JP2008196034A - スラスト軸受 - Google Patents

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智明 川村
Kosuke Obayashi
光介 尾林
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Abstract

【課題】軌道盤の耐摩耗性を向上させたスラスト軸受を提供することである。
【解決手段】スクロール式コンプレッサ用スラスト軸受31は、旋回スクロール14と支持部17との間に介在してスラスト荷重を支持する。このスラスト軸受31は、少なくとも軌道盤32,33を備える。そして、軌道盤32,33は、0.9wt%〜1.2wt%の炭素と、1.2wt%〜1.7wt%のクロムと、0.1wt%〜0.5wt%のマンガンと、0.15wt%〜0.35wt%のシリコンとを含有する高炭素鋼を冷間圧延して得られる表面粗さがRmax≦2μmのみがき帯鋼に熱処理を施し、表面の窒素富化層における残留オーステナイト量を10%以下とした。
【選択図】図1

Description

この発明は、スクロール式コンプレッサに用いられるスラスト軸受に関するものである。
圧縮冷媒蒸気を要する圧縮機の一形態として、旋回スクロールと固定スクロールとを含むスクロール式コンプレッサがある。以下、スクロール式コンプレッサの作動原理について、簡単に説明する。
スクロール式コンプレッサは、渦巻き形状の旋回スクロールと、同じく渦巻き形状の固定スクロールと、互いの渦巻き形状の中心に位置する圧縮冷媒蒸気の吐出部とを含む。固定スクロールは、他部材に固定されており、自転運動および公転運動を行うことはできない。旋回スクロールは、自転運動を行うことはできないが、公転運動を行うことができるよう構成されている。
旋回スクロールの公転運動により、旋回スクロールと固定スクロールとの間に生じる吸入口が開口し、圧縮室に冷媒蒸気が吸入される。旋回スクロールが公転運動し、かつ旋回すると、徐々に圧縮室の容積が小さくなり、圧縮室内に吸入された冷媒蒸気が圧縮され、吐出部から吐出される。このような構造のスクロール式コンプレッサが、例えば、特開昭63−268993号公報(特許文献1)に開示されている。
特開昭63−268993号公報
上記構成のスクロール式コンプレッサには、上記の圧縮工程中に生じるスラスト荷重を支持するために、スラスト軸受が設けられている。このスラスト軸受には、近年の圧縮能力の向上に伴って高荷重が負荷される。また、潤滑油の封入量が削減されているので、希薄潤滑環境下で使用されることになる。その結果、スラスト軸受の軌道盤に油膜切れを生じ、金属接触による異常摩耗を引き起こすおそれがある。
また、軌道盤自体の剛性を高めるためには、軌道盤の板厚を厚くする必要がある。そうすると、軌道盤のそりがおおきくなるおそれがある。このような場合、軌道盤同士の滑り接触面に偏りが生じて高トルクとなるばかりでなく、通油性を悪化させて局部的に金属接触するおそれがあり、軌道盤の摩耗が進行してしまうことになる。
そこで、この発明の目的は、軌道盤の耐摩耗性を向上させたスラスト軸受を提供することである。
この発明に係るスラスト軸受は、密封可能な容器と、容器の内部に固定された固定スクロールと、固定スクロールに対向する位置に設けられ、固定スクロールに対して偏心回転運動を行う旋回スクロールと、先端に偏心部を有し、旋回スクロールに偏心回転運動を付与する駆動軸と、旋回スクロールと駆動軸との間に介在してラジアル荷重を支持するラジアル軸受と、駆動軸を回転自在に支持する支持部と、駆動軸に回転運動を付与する電動機と、容器の底部に設けられ、容器内の各部に供給する潤滑油を貯留する潤滑油貯留部とを備えるスクロール式コンプレッサに使用され、旋回スクロールと支持部との間に介在してスラスト荷重を支持する。このスラスト軸受は、少なくとも軌道盤を備える。そして、軌道盤は、0.9wt%〜1.2wt%の炭素と、1.2wt%〜1.7wt%のクロムと、0.1wt%〜0.5wt%のマンガンと、0.15wt%〜0.35wt%のシリコンとを含有する高炭素鋼を冷間圧延して得られる表面粗さがRmax≦2μmのみがき帯鋼に熱処理を施すことによって得られるものであり、その表面の窒素富化層における残留オーステナイト量は10%以下である。
