JP2008196569A - 流体封入式筒型防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オリフィス通路を通じての流体流動による防振効果と、可動部材の微小変位による防振効果を、何れも有効に発揮すると共に、可動部材の微小変位時に打音が発生するのを有利に防ぐことが出来る、新規な構造の流体流動式筒型防振装置を提供すること。
【解決手段】中間スリーブ22の中間部分に窓部26a,26bの間を延びる周溝38aを形成し、周溝38aの側壁内面において深さ方向全長に亘って本体ゴム弾性体16と一体形成された一対の支持ゴム弾性体42a,42bを設けて、それら一対を周溝38aの溝幅方向で対向させると共に、支持ゴム弾性体42a,42bの対向面に開口する支持凹所62a,62bを設けて、各支持凹所62a,62bの内壁面に支持ゴム弾性体42a,42bと一体的に弾性支持突起64a,64bを突出形成し、板状の可動部材66を弾性支持突起64a,64bによって板厚方向で微小変位可能に支持した。
【選択図】図4
【解決手段】中間スリーブ22の中間部分に窓部26a,26bの間を延びる周溝38aを形成し、周溝38aの側壁内面において深さ方向全長に亘って本体ゴム弾性体16と一体形成された一対の支持ゴム弾性体42a,42bを設けて、それら一対を周溝38aの溝幅方向で対向させると共に、支持ゴム弾性体42a,42bの対向面に開口する支持凹所62a,62bを設けて、各支持凹所62a,62bの内壁面に支持ゴム弾性体42a,42bと一体的に弾性支持突起64a,64bを突出形成し、板状の可動部材66を弾性支持突起64a,64bによって板厚方向で微小変位可能に支持した。
【選択図】図4
Description
本発明は、例えば、自動車のエンジンマウントやサスペンションブッシュ等として好適に採用される筒型防振装置に係り、特に、封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式筒型防振装置に関するものである。
従来から、防振連結される部材間に介装されて、それら部材を弾性的に連結する防振装置の一種として流体封入式筒型防振装置が知られている。このような流体封入式筒型防振装置としては、例えば、防振連結される一方の部材に取り付けられるインナ軸部材と、インナ軸部材の外周側に離隔配置される筒状の中間スリーブを、本体ゴム弾性体で連結する一方、中間スリーブに周方向で離隔して開口する一対の窓部を形成すると共に、一対の窓部を通じて外周面に開口する一対のポケット部を本体ゴム弾性体に形成して、中間スリーブに外嵌固定されるアウタ筒部材で一対のポケット部の開口を流体密に覆蓋することにより、それらポケット部を利用して非圧縮性流体が封入された一対の流体室を形成すると共に、それら一対の流体室を相互に連通せしめるオリフィス通路を設けた構造とされている。このような流体封入式防振装置においては、振動入力時に一対の流体室間で圧力差が生じると、オリフィス通路を通じてそれら一対の流体室間を封入流体が流動せしめられて、流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようになっている。
ところで、このような流体封入式筒型防振装置において発揮される流体の流動作用に基づく優れた防振効果は、オリフィス通路が予めチューニングされた限定された周波数域の振動に対して有効に発揮される一方で、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域の振動入力に際しては、充分な防振効果が発揮され難い。それ故、複数の周波数域の入力振動に対する防振効果が要求される場合等には、要求性能を充分に満たすことが出来ないおそれがあった。
そこで、このような問題を解決するために、特許文献1(実開平6−51587号公報)には、高周波数域の振動入力に際して、板厚方向で微小変位せしめられる可動部材としての相互作用遮断プレートを備えた流体封入式筒型防振装置が開示されている。これによれば、高周波小振幅振動の入力時において、相互作用遮断プレートの微小変位による防振効果が発揮されるようになっている。
しかしながら、このような特許文献1に記載の流体封入式筒型防振装置においては、相互作用遮断プレートが組み付けられる保持手段と、相互作用遮断プレートが何れも金属や熱可塑性プラスチックを材料とする硬質の部材とされている。それ故、高周波小振幅振動の入力時に相互作用遮断プレートが板厚方向で微小変位せしめられると、相互作用遮断プレートと保持手段が当接することにより、比較的に大きな打音が発生するおそれがある。従って、高度な静粛性が求められる場合等には、異音の発生が問題となり易い。
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、低周波数域の振動に対するオリフィス通路を通じての流体流動による防振効果と、高周波数域の振動に対する可動部材の微小変位による防振効果を、何れも有効に発揮すると共に、可動部材の微小変位時に打音が発生するのを有利に防ぐことが出来る、新規な構造の流体封入式筒型防振装置を提供することを目的とする。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明は、インナ軸部材とその外周側に離隔して配設された筒状の中間スリーブが本体ゴム弾性体で弾性的に連結された一体加硫成形品を形成すると共に、該中間スリーブに形成された複数の窓部を通じて外周面に開口する複数のポケット部を該本体ゴム弾性体に設けて、該一体加硫成形品にアウタ筒部材を外嵌固定して該複数のポケット部の開口部を該アウタ筒部材で流体密に覆蓋することにより非圧縮性流体が封入された複数の流体室を形成すると共に、それら複数の流体室を相互に連通するオリフィス通路を形成した流体封入式筒型防振装置において、前記中間スリーブの軸方向中間部分において外周側に開口して前記複数の窓部の間を周方向に延びる周溝を形成し、該周溝の側壁内面において前記本体ゴム弾性体と一体形成されて該周溝の深さ方向全長に亘って広がる一対の支持ゴム弾性体を設けて、それら一対の支持ゴム弾性体を該周溝の溝幅方向で相互に対向位置せしめると共に、該一対の支持ゴム弾性体の対向面に開口する支持凹所をそれぞれ設けて、各該支持凹所の内壁面に該支持ゴム弾性体と一体的に設けられた弾性支持突起を突出形成し、該一対の支持凹所に板状の可動部材の端部をそれぞれ挿し入れて該可動部材を該弾性支持突起によって該周溝の長さ方向となる板厚方向で微小変位可能に支持せしめたことを特徴とする。