以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明のアースドリル機1の側面を示した側面図である。なお、図1に示す矢印Xは、アースドリル機1の垂直方向を示しており、その垂直方向は、後述するケリーバ15が上下動作する方向である。また、本実施形態のアースドリル機1は、掘削作業を行なうものであり、具体的には、縦穴を掘削すると共にその縦穴の下部に任意の大きさの空間を掘削するものである。
図1に示すように、アースドリル機1は、主に、走行可能な下部本体11と、その下部本体11に対して旋回可能な上部旋回体12と、その上部旋回体12に対して起立した状態で取り付けられるブーム13と、そのブーム13に設けられたフロントフレーム部14と、ブーム13の上部(図1上方の端部、矢印X方向上方端部)に吊設される棒状のケリーバ15と、そのケリーバ15を回転駆動させると共にフロントフレーム部14に連結されるケリーバ駆動装置16と、そのケリーバ駆動装置16の下方に連結され油を供給する油圧ホースh15,h16(図3参照)の巻き取り又は巻き出しを行なうホースリール17と、そのホースリール17が搭載されたホースリール台18と、ケリーバ15の下方先端(図1下方先端、矢印X方向下方先端)に連結され、ケリーバ15の回転に伴って回転動作を行なう拡底バケット19と、その拡底バケット19側とケリーバ駆動装置16側とにおいて油を供給するロータリージョイント20とを有して構成されている。なお、後述するが、ホースリール17は、油圧ホースh15,h16のそれぞれに対応して、ホースリール17a,17bの2つがホースリール台18に搭載されている。また、拡底バケット19の説明については、図2を参照して後述する。
ロータリージョイント20は、拡底バケット19に設けられた油圧シリンダ23a,23b(図2参照)に油圧を供給するために設けられている。ロータリージョイント20は、ホースリール台18に固定された非回転の外筒と、その外筒の内部に回転自在に嵌合される内筒とで構成されており、外筒と内筒との間に溝状の流路が形成されている。なお、内筒の回転は、ケリーバ15がケリーバ駆動装置16により回転されることに伴って回転する。
次に、図2を参照して、拡底バケット19の構成について説明する。図2は、拡底バケット19の概略を示した図であり、図2(a)は、拡底バケット19の底面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印IIb視における拡底バケット19が拡径した状態を示した側面図であり、図2(c)は、図2(a)の矢印IIc視における拡底バケット19が縮径した状態を示した側面図である。
また、以下の説明では、掘削翼22a,22bが最大に拡径された場合の拡底バケット19の最大径をRmaxと示し、掘削翼22a,22bが最小に縮径された場合の拡底バケット19の最小径をRminと示す。また、図2(b)のフレーム25a,25b及び図2(c)のフレーム25bは、一点鎖線で概略的に示す。
図2(a)に示すように、拡底バケット19は、主に、支点21を中心として開閉される複数枚(本実施形態では2枚)の掘削翼22a,22bと、その掘削翼22a,22bをそれぞれ動作させる油圧シリンダ23a,23b(図2(c)参照)と、その油圧シリンダ23a,23bの伸縮に伴って上下動作(図2(a)紙面垂直方向への動作)するベース24と、そのベース24と掘削翼22a,22bとをそれぞれ連結するフレーム25a,25bとを有して構成されている。
図2(b)に示すように、拡底バケット19が最大径Rmaxまで拡径されると、油圧シリンダ23a,23b(油圧シリンダ23bは図示せず)が伸びた状態となり、ベース24が下方に位置している。ベース24が下方に位置すると、フレーム25a,25bが掘削翼22a,22bを外方向に押し出すことで拡径動作が行なわれる。
また、図2(c)に示すように、拡底バケット19が最小形Rminまで縮径されると、油圧シリンダ23a,23bが縮んだ状態となり、ベース部材24が上方に位置している。ベース部材24が上方に位置すると、フレーム25a,25bが掘削翼22a,22b(掘削翼22bは図示せず)を内方向に引き込むことで縮径動作が行なわれる。
ここで、アースドリル機1によって行なわれる掘削作業について簡単に説明する。掘削作業は、まず、ケリーバ15の先端を掘削ドリル(図示せず)に付け替えて縦穴を掘削する。所望の深さの縦穴が掘削できたら、ケリーバ15の先端に拡底バケット19を取り付けて縦穴の下部に任意の大きさの空間を掘削する。拡底バケット19は、掘削開始時に最大径Rmaxでの掘削を行えないので、掘削翼22a,22bを徐々に広げていき、複数回に分けて、任意の大きさの空間を縦穴下部に形成する。なお、掘削中は、縦穴の側面の崩れなどを防止する目的で、掘削穴内に水が充填される。
次に、図3を参照して、油圧シリンダ23a,23bへ油を供給する油圧回路、及び、拡底バケット19の拡径動作または縮径動作を切り換える電気回路について説明する。図3は、アースドリル機1の油圧回路および電気回路を示した回路図である。なお、図3において、矢印Q1,Q2,Q11,Q21は、油の流れ方向を示している。また、Q1,Q2,Q11,Q21は、油の流量を示しており、流量Q1,Q2,Q11,Q21の説明は、図5を参照して後述する。
まず、油圧回路の構成について説明する。油圧シリンダ23a,23bやその他油圧を駆動源とする装置に供給される油は、上部旋回体12(図1参照)に設けられたタンク31内に貯留されている。タンク31内に貯留されている油は、ストレーナ32により吸い上げられ、そのストレーナ32により吸い上げられた油が油圧ポンプ33a,33b,33cにより各装置に送り出される。
油圧ポンプ33aにより送り出された油は、電磁ソレノイド34に供給され、油圧ポンプ33bにより送り出された油は、パイロットソレノイド35に供給され、油圧ポンプ33cにより送り出された油は、ホースリールモータ36a,36bに供給される。
また、油圧回路内には、電磁ソレノイド34やパイロットソレノイド35、ホースリールモータ36a,36bの破損を防止するために油圧を調整する複数のリリーフ弁37a〜37dが設けられている。また、ホースリールモータ36a,36bに油を供給する流路には、ストップ弁38が設けられているが、これは、ホースリール17a,17bの巻き出しなどを手動で行なう場合に油圧の循環回路を構成するためのものである。即ち、ストップ弁38は、通常時は流路を閉鎖し、ホースリールモータ36a,36bに油を供給すると共に、手動時は流路を開放して油圧ホースh11,h12を連通させる油の循環流路を形成するものである。