上記の化学成分の炭素鋼を使用することにより、軌道盤の機械的性質が向上する。具体的には、焼入性の改善、耐荷重性の向上、摩擦や摩耗の低減、硬さの向上、およびプレス加工等による軌道盤の破損を防止することができる。特に、表面の窒素富化層における残留オーステナイト量を10%以下とすることにより、残留オーステナイトがマルテンサイトと結晶粒の微細な炭化物(粒径5μm以下)とに分解される。これは、特に高荷重条件での耐荷重性の向上、および摩擦や摩耗の低減に有効である。
また、冷間圧延工程を経て製造された鋼板は、所望の寸法、表面の平滑性、および硬さを得ることができるので、軌道盤の製造工程中で寸法を調整する旋削工程や表面を平滑にする研削工程等を省略することができる。これにより、軌道盤の製造工程が簡素化されるので、スラスト軸受の製造コストを低減することができる。さらに、熱処理によって得られた表面の窒素富化層が除去されることがない。
好ましくは、熱処理の焼戻し温度を230℃〜280℃とする。残留オーステナイトを10%以下とするためには焼戻温度を230℃以上とする必要がある。一方、焼戻温度が280℃以上になると、硬さHRC60以下となって軌道盤に必要な硬さを維持できないおそれがある。そこで、230℃〜280℃の範囲内で高温焼戻を行うのが望ましい。
この発明によれば、所定の化学成分の炭素鋼を冷間圧延して得られた鋼板を出発材料として軌道盤を製造することにより、軌道盤の耐摩耗性を向上させたスラスト軸受を得ることができる。
さらには、上記のスラスト軸受を採用することにより、長寿命で信頼性の高いスクロール式コンプレッサを得ることができる。
図1〜図3を参照して、スクロール式コンプレッサ11およびスクロール式コンプレッサ11に取り付けられるこの発明の一実施形態に係るスクロール式コンプレッサ用スラスト軸受31(以下「スラスト軸受31」という)の軌道盤32,33の製造方法を説明する。なお、図1はスクロール式コンプレッサ11を示す概略断面図、図2は軌道盤32,33の出発材料となるみがき鋼板の主な製造工程を示すフロー図、図3は軌道盤32,33の主な製造工程を示すフロー図である。
まず、図1を参照して、スクロール式コンプレッサ11は、密封可能な容器12と、容器12の内部に固定された固定スクロール13と、固定スクロール13に対向する位置に設けられ、固定スクロール13に対して偏心回転運動を行う旋回スクロール14と、先端に偏心部21を有し、旋回スクロール14に偏心回転運動を付与する駆動軸15と、旋回スクロール14と駆動軸15との間に介在してラジアル荷重を支持するラジアル軸受16と、駆動軸15を回転自在に支持する支持部17と、駆動軸15に回転運動を付与する電動機18と、容器12の底部22に設けられ、容器12内の各部に供給する潤滑油を貯留する潤滑油貯留部19とを備える。また、スクロール式コンプレッサ11は、旋回スクロール14と支持部17との間に介在して偏心スラスト荷重を支持するスラスト軸受31を備える。
スラスト軸受31は、少なくとも軌道盤32,33を備えるスラストすべり軸受である。また、旋回スクロール14には、支持部17が位置する側に、スラスト軸受31の軌道盤32を取り付ける取り付け孔もしくは切り欠け(図示せず)が設けられている。また、支持部17にも、旋回スクロール14が位置する側に、スラスト軸受31の軌道盤33を取り付ける取り付け孔もしくは切り欠け(図示せず)が設けられている。