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式筒型防振装置において、低周波大振幅振動の入力時には、複数の流体室間で相対的な圧力変動が生じて、それら複数の流体室間でオリフィス通路を通じての流体流動が生じる。これにより、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づく高減衰による防振効果が有効に発揮されるようになっている。一方、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域の中乃至高周波小振幅振動の入力時には、オリフィス通路が反共振的な作用によって実質的な目詰まり状態となると共に、流体室間に配設された可動部材が、流体室間の相対的な圧力変動によって板厚方向で微小変位せしめられることにより、著しい高動ばね化を防いで有効な防振効果を得ることが出来るようになっている。
しかも、本発明に係る流体封入式筒型防振装置においては、可動部材がゴム弾性体で形成された弾性支持突起によって支持されている。それ故、可動部材が微小変位せしめられる際に、可動部材が他の部材に対して打ち当たることによって異音を生じるのを防ぐことが出来る。従って、静粛性を高度に実現することが出来る。
また、本発明に従う構造とされた流体封入式筒型防振装置においては、前記支持凹所の対向内壁面に一対の前記弾性支持突起を形成して、それら一対の弾性支持突起を突出方向で所定距離を隔てて相互に対向位置せしめると共に、該一対の弾性支持突起の対向間に前記可動部材の端部を当接状態で挟んで配設した構造を採用することが出来る。
これによれば、一対の弾性支持突起の対向間に可動部材を当接状態で挟み込んで支持することにより、可動部材の安定した配設状態を実現することが出来る。しかも、可動部材を一対の弾性支持突起に予め当接せしめることにより、所定の位置に容易に組み付けることが出来ると共に、可動部材の微小変位による異音の発生をより有利に防ぐことが出来る。また、可動部材を一対の弾性支持突起によって変位を許容された方向で挟み込むことにより、可動部材の微小変位時に弾性支持突起に対して圧縮応力が作用せしめられる。これにより、繰り返し変形せしめられる弾性支持突起の耐久性を有利に確保することが出来る。
一方、本発明に従う構造とされた流体封入式筒型防振装置においては、前記周溝の溝幅方向両側に位置してそれぞれ対向面に開口せしめられた前記各支持凹所の奥壁面から開口部に向かって突出するように前記弾性支持突起を設けると共に、前記可動部材の溝幅方向両端面に該弾性支持突起と係合する係合凹所を設けて該弾性支持突起を該係合凹所に挿し入れた構造を採用しても良い。
このような構造を採用することによっても、可動部材を安定して位置決めすることが出来て、所定位置への可動部材の組付けを容易に実現することが出来る。なお、支持凹所の奥壁面とは、支持凹所の内壁面において周溝の溝幅方向に位置する面を言う。
また、本発明に係る流体封入式筒型防振装置においては、前記弾性支持突起が前記周溝の深さ方向全長に亘って連続して延びる突条とされていることが望ましい。
このような構造においては、オリフィス通路がチューニングされた周波数域の大振幅振動入力時に、周溝の両側に形成された流体室間の相対的な圧力変動により可動部材が弾性支持突起に押し当てられて、周溝の深さ方向全長に亘って相互に密接せしめられるようにすることが出来る。これにより、低周波大振幅振動入力時には、周溝が可動部材と弾性支持突起の協働によって溝長さ方向の一部において閉塞せしめられて、流体室間の相対的な圧力変動を有利に確保することが出来る。それ故、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく高減衰効果を有利に得ることが出来て、目的とする防振効果を有効に発揮させることが出来る。本発明においては、可動部材がゴム弾性体で形成された弾性支持突起によって支持されるようになっていることから、可動部材と支持ゴム弾性体の間を流体が流通するのを有利に防ぐことが出来て、低周波数域の振動に対する防振性能の低下を有利に回避することが出来る。
また、本発明に従う構造とされた流体封入式筒型防振装置においては、前記弾性支持突起の少なくとも突出先端部分が突出先端側に向かって次第に狭幅となっていることが望ましい。
弾性支持突起をこのような特定形状とすることにより、可動部材が微小変位せしめられる際に、弾性支持突起との当接初期における当接面積が小さくされていると共に、可動部材の変位が大きくなるに従って次第に当接面積が大きくなるようにされている。それ故、可動部材と弾性支持突起の間に隙間がある場合にも、可動部材が弾性支持突起に対して緩衝的に当接して、当接時に生じる打音をより有利に低減乃至は回避することが出来る。
また、本発明に係る流体封入式筒型防振装置においては、前記支持凹所を前記周溝の深さ方向の全長に亘って延びるように形成しても良い。
このような構造を採用することにより、可動部材を周溝の深さ方向全長に亘って広がるように設けて、可動部材と周溝の底壁面の間や、可動部材とアウタ筒部材の間を通じて流体室間で流体が流動せしめられるのを有利に防ぐことが可能となる。それ故、流体室間での相対的な圧力差を有利に確保して、オリフィス通路を通じての流体流動量を有利に確保することが出来て、流体の流動作用に基づく防振効果をより有利に発揮せしめることが出来る。
