JP2008199593A - 無線通信方法および無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】指向性の電波を使用するアドホックネットワークにおいて、マルチアクセスを簡易に実現すること。
【解決手段】指向性の電波を使用するアドホックネットワークにおいて、マスタデバイスとして機能する2つのPNC(A1、A2)を、互いに指向性が向かい合うように対向配置する。スーパフレーム200は2つのサブスーパフレーム201、202に時分割して、一方のサブスーパフレームは一方のPNC(A1)に制御させ、もう一方のサブスーパフレームは他方のPNC(A2)に制御させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、無線通信ネットワーク、特にマルチアクセスアドホックネットワークの構築に好適な無線通信方法および無線通信装置に関する。
UWB(Ultra Wide band)は、近年開発中の近距離無線通信技術である。マイクロ波帯におけるUWB技術は、UWBの業界団体であるWiMediaによる標準化が完了しており、これに準拠した製品(ワイヤレスUSBなど)も近々発売予定の状況である。
UWBやWi−Fi(Wireless Fidelity)といった比較的近距離の無線通信は、帯域の有効利用の必要性から、マルチアクセス技術が導入される。Wi−Fiでは、イーサネット(登録商標)のCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection:搬送波感知多重アクセス/衝突検出)プロトコルの無線版ともいえるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance:搬送波感知多重アクセス/衝突回避)によるキャリア検知機能に基づく排他制御によって、マルチアクセスを実現している。Wi−Fiでは、アクセスポイントを介するスター型のネットワーク形態を取るのが特徴である。なお、Wi−Fiの技術は、非特許文献1に開示されている。
また、WiMediaにおいては、TDMA(Time Division Multiple Access)を主体としたスロット予約型の排他制御によってマルチアクセスを実現する。さらに、WiMediaによるネットワーク形態は、各ノードがビーコンを送信し合ってネットワークを構成するメッシュ型となっている。
ミリ波帯における電波の特質としては指向性が挙げられる。すなわち、ミリ波帯の電波は、マイクロ波帯の電波と異なり、指向性を有する。ミリ波帯のUWBを使用する無線通信方式、つまり、指向性を有する電波を使用する無線通信方式においてマルチアクセスを実現する方法が求められている。
UWBの伝送距離は極めて短いため、UWBのアプリケーションとしては、例えば、WPAN(Wireless Personal Area Network)が考えられている。PANは、個人が所持している機器間を広帯域で接続するネットワーク技術であり、WPANはデジタル家電を無線でつなぐことを想定している。現時点におけるWPANのMAC(Medium Access Control)の構成は、非特許文献2に開示されている。
ANS/IEEE Standard 802.11, 1999 Edition, Local and metropolitan area networks - Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications IEEE Standard 802.15.3-2003, Local and metropolitan area networks - Part 15.3: Wireless Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications for High Rate Wireless Personal Area Networks (WPANs)
ミリ波帯のUWBを使用する無線通信方式におけるマルチアクセス実現方法の検討に際しては、どのようなネットワーク形態が可能であるかを考える必要がある。なお、UWBのアプリケーションとして考えられている上記WPANでは、その構成要素はデバイス(DEV:Device)と呼ばれるため、本明細書でも、ネットワークを構成するノードのことを「デバイス(DEV)」と呼ぶことにする。
第1に、ミリ波帯のUWB技術においては、ミリ波が指向性の強い電波であるため、CSMAによる排他制御は使用が困難であるという事実である。例えば、図26に示すように、デバイスPがデバイスQと通信を行いたい場合、競合する相手はデバイスXである。このとき、デバイスPとデバイスXとは、共に指向性アンテナによる通信を行うため、デバイスPはデバイスXからの信号を、デバイスXはデバイスPからの信号をそれぞれ受信することが困難である。このため、ミリ波帯におけるUWBでは、キャリア(搬送波)の有無の判定による排他制御を行うCSMA技術を、そのまま適用することが困難である。
また、スター型のネットワーク構成では、双方向通信でのマルチアクセスは実現が困難である。なぜなら、この場合、ある1つのデバイス(マスタ)Pから発せられる指向性アンテナによる無線通信エリアとこれを受信する他の複数のデバイス(スレーブ)Q1、Q2は、図27に示すように、すべて同じ方向を向くことになる。このため、複数のデバイス(スレーブ)Q1、Q2からデバイス(マスタ)Pへの通信の排他制御は構成上可能かもしれないが、デバイス(マスタ)Pからの通信は排他制御が困難であるからである。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、指向性を有する電波を使用するアドホックネットワークにおいて、マルチアクセスを簡易に実現することができる無線通信方法および無線通信装置を提供することを目的とする。
本発明の無線通信方法は、指向性電波を用いて通信エリア内の少なくとも1つのスレーブ無線通信装置を制御するマスタ無線通信装置がスーパフレームを用いて通信を行う無線通信方法において、前記マスタ無線通信装置を、互いに指向性が向かい合うように対向配置し、前記スーパフレームをサブスーパフレームに時分割し、それぞれのサブスーパフレームを前記マスタ無線通信装置の間で割り振って、通信制御を行う、ようにした。
本発明の無線通信装置は、指向性電波を用いて無線通信を行うマスタ無線通信装置であって、ネットワークの通信に用いるスーパフレームをサブスーパフレームに時分割して得られた1つのサブスーパフレームを用いて互いに指向性が向かい合うように対向配置された他のマスタ無線通信装置に送信する同期用の基準信号であるメインビーコンを生成するMAC処理部と、生成されたメインビーコンを送信する送信部と、を有する構成を採る。
本発明の無線通信装置は、指向性電波を用いて無線通信を行うマスタ無線通信装置であって、互いに指向性が向かい合うように対向配置された他のマスタ無線通信装置から、ネットワークの通信に用いるスーパフレームをサブスーパフレームに時分割して得られた1つのサブスーパフレームを用いて送信された同期用の基準信号であるメインビーコンを受信する受信部と、前記メインビーコンに対するエコーであることを示す情報を含むエコービーコンを生成するMAC処理部と、生成されたエコービーコンを送信する送信部と、を有する構成を採る。
本発明によれば、指向性を有する電波を使用するアドホックネットワークにおいて、マルチアクセスを簡易に実現することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、無線通信装置は、無線通信をミリ波帯のUWBで行うものとして説明するが、これに限られるものではない。また、本実施の形態では、WPANへの適用を想定して、WPANで用いられる用語を使用する。具体的には、ネットワークを構成するノード(端末)のことを広く「デバイス」と呼ぶことにする。また、ネットワークを構成する複数のデバイスのうち、統制役のデバイス(マスタ)のことを、「ピコネット・コーディネータ(PNC:Piconet Coordinator)」と呼ぶことにする。特に、マスタデバイスは「PNC」と表記し、スレーブデバイスは「DEV」と表記することにする。デバイスとしては、具体的には、例えば、テレビ、HDDレコーダ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、オーディオプレイヤーなどのデジタル家電を想定している。
図1は、本実施の形態に係る無線通信方法を適用したネットワークの構成を示す概略図である。