固定スクロール13に対向する位置であって、固定スクロール13よりも下部側に配置される旋回スクロール14側には、圧縮する冷媒蒸気を容器12内に供給するガス供給口23が設けられている。固定スクロール13および旋回スクロール14には、渦巻状の溝24a、24bが設けられており、その中心には、圧縮した冷媒蒸気を吐出する開閉可能なガス吐出口25を有する。圧縮された冷媒蒸気は、ガス吐出口25から吐出され、ガス送出口26から送出される。
オルダム継ぎ手27は、旋回スクロール14に設けられた溝24bと反対側の面であって、スラスト軸受31の外周側に取り付けられ、旋回スクロール14の自転運動を阻止する。
電動機18は、容器12の内部に固定されるステータ28と、駆動軸15側に装着されるロータ29とを備える。ステータ28およびロータ29により、駆動軸15は回転運動が付与される。
底部22に設けられた潤滑油貯留部19には、潤滑油を貯留可能である。貯留された潤滑油は、駆動軸15の内部において、軸方向に設けられた潤滑油供給孔30を通って、ラジアル軸受16、スラスト軸受31、支持部17まで供給される。供給された潤滑油は、下部に位置する潤滑油貯留部19に流れ落ちる。
上記構成のスクロール式コンプレッサ11は、例えば、空調機の冷媒蒸気を圧縮するのに利用される。
ここで、上記構成のスクロール式コンプレッサ11に採用されるスラスト軸受31の軌道盤32,33には大きなスラスト荷重が負荷される。さらに、軌道面32,33には、所定の硬さや表面平滑性、耐摩耗性等が求められる。
そこで、図2を参照して、このような環境で使用される軌道盤32,33の出発材料となる鋼板の製造方法を説明する。まず素材として、0.9wt%〜1.2wt%の炭素(C)と、1.2wt%〜1.7wt%のクロム(Cr)と、0.1wt%〜0.5wt%のマンガン(Mn)と、0.15wt%〜0.35wt%のシリコン(Si)と、その他の不可避不純物および鉄(Fe)とを含む鋼片を用いる(S11)。また、鋼中の酸素濃度は0.0010%以下とする。
炭素(C)は、軌道盤32,33に必要な強度を確保するのに必要不可欠の元素である。なお、軌道盤32,33の表面および芯部の硬さをHRC58以上とするためには0.9wt%以上の炭素が必要となる。一方、炭素含有量が1.2wt%を超えると、軌道盤32,33の表面に大型の炭化物が生成して耐荷重性が低下すると共に、摩擦や摩耗が増大する。そこで、炭素含有量は0.9wt%〜1.2wt%の範囲内とするのが望ましい。なお、「HRC」は、ロックウェル硬さを示す。
また、クロム(Cr)は、軌道盤32,33の焼入性を改善し、炭化物による硬さを確保し、摩擦や摩耗を低減し、かつ耐荷重性を向上するのに必要不可欠な元素である。なお、所定の炭化物を得るためには1.2wt%以上のクロムが必要となる。一方、1.7wt%を超える量を添加しても著しい添加効果は認めらない。さらに、5.0wt%を超えると大型の炭化物を生成して耐荷重性が低下すると共に、摩擦や摩耗が増大する。そこで、クロム含有量は1.2wt%〜1.7wt%の範囲内とするのが望ましい。
また、マンガン(Mn)は、鋼を製造する際の脱酸に用いられる元素であって、軌道盤32,33の出発材料としては必要不可欠の元素である。なお、鋼中の酸素を十分に除去するためには0.1wt%以上のマンガンが必要となる。一方、0.5wt%を超えると材料が脆くなり、プレス加工時に軌道盤32,33が破損する恐れがある。そこで、マンガンの含有量は0.1wt%〜0.5wt%の範囲内とするのが望ましい。
また、シリコン(Si)は、鉄鋼材料に不可避の元素であり、含有量の下限値を0.15%としている。一方、0.35wt%を超えるとプレス加工時に軌道盤32,33が破損する恐れがある。そこで、シリコンの含有量は0.15wt%〜0.35wt%の範囲内とするのが望ましい。
さらに、酸素は、鋼中で酸化物を形成して非金属介在物として疲労破壊の起点となるので、耐荷重性が低下すると共に、摩擦や摩耗が増大する。そこで、鋼中の酸素濃度は0.0010%以下とするのが望ましい。