また、本発明に係る流体封入式筒型防振装置においては、前記中間スリーブに一対の前記窓部を形成すると共に、該中間スリーブの軸方向中間部分において該一対の窓部における周方向一方の隣接端部間に跨がって周方向に延びる第一の支持凹溝と周方向他方の隣接端部間に跨がって周方向に延びる第二の支持凹溝を設けて、該第一の支持凹溝によって前記周溝を構成すると共に、前記オリフィス通路を形成するオリフィス部材をそれら第一及び第二の支持凹溝に嵌め入れて該中間スリーブの外周面に装着する一方、該オリフィス部材を該第一の支持凹溝上で周方向に分断構造として、該オリフィス部材の周方向の分断端面を、該第一の支持凹溝に突設された前記支持ゴム弾性体の周方向端面に当接させて位置決めした構造が好適に採用され得る。
このような構造を採用することにより、オリフィス部材を本体ゴム弾性体の一体加硫成形品に対して組み付ける際に、オリフィス部材の支持ゴム弾性体への当接によってオリフィス部材を一体加硫成形品に対して周方向で位置合わせして、所定の組付け位置に容易に組付けることが出来る。それ故、流体封入式筒型防振装置の生産性の向上を有利に図ることが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1,2には、本発明に従う構造の流体封入式筒型防振装置の一実施形態である防振ブッシュ10が示されている。防振ブッシュ10は、インナ軸部材としての内筒金具12とアウタ筒部材としての外筒金具14が、互いに径方向で所定距離を隔てて位置せしめられていると共に、内筒金具12と外筒金具14の径方向間に介装された本体ゴム弾性体16によって、それら内筒金具12と外筒金具14が弾性的に連結された構造とされている。そして、防振ブッシュ10は、内筒金具12と外筒金具14がそれぞれ防振連結される各一方の部材に取り付けられることにより、それら防振連結される部材間に介装されるようになっている。
より詳細には、内筒金具12は、小径の略円筒形状を呈しており、例えばアルミニウム合金等の金属材料で形成された高剛性の部材とされている。また、内筒金具12の軸方向一方の端部(図1中、上端)が軸直角方向外方に向かって屈曲せしめられており、全周に亘って外周側に広がるフランジ部18が一体形成されている。
また、内筒金具12には、ストッパ部材20が固着されている。ストッパ部材20は、略矩形ブロック形状を呈しており、硬質の合成樹脂材料で形成されている。また、ストッパ部材20は、内筒金具12の軸方向中央部分において外嵌固定されて、径方向一方向の両側に向かって突出せしめられており、その突出先端面が周方向で湾曲する湾曲面とされている。
また、内筒金具12の外周側には、径方向で所定距離を隔てて中間スリーブとしての金属スリーブ22が配設されている。金属スリーブ22は、薄肉大径の略円筒形状を呈しており、内筒金具12を全周に亘って取り囲むように配設されている。また、本実施形態における金属スリーブ22は、内筒金具12よりも軸方向寸法が小さくされており、内筒金具12が金属スリーブ22の軸方向両端部よりも軸方向外側に突出せしめられている。更にまた、金属スリーブ22の軸方向略中央部分は、軸方向両端部分に比して小径とされており、一対の段差部を介して軸方向両端部分と一体とされた小径部24が設けられている。
さらに、金属スリーブ22の小径部24には、窓部としての第一の開口窓26aと第二の開口窓26bが、周方向に所定の距離を隔てて形成されている。本実施形態において、これら第一, 第二の開口窓26a,26bは、径方向一方向で対向位置するように設けられており、金属スリーブ22の小径部24を貫通して形成されている。また、第一, 第二の開口窓26a,26bは、略矩形状を呈して周方向に所定の長さで延びていると共に、軸方向の両縁部が小径部24の軸方向両端に位置する段差部の外周縁部にまで延びている。これにより、第一, 第二の開口窓26a,26bの周方向端部間には、小径部24と一対の段差部を壁面として外周面に開口する第一の周方向溝28aと第二の周方向溝28bが形成されている。
また、内筒金具12と金属スリーブ22の間には、本体ゴム弾性体16が介装されている。本体ゴム弾性体16は、厚肉の略円筒形状を呈しており、その内周面が内筒金具12の外周面に加硫接着されると共に、その外周面が金属スリーブ22の内周面に加硫接着されることにより、それら内筒金具12と金属スリーブ22が本体ゴム弾性体16を介して弾性的に連結されている。これにより、図3に示されているように、本体ゴム弾性体16が内筒金具12と金属スリーブ22を備えた一体加硫成形品30として形成されている。
また、本実施形態に係る本体ゴム弾性体16には、第一の周方向溝28aと第二の周方向溝28bが対向する径方向一方向で内筒金具12を挟んだ両側に、すぐり部32が形成されている。すぐり部32は、周方向に所定の長さで形成されており、図1に示されているように、本体ゴム弾性体16の径方向中間部分を軸方向で貫通するように形成されている。
また、内筒金具12に固着されたストッパ部材20は、その表面が本体ゴム弾性体16と一体形成されたゴム層によって略全面に亘って被覆されている。また、内筒金具12に固着されたストッパ部材20の径方向突出先端面には、軸方向中央部分に周方向の略全長に亘って延びる凹所が形成されており、該凹所から径方向で突出するようにストッパゴム34が形成されている。このストッパゴム34は、本体ゴム弾性体16と一体形成されており、略一定の矩形断面で周方向に延びるように形成されている。そして、ストッパゴム34は、ストッパ部材20の軸方向両端部分における径方向突出先端面よりも径方向外方に突出するように設けられている。
