JP2008198487A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料電池スタックのアノードの酸化劣化を防止することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 改質原料を改質して改質ガスを生成する改質器2と、この改質器2と改質ガス供給管10を介して接続され、改質器2で得られた改質ガスと空気とを用いて発電を行うSOFCスタック3とを備える燃料電池システム1において、改質器2とSOFCスタック3との間に、冷却媒体として水を流通させるための冷媒流通部材4を配置し、改質ガス供給管10内のガスを冷却する熱交換器13を改質ガス供給管10に設け、熱交換器13に水を供給する。熱交換器13を通過した水を冷媒流通部材4に流通させ、改質器2で発生する熱(輻射熱)を冷媒流通部材4内の水に吸収させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、原燃料及び空気を導入して発電を行う燃料電池システムに関するものである。
燃料電池システムの一つとして固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムがある。一般に固体酸化物形燃料電池システムは、灯油や都市ガス等の炭化水素燃料(原燃料)を改質して水素含有ガス(改質ガス)を生成する改質器と、この改質器で得られた改質ガスと空気とを電気化学的に発電反応させる燃料電池スタックとを備えている。そのようなSOFCシステムとしては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。
特開2005−293951号公報
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、燃料電池システムの起動時に、改質器で生成された改質ガスを燃料電池スタックに供給する際、改質器を反応温度まで昇温する必要がある。このとき、改質器が燃料電池スタックの近傍に設置されている場合には、昇温された改質器からの輻射熱が燃料電池スタックに伝わり、燃料電池スタックの温度が上昇する。このため、燃料電池スタックのアノード(燃料極)が例えば空気等の酸化性ガス雰囲気下にある場合には、アノードが酸化劣化してしまう。
本発明の目的は、燃料電池スタックのアノードの酸化劣化を防止することができる燃料電池システムを提供することである。
本発明の燃料電池システムは、原燃料を改質して改質ガスを生成する改質器と、改質器と改質ガス流路を介して接続され、改質器で生成された改質ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックとを備え、改質器と燃料電池スタックとの間には、冷却媒体を流通させるための冷却媒体流路が配置されていることを特徴とするものである。
このような本発明の燃料電池システムの起動時には、例えば改質器が所定温度まで昇温されると、改質器により改質ガスが生成され、その改質ガスが改質ガス流路を介して燃料電池スタックに供給され、発電が開始される。ここで、改質器が昇温されるときに、改質器と燃料電池スタックとの間に配置された冷却媒体流路に冷却媒体を流通させることにより、改質器からの輻射熱が冷却媒体に吸収されるため、改質器から燃料電池スタックへの伝熱が低減される。これにより、燃料電池スタックの温度上昇が抑えられるため、改質ガスが燃料電池スタックに供給される前に、燃料電池スタックのアノードが酸化劣化することが防止される。
また、本発明の燃料電池システムは、第1原燃料を改質して第1改質ガスを生成する第1改質器と、第1改質器で生成された第1改質ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、燃料電池スタックと改質ガス流路を介して接続され、第2原燃料を改質して第2改質ガスを生成する第2改質器とを備え、第1改質器は、燃料電池スタックと第2改質器との間に配置され、第1改質器と第2改質器との間には、冷却媒体を流通させるための冷却媒体流路が配置されていることを特徴とするものである。
このような本発明の燃料電池システムの起動時には、例えば第2改質器が所定温度まで昇温されると、第2改質器により第2改質ガスが生成され、その第2改質ガスが改質ガス流路を介して燃料電池スタックに供給される。そして、第1改質器が所定温度まで昇温されると、第1改質器により第1改質ガスが生成され、その第1改質ガスが燃料電池スタックに供給され、発電が開始される。ここで、第2改質器が昇温されるときに、第1改質器と第2改質器との間に配置された冷却媒体流路に冷却媒体を流通させることにより、第2改質器からの輻射熱が冷却媒体に吸収されるため、第2改質器から燃料電池スタックへの伝熱が低減される。これにより、燃料電池スタックの温度上昇が抑えられるため、第2改質器により生成された第2改質ガスが燃料電池スタックに供給される前に、燃料電池スタックのアノードが酸化劣化することが防止される。このとき、伝熱促進の観点から、冷却媒体流路に例えば金属粒子など熱伝導度の高い充填物を充填するのが好適である。