電磁ソレノイド34の入力側には、油圧ポンプ33aから油が供給される流路を形成する油圧ホースh1と、タンク31に油を戻す流路を形成する油圧ホースh2とが接続されており、電磁ソレノイド34の出力側には、パイロットソレノイド35の切り換えを行なう入力部までの流路を形成する油圧ホースh3,h4が接続されている。
パイロットソレノイド35の入力側には、油圧ポンプ33bから油が供給される流路を形成する油圧ホースh5と、油圧ホースh2とが接続されており、パイロットソレノイド35の出力側には、ロータリージョイント20に接続される2つの流路を形成する油圧ホースh6,h7と、油圧ホースh2とが接続されている。
なお、油圧ホースh6,h7の内、油圧ホースh6は、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを拡径動作させる場合に油圧がかけられ、油圧ホースh7は、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを縮径動作させる場合に油圧がかけられる。
また、油圧ホースh6には、パイロットソレノイド35とロータリージョイント20との間に、油圧モータ39が設けられている。この油圧モータ39は、油圧ホースh6に油が流れると、その油の流れ方向に回転するものである。
また、油圧モータ39には、流量検出器40と回転方向検出器41とが設けられている。流量検出器40は、油圧モータ39の回転数に応じた値が出力され、油圧モータ39が1回転する毎に1パルスの信号が出力される。回転方向検出器41は、2つの近接スイッチを有しており、その近接スイッチがオンする毎に信号が出力される。
よって、後述する演算器51では、流量検出器40から出力される信号から供給された油の流量を算出できるし、回転方向検出器41から出力される2つの信号の入力順序から油の流れる方向を検出することができる。
また、油圧ポンプ33cとロータリージョイント20との間は、油圧ホースh8により接続されており、タンク31とロータリージョイント20との間は、油圧ホースh9により接続されている。さらに、ロータリージョイント20は、上述したように、外筒と内筒とを有し、油圧ホースを非連結状態で連通させるので、多少の油漏れが生じる。そのロータリージョイント20から漏れ出す油は、油圧ホースh10によりタンク31に戻される。
ロータリージョイント20より拡底バケット19側には、4つの油圧ホースh11〜h14が接続されている。油圧ホースh11は、油圧ホースh9と連通しており、ホースリールモータ36a,36bに油を送る流路を形成し、油圧ホースh12は、油圧ホースh10と連通しており、ホースリールモータ36a,36bからの油をタンク31に戻す流路を形成する。
また、油圧ホースh13は、油圧ホースh6と連通しており、スイベルジョイント42aを介してホースリール17aに接続され、油圧ホースh14は、油圧ホースh7と連通しており、スイベルジョイント42bを介してホースリール17bに接続されている。なお、スイベルジョイント42a,42bは、ロータリージョイント20と同様に、非連結状態で油圧ホースを連通させるジョイントである。
また、ホースリール17aと油圧シリンダ23a,23bとの間は、油圧ホースh15により接続されており、油圧ホースh15は、油圧シリンダ23a,23bを伸長させる場合に油が供給される第1供給室23a1,23b1に接続されている。ホースリール17bと油圧シリンダ23a,23bとの間は、油圧ホースh16により接続されており、油圧ホースh16は、油圧シリンダ23a,23bを縮小させる場合に油が供給される第2供給室23a2,23b2に接続されている。なお、油圧シリンダ23a,23bが伸縮した状態の説明は、図4を参照して後述する。
よって、油圧ホースh15は、ケリーバ15の上下動作に伴って、ホースリールモータ36aの駆動力によりホースリール17aが回転し巻き取り又は巻き出しが行なわれる。また、油圧ホースh16は、ケリーバ15の上下動作に伴って、ホースリールモータ36bの駆動力によりホースリール17bが回転し巻き取り又は巻き出しが行なわれる。
次に、電気回路の構成について説明する。油圧シリンダ23a,23bを伸縮動作させるための電気回路は、主に、所定の処理を行なう演算器51と、その演算器51からの指示により切り換えられるリレー52と、表示を行なうランプ53と、音声を出力するブザー54と、操作者により操作される切換スイッチ55と、ランプ53及びブザー54、電磁ソレノイド34に電源を供給する電源装置56とを有して構成されている。
演算器51は、その内部を図示しないが、演算処理装置であるCPUや、CPUにより実行される制御プログラムやその実行の際に参照される固定値データ(例えば、後述する係数α,β,a,bなど)が記憶されるROM(記憶手段)、制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等(例えば、後述する実ストローク量L11)を一時的に記憶するRAMなどを有して構成されている。
演算器51には、流量検出器40と回転方向検出器41とが接続され、油圧ホースh6を流れる流量に関する信号と、油圧ホースh6を流れる油の方向に関する信号が入力される。また、演算器51は、リレー52に接続され、演算器51からの指示によりリレー52を切り換えることができる。
リレー52は、切換スイッチ55に電源装置56を接続するラインと、ランプ53及びブザー54に電源装置56を接続するラインとを切り換えるスイッチであり、オフの状態で切換スイッチ55と電源装置56とを接続し、オンの状態でランプ53及びブザー54と電源装置56とを接続する。
切換スイッチ55は、電磁ソレノイド34のオン/オフを切り換えるスイッチであり、拡径側に接続すると、油圧ホースh3に油が流れることにより、油圧ホースh6に油が流れて、油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1(図4(a)参照),23b1に油が供給される。一方、切換スイッチ55を縮径側に接続すると、油圧ホースh4に油が流れることにより、油圧ホースh7に油が流れて、油圧シリンダ23a,23bの第2供給室23a2(図4参照(b)参照),23b2に油が供給される。