なお、本実施形態において、ストッパ部材20の突出先端面の周方向両端部分を覆うように形成されたゴム層には、周方向に延びる多数の凹溝が形成されている。これにより、振動入力によって内筒金具12と外筒金具14が径方向で相対変位せしめられて、ストッパ部材20が後述するオリフィス部材に当接せしめられる際に、緩衝的な当接が実現されるようになっており、オリフィス部材の破損等の問題を回避し得るようになっている。
また、金属スリーブ22における第一,第二の周方向溝28a,28bには、被覆ゴム層36が設けられている。この被覆ゴム層36は、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のゴム層であって、第一,第二の周方向溝28a,28bの溝内面を略全面に亘って覆うように被着形成されている。このように第一,第二の周方向溝28a,28bの内面が全面に亘って被覆ゴム層36で覆われることにより、本実施形態における第一,第二の支持凹溝38a,38bが形成されている。なお、本実施形態では、被覆ゴム層36において、第一,第二の周方向溝28a,28bの側壁部に固着せしめられた部分が、第一,第二の周方向溝28a,28bの底壁部に固着せしめられた部分よりも厚肉となっている。また、第一の支持凹溝38aによって、本実施形態における周溝が構成されている。
また、第一の支持凹溝38aの両側壁部には、第一の支持凹溝38aの溝内側に向かって突出するように形成された支持ゴム弾性体としての一対の弾性支持突部42a,42bが形成されている。この弾性支持突部42a,42bは、略ブロック形状を有するゴム弾性体で形成されており、本体ゴム弾性体16および被覆ゴム層36と一体形成されている。また、弾性支持突部42a,42bは、第一の支持凹溝38aの溝深さ方向の全長に亘って設けられており、弾性支持突部42a,42bの形成箇所において第一の支持凹溝38aが狭幅となっている。また、本実施形態において、弾性支持突部42a,42bは、周方向で第一の支持凹溝38aの両端部までは至らない長さとされており、第一の支持凹溝38aの周方向中央部分において、一対の弾性支持突部42a,42bが溝幅方向で対向位置せしめられている。これにより、第一の支持凹溝38aは、その周方向両端部分が、周方向中間部分に比して幅広とされている。なお、弾性支持突部42a,42bは、第一の支持凹溝38aの上下両側の側壁部に一対が設けられており、それら一対の弾性支持突部42a,42bが溝幅方向である軸方向で相互に離隔して対向位置せしめられている。
また、本体ゴム弾性体16の軸方向中央部分には、内筒金具12を挟んだ径方向一方向で対向位置せしめられるようにして、第一のポケット部44aと第二のポケット部44bが形成されている。第一,第二のポケット部44a,44bは、第一,第二の支持凹溝38a,38bが対向する径方向と略直交する径方向一方向で対向するように形成されており、金属スリーブ22に形成された第一, 第二の開口窓26a,26bを通じて外周面に開口せしめられている。また、第一,第二のポケット部44a,44bが形成されていることにより、軸方向中央部分における本体ゴム弾性体16の軸直角方向での断面形状が略矩形状を呈しており、第一,第二の周方向溝28a,28bの底壁部間を径方向で略直線的に延びるように形成されている。
また、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品30には、図4に示されているように第一のポケット部44aと第二のポケット部44bの間を周方向で跨ぐようにオリフィス部材46が組み付けられている。本実施形態においてオリフィス部材46は、第一のオリフィス形成部材48aと第二のオリフィス形成部材48bが周方向で相互に組み合わされることにより構成されて、一周弱の長さで略C字形に湾曲して延びるように形成されている。
オリフィス形成部材48a,48bは、例えば繊維補強された硬質の合成樹脂等によって形成されており、周方向に半周弱の長さで延びる円弧板形状を呈している。また、オリフィス形成部材48a,48bの周方向中間部分には、オリフィス形成部材48a,48bの幅方向(図4中、上下)両側にそれぞれ突出する支持部50が設けられており、周方向中間部分の幅寸法が周方向両端部分に比して大きくなっている。
また、オリフィス形成部材48a,48bの周方向一方の端部において、幅方向両端部分が幅方向中央部分に比してそれぞれ周方向で延び出している。これにより、オリフィス形成部材48a,48bの周方向一方の端部において、幅方向両端部分から周方向で延び出す一対の突出部52が形成されている。なお、オリフィス形成部材48a,48bの周方向一方の端部に軸方向で相互に離隔して周方向に延び出す一対の突出部52が設けられることにより、本実施形態におけるオリフィス形成部材48a,48bの周方向一方の端部は、その幅方向(後述する組付状態下におけるブッシュ軸方向)中央部分が略矩形状に切り取られたような形状となっている。
また、オリフィス形成部材48a,48bには、幅方向(図4中、上下)中央部分を周方向の全長に亘って延びる凹溝54a,54bが形成されている。凹溝54a,54bは、オリフィス形成部材48a,48bの外周面に開口して、周方向全長に亘って略一定の溝断面形状で周方向に延びるように形成されており、その周方向端部がオリフィス形成部材48a,48bの軸方向(図4中、上下)中央部分における周方向各一方の端部に開口せしめられている。また、本実施形態において、凹溝54a,54bは、外周側に向かって次第に拡幅する略V字形の溝形状を有している。