好ましくは、冷却媒体流路に冷却媒体として水を供給する流体供給手段を更に備える。このように蒸発潜熱の大きな水を冷却媒体として使用することにより、改質器からの輻射熱を少ない流量で効率良く吸収することができる。従って、冷却媒体流路のスペースを小さくしたり、冷却媒体流路に冷却媒体を供給するための動力を小さくすることが可能となる。
このとき、好ましくは、改質ガス流路に設けられ、改質ガス流路内を流れるガスを冷却する熱交換器を更に備え、流体供給手段は、熱交換器を介して冷却媒体流路に冷却媒体として水を供給する。この場合には、例えば改質ガス流路にガスが滞留していたり、原燃料を改質器に供給する前に改質器に供給された水蒸気が改質ガス流路を流れても、熱交換器に水を供給することにより、それらのガスが冷却される。従って、改質ガス流路内のガスによる燃料電池スタックの温度上昇が防止されるため、燃料電池スタックのアノードの酸化劣化を一層防止することができる。このとき、伝熱促進の観点から、熱交換器内の冷却媒体流路及び改質ガス流路に例えば金属粒子など熱伝導度の高い充填物を充填するのが好適である。
本発明によれば、燃料電池スタックのアノードの酸化劣化を防止することができる。これにより、燃料電池スタックの耐久性を向上させることが可能となる。
以下、本発明に係わる燃料電池システムの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる燃料電池システムの第1実施形態を示すシステム構成図である。同図において、本実施形態の燃料電池システム1は、改質原料(原燃料)を改質して改質ガスを生成する改質器2と、この改質器2で得られた改質ガスと空気とを用いて発電を行う固体酸化物形燃料電池(SOFC)スタック3とを備えている。改質器2とSOFCスタック3との間には、冷却媒体を流通させるための冷却媒体流路を形成する冷媒流通部材4が配置されている。改質器2、SOFCスタック3及び冷媒流通部材4は、モジュール容器5内に収容されてモジュール化されている。
また、燃料電池システム1は、原燃料及び水蒸気が混合された改質原料をモジュール容器5の外部から改質器2に供給するための原料供給系6を備えている。
原料供給系6は、改質器2と接続された原料導入管7と、原燃料の供給量を調整する電磁バルブ8と、水蒸気の供給量を調整する電磁バルブ9とを有している。原燃料としては、例えば灯油や都市ガス等の炭化水素燃料が用いられる。原料供給系6は、例えば水気化器(図示せず)で得られた水蒸気に燃料気化器(図示せず)で得られた原燃料ガスを混合させて改質原料ガスを生成する。そして、その改質原料ガスが原料導入管7内を通って改質器2に導入される。
改質器2は、改質原料を改質触媒で水蒸気改質反応させて、水素及び一酸化炭素を含有する改質ガスを生成する。水蒸気改質反応は非常に大きな吸熱反応であり、反応温度が550〜750℃程度と比較的高いので、高温の熱源が必要となる。このため、改質器2は、SOFCスタック3の近傍に配置され、SOFCスタック3からの輻射熱及びオフガス燃焼熱を利用して水蒸気改質反応を行う。
SOFCスタック3は、改質ガス流路を形成する改質ガス供給管10を介して改質器2と接続されている。また、SOFCスタック3には、モジュール容器5の外部から空気を導入するための空気導入管11が接続されている。空気導入管11には、空気の導入量を調整する電磁バルブ12が設けられている。
SOFCスタック3は、複数の電池セルが積み重ねられて構成されている。電池セルは、アノード(燃料極)3aと、カソード(空気極)3bと、アノード3aとカソード3bとの間に配置された電解質3cとを有している。アノード3aには改質ガスが導入され、カソード3bには空気が導入される。これにより、各電池セルにおいて電気化学的な発電反応が行われることになる。なお、SOFCスタック3は、通常550〜1000℃程度の高温で作動する。
改質ガス供給管10には、当該改質ガス供給管10内のガスを冷却媒体により熱交換して冷却する熱交換器13が設けられている。熱交換器13には、冷却媒体として液体の水を熱交換器13に供給するため水供給管14が接続されている。水供給管14には、水の供給量を調整する電磁バルブ15が設けられている。
