の空間と遮断された状態から容器3内の気体吸着材2が存在する空間が容器3の外側の空間と連通する状態への変化(気体吸着材2の密閉解除)が、所定の温度の変化により起きるので、気体吸着材2を真空機器6に適用する際、温度以外の因子を制御する必要が無く、生産性の向上を図ることが可能である。また、真空機器6に適用後に温度を制御することにより気体吸着デバイス1の切り替えが可能であるため、真空機器6の筐体外部から力を加えるのが不可能な場合であっても切り替え可能である。
本実施の形態の気体吸着デバイス1では、気体吸着デバイス1の切り替えが温度により行われるため、真空機器6への設置時に雰囲気温度の制御をするだけでよく、任意の状況で切り替えが可能である。従って、真空機器6筐体が変形せず、外部から力を加えることができない場合であっても切り替え可能である。
また、気体吸着デバイス1を真空機器6に設置し、真空機器6を密閉した後の切り替えが可能である。従って、吸着する必要のない気体、つまり、真空機器6外部の気体を吸着することがなく、保存時、真空機器6への適用時における気体吸着材の劣化を防ぐことができる。
気体吸着材2が高活性である程、また、比表面積が大きくなる程、取り扱いの条件が厳しくなる。つまり、気体吸着材2の活性を維持するために、空気に接触可能な時間が短くなり、また、接触可能な圧力も小さくなる。
従って、このような気体吸着材2は、保存時に加えて、真空機器6に設置する際の劣化も問題となる。従って、真空機器6に気体吸着材2を設置する際は、吸着すべき気体が存在する空間、つまり真空機器6内部の圧力が、可能な限り低い状態となってから連通させる必要がある。
真空機器6の一例として、真空断熱材6に気体吸着材2を適用する際は、ガスバリア性の外被材8中に芯材7と気体吸着材2を挿入したものをチャンバーに設置後、チャンバーを減圧し、外被材8内部を減圧後、外被材8の開口部を封止する。
この際、チャンバー内の減圧は真空ポンプにて行われる。常圧領域、つまり真空封止前ではポンプ、気体吸着材2いずれによっても減圧することが可能である。一方、低圧領域、つまり真空封止後の外被材8内部には、真空ポンプで減圧しきれなかった気体、真空封止後に外被材を通して侵入する気体、芯材7から発生する気体が存在し、これらは気体吸着材2のみで吸着が可能である。従って、真空封止後の外被材8内部において気体吸着材2の能力を十分に発揮するためには、真空封止後に外部に連通することが必要である。
真空機器6は、内部に気体吸着材2を設置した後は密閉されるため、外部から直接力を加えることにより気体吸着デバイス1を切り替えることは困難である。従って、気体吸着材1の切り替えは遠隔操作による切り替えが望ましい。遠隔操作による切り替えの手段として、気体吸着デバイス1の温度変化により、気体吸着デバイス1の密閉を解除する方法が有力である。
真空機器6が密閉された後、温度を変化させることにより、内部の気体吸着デバイス1の温度をも変化させ、所定の温度に到達することにより切り替えが可能である。温度変化による切り替えの方法としては、本実施の形態では、予め部材4で容器3に突き刺し力を加えておき、低温状態では容器3の強度が勝るため変形しないが、容器3の温度上昇により軟化して変形することにより貫通孔を生じさせる方法を採用している。
以上のような方法を用いることにより、気体吸着デバイス1に外部から力を加えずに変形させ、密閉性を解除して、吸着能力を発揮することができる。
さらに、真空機器6を封止後に切り替えを行うため、気体吸着デバイス1に、気体吸着材2で吸着困難な気体が存在すると、真空封止後の真空機器6内に残ってしまう。従って、気体吸着デバイス1内部は予め真空にしておく必要があり、その許容圧力は100Pa以下である。
また、容器3はガスバリア性に優れ、ガス透過度が10[cm/m・day・atm]以下であることが好ましく、より望ましくは10[cm/m・day・atm]以下となるものである。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、容器3が、プラスチックからなる。
真空機器6は構成要素の強度により、大気圧に抗してその形状を維持している。このため、真空機器6の一部分が軟化温度より高くなると、大気圧により変形してしまう。従って、容器3の軟化温度は、真空機器6の構成要素の軟化温度より低いことが必須である。プラスチックは、金属、硝子等の熱可塑性材料に比較して著しく軟化温度が低いため、真空機器6の構成要素より軟化温度が低くなることは容易である。従って、容器3をプラスチックとすることで、真空機器6の構成の自由度を向上することができる。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、容器3が、ポリエチレンからなる。