次に、図4を参照して、油圧シリンダ23a,23bの伸縮動作について説明する。図4は、油圧シリンダ23aが伸縮した状態を示した図であり、図4(a)は、油圧シリンダ23aの伸長時(拡底バケット19の拡径時)の状態を示した図であり、図4(b)は、油圧シリンダ23aの縮小時(拡底バケット19の縮径時)の状態を示した図である。なお、図4(a)及び図4(b)では、油圧シリンダ23aのみを図示したが、油圧シリンダ23bも同様に伸縮動作を行う。また、図4(a)及び図4(b)に示す矢印Yは、油圧シリンダ23aの伸縮方向を示している。
なお、第1供給室23a1の油圧シリンダ23aの伸縮方向Yに直交する平面の面積(ピストン面積)はAで示されており、第2供給室23a2の油圧シリンダ23aの伸縮方向Yに直交する平面の面積はBで示されており、シリンダ軸23a3の油圧シリンダ23aの伸縮方向Yに直交する平面の面積はCで示されている。また、第2供給室23a2の面積Bは、第1供給室23a1の面積Aからシリンダ軸23a3の面積Cを減算したものと同等になる(面積B=面積A−面積Cの関係)。さらに、本実施形態の面積A及び面積Bは、第1及び第2供給室23a1,23a2やシリンダ軸23a3の凹凸などを考慮して定められた値である。
図4(a)に示すように、油圧シリンダ23aの第1供給室23a1の伸縮方向Yに直交する平面の面積はAであり、油圧シリンダ23aが最大に伸びた状態(即ち、拡底バケット19が最大径Rmaxとなった状態)では、距離L11だけ下方に押された状態となる。なお、油圧シリンダ23aを距離L11分移動させるには、距離L11に面積Aを乗算した流量の油を第1供給室23a1に供給する必要がある。即ち、本実施形態では、油圧シリンダ23a,23b(図3参照)を2本有しているので、L11*2*Aの流量を第1供給室23a1,23b1に供給した場合に、距離L11に対応して拡底バケット19の掘削翼22a,22bが拡径される。
一方、図4(b)に示すように、油圧シリンダ23aの第2供給室23a2の伸縮方向Yに直交する平面の面積はBであり、油圧シリンダ23aが最も伸びた状態から油圧シリンダ23aが最も縮んだ状態(即ち、拡底バケット19が最大径Rminとなった状態)では、距離L11だけ上方に押された状態となる。なお、油圧シリンダ23aを距離L11分移動させるには、距離L11に面積Bを乗算した流量の油を第2供給室23a2に供給する必要があり、油圧シリンダ23a,23bの伸長時と同様に、L11*2*Bの流量を第2供給室23a2,23b2に供給した場合に、距離L11に対応して拡底バケット19の掘削翼22a,22bが縮径される。
以上、説明したように、操作者により切換スイッチ55が操作されて、電磁ソレノイド34がオン/オフされると、パイロットソレノイド35が切り換わり、油圧シリンダ23a,23bに油が供給される。その結果、油圧シリンダ23a,23bが伸縮動作して、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが拡径動作または縮径動作する。
なお、本実施形態では、拡底バケット19側と、ケリーバ駆動装置16側との間の油圧ホースh6,h7,h13,h14の連通をロータリージョイント20を介して行なっており、そのロータリージョイント20からは油が漏れ出すので、油圧ホースh6,h7の油の流量と、油圧シリンダ23a,23bに供給または排出される流量とが異なる。その結果、ロータリージョイント20よりケリーバ駆動装置16側に流量検出器40や回転方向検出器41を設けて、流量と回転方向を検出するだけでは、拡底バケット19の掘削翼22a,22bの開度を正確に検出することが困難となる。
また、従来のように、ロータリージョイント20より拡底バケット19側に流量検出器40および回転方向検出器41を設ければ、実際に油圧シリンダ23a,23bに供給される流量を検出し拡底バケット19の掘削翼22a,22bの開度を正確に検出することはできるが、拡底バケット19が回転動作するため、ロータリージョイント20を非連結状態で信号線を接続する構成にしなければならず、ロータリージョイント20が大規模化してしまう。一方、ロータリージョイント20の大規模化を防止するためには、流量検出器40および回転方向検出器41の出力を無線通信システムによって送信しなければならないので、送信器やバッテリ、ソーラーパネルなどを備えなければならず、拡底バケット19近傍の重量が重くなってしまう。その結果、拡底バケット19の振れ幅が大きくなり不安定となり、安定した掘削を行えない場合が生じる。
そのため、ロータリージョイント20より拡底バケット19側には、流量検出器40や回転方向検出器41を設けずに、ロータリージョイント20よりケリーバ駆動装置16側に流量検出器40や回転方向検出器41を設けた状態で、拡底バケット19の掘削翼22a,22bの開度を正確に検出することが好ましい。
以下に、図5及び図6を参照して、ロータリージョイント20よりケリーバ駆動装置16側に流量検出器40や回転方向検出器41を設けた状態で、拡底バケット19の掘削翼22a,22bの開度を正確に検出する方法について説明する。
図5は、油圧シリンダ23a,23bが伸縮する場合に流量検出器40により検出された流量から油圧シリンダ23a,23bに実際に供給される流量を算出するための係数を設定する設定方法を示したフローチャートであり、図5(a)は、油圧シリンダ23a,23bが伸びる場合の係数αの設定方法を示したフローチャートであり、図5(b)は、油圧シリンダ23a,23bが縮む場合の係数βの設定方法を示したフローチャートである。なお、本実施形態では、係数α及び係数βはアースドリル機1が出荷される前に設定されるが、出荷後にユーザ自身によって設定変更可能に構成するものとしても良い。
図5(a)に示すように、伸び側の係数αの設定は、まず、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが閉じた状態で、切換スイッチ55を拡径側に切り換えて、拡底バケット19を最大径Rmaxまで拡径動作させる(S1)。
そして、拡底バケット19が最大径Rmaxまで拡径した場合に、流量検出器40により検出された値から伸び時流量Q1を算出する(S2)。伸び時流量Q1の算出は、流量検出器40から入力される1パルスに対応した流量を、流量検出器40から入力される信号の回数に乗算して算出することができる。