図1に示すネットワークは、2つのPNC(A1、A2)を有する例を示す。各PNCは、マスタデバイスとして、周辺にある他の複数のスレーブデバイス(DEV)を束ねて1つのピコネット(Piconet)を形成する。ピコネットとは、一般に、1つのマスタに対して複数のスレーブを接続して構成されるネットワークである。PNCは、ビーコン(Beacon、基準信号)を送信してネットワークのタイミングを調整する機能を有する。DEVは、ネットワークに従属し、ビーコンを受信してPNCから指定されたタイミングで通信相手と通信(データの送受信など)を行う。PNCは、各DEVに割り当てるタイムリソース(時間間隔など)を管理することによって、各DEVの通信路の形成を制御する。これにより、任意のDEV間で1対1(ポイント・ツー・ポイント)の通信路が形成され、データ転送などの通信が行われる。なお、PNCは、ピコネット内で単にDEVとしても機能する。すなわち、必要に応じて、PNCは、自己のデータの送受信を行うことが可能である。
2つのPNC(A1、A2)は、指向性電波(ミリ波帯のUWB)を使用するため、それぞれ一定の無線通信エリア10、20を有する。2つのPNC(A1、A2)は、互いに指向性が向かい合うように、つまり、自無線通信装置が他のPNCの無線通信エリア内に存在するように対向配置されている。本実施の形態では、好ましくは、2つのPNC(A1、A2)は、自無線通信装置の1本の指向性アンテナが一定の方向に固定的に配置されている。WPANへの適用を考えた場合、PNCは、例えば、デジタルテレビ受信機その他の据え置き型デジタル家電である。なお、PNCは、携帯電話、PDA(Personal Data Assistance)などの移動端末であってもよい。また、図示しないが、もちろん、各DEVも指向性を有する。
例えば、図1において、一方のPNC(A1)の無線通信エリア10内には、他方のPNC(A2)のほかに複数のDEV(B2、C2、D2)が存在する。他方のPNC(A2)の通信エリア20内には、一方のPNC(A1)のほかに、複数のDEV(B1、C1、D1)が存在している。したがって、図1のネットワークでは、1つのPNC(A1)によって3つのDEV(B2、C2、D2)を含むサブピコネットが形成され、もう1つのPNC(A2)によって他の3つのDEV(B1、C1、D1)を含む別のサブピコネットが形成されている。すなわち、図1のネットワークは、2つのPNC(A1、A2)によって、それぞれサブピコネットが形成され、更に、2つのサブピコネットによって、1つのピコネットが構成されている。なお、図1において、デバイスX、Y、Z、Wは、このネットワーク外のデバイスである。
後で詳述するように、2つのPNC(A1、A2)は、互いに同期を取って交互にビーコンを送信する。そのため、本実施の形態では、2つのPNCに「主」と「副」の区別を設ける。主サイドのPNCは、副サイドのDEVと通信可能なデバイスであり、副サイドのPNCは、主サイドのDEVと通信可能なデバイスである。例えば、図1において、A1を「主」とし、A2を「副」とすると、デバイスA1は主サイドのPNCであり、デバイスA2は、副サイドのPNCである。また、デバイスB1、C1、D1は、副サイドのPNC(A2)と通信可能な主サイドのDEVであり、デバイスB2、C2、D2は、主サイドのPNC(A1)と通信可能な副サイドのDEVである。なお、どちらのPNCを「主」(または「副」)とするかは、設定情報により決定される。
図2は、図1のネットワークにおけるスーパフレームの構成を示す図である。また、図3は、図2のスーパフレームにおけるデバイス間の信号の送受信関係を示す図である。
本実施の形態のネットワークの通信では、図2に示す構成のスーパフレームを使用する。このスーパフレーム200は、2つのサブスーパフレーム、具体的には、主サブスーパフレーム201と副サブスーパフレーム202とで構成されている。主サブスーパフレーム201は、主サイドのPNCがメインビーコンを送信するスーパフレームである。主サブスーパフレーム201は、先頭から順に主サイドメインビーコン、主サイドエコービーコン、副サイド個別要求スロット、および副サイドRS(Reservation Slot:リザベーションスロット)という4つの部分で構成されている。また、副サブスーパフレーム202は、副サイドのPNCがメインビーコンを送信するスーパフレームであって、主サブスーパフレーム201と同様のパートで構成されている。すなわち、副サブスーパフレーム202は、先頭から順に副サイドメインビーコン、副サイドエコービーコン、主サイド個別要求スロット、および主サイドRSで構成されている。
主サイドメインビーコンは、図3に示すように、主サイドのPNCから副サイドのデバイス(PNC、DEV)に対して送信される。主サイドメインビーコンは、副サイドのすべてのデバイス(PNC、DEV)に対して主サブスーパフレーム開始のタイミングを同期させ、同時に副サイドの各デバイスに対して必要な情報や指令を流すための制御信号である。ビーコンの送信は、ブロードキャスト(一斉同報)によって行われる。
主サイドエコービーコンは、図3に示すように、副サイドのPNCから主サイドのデバイス(PNC、DEV)に対して送信(ブロードキャスト)される。この主サイドエコービーコンは、主サイドのPNCから副サイドのデバイス(PNC、DEV)に対して送信された主サイドメインビーコンの内容を、主サイドのDEVに対して通知するための制御信号である。主サイドエコービーコンは、フレームヘッダの送信元アドレスおよびエコーフラグを除いて、主サイドメインビーコンとほぼ全く同じ内容を有する。これにより、本来主サイドメインビーコンを受信が困難な主サイドのDEVであっても、主サイドメインビーコンの内容を知ることができ、本来互いに通信が困難である主サイドのデバイス(PNC、DEV)間において情報の共有が可能になる。
副サイド個別要求スロットは、副サイドにおけるすべてのDEVが通信路にアクセス可能なアクセス期間として、副サイドのDEVがネットワークに対して各種要求を行うためのスロットである。各DEVの要求には、例えば、アソシエーション(ASS:Association)(ネットワークへの加入)、RS予約(通信スロットの予約)、RS解約(予約した通信スロットの解約)、キープアライブ(ネットワークへの加入継続)などがある。各DEVの要求は、この個別要求スロットによって競合なしに送信される。副サイド個別要求スロットでは、図3に示すように、副サイドのDEVの要求が、主サイドのデバイス(PNC、DEV)に対して送信される。
副サイド個別要求スロットには、1)加入者用の要求スロットと、2)新規加入者用の要求スロットとが設けられている。この加入者用の要求スロットは、既にアソシエーションを済ませて加入済みの副サイドのDEVが、通信スロットを予約したり解約したりするためのスロットであって、主サイドのPNCによって割り当てられる。また、この新規加入者用の要求スロットは、新規に加入するDEVに対して、アソシエーションを実施するために、未加入のどのDEVも使用することができるスロットである。前者に関しては、主サイドのPNCからのメインビーコンによって、何番目のスロットが副サイドのどのDEVに割り当てられているかが示されており、このスケジューリングに従って副サイドのDEVは予約などを行う。後者に関しては、副サイドのDEVが、アソシエーションを要求した場合において、同じ副サイドの他のDEVのアソシエーション要求と重複するなどして、主サイドのPNCからの応答がなかったときは、タイミングをランダムなスーパフレーム回数だけ待って再送を行うことで、競合を回避する。
なお、本実施の形態では、各サイドにおけるすべてのDEVが、通信路にアクセス可能なアクセス期間として、2つのビーコン(メインビーコンとエコービーコン)の後に、個別要求スロットを設けこることで(期間のスロット化)、各DEVの要求を競合なしに送信するようにしているが、競合回避する手段はこれに限定されない。個別要求スロットは、キャリアを使って競合を回避することが困難であるという指向性を有する電波に特有の条件下における競合回避の代替手段の一例である。これは、例えば、PNCによるポーリングを用いることによっても実現可能である。
次に、副サイドの個別要求スロットが終了すると、副サイドのRSとなる。副サイドRSは、副サイドのDEVの予約要求に応じて主サイドのPNCによって割り当てられる通信期間である。この期間は、時間で管理してもよいし、スロット化してスロットで管理してもよい。ここでは、スロットで管理する場合を例にとって説明する。RSの期間では、例えば、データの転送が行われる。副サイドRSでは、図3に示すように、副サイドのDEVから主サイドの通信相手(DEV)に対して、例えば、データが転送される。
以上、主サイドメインビーコンの送信から副サイドRSの転送の終了までが、主サブスーパフレーム201である。そして、今度はそれぞれサイドを入れ替えただけで、全く同じことを繰り返す副サブスーパフレーム202が続いて、1つのスーパフレーム200の終了となる。