次に、熱間圧延加工によって上記の素材から鋼板を得る(S12)。加熱状態で圧延することにより、巨大な鋳造組織が微細かつ良質な圧延組織となる。また、再結晶温度以上の温度領域で圧延することにより材料の加工硬化を防止することができるので、厚みを一気に薄くすることができる。
なお、熱間圧延工程の後に圧延加工された鋼板を焼鈍しする工程をさらに追加してもよい。焼鈍しによって結晶粒を微細化されると共に、結晶の方向性が調整されるので、表面の精度および加工性が向上する。
次に、防錆や鋼板の表面に付着した酸化被膜(スケール)の除去を目的として酸洗を行う(S13)。酸化被膜は、機械加工における工具の寿命を短くして生産効率を低下させると共に、鋼板の表面に物理的および化学的変化を生じさせて表面処理の効果を低下させる。そこで、酸洗によって酸化被膜を除去しておくことにより、以降の工程における生産効率および製品品質を向上することができる。なお、酸洗液には、塩酸、硫酸、硝酸等があり、5%〜15%の希塩酸水を40℃〜50℃程度で使用することが多い。
次に、冷間圧延加工によって、所定の寸法の鋼板を得ると共に、軌道盤32,33に必要な硬さや表面平滑性等の機械的性質を得る(S14)。常温で圧延を行うことにより、正確に所定の板厚を得ることができると共に、高い平滑性が得られる。また、再結晶温度未満の温度領域で圧延を行うことにより鋼板が加工硬化するので、鋼板の硬度が向上する。
なお、軌道盤32,33の軌道面となる壁面は、滑り運動を円滑にする観点からRmax≦1.6μmの表面粗さが要求される。後述するように、軌道盤32,33の形状加工後は、面粗さの山が取れる程度のバレル加工しかできないため、冷間圧延工程後の表面粗さはRmax≦2μmとするのが望ましい。さらに、プレス成形時の破損を防止する観点から、冷間圧延工程後の硬さはHv220以下とするのが望ましい。ここで、「Rmax」は最大高さを、「Hv」はビッカース硬さを示す。
ここで、冷間圧延工程によって得られる鋼板の表面粗さ、硬さ、および板厚は、圧延ロールの表面粗さ、圧延ロールの撓み、圧延率(圧延前後の板厚の比)、圧延ロール間の隙間(ギャップ)および回転速度等の影響を受ける。したがって、所望の表面粗さ、硬さ、および板厚を得るためには、これらの要素を適切に設定する必要がある。
また、上記の熱間圧延工程および冷間圧延工程は、それぞれ1回の圧延工程で所定の厚みを得ることとしてもよいが、粗圧延、中間圧延、および仕上圧延等、複数回に分けて所定の厚みを得ることとしてもよい。
次に、図3を参照して、この発明の一実施形態に係る軌道盤32,33を製造する方法を説明する。なお、図3は軌道盤32,33の主な製造工程を示すフロー図である。まず、図2を参照して説明した鋼板(みがき鋼板)を出発材料として採用する(S21)。
次に、プレス加工によって鋼板を軌道盤32,33の形状に成形する(S22)。上記の出発材料は、冷間圧延工程によって板厚や表面粗さ等が既に所望の状態になっているので、旋削加工等の工程を省略することが可能となる。その結果、製造工程を簡素化することができるので、スラスト軸受31の製造コストを低減することが可能となる。なお、このプレス加工工程は、1度のプレス加工によって所望の形状としてもよいが、プレス加工を複数回行って所望の形状を得ることとしてもよい。また、プレス加工後にバリ取り加工を行ってもよい。
次に、軌道盤32,33に必要な機械的性質を得るために、浸炭窒化処理と焼戻温度を230℃〜280℃とする高温焼戻とを含む熱処理を施す(S23)。浸炭窒化処理を行うことにより、軌道盤32,33の表面層に窒素富化層が形成される。この表面の窒素富化層は、耐荷重性の向上、および摩擦や摩耗の低減に有効である。なお、「表面層」とは、軌道盤32,33の表面から厚さ50μmの層を指すものとする。
また、高温焼戻を行うことにより、耐高温特性が向上するばかりでなく、残留オーステナイトが焼戻マルテンサイトと結晶粒の微細な炭化物(粒径5μm以下)とに分解される。これにより、特に高荷重条件での耐荷重性の向上、および摩擦や摩耗の低減に有効である。