冷媒流通部材4は、スペースの観点から、熱交換器13と一体化されているのが望ましい。冷媒流通部材4は、熱交換器13を通過した水を流通させて、改質器2で発生する熱(輻射熱)を吸収するための部材である。冷媒流通部材4は、例えば互いに平行に延在する複数の流路部を有する多管型構造をなしている。冷媒流通部材4は、図示の通り改質器2及びSOFCスタック3から離間していても良く、或いは改質器2及びSOFCスタック3の何れか一方または両方に接合されていても良い。冷媒流通部材4には排出管16が接続されており、冷媒流通部材4内を流通した水が排出管16を通ってモジュール容器5の外部に排出される。
液体の水は、小流量で大きな吸熱を生じさせることができる冷却媒体である。このため、冷却媒体として水を使用することで、冷媒流通部材4の小型化が可能となると共に、水を供給するための動力(例えばポンプ吐出力)を小さくすることができる。
冷媒流通部材4から排出された水は、改質器2に供給すべき水蒸気として再利用することができる。具体的には、冷媒流通部材4から温められた水(液体)が排出される場合には、その水を気化器に通して水蒸気とした上で改質に使用し、冷媒流通部材4から水蒸気が排出される場合には、その水蒸気をそのまま改質に使用することができる。さらに、冷媒流通部材4は、SOFCスタック3に供給される空気の予熱器や、改質器2に供給される改質原料の蒸発器として使用することもできる。
また、燃料電池システム1は、改質ガス供給管10内の温度を検出する温度センサ17と、燃料電池システム1の運転時にシステム全体を制御する制御装置18とを備えている。温度センサ17は、例えば熱電対であり、改質ガス供給管10内において水溜まりが生じやすい箇所に適当な数だけ配置されている。
制御装置18は、電磁バルブ8,9を制御することで原燃料及び水蒸気の導入量をそれぞれ制御し、電磁バルブ12を制御することで空気の導入量を制御し、電磁バルブ15を制御することで水の供給量を制御する。
図2は、燃料電池システム1の起動時に、制御装置18により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。本制御処理の実行は、例えば図示しない起動スイッチが操作されることで開始される。以下、図2に示すフローチャートを用いて、燃料電池システム1の起動時の運転方法について説明する。
まず電磁バルブ15を制御して、熱交換器13を介して冷媒流通部材4に水を供給する(手順101)。そして、例えば改質器2の近傍に配置されたバーナやヒータ(図示せず)、或いは触媒燃焼熱等の熱源によって、改質器2を加熱する。このとき、冷媒流通部材4内には水が流通しているため、昇温している改質器2からの輻射熱が冷媒流通部材4内の水に吸収(吸熱)される。
その後、改質器2が水蒸気を凝縮させない温度まで昇温されたら、電磁バルブ9を制御して、改質器2に水蒸気を供給する(手順102)。このように改質器2に原燃料を供給する前に、まず水蒸気のみを改質器2に供給することにより、改質反応時に改質器2の改質触媒表面に炭素が析出すること(コーキング)が防止されるため、改質触媒が詰まったり劣化して改質反応を阻害することが無くなる。
改質器2に水蒸気のみを供給すると、水蒸気がSOFCスタック3に向けて改質ガス供給管10内を流れるようになる。このとき、熱交換器13には水が流れているので、改質ガス供給管10内の水蒸気は、熱交換器13により冷却された状態でSOFCスタック3のアノード3aに供給されることとなる。
ここで、改質器2への水蒸気の供給を開始した後は、温度センサ17の検出信号に基づいて、改質ガス供給管10内を流れる水蒸気の温度が水の沸点(例えば100℃)以上で且つアノード3aの酸化劣化点(例えば400℃)以下に保持されるように電磁バルブ15を例えばPID制御するのが望ましい。これにより、改質ガス供給管10内を流れる水蒸気の凝縮が抑制されるため、改質ガス供給管10内に水溜まりが生じることが防止される。
このとき、熱交換器13において熱交換されて温められた水が冷媒流通部材4内を流れるようになるが、その時の水の温度が改質器2の温度に比べて低い場合には、改質器2からの輻射熱が冷媒流通部材4内の水に吸収される状態が続く。
その後、改質器2が改質可能な温度まで昇温されたら、電磁バルブ8を制御して、改質器2に向けて原燃料を供給する(手順103)。すると、改質器2により改質ガスが生成され、この改質ガスが改質ガス供給管10を介してSOFCスタック3のアノード3aに供給される。
また、電磁バルブ12を制御して、SOFCスタック3のカソード3bに空気を供給する(手順104)。その後、SOFCスタック3が所定の温度まで昇温された後、SOFCスタック3から電流を取り出すことにより、SOFCスタック3による発電が開始される。なお、SOFCスタック3への空気の供給は、手順103の前または手順103と同時に実行しても良い。