すなわち、副サイドメインビーコンは、図3に示すように、副サイドのPNCから主サイドのデバイス(PNC、DEV)に対して送信(ブロードキャスト)される。副サイドメインビーコンは、主サイドのすべてのデバイス(PNC、DEV)に対して副サブスーパフレーム開始のタイミングを同期させ、同時に主サイドの各デバイスに対して必要な情報や指令を流すための制御信号である。
副サイドエコービーコンは、図3に示すように、主サイドのPNCから副サイドのデバイス(PNC、DEV)に対して、送信(ブロードキャスト)される。この副サイドエコービーコンは、副サイドのPNCから主サイドのデバイス(PNC、DEV)に対して送信された副サイドメインビーコンの内容を、副サイドのDEVに対して通知するための制御信号である。副サイドエコービーコンは、フレームヘッダの送信元アドレスを除いて、副サイドメインビーコンと全く同じ内容を有する。これにより、副サイドのデバイス(PNC、DEV)間においても情報の共有が可能になる。
主サイド個別要求スロットは、主サイドのDEVがネットワークに対して各種要求(アソシエーション、RS予約、RS解約、キープアライブ)を行うためのスロット(アクセス期間)である。主サイド個別要求スロットでは、図3に示すように、主サイドのDEVの要求が、副サイドのデバイス(PNC、DEV)に対して競合なしに送信される。主サイド個別要求スロットには、副サイド個別要求スロットの場合と同様に、1)加入者用の要求スロットと、2)新規加入者用の要求スロットとが設けられている。
主サイドRSは、主サイドのDEVの予約要求に応じて、副サイドのPNCによって割り当てられる通信期間(時間またはスロット)である。主サイドRSでは、図3に示すように、主サイドのDEVから副サイドの通信相手(DEV)に対して、例えば、データが転送される。
なお、本実施の形態では、図2に示すように、主サブスーパフレーム201と副サブスーパフレーム202との時間比率は均等割りになっているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図4に示すように、各方向のトラフィック量に応じてサブスーパフレームを可変長にすることも可能である。この場合、主サイドと副サイドとの各PNC(A1、A2)は、各方向のトラフィック量に基づいて重み付けを行い、サブスーパフレーム201、202の長さ(時間:T、T)を調整する。具体的には、各PNC(A1、A2)は、重み付けとして、例えば、各PNCが管理するRSの長さ(時間)をトラフィック量に応じて可変する。この場合、各PNC(A1、A2)は、自サイドのメインビーコンに自己が管理するRSの長さ(重み付け)を記述し、このメインビーコンを送信(ブロードキャスト)する。つまり、A1が主サイドである場合は、A1は、主サイドメインビーコンにA1が管理するRSの長さを記述し、A2は、副サイドメインビーコンにA2が管理するRSの長さを記述する。これによって、各DEVにタイミングが通知され、同期が保たれる。このようにサブスーパフレームを可変長にすることで、トラフック量が多い方向のサブスーパフレーム(特にRS)の時間を長くとることができ、サブスーパフレームひいてはスーパフレーム全体の空き時間を短縮することができる(データ転送効率の向上)。
上記構成を有するスーパフレーム200において、2つのPNC間、PNCとDEV間、または2つのDEV間で、各種信号が送受信される。
図5は、本実施の形態で使用される各種信号のフレームフォーマットを示す図である。特に、図5(A)は、ビーコンのフレームフォーマット、図5(B)は、RS予約のフレームフォーマット、図5(C)は、RS解約(RSR:Reservation Slot Reset)のフレームフォーマット、図5(D)は、アソシエーションのフレームフォーマット、図5(E)は、キープアライブのフレームフォーマット、図5(F)は、データのフレームフォーマットをそれぞれ示している。
ビーコンは、上記のように、主サイドメインビーコン、主サイドエコービーコン、副サイドメインビーコン、および副サイドエコービーコンの4つの種類が存在する。ビーコンは、フレーム構成として、例えば、図5(A)に示すように、先頭から順に、ヘッダ、PNC情報、主サイド端末情報、副サイド端末情報、RS情報、およびFEC(Forward Error Correction)で構成されている。
ビーコンを構成する項目の内容は、例えば、次の通りである。「ヘッダ」には、送信元アドレス、送信先アドレス、フレーム長、およびフレーム種別または上位プロトコルが記述される。「PNC情報」には、PNCに関する情報、具体的には、ピコネットID(ピコネットのIDと主/副フラグ)、エコーフラグ、スーパフレーム比率、自PNCのMAC(Media Access Control)アドレス、対面PNCのMACアドレス、および次のビーコン時間が記述される。「主サイド端末情報」には、主サイドの端末(DEV)に関する情報、具体的には、主サイドのDEVのMACアドレス、主サイドのDEVの属性、および主サイドのDEVの個別要求スロットが記述される。「副サイド端末情報」には、副サイドの端末(DEV)に関する情報、具体的には、副サイドのDEVのMACアドレス、副サイドのDEVの属性、および副サイドのDEVの個別要求スロットが記述される。「RS情報」には、自己が管理するサイドのRS情報、具体的には、持ち主のMACアドレス、通信相手のMACアドレス、スロット時間(開始・終了)またはスロット番号、およびプライオリティが記述される。エコーの場合は、ヘッダ内の送信元アドレスおよびPNC情報内のエコーフラグのみが書き替えられ、その他の内容は全く同じである。
RS予約の信号は、フレーム構成として、例えば、図5(B)に示すように、先頭から順に、ヘッダ、ピコネットID、FLAG−1、送信元アドレス、送信先アドレス、RS情報、およびFECで構成されている。ここで、「FLAG−1」には、req/rsp/ack(フレームの種別)、エコーフラグ、およびリザベーション/リセットフラグが記述される。「req」はリクエスト(request:要求)、「rsp」はレスポンス(response:応答)、「ack」はアクノレッジ(acknowlege:肯定応答)である。このRS予約(つまり、通信スロットの要求)の場合、送信元アドレスは、持ち主である。
RS解約(RSR)の信号は、基本的には、RS予約の信号と同様のフレーム構成を有する。すなわち、RS解約の信号は、フレーム構成として、例えば、図5(C)に示すように、先頭から順に、先頭から順に、ヘッダ、ピコネットID、FLAG−1、送信元アドレス、送信先アドレス、RS情報、およびFECで構成されている。このRS解約(つまり、通信スロットの解約)の場合も、送信元アドレスは、持ち主である。また、予約と解約は、リザベーション/リセットフラグにて区別する。
アソシエーションの信号は、フレーム構成として、例えば、図5(D)に示すように、先頭から順に、ヘッダ、ピコネットID、FLAG−2、要求者、認証情報、およびFECで構成されている。ここで、「FLAG−2」には、req/rsp(フレームの種別)、エコーフラグ、およびアソシエーション/リセットフラグが記述される。「要求者」は、アソシエーションの要求者である。
キープアライブ(keep alive)の信号は、フレーム構成として、例えば、図5(E)に示すように、先頭から順に、ヘッダ、ピコネットID、FLAG−3、送信元アドレス、次回送信時間、およびFECで構成されている。ここで、「FLAG−3」には、DEVの属性が記述される。
キープアライブとは、ネットワーク上で、接続が有効であることを確認するために定期的に行われる通信である。本実施の形態では、通信を行うか行わないかに関わりなく、例えば、スーパフレーム20回に1回程度、ネットワークの加入者(メンバ)であり続けるためにキープアライブの信号を個別要求スロットにて送信することが義務付けられる。各PNCは、キープアライブ信号を確認して不在デバイスの個別要求スロットを削除することで、個別要求スロットなどのオーバヘッドを削減するようにしている。
データの信号は、フレーム構成として、例えば、図5(F)に示すように、先頭から順に、ヘッダ、データ、およびFECで構成されている。「データ」は、通信相手に転送すべきデータ本体である。
本実施の形態では、各デバイスは、何も通信を行わない状態のとき、つまり、自端末からデータを送信しない場合、又は、個別要求スロットにおいて、通信の要求がない場合に、メインビーコン、エコービーコン、および逆サイドの個別要求スロットにおいてのみ受信待ち状態になる。UWBでは受信待ちの消費電力(同期処理による消費電力)が大きいため、これによって、不必要な受信待ち時間を減らして消費電力を低減することが可能となる。