そして、拡底バケット19が最大径Rmaxまで拡径動作した場合に、油圧シリンダ23a,23bが実際に移動した実ストローク量(実移動量)L11を検出(測定)し、その実ストローク量L11と、油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1,23b1の面積Aとからシリンダ供給流量Q11を算出する(S3)。シリンダ供給流量Q11は、油圧シリンダ23a,23bが2つあるので、2倍の面積Aの値に実ストローク量L11を乗算して算出することができる(Q11=2A*L11)。
そして、S2で算出した伸び時流量Q1と、S3で算出したシリンダ供給流量Q11とから係数αを算出する(S4)。係数αは、伸び時流量Q1と、シリンダ供給流量Q11との比率であり、シリンダ供給流量Q11を伸び時流量Q1で除算して算出することができる(α=Q11/Q1)。
図5(b)に示すように、縮み側の係数βの設定は、まず、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが最大径Rmaxの状態で、切換スイッチ55を縮径側に切り換えて、拡底バケット19を最小径Rminまで縮径動作させる(S11)。
そして、拡底バケット19が最小径Rminまで縮径した場合に、流量検出器40により検出された値から縮み時流量Q2を算出する(S12)。縮み時流量Q2の算出は、伸び時流量Q1の算出と同様に、流量検出器40から入力される信号の回数に所定の流量を乗算して算出することができる。
そして、拡底バケット19が最小径Rminまで縮径動作した場合に、油圧シリンダ23a,23bが実際に移動した実ストローク量L21を検出(測定)し、その実ストローク量L21と、油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1,23b1の面積Aとからシリンダ排出流量Q21を算出する(S13)。シリンダ供給流量Q21は、2倍の面積Aの値に実ストローク量L21を乗算して算出することができる(Q21=2A*L21)。
そして、S12で算出した縮み時流量Q2と、S3で算出したシリンダ供給流量Q21とから係数βを算出する(S14)。係数βは、伸び時流量Q2と、シリンダ供給流量Q21との比率であり、シリンダ供給流量Q21を縮み時流量Q2で除算して算出することができる(β=Q21/Q2)。
以上のように、係数α,βは、ロータリージョイント20よりケリーバ駆動装置16側に設けられた流量検出器40により実際に検出された流量Q1,Q2と、ロータリージョイント20より拡底バケット19側に設けられた油圧シリンダ23a,23bが実際に移動した実ストローク量L11,L21とから算出されるので、ロータリージョイント20から漏れ出す油のリーク量を考慮した値を設定することができる。よって、拡底バケット10の掘削翼22a,22bを拡径動作または縮径動作させた場合に、油圧シリンダ23a,23bが実際に移動した実ストローク量L11,L21を正確に算出することができる。従って、その実ストローク量L11,L21から拡底バケット19の掘削翼22a,22bの開度を正確に把握することができる。
また、一般的に、油圧ホースh6,h7は、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを動作させる動作側のときは加圧され、非動作側のときは動作側より減圧された状態となる。そのため、ロータリージョイント20から漏れ出す油のリーク量も、動作側と非動作側とで異なる。しかし、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが拡径動作した場合(動作側)の係数αと縮径動作した場合(非動作側)の係数βとをそれぞれ設定しているので、ロータリジョイント20から漏れ出す油のリーク量を考慮した係数α,βを設定することができる。
なお、係数α及び係数βの設定は、S1〜S4及びS11〜S14までの手順を複数回実行し、その平均値を設定した方が好ましい。係数α及び係数βを複数回の平均値から設定することで、ロータリージョイント20から漏れ出す油のリーク量も平均化することができ、油圧シリンダ23a,23bに供給または排出される流量を正確に算出することができる。
さらに、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを任意である所定の開度に拡径動作させた場合に算出された係数α、及び、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを任意である所定の開度に縮径動作させた場合に算出される係数βの平均値を、係数α及び係数βに設定するものとしても良い。
即ち、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを任意である所定の開度に拡径動作または縮径動作させた係数αまたは係数βを、さらに複数回算出し、その平均値を係数αまたは係数βに設定すれば、リーク量に伴う誤差を極力小さくすることができる。
また、係数α及び係数βの設定は、伸び時流量Q1又は縮み時流量Q2と面積Aとから、油圧シリンダ23a,23bが伸縮する仮想ストローク量を算出し、その仮想ストローク量と実ストローク量L11,L21とから係数α又は係数βを設定するものとしても良い。この場合にも、流量検出器40により検出された実際の流量Q1,Q2から算出される仮想ストローク量と、実際に油圧シリンダ23a,23bが移動した実ストローク量L11,L21とから係数α,βを設定できるので、ロータリージョイント20から漏れ出す油のリーク量を考慮した値を設定することができる。
次に、図6を参照して、拡底バケット19の掘削翼22a,22bの拡径動作または縮径動作を停止させる処理について説明する。なお、本実施形態では、拡底バケット19の掘削翼22a,22bは、拡底バケット19が最大径Rmaxに達した場合と、拡底バケット19が最小径Rminに達した場合とに停止される。
図6は、本実施形態の演算器51により実行される拡底バケット停止処理を示したフローチャートである。なお、図6に示す拡底バケット停止処理は、流量検出器40又は回転方向検出器41からのいずれかの入力があった場合に開始される。
また、上述したように、流量検出器40又は回転方向検出器41からの信号の入力タイミングが所定間隔以上ある場合には、拡底バケット停止処理が終了するように構成されている。拡底バケット停止処理が終了するのは、ユーザにより設定された拡底バケット19の開度に相当する径が最大径Rmax以下の場合である。即ち、ユーザにより設定された開度に相当する径に拡底バケット19が拡径された場合には、拡底バケット19の拡径が最大径Rmaxに達する前であっても、この拡底バケット停止処理を終了する。なお、拡底バケット停止処理において、拡底バケット19の縮径動作時には、流量検出器40又は回転方向検出器41からの信号の入力タイミングが所定間隔以上ないことに伴って処理が終了しないよう構成されている。これは、アースドリル機1の掘削作業において、拡底バケット19を縮径動作させる場合には、必ず最小径Rminまで縮径させるからである。