そして、改質ガスがSOFCスタック3に到達した後、改質器2を所定の温度に維持しながら、電磁バルブ15を制御して、熱交換器13ひいては冷媒流通部材4への水の供給を停止する(手順105)。これにより、SOFCスタック3からの輻射熱が改質器2に伝わるようになる。
その後、SOFCスタック3からの輻射熱やアノードオフガス燃焼熱、或いはヒータ(図示せず)等によりモジュール容器5内が昇温される。そして、改質器2またはその近傍に設けられた熱源からの熱出力を停止する。
以上のように本実施形態にあっては、改質器2とSOFCスタック3との間に冷媒流通部材4を配置し、システム起動時に改質器2を昇温する際に、水を冷媒流通部材4内に流通させるようにしたので、改質器2からの輻射熱が冷媒流通部材4内の水に吸収される。これにより、改質器2からSOFCスタック3への輻射熱の伝熱が低減されるため、輻射熱によるSOFCスタック3の温度上昇が抑制される。
また、水蒸気が改質器2に供給された後には、改質ガス供給管10内を流れる水蒸気を熱交換器13により冷却するので、SOFCスタック3に流れ込む水蒸気によるSOFCスタック3の温度上昇も抑制される。
これにより、SOFCスタック3のアノード3aが例えば水蒸気や空気等の酸化性ガス雰囲気下にある場合であっても、改質器2で生成された改質ガスがSOFCスタック3に供給され始める前まで、SOFCスタック3の温度をアノード3aの酸化劣化点以下に保持することができる。その結果、アノード3aの酸化劣化を防止することができる。
図3は、本発明に係わる燃料電池システムの第2実施形態を示すシステム構成図である。図中、第1実施形態と同一または同等の部材及び要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の燃料電池システム20は、上記の改質器2及びSOFCスタック3に加えて、モジュール容器5内に配置され、起動・停止用改質原料(第2原燃料)を改質して改質ガス(第2改質ガス)を生成する起動・停止用改質器21を備えている。本実施形態では、上記の改質器2は、発電用改質原料(第1原燃料)を改質して改質ガス(第1改質ガス)を生成する発電用改質器を構成している。
発電用改質器2と起動・停止用改質器21との間には、冷却媒体を流通させるための冷却媒体流路を形成する冷媒流通部材22が配置されている。なお、発電時にSOFCスタック3から発電用改質器2への輻射熱の伝熱が妨げられることが無いように、発電用改質器2とSOFCスタック3との間には上記の冷媒流通部材4は設けられていない。
また、燃料電池システム20は、原燃料及び水蒸気が混合された起動・停止用改質原料をモジュール容器5の外部から起動・停止用改質器21に供給するための原料供給系23を備えている。
原料供給系23は、起動・停止用改質器21と接続された原料導入管24と、原燃料の供給量を調整する電磁バルブ25と、水蒸気の供給量を調整する電磁バルブ26とを有している。原燃料としては、灯油や都市ガス等の炭化水素燃料が用いられる。これにより、発電用改質原料を作るための発電用原燃料と起動・停止用改質原料を作るための起動・停止用原燃料の供給源を共有化することができる。原料供給系23は、原料供給系6と同様に、例えば水気化器(図示せず)で得られた水蒸気に燃料気化器(図示せず)で得られた原燃料ガスを混合させて起動・停止用改質原料ガスを生成する。そして、その起動・停止用改質原料ガスが原料導入管24内を通って起動・停止用改質器21に導入される。
起動・停止用改質器21は、燃料電池システム20の起動・停止時に、起動・停止用改質原料を改質触媒で水蒸気改質反応させて、還元性を有する改質ガスを生成するものである。なお、起動・停止用改質器21は、特に発電に寄与するものでないので、発電用改質器2に比べて小容量であっても良い。
起動・停止用改質器21は、改質ガス流路を形成する改質ガス供給管27を介して原料導入管7と分岐接続されている。つまり、起動・停止用改質器21は、改質ガス供給管27、原料導入管7、改質器2及び改質ガス供給管10を介してSOFCスタック3と接続されることになる。これにより、改質器21で生成された改質ガスは、改質ガス供給管27、原料導入管7、改質器2及び改質ガス供給管10内を通ってSOFCスタック3に供給される。ここでは、改質器21で生成された改質ガスによって改質器2の改質触媒を還元させるために、改質ガス供給管27を改質器2の入力側に分岐接続したが、改質ガス供給管27を改質器2の出力側(改質ガス供給管10)に接続しても良い。
改質ガス供給管27には、当該改質ガス供給管27内のガスを冷却媒体によって熱交換して冷却する熱交換器28が設けられている。熱交換器28には、冷却流体として液体の水を熱交換器28に供給するため水供給管29が接続されている。水供給管29には、水の供給量を調整する電磁バルブ30が設けられている。