図6は、本実施の形態におけるPNCの構成を示すブロック図である。
図6に示すPNC(無線通信装置)100は、大別して、アンテナ110、送受信部120、MAC処理部130、および上位層処理部140を有する。
アンテナ110は、例えば、1本の指向性アンテナで構成されている。指向性アンテナの具体的な構成は、特に限定されない。
送受信部120は、物理層として、アンテナ110を介してミリ波のUWB信号を送受信する。上記のように、UWB信号は、伝送距離が極めて短い非常に広帯域の信号であり、ミリ波帯におけるUWB信号は、指向性を有して使うのが一般的である。
MAC処理部130は、MACプロトコル処理を行う。MAC処理部130は、例えば、時計部131、記録部132、ビーコン処理部133、エコー処理部134、ASS/RS処理部135、およびフレーム処理部136を有する。
時計部131は、時計を内蔵し、時間を計測する。各処理部133〜136は、この時計部131によって所定のタイミングで起動される。
記録部132は、各種信号のフレームを作成するための情報を記録する。具体的には、例えば、記録部132には、対面DEVの装置情報、個別要求スロットの順番、RSのスケジュール、サブスーパフレームの重み付けなどが記録されている。
ビーコン処理部133は、メインビーコンを作成する処理(ビーコン処理)を行う。具体的には、ビーコン処理部133は、所定の起動時間になると、記録部132に記録された情報を用いて自サイドのサブスーパフレームにおけるメインビーコンを作成し、作成したメインビーコンを送受信部120およびアンテナ110を介して送信(ブロードキャスト)する。
エコー処理部134は、エコービーコンを作成する処理(エコー処理)を行う。具体的には、エコー処理部134は、逆サイドのサブスーパフレームにおける逆サイドのPNCからのメインビーコンを、アンテナ110および送受信部120を介して受信すると、受信したメインビーコンを利用して、逆サイドのサブスーパフレームにおけるエコービーコンを作成する。次に、作成したエコービーコンを、送受信部120およびアンテナ110を介して送信(ブロードキャスト)する。
ASS/RS処理部135は、アソシエーションおよびRSの予約・解約に関する処理(ASS/RS処理)を行う。具体的な処理の内容は、後述する。
フレーム処理部136は、上記のビーコン処理、エコー処理、およびASS/RS処理以外のフレーム処理、例えば、データ転送の処理を行う。
上位層処理部140は、各種のアプリケーションを実行し、送信データを生成してMAC処理部130に送出する。また、上位層処理部140は、MAC処理部130から受信データを受け取ってアプリケーション処理を行う。
上記の構成を有するPNC100の動作について説明する。
時計部131は、スーパフレーム200の自サイドのサブスーパフレームの起動時間になると、ビーコン処理部133を起動して、メインビーコンを生成させる。このとき、ビーコン処理部133は、時計部131からの要求を受けて、記録部132に記録された所定の情報(例えば、対面DEVの装置情報、個別要求スロットの順番、RSのスケジュール、およびサブスーパフレームの重み付け)をビーコンに記述した後、このビーコンを送受信部120およびアンテナ110を介して送信(ブロードキャスト)する。
また、逆サイドのサブスーパフレームにおいて、逆サイドのPNCからメインビーコンが送信されると、このメインビーコンは、アンテナ110で受信され、送受信部120で必要な処理が施された後、エコー処理部134に通知される。このとき、エコー処理部134は、まず、通知されたメインビーコン内の通信相手の重み付けに基づいて、自無線通信装置の重み付けと、通信相手の重み付け及び自装置の重み付けを用いて計算される次回の自己のメインビーコン送信時間と、を時計部131に設定する。その後、通知されたメインビーコンに対して、送信元アドレスおよびエコーフラグ以外をそっくりそのままコピーしてエコービーコンとして再送信(ブロードキャスト)する。
また、自サイドのサブスーパフレーム内の個別要求スロットの期間では、この期間中に送信された要求は、すべてASS/RS処理部135に送られる。このとき、ASS/RS処理部135は、その要求がアソシエーション要求の場合は、その内容に基づいて応答を決定する。そして、アソシエーション要求を受け付ける場合は、記録部132に対してDEVの装置情報と個別要求スロットの順番を更新させて、アソシエーション応答を送受信部120およびアンテナ110を介して送信する。また、ASS/RS処理部135は、その要求がRSの予約/解除の場合は、その内容に基づいて応答を決定する。そして、RSの予約/解除を認める場合は、記録部132に対してRSのスケジュールを更新させて、RS予約応答/RS解約応答を送受信部120およびアンテナ110を介して送信する。
図7は、本実施の形態におけるアソシエーションの処理手順(シーケンス)を説明するための図である。図8は、図7のアソシエーションシーケンスの内容を示すシーケンス図である。なお、ここでは、一例として、副サイドのDEVがアソシエーション要求を送信する場合を例にとって説明するが、主サイドのDEVがアソシエーション要求を送信する場合も同様に説明することができる。
まず、主サブスーパフレーム201の主サイドメインビーコン期間において、逆サイドの対面PNC(主サイドPNC)が、メインビーコンを送信(ブロードキャスト)する(S1000)。副サイドの当該DEVは、このメインビーコンを受信し、対面PNCの情報を取得して、新規加入者用の個別要求スロット200の位置を確認する(S1100)。
その後、当該DEVは、主サブスーパフレーム201の副サイド個別要求スロット期間において、新規加入者用の個別要求スロット210を用いてアソシエーション要求(ASS.req)を送信する(S1200)。そして、対面PNC(主サイドPNC)は、このアソシエーション要求を受信すると、このアソシエーション要求を承認するか否かを決定し、承認する場合は(S1300)、アソシエーション応答(ASS.rsp)を当該DEVに対して送信する(S1400)。そして、当該DEVは、この承認の結果(アソシエーションへの加入)を逆サイドのすべてのDEV(主サイドDEV)に通知するために、アソシエーション応答(ASS.rsp)のエコーを送信(ブロードキャスト)する(S1500)。
この結果、当該DEVは、対面PNC(主サイドPNC)の記録部132に登録され、次のスーパフレーム200における主サイドメインビーコン送信時には、この主サイドメインビーコン内の副サイド端末情報に書き込まれて、認知される。すなわち、当該DEVは、次回のスーパフレーム200から特定の通信相手にRS予約などを行うことが可能となる。
図9は、本実施の形態におけるRS予約の処理手順(シーケンス)を説明するための図である。図10は、図9のRS予約シーケンスの内容を示すシーケンス図である。なお、ここでは、一例として、副サイドのDEVがRS予約要求を送信する場合を例にとって説明するが、主サイドのDEVがRS予約要求を送信する場合も同様に説明することができる。
まず、主サブスーパフレーム201の主サイドメインビーコン期間において、逆サイドの対面PNC(主サイドPNC)が、メインビーコンを送信(ブロードキャスト)する(S2000)。副サイドの当該DEVは、このメインビーコンを受信し、対面PNCの情報を取得して、自己に割り当てられた個別要求スロット220の位置を確認する(S2100)。
その後、当該DEVは、主サブスーパフレーム201の副サイド個別要求スロット期間において、自己に割り当てられた個別要求スロット220を用いて、逆サイドの特定の通信相手(主サイドDEV)に対してRS予約要求(RS.req)を送信する(S2200)。そして、逆サイドの通信相手は、そのACK信号(RS.ack)を当該DEVに返信する(S2300)。そして、当該DEVは、そのACK信号(RS.ack)のエコーを対面PNC(主サイドPNC)に送信することで、そのACK信号(RS.ack)の情報を対面PNCに通知する(S2400)。そして、対面PNCは、このACK信号(RS.ack)のエコーを受信すると、このRS予約を承認するか否かを決定し、承認する場合は(S2500)、RS予約応答(RS.rsp)を当該DEVに対して送信する(S2600)。そして、当該DEVは、この承認の結果(RS予約の確定)を通信相手に通知するために、RS予約応答(RS.rsp)のエコーを逆サイドの通信相手に送信する(S2700)。
この結果、当該DEVは、次のメインビーコンから割り当て期間(直接、時間を指定してもよく、または固定時間幅のスロットを指定してもよい)230が通知され、RS期間内にて通信相手と通信することが可能となる。