拡底バケット停止処理が実行されると、回転方向検出器41の検出結果が、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが拡径する方向であるか否かが判断される(S101)。拡底バケット19の掘削翼22a,22bが拡径する方向であるか否かの判断は、回転方向検出器41に設けられた2つの近接センサの入力順序により判断される。即ち、油圧ホースh6に油圧がかけられて拡径動作をする場合か、油圧ホースh7に油圧がかけられて縮径動作をする場合かを判断している。
S101の処理で、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが拡径方向であると判断されると(S101:Yes)、流量検出器40から入力された信号の回数から伸び時流量Q1を算出する(S102)。図3に示すように、油圧ホースh6を油が矢印Q1方向に流れる流量を算出している。
S102の処理で、伸び時流量Q1が算出されると、伸び時流量Q1に係数αを乗算して、油圧ホースh13を流れて油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1,23b1に対して実際に供給されたシリンダ供給流量Q11を算出する(S103、Q11=Q1*α)。図3に示すように、油圧ホースh13を油が矢印Q11方向に流れる流量を算出している。
S103の処理で、シリンダ供給流量Q11が算出されると、その算出されたシリンダ供給流量Q11と、油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1,23b1の面積Aとから、実際に油圧シリンダ23aが拡径側に移動した実ストローク量L11を算出する(S104)。実ストローク量L11は、シリンダ供給流量Q11を2Aで除算して算出することができる(L11=Q11/2A)。
S104の処理で、実ストローク量L11が算出されると、その算出された実ストローク量L11を演算器51の図示しないRAMに記憶し(S105)、実ストローク量L11が最大ストローク量Lmax以上でるか否かが判断される(S106)。最大ストローク量Lmaxは、拡底バケット19が最大径Rmaxとなる場合に油圧シリンダ23a,23bが移動するストローク量である。
S106の処理で、実ストローク量L11が最大ストローク量Lmaxより小さいと判断されると(S106:No)、流量検出器40からの信号の入力が所定時間以上ないか否かを判断する(S107)。
流量検出器40からの信号の入力が所定時間以上ない場合は、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが拡径動作をしたが、最大径Rmaxに達する前に停止した場合である。この場合には、本実施形態では、ランプ53及びブザー54による外部への示唆を行なわないように構成されている。
よって、S107の処理で、流量検出器40からの信号の入力が所定時間以上ないと判断されると(S107:Yes)、そのまま、本処理を終了する。一方、S107の処理で、流量検出器40からの信号の入力が所定時間以内であれば(S107:No)、拡底バケット19の掘削翼22a,22bの拡径動作が継続中であると判断し、S102の処理へ移行して、流量検出器40から新たに入力された信号の回数に基づいて流量Q1を算出する。
一方、S106の処理で、実ストローク量L11が最大ストローク量Lmax以上であると判断されると(S106:Yes)、拡底バケット19が最大径Rmaxとなったことになるので、拡径動作を停止するために、リレー52をオンする指示を出力し、リレー52をランプ53及びブザー54側に切り換え(S108)、その後、本処理を終了する。
次に、S101の処理で、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが縮径方向であると判断された場合について説明する。
S101の処理で、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが縮径方向に動作していると判断されると(S101:No)、流量検出器40から入力された信号の回数から縮み時流量Q2を算出する(S201)。図3に示すように、油圧ホースh6を油が矢印Q2方向に流れる流量を算出している。
S201の処理で、縮み時流量Q2が算出されると、縮み時流量Q2に係数βを乗算して、油圧ホースh13を流れて油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1,23b1から実際に排出されたシリンダ排出流量Q21を算出する(S202、Q21=Q2*β)。図3に示すように、油圧ホースh13を油が矢印Q21方向に流れる流量を算出している。
S202の処理で、シリンダ排出流量Q21が算出されると、その算出されたシリンダ排出量Q21と、油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1,23b1の面積Aとから、実際に油圧シリンダ23aが縮径側に移動した実ストローク量L21を算出する(S203)。実ストローク量L21は、シリンダ排出流量Q21を2Aで除算して算出することができる(L21=Q21/2A)。
S203の処理で、実ストローク量L21が算出されると、演算器51の図示しないRAMに記憶されている拡径時の実ストローク量L11が読み出され(S204)、実ストローク量L21が拡径時に動作した実ストローク量L11以上でるか否かが判断される(S205)。
S205の処理で、実ストローク量L21が拡径時の実ストローク量L11より小さいと判断された場合(S205:No)、又は、実ストローク量L21が最大ストローク量Lmax以上であるか否かが判断され(S206)、実ストローク量L21が最大ストローク量Lmaxより小さいと判断された場合(S206:No)、S201の処理へ戻る。これは、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが縮径動作をしたが、未だ最小径Rminに達していないからである。