このような凹溝54a,54bを備えたオリフィス形成部材48a,48bは、図4に示されているように、一体加硫成形品30に対して第一,第二のポケット部44a,44bの開口部上を延びるように組み付けられる。即ち、図4に示されているように、第一のオリフィス形成部材48aが第一のポケット部44aを周方向で跨ぐように配設されると共に、第二のオリフィス形成部材48bが第二のポケット部44bを周方向で跨ぐように配設されて、それらオリフィス形成部材48a,48bが、一体加硫成形品30に対して内筒金具12を挟んで軸直角方向一方向で略対向するように組み付けられる。そして、オリフィス形成部材48a,48bの周方向一方の端部に形成された突出部52の周方向先端部分が、弾性支持突部42a,42bの周方向両端部に対して周方向両側から重ね合わされた状態で、第一の支持凹溝38aに嵌め付けられると共に、オリフィス形成部材48a,48bの周方向他方の端部が第二の支持凹溝38bに嵌め付けられることにより、オリフィス形成部材48a,48bが第一,第二のポケット部44a,44bを周方向で跨ぐように配設される。なお、本実施形態では、第一のオリフィス形成部材48aと第二のオリフィス形成部材48bは、同一の形状を有する部材で構成されている。
本実施形態では、オリフィス形成部材48a,48bの周方向中間部分において軸方向両側に突出する一対の支持部50,50が形成されており、支持部50の形成箇所におけるオリフィス形成部材48a,48bの軸方向寸法が、第一,第二の開口窓26a,26bの軸方向寸法と略等しくされている。これにより、オリフィス形成部材48a,48bの一体加硫成形品30への組付けに際して、オリフィス形成部材48a,48bが軸方向で所定の位置に容易に位置決めされると共に、オリフィス形成部材48a,48bにおける第一,第二のポケット部44a,44bを跨ぐ部分が、金属スリーブ22の第一,第二の開口窓26a,26bに嵌め付けられて支持されるようになっている。
さらに、上述の如き第一,第二のオリフィス形成部材48a,48bの組付状態下において、第二の支持凹溝38bに嵌め込まれた第一のオリフィス形成部材48aと第二のオリフィス形成部材48bの端部が、周方向で相互に当接せしめられている。これにより、第一のオリフィス形成部材48aと第二のオリフィス形成部材48bが周方向で連続するように組み付けられており、本実施形態におけるオリフィス部材46が第一のオリフィス形成部材48aと第二のオリフィス形成部材48bによって構成されている。
また、第一のオリフィス形成部材48aの周方向一方の端部に設けられた突出部52と、第二のオリフィス形成部材48bの周方向一方の端部に設けられた突出部52は、第一の支持凹溝38a上において、弾性支持突部42a,42bを挟んで周方向に離隔して配置されている。これにより、オリフィス部材46は、第一の支持凹溝38aに嵌め込まれた部分において周方向で分断されており、全体として周方向に所定の長さで延びる略C字形状とされている。
また、本実施形態では、オリフィス部材46の周方向両端に設けられた突出部52が、周方向両側から弾性支持突部42a,42bに当接せしめられている。これにより、オリフィス部材46が、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品30に対して周方向で位置決めされるようになっている。しかも、弾性支持突部42a,42bが変形可能なゴム弾性体で形成されていることから、例えば、後述する外筒金具の嵌着固定に際して、第一のオリフィス形成部材48aと第二のオリフィス形成部材48bに対して外力が作用せしめられた場合にも、オリフィス部材46に生じる応力を低減することが出来て、オリフィス部材46の破損等の問題を回避し得るようになっている。
さらに、第一のオリフィス形成部材48aに形成された凹溝54aと、第二のオリフィス形成部材48bに形成された凹溝54bが、第二の支持凹溝38b上で接続されており、オリフィス部材46の外周面に開口して周方向に所定の長さで連続的に延びる周状凹溝55が形成されている。
なお、第一の支持凹溝38aの側壁面を構成する被覆ゴム層36において突出部52が当接せしめられる部分に対して、第一の支持凹溝38aの深さ方向全長に亘って連続して延びるシール突条を設けて、該シール突条によって第一の支持凹溝38aと突出部52がより有利に流体密に重ね合せられるようにしても良い。
また、一体加硫成形品30には、このようにオリフィス部材46が周方向で位置決めされて一体加硫成形品30に組み付けられた状態で、外筒金具14が外嵌固定される。外筒金具14は、薄肉大径の略円筒形状を呈しており、絞り加工後の金属スリーブ22の大径部分(軸方向両端部)よりも大径とされている。更に、本実施形態では、外筒金具14の軸方向寸法が金属スリーブ22の軸方向寸法と略等しくなっている。また、外筒金具14の内周面には、薄肉のシールゴム層56が略全面に亘って被着形成されている。
このようなシールゴム層56を備えた外筒金具14は、オリフィス部材46を組み付けられた一体加硫成形品30に対して外挿される。そして、外筒金具14に対して八方絞り等の縮径加工が施されることにより、外筒金具14が一体加硫成形品30に対して嵌着固定される。なお、外筒金具14がシールゴム層56を介して金属スリーブ22およびオリフィス部材46に密着せしめられており、それら外筒金具14と金属スリーブ22およびオリフィス部材46の重ね合わせ面間が流体密にシールされている。特に本実施形態では、外筒金具14と金属スリーブ22およびオリフィス部材46との重ね合せ部分において、シールゴム層56から内周側に突出する複数条のシール突条が一体形成されており、外筒金具14と金属スリーブ22およびオリフィス部材46の重ね合せ面間がより有利にシールされるようになっている。
このような外筒金具14の組付状態下において、一体加硫成形品30に形成された第一,第二のポケット部44a,44bの開口が外筒金具14で覆蓋されて、流体封入領域が形成される。また、流体封入領域には、外筒金具14の一体加硫成形品30への組付けを非圧縮性流体中で行う等して、非圧縮性流体が封入される。これにより、第一のポケット部44aを利用して、内部に非圧縮性流体が封入された第一の流体室58aが形成されていると共に、第二のポケット部44bを利用して、内部に非圧縮性流体が封入された第二の流体室58bが形成されている。