図11は、本実施の形態におけるRS解約の処理手順(シーケンス)を説明するための図である。図12は、図11のRS解約シーケンスの内容を示すシーケンス図である。なお、ここでは、一例として、RS応答側の主サイドのDEVがRS解約要求を送信する場合を例にとって説明するが、RS起動側の副サイドのDEVがRS解約要求を送信する場合も同様に説明することができる。
まず、副サブスーパフレーム202の副サイドメインビーコン期間において、逆サイドの対面PNC(副サイドPNC)が、メインビーコンを送信(ブロードキャスト)する(S3000)。主サイドの当該DEVは、このメインビーコンを受信し、対面PNCの情報を取得して、自己に割り当てられた個別要求スロット240の位置を確認する(S3100)。
その後、当該DEVは、副サブスーパフレーム202の主サイド個別要求スロット期間において、自己に割り当てられた個別要求スロット240にて、逆サイドのRS起動側のDEV(副サイドDEV)に対してRS解約要求(RSR.req)を送信する(S3200)。そして、RS起動側DEVは、そのRS解約要求(RSR.req)のエコーを自サイドのPNC(主サイドPNC)に送信する(S3300)。そして、自サイドのPNCは、このRS解約要求(RSR.req)のエコーを受信すると、このRS解約を承認するか否かを決定し、承認する場合は(S3400)、RS解約応答(RSR.rsp)を逆サイドのRS起動側DEVに対して送信する(S3500)。そして、RS起動側DEVは、この承認の結果(RS解約の確定)を当該DEVに通知するために、RS解約応答(RSR.rsp)のエコーを当該DEVに送信する(S3600)。これにより、解約は完了する。
図13は、本実施の形態のネットワークにおいてネットワーク外への通信を説明するための図である。
本実施の形態では、RS期間においては、その要求者(B1)の要求であれば、どのデバイス(B3)が送信してもよい。例えば、データ送信に対する受信確認(ACK)は、対面のデバイスが送信することができる。ACK信号には多少の制御情報などが含まれてもよい。また、場合によっては、PNCとアソシエーションしていないデバイスとの通信も可能である。
これは、例えば、図13のデバイスB1とB3のように、片方(B3)がPNC(A1、A2)の圏外に外れても、通信を可能とするものである。この場合、デバイスB1は、例えば、リザベーションスロット(RS1)をPNC(A2)から与えられて、RS1内で、例えば、RTS/CTS(Request to Send/Clear to Send)による(CSMA/CAではない)排他制御下の通信を行う。これにより、B3は、PNCの圏外であっても、B1と通信することができる。また、B3に対して、A1、A2以外のPNCが存在しても、排他制御下の通信を行うことで、衝突を回避することができる。
このように、本実施の形態によれば、指向性を有する電波を使用するアドホックネットワークにおいて、マスタデバイスとして機能する2つのPNCを、互いに指向性が向かい合うように対向配置し、スーパフレームを2つのサブスーパフレームに時分割して、一方のサブスーパフレームを一方のPNCに制御させ、もう一方のサブスーパフレームを他方のPNCに制御させるため、1つのPNCのみでネットワークを構成した場合における指向性電波では届かない競合するDEVに対しても制御を行うことが可能となり、マルチアクセスを簡易に実現することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図面を参照して詳細に説明する。図14は、本発明の実施の形態2に係る無線通信方法を適用したネットワークの構成を示す概略図である。
本実施の形態において、指向性を有する電波を送受信するアンテナを用いて、あるPNCが主となり他のPNCが副となり、また別のPNCに対しては副として動作するようにPNCが二つの主従関係になる状態を入れ子状態と表現する。この場合に、あるPNC(自サイドのPNCという)の主となるPNCを上位サイドのPCNとし、副となるPNCを下位サイドのPNCという。二つのPNCと主従関係を結ぶため、結果的に自サイドのPNCとは、自サイドのPNCとエコーバックの関係を持つ2つのPNCが存在するPNCである。あるPNCがその通信範囲にある2つのPNCと通信可能にした点が、実施の形態1と異なる。またこれにより主従のチェーンが構成され、幾つものPNCが一つの同期したネットワークを構成することとなる。
具体的には、図14に示すPNC(A2)が自サイドのPNCであるとした場合、PNC(A1)が上位サイドPNCであり、PNC(A3)が下位サイドのPNCになる状態を入れ子の状態という。本実施例においては、主PNCは従PNCの直前にサブスーパフレームを構成するため、全体のスーパフレームが定義されていればどちらのPNCが上位で、どちらのPNCが下位サイドのPNCであるかは自動的に決まる。ここで、図のA1はA2の上位PNCであり、その意味で、A2に対してA1が主サイドのPNCである。一方でA2は、A3にとっては上位サイドのPNCであるため、A3に対してA2が主サイドのPNCとなる。またA3はA4にとっての上位サイドのPNCであって、このような入れ子状態がA5まで続いている。
図15は、図14のネットワークにおけるA1からA3までのPNCから構成されるスーパフレームの構成例を示す図である。スーパフレームが3つのサブスーパフレームから構成されており、これが最大スーパフレーム長ごとに繰り返すこととなる。最大スーパフレーム長とは、予め定めた時間長である。すべての本実施例のPNCは、この時間長で自サイドおよび他サイドのサブスーパフレームは繰り返される。これをプレディファインとする理由は、たとえば、同じシステムを使用した別の組み合わせのPNCが近隣にあって、一つのスーパフレームを構成が困難である理由があったとしても、最大スーパフレーム長が一致していれば、同じ繰り返し周期で(サブ)スーパフレームが配置されているため、他のスーパフレームと衝突することがない。
本実施の形態のネットワークの通信では、A2を基準に説明する。なお、図15は、A2が受信する信号について記載している。図15に示す構成のスーパフレームは、3つのサブスーパフレーム、具体的には、上位サイドのサブスーパフレーム301と、自サイドのサブスーパフレーム302と、下位サイドのサブスーパフレーム303のサブスーパフレーム群によって構成されている。サブスーパフレーム群はA4、A5のサブスーパフレームと継続することができるが、A2からみた場合には、これらのPNCのビーコンは受信範囲外である。
上位サイドのサブスーパフレーム301は、PNC(A1)がメインビーコンを送信するサブスーパフレームである。上位サイドのサブスーパフレーム301は、先頭から順に上位サイドのPNCのメインビーコン、自サイドのPNCのエコービーコン、上位サイドのPNC傘下の個別要求スロット、および上位サイドのPNC傘下のRS(リザベーションスロット)という4つの部分で構成されている。
また、自サイドのサブスーパフレーム302は、PNC(A2)がメインビーコンを送信するサブスーパフレームである。自サイドのサブスーパフレーム302は、先頭から順に自サイドのPNCのメインビーコン、上位サイドのPNCのエコービーコン、下位サイドのPNCのエコービーコン、自サイドのPNC傘下の個別要求スロット、および自サイドのPNC傘下のRSという5つの部分で構成されている。
また、下位サイドのサブスーパフレーム303は、先頭から順に下位サイドのPNCのメインビーコン、自サイドのPNCのエコービーコン、下位サイドのPNC傘下の個別要求スロット、および下位サイドのPNC傘下のRSという4つの部分で構成されている。
本実施の形態では、自サイドのサブスーパフレームにおいては、一つのビーコン(例えば、自サイドのPNCビーコン)に対して2つのエコービーコン(例えば、上位サイドのPNCビーコン、下位サイドのPNCビーコン)を送信するスロットがある。すなわち、このエコービーコンスロットには、上位エコービーコンスロット(上位サイドのPNCのエコービーコン)と下位エコービーコンスロット(下位サイドのPNCのエコービーコン)が存在する。ここでは、上位サイドのPNCまたは下位サイドのPNCのないPNC(A4)は、「端点PNC」と呼ぶ。ここで、端点PNCは、下位サイドのPNCまたは上位サイドのPNCのいずれか一つのみのエコービーコンのサブスーパフレームを構成する。
上位サイドのPNC(A1)のサブスーパフレーム301において、メインビーコンは上位サイドのPNC(A1)から自サイドのPNC(A2)に対して送信される。PNC(A2)のエコービーコンは、自サイドのPNC(A2)から上位サイドのPNC(A1)に対して送信される。