一方、S205の処理で、実ストローク量L21が拡径時の実ストローク量L11以上であると判断された場合(S205:Yes)、又は、S206の処理で、実ストローク量L21が最大ストローク量Lmax以上であると判断された場合には(S206:Yes)、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが最小径Rminに達したということなので、縮径動作を停止するために、リレー52をオンする指示を出力し、リレー52をランプ53及びブザー54側に切り換え(S108)、その後、本処理を終了する。
なお、上述したように、拡底バケット19の縮径動作時には、流量検出器40からの入力が所定時間以上なしか否かの判断を行わずに、S201の処理へ移行するものとしたが、ユーザによって、拡底バケット19の縮径動作時の開度に相当する径が最小径Rminに達する前に拡底バケット19が停止するように設定された場合には、S206の処理がNoとなった後に、S107の処理と同様の処理を行うものとしても良い。この構成では、流量検出器40からの入力が所定時間以上なければ、そのまま本処理を終了し、流量検出器40からの入力が所定時間以内にあれば、S201の処理へ移行する。
また、図示しないリセットボタンが押されたり、切り換えスイッチ55が切り換えられた場合には、演算器51からリレー52をオフする指示が出力されて、リレー52は、切り換えスイッチ55側に切り換えられる。また、この際に実スロトーク量L11の値は初期化される。
以上説明したように、本実施形態のアースドリル機1では、ロータリージョイント20よりケリーバ駆動装置16側の油圧ホースh6に流れる油の流量Q1,Q2と油の流れる方向とが検出される。また、油の流れる方向に対応して、実際に油圧シリンダ23a,23bに供給または排出された流量を算出するための係数α,βが予め設定して記憶されている。そして、油圧シリンダ23a,23bに油を供給して拡底バケット19の掘削翼22a,22bを拡径動作または縮径動作させる場合には、流量Q1,Q2と係数α,βとを乗算して、油圧シリンダ23a,23bに実際に供給または排出された流量Q11,Q21を算出し、その流量Q11,Q21と油圧シリンダ23a,23bの面積Aとから、油圧シリンダ23a,23bが実際に移動した実ストローク量L11,L21を算出している。
よって、ロータリージョイント20よりケリーバ駆動装置16側に流量検出器40を設けた場合であっても、その流量検出器40により検出された流量Q1,Q2から油圧シリンダ23a,23bが実際に移動する実ストローク量L11,L21を算出することができ、拡底バケット19の掘削翼22a,22bの開度を検出することができる。従って、従来のように、ロータリージョイント20より拡底バケット19側に流量検出器40を設ける必要が無くなるので、拡底バケット19近傍の重量を軽減し、アースドリル機1を安定駆動できると共に、流量検出器40への泥水の浸入を防止して、流量検出器40の破損や流量検出器40が誤検出することを防止することができる。
次に、図7を参照して、第2実施形態のアースドリル機100について説明する。前述した第1実施形態のアースドリル機1は、油圧シリンダ23a,23bに油を供給する1本の油圧ホースh6を流れる油の流量を流量検出器40により検出すると共に、その1本の油圧ホースh6を流れる油の方向を回転方向検出器41により検出するものとした。これに代えて、第2実施形態のアースドリル機100は、2本の油圧ホースh6,h7を流れる油の油圧を圧力検出器61,62によりそれぞれ検出して、その圧力検出器61,62の2つの入力に基づいて油の流れる方向を検出すると共に、油圧シリンダ23a,23bに油を供給する1本の油圧ホースh7を流れる油の流量を流量検出器64により検出するものとした。なお、第1実施形態と同一部分には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7は、第2実施形態のアースドリル機100の油圧回路および電気回路を示した回路図である。図7に示すように、第2実施形態の油圧回路には、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを拡径する場合に油圧シリンダ23a,23bに油を供給する油圧ホースh6に圧力検出器61が設けられ、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを縮径する場合に油圧シリンダ23a,23bに油を供給する油圧ホースh7に圧力検出器62と油圧モータ63とが設けられている。油圧モータ63には、流量検出器64が取り付けられている。そして、圧力検出器61,62及び流量検出器64は、それぞれ演算器51に接続され、圧力検出器61,62からは油圧のレベルを示す信号が演算器51に入力され、流量検出機64からは第1実施形態と同様に、1回転毎に1パルスの信号が演算器51に入力される。
まず、油圧ホースh7を流れる油の方向を検出する方法について説明する。第2実施形態のアースドリル機100において、油圧ホースh7を流れる油の方向は、圧力検出器61,62の検出結果から判断することができる。
油圧ホースh7を流れる油の油圧は、油圧シリンダ23a,23bを縮める方向に動作させる場合に高くなり、一方、油圧シリンダ23a,23bを伸ばす方向に動作させる場合には、タンク31への流路が開放されるので、油圧は低くなる。
よって、圧力検出器61により検出される油圧の方が圧力検出器62により検出される油圧より高い場合には、油圧シリンダ23a,23bが伸びる方向に動作していることになり、矢印Q1方向へ油が流れていることになる。一方、圧力検出器61により検出される油圧の方が圧力検出器62により検出される油圧より低い場合には、油圧シリンダ23a,23bが縮む方向に動作していることになり、矢印Q2方向へ油が流れていることになる。また、圧力検出器62により検出される油圧に対して、低閾値と高閾値とを設定しておけば、1つの圧力検出器により油の流れる方向を判断することもできる。
なお、伸び側の係数αの設定方法と、縮み側の係数βの設定方法とは、第1実施形態と同様の方法を用いて設定することができる。
以上、説明したように、流量検出器63が取り付けられる油圧ホースが変わったり、油の流れる方向を検出する方法が変わったとしても、第1実施形態と同様に、ロータリージョイント20より拡底バケット19側に流量検出器40を設ける必要が無くなるので、拡底バケット19近傍の重量を軽減し、アースドリル機1を安定駆動できると共に、流量検出器40への泥水の浸入を防止して、流量検出器40の破損や流量検出器40が誤検出することを防止することができる。