なお、第一,第二の流体室58a,58bに封入される非圧縮性流体は、特に限定されるものではないが、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油、或いは、それらを混合したもの等が好適に採用される。更に、封入流体は、後述する流体の流動作用に基づく防振効果を有利に得るために、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。また、本実施形態では、第一の流体室58aと第二の流体室58bが、何れも、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づく圧力変動が生ぜしめられる受圧室となっている。
また、外筒金具14の一体加硫成形品30への組付けによって、一対の流体室58a,58bの周方向間に設けられた第一,第二の支持凹溝38a,38bの外周側の開口が、外筒金具14によって流体密に覆蓋される。これにより、第一,第二の支持凹溝38a,38bを利用して、第一,第二の流体室58a,58bの周方向間を周方向に所定の長さで延びるトンネル状の領域が形成されている。
さらに、外筒金具14と第一,第二の支持凹溝38a,38bの底壁部の径方向対向面間において、オリフィス部材46が挟み込まれて固定的に支持される。更に、オリフィス部材46は、その外周面がシールゴム層56を介して外筒金具14に押し付けられており、オリフィス部材46の外周面と外筒金具14の内周面が密着せしめられている。これにより、オリフィス部材46の外周面に開口するように形成された周状凹溝55が外筒金具14によって覆蓋されて、周方向に一周弱の所定長さで延びるトンネル状の流路が形成されている。この流路は、一方の端部が第一の流体室58aに連通せしめられると共に、他方の端部が第二の流体室58bに連通せしめられており、該流路によって第一の流体室58aと第二の流体室58bを周方向で相互に連通するオリフィス通路60が形成されている。
本実施形態では、オリフィス通路60のチューニング周波数が5〜50Hz程度の低周波数域に設定されており、低周波大振幅振動に対して、流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮されるようになっている。なお、オリフィス通路60のチューニング周波数は、オリフィス通路60の通路断面積と通路長の比を調節することにより、防振対象振動の周波数に応じて適宜に設定することが出来る。
また、外筒金具14の縮径変形によって、第一,第二のオリフィス形成部材48a,48bの周方向端部の内周面は、第一,第二の支持凹溝38a,38bの底面に対して押し付けられており、被覆ゴム層36を介して第一,第二の支持凹溝38a,38bに密着せしめられている。
ここにおいて、一対の弾性支持突部42a,42bには、それぞれ支持凹所62a,62bが形成されている。本実施形態において、支持凹所62a,62bは、図5に示されているように、第一の支持凹溝38aの溝幅方向内側と、径方向外方にそれぞれ開口する切欠形状とされており、弾性支持突部42a,42bの周方向中央部分に形成されている。また、本実施形態における支持凹所62a,62bは、第一の支持凹溝38aの側壁部において、溝深さ方向で全長に亘って延びて形成されていると共に、溝幅方向での弾性支持突部42a,42bの突出高さと略同じ溝幅方向寸法で形成されている。このような支持凹所62a,62bが弾性支持突部42a,42bに形成されることにより、本実施形態における弾性支持突部42a,42bは周方向で二分された形状となっている。
また、支持凹所62a,62bの内壁面には、弾性支持突起としての一対の弾性ゴム突条64a,64bがそれぞれ形成されている。弾性ゴム突条64a,64bは、図4,5に示されているように、第一の支持凹溝38aの溝幅方向(ブッシュ軸方向)において弾性支持突部42a,42bの中間部分に設けられて、周方向で対向する支持凹所62a,62bの周方向両側壁面から支持凹所62a,62b内に突出するように形成されている。また、本実施形態における弾性ゴム突条64a,64bは、略一定の断面形状で第一の支持凹溝38aの深さ方向に連続して直線的に延びる突条とされており、第一の支持凹溝38aの深さ方向全長に亘って設けられている。更に、弾性ゴム突条64a,64bは、ゴム弾性体で形成されており、本実施形態では、被覆ゴム層36と一体形成されている。また、周方向(第一の支持凹溝38aの長さ方向)で対向するように一対の弾性ゴム突条64a,64bが設けられており、それら一対の弾性ゴム突条64a,64bが周方向で所定距離を隔てて位置せしめられている。また、本実施形態における弾性ゴム突条64a,64bは、突出先端部分が半円形の断面形状を有しており、突出先端部分が突出先端側に向かって次第に狭幅となっている。
さらに、第一の支持凹溝38aの溝幅方向で対向位置せしめられた一対の支持凹所62a,62bの間には、可動部材としての可動板66が配設されている。可動板66は、径方向に広がる矩形平板形状を有しており、本実施形態では、硬質の合成樹脂で形成されている。
このような可動板66は、一体加硫成形品30において、外周側から一対の支持凹所62a,62bの軸方向対向間に挿し入れられて配設されており、ブッシュ軸方向両端部分が支持凹所62a,62bに挿し入れられた状態で一対の弾性ゴム突条64a,64bによって挟み込まれて支持されている。本実施形態では、可動板66の配設状態で可動板66の周方向両側に位置する面に一対の弾性ゴム突条64a,64bが接触せしめられている。なお、本実施形態では、一対の弾性ゴム突条64a,64bは、可動板66に対して径方向の略全長に亘って圧縮されることなく接触せしめられているが、一対の弾性ゴム突条64a,64bは、可動板66に対して周方向で予め所定量だけ圧縮された状態で当接せしめられていても良い。