上位サイドのPNCの傘下の個別要求スロットは、上位サイドにおけるすべてのDEVが通信路にアクセス可能なアクセス期間として、上位サイドのDEVがネットワークに対して各種要求を行うためのスロットである。各DEVの要求には、例えば、アソシエーション(ASS)(ネットワークへの加入)、RS予約(通信スロットの予約)、RS解約(予約した通信スロットの解約)、キープアライブ(ネットワークへの加入継続)などがある。各DEVの要求は、この個別要求スロットによって競合なしに送信される。
自サイドのPNC(A2)のサブスーパフレーム302においては、メインビーコンは自サイドのPNC(A2)から上位サイドのPNC(A1)と下位サイドのPNC(A3)とに対して送信される。上位サイドのPNC(A1)のエコービーコンは、上位サイドのPNC(A1)から自サイドのPNC(A2)に対して送信される。下位サイドのPNC(A3)のエコービーコンは、下位サイドのPNC(A3)から自サイドのPNC(A2)に対して送信される。
自サイドのPNC(A2)の傘下の個別要求スロットは、自サイドにおけるすべてのDEVが通信路にアクセス可能なアクセス期間として、自サイドのDEVがネットワークに対して各種要求を行うためのスロットである。各DEVの要求には、例えば、アソシエーション(ASS)(ネットワークへの加入)、RS予約(通信スロットの予約)、RS解約(予約した通信スロットの解約)、キープアライブ(ネットワークへの加入継続)などがある。各DEVの要求は、この個別要求スロットによって競合なしに送信される。メインビーコンによって割り当てられるためである。
下位サイドのPNC(A3)のサブスーパフレーム303において、メインビーコンは下位サイドのPNC(A3)から自サイドのPNC(A2)とPNC(A4)に対して送信される。自サイドのPNC(A2)のエコービーコンは、自サイドのPNC(A2)と自サイドのPNC(A4)から下位サイドのPNC(A3)に対して送信される。
下位サイドのPNC(A3)の傘下の個別要求スロットは、下位サイドにおけるすべてのDEVが通信路にアクセス可能なアクセス期間として、下位サイドのDEVがネットワークに対して各種要求を行うためのスロットである。各DEVの要求には、例えば、アソシエーション(ASS:Association)(ネットワークへの加入)、RS予約(通信スロットの予約)、RS解約(予約した通信スロットの解約)、キープアライブ(ネットワークへの加入継続)などがある。各DEVの要求は、この個別要求スロットによって競合なしに送信される。
図16は、本実施の形態で使用される各種信号のフレームフォーマットを示す図である。特に、図16(G)は、ビーコンのフレームフォーマット、図16(H)は、PNC隣接要求のフレームフォーマット、図16(I)は、サブスーパフレーム移動要求のフレームフォーマットをそれぞれ示している。図16(G)のビーコンは、実施の形態1の図5のビーコンの代わりに使用されるビーコンである。また、図16(H)のPNC隣接要求および図16(I)のサブスーパフレーム移動要求は、本実施の形態で追加されたフレームフォーマットである。
ビーコンは、フレーム構成として、例えば、図16(G)に示すように、先頭から順に、ヘッダ、PNC情報、自サイド端末情報、上位サイド端末情報、下位サイド端末情報、RS情報、およびFECで構成されている。
また、PNC隣接要求は、フレーム構成として、例えば、図16(H)に示すように、先頭から順に、ヘッダ、ピコネットID、FLAG−4、認証コード、サブスーパフレーム長、およびFECで構成されている。FLAG−4は、req/rspフラグ、上位/下位フラグ、およびOK/NGフラグで構成されている。
また、サブスーパフレーム移動要求は、フレーム構成として、例えば、図16(I)に示すように、先頭から順に、ヘッダ、FLAG−5、移動幅、およびFECで構成されている。FLAG−5は、req/rspフラグ、移動方向(+/−)フラグ、およびOK/NGフラグで構成されている。
なお、PNCは、DEVとしても動作することができるため、個別要求スロット期間において、「PNC隣接要求」、「サブスーパフレーム移動要求」、「RS予約」、「RS解除」、「アソシエーション」、「キープアライブ」は、PNCも送信することが可能である。
ビーコンを構成する項目の内容は、例えば、次の通りである。「ヘッダ」には、送信元アドレス、送信先アドレス、フレーム長、およびフレーム種別または上位プロトコルが記述される。「PNC情報」には、PNCに関する情報、具体的には、ピコネットID(ピコネットのIDと上/中/下フラグ)、エコーフラグ、上位サブスーパフレーム長、自サブスーパフレーム長、下位サブスーパフレーム長、自サイドのPNCのMACアドレス、上位サイドのPNCのMACアドレス、および下位サイドのPNCのMACアドレスが記述される。
「自サイド端末情報」には、自サイドの端末(DEV)に関する情報、具体的には、自サイドのDEVのMACアドレス、自サイドのDEVの属性、および自サイドのDEVの個別要求スロットが記述される。
「上位サイド端末情報」には、上位サイドの端末(DEV)に関する情報、具体的には、上位サイドのDEVのMACアドレス、上位サイドのDEVの属性、および上位サイドのDEVの個別要求スロットが記述される。
「下位サイド端末情報」には、下位サイドの端末(DEV)に関する情報、具体的には、下位サイドのDEVのMACアドレス、下位サイドのDEVの属性、および下位サイドのDEVの個別要求スロットが記述される。
「RS情報」には、自己が管理するサイドのRS情報、具体的には、持ち主のMACアドレス、通信相手のMACアドレス、スロット時間(開始・終了)またはスロット番号、およびプライオリティが記述される。エコーの場合は、ヘッダ内の送信元アドレスおよびPNC情報内の上位/下位エコーフラグのみが書き替えられ、その他の内容は全く同じである。
なお、RS予約、RS解約は、上位サイド/下位サイドのいずれかのPNCの傘下のDEVと通信したいかを記述するフラグが追加される。これにより解約する場合に上位サイド/下位サイドのいずれのスロットで解約フレームが送信されるかを判断できる。
ビーコンのPNC情報には、自サブスーパフレーム長、上位サブスーパフレーム長、下位サブスーパフレーム長の時間長がそれぞれ記述されている。これにより、上位サイドのPNC(A1)のPNCのビーコンの始まりが自サイドのPNC(A2)のPNCビーコンのサブスーパフレームの始点を決定する際に参照される。よって、上位サイドのサブスーパフレームの時間長の分だけ遅れた、自サイドのサブスーパフレームの始点が、決定される。さらに、自サイドのサブスーパフレームの時間長の分だけ遅れた、下位サイドのサブスーパフレームの始点が、決定される。
このようにして、複数のサブスーパフレームの始点は、それぞれ決定される。なお、複数のサブスーパフレームの送信は、最初から予め規定されている最大スーパフレームの時間長で毎度繰り返されることを前提としている。
また、上位サイドのサブスーパフレームと下位サイドのサブスーパフレームは、自サイドのサブスーパフレームの前後に隣接しているため、上位サイドのサブスーパフレーム長と、下位サイドのサブスーパフレーム長から各サブスーパフレームの先頭を認識できる。例えば、自サイドのPNC(A2)は、上位サイドのサブスーパフレーム長と自己のサブスーパフレーム長を考慮して、下位サイドのサブスーパフレームの先頭を認識できる。
この構成において、複数のサブスーパフレームは、最大スーパフレームに相当する時間すべてを占有しなくてもよい。サブスーパフレームの空いた時間を、ビーコンを共有できる異なるプロトコルのサブスーパフレームが時間分割により共存することができる。
例えば、異なるプロトコルのPNC(別のネットワークとして動作するPNC等)は、ビーコンとエコービーコンのいずれかを受信した場合、必ずしも上位サイドのPNCまたは下位サイドのPNCになる必要はない。
また、自サブスーパフレーム長と、上位サブスーパフレーム長と、下位サブスーパフレーム長と、最大スーパフレーム長から自身が取りうる自サブスーパフレーム長との開始タイミングが、他のPNCのサブスーパフレームの開始タイミングと重ならないように定義してビーコンを送信し、サブスーパフレームを宣言することができる。また、PNC(A4)は、PNC(A5)とのみネットワークを構成することができる。このようにすることで互いに時間が重ならないような異なるプロトコルのPNCの共存が可能となる。
このように、端点PNCは、下位サイドのPNCまたは上位サイドのPNCに空きがあり、加入しようとしているサブスーパフレームの前または後に十分な空きがあるならば、他のPNCとペアを組んで下位サイドのPNCまたは上位サイドのPNCとして動作することが可能である。
具体的には、PNC(A4)は、PNC(A3)の下位サイドのPNCに空きがあり、加入しようとしているサブスーパフレームの後に十分な空きがあるならば、他のPNC(A5)とペアを組んで、PNC(A3)の下位サイドのPNC(A4)として動作することが可能である。