次に、図8及び図9を参照して、第3実施形態について説明する。前述した第1実施形態のアースドリル機1は、油圧シリンダ23a,23bに油を供給する1本の油圧ホースh6を流れる油の流量を流量検出器40により検出すると共に、その1本の油圧ホースh6を流れる油の方向を回転方向検出器41により検出するものとした。これに代えて、第3実施形態のアースドリル機200は、油圧シリンダ23a,23bに油を供給する2本の油圧ホースh6,h7を流れる油の流量を2台の流量検出器73,73でそれぞれ検出すると共に、その2台の流量検出器73,73の入力に基づいて2本の油圧ホースh6,h7を流れる油の方向を検出するものとした。なお、第1実施形態と同一部分には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8は、第3実施形態のアースドリル機100の油圧回路および電気回路を示した回路図である。図9は、第3実施形態の演算器51により実行される拡底バケット停止処理を示したフローチャートである。
図8に示すように、第3実施形態の油圧回路には、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを拡径する場合に油圧シリンダ23a,23bに油を供給する油圧ホースh6に油圧モータ71が設けられ、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを縮径する場合に油圧シリンダ23a,23bに油を供給する油圧ホースh7に油圧モータ72が設けられている。油圧モータ71には、流量検出器73が取り付けられ、油圧モータ72には、流量検出器74が取り付けられている。そして、流量検出器73,74は、それぞれ演算器51に接続され、流量検出器73,74からは第1実施形態と同様に、1回転毎に1パルスの信号が演算器51に入力される。
図9に示す拡底バケット19の停止処理が実行されると、まず、拡径側の流量検出器73により検出された値から拡径側検出流量Q31を算出する(S301)。そして、S301の処理で算出された拡径側検出流量Q31と、油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1,23b1の面積Aとから拡径側スロトーク量L3を算出する(S302)。拡径側スロトーク量L3は、拡径側検出流量Q31を2つの油圧シリンダ23a,23bの面積2Aで除算することで算出される(L3=Q31/2A)。
S302の処理で、拡径側ストローク量L3が算出されると、次に、縮径側の流量検出器74により検出された値から縮径側検出流量Q41を算出する(S303)。そして、S303の処理で算出された縮径側検出流量Q41と、油圧シリンダ23a,23bの第2供給室23a2,23b2の面積B(図4参照)とから縮径側スロトーク量L4を算出する(S304)。縮径側スロトーク量L4は、縮径側検出流量Q41を2つの油圧シリンダ23a,23bの面積2Bで除算することで算出される(L4=Q41/2B)。
S304の処理で、縮径側ストローク量L4が算出されると、拡径側ストローク量L3が縮径側ストローク量L4より大きな値であるか否かが判断される(S305)。上述したように、流量検出器73,74は、ロータリージョイント20よりケリーバ駆動装置16側に設けられているので、油圧ホースに油圧がかけられている方は油圧シリンダ23a,23bに実際に供給される流量より多い値が算出され、逆に、油圧ホースが減圧されている方は油圧シリンダ23a,23bから実際に排出された流量より少ない流量が算出される。
S305の処理で、拡径側ストローク量L3が縮径側ストローク量L4より大きいと判断されると(S305:Yes)、油圧ホースh6が加圧状態となるので、拡径動作であると判断され、S302の処理で算出された拡径側ストローク量L3とS304の処理で算出された縮径側ストローク量L4とから実ストローク量Lxを算出する(S306)。実ストローク量Lxは、拡径側ストローク量L3に係数aを乗算した値に、縮径側ストローク量L4に係数bを乗算した値を加算して算出される(Lx=(a*L3+b*L4))。
係数a,bは、ロータリージョイント20から漏れ出す油のリーク量に基づいて設定される値である。本実施形態では、油圧ホースh6,h7が加圧された場合に、リーク量が多くなるので、油圧ホースh6,h7のうち加圧状態の油圧ホースの流量から算出されたストローク量に係数aを乗算し、非加圧状態の油圧ホースの流量から算出されたストローク量に係数bを乗算する。なお、係数a,bは、a+b=1の関係であり、a≦bの関係である。また、ロータリージョイント20から漏れ出す油のリーク量が同じであれば、係数a,bは、0.5となり、実ストローク量Lxを拡径側ストローク量L3と縮径側ストローク量L4との平均値に基づいて算出することになる。
S306の処理で、実ストローク量Lxが算出されると、その算出された実ストローク量Lxを拡径ストローク量Lx1として演算器51の図示しないRAMに記憶し(S307)、実ストローク量Lxが最大ストローク量Lmax以上でるか否かが判断される(S308)。
S308の処理で、実ストローク量Lxが最大ストローク量Lmaxより小さいと判断されると(S308:No)、流量検出器72,73からの信号の入力が所定時間以上ないか否かを判断する(S309)。
S309の処理で、流量検出器72,73からの信号の入力が所定時間以上ないと判断されると(S309:Yes)、そのまま、本処理を終了する。一方、S309の処理で、流量検出器72,73からの信号の入力が所定時間以内であれば(S309:No)、拡底バケット19の掘削翼22a,22bの拡径動作が継続中であると判断し、S301の処理へ移行して、流量検出器72,73から新たに入力された信号の回数に基づきストローク量L3,L4を算出する。
一方、S308の処理で、実ストローク量Lxが最大ストローク量Lmax以上であると判断されると(S308:Yes)、拡底バケット19が最大径Rmaxとなったことになるので、拡径動作を停止するために、リレー52をオンする指示を出力し、リレー52をランプ53及びブザー54側に切り換え(S310)、その後、本処理を終了する。