冷媒流通部材22は、上述した冷媒流通部材4と同じ構造を有し、好ましくは熱交換器28と一体化されている。冷媒流通部材22は、熱交換器28を通過した水を流通させて、起動・停止用改質器21からの輻射熱を吸収するための部材である。冷媒流通部材22は、図示の通り発電用改質器2及び起動・停止用改質器21に接合されていても良く、或いは改質器2及び改質器21の何れか一方または両方から離間していても良い。冷媒流通部材22には排出管31が接続されており、冷媒流通部材22内を流通した水が排出管31を通ってモジュール容器5の外部に排出される。
また、燃料電池システム20は、上述した制御装置18に代えて、制御装置32を備えている。制御装置32は、電磁バルブ8,9を制御することで原燃料及び水蒸気の導入量をそれぞれ制御し、電磁バルブ25,26を制御することで原燃料及び水蒸気の導入量をそれぞれ制御し、電磁バルブ12を制御することで空気の導入量を制御し、電磁バルブ30を制御することで水の供給量を制御する。
図4は、燃料電池システム20の起動時に、制御装置32により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。以下、図4に示すフローチャートを用いて、燃料電池システム20の起動時の運転方法について説明する。
まず電磁バルブ30を制御して、熱交換器28を介して冷媒流通部材22に水を供給する(手順121)。そして、例えば起動・停止用改質器21の近傍に配置されたバーナやヒータ(図示せず)等によって改質器21を加熱する。このとき、冷媒流通部材22内には水が流通しているため、昇温している改質器21からの輻射熱が冷媒流通部材22内の水に吸収される。
その後、起動・停止用改質器21が水蒸気を凝縮させない温度まで昇温されたら、電磁バルブ26を制御して、改質器21に水蒸気を供給する(手順122)。すると、水蒸気がSOFCスタック3に向けて改質ガス供給管27内を流れるようになる。このとき、熱交換器28には水が流通しているので、改質ガス供給管27内の水蒸気は、熱交換器28により冷却された状態で発電用改質器2及び改質ガス供給管10を介してSOFCスタック3のアノード3aに供給されることとなる。
ここで、起動・停止用改質器21への水蒸気の供給を開始した後は、温度センサ17の検出信号に基づいて、改質ガス供給管27内を流れる水蒸気の温度が水の沸点以上で且つアノード3aの酸化劣化点以下に保持されるように電磁バルブ30を例えばPID制御するのが望ましい。これにより、改質ガス供給管27内を流れる水蒸気の凝縮による水溜まりの発生が防止される。
その後、起動・停止用改質器21が改質可能な温度まで昇温されたら、電磁バルブ25を制御して、改質器21に向けて起動・停止用原燃料を供給する(手順123)。すると、改質器21により改質ガスが生成され、この改質ガスが改質ガス供給管27、発電用改質器2及び改質ガス供給管10を介してSOFCスタック3のアノード3aに供給される。
また、電磁バルブ12を制御して、SOFCスタック3のカソード3bに空気を供給する(手順124)。なお、SOFCスタック3への空気の供給は、手順123の前または手順123と同時に実行しても良い。
そして、改質ガスがSOFCスタック3に到達した後、電磁バルブ30を制御して、熱交換器28ひいては冷媒流通部材22への水の供給を停止する(手順125)。
その後、SOFCスタック3からの輻射熱やアノードオフガス燃焼熱、或いはヒータ等によりモジュール容器5内の昇温が開始される。
そして、発電用改質器2が所定の温度まで昇温されたら、電磁バルブ9を制御して、改質器2に水蒸気を供給する(手順126)。続いて、電磁バルブ8を制御して、改質器2に向けて発電用原燃料を供給する(手順127)。すると、改質器2により改質ガスが生成され、この改質ガスが改質ガス供給管10を介してSOFCスタック3のアノード3aに供給される。その後、SOFCスタック3が所定の温度まで昇温された後、SOFCスタック3から電流を取り出すことにより、SOFCスタック3による発電が開始される。
続いて、電磁バルブ25を制御して、起動・停止用改質器21への原燃料の供給を停止し(手順128)、引き続いて電磁バルブ26を制御して、改質器21への水蒸気の供給を停止する(手順129)。そして、起動・停止用改質器21またはその近傍に設けられた熱源からの熱出力を停止する。
以上のように本実施形態においては、発電用改質器2と起動・停止用改質器21との間に冷媒流通部材22を配置し、システム起動時に改質器21を昇温する際に、冷媒流通部材22内に水を流通させるようにしたので、改質器21からの輻射熱が冷媒流通部材22内の水に吸収されるようになる。これにより、改質器21からSOFCスタック3への伝熱によるSOFCスタック3の温度上昇が抑制される。また、改質ガス供給管27内を流れる水蒸気を熱交換器28により冷却するため、当該水蒸気によるSOFCスタック3の温度上昇も抑制される。その結果、改質器2で生成された改質ガスがSOFCスタック3に供給される前に、SOFCスタック3のアノード3aが酸化劣化することを防止できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、冷却媒体として水を冷媒流通部材に供給するようにしたが、水以外の液体や空気等の気体を冷媒流通部材に供給しても良い。