そして、一体加硫成形品30に対して可動板66が組み付けられた状態で、外筒金具14が金属スリーブ22に外嵌固定されることにより、可動板66は、第一の支持凹溝38aの底面と外筒金具14の内周面の間に形成されるトンネル状の領域に収容配置される。本実施形態では、径方向両側に位置する可動板66の各面が、第一の支持凹溝38aの底面と外筒金具14の内周面に対してそれぞれ接触せしめられて重ね合わされている。また、軸方向両側に位置する可動板66の各面が支持凹所62a,62bの軸方向内面に接触せしめられて重ね合わされている。これにより、第一の支持凹溝38aの底面と外筒金具14の内周面の間に形成されるトンネル状の領域が、可動板66によって周方向両側に仕切られている。
また、かかる配設状態下において、可動板66は、弾性ゴム突条64a,64bの弾性変形によって板厚方向(周方向)での微小変位が許容されるようになっている。なお、可動板66は、板厚方向での微小変位を有利に実現するために、自己潤滑性に優れた合成樹脂材料を採用して形成することも出来る。これによれば、支持凹所62a,62bの内壁面や第一の支持凹溝38aの底壁面,外筒金具14の内周面等への接触による摩擦抵抗を小さく抑えることが出来て、可動板66がそれら各面に当接せしめられた状態であっても、可動板66の微小変位を有効に実現することが出来る。
このような本実施形態に従う構造とされた防振ブッシュ10に低周波大振幅振動が入力されて、第一の流体室58aと第二の流体室58bの間で相対的な圧力変動が惹起されると、第一の流体室58aと第二の流体室58bの間で封入流体がオリフィス通路60を通じて流動せしめられる。これにより、オリフィス通路60を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づく高減衰効果によって、低周波数域の入力振動に対する有効な防振性能が発揮されるようになっている。
特に本実施形態では、可動板66が、第一の支持凹溝38aの底面と、外筒金具14の内周面と、支持凹所62a,62bの軸方向面にそれぞれ当接せしめられていると共に、径方向で第一の支持凹溝38aの深さと略同じ長さで延びる弾性ゴム突条64a,64bによってブッシュ軸方向の両端部が挟持されている。これにより、オリフィス部材46の周方向端部間が可動板66によって閉塞されており、低周波大振幅振動の入力時において、第一の流体室58aと第二の流体室58bの相対的な圧力変動が有効に生ぜしめられる。それ故、オリフィス通路60を通じて両室58a,58b間を流動せしめられる流体の流動量を充分に確保することが出来て、目的とする防振効果を有効に得ることが出来る。
一方、防振ブッシュ10に対してオリフィス通路60のチューニング周波数よりも高周波数域の中乃至高周波小振幅振動が入力された場合には、可動板66の微小変位による液圧吸収作用が発揮されるようになっている。
すなわち、中乃至高周波小振幅振動の入力時には、入力振動の周波数よりも低周波数域にチューニングされたオリフィス通路60が、反共振的な作用によって実質的に目詰まり状態となって、オリフィス通路60を通じての有効な流体流動が生じない。一方、第一,第二の流体室58a,58b間の相対的な内圧変動に基づいて、可動板66に対して圧力が作用せしめられて、弾性ゴム突条64a,64bの弾性変形に基づいて可動板66が板厚方向(第一の支持凹溝38aの長さ方向)で微小変位せしめられる。これにより、可動板66の微小変位に基づく液圧吸収効果によって、中乃至高周波数域の入力振動に対しても有効な防振性能が得られるようになっている。
また、本実施形態では、可動板66が、一対の弾性ゴム突条64a,64bによって、微小変位を許容される板厚方向で挟み込まれて支持されており、可動板66の微小変位に際して、弾性ゴム突条64a,64bには、主として圧縮応力が作用せしめられるようになっている。それ故、可動板66が繰り返し微小変位する場合にも、弾性ゴム突条64a,64bの耐久性を有利に確保することが出来る。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材乃至部位については、図中に前記実施形態と同一の符号を付すことにより説明を省略する。
例えば、前記実施形態において示された一対の弾性ゴム突条64a,64bによる可動板66の挟持は、可動部材の支持構造の一態様を示すものであって、可動部材の支持構造は、前記実施形態において具体的に記載された構造に限定されるものではない。
すなわち、可動部材の支持構造としては、例えば、図6に示された、可動板68を係合凹所としての支持凹条70a,70bと弾性支持突起としての弾性ゴム突条72a,72bの係合によって支持しめた構造も採用され得る。より詳細には、可動板68の第一の支持凹溝38aの溝幅方向(図6中、上下)端面にそれぞれ板厚方向に直交する方向(防振ブッシュへの配設状態におけるブッシュ径方向)に延びる支持凹条70a,70bを設ける一方、溝幅方向両側に対向するように広がる支持凹所62a,62bの奥面には、溝内側に向かって溝幅方向で突出して、溝幅方向で相互に対向位置せしめられた一対の弾性ゴム突条72a,72bを被覆ゴム層36と一体形成する。そして、可動板68の両端面に設けられた支持凹条70a,70bに弾性ゴム突条72a,72bをそれぞれ挿し入れることにより、可動板68が板厚方向での変位量を弾性的に制限された状態で支持されるようになっている。これによっても、可動板68を板厚方向で微小変位可能に支持することが出来て、前記実施形態と同様の液圧吸収効果を有効に得ることが出来る。なお、支持凹条70a,70bと弾性ゴム突条72a,72bは、予め相互に接触せしめられるように嵌め付けられていても良いし、それらの間に隙間が設けられていても良い。
さらに、例えば、図7に示されているように、上述の如き支持凹条70a,70bに弾性ゴム突条72a,72bを挿し入れることによる可動部材の支持構造と、前記実施形態に示された一対の弾性ゴム突条64a,64bでの挟圧による可動部材の支持構造を、組み合わせて採用する等しても良い。このような可動部材の支持構造によっても、前記実施形態と同様の効果を有効に実現することが出来る。