気体吸着材2は、一般に水との親和性が高い。従って、容器3内部の気体が水分を多く含む場合、水を吸着することにより気体を吸着できる量が低下してしまう。気体を選択的に吸着するためには、気体吸着材2の周囲を水分吸着材で被い、気体吸着材2に到達する気体に含まれる水の量を低減させる等の措置が必要となる。
一方、容器3内部の気体に含まれる水分が少ない場合、特別の措置を施す必要がない。
ここで、ポリエチレンは熱可塑性樹脂の中では水分の透過度が小さいため容器3内部への水分の侵入を抑制して、容器3内部の水分の量を低減させることができる。
従って、気体吸着材2の周囲を水分吸着材で被う必要がなく、気体吸着デバイス1作製のコストを低減することができる。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、部材4の少なくとも一部が、金属からなるものである。
容器3に貫通孔が生じる温度は、真空機器6に加わる温度を低減するため、可能な限り低くすることが望ましい。このために、容器3の単位面積あたりに加わる力を大きくし、容器3の軟化の程度が少くても貫通孔が生じるようにすることが望ましい。
容器3の単位面積に加わる力を大きくすることは、容器3に押圧力(突き刺し力)を加える部材4と、容器3の接触面積を小さくすることで達成される。容器3に押圧力(突き刺し力)を加える部材4と、容器3の接触面積を小さくするには、部材4が容器3と接触する部分を鋭利な(先端が尖った)形状とすればよい。
この際、部材4が容器3と接触する部分の軟化温度が、容器3の軟化温度より低いか同等の場合、容器3の軟化温度では、その鋭利性が失われてしまう。従って、部材4が容器3と接触する部分の軟化温度は容器3の軟化温度より著しく高いことが求められる。金属はプラスチックより軟化温度が著しく高いため、以上のような条件を満たすことができる。
部材4に使用可能な金属としては、鉄、銅、アルミニウム等、通常、構造体として用いられるものを用いることが望ましい。また、単独の金属ではなく、ステンレス、ジュラルミン等、構造体として用いることができる合金を用いても良い。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、部材4の少なくとも一部が、ばねになっているものである。
部材4が容器3に押圧力(突き刺し力)を加え続けるためには、その一部を弾性体で構成し、力を加えその力が開放されようとする作用で容器3に力を加える現象が利用できる。弾性体がばねであることにより、容器3に加える力を容易に制御できる。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、部材4が、容器3に内設されている(容器3の内側に設けられている)ものである。
真空機器6内部に十分な空間が確保できない場合、気体吸着デバイス1は可能な限り小型化することが求められる。容器3に押圧力(突き刺し力)を加える部材4を容器3に内包することにより、気体吸着デバイス1を小型化することができる。さらに、容器3に対して内側から押圧力(突き刺し力)を加えるため、部材4を容器3に固定することが容易であり、構造を簡素化することができ、コストを低減することができる。
簡素化した構造および、押圧力(突き刺し力)を加える手法の一例としては、ばねの部材4を、縮めた状態で容器3に封入することがあげられる。ばねは、伸びようとする力を容器3に加え続けるため、容器3の温度が上昇することにより軟化して、容器3に貫通孔が生じる。
また、本実施の形態の気体吸着デバイス1は、気体吸着材2が、CuZSM−5からなるものである。
CuZSM−5は非常に高活性であるため、使用前の空気との接触は僅かでも避けるべきである。真空機器6に設置後に容器3の温度を上昇させることにより、真空機器6への設置過程における空気への接触を防ぐことができる。
(実施例1)
実施例1は実施の形態1の具体例であり、実施の形態1と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
実施例1の気体吸着デバイス1は、気体吸着材2として、粉末状のCuZSM−5を用いた。容器3として、ポリエチレンテレフタレート製のものを用いた。容器3の形状は、厚さ1mm、内径10mm、長さ100mmの両端が塞がった円筒形である。支持体5はステンレス製であり長さ10mm、内径9mm、外形10mmの円筒形であり、側面(側壁)に直径2mmの孔が開いており、容器3に内接している。
容器3に押圧力(突き刺し力)を加える部材4は、ステンレス製の略C字形のクリップであり、容器3に接する部分の一端が先が尖った突起部になっており、この突起部が、支持体5の孔に重なるように取り付けられている。容器3内部には、気体吸着材2として粉末状のCuZSM−5が内包されており、水による劣化を防ぐため周りを酸化カルシウム製の水分吸着材で被ってある。