言い換えると、PNC(A3)のサブスーパフレームの後に、PNC(A4)のサブスーパフレームを送信することが可能である。これを実現するためには、PNC(A4)は、他のPNC(A5)にネットワークへの参加要求(アソシエーション)を行う。そして、PNC(A4)は、その後個別要求スロットにて、下位サイドのPNCを決定するために、他のPNC(A5)に、図16(G)に示すPNC隣接要求を出す。これが他のPNC(A5)にて了承された場合に、PNC(A4)は、下位サイドのPNCとしての他のPNC(A5)に、ビーコンおよびエコービーコンの送信が可能となる。
なお、本実施の形態では、A4は、A5とペアを組んだ場合について説明したが、A3とペアを組んでネットワークに参加することも可能である。
さらに、具体的な例を、図17および図18を参照して、説明する。図17は、図15の最大スーパフレームにおけるデバイス間の信号の送受信関係の一例を示す図である。図17は、A4は、A5とペアを組み、A3の下位サイドにサブスーパフレームを配置した場合を記載している。なお、A3のサブスーパフレームとA4のサブスーパフレームとの間に、時間が空いているのは、A3が別のPNCを下位サイドに継続する可能性を残しているためである。
また、図18は、図15の最大スーパフレームにおけるデバイス間の信号の送受信関係の他の一例を示す図である。図18は、A3の上位サイドにサブスーパフレームを配置した場合を記載している。なお、A4は、A1のサブスーパフレームと時間的に重複し、A5は、A2のサブスーパフレームと時間的に重複しているが、図14の通信エリアの配置からも判るように、A1とA4、A2とA5は、それぞれ、同時に送信しても通信エリアが異なるため、干渉を起こさない。
図17および図18に示す例では、PNC(A3)の下位サイドのPNCに空きがあり、PNC(A4)が加入しようとしている最大スーパフレームのPNC(A3)のサブスーパフレームの前後に十分な空きがある。PNC(A4)は、PNC(A5)とペアを組んで、PNC(A3)の下位サイドのPNC(図17)または上位サイドのPNC(図18)として動作することが可能である。このように、下位サイドのPNCまたは上位サイドのPNCとして、PNC(A4)およびPNC(A5)は、ビーコンおよびエコービーコンを相互に送信可能となる。
次に、あるPNC(例えば、PNC(A4))が、他のPNC(例えば、PNC(A3))のサブスーパフレームの開始タイミングと重ならないように、サブスーパフレームをビーコンによって宣言した場合に、他のPNCの上位サイドのPNC(例えば、PNC(A2))のサブスーパフレームの送信期間と、あるPNC(例えば、PNC(A4))のサブスーパフレームの送信期間とが重複する場合について、説明する。
図19は、最大スーパフレームにおいて、サブスーパフレームを宣言が困難である期間を示す図である。例えば、PNC(A3)のビーコンには、PNC情報にPNC(A3)の上位サイドのPNC(A1、A2)のサブスーパフレーム長の情報が含まれている。そのため、PNC(A4)が、PNC(A3)からビーコンを受信した場合、図19に示すように、PNC(A4)は、PNC(A3)のサブスーパフレームの期間に加えて、PNC(A1、A2)のサブスーパフレームの期間にサブスーパフレームを宣言が困難である。これは、図14に示した各PNCの通信エリアからも判るように、A2とA4の通信エリアに重複があるためである。
図20は、最大スーパフレームにおいて、サブスーパフレームが重複した例を示す図である。なお、図20において、A4とA2のサブスーパフレームが重複している。図21は、最大スーパフレームにおいて、サブスーパフレームが移動した例を示す図である。
例えば、PNC(A4)が、PNC(A2)の受信エリアに新たに移動してきた場合に、図20に示すように、PNC(A2)のサブスーパフレームと、PNC(A4)のサブスーパフレームとを重複して受信する場合がある。この場合に、PNC(A4)は、PNC(A2)の上位サイドであり、且つ、PNC(A2)は、PNC(A3)の下位サイドであることを示すPNC隣接要求を、PNC(A3)を介してPNC(A2)に出す。なお、PNC(A4)は、「PNC隣接要求」を、DEVとして、個別要求スロット期間を用いて送信することもできるし、ビーコンフレームに、PNC隣接要求の内容を追加して送信することもできる。
このPNC隣接要求が承認された場合、PNC(A3)は、PNC(A2)に対してビーコン時間オフセットを変更するように、サブスーパフレーム移動要求することができる。PNC(A3)からのサブスーパフレーム移動要求は、PNC(A2)に対して、アソシエーションして希望のサブスーパフレーム開始時間を伝達するものである。PNC(A2)は、PNC(A3)から最大スーパフレーム移動要求を受信すると、例えば、図21に示すように、PNC(A2)に対して指定された開始時間にサブスーパフレームの送信を開始する。
更に、PNC(A1)が、PNC(A2)の下位サイドのPNCとなることができる。図22は、最大スーパフレームにおいて、PNCのレイヤが変更した例を示す図である。例えば、PNC(A2)が移動したことを、PNC(A2)がビーコンを用いてPNC(A1)に通知した場合、PNC(A1)は、PNC(A2)の下位サイドのPNCとなるために、PNC(A2)にPNC隣接要求を出す。PNC(A2)に承認された場合、図22に示すように、PNC(A1)の下位サイドのPNCになることができる。
このように、各PNCのビーコンは、上位サイドのPNCまたは下位サイドのPNCに対応する情報として、それぞれのPNCに対して端末情報を定義する必要がある。従って上位サイドおよび下位サイドの両方のPNCと主従関係付けされていれば自身のPNCの端末情報と併せて3つの端末情報を持つこととなる。なお、RS情報は自サブスーパフレームの自身の順番のRS時間内で定義して割り振る。
また、RS予約、RS解約は、上位サイド/下位サイドのいずれかのPNCの配下のDEVと通信したいかを記述するフラグが追加される。これにより解約する場合に上位サイド/下位サイドのいずれのスロットで解約フレームが送信されるかを判断できる。
また、各PNCのDEVは加入したPNCのサブスーパフレームのみならず上位サイド/下位サイドのサブスーパフレームの個別スロットなどでのフレーム受信に対応する必要がある。複数のPNCの傘下になるのであれば、その加入したすべてのPNCと上位・下位サイドのPNCのサブスーパフレームを監視する必要がある。
本実施の形態で説明したように、3個以上のPNC間でもサブスーパフレームの共存が可能である。
図23は、最大スーパフレームにおいて、サブスーパフレームが重複し、PNC(A2)とPNC(A4)の通信エリアの重複部分に、PNC(A2)傘下のDEV(D1)が配置されている例を示す図である。なお、図23において、A4とA2のサブスーパフレームが重複している。図24は、最大スーパフレームにおいて、サブスーパフレームが移動した例を示す図である。
例えば、PNC(A4)が、PNC(A2)の受信エリアに新たに移動してきた場合に、図23に示すように、PNC(A2)のサブスーパフレームと、PNC(A4)のサブスーパフレームとを重複して受信する場合がある。この場合に、PNC(A4)は、PNC(A2)の上位サイドであり、且つ、PNC(A2)はPNC(A4)の下位サイドであることを示すPNC隣接要求を、DEV(D1)を介して、個別要求スロット期間に、PNC(A2)に出す。例えば、RS期間において、PNC(A4)が、DEV(D1)と通信を行い、その後、DEV(D1)とPNC(A2)とが、個別要求スロット期間において、通信を行う。
このPNC隣接要求が承認された場合、DEV(D1)は、PNC(A2)に対してビーコン時間オフセットを変更するように、サブスーパフレーム移動要求することができる。DEV(D1)からのサブスーパフレーム移動要求は、PNC(A2)に対して、アソシエーションして希望のサブスーパフレーム開始時間を伝達するものである。PNC(A2)は、DEV(D1)から最大スーパフレーム移動要求を受信すると、例えば、図24に示すように、PNC(A2)に対して指定された開始時間にサブスーパフレームの送信を開始する。
更に、PNC(A1)が、PNC(A2)の下位サイドのPNCとなることができる。図25は、最大スーパフレームにおいて、PNCのレイヤが変更した例を示す図である。例えば、PNC(A2)が移動したことを、PNC(A2)がビーコンを用いてPNC(A1)に通知した場合、PNC(A1)は、PNC(A2)の下位サイドのPNCとなるために、PNC(A2)にPNC隣接要求を出す。PNC(A2)に承認された場合、図25に示すように、PNC(A1)は、PNC(A2)の下位サイドのPNCになることができる。