また、可動部材を支持する弾性支持突起は、前記実施形態に示されている弾性ゴム突条64a,64bのように、周溝の深さ方向全長に亘って延びるように形成された突条とされていることが、液圧の逃げを防ぐ等のためには望ましい。しかしながら、弾性支持突起は、必ずしも前記実施形態に示された弾性ゴム突条64a,64bの如き突条でなくても良く、例えば、周溝の深さ方向で部分的に設けられた突起状等であっても良い。また、弾性支持突起は、必ずしも連続的に設けられた一つだけが形成されている必要はなく、例えば、前記実施形態に示された弾性ゴム突条64a,64bの如き構造の弾性支持突起が、周溝の溝幅方向で離隔して複数条形成されていても良いし、突起状等の弾性支持突起を採用する場合には、周溝の深さ方向で相互に離隔して複数の弾性支持突起が設けられていても良い。
また、可動部材の材料は、前記実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものではない。具体的には、例えば、アルミニウム合金等の金属材料等も好適に採用され得る。
また、前記実施形態では、オリフィス通路60を形成するオリフィス部材46が設けられているが、オリフィス部材46は、本発明において必須ではなく、例えば、中間スリーブを利用してオリフィス通路が形成されるようになっていても良い。
また、可動部材の形状は、前記実施形態における可動板66によって例示された矩形平板形状に限定されるものではなく、周溝の径方向断面形状等に応じて各種の形状が採用され得る。
また、前記実施形態において、可動板66は、周溝としての第一の支持凹溝38aの底面やアウタ筒部材としての外筒金具14の内周面等に対して接触するように重ね合わされているが、可動部材は、周溝やアウタ筒部材等に対して必ずしも接触せしめられていなくても良く、例えば、僅かな隙間を有するように配設されていても良い。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10:防振ブッシュ,12:内筒金具,14:外筒金具,16:本体ゴム弾性体,22:金属スリーブ,30:一体加硫成形品,38:支持凹溝,42:弾性支持突部,44:ポケット部,46:オリフィス部材,60:オリフィス通路,62:支持凹所,64:弾性ゴム突条,66:可動板
Claims (7)
- インナ軸部材とその外周側に離隔して配設された筒状の中間スリーブが本体ゴム弾性体で弾性的に連結された一体加硫成形品を形成すると共に、該中間スリーブに形成された複数の窓部を通じて外周面に開口する複数のポケット部を該本体ゴム弾性体に設けて、該一体加硫成形品にアウタ筒部材を外嵌固定して該複数のポケット部の開口部を該アウタ筒部材で流体密に覆蓋することにより非圧縮性流体が封入された複数の流体室を形成すると共に、それら複数の流体室を相互に連通するオリフィス通路を形成した流体封入式筒型防振装置において、
前記中間スリーブの軸方向中間部分において外周側に開口して前記複数の窓部の間を周方向に延びる周溝を形成し、該周溝の側壁内面において前記本体ゴム弾性体と一体形成されて該周溝の深さ方向全長に亘って広がる一対の支持ゴム弾性体を設けて、それら一対の支持ゴム弾性体を該周溝の溝幅方向で相互に対向位置せしめると共に、該一対の支持ゴム弾性体の対向面に開口する支持凹所をそれぞれ設けて、各該支持凹所の内壁面に該支持ゴム弾性体と一体的に設けられた弾性支持突起を突出形成し、該一対の支持凹所に板状の可動部材の端部をそれぞれ挿し入れて該可動部材を該弾性支持突起によって該周溝の長さ方向となる板厚方向で微小変位可能に支持せしめたことを特徴とする流体封入式筒型防振装置。 - 前記支持凹所の対向内壁面に一対の前記弾性支持突起を形成して、それら一対の弾性支持突起を突出方向で所定距離を隔てて相互に対向位置せしめると共に、該一対の弾性支持突起の対向間に前記可動部材の端部を当接状態で挟んで配設した請求項1に記載の流体封入式筒型防振装置。
- 前記周溝の溝幅方向両側に位置してそれぞれ対向面に開口せしめられた前記各支持凹所の奥壁面から開口部に向かって突出するように前記弾性支持突起を設けると共に、前記可動部材の溝幅方向両端面に該弾性支持突起と係合する係合凹所を設けて該弾性支持突起を該係合凹所に挿し入れた請求項1又は2に記載の流体封入式筒型防振装置。
- 前記弾性支持突起が前記周溝の深さ方向全長に亘って連続して延びる突条とされている請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体封入式筒型防振装置。
- 前記弾性支持突起の少なくとも突出先端部分が突出先端側に向かって次第に狭幅となっている請求項1乃至4の何れか一項に記載の流体封入式筒型防振装置。
- 前記支持凹所を前記周溝の深さ方向の全長に亘って延びるように形成した請求項1乃至5の何れか一項に記載の流体封入式筒型防振装置。
- 前記中間スリーブに一対の前記窓部を形成すると共に、該中間スリーブの軸方向中間部分において該一対の窓部における周方向一方の隣接端部間に跨がって周方向に延びる第一の支持凹溝と周方向他方の隣接端部間に跨がって周方向に延びる第二の支持凹溝を設けて、該第一の支持凹溝によって前記周溝を構成すると共に、前記オリフィス通路を形成するオリフィス部材をそれら第一及び第二の支持凹溝に嵌め入れて該中間スリーブの外周面に装着する一方、該オリフィス部材を該第一の支持凹溝上で周方向に分断構造として、該オリフィス部材の周方向の分断端面を、該第一の支持凹溝に突設された前記支持ゴム弾性体の周方向端面に当接させて位置決めした請求項1乃至6の何れか一項に記載の流体封入式筒型防振装置。
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