上記の通り構成された気体吸着デバイス1を用いて真空断熱材6を作製した。真空断熱材6の芯材7としてガラス繊維集合体を加圧しながら400℃で熱成型して板状としたものを用いた。外被材8はプラスチックラミネートフィルムであり、厚さ15μmのナイロン、厚さ25μmのナイロン、厚さ6μ、mのアルミニウム、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムの順にラミネートされている。
予め3方向をシールして袋状とした外被材8内に芯材7と気体吸着デバイス1を挿入し、真空チャンバーに設置し100Paまで減圧後に外被材8の開口部を封止した。常温では、気体吸着デバイス1の容器3は十分な強度を有するため、大気圧が加わっても変形が小さく貫通孔は生じない。
真空断熱材6を70℃まで加熱し、2時間放置すると、熱伝導により加熱された気体吸着デバイス1の容器3が軟化する。支持体5の孔に重なる部分は、予め突起物を押し付ける押圧力(突き刺し力)が働いているので、軟化によりこの力に耐え切れなくなり、貫通孔が生じる。この結果、外被材8内部の気体が吸着可能となる。
真空断熱材6の内部の圧力を計測すると、5Paであり気体吸着材2による吸着の結果、外被材8の内部圧力が低減したことがわかる。
さらに、この真空断熱材6を1ヶ月大気中で保存した後の内圧は5Paであり、外被材8を介して侵入する気体を気体吸着材2であるCuZSM−5が吸着していることがわかる。
(実施例2)
実施例2は実施の形態1の容器3の材料を変えた場合の具体例であり、実施の形態1と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
実施例2の気体吸着デバイス1は、気体吸着材2として、粉末状のCuZSM−5を用いた。容器3として、ポリエチレン製のものを用いた。容器3の形状は、厚さ1mm、内径10mm、長さ100mmの両端が塞がった円筒形である。支持体5はステンレス製であり長さ10mm、内径9mm、外形10mmの円筒形であり、側面(側壁)に直径2mmの孔が開いており、容器3に内接している。
容器3に押圧力(突き刺し力)を加える部材4は、ステンレス製の略C字形のクリップであり、容器3に接する部分の一端が先が尖った突起部になっており、この突起部が、支持体5の孔に重なるように取り付けられている。ポリエチレンは水蒸気透過度が小さいため、水分吸着材を使用しなくても、気体吸着材2であるCuZSM−5の劣化を少なくすることができる。
上記の通り構成された気体吸着デバイス1を用いて真空断熱材6を作製した。真空断熱材6の芯材7としてガラス繊維集合体を加圧しながら400℃で熱成型して板状としたものを用いた。外被材8はプラスチックラミネートフィルムであり、厚さ15μmのナイロン、厚さ25μmのナイロン、厚さ6μmのアルミニウム、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムの順にラミネートされている。
予め3方向をシールして袋状とした外被材8内に芯材7と気体吸着デバイス1を挿入し、真空チャンバーに設置し100Paまで減圧後に外被材8の開口部を封止した。常温では、気体吸着デバイス1の容器3は十分な強度を有するため、大気圧が加わっても変形が小さく貫通孔は生じない。
真空断熱材6を105℃まで加熱し、2時間放置すると、熱伝導により加熱された気体吸着デバイス1の容器3が軟化する。支持体5の孔に重なる部分は、予め突起物を押し付ける押圧力(突き刺し力)が働いているので、軟化によりこの力に耐え切れなくなり、貫通孔が生じる。この結果、外被材8内部の気体が吸着可能となる。
真空断熱材6の内部の圧力を計測すると、5Paであり気体吸着材2による吸着の結果、外被材8の内部圧力が低減したことがわかる。
さらに、この真空断熱材6を1ヶ月大気中で保存した後の内圧は5Paであり、外被材8を介して侵入する気体を気体吸着材2であるCuZSM−5が吸着していることがわかる。
(実施例3)
実施例3は実施の形態2の容器3の材料を変えた場合の具体例であり、実施の形態2と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
実施例3の気体吸着デバイス1は、気体吸着材2として、粉末状のCuZSM−5を用いた。容器3として、ポリエチレンテレフタレート製のものを用いた。容器3の形状は、厚さ1mm、内径10mm、長さ100mmの両端が塞がった円筒形である。