また、上記実施形態では、改質ガス供給管内を流れるガスを冷却する熱交換器を介して冷媒流通部材に冷却媒体を供給するようにしたが、冷却媒体を冷媒流通部材に直接供給しても良い。この場合には、常に低温の冷却媒体が冷媒流通部材に供給されるので、改質器からの輻射熱の吸熱効率が高くなる。
さらに、上記実施形態では、改質器で生成された改質ガスがSOFCスタック3に供給された後、冷媒流通部材への冷却媒体の供給を停止するようにしたが、他の運転方法を実施することもできる。例えば原燃料として気化した灯油を使用する場合には、改質原料の温度が必要以上に高くなると、改質器の改質触媒表面に炭素が析出(コーキング)して、改質触媒が劣化することがある。そこで、冷媒流通部材の冷却媒体導入口が改質器2の改質原料導入口の近傍に位置するように構成し、発電時にも冷媒流通部材に冷却媒体を供給することにより、上記コーキングによる改質触媒の劣化を防止することができる。
また、上記実施形態は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)についてであるが、本発明は、例えばSOFCと同じ高温型燃料電池である溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)等にも適用可能である。さらに、改質器としては、上記の水蒸気改質に限られず、自己熱改質や部分酸化改質等を行うものを使用しても良い。
本発明に係わる燃料電池システムの第1実施形態を示すシステム構成図である。 図1に示した燃料電池システムの起動時に、制御装置により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。 本発明に係わる燃料電池システムの第2実施形態を示すシステム構成図である。 図3に示した燃料電池システムの起動時に、制御装置により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…燃料電池システム、2…改質器(第1改質器)、3…固体酸化物形燃料電池(SOFC)スタック、3a…アノード、4…冷媒流通部材(冷却媒体流路)、10…改質ガス供給管(改質ガス流路)、13…熱交換器、14…水供給管(流体供給手段)、20…燃料電池システム、21…改質器(第2改質器)、22…冷媒流通部材(冷却媒体流路)、27…改質ガス供給管(改質ガス流路)、28…熱交換器、29…水供給管(流体供給手段)。

Claims (4)

  1. 原燃料を改質して改質ガスを生成する改質器と、
    前記改質器と改質ガス流路を介して接続され、前記改質器で生成された前記改質ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックとを備え、
    前記改質器と前記燃料電池スタックとの間には、冷却媒体を流通させるための冷却媒体流路が配置されていることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 第1原燃料を改質して第1改質ガスを生成する第1改質器と、
    前記第1改質器で生成された前記第1改質ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、
    前記燃料電池スタックと改質ガス流路を介して接続され、第2原燃料を改質して第2改質ガスを生成する第2改質器とを備え、
    前記第1改質器は、前記燃料電池スタックと前記第2改質器との間に配置され、
    前記第1改質器と前記第2改質器との間には、冷却媒体を流通させるための冷却媒体流路が配置されていることを特徴とする燃料電池システム。
  3. 前記冷却媒体流路に前記冷却媒体として水を供給する流体供給手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。
  4. 前記改質ガス流路に設けられ、前記改質ガス流路内を流れるガスを冷却する熱交換器を更に備え、
    前記流体供給手段は、前記熱交換器を介して前記冷却媒体流路に前記冷却媒体として水を供給することを特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
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