なお、残留オーステナイトを10%以下とするためには焼戻温度を230℃以上とする必要がある。一方、焼戻温度が280℃以上になると、硬さHRC60以下となって軌道盤32,33に必要な硬さを維持できないおそれがある。そこで、230℃〜280℃の範囲内で高温焼戻を行うのが望ましい。なお、残留オーステナイト量は、X線回折によるマルテンサイトα(211)と、残留オーステナイトγ(220)の回折強度の比較で測定することができる。
最後に、熱処理によって軌道盤32,33の表面に生じた酸化被膜(スケール)を除去する(S24)。スケール除去加工としては、バレル処理やブラストクリーニング等の機械的方法と、前述した酸洗等の化学的方法がある。
ここで、「バレル処理」とは、容器(バレル)に軌道盤32,33、コンパウンド、およびメディアを入れた状態で、容器を回転若しくは振動させる処理である。この方法によれば、スケールを除去することができると共に、軌道盤32,33のバリ取りや表面粗さの改善効果も期待できる。前述の通り軌道盤32,33の出発材料の表面粗さは、冷間圧延工程後の段階で既にRmax≦2μmとなっているので、独立した研削工程を設けなくとも軌道盤32,33に必要な表面粗さRmax≦1.6μmを得ることができる。
この発明によれば、上記の化学成分の炭素鋼を用いることにより、軌道盤32,33の様々な機械的性質が向上する。その結果、耐荷重性が向上し、摩擦や摩耗が低減された軌道盤32,33を得ることができる。
また、出発材料の製造工程(図2に示す工程)に冷間圧延工程を含めることによって、軌道盤32,33に必要な板厚、硬さ、および表面粗さ等を得ることができる。そうすると、軌道盤32,33の製造工程(図3に示す工程)において、旋削加工や研削加工の工程を省略することが可能となる。その結果、軌道盤32,33の製造工程が簡素化され、軌道盤32,33の製造コストを低減することができる。
さらに、熱処理後の研削加工を省略したことにより、軌道盤32,33の表面層に形成された表面の窒素富化層を除去してしまうことがない。その結果、耐荷重性が向上すると共に、摩擦や摩耗を低減した軌道盤32,33を得ることができる。
次に、図4および表1を参照して、この発明の効果を確認するための試験について説明する。なお、図4は効果確認試験の試験装置41の正面図(左側)および側面図(右側)、表1は試験片44の組成および試験結果を示す。
Figure 2008196034
まず、図4を参照して、試験装置41は、片持ち梁42にエアスライダ43を介して取り付けられている試験片44と、試験片44の下面に当接し、回転軸45の回転に伴って回転する回転部材46と、試験片44に荷重を負荷するウエイト47と、荷重を測定するロードセル48とを備える。なお、試験片44と回転部材46との当接部分には、50N(最大接触面圧0.49GPa)の荷重が負荷されている。
試験片44は、図2および図3の工程を経て製造される。具体的には、図3の熱処理工程で、浸炭窒化処理と280℃での焼戻処理とを施した実施例1、浸炭窒化処理と230℃での焼戻処理とを施した実施例2、浸炭窒化処理と180℃での焼戻処理とを施した比較例1、および普通熱処理と180℃での焼戻処理とを施した比較例2の4種類を各10個ずつ用意する。なお、各材料中の残留オーステナイト量(%)、窒素濃度(wt%)、および表面硬さ(HRC)は、表1に示す。
また、試験片44の表面は、表面粗さRaが0.10μm〜0.15μmの平坦面である。一方、回転部材46の表面は、曲率半径が60mmの曲面であって、表面粗さRaが0.05μmに設定されている。そして、試験片44の回転部材46との接触部分の形状は、長径0.63mm、短径0.31mmの楕円形状(「接触楕円」という)である。
さらに、回転部材46の下部は潤滑油に浸かっており、試験片44と回転部材46との当接部分を潤滑する。潤滑油としては、多目的油(VG68)を使用する。また、油膜パラメータΛは、約0.3に設定する。