容器3内部には、気体吸着材2であるCuZSM−5が内包されており、水による劣化を防ぐため周りを酸化カルシウム製の水分吸着材で被ってある。さらに容器3内部には、一方に突起部を有する圧縮ばねの部材4が内包されており、容器3に接触することにより伸びが制限されており、容器3には内側から外側へ向かって突き刺し力が働いている。
上記の通り構成された気体吸着デバイス1を用いて真空断熱材6を作製した。真空断熱材6の芯材7としてガラス繊維集合体を加圧しながら400℃で熱成型して板状としたものを用いた。外被材8はプラスチックラミネートフィルムであり、厚さ15μmのナイロン、厚さ25μmのナイロン、厚さ6μ、mのアルミニウム、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムの順にラミネートされている。
予め3方向をシールして袋状とした外被材8内に芯材7と気体吸着デバイス1と保護材9を挿入し、真空チャンバーに設置し100Paまで減圧後封止した。この際、保護材9は容器3と外被材8の間になるように設置してある。
常温では、気体吸着デバイス1の容器3は十分な強度を有するため、大気圧が加わっても変形が小さく貫通孔は生じない。真空断熱材6を70℃まで加熱し、2時間放置すると、熱伝導により加熱された気体吸着デバイス1の容器3が軟化する。容器3には内側から外側へ向かって部材4の突き刺し力が働いているので、軟化によりこの力に耐え切れなくなり、貫通孔生じる。
この結果、外被材8内部の気体が吸着可能となる。さらに、容器3と外被材8の間には保護材9があるため、外被材8に部材4の突き刺し力は働かず、外被材8の劣化(破損)を防ぐことができる。
真空断熱材6の内部の圧力を計測すると、5Paであり気体吸着材2による吸着の結果、外被材8の内部圧力が低減したことがわかる。
さらに、この真空断熱材6を1ヶ月大気中で保存した後の内圧は5Paであり、外被材8を介して侵入する気体を気体吸着材2であるCuZSM−5が吸着していることがわかる。
本発明にかかる気体吸着デバイスは、高活性の気体吸着材を大気圧下で劣化することなく取り扱うことが可能であるので、真空断熱材等のように、内部を真空にすることにより機能を発現する真空機器に適用できる。
本発明の実施の形態1における気体吸着デバイスの切り替え前の側面図 同実施の形態における気体吸着デバイスの切り替え前の断面図 同実施の形態における気体吸着デバイスの切り替え後の断面図 同実施の形態の気体吸着デバイスを内包した真空断熱材の概略断面図 本発明の実施の形態2における気体吸着デバイスの切り替え前の側面図 同実施の形態における気体吸着デバイスの切り替え後の側面図
符号の説明
1 気体吸着デバイス
2 気体吸着材
3 容器
4 部材
5 支持体

Claims (10)

  1. 気体吸着材と、熱可塑性素材からなり前記気体吸着材を内包し貫通孔ができるまで前記気体吸着材が外部の気体を吸着することを防止する容器と、軟化する前の前記容器に対しては前記容器を貫通しない程度の力で前記容器に突き刺し力を加え続けており所定の温度上昇で軟化した前記容器に対しては前記突き刺し力で前記容器を変形させて前記容器に貫通孔をあける部材とを有する気体吸着デバイス。
  2. 軟化した状態の前記容器に前記部材が突き刺し力を加えた時に、前記容器が変形する部分を制限して、前記容器に貫通孔ができないように前記容器が変形することを防止する支持体を、前記容器における前記部材による変形を防ぎたい部分の内面に当接または近接するように設けた請求項1に記載の気体吸着デバイス。
  3. 前記容器が、プラスチックからなる請求項1または請求項2に記載の気体吸着デバイス。
  4. 前記容器が、ポリエチレンテレフタレートからなる請求項3に記載の気体吸着デバイス。
  5. 前記容器が、ポリエチレンからなる請求項3に記載の気体吸着デバイス。
  6. 前記部材の少なくとも一部は、金属からなる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の気体吸着デバイス。
  7. 前記部材の少なくとも一部は、ばねになっている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の気体吸着デバイス。
  8. 前記部材が、容器に内設されている請求項6または請求項7に記載の気体吸着デバイス。
  9. 前記部材が、容器に外設されている請求項6または請求項7に記載の気体吸着デバイス。
  10. 気体吸着材が、CuZSM−5からなる請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の気体吸着デバイス。
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