また、S305の処理で、拡径側ストローク量L3が縮径側ストローク量L4より小さいと判断されると(S305:No)、油圧ホースh7が加圧状態となるので、縮径動作であると判断され、S302の処理で算出された拡径側ストローク量L3とS304の処理で算出された縮径側ストローク量L4とから実ストローク量Lxを算出する(S311)。実ストローク量Lxは、拡径側ストローク量L3に係数bを乗算した値に、縮径側ストローク量L4に係数aを乗算した値を加算して算出される(Lx=(b*L3+a*L4))。なお、縮径側ストローク量L4に係数aを乗算し、拡径側ストローク量L3に係数bを乗算しているのは、前述したように、動作側に係数aを乗算し、非動作側に係数bを乗算するからである。
S311の処理で、実ストローク量Lxが算出されると、演算器51の図示しないRAMに記憶されている拡径ストローク量Lx1が読み出され(S312)、実ストローク量Lxが拡径ストローク量Lx1以上でるか否かが判断される(S313)。
S313の処理で、実ストローク量Lxが拡径ストローク量Lx1より小さいと判断された場合(S313:No)、又は、実ストローク量Lxが最大ストローク量Lmax以上であるか否かが判断され(S314)、実ストローク量Lxが最大ストローク量Lmaxより小さいと判断された場合(S314:No)、S301の処理へ戻る。これは、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが縮径動作をしたが、未だ最小径Rminに達していないからである。
一方、S313の処理で、実ストローク量Lxが拡径ストローク量Lx1以上であると判断された場合(S313:Yes)、又は、S314の処理で、実ストローク量Lxが最大ストローク量Lmax以上であると判断された場合には(S314:Yes)、拡底バケット19の掘削翼22a,22bが最小径Rminに達したということなので、縮径動作を停止するために、リレー52をオンする指示を出力し、リレー52をランプ53及びブザー54側に切り換え(S310)、その後、本処理を終了する。
なお、第1実施形態と同様に、ユーザによって、拡底バケット19の縮径動作時の開度に相当する径が最小径Rminに達する前に拡底バケット19が停止するように設定された場合には、S314の処理がNoとなった後に、S309の処理と同様の処理を行うものとしても良い。この構成では、流量検出器40からの入力が所定時間以上なければ、そのまま本処理を終了し、流量検出器40からの入力が所定時間以内にあれば、S301の処理へ移行する。
以上、説明したように、油圧ホースh6に流れる油の拡径側検出流量Q31から算出される拡径側ストローク量L3と、油圧ホースh7に流れる油の縮径側検出流量Q41から算出される縮径側ストローク量L4とに基づいて実ストローク量Lxを算出している。即ち、実ストローク量Lxは、ロータリジョイント20を通過する前の油の流量から算出されるストローク量と、ロータリージョイント20を通過した後の油の流量から算出されるストローク量とに基づいて算出される。従って、ロータリージョイント20から油が漏れ出す構成であっても、そのロータリージョイント20から漏れ出す油のリーク量を考慮して、シリンダが実際に移動する実ストローク量Lxを算出することができる。
よって、第1実施形態と同様に、ロータリージョイント20よりケリーバ駆動装置16側に流量検出器72,73を設けた場合であっても、その流量検出器72,73から算出された検出流量Q31,41に基づいて実ストローク量Lxを算出することができ、拡底バケット19の掘削翼22a,22bの開度を検出することができる。従って、従来のように、ロータリージョイント20より拡底バケット19側に流量検出器40を設ける必要が無くなるので、拡底バケット19近傍の重量を軽減し、アースドリル機1を安定駆動できると共に、流量検出器40への泥水の浸入を防止して、流量検出器40の破損や流量検出器40が誤検出することを防止することができる。
また、2つの流量検出器72,73により検出される検出流量Q31,Q41から、油圧ホースh6,h7を流れる油の方向を判断することができるので、油の方向を検出するための回転方向検出器や圧力検出器を設ける必要がなく、コスト低減を図ることができる。
以上、複数の実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施形態では、拡底バケット19が最大径Rmaxとなった場合と、拡底バケット19が最小径Rminとなった場合に、演算器51からリレー52を切り換える指示を出力するものとしたが、少なくとも拡底バケット19が最大径Rmaxとなった場合のみ演算器51からリレー52を切り換える指示を出力するものとしても良い。さらに、最大径Rmax及び最小径Rminだけでなく、操作者が設定する任意の開度となった場合に演算器51からリレー52を切り換える指示を出力するものとしても良い。
また、上記各実施形態では、切換スイッチ55を拡径側または縮径側に切り換えることで、電磁ソレノイド34の出力が切り換えられ、その電磁ソレノイド34の出力の切り換えに応じてパイロットソレノイド35の出力が切り換えられるものとしたが、レバーにより直接パイロットソレノイド35の出力を切り換える構成としても良い。さらに、アースドリル機1,100,200に設けられた図示しないCPUからの指示によりパイロットソレノイド35の出力を切り換えるように構成としても良い。
また、上記各実施形態では、リレー52によって、電源装置56との接続を、切換スイッチ55側とランプ53及びブザー54側とに切り換えるものとしたが、切換スイッチ55には常に電源装置55を接続し、リレー52はランプ53或いはブザー54のオン/オフを切り換えるスイッチとして構成しても良い。即ち、拡径バケット19の掘削翼22a,22bが最大径Rmax又は最小径Rminに達した場合には、ランプ53或いはブザー54、又はランプ53とブザー54の双方により外部に示唆するのみの構成としても良い。
ここで、本実施形態において、請求項1の流量検出手段としては図6のS102の処理およびS201の処理が該当し、請求項1の方向検出手段としては図6のS101の処理が該当し、請求項1の第1算出手段としては図6のS103の処理およびS203の処理が該当し、請求項1の第2算出手段としては図6のS104の処理およびS204の処理が該当し、請求項5の第1流量検出手段としては図9のS301の処理が該当し、請求項5の第2流量検出手段としては図9のS303の処理が該当し、請求項5の第3算出手段としては図9のS302の処理が該当し、請求項5の第4算出手段としては図9のS304の処理が該当し、請求項5の第5算出手段としては図9のS305の処理が該当し、請求項6の判断手段としては図9のS306の処理が該当する。