上記の試験条件の下、直径が40mmの回転軸45を0.05m/sの速度(回転速度:24r/min)で60分間回転させたときの摩耗体積比を算出した。結果を表1に示す。なお、表1中の各値は10個の試験片の平均値を示す。また、摩耗体積比は比較例2を基準とした値を示す。
表1を参照して、試験片44中の残留オーステナイト量は、焼戻温度が高くなる程少なくなることが確認された。なお、比較例2の残留オーステナイト量が少ないのは、普通熱処理によるオーステナイト析出量が浸炭窒化処理と比較して少ないことに起因する。一方、表面硬さは、焼戻温度が高くなる程低くなった。これにより、焼戻は、230℃〜280℃の範囲内で、残留オーステナイト量を減少させる観点からは高温で、表面硬さを向上させる観点からは低温で焼戻処理を行うのが望ましい。
また、窒素濃度は、浸炭窒化処理を施した各材料(実施例1,2、比較例1)が0.3wt%〜0.4wt%であったのに対し、普通熱処理を施した比較例2が0wt%であった。
さらに、摩耗体積比は、浸炭窒化処理を施した各材料(実施例1,2、比較例1)が、普通熱処理を施した比較例2に対して低くなり、焼戻温度が高くなる程低くなった。これにより、浸炭窒化処理およびより高い温度での焼戻処理によって耐摩耗性が向上することが確認された。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明は、スクロール式コンプレッサに用いられるスラスト軸受に有利に利用される。
この発明の一実施形態に係るスラスト軸受を備えたスクロール式コンプレッサを示す図である。 軌道盤を製造する主な工程を示すフロー図である。 鋼板から軌道盤を製造する主な工程を示すフロー図である。 この発明の効果を確認するための試験装置を示す図である。
符号の説明
11 スクロール式コンプレッサ、12 容器、13 固定スクロール、14 旋回スクロール、15 駆動軸、16 ラジアル軸受、17 支持部、18 電動機、19 潤滑油貯留部、21 偏心部、22 底部、23 ガス供給口、24a,24b 溝、25 ガス吐出口、26 ガス送出口、27 オルダム継ぎ手、28 ステータ、29 ロータ、30 潤滑油供給孔、31 スラスト軸受、32,33 軌道盤、41 試験装置、42 片持ち梁、43 エアスライダ、44 試験片、45 回転軸、46 回転部材、47 ウェイト、48 ロードセル。

Claims (2)

  1. 密封可能な容器と、
    前記容器の内部に固定された固定スクロールと、
    前記固定スクロールに対向する位置に設けられ、前記固定スクロールに対して偏心回転運動を行う旋回スクロールと、
    先端に偏心部を有し、前記旋回スクロールに偏心回転運動を付与する駆動軸と、
    前記旋回スクロールと前記駆動軸との間に介在してラジアル荷重を支持するラジアル軸受と、
    前記駆動軸を回転自在に支持する支持部と、
    前記駆動軸に回転運動を付与する電動機と、
    前記容器の底部に設けられ、前記容器内の各部に供給する潤滑油を貯留する潤滑油貯留部とを備えるスクロール式コンプレッサに使用され、
    前記旋回スクロールと前記支持部との間に介在してスラスト荷重を支持するスラスト軸受であって、
    前記スラスト軸受は、少なくとも軌道盤を備え、
    前記軌道盤は、0.9wt%〜1.2wt%の炭素と、1.2wt%〜1.7wt%のクロムと、0.1wt%〜0.5wt%のマンガンと、0.15wt%〜0.35wt%のシリコンとを含有する高炭素鋼を冷間圧延して得られる表面粗さがRmax≦2μmのみがき帯鋼に熱処理を施し、表面の窒素富化層における残留オーステナイト量を10%以下とした、スラスト軸受。
  2. 前記熱処理の焼戻し温度を、230℃〜280℃とした、請求項1に記載のスラスト軸受。
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