また、本実施の形態は各PNCのサブスーパフレームは上位サイドのサブスーパフレームと、自サブスーパフレームと、下位サイドのサブスーパフレームとで連続していたが、ビーコン開始時刻オフセット値を、上位サイド及び下位サイドについて、それぞれ指定することで連続しないようにすることも可能である。その構成については本実施の形態で説明した例から容易に類推できる。
本発明に係る無線通信方法は、指向性を有する電波を使用するアドホックネットワークにおいてマルチアクセスを簡易に実現することができるという効果を有するため、例えば、指向性電波を用いた無線による動画転送や音声データの転送などを目的とした無線通信装置のネットワークに有効なプロトコルである。
本実施の形態に係る無線通信方法を適用したネットワークの構成を示す概略図 図1のネットワークにおける最大スーパフレームの構成を示す図 図2の最大スーパフレームにおけるデバイス間の信号の送受信関係を示す図 サブスーパフレームの非対称性を説明するための図 本実施の形態で使用される各種信号のフレームフォーマットを示す図 本実施の形態におけるPNCの構成を示すブロック図 本実施の形態におけるアソシエーションの処理手順(シーケンス)を説明するための図 図7のアソシエーションシーケンスの内容を示すシーケンス図 本実施の形態におけるRS予約の処理手順(シーケンス)を説明するための図 図9のRS予約シーケンスの内容を示すシーケンス図 本実施の形態におけるRS解約の処理手順(シーケンス)を説明するための図 図11のRS解約シーケンスの内容を示すシーケンス図 本実施の形態のネットワークにおいてネットワーク外への通信を説明するための図 本発明の実施の形態2に係る無線通信方法を適用したネットワークの構成を示す図 図14のネットワークにおけるスーパフレームの構成例を示す図 本実施の形態2で使用される各種信号のフレームフォーマットを示す図 本実施の形態2のスーパフレームにおけるサブスーパフレームの送受信例を示す図 本実施の形態2のスーパフレームにおけるサブスーパフレームの送受信例を示す図 スーパフレームにおいて、サブスーパフレームを宣言が困難である期間を示す図 スーパフレームにおいて、サブスーパフレームが重複した例を示す図 スーパフレームにおいて、サブスーパフレームが移動した例を示す図 スーパフレームにおいて、PNCのレイヤが変更した例を示す図 スーパフレームにおいて、サブスーパフレームが重複した例を示す図 スーパフレームにおいて、サブスーパフレームが移動した例を示す図 スーパフレームにおいて、PNCのレイヤが変更した例を示す図 CSMAによる排他制御の困難性を説明するための図 スター型のネットワーク構成による排他制御の困難性を説明するための図
符号の説明
10、20 無線通信エリア
100 PNC
110 アンテナ
120 送受信部
130 MAC処理部
131 時計部
132 記録部
133 ビーコン処理部
134 エコー処理部
135 ASS/RS処理部
136 フレーム処理部
140 上位層処理部
200 スーパフレーム
201 主サブスーパフレーム
202 副サブスーパフレーム
210 新規加入者用個別要求スロット
220、230 割り当てられた個別要求スロット
240 RS予約された通信期間(時間またはスロット)

Claims (16)

  1. 指向性電波を用いて通信エリア内の少なくとも1つのスレーブ無線通信装置を制御する複数のマスタ無線通信装置がスーパフレームを用いて通信を行う無線通信方法であって、
    前記マスタ無線通信装置を、互いに指向性が向かい合うように対向配置し、
    前記スーパフレームをサブスーパフレームに時分割し、それぞれのサブスーパフレームを前記マスタ無線通信装置の間で割り振って、通信制御を行う、無線通信方法。
  2. 前記マスタ無線通信装置は、同期制御情報および周辺機器制御情報を含むビーコンを送信し、
    前記マスタ無線通信装置のいずれか1つのマスタ無線通信装置がビーコンを送信したとき、他のマスタ無線通信装置は、受信した前記ビーコンのうち、送信元アドレスを変更し、エコーであることを示す情報を付与した後に、エコービーコンとして、再送信する、
    請求項1記載の無線通信方法。
  3. 前記マスタ無線通信装置は、おのおの、自己の通信エリア内にあって指向性が向かい合い、通信可能なスレーブ無線通信装置とサブピコネットを構成し、
    前記サブスーパフレームは、おのおの、前記サブピコネットを構成する前記マスタ無線通信装置および前記スレーブ無線通信装置に時分割にて割り当てられる、
    請求項1または請求項2記載の無線通信方法。
  4. 前記サブスーパフレームは、おのおの、対応するマスタ無線通信装置に対して、前記サブピコネットを構成する前記スレーブ無線通信装置からの要求を送信するための一定のアクセス期間を有する、
    請求項3記載の無線通信方法。
  5. 前記アクセス期間は、ネットワークに加入しているスレーブ無線通信装置からの要求を個別に送信するための個別アクセス期間と、前記ネットワークに加入していないスレーブ無線通信装置からの加入要求を送信するための新規加入用アクセス期間とを有する、
    請求項4記載の無線通信方法。
  6. 前記スレーブ無線通信装置は、他のスレーブ無線通信装置と通信を開始する場合、前記個別アクセス期間を用いて通信期間の割り当てを要求する、
    請求項5記載の無線通信方法。
  7. 前記スレーブ無線通信装置は、通信期間割り当て要求手順内の受信信号をコピーして再送信する、
    請求項6記載の無線通信方法。
  8. 前記サブスーパフレームの長さは、各方向のトラフィック量に応じて不均等に調整可能である、
    請求項1から請求項7のいずれかに記載の無線通信方法。
  9. 前記スレーブ無線通信装置は、割り当てられた通信期間内で、所定の排他制御方式を用いて、ネットワークに従属していない無線通信装置と通信を行う、
    請求項1から請求項8のいずれかに記載の無線通信方法。
  10. 前記マスタ無線通信装置のうち、第1のマスタ無線装置に対向して、第2、第3のマスタ無線装置が配置されている場合、前記第1のマスタ無線装置がビーコンを送信した場合に、
    前記第2、第3のマスタ無線通信装置は、前記第1のマスタ無線装置に対してエコービーコンを送信する、
    請求項2記載の無線通信方法。
  11. 前記第2のマスタ無線装置がビーコンを送信した場合に、前記第1のマスタ無線装置がエコービーコンを送信し、
    前記第3のマスタ無線装置がビーコンを送信した場合に、前記第1のマスタ無線装置がエコービーコンを送信する
    請求項10記載の無線通信方法。
  12. 前記ビーコンは、フレーム構成として、前記第2のマスタ無線装置とサブピコネットを構成する端末の端末情報、前記第3のマスタ無線装置とサブピコネットを構成する端末の端末情報、を含む、
    請求項11記載の無線通信方法。
  13. 前記複数のマスタ無線装置のうち、ネットワークに接続されていない第4のマスタ無線装置は、既に割り振られたサブスーパフレーム郡の前または後に、前記第4のマスタ無線装置のサブスーパフレームを送信する許可を得るためのPNC隣接要求を送信する、
    請求項1記載の無線通信方法。
  14. 前記マスタ無線装置は、すでに配置されているサブスーパフレームを移動するためのサブスーパフレーム移動要求を、他のマスタ無線装置に送信する、
    請求項1記載の無線通信方法。
  15. 指向性電波を用いて無線通信を行うマスタ無線通信装置であって、
    ネットワークの通信に用いるスーパフレームをサブスーパフレームに時分割して得られた1つのサブスーパフレームを用いて、互いに指向性が向かい合うように対向配置された他のマスタ無線通信装置に送信する同期用の基準信号であるメインビーコンを生成するMAC処理部と、
    生成されたメインビーコンを送信する送信部と、
    を有するマスタ無線通信装置。
  16. 指向性電波を用いて無線通信を行うマスタ無線通信装置であって、
    互いに指向性が向かい合うように対向配置された他のマスタ無線通信装置から、ネットワークの通信に用いるスーパフレームをサブスーパフレームに時分割して得られた1つのサブスーパフレームを用いて送信された同期用の基準信号であるメインビーコンを受信する受信部と、
    前記メインビーコンに対するエコーであることを示す情報を含むエコービーコンを生成するMAC処理部と、
    生成されたエコービーコンを送信する送信部と、
    を有するマスタ無線通信装置。
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